JPH1042913A - 停止装置付スライドファスナー用スライダー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スライダーの摺動停止、解除を手動的に行う
切替機構を備え、切替機構は簡素化され、かつ弾力性が
付与され円滑な操作が可能である。 【構成】 胴体１上に操作杆３を収納する収納部１０を
設け、収納部１０の中程には停止爪嵌入孔１４が設けら
れ、操作杆３は一端に摘片１９、中間に摘片１９とは直
交状の停止爪２１および反対側にカム２０を設け、摘片
１９とカム２０の間でカム２０と同一面に凹部２２を設
けて弾性板５の変形を容易にし、収納部１０に操作杆３
を収納し、その上に弾性板５、引手２を載置して取付板
４を固定し、操作杆３を略９０度回動可能に装備する。
スライダーのロックは弾性板によってカムを押圧し、停
止爪を咬合子間に挿入してロックし、摘片を起せば停止
爪は咬合子間から脱却しスライダーは摺動できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、スライドファス
ナーに装備されたスライダーの摺動を意図的に停止さ
せ、または解除させる操作をスライダーに備えた簡単な
操作機構を手動によって操作切替えることができ、しか
も停止機能を解除させるときはある程度の力を必要とす
るので、痴呆症患者、痴呆性老人などが着用する衣服の
止具として最適な停止装置付スライドファスナー用スラ
イダーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、スライダーの摺動を停止させ、ま
た解除させる操作をスライダー胴体に装備させた、つる
状の操作杆を手動によって回動させ、切替えることがで
きる停止装置付スライドファスナー用スライダーが、ア
メリカ特許第２２６１１３２号明細書に開示されてい
る。

【０００３】上記のスライダーは胴体内を長手方向に挿
通させた長環状の引手における挿通軸に、咬合子案内溝
内を摺動する咬合子と係合する停止爪を左右に突出状に
配設し、胴体内に張架させた板ばねに当接するカムを挿
通軸の周面に配設し、引手を側方へ倒すことによりカム
は板ばねを押上げ、引手が完全に倒れると停止爪が咬合
子と係合し、カムの平坦面と板ばねとが当接し、板ばね
の付勢により引手が回動するのを阻止し、咬合子と停止
爪の係合状態を保持する。また引手と板ばねの弾力に抗
して上側へ回動起立させることによって、停止爪を咬合
子間から脱却させ、スライダーを自由に摺動操作を行う
ことができる停止装置付スライドファスナー用スライダ
ーである。

【０００４】さらに、改良されたスライダー、たとえば
図１３に示すように一端に摘片を設けた棒状の操作杆に
停止爪を直角状に突設し、この停止爪と偏倚する状態
の、カム部を設け、操作杆を胴体上に設けた収納部に収
納し、その上方から弾性板および引手の枢軸を載置し、
さらにその上方に取付板を配置固定し、操作杆を手動に
よって回動させ、スライダーの摺動を停止させ、または
解除させる形態の停止装置付スライドファスナー用スラ
イダーが特開平８−１９４０７号公報に開示されてい
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前項で挙げたアメリカ
特許明細書に開示された停止装置付スライドファスナー
用スライダーは、引手と停止爪とは同体であり、引手の
起倒動作によって簡単にスライダーを摺動操作ができる
ため、スライドファスナーの開口を意図しない場合でも
簡単にスライドファスナーを開口させることができるの
で、安全性を要求される個所には使用できない、また痴
呆症患者、痴呆性老人などが着用する衣服の止具として
は不向きであるなど問題点がある。

【０００６】さらに、図１３に示す停止装置付スライド
ファスナー用スライダーは、操作杆の上面に当接載置す
る弾性板は両端を取付板によって圧接し、操作杆の回動
を阻止しようとする反面、操作杆に配設するカムが単に
停止爪を押圧する作用のみであり、回動を抑制する機能
を備えていないカムであるため、不安定で簡単にロック
が解除されるおそれがあるなど問題点がある。

【０００７】この発明は、上述の問題点を考慮し発明さ
れたものであり、請求項１記載の発明は、スライダーの
摺動停止、解除の切替えは引手の操作では不可能であ
り、切替え操作は操作杆の回動によって行うが、操作杆
に弾力性を付与させ、操作が簡易かつ円滑に行えるよう
に形成した停止装置付スライドファスナー用スライダー
を提供することが主たる目的である。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の目的に加え、操作杆の停止機能がみだりに解除され
ないよう、操作杆の解除方向への回動を抑制する機構を
採り入れ、安定したロック状態を保持できる停止装置付
スライドファスナー用スライダーを提供することが目的
である。

【０００９】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の目的に加え、停止機構を備えた操作杆を多
少の揺動があっても安定した状態で胴体に保持でき、か
つ操作杆の操作が円滑に行え、特に停止爪が噛合直前の
咬合子間に挿入でき、咬合子が熱可塑性樹脂製のモノフ
ィラメントから形成されたコイルタイプ、ジグザグタイ
プのスライドファスナーに適する停止装置付スライドフ
ァスナー用スライダーを提供することが目的である。

【００１０】請求項４記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の目的に加え、操作杆の操作に力を必要とし
ない操作杆で、操作杆が短尺でたり軽快な操作が期待で
き、また咬合子が金属製あるいは熱可塑性樹脂製の単一
体から形成されたメタルタイプ、あるいは射出成形タイ
プのスライドファスナーに適する停止装置付スライドフ
ァスナー用スライダーを提供することが目的である。

【００１１】請求項５および６記載の発明は、請求項
１、２、３または４記載の発明の目的に加え、停止機構
の停止爪を噛合する直前の一方側の咬合子を乗越し、他
方側の咬合子間に圧入させ、停止機能が容易には解除で
きない形態のスライダーであって、特に咬合子が熱可塑
性樹脂製モノフィラメントから形成されたタイプのスラ
イドファスナーに適する停止装置付スライドファスナー
用スライダーを提供することが目的である。

【００１２】請求項７記載の発明は、請求項１、２また
は４記載の発明の目的に加え、停止機構の停止爪を噛合
状態の咬合子間に的確かつ容易に挿入させ、停止機能が
容易に解除できない形態のスライダーであって、特に咬
合子が金属製または熱可塑性樹脂製の単一体から形成さ
れたタイプのスライドファスナーに適する停止装置付ス
ライドファスナー用スライダーを提供することが目的で
ある。

【００１３】請求項８記載の発明は、請求項１、２、
３、４、５または６記載の発明の目的に加え、胴体の収
納部に収納した操作杆を簡易に操作でき、かつ停止機構
を噛合直前の咬合子間に可動させ、スライダーのロッ
ク、解除を的確に行え、咬合子が熱可塑性樹脂製のモノ
フィラメントから形成されたコイルスライドファスナー
などに適した、停止装置付スライドファスナー用スライ
ダーを提供することが目的である。

【００１４】請求項９記載の発明は、請求項１、２、４
または７記載の発明の目的に加え、胴体の収納部に収納
した操作杆を簡易に操作でき、かつ停止機構を噛合直後
の咬合子間に可動させ、スライダーのロック、解除を的
確に行え、咬合子が金属製または熱可塑性樹脂製の単一
体から形成された通常の金属製スライドファスナーまた
は射出成形スライドファスナーに適した、停止装置付ス
ライドファスナー用スライダーを提供することが目的で
ある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明のうち請求項１記載の発明は、スライダー
の停止機構として、棒状の操作杆３に一方へ突出するカ
ム２０と摘片１９とを直交状に横設し、このカム２０と
摘片１９の間に、カム２０と同一面上の操作杆３に弾性
板５の端部が嵌入できる凹部２２を凹設し、かつ停止爪
２１をカム２０と対向して設けた操作杆３を胴体１上面
に縦設した収納部１０に回動自在に収納し、この操作杆
３の上部に弾性板５および引手２の枢軸２４を載置し、
その上方に取付板４を固定して操作杆３を組付け、その
組付けの際、弾性板５がカム２０を中心にして両端部が
下方に変形できる空隙部２６を形成した停止装置付スラ
イドファスナー用スライダーを主な構成としている。

【００１６】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の構成に加え、停止機構としての操作杆３に横設した
カム２０は、摘片１９の突出側に偏倚突出した形状に形
成した停止装置付スライドファスナー用スライダーであ
る。

【００１７】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の構成に加え、停止機構としてのカム２０と
停止爪２１とを操作杆３の中間部において、対向して配
設した停止装置付スライドファスナー用スライダーであ
る。

【００１８】請求項４記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の構成に加え、停止機構としてのカム２０と
停止爪２１、あるいはカム２０のみを操作杆３の一端部
側に配設した停止装置付スライドファスナー用スライダ
ーである。

【００１９】請求項５記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の構成に加え、停止機構としての停
止爪２１を摘片１９の設置対向側へ偏倚する状態で操作
杆３に突設し、この停止爪２１を摘片１９が倒伏する反
対側の咬合子案内溝に出没可能に胴体１に配設した停止
装置付スライドファスナー用スライダーである。

【００２０】請求項６記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の構成に加え、停止機構としての停
止爪２１と摘片１９とを略直交状に配した操作杆３を、
胴体１上において偏倚して配設し、この停止爪２１を摘
片１９が倒伏する反対側の咬合子案内溝９に出没可能に
形成した停止装置付スライドファスナー用スライダーで
ある。

【００２１】請求項７記載の発明は、請求項１、２また
は４記載の発明の構成に加え、停止機構としての停止爪
２１を摘片１９における倒伏側の面に略直交状に突設
し、この停止爪２１を胴体１における摘片１９の倒伏側
の咬合子案内溝９に出没可能に胴体１に配設した停止装
置付スライドファスナー用スライダーである。

【００２２】請求項８記載の発明は、請求項１、２、
３、４、５または６記載の発明の構成に加え、胴体１の
上翼板６上面に縦設した収納部１０には、操作杆３を収
納する凹溝１２を凹設し、この凹溝１２の一側にカム嵌
入部１３を凹設するとともに、他側に停止爪嵌入孔１４
を咬合子案内溝９に通ずるように穿設し、このカム嵌入
部１３および停止爪嵌入孔１４から肩口側にかけての凹
溝１２の一部に弾性板５の載置台１５を凹溝１２の両壁
に突設した停止装置付スライドファスナー用スライダー
である。

【００２３】請求項９記載の発明は、請求項１、２、４
または７記載の発明の構成に加え、胴体１の上翼板６上
面に縦設した収納部１０には、操作杆３を収納する凹溝
１２を凹設し、この凹溝１２の一側にカム嵌入部１３を
凹設し、このカム嵌入部１３から肩口側にかけてカム嵌
入部１３の設置側の凹溝１２の一部に弾性板５の載置台
１５を設け、かつ凹溝１２の後口側でカム嵌入部１３の
設置側と反対側に凹窪部１７を凹設するとともに、その
中央に停止爪嵌入孔１４を咬合子案内溝９に通ずるよう
に穿設した停止装置付スライドファスナー用スライダー
である。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下、この発明の停止装置付スラ
イドファスナー用スライダーの実施の形態について、図
面を参照しながら具体的に説明する。

【００２５】この発明の停止装置付スライドファスナー
用スライダーは、図１または図８に示すように、胴体
１、引手２、操作杆３、取付板４、弾性板５の５部材か
らスライダーが組立てられ、このうち胴体１、引手２、
操作杆３、取付板４はアルミニウム合金、亜鉛合金など
の金属をダイキャスト成形手段によって成形するのが好
ましい。

【００２６】図１に示す停止装置付スライドファスナー
用スライダーにおける胴体１は、上翼板６、下翼板７、
案内柱８から形成され、上翼板６と下翼板７との間に咬
合子摺動用の咬合子案内溝９が形成されている。上翼板
６における上面中央縦方向に操作杆３を収納する収納部
１０が設けられ、この収納部１０は肩口側にコ字状の囲
壁１１が立設され、弾性板５の一端が配置できるように
形成されている。そして囲壁１１から上翼板６の後口に
かけて底部が円弧状に形成され、操作杆３を回動自在に
収納できる凹溝１２が凹設されている。

【００２７】凹溝１２の中程における一方の側壁に凹状
のカム嵌入部１３が設けられ、このカム嵌入部１３の対
壁には、操作杆３に突設した停止爪１９が胴体１の咬合
子案内溝９まで通ずるように停止爪嵌入孔１４が上翼板
６に穿設されている。この凹溝１２の両側にはカム嵌入
部１３、停止爪嵌入孔１４に隣接し、肩口側すなわち囲
壁１１側にかけての内側に突出し、弾性板５の一部を載
置できる載置台１５が設けられ、載置台１５は収納され
る操作杆３の上辺部よりも高い位置に対称的に形成され
ている。

【００２８】凹溝１２の後口側には一対の対向壁１６が
立設され、この対向壁１６の終端から上翼板６の後口に
かけて、前記停止爪嵌入孔１４が配設されている側に偏
倚する凹窪部１７が凹設され、操作杆３に設けられた摘
片１９が倒伏収容できるように形成されている。なお対
向壁１６の内面には囲壁１１と同等幅の凹部１８が設け
られ、弾性板５の一端を収容できるように形成されてい
る。

【００２９】操作杆３は棒状のシャフトから形成され、
その一端に扁平状の摘片１９が横設され、また中程に摘
片１９と直交状態に突出するカム２０が設けられ、この
カム２０の反対側には停止爪２１が対向状に設けられて
いる。このカム２０は図４からも明らかなように摘片１
９側に多少偏倚して突出する形状であり、また停止爪２
１は摘片１９が設置された対向側へ偏倚して突出するよ
うに設けられている。

【００３０】さらに操作杆３に設置されたカム２０と摘
片１９との間には、カム２０と同一側の面上に凹部２２
が刻設され、弾性板５の一端が弾性変形する際、操作杆
３が妨げにならないように形成されている。

【００３１】引手２は、短冊形で一端側に孔部２３が設
けられ、端部に枢軸２４が形成されている。なお引手２
の形態は任意であって、枢軸２４が備えられていればよ
い、また連結環を用いた引手であってもよい。取付板４
は板体の両端に断面Ｔ字形の脚部２５が立設され、前記
胴体１上面に設けた囲壁１１と対向壁１６の凹部１８と
に嵌入できるように形成され、一方の脚部２５は載置台
１５の外側の空隙部２６、また他方の脚部２５は操作杆
３の凹部２２に対応できるように形成されている。さら
に弾性板５は短冊形で囲壁１１から対向壁１６の凹部１
８にわたる大きさの板ばねから形成されている。

【００３２】次にスライダーの組立てについて説明する
と、まず胴体１の上翼板６上に設けた収納部１０に操作
杆３を収納するが、その際摘片１９が凹窪部１７に対し
倒伏でき、またカム２０がカム嵌入部１３、停止爪２１
が停止爪嵌入孔１４にそれぞれ嵌入可能に収納し、その
上方から弾性板５を載置台１５上に載置し、次に引手２
の枢軸２４、さらに取付板４の脚部２５を弾性板５の両
端に当接するように収納部１０の囲壁１１および凹部１
８に嵌入し、両側から囲壁１１および対向壁１６をかし
め加工して脚部２５を固定し、そして弾性板５の両端下
方に空隙部２６が形成されるように組立てられる。

【００３３】この形態の停止装置付スライドファスナー
用スライダーは、たとえば図５に示すような、咬合子２
７が熱可塑性樹脂のモノフィラメントから形成されたコ
イルタイプあるいはジグザグタイプのファスナーエレメ
ントからなり、ファスナーエレメントをファスナーテー
プの一側縁上に取付けられるタイプのスライドファスナ
ーを対象にしたスライダーである。

【００３４】組立てられたスライダーの操作は、操作杆
３の摘片１９を起立させると停止爪２１が咬合子２７間
から脱出し、引手２の操作によってスライダーは自由に
摺動できる。摺動の際、操作杆３は弾性板５によって押
圧され、カム２０および停止爪２１の存在により、みだ
りに操作杆３を回動させることがない。

【００３５】操作杆３の摘片１９を凹窪部１７に向け倒
伏させると、停止爪２１は胴体１の咬合子案内溝９内に
配された噛合直前の咬合子２７の一方、すなわち停止爪
嵌入孔１４側に配された咬合子２７を押圧しながら乗越
し、相手側の咬合子２７間に挿入される。挿入された停
止爪２１は咬合子２７間から脱却するには、噛合相手の
咬合子２７を押圧し乗越しなければならない。

【００３６】さらに操作杆３に配設されたカム２０が偏
倚した形態で、弾性板５に圧接されているから、通常の
ロック状態では操作杆３は回動できない。したがってス
ライダーをロック状態から摺動させるためには、操作杆
３の摘片１９を意図的に起立させない限り摺動させるこ
とができない。なお停止爪２１が咬合子２７を乗越する
際、操作杆３自体が弾性板５の弾力に抗して浮上するた
め、容易に咬合子２７を乗越できる。

【００３７】図６に示した停止装置付スライドファスナ
ー用スライダーは、前記実施形態の変形例を示したもの
で、前例と異なるところは操作杆３の設置するカム２０
および停止爪２１の先端側の操作杆３をカットした形態
であり、したがってカム２０および停止爪２１が操作杆
３の端部に配設され、操作杆３を短尺形に形成した以外
は、前例のスライダーと全く同一形態である。

【００３８】また図７に示した停止装置付スライドファ
スナー用スライダーは、さらに他の変形例を示したもの
であり、この形態のスライダーは操作杆３における摘片
１９と停止爪２１とを直交状に配設し、カム２０は摘片
１９側に偏倚した形状に形成し、また操作杆３を収納す
る凹溝１２は胴体１の上翼板６上に設けた収納部１０の
片側、すなわち摘片１９が倒伏する反対側に偏倚して設
けられ、弾性板５を載置する載置台１５も摘片１９の倒
伏側にのみ配設され、停止爪２１が摘片１９の倒伏側と
反対側の咬合子案内溝９へ突出するように形成されてい
る以外は第１実施形態のスライダーと同一形態である。

【００３９】次に図８に示す停止装置付スライドファス
ナー用スライダーも前例と同様に、胴体１、引手２、操
作杆３、取付板４、弾性板５から構成され、胴体１は上
翼板６上面の中央縦方向に操作杆３を収納できる収納部
１０が配設され、この収納部１０も肩口側にコ字状の囲
壁１１が立設され、また後口側には対向壁１６が対設さ
れている。対向壁１６には囲壁１１と同等幅の弾性板５
が配設できる凹部１８が凹設され、囲壁１１から対向壁
１６にわたって操作杆３が嵌装できる凹溝１２が片側に
偏倚した状態で凹設され、凹溝１２の底面は円弧状に形
成して操作杆３の回動が容易に行える形態に形成されて
いる。

【００４０】この凹溝１２の一側には弾性板５を載置す
る載置台１５が設けられ、この載置台１５に隣接してカ
ム２０が嵌入できるカム嵌入部１３が凹設され、凹溝１
２の後口側端部に操作杆３の摘片１９が倒伏した際、収
容できる凹窪部１７がカム嵌入部１３が設置された反対
側の上翼板６上面に凹設され、この凹窪部１７の中央に
停止爪２１が挿入できる停止爪嵌入孔１４が咬合子案内
溝９まで通ずるよう穿設され、停止爪２１が噛合する咬
合子の一方側の咬合子間に挿入できるように形成されて
いる。

【００４１】なお、凹溝１２は囲壁１１内の底部の一部
および後口側の一部を残した状態で上翼板６上面に凹設
され、また凹溝１２の一側に設けた載置台１５は収納さ
れる操作杆３の上辺部よりも高い位置に張出する形態で
形成されている。

【００４２】操作杆３は一端に摘片１９が横設され、ま
た中程に摘片１９とは略直角の位置から突出する形態の
カム２０が設けられ、さらに摘片１９の一面すなわちカ
ム２０の突出方向とは逆方向に突出する停止爪２１が設
けられ、これら三者は操作杆３の軸芯に対し略直交状に
配設されている。そして摘片１９とカム２０との間のカ
ムと同一側の面上に凹部２２が凹設され、弾性板５の弾
性変形を妨害しないように形成されている。

【００４３】引手２は孔部２３と枢軸２４が設けられ、
また取付板４は両端に断面Ｔ字形の脚部２５が立設さ
れ、胴体１の上翼板６上面に設けた囲壁１１と対向壁１
６の凹部１８とに嵌装できるように形成され、一方の脚
部２５は載置台１５の外側の空隙部２６、他方の脚部２
５は操作杆３の凹部２２に対応できる。弾性板５は短冊
形で、囲壁１１から対向壁１６の凹部１８にわたる大き
さの板ばねから形成された形態は、前記第１実施形態と
同一構成である。

【００４４】次にスライダーの組立ては、胴体１の収納
部１０における凹溝１２内に操作杆３を嵌装するが、そ
の際カム嵌入部１３とカム２０、凹窪部１７の停止爪嵌
入孔１４と停止爪２１とがそれぞれ対応するように嵌装
し、その上部に弾性板５を囲壁１１と対向壁１６の凹部
１８間において載置し、その上方から引手２の枢軸２４
を載置した後、取付板４の脚部２５を囲壁１１と対向壁
１６の凹部１８にそれぞれ嵌入した後、両側からかしめ
加工によって固定し、弾性板５の両端下方に空隙部２６
を形成してスライダーは組立てられる。

【００４５】この形態の停止装置付スライドファスナー
用スライダーは、通常の金属製スライドファスナーある
いは熱可塑性樹脂の射出成形による射出成形スライドフ
ァスナーにおける咬合子がファスナーテープの一側縁に
挟着されたタイプのスライドファスナーを対象としたス
ライダーである。

【００４６】組立てられたスライダーの操作は、操作杆
３の摘片１９を起立させ、摘片１９に突設した停止爪２
１を咬合子案内溝９内の咬合子間から脱却させ、かつ凹
窪部１７の停止爪嵌入孔１４から抜脱させ、同時にカム
２０をカム嵌入部１３に嵌入させるとスライダーは自由
に摺動できる。またスライダーをロックさせたいとき
は、摘片１９を凹窪部１７に向け倒伏させ、停止爪嵌入
孔１４から停止爪２１を咬合子案内溝９内の咬合子間に
挿入するとスライダーはロックされる。

【００４７】ロックの際、停止爪２１は咬合子案内溝９
内で噛合した直後の一方側の咬合子間に挿入されるが、
停止爪２１の先端が咬合子の表面に当接した場合は、操
作杆３自体が弾性板５の弾力に抗して浮上し、胴体１の
前後の微動によって、停止爪２１が噛合状態の咬合子間
に挿入されスライダーはロックされる。

【００４８】図１２に示した停止装置付スライドファス
ナー用スライダーは、前記第２実施形態の変形例を示し
たものであり、前例と異なるところは、操作杆３に設置
するカム２０の先端側の操作杆３をカットし、操作杆３
を短尺形に形成したものであり、カム２０が操作杆３の
端部に配設された形態以外は、前例のスライダーと全く
同一形態である。

【００４９】

【発明の効果】この発明の停止装置付スライドファスナ
ー用スライダーは、以上説明したとおりの構成であり、
この構成によって下記の効果を奏する。

【００５０】この発明のうち請求項１記載の発明は、操
作杆にカムと摘片とを略直交状に横設し、カムと摘片の
間にカムと同一面上に凹部を設け、停止爪をカムと対向
して設けた操作杆を胴体上の収納部に回動自在に収納
し、操作杆の上部に配した弾性板はカムを中心にして両
端部の下方に変形用の空隙部を形成することによって、
弾性板の弾性変形を妨害することなく容易に変形させ、
操作杆に有効的に弾力を付与し、操作杆の浮上も可能で
あり、スライダーの摺動停止、解除の切替えが円滑に行
える効果がある。しかも停止爪によってロックされると
操作杆が弾性板の作用によってロック状態を保持できる
効果がある。

【００５１】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明の効果に加え、操作杆に横設したカムは、摘片側に偏
倚突出した形状に形成したことによって、操作杆のロッ
ク解除方向への回動をカムによって簡単に抑制でき、摘
片を意図的に起立させない限り、みだりに起立しないか
ら安定したロック状態が保持できる効果がある。

【００５２】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の効果に加え、カムと停止爪とを操作杆の中
間部に配設したことによって、操作杆をきわめて安定し
た状態で保持でき、かつ円滑な操作が行え、そのうえカ
ムと停止爪とが相反する位置に設けられているので、ロ
ック状態の停止爪は常にカムによって弾性板の押圧を有
効的に受け、ロック状態を的確に維持できる効果があ
る。

【００５３】請求項４記載の発明は、請求項１または２
記載の発明の効果に加え、カムと停止爪、またはカムを
操作杆の端部側に配したことによって、操作杆の操作に
あまり力を必要とせず、操作杆が短尺でよいから軽快な
操作が期待でき、また大型スライダーに適した形態であ
り、かつまた停止爪が単一体からなる咬合子の噛合直後
における咬合子間に挿入されるタイプのスライダーの操
作杆に適し、停止機能が充分に発揮できる効果がある。

【００５４】請求項５記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の効果に加え、停止爪を摘片の対向
側へ偏倚突設させ、停止爪を摘片が倒伏する反対側の咬
合子案内溝に出没可能に胴体に配設したから、停止爪の
設置形態によって簡単に噛合直前の一方側の咬合子を乗
越し、他方側の咬合子間に圧入でき、停止機能が容易に
解除できず強力なロック作用が維持できる効果があり、
特に熱可塑性樹脂製モノフィラメントから形成されたス
ライドファスナーに適するものである。

【００５５】請求項６記載の発明は、請求項１、２、３
または４記載の発明の効果に加え、停止爪と摘片とを略
直交状に配した操作杆を、胴体上において偏倚して配装
し、停止爪を摘片が倒伏する反対側の咬合子案内溝に出
没可能に形成したから、停止機構を備えた操作杆を胴体
に対する設置形態によって簡単に噛合直前の一方側の咬
合子を乗越し、他方側の咬合子間に圧入でき、停止機能
が容易に解除できず強力なロック作用が維持できる効果
があり、特に熱可塑性樹脂製モノフィラメントから形成
されたスライドファスナーに適するものである。

【００５６】請求項７記載の発明は、請求項１、２また
は４記載の発明の効果に加え、停止爪を摘片の倒伏側の
面に略直交状に突設し、停止爪を胴体における摘片の倒
伏側の咬合子案内溝に出没可能に胴体に配設したから、
停止爪を噛合状態の一方側の咬合子間に簡単な構成によ
って的確かつ容易に挿入でき、強力なロック作用が維持
できる効果があり、特に咬合子が金属製または熱可塑性
樹脂製の単一体から形成されたスライドファスナーに適
するものである。

【００５７】請求項８記載の発明は、請求項１、２、
３、４、５または６記載の発明の効果に加え、胴体上に
設けた収納部に操作杆を収納する凹溝を設け、この凹溝
の一側にカム嵌入部、他側に停止爪嵌入孔を設け、この
部分から肩口側にかけての凹溝の一部に弾性板の載置台
を両壁に設けたことによって、胴体の収納部に操作杆を
安定した状態で保持でき、かつ弾性板も的確に作用し、
停止機能も充分に果たすことができる。しかも停止爪が
熱可塑性樹脂製のモノフィラメントから形成された、噛
合直前の一方側の咬合子を乗越できるタイプのスライダ
ーを簡易に作製することができる効果がある。

【００５８】請求項９記載の発明は、請求項１、２、４
または７記載の発明の効果に加え、胴体上に設けた収納
部に操作杆を収納する凹溝を設け、この凹溝の一側にカ
ム嵌入部を設け、この部分から肩口側にかけてカム嵌入
部側の凹溝の一部に弾性板の載置台を設け、かつ凹溝の
後口側でカム嵌入部と反対側に凹窪部を設けるととも
に、その中央に停止爪嵌入孔を設けたことによって、胴
体上の収納部に操作杆を安定した状態で保持でき、かつ
弾性板も的確に作用させることができ、停止機能も充分
に果すことができる。しかも停止爪が金属製または熱可
塑性樹脂製の単一体から形成された咬合子が噛合状態に
ある咬合子間に挿入できるタイプのスライダーを簡易に
作製することができる効果があるなど、この発明の奏す
る効果はきわめて顕著である。

【図面の簡単な説明】

【図１】停止装置付スライドファスナー用スライダーに
おける第１実施形態のスライダーの分解斜視図である。

【図２】同上スライダーの斜視図である。

【図３】同上スライダーの縦断面図である。

【図４】同上スライダーの横断面図である。

【図５】同上スライダーの使用態様を示す図４における
Ａ−Ａ断面平面図である。

【図６】同上スライダーの変形例を示すスライダーの縦
断面図である。

【図７】同上スライダーの他の変形例を示すスライダー
の横断面図である。

【図８】停止装置付スライドファスナー用スライダーに
おける第２実施形態のスライダーの分解斜視図である。

【図９】同上スライダーの斜視図である。

【図１０】同上スライダーの縦断面図である。

【図１１】同上スライダーの横断面図である。

【図１２】同上スライダーの変形例を示すスライダーの
縦断面図である。

【図１３】公知の停止装置付スライドファスナー用スラ
イダーの分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 胴体 ２ 引手 ３ 操作杆 ４ 取付板 ５ 弾性板 ６ 上翼板 ９ 咬合子案内溝 １０ 収納部 １２ 凹溝 １３ カム嵌入部 １４ 停止爪嵌入孔 １５ 載置台 １７ 凹窪部 １９ 摘片 ２０ カム ２１ 停止爪 ２２ 凹部 ２４ 枢軸 ２６ 空隙部

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 棒状の操作杆３にカム２０と摘片１９と
   を略直交状に横設し、カム２０と摘片１９の間にカム２
   ０と同一面上に凹部２２を凹設し、停止爪２１をカム２
   ０と対向して設けた操作杆３を、胴体１上面に縦設した
   収納部１０に回動自在に収納し、操作杆３の上部に弾性
   板５および引手２の枢軸２４を載置し、その上方に取付
   板４を固定し、弾性板５はカム２０を中心にして両端部
   の下方に変形用の空隙部２６を形成したことを特徴とす
   る停止装置付スライドファスナー用スライダー。
2. 【請求項２】 操作杆３に横設したカム２０は、摘片１
   ９側に偏倚突出した形状に形成してなる請求項１記載の
   停止装置付スライドファスナー用スライダー。
3. 【請求項３】 カム２０と停止爪２１とを操作杆３の中
   間部に配設してなる請求項１または２記載の停止装置付
   スライドファスナー用スライダー。
4. 【請求項４】 カム２０と停止爪２１、あるいはカム２
   ０のみを操作杆３の端部側に配設してなる請求項１また
   は２記載の停止装置付スライドファスナー用スライダ
   ー。
5. 【請求項５】 停止爪２１を摘片１９の対向側へ偏倚し
   突設させ、該停止爪２１を摘片１９が倒伏する反対側の
   咬合子案内溝９に出没可能に胴体１に配設してなる請求
   項１、２、３または４記載の停止装置付スライドファス
   ナー用スライダー。
6. 【請求項６】 停止爪２１と摘片１９とを略直交状に配
   した操作杆３を、胴体１上に偏倚して配設し、該停止爪
   ２１を摘片１９が倒伏する反対側の咬合子案内溝９に出
   没可能に形成してなる請求項１、２、３または４記載の
   停止装置付スライドファスナー用スライダー。
7. 【請求項７】 停止爪２１を摘片１９の倒伏側の面に略
   直交状に突設し、該停止爪２１を胴体１における摘片１
   ９の倒伏側の咬合子案内溝９に出没可能に胴体１に配設
   してなる請求項１、２または４記載の停止装置付スライ
   ドファスナー用スライダー。
8. 【請求項８】 胴体１上面に縦設した収納部１０には、
   操作杆３を収納する凹溝１２を凹設し、該凹溝１２の一
   側にカム嵌入部１３、他側に停止爪嵌入孔１４を設け、
   該部分から肩口側にかけての凹溝１２の一部に弾性板５
   の載置台１５を突設してなる請求項１、２、３、４、５
   または６記載の停止装置付スライドファスナー用スライ
   ダー。
9. 【請求項９】 胴体１上面に縦設した収納部１０には、
   操作杆３を収納する凹溝１２を凹設し、該凹溝１２の一
   側にカム嵌入部１３を凹設し、該部分から肩口側にかけ
   てカム嵌入部１３側の凹溝１２の一部に弾性板５の載置
   台１５を設け、かつ凹溝１２の後口側でカム嵌入部１３
   と反対側に凹窪部１７を凹設するとともに、その中央に
   停止爪嵌入孔１４を穿設してなる請求項１、２、４また
   は７記載の停止装置付スライドファスナー用スライダ
   ー。