JPH1039104A - プラスチック製光学部品 - Google Patents

プラスチック製光学部品

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JPH1039104A
JPH1039104A JP8194931A JP19493196A JPH1039104A JP H1039104 A JPH1039104 A JP H1039104A JP 8194931 A JP8194931 A JP 8194931A JP 19493196 A JP19493196 A JP 19493196A JP H1039104 A JPH1039104 A JP H1039104A
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JP
Japan
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layer
refractive index
film
antireflection film
optical
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JP8194931A
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Koichiro Yamazaki
皓一郎 山崎
Itsuro Nakamura
逸郎 中村
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Victor Company of Japan Ltd
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 プラスチック製の基板2表面に、基板2側か
ら外方へ反射防止膜3の第1層乃至第5層4,5,6,
7,8をこの順に真空蒸着で形成したプラスチック製光
学部品であって、第1層4、第3層6及び第5層8をS
iO2、第2層5及び第4層7を高屈折率物質で構成す
るとともに、第1層4の光学的膜厚を可視光等の広帯域
の中心波長である設計波長の略1/2に設定した。高屈
折率物質を、ZrO2と、TiO2との混合物、若しくは
Ta25とした。 【効果】 SiO2で形成した反射防止膜の第1層とプ
ラスチック製のレンズ基板との密着性が良く、且つ高屈
折率物質と安価な低屈折物質であるSiO2との組合わ
せによる5層の反射防止膜で、物理的膜厚を確保しなが
ら中間的な屈折率を達成しているので、生産コストを抑
えつつ高い耐環境性を有し、透過率等の所望の光学性能
を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレン
ズ等のプラスチック製光学部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズ等のプラスチック製
光学部品は、ガラス製光学部品と比べて小型、軽量、量
産性が良好等の利点を持つ。一般に光学部品は、可視光
帯域の反射率を減少させて透過率等の光学的性能を向上
させるために、表面に光学部品よりも屈折率が小さい反
射防止膜が形成されている。この反射防止膜を形成する
際、ガラス製光学部品では、ガラス製のレンズ基板と反
射防止膜との密着性を確保するために、レンズ基板を加
熱することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらプラスチ
ック製のレンズ基板は、耐熱性が劣る。また、一般のガ
ラスの線膨張係数が9×10-6、プラスチック製のレン
ズ基板の材質として知られるポリカーボネイトの線膨張
係数が(60〜70)×10-6であることから、プラス
チック製のレンズ基板は、ガラス製のレンズ基板と比べ
て熱膨張率が大きい。従ってプラスチック製のレンズ基
板を直接加熱することができず、反射防止膜の十分な密
着力を得ることが難しい。
【0004】また、プラスチック製のレンズ基板は、一
般にレンズ基板そのものの屈折率が低いから、単層の反
射防止膜では所望の光学的性能を得るには不十分なの
で、3層以上の膜構成による多層の反射防止膜によって
透過率を向上させている。そこでプラスチック製のレン
ズ基板の反射防止膜としては、高屈折率物質(H)、低
屈折率物質(L)、及び中間的な屈折率を示す物質
(M)から構成される レンズ基板/M/H/L のような3層の反射防止膜とするのが一般的である。例
えば特開昭60−154201号公報「プラスチック製
光学部品」に記載された反射防止膜が、この様な例とし
て知られている。
【0005】しかしながら上記公報に記載された反射防
止膜では、3層の反射防止膜を構成する各層は、M:S
iO2,H:Al23,L:MgF2の様に全て異なる物
質を使用しているので、使用物質の種類が多くなって生
産コストがかかるという不具合がある。又、中間的な屈
折率を示す物質(M)の屈折率が、前記HとLによって
制限されるので、当該物質を選定するのが難しくなり、
且つ3種類の物質を使用するため、膜応力の設計が難し
くなる。
【0006】そこで生産的な見地から使用物質の種類を
少なくして(中間的な屈折率を示す物質Mを使用しな
い)生産コストを下げるために、前記H、Lの光学的膜
厚を調整することによって、多層の反射防止膜全体とし
て、前記M(中間的な屈折率を示す物質)に相当する中
間的な屈折率を実現する手段が取られている。この様に
使用物質の種類を少なくして調整層を形成する方法とし
て レンズ基板/H/L/H/L のような構成の4層の反射防止膜は一般的であり、概ね
公知である。例えばアメリカ特許明細書第3,432,
225号に記載された反射防止膜が、この様な例として
知られている。
【0007】しかしながら上記のレンズ基板/H/L/
H/Lの4層の膜構成では、レンズ基板に近い最初のH
/Lは、前記M層よりも光学的膜厚が薄いため、圧縮応
力、引張応力等の膜応力のバランスが失われている。そ
のためプラスチック製のレンズ基板のような熱膨張率の
大きなレンズ基板では、可視光のかなり広い帯域で透過
率特性等の光学特性上比較的良好な性能が得られても、
耐環境試験(ヒートショック試験:−30℃→60℃、
相対湿度90%)を実施すると、反射防止膜にクラック
が発生するという欠点が認められた。
【0008】又、反射防止膜の信頼性を確保するために
は、反射防止膜の応力分散を行う必要がある。その手段
として真空中でプラスチック製のレンズ基板の表面にエ
ネルギ−粒子を照射して、レンズ基板と反射防止膜との
密着性を向上させる方法がある。しかしながらこの方法
では、エネルギ−粒子を照射できる新たな装置の導入が
必要となり、コストが高くなる不都合がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は、エ
ネルギ−粒子を照射するための新たな装置を導入するこ
となく、上記Lとして安価なSiO2を使用し、真空蒸
着装置内にプラスチック製のレンズ基板を置いて、反射
防止膜用物質のみを加熱して蒸着し、上記HとLからな
る5層構成の反射防止膜とすれば、耐熱性が劣り、且つ
熱膨張率が大きいプラスチック製のレンズ基板を直接加
熱せずに済み、レンズ基板と反射防止膜との十分な密着
性を確保でき、レンズ基板の表面にエネルギ−粒子を照
射する場合と同等以上に信頼性のある反射防止膜を、低
コストで実現出来るであろうと推定した。
【0010】また透過率等の光学的性能の良い5層の反
射防止膜を形成するに当り、前記HとLを夫々複数回繰
返して使用することにより各層を構成し、少ない使用物
質で光学的膜厚を調整することで物理的膜厚を確保し
て、5層の反射防止膜全体として、前記M(中間的な屈
折率を示す物質)に相当する中間的な屈折率を実現すれ
ば、耐環境試験(ヒートショック試験:−30℃→60
℃、相対湿度90%)を行っても、クラックを発生しな
い、耐久性の高い、膜応力の設計が容易な反射防止膜を
実現できるであろうと推定した。
【0011】更にSiO2で形成した第1層の光学的膜
厚を、可視光等の広帯域の中心波長である設計波長の1
/2に設定すれば、2層目以降の反射防止膜に殆ど影響
を与えることなく、広帯域の全てにおいて、分光反射率
を低く抑えて、所望の光学特性を得られるであろうと推
定した。
【0012】この推定に基づき具体的には、請求項1
は、プラスチック製の基板表面に、基板側から外方へ反
射防止膜の第1層乃至第5層をこの順に真空蒸着で形成
したプラスチック製光学部品であって、第1層、第3層
及び第5層をSiO2、第2層及び第4層を高屈折率物
質で構成するとともに、第1層の光学的膜厚を可視光等
の広帯域の中心波長である設計波長の略1/2に設定し
た。
【0013】上記構成にしたので、プラスチック製のレ
ンズ基板上に真空蒸着で交互に5層に積層した高屈折率
物質の膜と、安価な低屈折率物質であるSiO2の膜と
により、中間的な屈折率を示す物質をなくして光学的膜
厚を調整することで、物理的膜厚を確保した5層の反射
防止膜全体として、中間的な屈折率を示すことができ、
少ない使用物質で生産コストを下げつつ、膜応力の設計
が容易な、透過率等の光学性能の良い反射防止膜を得る
ことができる。
【0014】特に第1層にSiO2の膜を設けたので、
プラスチック性のレンズ基板との密着性が良く、真空蒸
着後の安定性が良く、且つSiO2の膜は圧縮応力を示
すので、引張応力を示す第2層以降の高屈折率物質の膜
の引張応力を打ち消して分散する効果が大きいから、積
層した第2層以降の層との膜応力のバランスも良く、耐
環境試験(ヒートショック試験:−30℃→60℃、相
対湿度90%)を行ってもクラックが発生せず、膜応力
の設計が容易な反射防止膜を得ることができる。
【0015】又、SiO2で形成した第1層の光学的膜
厚を、可視光等の広帯域の中心波長である設計波長の略
1/2に設定したので、分光反射率等の分光特性に殆ど
影響を与えること無く、従来分光反射率が悪かった可視
光の短波長域及び長波長域での分光反射率を著しく改善
し、広帯域に亘って透過率等の光学性能の良い安定した
反射防止膜を得ることができる。
【0016】なお、第1層の光学的膜厚が設計波長の1
/2未満の場合、及び1/2を越えた場合(例えば設計
波長の0.3倍及び0.7倍)、反射率が高くなり、分
光反射率特性に悪影響を与えるので、第1層の光学的膜
厚を設計波長の略1/2にする必要がある。仮に設計波
長の0.7倍の光学的膜厚のSiO2の第1層を設け
て、所望の分光反射率を実現しようとする場合、2層目
以降を構成する光学的膜厚は一意的に定まり、設計の自
由度が著しく減少するという不都合が生じる。
【0017】請求項2は、高屈折率物質を、ZrO
2と、TiO2との混合物、若しくはTa25とした。高
屈折率物質としてZrO2と、TiO2とを混合して使用
する場合、ZrO2が耐熱性、化学的安定性に優れ、T
iO2が被覆力にすぐれ、毒性がなく、酸、アルカリに
も強いので、製造し易く、反射防止膜として優れたもの
を得ることが出来る。又、高屈折率物質としてTa25
を使用する場合、Ta25は、耐火性にすぐれ、非常に
延性があるので、薄膜を形成し易い。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。図1は本発明のプラスチック製
光学部品の断面図であり、プラスチック製光学部品1
は、ポリカーボネイト樹脂製のレンズ基板2を、図示せ
ぬ真空蒸着装置内のドームに固定して、2.0×10-5
Torr以下迄排気し、蒸着物質を電子ビーム蒸着法で
レンズ基板2上に蒸着して5層の反射防止膜3を形成し
てなる。反射防止膜3は、レンズ基板2と接する第1層
4から、外方へ第2層5、第3層6、第4層7、第5層
8迄夫々所定の膜厚になるまで順次蒸着する。
【0019】反射防止膜3は、SiO2と高屈折率物質
とを交互に積層して5層とし、第1層4と第3層6と第
5層8を低屈折物質であるSiO2の層とし、第2層5
と第4層7を高屈折率物質の層とした。高屈折率物質と
して、ZrO2と、TiO2との混合物、若しくはTa2
5を使用することが出来る。又、レンズ基板2に用い
るプラスチック基材として、前記ポリカーボネイト樹脂
の他に、環状ポリオレフィン樹脂等を使用することが出
来る。
【0020】特に反射防止膜3の第1層4は、安価な低
屈折物質であるSiO2を使用し、可視光等の広帯域の
中心波長である設計波長をλ0として、λ0/2の光学的
膜厚のSiO2の薄い膜で形成する。
【0021】又、レンズ基板2への5層の反射防止膜3
の蒸着後の安定性に関し、レンズ基板2を加熱せずにプ
ラスチック製のレンズ基板2上へ蒸着したSiO2の膜
は、ガラス製のレンズ基板を加熱して得られた反射防止
膜と、密度、屈折率を比べても遜色なく、且つ耐久性も
高い。
【0022】次に5層に積層した反射防止膜3の圧縮応
力、引張応力等の膜応力のバランスに関し、高屈折率の
膜は一般的に引張応力を示すが、SiO2の膜は圧縮応
力を示すので、反射防止膜3の隣接した層内での引張応
力を打ち消す働きをする。特に第1層4にプラスチック
製のレンズ基板2と相性が良いSiO2の膜を設けた場
合、第2層5以降の引張応力を分散する効果が大きいか
ら、耐久性の高い、クラックの発生し難い膜構成とな
る。
【0023】本発明の5層の反射防止膜3の具体的な構
成を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】なお、プラスチック製光学部品1の設計波
長λ0は、λ0=520nmとし、表の下段から上段へ順
に説明する。
【0026】レンズ基板2:ポリカーボネイト樹脂の射
出成形によって形成し、屈折率を1.58とする。
【0027】第1層:真空蒸着装置内で排気しながら電
子ビーム蒸着法でSiO2の薄い層をレンズ基板2上に
形成する。光学的膜厚を0.50λ0とし、屈折率を
1.46とする。
【0028】第2層:真空蒸着装置内で排気しながら電
子ビーム蒸着法でZrO2と、TiO2の混合物の薄い層
を第1層4上に形成する。光学的膜厚を0.120λ0
とし、屈折率を2.05とする。
【0029】第3層:真空蒸着装置内で排気しながら電
子ビーム蒸着法でSiO2の薄い層を第2層5上に形成
する。光学的膜厚を0.056λ0とし、屈折率を1.
46とする。
【0030】第4層:真空蒸着装置内で排気しながら電
子ビーム蒸着法でZrO2と、TiO2の混合物の薄い層
を第3層6上に形成する。光学的膜厚を0.250λ0
とし、屈折率を2.05とする。
【0031】第5層:真空蒸着装置内で排気しながら電
子ビーム蒸着法でSiO2の薄い層を第4層7上に形成
する。光学的膜厚を0.252λ0とし、屈折率を1.
46とする。
【0032】なお、プラスチック製光学部品1の入射媒
質は、屈折率1.0の空気とする。以上の様に第1層
4、第3層6及び第5層8を同じ低屈折率物質:SiO
2で形成し、第2層5及び第4層7を同じ高屈折率物
質:ZrO2とTiO2の混合物で形成することにより、
使用物質を少なくして(中間的な屈折率を示す物質を使
用しない)生産コストを下げている。
【0033】
【実施例】本発明に係る実施例を次に説明する。なお、
本発明は実施例に限るものではない。 実施例1及び比較例1〜6:図2は本発明の実施例1と
比較例1〜3における垂直入射光に対する分光反射率特
性を示すグラフであり、比較例1及び比較例2は、特開
昭60−154201号公報の第3図及び第5図に記載
されたプラスチック製光学部品の分光反射率を転写した
もの、又、比較例3は、アメリカ特許明細書第3,43
2,225号のFig3に記載されたプラスチック製光
学部品の分光反射率を転写したものである。
【0034】実施例1のプラスチック製光学部品1に対
し、−30℃→60℃、相対湿度90%の耐環境試験
(ヒートショック試験)を5回繰返したが、反射防止膜
4〜8の密着性は劣化せず、クラックの発生も認められ
なかった。又、実施例1は、可視光域の400〜700
nm内で分光反射率が1.0%未満であり、非常に安定
性が良く、透過率等の光学的性能の向上が認められた。
【0035】これに対して比較例1は、概ね480〜6
40nm内で分光反射率が1.0%未満を示すものの、
480nm未満の可視光域では、分光反射率が上がって
おり、400nm近くでは4.0%を越えている。又、
640nm以上の可視光域では、分光反射率が上がって
おり700nm近くでは2.0%を越えてしまい、可視
光域のかなり広い領域で透過率等の光学的性能が良くな
い。
【0036】比較例2は、概ね420〜700nmの可
視光域で分光反射率が1.0%未満の良好な性能を示
し、400nmの近くで分光反射率が3.0%を越え、
光学的性能が劣る領域は限られている。
【0037】しかしながら比較例1及び2共、上述の様
に3層の反射防止膜を構成する各層を、高屈折率物質
(H)、低屈折率物質(L)及び中間的な屈折率を示す
物質(M)によって、M:SiO2,H:Al23
L:MgF2の様に全て異なる物質を使用しているの
で、使用物質の種類が多くなって生産コストがかかる不
具合がある。
【0038】比較例3は、概ね420〜700nmの可
視光域で分光反射率が1.0%未満の良好な性能を示
し、420nm辺りで分光反射率が1.0%を越え、4
00nmでは1.6%を示して、光学的性能が劣る領域
は限られている。
【0039】しかしながら比較例3は、上述の様に使用
物質を減らすために(中間的な屈折率を示す物質Mを減
らす)、高屈折率物質(H)、及び低屈折率物質(L)
によって中間的な屈折率を達成し、レンズ基板/H/L
/H/Lのような4層の調整層からなる反射防止膜を構
成しているが、調整層の物理的膜厚が前記M層よりも薄
いため、圧縮応力、引張応力等の膜応力のバランスが失
われている。そのため透過率特性等の光学特性上比較的
良好な性能が得られても、耐環境試験(ヒートショック
試験:−30℃→60℃、相対湿度90%)を実施する
と、反射防止膜にクラックが発生するという欠点が認め
られた。
【0040】図3は実施例1と比較例4〜6における垂
直入射光に対する実施例1の分光反射率特性を示すグラ
フである。実施例1は前記表1及び図2で示したものと
同じであり、5層構成の反射防止膜の第1層をSiO2
で形成してその光学的膜厚を可視光等の広帯域(400
〜700nm)の中心波長である設計波長の0.5倍に
したもの、比較例4は、同じく設計波長の0.3倍にし
たもの、比較例5は、同じく設計波長の0.7倍にした
もの、比較例6は、4層の構成の反射防止膜を、5層構
成の実施例1の第2層乃至第5層と同じ構成にしたもの
である。
【0041】実施例1は、可視光の400〜700nm
の広帯域に亘って分光反射率が1.0%未満という値で
あり、非常に安定した優れた光学性能を示す。
【0042】これに対して比較例4及び比較例5の場
合、何れも可視光の400〜700nm内で分光反射率
が大きく乱れ、広い範囲で1.0%を大きく越えてしま
い、光学性能が安定しない。
【0043】比較例6は、可視光の410〜660nm
内のかなり広い帯域で分光反射率が1.0%未満である
ものの、400〜410nm、及び660〜700nm
で分光反射率が1.0%を大きく越えてしまい、所望の
400〜700nmの全域での安定した分光反射率を期
待できない。
【0044】以上の様に実施例1は、比較例6の4層
に、第1層として、SiO2で形成され光学的膜厚が可
視光等の広帯域の中心波長である設計波長の略1/2の
層を付け加えて5層構成にしたので、比較例6のかなり
広い帯域(410〜660nm)での1.0%未満の分
光反射率に殆ど影響を与えること無く、従来分光反射率
が悪かった400〜410nm、及び660〜700n
mの帯域で分光反射率が著しく改善され、広帯域(40
0〜700nm)に亘って透過率等の光学性能が良くな
り、且つ安定する。そしてSiO2で形成された第1層
の光学的膜厚が設計波長の1/2未満の場合、及び1/
2を越えた場合、何れも分光反射率が大きく乱れ、広い
範囲で1.0%を大きく越えてしまい、光学性能が安定
しない。
【0045】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、プラスチック製の基板表面に、基板
側から外方へ反射防止膜の第1層乃至第5層をこの順に
真空蒸着で形成したプラスチック製光学部品であって、
第1層、第3層及び第5層をSiO2、第2層及び第4
層を高屈折率物質で構成するとともに、第1層の光学的
膜厚を可視光等の広帯域の中心波長である設計波長の略
1/2に設定した。
【0046】上記構成にしたので、プラスチック製のレ
ンズ基板上に真空蒸着で交互に5層に積層した高屈折率
物質の膜と、安価な低屈折率物質であるSiO2の膜と
により、中間的な屈折率を示す物質をなくして光学的膜
厚を調整することで、物理的膜厚を確保した5層の反射
防止膜全体として、中間的な屈折率を示すことができ、
少ない使用物質で生産コストを下げつつ、膜応力の設計
が容易な、透過率等の光学性能の良い反射防止膜を得る
ことができる。
【0047】特に第1層にSiO2の膜を設けたので、
プラスチック性のレンズ基板との密着性が良く、真空蒸
着後の安定性が良く、且つSiO2の膜は圧縮応力を示
すので、引張応力を示す第2層以降の高屈折率物質の膜
の引張応力を打ち消して分散する効果が大きいから、積
層した第2層以降の層との膜応力のバランスも良く、耐
環境試験(ヒートショック試験:−30℃→60℃、相
対湿度90%)を行ってもクラックが発生せず、膜応力
の設計が容易な反射防止膜を得ることができる。
【0048】又、SiO2で形成した第1層の光学的膜
厚を、可視光等の広帯域の中心波長である設計波長の略
1/2に設定したので、分光反射率等の分光特性に殆ど
影響を与えること無く、従来分光反射率が悪かった可視
光の短波長域及び長波長域での反射率を著しく改善し、
広帯域に亘って透過率等の光学性能の良い安定した反射
防止膜を得ることができる。
【0049】請求項2は、高屈折率物質を、ZrO
2と、TiO2との混合物、若しくはTa25とした。高
屈折率物質としてZrO2と、TiO2とを混合して使用
する場合、ZrO2が耐熱性、化学的安定性に優れ、T
iO2が被覆力にすぐれ、毒性がなく、酸、アルカリに
も強いので、製造し易く、反射防止膜として優れたもの
を得ることが出来る。又、高屈折率物質としてTa25
を使用する場合、Ta25は、耐火性にすぐれ、非常に
延性があるので、薄膜を形成し易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック製光学部品の断面図
【図2】本発明の実施例1と比較例1〜3における垂直
入射光に対する分光反射率特性を示すグラフ
【図3】同じく実施例1と比較例4〜6における垂直入
射光に対する実施例1の分光反射率特性を示すグラフ
【符号の説明】
1…プラスチック製光学部品,2…レンズ基板,3…反
射防止膜,4…反射防止膜の第1層,5…反射防止膜の
第2層,6…反射防止膜の第3層,7…反射防止膜の第
4層,8…反射防止膜の第5層。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック製の基板表面に、基板側か
    ら外方へ反射防止膜の第1層乃至第5層をこの順に真空
    蒸着で形成したプラスチック製光学部品であって、 前記第1層、第3層及び第5層をSiO2、第2層及び
    第4層を高屈折率物質で構成するとともに、 前記第1層の光学的膜厚を可視光等の広帯域の中心波長
    である設計波長の略1/2に設定したことを特徴とする
    プラスチック製光学部品。
  2. 【請求項2】 前記高屈折率物質は、ZrO2と、Ti
    2との混合物、若しくはTa25であることを特徴と
    する請求項1記載のプラスチック製光学部品。
JP8194931A 1996-07-24 1996-07-24 プラスチック製光学部品 Pending JPH1039104A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6794066B2 (en) * 2000-07-07 2004-09-21 Sola International Holdings, Limited Optical element with mirror coating and method for forming said coating
CN114438452A (zh) * 2022-02-09 2022-05-06 洛阳微米光电技术有限公司 一种红外光学窗口及光学透镜外表面上增透膜的制作方法

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