JPH10339321A - 動圧軸受装置 - Google Patents

動圧軸受装置

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JPH10339321A
JPH10339321A JP16657097A JP16657097A JPH10339321A JP H10339321 A JPH10339321 A JP H10339321A JP 16657097 A JP16657097 A JP 16657097A JP 16657097 A JP16657097 A JP 16657097A JP H10339321 A JPH10339321 A JP H10339321A
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bearing
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正通 早川
Masato Gomyo
五明  正人
Hideki Kanebako
秀樹 金箱
Kazuji Miura
和司 三浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易で低コストな構造で、軸部材と軸受部材
とを安定的に支持して、起動・停止時等における金属接
触を防止することを可能とする。 【解決手段】 潤滑油Lの油量を十分に確保しながら、
アンバランス形状を有する動圧発生用溝26,27の不
均衡な加圧作用に基づいて、軸部材12と軸受部材22
との傾きを補正するように潤滑油Lの移動を行わせて、
軸部材12と軸受部材22との間に油膜を常時良好に形
成し、軸部材12と軸受部材22とが傾いた状態で回転
の起動及び停止が行われたとしても、いわゆる振れ回り
を生じていない状態で回転の起動及び停止を行わせるよ
うに構成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油に動圧を発
生させ、その動圧により軸部材と軸受部材とを相対的に
回転自在に支持するように構成した動圧軸受装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、モータ等の各種装置において、特
に高速回転に対応し得るようにオイル等の潤滑油の動圧
を利用した動圧軸受装置が種々検討され提案されてい
る。この動圧軸受装置においては、軸部材側の動圧面
と、この軸部材の外周側又は軸端側に所定の隙間を介し
て装着された軸受部材側の動圧面とが対向配置されてい
るとともに、これら対向動圧面のうちの少なくとも一方
側に動圧発生用溝が形成されており、上記軸部材と軸受
部材との両対向面間に介在されたオイル等の潤滑油が、
回転時に動圧発生用溝のポンピング作用により昇圧さ
れ、当該潤滑油の動圧によって上記両部材が相対的に回
転可能に支持されるようになっている。
【0003】このような動圧軸受装置において、例え
ば、特開昭58−50318号記載の装置では、2箇所
の動圧軸受部が軸方向に離間して設けられているととも
に、これら2箇所の動圧軸受部内に充填された潤滑油ど
うしが、空気層を介在して互いに分離した状態に配置さ
れている。このような潤滑油を分離配置した動圧軸受装
置では、各動圧軸受部内の潤滑油が表面張力によって保
持されているとともに、両動圧軸受部どうしの間の空気
層が、軸部材に貫通形成された連通孔によって大気側に
開放されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の潤滑油分離配置型の動圧軸受構造では、2箇
所の動圧軸受部どうしの間を潤滑油で連続的に満たした
型式の装置に比して、保持される油量がかなり少なくな
るため、軸受部の外端部分で潤滑油が枯渇し易いという
問題があり、特に、起動・停止時等において軸部材と軸
受部材とが傾いた状態で、いわゆる振れ回りを生じる
と、軸部材と軸受部材とが油膜を介在させないで直接金
属接触を起こす危険がある。
【0005】そこで本発明は、簡易で低コストな構造
で、軸部材と軸受部材とを安定的に保持させ、動圧軸受
装置の信頼性を向上させることができるようにした動圧
軸受装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1記載の発明では、軸部材と、この軸
部材に対して所定の隙間を介在して装着された軸受部材
とを有し、上記軸部材と軸受部材との間の隙間に潤滑油
が充填された動圧軸受部が、前記軸部材の軸方向に離間
して2箇所設けられているとともに、上記2箇所の動圧
軸受部における潤滑油どうしが、空気層を介在して互い
に分離した状態に配置され、上記各動圧軸受部に設けら
れた動圧発生用溝により潤滑油が加圧されることによっ
て、前記軸部材と軸受部材とが相対回転可能に支持され
る動圧軸受装置において、上記2箇所の動圧軸受部にそ
れぞれ設けられた動圧発生用溝は、回転停止時における
前記軸部材と軸受部材との傾きを補正するように潤滑油
を所定の方向に移動させるアンバランス形状に形成され
ているとともに、上記2箇所の各動圧軸受部における両
端部にそれぞれ連続するようにして、毛細管力により潤
滑油を保持する毛細管シール部が設けられ、これらの各
毛細管シール部のうち、潤滑油の移動方向下流側の毛細
管シール部における潤滑油の許容量が、前記潤滑油の移
動量より大きく設定されている。
【0007】また、請求項2記載の発明では、上記請求
項1記載の各動圧軸受部が、ラジアル動圧軸受部から構
成され、かつ、軸部材と軸受部材との傾きを補正する潤
滑油の移動方向が、装置の軸方向外側に設定されてい
る。
【0008】さらに、請求項3記載の発明では、上記請
求項1記載の各動圧軸受部が、スラスト動圧軸受部から
構成され、かつ、軸部材と軸受部材との傾きを補正する
潤滑油の移動方向が、装置の半径方向外側に設定されて
いる。
【0009】さらにまた、請求項4記載の発明では、上
記請求項1記載の潤滑油の移動方向下流側の毛細管シー
ル部には、動圧軸受部における潤滑油の容量の5倍以上
の貯溜容量を有する保油部が設けられている。
【0010】請求項5記載の発明では、上記請求項4記
載の保油部は、動圧発生用溝のアンバランス形状に基づ
く潤滑油に対する加圧力の不均衡を解消するまで移動し
た潤滑油を受け入れるように構成されている。
【0011】このような各請求項記載の手段によれば、
軸部材と軸受部材とが傾いた状態で回転の起動及び停止
が行われたとしても、アンバランス形状を有する動圧発
生用溝の不均衡な加圧作用に基づいて、軸部材と軸受部
材との傾きを補正するように潤滑油の移動が行われるた
め、軸部材と軸受部材との間に油膜が常時良好に形成さ
れ、いわゆる振れ回り状態が極力抑えられた状態で回転
の起動及び停止が行われる。すなわち、軸部材と軸受部
材とは安定的に支持され、両部材どうしの金属接触が極
力防止されるようになっている。
【0012】この場合、特に請求項4又は請求項5のよ
うにして、潤滑油の保持量を十分に確保しておけば、上
述した油膜の形成作用が一層確実に行われるとともに、
潤滑油内への摩耗粉の混入による悪影響や、潤滑油の熱
劣化等が良好に防止されるようになっている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、いわゆる両端軸
固定型のHDDスピンドルモータに適用した実施形態に
ついて図面により詳細に説明する。まず、図1に示され
たHDDスピンドルモータの全体構造を説明すると、こ
のHDDスピンドルモータは、固定部材としてのステー
タ組1と、このステータ組1に対して図示上側から組み
付けられた回転部材としてのロータ組2とから構成され
ている。このうちステータ組1は、図示省略した固定基
台側にネジ止めされるフレーム11を有しているととも
に、このフレーム11の略中央部分に立設された固定軸
12が、図示上方に向かって延びている。この固定軸1
2の先端部(図示上端部)は、図示を省略した固定基台
に対してネジ止めされる。
【0014】また、上記フレーム11は、中空円筒状の
支持ホルダー13を有しており、この支持ホルダー13
の外周にステータコア14が嵌着されている。上記ステ
ータコア14の突極部には巻線15が巻回されている。
【0015】一方、前記ロータ組2は、図示を省略した
所定の記録媒体を支持するためのハブ21を有してお
り、このハブ21は、当該ハブ21の中心部分に固着さ
れた軸受部材22を介して、上記固定軸12の外周側に
回転自在に支承されている。すなわち、上記ハブ21
は、磁気ディスク等の磁気記録媒体を外周部に装着する
略円筒形状の胴部21aを有しているとともに、この胴
部21aの内周側に、バックヨーク21bを介して駆動
マグネット21cが環状に装着されている。この駆動マ
グネット21cは、前述したステータコア14の外周端
面に対して環状に対向するように近接配置されている。
【0016】図2にも示されているように、上記軸受部
材22の内周側に嵌着された軸受スリーブ22Aの内周
面と、前記固定軸12の外周面との間には、一対のラジ
アル動圧軸受部23,24が、軸方向に所定間隔離して
設けられている。これらの各ラジアル動圧軸受部23,
24における軸受部材22の軸受スリーブ22Aの内周
面と固定軸12の外周面とは、数μmの隙間を介して対
向配置されており、当該隙間内には、オイルや磁性流体
等からなる所定の潤滑油Lが介在されている。
【0017】これら2箇所のラジアル動圧軸受部23,
24における各潤滑油Lは、互いに分離した状態でそれ
ぞれ別個に充填されており、各ラジアル動圧軸受部2
3,24の潤滑油L,Lどうしの間に、空気層25が介
在されている。この空気層25は、前記固定軸12内に
貫通形成された空気穴通路12aにより装置外方の大気
側に開放されている。
【0018】そして、上記軸受部材22の軸受スリーブ
22Aと固定軸12との両対向面のうち、少なくとも一
方側(本実施形態では軸受部材22側)には、例えばヘ
リンボーン形状のラジアル動圧発生用溝26,27が環
状に並列するように凹設されて、動圧軸受部Dが構成さ
れており、前記ハブ21の回転時に、当該動圧軸受部D
におけるラジアル動圧発生用溝26,27のポンピング
作用によって潤滑油Lが昇圧されて動圧が生じ、この潤
滑油Lに生じさせられた動圧によって、ハブ21がラジ
アル方向に軸支持されるように構成されている。
【0019】また、上記2箇所の各ラジアル動圧軸受部
23,24の各動圧軸受部Dに設けられた動圧発生用溝
26,27の各々は、ヘリンボーン形状の頂部を中心と
して軸方向にアンバランスな形状に形成されている。よ
り具体的には、上記各ラジアル動圧軸受部23,24に
おける動圧発生用溝26,27は、「く」の字状をなす
ヘリンボーン形状の頂部を中心として装置の軸方向内側
部分に、より大きな加圧力を発生させる長い溝26a,
27aを有しているとともに、ヘリンボーン形状の頂部
を中心として装置の軸方向外側部分に、より小さい加圧
力を発生させる短い溝26b,27bを有している。
【0020】すなわち、上記動圧発生用溝26,27の
各々は、軸方向に加圧力の不均衡を生じさせ、その加圧
力の不均衡を解消するまで潤滑油Lを軸方向外側に移動
させるようにアンバランスな形状に構成されている。こ
れは、以下述べるように固定軸12と軸受部材22との
間の傾きを補正するためである。
【0021】例えば図2において、回転停止時に、固定
軸12と軸受部材22との間に傾きが生じた場合には、
固定軸12の図示上下における端部分が、動圧発生用溝
26の図示上部側及び動圧発生用溝27の図示下部側に
それぞれ接触することとなる。しかしながら、このよう
な傾きがあったとしても、回転開始時に、上述した動圧
発生用溝26,27のアンバランスな形状に基づいて潤
滑油Lが軸方向外側に移動させられるから、上述した固
定軸12と軸受スリーブ22Aとの接触部分に潤滑油L
の油膜が形成されることとなり、その油膜の加圧力によ
って、両部材どうしの接触が防止されるとともに傾きが
補正され、回転中は常に正常な対面状態が維持されるよ
うになっている。
【0022】また、上述した動圧発生用溝26,27が
設けられている動圧軸受部Dには、当該動圧軸受部Dの
両端部(図示上下端部)に対して、それぞれ軸方向(図
示上下方向)に連続するようにして、毛細管シール部S
1,S2が設けられている。これらの各毛細管シール部
S1,S2は、狭小隙間による毛細管力によって潤滑油
Lを保持する機能を有するものであって、上記動圧軸受
部Dにおける隙間を軸受スリーブ22A側に設けられた
傾斜面によってテーパ状に徐々に拡大した構成からなっ
ている。すなわち、軸方向外側の各毛細管シール部S
1,S1においては、傾斜面S1aにより隙間が外側に
向って連続的に拡大されているとともに、軸方向内側の
各毛細管シール部S2,S2においては、傾斜面S2a
により隙間が内側に向って連続的に拡大されている。
【0023】さらに、上記外方側の各毛細管シール部S
1,S1の軸方向外側には、当該毛細管シール部S1,
S1の隙間をさらに拡大した保油部H,Hがそれぞれ繋
げられている。これらの保油部H,Hは、上記外側の毛
細管シール部S1,S1の軸方向外端における隙間を階
段状に急拡大した急テーパ状の第1傾斜面Haを備えて
いるとともに、この第1傾斜面Haの外側端から、さら
に緩やかな傾斜で外側に延びる緩テーパ状の第2傾斜面
Hbを備えており、保油作用とともに他の補助的毛細管
シール部を構成している。
【0024】このとき、上記保油部H,Hは、上述した
動圧発生用溝26,27が設けられている動圧軸受部D
における潤滑油Lの容量の5倍以上の貯溜容量を有する
ように構成されており、前述した回転中における動圧発
生用溝26,27のアンバランス形状に基づく潤滑油L
の移動分が、この保油部H,H内に受け入れられるよう
になっている。潤滑油Lが外側に移動したときの当該潤
滑油Lの外側の液面位置、及び内側の液面位置のそれぞ
れが、図2中の2点鎖線L1,L1及びL2,L2で示
されている。
【0025】一方、図1に示されているように、前記固
定軸12の先端側(図示上端側)の途中部分には、2つ
のスラスト動圧軸受部16a,16bを構成するリング
状のスラスト板16が固着されている。このスラスト板
16により構成される2つのスラスト動圧軸受部16
a,16bは、図示上側に配置されたラジアル動圧軸受
部23の図示上側に隣接するように配置されている。
【0026】すなわち、上記スラスト板16の図示下面
側は、軸受部材22の図示上側端面に対面するように配
置されているとともに、スラスト板16の図示上端面
は、前記ハブ21の中央部分にネジ止めされたスラスト
押え板28の図示下端面に対面するように配置されてお
り、当該スラスト動圧軸受部16a,16bを構成する
スラスト板16の軸方向両端面には、図示を省略したヘ
リンボーン形状のスラスト動圧発生用溝がそれぞれ環状
に形成されている。
【0027】また、上記スラスト板16と軸受部材22
との対向面どうしの間、及びスラスト板16とスラスト
押え板28と対向面どうし間における各隙間部分、すな
わち2箇所のスラスト動圧軸受部16a,16b内に
は、互いに分離した状態で潤滑油がそれぞれ充填されて
いる。一方、上記2箇所のスラスト動圧軸受部16a,
16bにおける間部分には、空気層16cが介在されて
おり、当該空気層16cが、前記スラスト板16内に半
径方向に貫通形成された空気穴通路16dにより大気開
放されている。
【0028】そして、上記ハブ21の回転時に、上記ス
ラスト動圧発生用溝(図示省略)のポンピング作用によ
って潤滑油が昇圧されて動圧が生じ、この潤滑油に生じ
させられた動圧によってハブ21がスラスト方向に軸支
持されるように構成されている。
【0029】また、上記2箇所の各スラスト動圧軸受部
16a,16bにそれぞれ設けられた動圧発生用溝の各
々は、ヘリンボーン形状の頂部を中心として軸方向にア
ンバランスな形状にて形成されている。より具体的に
は、上記各スラスト動圧軸受部16a,16bにおける
動圧発生用溝は、ヘリンボーン形状の頂部を中心として
装置の半径方向内側に、より大きな加圧力を発生させる
長い溝を有しているとともに、ヘリンボーン形状の頂部
を中心として装置の半径方向外側に、より小さい加圧力
を発生させる短い溝を有している。
【0030】すなわち、上記動圧発生用溝の各々は、半
径方向に加圧力の不均衡を生じさせ、その加圧力の不均
衡を解消するまで潤滑油を半径方向外側に移動させるよ
うにアンバランスな形状に構成されている。これは、以
下述べるようにスラスト板16と軸受部材22側又はス
ラスト押え板28側との間の傾きを補正するためであ
る。
【0031】回転停止時に、スラスト板16と軸受部材
22側又はスラスト押え板28側との間に傾きが生じた
場合には、スラスト板16の外周側部分が、動圧発生用
溝の外周側に接触することとなる。しかしながら、この
ような傾きがあったとしても、回転開始時に、上述した
動圧発生用溝のアンバランスな形状に基づいて潤滑油が
半径方向外側に移動させられるから、上述したスラスト
板16と軸受部材22側又はスラスト押え板28側との
接触部分に潤滑油の油膜が形成されることとなり、その
油膜の加圧力によって、両部材どうしの接触が防止され
るとともに傾きが補正され、回転中は常に正常な対面状
態が維持されるようになっている。
【0032】また、上述した動圧発生用溝が設けられて
いるスラスト動圧軸受部16a,16bには、当該スラ
スト動圧軸受部16a,16bの半径方向両端部に対し
て、それぞれ半径方向に連続するようにして、毛細管シ
ール部S3,S4が設けられている。これらの各毛細管
シール部S3,S4は、狭小隙間による毛細管力によっ
て潤滑油を保持する機能を有するものであって、上記ス
ラスト動圧軸受部16a,16bにおける隙間を、スラ
スト板16側の傾斜面によって外周側及び内周側にそれ
ぞれテーパ状に徐々に拡大した構成からなっている。
【0033】さらに、上記半径方向外方側の毛細管シー
ル部S3の軸方向外側には、当該毛細管シール部S3の
隙間をさらに拡大した保油部が繋げられている。この保
油部は、上記外側の毛細管シール部S3の半径方向外端
における隙間を階段状に急拡大した急テーパ状の第1傾
斜面を備えているとともに、この第1傾斜面の外側端か
ら、さらに緩やかな傾斜で外側に延びる緩テーパ状の第
2傾斜面を備えており、保油作用とともに他の補助的毛
細管シール部を構成している。
【0034】このとき、上記保油部は、上述した動圧発
生用溝が設けられている動圧軸受部における潤滑油の容
量の5倍以上の貯溜容量を有するように構成されてお
り、前述した回転中における動圧発生用溝のアンバラン
ス形状に基づく潤滑油の移動分が、この保油部内に受け
入れられるようになっている。
【0035】また、上記スラスト押え板28及び軸受部
材22には、装置外方側(図示上側及び下側)から吸収
布を介して薄板状のストッパー板29が設けられてお
り、これら吸収布及びストッパー板29によって、最悪
の場合でも、潤滑油の外部飛散が防止されるようになっ
ている。
【0036】このように本実施形態装置によれば、固定
軸12及びスラスト板16に対して、軸受部材22,2
8が傾いた状態で回転の起動が行われたとしても、アン
バランス形状を有するラジアル動圧発生用溝26,27
及びスラスト動圧発生用溝の外側方向への加圧作用に基
づいて、上記固定軸12及びスラスト板16と軸受部材
22,28との傾きを補正するように潤滑油の移動が行
われることから、固定軸12と軸受部材22との間、及
びスラスト板16と軸受部材22,28との間に油膜が
常時良好に形成され、いわゆる振れ回りを生じていない
状態で回転の起動及び停止が行われる。すなわち、軸部
材12及びスラスト板16と軸受部材22,28とは安
定的に支持され、両部材12,22どうしの金属接触が
極力防止されるようになっている。
【0037】このとき、本実施形態のように、潤滑油L
の保持量を十分確保する構成にしておけば、上述した油
膜の形成作用が一層確実に行われることに加えて、潤滑
油L内への摩耗粉の混入による悪影響や、潤滑油の熱劣
化等が良好に防止されることとなる。
【0038】以上、本発明者によってなされた発明の実
施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。例え
ば、上述した実施形態は、いわゆる軸固定型のモータに
対して本発明を適用したものであるが、軸回転型のモー
タに対しても本発明は同様に適用することができる。さ
らにまた本発明は、上述したHDDモータ以外に用いら
れる動圧軸受装置に対しても同様に適用することができ
る。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、潤滑油の油
量を十分に確保しながら、アンバランス形状を有する動
圧発生用溝の不均衡な加圧作用に基づいて、軸部材側と
軸受部材側との傾きを補正するように潤滑油の移動を行
わせて、軸部材側と軸受部材側との間に油膜を常時良好
に形成し、軸部材側と軸受部材側とが傾いた状態で回転
の起動及び停止が行われたとしても、いわゆる振れ回り
を生じていない状態で回転の起動及び停止を行わせるこ
とによって、軸部材と軸受部材側との金属接触を極力
防止するように構成したものであるから、簡易で低コス
トな構造で、軸部材と軸受部材とを極めて円滑に支
承させることができ、動圧軸受装置の信頼性及び寿命の
向上を図ることができる。
【0040】この場合、特に請求項4又は請求項5のよ
うに構成することによって、潤滑油の保持量を十分確保
することとすれば、上述した油膜の形成作用を一層確実
に行わせることができることに加えて、潤滑油内への摩
耗粉の混入による悪影響や、潤滑油の熱劣化等を良好に
防止することができ、動圧軸受装置の信頼性をさらに向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる動圧軸受装置を備
えたHDDスピンドルモータの一例を表した横断面説明
図である。
【図2】図1における動圧軸受装置を原理的に表した部
分横断面説明図である。
【符号の説明】
12 固定軸 22 軸受部材 21 ハブ 23,24 ラジアル動圧軸受部 26,27 ラジアル動圧発生用溝 L 潤滑油 D 動圧軸受部 S1,S2 毛細管シール部 H 保油部 16a,16b スラスト動圧軸受部 16 スラスト板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 和司 長野県諏訪郡下諏訪町5329番地 株式会社 三協精機製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸部材と、この軸部材に対して所定の隙
    間を介在して装着された軸受部材とを有し、 上記軸部材と軸受部材との間の隙間に潤滑油が充填され
    た動圧軸受部が、前記軸部材の軸方向に離間して2箇所
    設けられているとともに、 上記2箇所の動圧軸受部における潤滑油どうしが、空気
    層を介在して互いに分離した状態に配置され、 上記各動圧軸受部に設けられた動圧発生用溝により潤滑
    油が加圧されることによって、前記軸部材と軸受部材と
    が相対回転可能に支持される動圧軸受装置において、 上記2箇所の動圧軸受部にそれぞれ設けられた動圧発生
    用溝は、回転停止時における前記軸部材と軸受部材との
    傾きを補正するように潤滑油を所定の方向に移動させる
    アンバランス形状に形成されているとともに、 上記2箇所の各動圧軸受部における両端部にそれぞれ連
    続するようにして、毛細管力により潤滑油を保持する毛
    細管シール部が設けられ、 これらの各毛細管シール部のうち、潤滑油の移動方向下
    流側の毛細管シール部における潤滑油の許容量が、前記
    潤滑油の移動量より大きく設定されていることを特徴と
    する動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の各動圧軸受部が、ラジア
    ル動圧軸受部から構成され、かつ、 軸部材と軸受部材との傾きを補正する潤滑油の移動方向
    が、装置の軸方向外側に設定されていることを特徴とす
    る動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の各動圧軸受部が、スラス
    ト動圧軸受部から構成され、かつ、 軸部材と軸受部材との傾きを補正する潤滑油の移動方向
    が、装置の半径方向外側に設定されていることを特徴と
    する動圧軸受装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の潤滑油の移動方向下流側
    の毛細管シール部には、動圧軸受部における潤滑油の容
    量の5倍以上の貯溜容量を有する保油部が設けられてい
    ることを特徴とする動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の保油部は、動圧発生用溝
    のアンバランス形状に基づく潤滑油に対する加圧力の不
    均衡を解消するまで移動した潤滑油を受け入れるように
    構成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
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