JP2003194060A - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

流体動圧軸受装置

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JP2003194060A
JP2003194060A JP2001401705A JP2001401705A JP2003194060A JP 2003194060 A JP2003194060 A JP 2003194060A JP 2001401705 A JP2001401705 A JP 2001401705A JP 2001401705 A JP2001401705 A JP 2001401705A JP 2003194060 A JP2003194060 A JP 2003194060A
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fluid
dynamic pressure
lubricating fluid
bearing device
bearing
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JP2001401705A
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English (en)
Inventor
Masato Gomyo
五明  正人
Takayuki Narita
隆行 成田
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑流体の接触角を小さくすることにより毛
細管シール力を高め、潤滑流体の漏出を確実に防止す
る。 【解決手段】 固定部材に対し回転部材を相対回転可能
に支持するための動圧軸受部を含む微小隙間内に潤滑流
体4を充填するとともに、その微小隙間内における潤滑
流体充填部分の一端側に、前記潤滑流体4の漏出を防止
する流体封止部RSを形成してなる流体動圧軸受装置に
おいて、流体封止部RSは開口方向に向かって固定部材
と回転部材との隙間が徐々に広くなるように形成され、
固定部材と回転部材の少なくともいずれか一方の表面に
炭素保護膜6を被覆する。さらに、潤滑流体4は炭化水
素系合成油からなり、流体封止部RSに潤滑流体4の接
触界面4aが位置している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相対回転可能に支
持された固定部材と回転部材との間の微小隙間内に潤滑
流体が充填された流体動圧軸受装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】
【0003】近年、磁気ディスク、光ディスク、ポリゴ
ンミラーなどの各種回転体を高速で回転支持するための
流体動圧軸受装置に関する提案が各種行われている。流
体動圧軸受装置は、例えば、図6に示されているような
ハードディスク駆動装置(HDD)に搭載されてディス
クを回転駆動させるスピンドルモータに適用されてい
る。
【0004】図6に示したスピンドルモータは、固定部
材としての軸受スリーブ13に対して、回転体を構成す
るシャフト21が相対回転可能に装着されている。上記
シャフト21の外周に設けられた動圧面と上記軸受スリ
ーブ13の内周に設けられた動圧面とが半径方向に近接
対向して形成された微小隙間内に潤滑流体4が注入され
ることによって、ラジアル動圧軸受部RBが形成されて
いる。また、上記シャフト21の一端に嵌合固定された
スラストプレート23側に設けられた動圧面と、この動
圧面と軸方向に対向する上記軸受スリーブ13側の動圧
面および軸受スリーブ13の開口部に取り付けられたカ
ウンタープレート16側の動圧面とが、微小隙間を介し
て軸方向に近接対向するように配置されており、その微
小隙間内に潤滑流体4が注入されることによってスラス
ト動圧軸受部SBa、SAbが構成されている。
【0005】そして、上記ラジアル動圧軸受部RB及び
スラスト動圧軸受部SBa、SAbにおいて、対向する
両動圧面のうち少なくとも一方側に設けられた動圧発生
用溝等の流体加圧手段(図示省略)のポンピング作用に
よって潤滑流体が加圧され、それにより生じさせられた
動圧力によって固定側部材に対して回転体が、ラジアル
方向及びスラスト方向にそれぞれ浮上した状態で回転支
持が行われるようになっている。
【0006】かかるスピンドルモータにおいて、上記ラ
ジアル動圧軸受部RBを含んで軸方向に延在する微小隙
間の開口部(図示上端側)には、潤滑流体4の外方漏れ
を防止するための流体封止部Sが設けられている。この
流体封止部Sは、シャフト21と軸受スリーブ13との
間の微小隙間を外方側に向かって連続的に拡大させるこ
とにより形成したものであり、上記軸受スリーブ13側
の上端側内周面を傾斜面としている。そして、この流体
封止部S内に存在する潤滑流体4が毛細管作用によって
内方側に吸引されるように保持されている。
【0007】一般に、流体封止部における吸引力(毛細
管シール力)は下記関係式で表される。すなわち、毛細
管シール力をP、流体の表面張力をγ、流体封止部を構
成する部材の表面に対する流体の接触角をθ、流体封止
部の隙間をxとしたとき、 P=2・γ・COSθ/x となる。
【0008】上記関係式から、毛細管シール力Pは流体
の表面張力γに比例するとともに、流体の接触角θが小
さくなるほど毛細管シール力Pが大きくなることがわか
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、流体封
止部Sを構成する部材の表面に対する潤滑流体4の接触
角θは、潤滑流体としてエステル系またはPAO系オイ
ルを使用した場合、15度から25度程度であり、接触
角θを15度以下に維持することが困難であった。した
がって、毛細管シール力Pに限度が生じ、大きな毛細管
シール力Pを得られないといった問題があった。
【0010】本発明は、以上のような実状に鑑み、流体
封止部における潤滑流体の接触角を小さくすることによ
り毛細管シール力を高め、その結果、潤滑流体の漏出を
確実に防止することのできる流体動圧軸受装置を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1にかかる流体動圧軸受装置では、固定部材
と回転部材との間の動圧軸受部を含む微小隙間の少なく
とも一端側に設けられた流体封止部が、前記微小隙間の
開口方向に向かって前記固定部材と前記回転部材との隙
間を徐々に拡大することにより形成されているととも
に、当該流体封止部を構成する前記固定部材と前記回転
部材の少なくともいずれか一方の表面に炭素保護膜が被
覆されたものであって、前記潤滑流体が、炭化水素系合
成油を含み、かつ前記流体封止部内に前記潤滑流体の接
触界面が位置していることを特徴とする。
【0012】このような請求項1にかかる流体動圧軸受
装置によれば、流体封止部を構成する部材の表面に炭素
保護膜を被覆するとともに、潤滑流体を炭化水素系合成
油とし、前記流体封止部に前記潤滑流体の接触界面が位
置するように構成したため、流体封止部における潤滑流
体の接触角θを15度未満にすることができる。したが
って、毛細管シール力が高まり、潤滑流体の漏出を確実
に防止することのできる。それ故、回転部材が高速回転
しても潤滑流体の漏出が無く、当該軸受装置に対して衝
撃や振動等の外力が加わっても漏出を防止できるため、
当該軸受装置の信頼性が向上する。
【0013】また、請求項2にかかる流体動圧軸受装置
では、請求項1に加えて、前記流体封止部の反動圧軸受
部側に陵部が形成され、当該陵部に連通する反動圧軸受
部側の表面における前記潤滑流体との接触角が、前記流
体封止部の表面における前記潤滑流体との接触角よりも
大きくなるように設定されていることを特徴としてい
る。
【0014】このような構成を有する請求項2にかかる
流体動圧軸受装置によれば、流体封止部の反動圧軸受部
側に形成された陵部によって、流体封止部から反動圧軸
受部側に潤滑流体が這い上がって行こうとする這い上が
り現象が抑止され、さらに、当該陵部に連通する反動圧
軸受部側の表面における潤滑流体との接触角を、前記流
体封止部の表面における前記潤滑流体との接触角よりも
大きく設定したことにより、潤滑流体の這い上がり現象
を防止できる。
【0015】また、請求項3にかかる流体動圧軸受装置
では、請求項2に加えて、前記陵部に連通する反動圧軸
受部側の表面に撥油剤が塗布されていることを特徴とし
ている。
【0016】このような構成を有する請求項3にかかる
流体動圧軸受装置によれば、流体封止部から潤滑流体が
反動圧軸受部側に這い上がる現象を確実に防止すること
ができる。
【0017】また、請求項4にかかる流体動圧軸受装置
では、請求項1乃至3のいずれかに加えて、前記動圧軸
受部と前記流体封止部とが互いに連通するように設けら
れ、かつ、前記動圧軸受部から前記流体封止部にかけて
前記潤滑流体が連続的に充填されていることを特徴とし
ている。
【0018】このような構成を有する請求項4にかかる
流体動圧軸受装置によれば、動圧軸受部に連通する流体
封止部において潤滑流体の漏出を防止することができ
る。
【0019】また、請求項5にかかる流体動圧軸受装置
では、請求項1乃至4のいずれかに加えて、前記動圧軸
受部を構成する固定部材または回転部材の少なくともい
ずれか一方の表面にも前記炭素保護膜が被覆されている
ことを特徴としている。
【0020】このような構成を有する請求項5にかかる
流体動圧軸受装置によれば、回転部材の起動・停止時等
に固定部材と回転部材とが相互に接触しても、少なくと
もいずれか一方の表面に前記炭素保護膜が被覆されてい
るため、両部材の摩耗を抑止することができ、その結
果、当該軸受装置の寿命を長期に維持することが可能と
なる。
【0021】また、請求項1乃至5のいずれかに記載の
流体動圧軸受装置において、前記炭素保護膜は、請求項
6に記載のとおり、ダイヤモンドライクカーボンまたは
アモルファスカーボンであることが好適である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図6を参照しなが
ら本発明にかかる流体動圧軸受装置の実施形態について
説明する。
【0023】(実施形態1)図1は、本発明をハードデ
ィスク駆動用のスピンドルモータに適用した実施形態の
断面図である。図1に示す軸回転型のスピンドルモータ
は、固定部材としてのステータ組10と、そのステータ
組10に対して回転可能に取り付けられた回転部材とし
てのロータ組20とから概略構成されている。このうち
ステータ組10は、図示を省略したドライブ装置本体の
シャーシ側にネジ止め固定されるフレーム11を有して
いる。このフレーム11の略中央部分に形成された筒状
のスリーブ保持部12の内側には、中空円筒状に形成さ
れた軸受スリーブ13が圧入や焼き嵌め等の固定手段に
よってフレーム11と一体的に接合されている。この軸
受スリーブ13は、その加工を容易化するためにリン青
銅などの銅系材料から成り、両端に開口部を有する中心
孔が形成されている。
【0024】また、スリーブ保持部12の外周面には、
放射状に突出した突極に駆動コイル15を巻装したステ
ータコア14が嵌着されている。
【0025】軸受スリーブ13の中心孔内には、上記ロ
ータ組20の一部を構成する軸部材としての回転軸21
が回転自在に挿入されている。本実施形態1における回
転軸21は、ステンレス鋼から形成されている。軸受ス
リーブ13の内周面に形成された動圧面は、上記回転軸
21の外周面に形成された動圧面に対して半径方向に微
小隙間を介して対向するように配置されており、その微
小隙間部分にラジアル動圧軸受部RBが構成されてい
る。より詳細には、ラジアル動圧軸受部RBにおける軸
受スリーブ13側の動圧面と回転軸21側の動圧面とが
数μmのラジアルギャップを介して対向配置され、その
ラジアルギャップからなる軸受空間内には、例えば、エ
ステル系、あるいはポリαオレフィン系の炭化水素系合
成油からなる潤滑流体3が注入されている。
【0026】さらに、上記軸受スリーブ13および回転
軸21の両動圧面の少なくとも一方側には、図示を省略
した例えばヘリングボーン形状のラジアル動圧発生用溝
が、軸方向に2ブロックに分かれて凹設されており、回
転軸21の回転時に、当該ラジアル動圧発生用溝のポン
ピング作用により潤滑流体3が加圧されて動圧を生じ、
その動圧によって上記回転軸21、および後述するハブ
22が回転自在に支持される構成になされている。
【0027】また、上記各ラジアル動圧軸受部RBを構
成している軸受空間の図示上端部分には、流体封止部R
Sが形成されている。この流体封止部RSは、上記軸受
スリーブ13の開口部に形成されたテーパ面5によって
隙間を開口方向(軸受外端側)に向かって徐々に拡大し
たものであって、最も間隔の狭い箇所で数μm、最も間
隔の大きい箇所で数百μm以上に設定されている。そし
て、この流体封止部RSには、モータの回転・停止のい
ずれの場合でも潤滑流体4の接触界面4aが位置するよ
うに構成されている。なお、本実施形態における微小隙
間は、軸受スリーブ13のテーパ面5の上端から後述す
るカウンタープレート16の上端面までの領域における
回転部材(回転軸21)と固定部材(軸受スリーブ1
3)の間隔が狭い部分を示し、上記流体封止部RS、ラ
ジアル動圧軸受部RBおよび後述するスラスト動圧軸受
部SBを含む。この流体封止部RS周辺の構造について
は後に詳細に説明する。
【0028】さらに、回転軸21とともにロータ組20
を構成しているハブ22は、図示を省略した磁気ディス
ク等の記録媒体を搭載するように略カップ状を呈してお
り、当該ハブ22の中心部に設けられた接合穴22aに
回転軸21の上端部が圧入や焼き嵌めあるいは接着等の
固定手段によって固定されている。ハブ22の周壁の内
周面には、周方向に一定間隔でNS交互に着磁が施され
た円筒状の駆動マグネット24がバックヨーク25を介
して装着固定されている。この駆動マグネット24は、
前述したステータコア14の外周面に対して環状に対向
するように近接配置されている。なお、ハブ22を鉄系
金属により形成した場合、バックヨーク25は不要とな
る。
【0029】一方、前記回転軸21の図示下端側の先端
部分には、環状のスラストプレート23が固着されてい
る。このスラストプレート23は、上述した軸受スリー
ブ13の図示下端側における中心部分に凹設された収納
部13aに配置されており、その軸受スリーブ13の収
納部13a内において、スラストプレート23の図示上
側の端面に設けられた動圧面と軸受スリーブ13の図示
下側の動圧面とが軸方向に近接対向するように配置され
ている。そして、スラストプレート23及び軸受スリー
ブ13の両動圧面どうしの軸受隙間空間に第1のスラス
ト軸受部SBaが形成されている。
【0030】さらに、スラストプレート23の図示下側
の動圧面に近接するようにして、円板状部材からなるカ
ウンタープレート16が、上記軸受スリーブ23の下端
側開口部を閉塞するように固着されている。そして、上
述したスラストプレート23の動圧面と、カウンタープ
レート16の図示上面側の動圧面とが近接対向する軸受
隙間空間には、第2のスラスト動圧軸受部SBbが形成
されている。
【0031】より詳細には、これら軸方向に隣接して配
置された第1及び第2のスラスト動圧軸受部SBa,S
Bbにおけるスラストプレート23側の軸方向の両動圧
面と、それに対向する軸受スリーブ13及びカウンター
プレート16側の両動圧面とが、それぞれ数μmから十
数μmの微小間隔を介して軸方向に対向配置されている
とともに、その微小間隔からなる軸受空間内に潤滑流体
4が、前記スラストプレート23の外周側通路を介して
軸方向に連続するように注入されている。
【0032】本実施形態1において、上記スラストプレ
ート23の上下面にあたる動圧面には、例えばヘリング
ボーン形状のスラスト動圧発生用溝(図示省略)が環状
に凹設されており、回転時に、当該スラスト動圧発生用
溝のポンピング作用により潤滑流体4が加圧されて動圧
を生じ、その潤滑流体4の動圧によって、上述した回転
軸21およびハブ22がスラスト方向に支持される構成
になされている。なお、スラスト動圧発生用溝は、第1
のスラスト軸受部SBaにおける軸受スリーブ13側の
動圧面、および第2のスラスト軸受部SBbにおけるカ
ウンタープレート16側の動圧面に形成してもよい。
【0033】さらに、図1に示すスピンドルモータにお
いて、上述の駆動マグネット24の下端面と対向するフ
レーム11上には磁性体からなる略環状の磁気吸引板1
7すなわち付勢手段が配設されている。この磁気吸引板
17は、回転部材としてのロータ組20にかかる重力よ
りも大きな磁気吸引力でロータ組20をフレーム11側
に吸引している。したがって、仮に当該モータの使用姿
勢が倒置姿勢となった場合であっても、ロータ組20に
かかる重力に抗して磁気吸引板17がロータ組20をフ
レーム11側に吸引するため、ロータ組20が回転を停
止している際は、常に第2のスラスト軸受部SBb側の
スラストプレート23の下端面とカウンタープレート1
6とが接触している。
【0034】そして、上記駆動コイル15に所定の電流
を印加してステータコア14と駆動マグネット24との
電磁作用によりロータ組20が回転を始動すると、スラ
ストプレート23は常にカウンタープレート16側から
浮上して、回転状態を持続する。やがて回転が停止した
とき、再びスラストプレート23とカウンタープレート
16とが接触するように構成されている。
【0035】ここで、流体封止部RS周辺の構成を詳細
に説明する。図2に示すように、前記軸受スリーブ13
の図示上端側における一定の領域RS1と、前記回転軸
21の表面の領域RS2とが半径方向に対向している部
位には、これら回転軸21と軸受スリーブ13との間の
対向隙間を、上記軸受スリーブ13の図示上端側に設け
られた開口部に向かって徐々に広くなるように形成した
上記流体封止部RSが設けられている。すなわち、この
流体封止部RSは、上記軸受スリーブ13側に図示上方
側に向かって開口するように形成されたテーパ面5(領
域RS1)と、前記回転軸21の外周面であって上記軸
受スリーブ13側のテーパ面5と対向するストレート面
(領域RS2)との双方の面によって構成されている。
【0036】そして、本実施形態においては、上述した
流体封止部RSを構成している軸受スリーブ13側のテ
ーパ面5に、ダイヤモンドライクカーボンやアモルファ
スカーボン等からなる炭素保護膜6が被覆されている。
この炭素保護膜6は、前述したラジアル動圧軸受部RB
を構成している軸受スリーブ13の内周面にも連続的に
被覆されており、スパッタリング等の工法によってサブ
ミクロン乃至数ミクロンの均一な膜厚に成膜されること
により形成されている。
【0037】なお、本実施形態1では、流体封止部RS
を構成する回転軸21の領域RS2に対して上述した炭
素保護膜6が被覆されていないが、この領域RS2にも
炭素保護膜6を被覆するようにしてもよい。
【0038】ラジアル動圧軸受部RBを含む微小隙間内
に充填された潤滑流体4は、上述のとおり、エステル
系、あるいはポリαオレフィン系の炭化水素系合成油か
らなり、当該潤滑流体4の接触界面4aは、回転部材の
停止中回転中を問わず常に流体封止部RSに位置してい
る。
【0039】一般に、金属材の表面に対する炭化水素系
合成油の接触角は15度から25度程度であるが、本発
明のように、流体封止部RSを構成する部材(本実施形
態では軸受スリーブ13)の表面に炭素保護膜6を被覆
すると、接触角が15度未満、具体的には2度から10
度になることを本発明者らは知得した。これは、炭素保
護膜6と炭化水素系合成油との親和性により両者間にな
じみが生じたことに起因する。
【0040】表1は、シリコンウエハーの表面に対する
流体の接触角を炭素保護膜の有無、及び流体の種類を変
更して測定した結果を示している。なお、ここでは炭素
保護膜としてダイヤモンドライクカーボンを使用してい
る。
【0041】
【表1】
【0042】上記表1から判るように、純水もしくは非
炭化水素系合成油からなる流体とシリコンウエハーとの
接触角は、シリコンウエハーに炭素保護膜が皮膜されて
いない方が小さく、炭素保護膜を皮膜すると接触角が大
きくなる。これは、炭素保護膜が撥水性および撥油性を
有していることに因る。逆に、炭化水素系合成油と炭素
保護膜を被覆しないシリコンウエハーとの接触角は、1
5度〜16度程度であるのに対し、炭素保護膜を被覆し
た場合は接触角が4度〜5度と極めて小さな接触角を形
成することができる。
【0043】本発明のように潤滑流体4としての炭化水
素系合成油と流体封止部RSを構成するテーパ面5との
接触角が小さくなると、潤滑流体4の接触界面4aの曲
率半径が小さくなることから、流体封止部RSにおける
毛細管シール力が大きくなる。したがって、潤滑流体4
を微小隙間内に保持しようとする吸引力が高まり、潤滑
流体4の漏出を防止することのできる。その結果、回転
部材が高速回転しても潤滑流体4の漏出が無く、当該軸
受装置に対する衝撃や振動等の外力が加わっても漏出を
防止できるため、当該軸受装置の信頼性が向上する。
【0044】ところで、流体封止部RSの表面と潤滑流
体4との接触角が小さいと、潤滑流体4が反動圧軸受部
側すなわち図2の上方に這い上がろうとする現象(這い
上がり現象、もしくは濡れ拡散現象)が生じる。このよ
うな現象を防止するために、本実施形態では、軸受スリ
ーブ13のテーパ面5の反動圧軸受部側に陵部7を全周
にわたって設けている。この陵部7は、互いに角度の異
なるテーパ面5と軸受スリーブ13の上端面13bとが
交叉して形成された角部である。潤滑流体4が這い上が
り現象によって上方に這い上がってきたとしても、上記
陵部7に到達した時点でその進行をほとんど防止するこ
とができる。
【0045】また、本実施形態1では、上記陵部7に連
通する反動圧軸受部側の表面、すなわち軸受スリーブ1
3の端面13bに撥油剤8を塗布している。これによ
り、テーパ面5における潤滑流体4の接触角θよりも軸
受スリーブ13の端面13bにおける潤滑流体4の接触
角が格段に大きくなるため、たとえ潤滑流体4が上記陵
部7を乗り越えて軸受スリーブ13の端面13b側に這
い上がろうとしても、当該接触角の違いにより潤滑流体
4が這い上がり現象を確実に防止できる。なお、この撥
油剤8として、例えばフッ素系の溶剤が用いられ、これ
には炭化水素系潤滑流体と親和性のある炭素化合物は含
まれていない。
【0046】さらに、本実施形態1において、潤滑流体
4は軸受スリーブ13のテーパ面5に連通するラジアル
軸受部RBの表面にも連続的にほぼ均一の膜厚で炭素保
護膜6が被覆されている。その結果、回転部材の起動・
停止時等に軸受スリーブ13と回転軸21とが相互に接
触しても、軸受スリーブ13側のラジアル軸受部の表面
に炭素保護膜6が被覆されているため、両部材の摩耗を
抑止することができ、当該軸受装置の寿命を長期化でき
る。
【0047】また、本実施形態1において、回転軸21
の流体封止部RSを構成する領域の外端には、全周にわ
たって小径に穿設された環状溝21aが形成されてお
り、この環状溝21aの各壁面および環状溝21aより
も反動圧軸受部側の外周面には撥油剤8が塗布されてい
る。かかる環状溝21aを設けることにより、回転軸2
1側からの潤滑流体4の這い上がり現象を防止すること
ができる。
【0048】(実施形態2)図3は、本発明にかかる実
施形態2における流体封止部RS周辺の拡大図である。
前述の図2に示した実施形態1では、炭素保護膜6を固
定部材である軸受スリーブ13の内周面、すなわちテー
パ面5および軸受スリーブ13側のラジアル動圧軸受部
RBに被膜した例を示したが、図3に示す実施形態で
は、回転部材である回転軸21の表面に炭素保護膜6を
被膜している。さらに詳細には、回転軸21の表面のう
ち流体封止部RSを構成する領域RS2、および当該領
域RS2と連通する回転軸21側のラジアル動圧軸受部
RBにも炭素保護膜6が被膜されている。
【0049】また、炭素保護膜6が被膜された領域RS
2の上端には、全周にわたって環状溝21aが凹設さ
れ、この環状溝21aの開口縁に陵部7が形成されてい
る。そして、環状溝21a内部の各壁面には撥油剤8が
塗布されている。当該陵部7は図2における軸受スリー
ブ13側の陵部17と同じ機能を果たすため、回転軸2
1側の流体封止部RS2から図示上方向に潤滑流体4が
這い上がる現象が生じたとしても、陵部7の存在により
潤滑流体4がそれ以上図示上方向に漏出することを防止
している。しかも、環状溝21aの内部に撥油剤8を塗
布しているため、回転軸21の領域RS2における潤滑
流体4の接触角θよりも環状溝21a内における潤滑流
体4の接触角が格段に大きくなるため、たとえ潤滑流体
4が陵部7を乗り越えて環状溝21a内に這い上がろう
としても、当該接触角の違いにより潤滑流体4が這い上
がり現象を確実に防止できる。
【0050】なお、本実施形態2において、軸受スリー
ブ13側には炭素保護膜6を被膜していないが、図2に
示した実施形態1と同様に、軸受スリーブ13側にも炭
素保護膜6を被膜してもよい。また、回転軸21の領域
RS2のみに炭素保護膜6を被膜しても、流体封止部R
Sにおける毛細管シール力が大きくなるため、潤滑流体
4を微小隙間内に保持しようとする吸引力が高まり、潤
滑流体4の漏出を防止することのできる。その結果、回
転部材が高速回転しても潤滑流体4の漏出が無く、当該
軸受装置に対する衝撃や振動等の外力が加わっても漏出
を防止できるため、当該軸受装置の信頼性が向上する。
【0051】(実施形態3)次に、本発明にかかる別の
実施形態3について図4を参照しながら説明する。図4
は、図1に示した軸回転型スピンドルモータと異なる構
造の軸回転型スピンドルモータの部分断面図である。な
お、図1に示したスピンドルモータと共通する部材には
同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0052】図4において、軸受スリーブ50の一端側
には本体部51よりも外径寸法が小径の環状突出部52
が一体に形成されている。この環状突出部52の内周面
はラジアル動圧軸受部RBを構成しているが、回転軸2
1を挿入する軸穴の開口部には流体封止部RSが形成さ
れていない。環状突出部52の上端面52aはハブ22
の底面22bと微小隙間を介して近接対向し、環状突出
部52の外周面52bは軸受スリーブ50の本体部51
側(図示下端側)に向かって外径寸法が徐々に小径とな
るテーパ面52bとなっている。したがって、ラジアル
動圧軸受部RBから当該テーパ面52bおよび後述する
ハブ22の環状下垂部22cの内周面との対向部分まで
各々連通した微小隙間が形成されている。
【0053】また、上記環状突起部52のテーパ面52
bの本体部50側の端部、すなわち微小隙間における反
動圧軸受部側には陵部52cが全周にわたって形成され
ている。
【0054】一方、回転軸21の一端にはハブ22が圧
入、溶接、焼き嵌め等の固着手段により固着され、か
つ、上記軸受スリーブ50の環状突出部52の半径方向
外側には所定の微小隙間をおいてこの環状突出部52を
囲繞するように環状下垂部22cが形成されている。そ
して、この環状下垂部22cの内周面の環状突出部52
のテーパ面52bとの隙間は開口方向(図示下端側)に
向かって徐々に広くなるように形成されて流体封止部R
Sを構成している。また、ラジアル軸受部RBおよびス
ラスト軸受部SBに充填された潤滑流体4は、当該流体
封止部RSに至るまで連続的に充填され、接触界面は上
記流体封止部RSに位置している。
【0055】本実施形態3において、軸受スリーブ50
に形成された環状突出部52のテーパ面52bおよびハ
ブ22と対向する上端面52aには、ダイヤモンドライ
クカーボンまたはアモルファスカーボンからなる炭素保
護膜(図示省略)がほぼ均一な厚さで被覆されている。
また、上記テーパ面52bと対向する環状下垂部22c
の内周面、および環状突出部52の上端面52aと対向
するハブ22の底面22bにも同様に炭素保護膜が被覆
されている。
【0056】さらに、上記軸受スリーブ50の陵部52
cから本体部51側の端面51aにかけて撥油剤8が塗
布されているとともに、上記ハブ22の環状下垂部22
cの下端面22dにも撥油剤が塗布されている。
【0057】本実施形態3のスピンドルモータは、ラジ
アル動圧軸受部RBと流体封止部RSとを半径方向に並
設しているため、ラジアル動圧軸受部RBと流体封止部
RSとを軸方向に並設した実施形態1のスピンドルモー
タに比べて、モータの小型化を図れるという利点があ
る。
【0058】かかる実施形態3によれば、流体封止部R
Sを構成する軸受スリーブ50の環状突出部52および
ハブ22の環状下垂部22cの表面に炭素保護膜を被覆
するとともに、潤滑流体4を炭化水素系合成油とし、流
体封止部RSに潤滑流体4の接触界面が位置するように
構成したため、流体封止部RSにおける潤滑流体4の接
触角θを15度未満にすることができる。したがって、
毛細管シール力が高まり、潤滑流体4の漏出を確実に防
止することのできる。それ故、回転部材が高速回転して
も潤滑流体4の漏出が無く、当該スピンドルモータに対
して衝撃や振動等の外力が加わっても漏出を防止でき
る。
【0059】また、軸受スリーブ50の陵部52cから
本体部51側の端面51aにかけて撥油剤8が塗布され
ているとともに、ハブ22の環状下垂部22cの端面2
2dにも撥油剤8が塗布されているため、流体封止部R
Sから潤滑流体4が反動圧軸受部側に這い上がる現象を
確実に防止することができる。
【0060】(実施形態4)次に、本発明にかかる別の
実施形態4について図5を参照しながら説明する。図5
は本発明を適用した軸固定型のハードディスク駆動用ス
ピンドルモータの断面図である。なお、図1に示した軸
回転型のスピンドルモータと共通する部材には同じ符号
を付し、重複する説明は省略する。
【0061】図5に示したスピンドルモータは、固定側
部材としてのステータ組30と、そのステータ組30に
対して相対回転可能に支持された回転側部材としてのロ
ータ組40とから構成されている。このうちステータ組
30は、図示を省略したドライブ装置本体のシャーシ側
にネジ止め固定されるフレーム31を有している。この
フレーム31の略中央部分には軸部材としての固定軸3
5が立設されており、図示上端部分がタップ穴を利用し
てシャーシ側にネジ止めされるようになっている。かか
るモータ構造は両軸固定型モータと呼ばれている。
【0062】固定軸35の外周側には、ロータ組40を
構成する軸受スリーブ41を介して、当該軸受スリーブ
41と一体的に設けられたカップ状のハブ22が回転可
能に接合されている。ハブ22の周壁内面にはバックヨ
ーク25を介して環状の駆動マグネット24が装着され
ている。
【0063】また、軸受スリーブ41の中心孔の内周面
には、図示しない動圧発生用溝を設けることで動圧面が
形成され、固定軸35の外周面に形成された動圧面とに
より一組のラジアル動圧軸受部RB,RBが構成されて
いる。これら一組のラジアル動圧軸受部RB,RBによ
ってハブ22が固定軸35に対してラジアル方向に回転
自在となるように支承されている。
【0064】軸受スリーブ41の一方(図示下側)の開
口端には、開口方向に向かって固定軸35との隙間が徐
々に広くなる流体封止部RSが形成されていて、ラジア
ル動圧軸受部RBおよびスラスト軸受部SB内に充填さ
れた潤滑流体4が、外方に漏出することを、流体封止部
RSにより防止している。なお、流体封止部RSは、軸
受スリーブ41の一端側のテーパ面5と当該テーパ面5
と対向する固定軸35の表面との双方の面によって構成
されている。
【0065】回転軸35の先端側部分(図示上端部分)
には、スラストプレート36が固定されている。このス
ラストプレート36は軸受スリーブ41の図示上側中心
部分に凹設された収納部に配置されており、軸受スリー
ブの41動圧面に対してスラストプレート36の図示下
端面に設けられた動圧面が軸方向に近接対向することに
よって、第1のスラスト軸受部SBaが構成されてい
る。
【0066】また、スラストプレート36の図示上面側
の動圧面に近接するようにして、スラストプレート36
より大径のカウンタープレート44が、上記軸受スリー
ブ41の開口部に取り付けられている。そして、このカ
ウンタープレート44の図示下面側に設けられた動圧面
と、スラストプレート36の図示上面側に設けられた動
圧面とにより第2のスラスト軸受部SBbが構成されて
いる。これらの第1及び第2のスラスト軸受部SBa,
SBbおよび上記ラジアル動圧軸受部RB,RBには炭
化水素系合成油からなる潤滑流体4が充填されている。
【0067】このような軸固定型のHDDスピンドルモ
ータにおいて、固定軸35に固着されたスラストプレー
ト36に対して、カウンタープレート44および軸受ス
リーブ41が回転する形態となっているが、実施形態1
で説明した軸回転型のスピンドルモータは、固定側部材
に固定された軸受スリーブ13およびカウンタープレー
ト16に対して、回転軸21に固着されたスラストプレ
ート36が回転する。したがって、固定側部材と回転側
部材の対応関係が逆転しているが、本発明にかかる基本
的構造は両者とも同様である。
【0068】すなわち、流体封止部RSを構成する軸受
スリーブ41のテーパ面5にはダイヤモンドライクカー
ボンやアモルファスカーボン等からなる炭素保護膜(図
示省略)が被覆されていて、潤滑流体4は回転部材の回
転中、停止中を問わず常に接触界面が流体封止部RSに
位置するように構成されている。
【0069】かかる構成により、流体封止部RSにおけ
る潤滑流体4のテーパ面5に対する接触角θが15°未
満になるため、接触界面の曲率半径が小さくなり、毛細
管シール力が高まる。したがって、潤滑流体4の漏出を
確実に防止することがでる。
【0070】また、流体封止部RSの外方端部と軸受ス
リーブの下端面とが交叉する箇所には、全周にわたって
陵部7が形成されていて、さらに軸受スリーブ41の下
端面には撥油剤(図示省略)が塗布されている。したが
って、潤滑流体が流体封止部RSから這い上がり現象に
より外方に漏出しようとしても、陵部および撥油剤の存
在により当該這い上がり現象を確実に防止することがで
きる。
【0071】なお、実施形態4では、炭素保護膜を軸受
スリーブのテーパ面に被覆した例を示したが、固定軸側
の流体封止部RSに被覆してもよい。さらに、ラジアル
動圧軸受部RBを形成する面にも炭素保護膜を連続的に
被覆してもよいし、軸受スリーブ41側および固定軸3
5側双方の流体封止部RSに炭素保護膜を被覆してもよ
い。
【0072】以上、本発明者によってなされた発明の実
施形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であることは言うまでもない。
【0073】例えば、上記実施形態1乃至4において、
潤滑流体4はラジアル動圧軸受部RBからスラスト動圧
軸受部SBに連続的に充填されたものであるが、ラジア
ル動圧軸受部RSとスラスト動圧軸受部SBにそれぞれ
独立させて潤滑流体4を充填してもよい。また、上記実
施形態1乃至4において、ラジアル動圧軸受部RBは軸
方向に離間した2箇所の軸受部に潤滑流体4が連続的に
充填されたものであるが、各々の軸受部に独立させて潤
滑流体4を充填してもよい。
【0074】さらにまた、上述した実施形態は、ハード
ディスク駆動用の流体動圧軸受装置に対して本発明を適
用したものであるが、本発明は、それに限定されるもの
ではなく、光ディスク、DVD、ポリゴンミラーなどの
ような各種回転体を駆動させるモータや、その他多種多
様なモータに対しても同様に適用することができるもの
である。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
にかかる流体動圧軸受装置によれば、流体封止部を構成
する部材の表面に炭素保護膜を被覆するとともに、その
潤滑流体を炭化水素系合成油とし、かつ前記流体封止部
に前記潤滑流体の接触界面が位置する構成としたことに
よって、上記流体封止部における潤滑流体の接触角θを
15度未満にしたものであるから、上記流体封止部にお
ける毛細管シール力が高まり、潤滑流体の漏出を確実に
防止することのできる。それ故、回転部材が高速回転し
ても潤滑流体の漏出が無く、当該軸受装置に対して衝撃
や振動等の外力が加わっても漏出を防止できるため、当
該軸受装置の信頼性が向上する。
【0076】また、請求項2にかかる流体動圧軸受装置
によれば、流体封止部の反動圧軸受部側に形成された陵
部によって、流体封止部から反動圧軸受部側に潤滑流体
が這い上がって行こうとする這い上がり現象が抑止さ
れ、さらに、当該陵部に連通する反動圧軸受部側の表面
における潤滑流体との接触角を、前記流体封止部の表面
における前記潤滑流体との接触角よりも大きく設定した
ことにより、潤滑流体の這い上がり現象を防止できる。
【0077】さらにまた、請求項3にかかる流体動圧軸
受装置によれば、陵部に連通する反動圧軸受部側の表面
に撥油剤を塗布したことにより、流体封止部から潤滑流
体が反動圧軸受部側に這い上がる現象を確実に防止する
ことができる。
【0078】一方、請求項4にかかる流体動圧軸受装置
によれば、動圧軸受部に連通する流体封止部において潤
滑流体の漏出を防止することができる
【0079】また、請求項5にかかる流体動圧軸受装置
によれば、回転部材の起動・停止時等に固定部材と回転
部材とが相互に接触しても、少なくともいずれか一方の
表面に前記炭素保護膜が被覆されているため、両部材の
摩耗を抑止することができ、その結果、当該軸受装置の
寿命を長期に維持することが可能となる。
【0080】さらに、請求項6にかかる流体動圧軸受装
置によれば、炭素保護膜をダイヤモンドライクカーボン
もしくはアモルファスカーボンにすることで、これらが
被膜される部材の表面に対する炭化水素系潤滑流体の接
触角をきわめて小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明をハードディスク駆動用の軸回転型スピ
ンドルモータに適用した実施形態1の断面図である。
【図2】上記実施形態1における流体封止部周辺の要部
拡大図である。
【図3】本発明に係る実施形態2における流体封止部周
辺の拡大図である。
【図4】本発明に係る実施形態3の要部拡大図である。
【図5】本発明をハードディスク駆動用の軸固定型スピ
ンドルモータに適用した実施形態4の断面図である。
【図6】従来のスピンドルモータの構造例を示す縦断面
図である。
【符号の説明】
4 潤滑流体 4a 接触界面 6 炭素保護膜 7 陵部 8 撥油剤 10 固定部材 13 軸受スリーブ 20 回転部材 21 回転軸 22 ハブ 35 固定軸 θ 接触角 RS 流体封止部 RB ラジアル動圧軸受部 SB スラスト動圧軸受部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA04 AA07 BA06 CA02 CA04 CA05 PA01 PA02 QA04 SE02 3J016 AA01 AA02 AA03 BB22 BB23 BB28 5D109 BA14 BA17 BA20 BB12 BB18 BC18 5H607 BB01 BB09 BB14 BB17 BB25 CC01 DD03 DD16 GG01 GG02 GG12 GG14 KK00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定部材に対し回転部材を相対回転可能
    に支持するための動圧軸受部を含む上記固定部材と回転
    部材との間の微小隙間内に潤滑流体を充填するととも
    に、その微小隙間内における潤滑流体充填部分の少なく
    とも一端側に、前記潤滑流体の漏出を防止する流体封止
    部を形成してなる流体動圧軸受装置において、 前記流体封止部は、前記微小隙間の開口方向に向かって
    前記固定部材と前記回転部材との隙間が徐々に拡大され
    ることにより形成されているとともに、当該流体封止部
    を構成する前記固定部材と前記回転部材の少なくともい
    ずれか一方の表面に炭素保護膜が被覆されたものであっ
    て、 前記潤滑流体が、炭化水素系合成油を含み、かつ前記流
    体封止部内に前記潤滑流体の接触界面が位置しているこ
    とを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 前記流体封止部の反動圧軸受部側に陵部
    が形成され、当該陵部に連通する反動圧軸受部側の表面
    における前記潤滑流体との接触角が、前記流体封止部の
    表面における前記潤滑流体との接触角よりも大きくなる
    ように設定されていることを特徴とする請求項1記載の
    流体動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 前記陵部に連通する反動圧軸受部側の表
    面に撥油剤が塗布されていることを特徴とする請求項2
    記載の流体動圧軸受装置。
  4. 【請求項4】 前記動圧軸受部と前記流体封止部とが互
    いに連通するように設けられ、かつ、前記動圧軸受部か
    ら前記流体封止部にかけて前記潤滑流体が連続的に充填
    されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    に記載の流体動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 前記動圧軸受部を構成する前記固定部材
    または前記回転部材の少なくともいずれか一方の表面に
    前記炭素保護膜が被覆されていることを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれかに記載の流体動圧軸受装置。
  6. 【請求項6】 前記炭素保護膜は、ダイヤモンドライク
    カーボンまたはアモルファスカーボンであることを特徴
    とする請求項1乃至5のいずれかに記載の流体動圧軸受
    装置。
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