JPH10338780A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH10338780A
JPH10338780A JP9150895A JP15089597A JPH10338780A JP H10338780 A JPH10338780 A JP H10338780A JP 9150895 A JP9150895 A JP 9150895A JP 15089597 A JP15089597 A JP 15089597A JP H10338780 A JPH10338780 A JP H10338780A
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JP
Japan
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weight
olefin
component
polymer
rubbery polymer
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Application number
JP9150895A
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English (en)
Inventor
Tsukasa Sato
藤 司 佐
Meiji Wakayama
山 明 治 若
Kazunori Yano
野 一 憲 矢
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性、機械的特性、耐熱性に優れ、更に、
圧縮永久歪と硬度のバランスが改良された熱可塑性エラ
ストマー組成物を提供することに関する。 【解決手段】 特定の官能基で変性した変性オレフィン
系ゴム質重合体を含む変性オレフィン系ゴム質重合体組
成物、熱可塑性ポリエステルエラストマー、架橋剤及び
エポキシ基を有する不飽和単量体含有オレフィン重合体
からなる熱可塑性エラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性、機械的特
性、耐熱性に優れ、更に、圧縮永久歪と硬度のバランス
が改良された熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマーは成形後の架橋工
程が不要であり、熱可塑性樹脂の成形機で加工とリサイ
クルが可能であることから、工業用部品、自動車部品に
用途が開発されている。熱可塑性エラストマーが工業用
品、自動車部品に使用されるためには、まず熱可塑性で
あり、機械的強度が高いことが必要である。そしてエラ
ストマーであるためには、弾性体の指標である圧縮永久
歪は極力小さいこと、表面硬度が極力低いこと、更に機
械的強度、圧縮永久歪、表面硬度のバランスが良いこと
が必要である。熱可塑性エラストマーの中にあって、熱
可塑性ポリエステルエラストマーは、機械的特性、耐熱
性及び耐油性に優れているが、エラストマーとして使用
するには、圧縮永久歪と硬度のバランスが劣っていると
いう欠点がある。このような欠点を改良する方法とし
て、熱可塑性ポリエステルエラストマーに未変性の架橋
可能なゴムを配合した後、架橋剤を添加して架橋する方
法(特公昭55−35057号公報)、熱可塑性ポリエ
ステルエラストマーに未変性の架橋可能なエチレン共重
合体及びフェノール樹脂を配合する方法(特開昭61−
183333号公報)、熱可塑性ポリエステルエラスト
マーに未変性のゴム成分及び架橋剤を配合する方法(特
開昭62−218444号公報)等がある。しかしなが
ら、これらの方法では、圧縮永久歪と硬度のバランスが
未だ十分ではなく、ゴムの分散粒径が大きいために機械
的強度が低下する。
【0003】また、熱可塑性ポリエステルエラストマー
にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ
ル基から選ばれた少なくとも1種の官能基を含有してい
てもよいゲル分を20%以上含有するゴムを分散混合す
る方法(特開昭63−142056号公報)がある。し
かし、ゲル分が多いために、ゴムの分散粒径が大きく、
圧縮永久歪と硬度のバランスがまだ不十分である。ま
た、熱可塑性エラストマーにゴムを分散し架橋させ、ゴ
ムの分散粒径を小さくするためエポキシ基含有オレフィ
ン系ゴム質重合体を使用することが開示されている。だ
が、この方法はゴム粒径は小さくなるものの、熱可塑性
エラストマーの劣化が大きいために機械的強度が不十分
である。更に、熱可塑性ポリエステルエラストマーとカ
ルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基
から選ばれた少なくとも1種の官能基を含有するゴムを
混練中に動的に架橋する方法(特開平5−125263
号公報)がある。しかし、この官能基を含有するゴムを
使用すると、圧縮永久歪と硬度のバランスは改良される
ものの、熱可塑性ポリエステルエラストマーの劣化が大
きく、更に機械的強度を改良する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消し、成形性、機械的特性、耐熱性に優
れ、更に、圧縮永久歪と硬度のバランスが改良された熱
可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意検討を行なった結果、熱可塑性ポリ
エステルエラストマー、特定の官能基で変性したオレフ
ィン系ゴム質重合体を含む変性オレフィン系ゴム質重合
体組成物、特定量の架橋剤及び特定重合体の特定量から
なる熱可塑性エラストマー組成物が上記目的を達成する
ことができることを見いだして本発明を完成した。すな
わち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下記の
成分(A)、(B)、(C)及び(D)を下記割合で配
合し、溶融混練してなるものである。 成分(A): オレフィン系ゴム質重合体に、水酸基を有するα,β−不飽和 カルボン酸エステル及び芳香族ビニル系単量体をグラフト重合させて得られる変 性オレフィン系ゴム質重合体又は該変性オレフィン系ゴム質重合体とオレフィン 系ゴム質重合体との混合物であって、水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸 エステル単位の含量が0.01〜10重量%及び芳香族ビニル系単量体単位の含 量が0.01〜20重量%である変性オレフィン系ゴム質重合体組成物 100重量部 成分(B): 熱可塑性ポリエステルエラストマー 5〜400重量部 成分(C): 架橋剤 0.01〜20重量部 成分(D): エポキシ基を有するビニルモノマー単位の含量が0.5〜20 重量%であるオレフィン系重合体 0.5〜10重量部
【0006】
【発明の実施の形態】
[I] 熱可塑性エラストマー組成物 (1) 構成成分(必須成分) (A) 成分(A):変性オレフィン系ゴム質重合体組成物 本発明で成分(A)として使用する変性オレフィン系ゴ
ム質重合体組成物とは、オレフィン系ゴム質重合体に水
酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル及び芳
香族ビニル系単量体をグラフト重合させて得られる変性
オレフィン系ゴム質重合体、或いは、該変性オレフィン
系ゴム質重合体と未変性のオレフィン系ゴム質重合体と
の混合物である。
【0007】(a) 変性オレフィン系ゴム質重合体オレフィン系ゴム質重合体 変性オレフィン系ゴム質重合体を得るために使用するオ
レフィン系ゴム質重合体は、エチレン12〜65重量%
とエチレン以外のα−オレフィン88〜35重量%とを
共重合して得られるランダム、ブロック、グラフト等の
ゴム質共重合体、或いは、エチレン、エチレン以外のα
−オレフィン及び非共役ジエンを共重合して得られる三
元ゴム質共重合体で、ムーニー粘度(ML 1+4,1
00℃)が10〜300、好ましくは20〜150の範
囲のものである。使用可能なエチレン以外のα−オレフ
ィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセ
ン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等を挙げ
ることができる。これらの中でもプロピレンを使用する
ことが好ましい。
【0008】また、非共役ジエンとしては、分子内に2
個の非共役な二重結合を有する炭素数5〜20の化合物
で環状の化合物でもよい。二重結合が両分子末端にある
ものとしては、1,4−ペンタジエン、2−メチル−
1,5−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,5−ヘ
キサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエ
ン、1,19−イコサジエン等を挙げることができる。
二重結合が片分子末端にあるものとしては、1,4−ヘ
キサジエン、1,9−オクタデカジエン、6−メチル−
1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジ
エン、11−エチル−1,11−トリデカジエン等を挙
げることができる。更に、環状非共役ジエンとしては、
4−ビニルシクロヘキセン、1,5−シクロオクタジエ
ン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボ
ルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、テトラヒ
ドロインデン、メチルテトラヒドロインデン等が挙げら
れる。好ましい非共役ジエンは、1,4−ヘキサジエ
ン、ジシクロペンタジエン、5−メチレン−2−ノルボ
ルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、テトラヒ
ドロインデン、メチルテトラヒドロインデンである。
【0009】水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸
エステル 変性オレフィン系ゴム質重合体を得るために使用する水
酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルとして
は、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、
2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒド
ロキシメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピルア
クリレート、2,2−ジヒドロキシメチル−3−ヒドロ
キシプロピルメタクリレート、2,2−ジヒドロキシメ
チル−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、炭素数4
〜40のエチレングリコール若しくはプロピレングリコ
ールのオリゴマーのメタクリル酸エステル又はアクリル
酸エステル、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレート、
ビス(2−ヒドロキシエチル)フマレート、ビス(2−
ヒドロキシプロピル)マレート、ビス(2−ヒドロキシ
プロピル)フマレート、ビス(2,3−ジヒドロキシプ
ロピル)マレート、ビス(2,3−ジヒドロキシプロピ
ル)フマレート、ビス(2−ヒドロキシメチル−3−ヒ
ドロキシプロピル)マレート、ビス(2−ヒドロキシメ
チル−3−ヒドロキシプロピル)フマレート、ビス
(2,2−ジヒドロキシメチル−3−ヒドロキシプロピ
ル)マレート、ビス(2,2−ジヒドロキシメチル−3
−ヒドロキシプロピル)フマレート、炭素数4〜40の
エチレングリコール若しくはプロピレングリコールのオ
リゴマーのマレイン酸エステル又はフマル酸エステル等
が挙げられる。なお、マレイン酸エステル又はフマル酸
エステルは、上述のように2つのカルボキシル基が2つ
ともヒドロキシアルキル基でエステル化されたもののみ
ではなく、1つのみがエステル化されたものも同様の単
量体として例示できる。
【0010】当該水酸基を有するα,β−不飽和カルボ
ン酸エステルは、単独又は2種類以上を併用して用いる
ことができる。これらの中でも2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルアクリレート、炭素数4〜40のエチレングリ
コール若しくはプロピレングリコールのオリゴマーのメ
タクリル酸エステル又はアクリル酸エステル等が好まし
い。
【0011】芳香族ビニル系単量体 また、変性オレフィン系ゴム質重合体を得るために使用
する芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレ
ン、α−メトキシスチレン、メチルスチレン、ジメチル
スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、クロロス
チレン、ジクロロスチレン、プロモスチレン、ニトロス
チレン、クロロメチルスチレン、シアノスチレン、t−
ブチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系
単量体を挙げることができる。これらは2種類以上を併
用してもよい。これらの芳香族ビニル系単量体の中で
も、スチレン、α−メトキシスチレン、メチルスチレン
が好ましい。
【0012】グラフト重合 変性オレフィン系ゴム質重合体を得るために行う水酸基
を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル及び芳香族
ビニル系単量体のオレフィン系ゴム質重合体へのグラフ
ト重合は、溶液状態、溶融状態、懸濁状態のいずれの状
態を採用しても良く、例えば、オレフィン系ゴム質重合
体、水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル
及び芳香族ビニル系単量体とを共存させ、有機過酸化物
等のラジカル発生剤の存在下又は非存在下で反応させる
方法、紫外線又は放射線を照射させる方法、酸素又はオ
ゾンと接触させる方法等がある。グラフト重合の温度
は、通常30〜350℃、好ましくは50〜300℃の
範囲であり、グラフト重合の反応時間は、50時間以
下、好ましくは0.5〜24時間の範囲である。更に、
押出機等による溶融状態のグラフト重合の際には、反応
効率を向上させる目的で、例えばキシレン等の有機溶剤
や連鎖移動剤等を添加したり、或いは、未反応成分等を
除去する目的で、減圧下で混練することもできる。
【0013】(b) 未変性のオレフィン系ゴム質重合体 混合することができる未変性のオレフィン系ゴム質重合
体としては、変性オレフィン系ゴム質重合体を得るため
に使用するオレフィン系ゴム質重合体として例示したも
のから選ぶことができる。
【0014】(c) 混合比(配合割合) 上記のグラフト重合によって得られる変性オレフィン系
ゴム質重合体と未変性のオレフィン系ゴム質重合体の混
合比としては、好ましくはグラフト重合で得られる変性
オレフィン系ゴム質重合体1〜100重量%、より好ま
しくは5〜95%重量%、特に好ましくは10〜70重
量%、未変性のオレフィン系ゴム質重合体95〜0重量
%、より好ましくは90〜5重量%、特に好ましくは9
0〜30重量%である。
【0015】(d) 変性オレフィン系ゴム質重合体組成
物の性状水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル単位 変性オレフィン系ゴム質重合体組成物において、水酸基
を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル単位の含量
は、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜8重
量%、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。
水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸エステル単位
の含量が上記範囲未満では、相溶性の改良効果が小さ
く、また、上記範囲を超過するとゲル化等の発生により
成形加工性に問題が生じたり、成形品の外観が悪化した
りする場合があり好ましくない。芳香族ビニル系単量体単位 また、変性オレフィン系ゴム質重合体組成物において、
芳香族ビニル系単量体単位の含量は、0.01〜20重
量%、好ましくは0.05〜10重量%、更に好ましく
は0.1〜5重量%の範囲である。芳香族ビニル系単量
体単位の含量が上記範囲未満では、相溶性の改良効果が
小さく、上記範囲を超過するとゲル化等により成形加工
性に問題が生じたり、成形品の外観が悪化したりする場
合があり好ましくない。
【0016】(B) 成分(B):熱可塑性ポリエステルエ
ラストマー 本発明で成分(B)として使用する熱可塑性ポリエステ
ルエラストマーは、ポリエステルブロック共重合体であ
り、その重合体連鎖中に、主として芳香族ポリエステル
単位からなる高融点セグメント(B−a)と、主として
ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位か
らなる低融点セグメント(B−b)とを有しているもの
である。
【0017】(a) 高融点セグメント(B−a):芳香
族ポリエステル単位(ハードセグメント) ハードセグメントである高融点セグメント(B−a)を
主として構成する芳香族ポリエステル単位は、酸成分と
グリコール成分とから形成される。酸成分 酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、イソフタル酸、フタル酸等を挙げることが
でき、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,
4−ジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸
を少量併用することもできる。グリコール成分 グリコール成分としては、炭素数2〜12のグリコール
で、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ヘキサンジオール、デカンジオール等を挙げること
ができる。高融点セグメント(B−a)の融点の下限は
特に設定されないが、一般的には、その融点は、150
℃以上、好ましくは170℃以上、更に好ましくは19
0℃以上である。
【0018】(b) 低融点セグメント(B−b):ポリ
エーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位(ソフ
トセグメント) ソフトセグメントである低融点セグメント(B−b)
は、ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単
位から構成されている。ポリエーテル単位 ポリエーテル単位としては、ポリアルキレンエーテルグ
リコールで形成され、例えば、ポリエチレンエーテルグ
リコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテ
トラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテ
ルグリコール−ポリプロピレンエーテルグリコールブロ
ック共重合体等を挙げることができ、単独及び2種類以
上の混合物を使用することもできる。脂肪族ポリエステル単位 脂肪族ポリエステル単位は、主として脂肪族ジカルボン
酸とグリコールからなる。脂肪族ジカルボン酸として
は、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン
ジカルボン酸等を挙げることができ、イソフタル酸等の
芳香族ジカルボン酸を少量併用することもできる。ま
た、グリコール成分は、炭素数2〜12のグリコールで
あり、その具体例は高融点セグメント(B−a)の芳香
族ポリエステル単位を形成するグリコール成分として例
示したものと同様のものを挙げることができる。低融点
セグメントの融点の上限は特に限定されないが、一般に
は130℃以下、好ましくは100℃以下である。
【0019】(c) 高融点セグメント(B−a)と低融
点セグメント(B−b)の組成比 熱可塑性ポリエステルエラストマー(B)中の高融点セ
グメント(B−a)と低融点セグメント(B−b)との
組成比は、重量比で通常80/20〜10/90であ
り、好ましくは60/40〜15/85である。熱可塑
性ポリエステルエラストマーとして特に好ましく用いら
れるものとしては、高融点セグメント(B−a)として
ポリテトラメチレンテレフタレート又はポリトリメチレ
ンテレフタレート−2,6−ナフタレートを用い、低融
点セグメント(B−b)としてポリテトラメチレンエー
テルグリコールを用いて形成されるものである。
【0020】(d) 熱可塑性ポリエステルエラストマー
(B)の製造重合反応 熱可塑性ポリエステルエラストマー(B)は、通常の重
合方法によって製造することができる。この反応におけ
る触媒としては、スズ、チタン、亜鉛、マンガン等のア
ルコラート、塩化物、酸化物等の公知の触媒のうち1
種、又は、2種以上を使用することができ、有機チタン
系触媒、特にテトラブチルチタネートが望ましい。ま
た、助剤として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、又
は、これらの金属塩等を添加することができる。特に、
耐加水分解性の向上のために次亜リン酸アルカリ金属塩
を添加することが好ましい。次亜リン酸アルカリ金属塩
としては、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウ
ム、次亜リン酸リチウム等を挙げることができ、特に次
亜リン酸ナトリウムが好ましい。該次亜リン酸アルカリ
金属塩の添加量は、生成するポリマーに対して、1〜
1,000ppm、好ましくは3〜200ppm、より
好ましくは、5〜80ppmである。上記範囲未満で
は、添加の効果が十分に得られず、また、上記範囲超過
では、効果が変わらずかえって重縮合反応を阻害するの
で好ましくない。また、反応工程において、酸化防止剤
を添加してもよい。該酸化防止剤としては、フェノール
系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、
ヒンダードアミン系光安定剤、トリアゾール系光安定剤
等の市販の酸化防止剤を挙げることができる。
【0021】エステル化又はエステル交換反応 エステル化、又は、エステル交換反応は、通常120〜
250℃、好ましくは150〜230℃の温度で行われ
る。溶融重縮合反応 また、溶融重縮合反応は、通常10Torr以下の減圧
下、200〜280℃で2〜6時間行われる。
【0022】(C) 成分(C):架橋剤 本発明で成分(C)として使用する架橋剤は、通常ゴム
及び樹脂に使用されている有機架橋剤、無機架橋剤又は
樹脂架橋剤等を使用することができる。有機架橋剤に
は、有機過酸化物、アゾ化合物、オキシム化合物、ニト
ロソ化合物、有機硫黄化合物等がある。
【0023】(a) 有機架橋剤有機過酸化物 有機過酸化物は、具体的には、半減期1分となる温度が
120〜280℃の範囲にある化合物が好適に使用さ
れ、例えば、アセチルペルオキシド、サクシニルペルオ
キシド、ベンゾイルペルオキシド、m−トルオイルペル
オキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノ
エート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、1,1
−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−
ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、2,2−
ビス(t−ブチルペルオキシ)オクタン、t−ブチルペ
ルオキシアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオ
キシラウレート、ジ−t−ブチルペルオキシイソフタレ
ート、t−ブチルペルオキシベンゼン、ジクミルペルオ
キシド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)−m
−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルペルオキ
シド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−
3−ヘキシン、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキ
シド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペ
ルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒ
ドロペルオキシド等を挙げることができる。
【0024】アゾ化合物 アゾ化合物としては、ジアゾアミノベンゼン、ビスアゾ
エステル、N−フェニルカルバモイルアゾホルメート、
ビス(ジオキソトリアゾリン)誘導体等を挙げることが
できる。オキシム化合物 オキシム化合物としては、p−キノンジオキシム、p−
キノンジオキシムベンゾエート等を挙げることができ
る。ニトロソ化合物 ニトロソ化合物としては、ポリ−p−ジニトロソベンゼ
ン、N−(2−メチル−2−ニトロソプロピル)−4−
ニトロソアニリン等を挙げることができる。有機硫黄化合物 有機硫黄化合物としては、4,4′−ジチオジモルホリ
ン、N,N′−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−ア
ゼピン−2−オン)、アルキルフェノールジスルフィ
ド、含りんポリスルフィド、高分子多硫黄化合物等を挙
げることができる。
【0025】(b) 無機架橋剤 無機架橋剤としては、硫黄、塩化硫黄、二硫化硫黄、セ
レン、過酸化亜鉛、過酸化鉛、テルル等を挙げることが
できる。
【0026】(c) 樹脂架橋剤等 樹脂架橋剤としてはフェノール樹脂、アミノ樹脂等を挙
げることができる。フェノール樹脂 フェノール樹脂とは、フェノール又はアルキルフェノー
ルとホルムアルデヒドを塩基性触媒の存在下で反応させ
た多メチロール型アルキルフェノール又はそのメチロー
ル基の水酸基の一部或いは全部を塩素、臭素等のハロゲ
ン原子で置換したものである。アミノ樹脂 アミノ樹脂とは、メラミン、ベンゾグアナミン及び尿素
等のアミノ化合物にホルムアルデヒドやアルコールを重
縮合させた樹脂である。これらの架橋剤の2種類以上を
混合して使用することもできる。架橋剤は成分(A)を
架橋させるが、成分(B)に対しては架橋、分子量添加
等の副反応を併発しないことが望ましい。そのため、こ
れら架橋剤の中ではフェノール樹脂を用いることが特に
好ましい。更に、付加的成分として架橋助剤及び架橋促
進剤を併用することもできる。特に架橋剤として有機過
酸化物を使用する場合には、架橋助剤を併用することが
好ましい。架橋助剤 架橋助剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、メタフ
ェニレンビスマレイミド、キノンジオキシム、1,2−
ポリブタジエン、トリアリルシアヌラート、ジアリルフ
タレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、トリエチレン
グリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌラ
ート等を挙げることができる。
【0027】(D) 成分(D):オレフィン系重合体 本発明で成分(D)として使用するオレフィン系重合体
は、エポキシ基を有するビニルモノマー単位(エポキシ
基含有不飽和単量体)の含量が0.5〜20重量%であ
るオレフィン系重合体である。そのようなオレフィン系
重合体としては、成分(B)と化学結合するエポキシ基
を有し、示差走査型熱量計(DSC:Differen
tial Scanning Calorimete
r)で測定した融点が80〜120℃であるオレフィン
系重合体が好ましく、特にエチレン系共重合体が好まし
い。
【0028】(a) エチレン系共重合体の製造 このようなエチレン系共重合体の製造方法としては、エ
チレンとエポキシ基含有不飽和単量体を共重合する方
法、又は、エチレン重合体にエポキシ基含有不飽和単量
体をグラフト反応させる方法等を挙げることができる。
ここで後者の方法におけるエチレン系共重合体として
は、エチレン単独重合体、エチレンを主成分として、他
のα−オレフィン、水酸基、カルボキシル基、アミノ
基、その他の官能基を有する不飽和単量体、例えば、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメ
タクリレート等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステ
ル、無水マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロ
トン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物、アミノメ
タクリレート、アミノアルコキシビニルシラン等のアミ
ノ基含有不飽和単量体との共重合体を挙げることができ
る。
【0029】エポキシ基含有不飽和単量体 エチレン系重合体中にエポキシ基を有するビニル単量体
単位を付与する化合物としてのエポキシ基含有不飽和単
量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート等がある。これらの中で好ましいものとし
ては、前者の共重合によるもので、エチレンとグリシジ
ルメタクリレートの共重合体を挙げることができる。エポキシ基含有不飽和単量体含量 オレフィン系重合体中のエポキシ基含有不飽和単量体の
含量は0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%
である。このオレフィン系重合体の詳細な作用機構は不
明であるが、成分(A)と成分(B)の相溶化剤でな
く、混練時に加水分解等により劣化、機械的強度の低下
した成分(B)の分子鎖結合材、成分(B)の機械強度
改良材であると考えられる。従って、エポキシ基含有不
飽和単量体含量が上記範囲未満では劣化した成分
(B)、すなわち得られる熱可塑性エラストマーの機械
的強度に問題があり、上記範囲を超過すると成分(B)
の局部的分子上昇と粘度上昇を招き、目標とする分子形
態が得られず、成形性、エラストマー特性が実用上問題
となる。
【0030】(2) 組成比 本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、成分
(A)の変性オレフィン系ゴム質重合体組成物100重
量部に対して、成分(B)の熱可塑性ポリエステルエラ
ストマーが5〜400重量部、好ましくは10〜400
重量部、更に好ましくは40〜300重量部であり、成
分(C)の架橋剤が0.01〜20重量部、好ましくは
0.05〜10重量部、成分(D)のオレフィン系重合
体が0.5〜10重量部、好ましくは0.8〜8重量部
である。成分(B)の変性オレフィン系ゴム質重合体組
成物の配合量が上記範囲未満では引張破断点強度、引張
破断点伸度等の機械特性が低下し、一方、上記範囲を超
過すると硬度、圧縮永久歪等のエラストマー特性が低下
し、実用上問題が生じる。また、成分(C)の架橋剤の
配合量が上記範囲未満ではオレフィン系ゴム質重合体の
架橋程度が低くエラストマー組成物の圧縮永久歪が大き
くなり、一方、上記範囲を超過すると熱可塑性ポリエス
テルエラストマーの架橋が発生するため成形性が劣り、
実用上問題が生じる。成分(D)のオレフィン系重合体
の配合量が上記範囲未満では機械的強度が十分でなく、
一方、上記範囲を超過すると熱可塑性ポリエステルエラ
ストマーが架橋し、成形性が劣り、実用上問題が生じ
る。
【0031】(3) 付加的成分(任意成分) 本発明においては、これらの成分(A)〜(D)の外に
必要により他の付加的成分を本発明の効果を著しく損な
わない範囲内で配合し、含有させることができる。この
付加的成分としては、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、
紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、発泡剤、充填剤、導電
剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、核剤、透明化剤、金
属不活性化剤、分散剤、難燃剤、加工助剤、離型剤、殺
菌剤、防黴剤、分子量調整剤等が挙げられる。特に流動
性を改善するために可塑剤、更に、加工時の熱酸化防止
及び使用時の耐久性賦与のために酸化防止剤を配合する
ことが好ましい。
【0032】可塑剤 可塑剤としては、例えば、プロセスオイル、又はエクス
テンダオイル等の鉱物系ゴム用軟化剤、ジオクチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブ
チルベンジルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フ
タレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタ
レート、ジイソノニルフタレート等のフタル酸エステル
類、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシ
ル)ホスフェート、トリメチルホスフェート、トリ(ブ
トキシエチル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)
ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェー
ト、縮合リン酸エステル、トリフェニルホスフェート、
トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホス
フェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エ
チルヘキシルジフェニルホスフェート、トリラウリルホ
スフェート、トリセチルホスフェート、トリステアリル
ホスフェート、トリオレイルホスフェート等のリン酸エ
ステル類、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリ
ット酸イソノニルエステル、トリメリット酸インデシル
エステル等のトリメリット酸エステル類、ペンタエリス
リトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチル
アジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルアジペ
ート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジグリコール
アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ
オクチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケ
ート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、メチルア
セチルリシノレート等の脂肪酸エステル類、ピロメリッ
ト酸オクチルエステル等のピロメリット酸エステル類、
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂
肪酸アルキルエステル等のエポキシ系可塑剤、アジピン
酸エーテルエステル、ポリエーテルエステル、ポリエー
テル等のポリエーテル系可塑剤等を挙げることができ
る。これらの可塑剤は2種類以上を併用することもでき
る。
【0033】酸化防止剤 酸化防止剤としては、一般にプラスチックの酸化防止剤
として使用されている化合物が配合可能であり、その代
表例として、2,6−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブ
チルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオビ
ス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタ
デシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタン、6−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−2,4−ビス
(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−
ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソアヌレート等
のフェノール系酸化防止剤、又は、ジラウリルチオジプ
ロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジ
ステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトー
ルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等の
硫黄系酸化防止剤、ジフェニルトリデシルホスファイ
ト、1,1−ビフェニル−4,4′−ジイルビス亜ホス
ホン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)
エステル、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニル
フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリ
スリトールジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の
リン系酸化防止剤等を挙げることができる。これらの酸
化防止剤は2種類以上を併用することもできる。
【0034】(4) 組成物の調製 本発明の熱可塑性エラストマー組成物を得るための調製
方法としては、溶融法、溶液法、懸濁重合法等があり、
特に限定されないが、実用的には溶融混練する方法が好
ましい。溶融混練は、通常の溶融混練機、例えば、一軸
又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロ
ール、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラ
フ、横型二軸反応機等を使用することができるが、中で
も二軸押出機を使用することが好適である。溶融混練時
の温度は、100〜400℃の範囲、好ましくは、12
0〜300℃の範囲である。混練温度が高過ぎると使用
樹脂の熱劣化が生じ易く、機械的強度の低下等の問題を
生じる。各成分の混練順序は、混練下の熱的架橋の実現
に影響を及ぼす。具体的には成分(A)、成分(B)、
成分(D)を混練し、その後、成分(C)を成分
(A)、(B)及び(D)からなる混練物に添加して更
に混練する方法が好適である。
【0035】[II] 用 途 本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形後の架橋
工程が不要であり、熱可塑性樹脂の成形機で成形加工す
ることができるし、しかも、リサイクルが可能であるこ
とから、通常の各種成形方法、すなわち、射出成形、射
出圧縮成形、圧縮成形、押出成形(パイプ成形、シート
成形、フィルム成形、ブロー成形、各種被膜成形等)、
ガスインジェクション等で成形し、自動車部品、家電部
品等の各種工業用部品として使用することができる。
【0036】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明はそれによって制限される
ものではない。 [参考例]参考例1 (HEMA−St−g−EPRの製造) エチレン・プロピレンゴム質重合体(日本合成ゴム社
製、商品名:EP01)100重量部、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート3重量部、スチレン3重量部、及
び、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)−m−ジ
イソプロピルベンゼン(日本油脂(株)製、商品名:パ
ーブチル−P)0.1重量部を混合した後、温度160
℃、スクリュー回転速度100rpmに設定された2軸
混練押出機に4kg/時間の割合で供給し、ベント孔よ
り未反応の2−ヒドロキシエチルメタクリレートとスチ
レンを真空脱気しながら溶融混練し、吐出されたストラ
ンド状の樹脂をカッティングしてペレット状の2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート・スチレングラフト共重合
エチレン・プロピレンゴム質重合体(以下、HEMA−
St−g−EPRと表す。)を得た。該ペレットは、I
R検量法により測定した結果、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート構造単位(以下、単に「HEMA単位」と
表す。)の含量が1.60重量%、スチレン構造単位
(以下、単に「St単位」と表す。)の含量が1.55
重量%であった。該ペレットをキシレンに溶解後、キシ
レンの3倍量のメタノールを加えて沈殿させ、更に乾燥
させたものは、IR検量法により測定した結果、HEM
A単位の含量が1.48重量%、St単位の含量が1.
40重量%であり、ペレット中のHEMA単位、St単
位はほとんどグラフト重合されていることがわかった。
【0037】参考例2(HEMA−g−EPRの製造) 参考例1において、スチレンを用いない以外は参考例1
と同様の方法で製造した。得られた2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレートグラフト共重合エチレン・プロピレン
ゴム質重合体(以下、HEMA−g−EPRと表す。)
のペレットは、IR検量法によりHEMA単位の含量が
1.12重量%であった。該ペレットをキシレンに溶解
後、キシレンの3倍量のメタノールを加えて沈殿させ、
更に乾燥させたものは、IR検量法により測定した結
果、HEMA単位の含量が0.89重量%であり、ペレ
ット中のHEMA単位はほとんどグラフト重合されてい
ることがわかった。
【0038】参考例3(St−g−EPRの製造) 参考例1において、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トを用いない以外は参考例1と同様の方法で製造した。
得られたスチレングラフト共重合エチレン・プロピレン
ゴム質重合体(以下、St−g−EPRと表す。)のペ
レットは、IR検量法によりSt単位の含量が1.38
重量%であった。該ペレットをキシレンに溶解後、キシ
レンの3倍量のメタノールを加えて沈殿させ、更に乾燥
させたものは、IR検量法により測定した結果、St単
位の含量が1.11重量%であり、ペレット中のSt単
位はほとんどグラフト重合されていることがわかった。
【0039】[原 料]成分(A):変性オレフィン系ゴム質重合体 ・参考例1により製造されたHEMA−St−g−EP
R(キシレン処理前) ・参考例2により製造されたHEMA−g−EPR(キ
シレン処理前) ・参考例3により製造されたSt−g−EPR(キシレ
ン処理前) ・油展エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン
ゴム質重合体(日本合成ゴム社製「EP98」(商品
名):エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン
共重合体ゴム100重量部とプロセスオイル75重量部
との混合物)80重量部とパラフィン系プロセスオイル
(出光興産社製「PW−380」(商品名))20重量
部とを100℃、80rpmに設定した東洋精機社製ラ
ボプラストミルで4分間混練して得られるゴム分(成分
(A))が45.7重量%でオイル分(付加的成分)が
54.3重量%である油展オレフィン系ゴム質重合体
(以下、単に「油展EPDM」と略記する)。 ・未変性のエチレン・プロピレンゴム質重合体(日本合
成ゴム社製「EP01」(商品名):以下、単に「EP
R」と略記する。)成分(B):熱可塑性ポリエステルエラストマー ・ペルプレンP−30B(東洋紡績社製商品名:以下、
単に「P−30B」と略記する。) ・ペルプレンP−70B(東洋紡績社製商品名:以下、
単に「P−70B」と略記する。)
【0040】成分(C):架橋剤 ・2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)−3−ヘキシン(日本油脂社製有機過酸化物系架橋
剤、商品名:パーヘキシン25B)(以下、単に「P−
25B」と略記する。) ・臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂
(田岡化学工業社製樹脂架橋剤「タッキロール250−
I」:商品名)(以下、単に「T−250−I」と略記
する。)成分(D):エポキシ基を有する不飽和単量体含有オレ
フィン重合体 ・エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(住友
化学工業(株)製「ボンドファスト2B(商品名)」、
グリシジルメタクリレート10重量%含有(以下、単に
「BF2B」と略記する。)付加的成分 架橋助剤:ジビニルベンゼン(以下、単に「DVB」と
略記する。) 酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3′,5′
−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]メタン50重量部とトリス(4−t−ブチル
−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシ
アヌレート50重量部の混合物(以下、単に「STB」
と略記する。)。
【0041】[評価方法] (1) 機械的特性 熱可塑性エラストマー組成物をミニマックス小型成形機
で200℃で溶融射出成形して試験片を作成し、その試
験片をJIS−K7113に準拠して引張破断点強度
(単位はkgf/cm2 )及び引張破断伸度(単位は
%)を測定した。 (2) 圧縮永久歪 熱可塑性エラストマー組成物を230℃でプレス成形し
て試験片を作成し、JIS−K6301に準拠して、7
0℃、22時間、25%圧縮後の圧縮永久歪(単位は
%)を測定した。この場合、圧縮永久歪が小さいほどゴ
ム弾性が優れている。 (3) 硬度測定 熱可塑性エラストマー組成物を230℃でプレス成形し
て試験片を作成し、JIS−K6301に準拠して、A
型スプリング式硬さ試験機を使用して硬度を測定した。
【0042】[実施例及び比較例]実施例1 変性オレフィン系ゴム質重合体HEMA−St−g−E
PR 10重量部、オレフィン系ゴム質重合体油展EP
DM 30重量部、熱可塑性ポリエステルエラストマー
P−30B 60重量部及び酸化防止剤STB 0.1
重量部を190℃、200rpmに設定され、窒素ガス
でシールされた東洋精機社製ラボプラストミルで3分間
溶融混練した。その後、混練中の溶融物に有機過酸化物
系架橋剤P−25B 1重量部と架橋助剤DVB 1.
6重量部を添加し、更に190℃、200rpmで5分
間混練した。該溶融混練物を冷却し、粉砕してペレット
状のエラストマー組成物を得た。先の評価法にて各種評
価を実施した。その結果を表1に示す。
【0043】実施例2〜8及び比較例1〜8 表1〜表3に示す配合割合にて、実施例1と同様にして
熱可塑性エラストマー組成物を調製し、評価した。その
結果を表1〜表3に示す。尚、表1〜表3には配合組成
の下欄に換算組成(各々の定義は、表1の欄外*1〜3
に示す。)を併記した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】特定の官能基で変性した変性オレフィン
系ゴム質重合体を含む変性オレフィン系ゴム質重合体組
成物、熱可塑性ポリエステルエラストマー、架橋剤、及
び、エポキシ基を有するビニル単位含有オレフィン重合
体からなる熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、機
械的特性、耐熱性に優れ、圧縮永久歪と硬度のバランス
の改良された成形品を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 63:00)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の成分(A)、(B)、(C)及び
    (D)を下記割合で配合し、溶融混練してなる熱可塑性
    エラストマー組成物。 成分(A): オレフィン系ゴム質重合体に、水酸基を有するα,β−不飽和 カルボン酸エステル及び芳香族ビニル系単量体をグラフト重合させて得られる変 性オレフィン系ゴム質重合体又は該変性オレフィン系ゴム質重合体とオレフィン 系ゴム質重合体との混合物であって、水酸基を有するα,β−不飽和カルボン酸 エステル単位の含量が0.01〜10重量%及び芳香族ビニル系単量体単位の含 量が0.01〜20重量%である変性オレフィン系ゴム質重合体組成物 100重量部 成分(B): 熱可塑性ポリエステルエラストマー 5〜400重量部 成分(C): 架橋剤 0.01〜20重量部 成分(D): エポキシ基を有するビニルモノマー単位の含量が0.5〜20 重量%であるオレフィン系重合体 0.5〜10重量部
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