JPH10330039A - 巻取用リールならびにその装着装置および方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディスポーザル巻取用リールを巻取軸に着脱
容易とする。 【構成】 巻取用リール30は，巻胴33と両端部のフラン
ジ31，32とからなり，フランジ31，32には装着用突縁31
ａ，32ａが形成されている。巻取軸10に１対の側板21，
22を取付ける。側板21，22の内面に形成された環状溝21
ａ，22ａにフランジ31，32の装着用突縁31ａ，32ａを受
けさせて，巻取用リール30を支持する。固定カラー11，
12と側板21，22との間に板ばね25，26を介装し，側板2
1，22を巻取用リール30の方向に付勢する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】この発明は使い捨てに適した（ディスポー
ザル）巻取用リール，ならびにこの巻取用リールを巻取
軸に装着する装置および方法に関する。

【０００２】

【背景技術】巻取用リールはワイヤ等の線状体を巻取る
のに用いられる。たとえば，繰出しドラム（またはリー
ルもしくはボビン）から繰出された線状体を巻取用リー
ルに巻取る。

【０００３】例としてワイヤソーを挙げる。ワイヤソー
においては，繰出しドラムに巻回されているソーワイヤ
を繰出し，複数本の溝ロールに掛け，巻取りドラムに巻
取る。溝ロールを駆動してソーワイヤを走行させる。走
行するワイヤに，砥粒を含む加工液を供給しながら，被
切断材をほぼ垂直に押し当てて被切断材を切断してい
く。

【０００４】ワイヤソーにおいては細いソーワイヤが用
いられる。またソーワイヤは長い。細く長いワイヤを高
速で精度よく巻取りドラムに巻取る必要がある。ドラム
の回転振れ精度を高く保ち，巻取り張力による変形を防
止するために，従来の巻取りドラムには高価で頑丈なも
のが使用されていた。堅固な巻取りドラムは必然的に大
型化するのでソーワイヤも大型化せざるを得ない。

【０００５】

【発明の開示】この発明は安価で小型化が可能な巻取用
リールを提供するものである。

【０００６】この発明は上記の巻取用リールを脱着可能
に巻取軸に装着し，しかも高い回転精度を保つことがで
きる装着装置および方法を提供するものである。

【０００７】この発明による巻取用リールは，巻胴とそ
の両端部に設けられたフランジとを有し，フランジの外
周部に外方に突出する装着用突縁が形成されているもの
である。

【０００８】この巻取用リールは１回の使用ごとに破棄
してもよいようにできるだけ簡素にかつ安価につくられ
る。一般には巻胴およびフランジは鉄等の金属製であ
る。

【０００９】上述のワイヤソーに応用した場合を考え
る。繰出しドラムから繰出されたソーワイヤは溝ロール
を経て巻取用リールに巻取られる。ソーワイヤの走行の
仕方には種々の方法がある。大別すると一方向走行と往
復走行である。往復走行にも種々のやり方があるが，そ
の一に，繰出し側から巻取り側に所定距離走行させ，そ
の後，逆方向に上記所定距離の半分の距離走行させるも
のである。この往復走行を１つの被切断材を切断する間
に何回も繰返す。この往復走行ではソーワイヤは被切断
材の切断のために合計３回使用される。このようにして
使用されたソーワイヤは一般に再使用ができないので，
巻取った後に廃棄する必要がある。

【００１０】大型の巻取りドラムに巻取ったソーワイヤ
を廃棄するためには，大型の高価な巻取りドラムも廃棄
することはできないから，別に用意したリールに巻取り
直さなければならない。

【００１１】この発明による巻取用リールはワイヤソー
に取付けて使用され，ソーワイヤがこの巻取用リールに
直接に巻取られる。巻取られた再使用不可能なソーワイ
ヤは巻取用リールとともに廃棄される。

【００１２】この発明による巻取用リールは小型化が可
能である。たとえば，繰出し用ドラムは大型のものであ
って，このドラムに巻回されているソーワイヤは複数個
の被切断材の切断に使用できる長さのものであったとし
ても，巻取用リールは１個の被切断材の切断ごとに交換
すればよい。そうすれば巻取用リールは１個の被切断材
の切断で消費される長さのソーワイヤを巻回しできるも
ので足り，かなりの小型化を図ることが可能である。

【００１３】このような巻取用リールを巻取軸に装着す
るためのこの発明による装着方法は，内面に巻取用リー
ルの装着用突縁を受ける環状受部が形成された１対の側
板を，巻取軸にその軸方向に移動自在に設け，巻取用リ
ールを，上記１対の側板間において，装着用突縁を環状
受部によって受けることにより，巻取用リールの巻胴と
巻取軸との間に間隙を保って保持し，上記１対の側板を
ばねで互いの方向に付勢するものである。

【００１４】この発明はさらに上記の装着方法を実現す
るための装着装置を提供している。

【００１５】この装着方法および装置の特徴の一つは，
巻取用リールを，そのフランジの外周部に形成された装
着用突縁で側板の環状受部によって保持していることで
ある。巻取用リールはそのフランジの外周縁で支持され
ているから，回転振れに対する精度が高い。

【００１６】特徴の二つ目は巻取用リールの巻胴が中空
であって，巻胴と巻取軸との間に間隙が保たれているこ
とである。巻取用リールに線状体を巻回していくとリー
ルそれ自体が変形することは避けられない。巻胴と巻取
軸との間に間隙があるので，巻取用リールが変形して
も，巻取用リールを巻取軸から容易に離脱することがで
きる。

【００１７】特徴の三つ目は巻取用リールのフランジを
支持する側板を内方に向けてばねで付勢していることで
ある。巻取用リールに線状体を巻取っていくとフランジ
が外方に反っていくのは避けられない。このフランジの
反りをばねで吸収するので，側板に無理な力が加わるこ
とがなく，装着装置の長寿命化を図ることができる。

【００１８】

【実施例】図１において，巻取軸10はその一端部でフレ
ーム15に軸受16によって回転自在に保持されている。巻
取軸10の他端（先端）は支持されていない。巻取軸10は
巻取モータ（図示略）により回転駆動される。

【００１９】巻取軸10の軸受側部分と先端部には環状の
固定カラー11，12が巻取軸10に固定されている。巻取軸
10の先端部には溝10ａが形成されている。先端部の固定
カラー12は，固定カラー12に径方向に所定角度ごとにね
じ込まれた複数本のボルト13の先端が溝10ａ内にきつく
入ることにより，抜け止めされた状態で巻取軸10に固定
されている。ボルト13を緩めることにより固定カラー12
を巻取軸10から取外すことができる。固定カラー11を着
脱自在とすることもできる。

【００２０】固定カラー11と12の内側には環状の側板21
と22が巻取軸10に嵌入れられている。側板21，22はそれ
ぞれボス部21ｂ，22ｂとこのボス部から立上った環状部
分からなる。環状部分の内面であってやや外側の位置に
は環状の溝21ａ，22ａが形成されている。ボス部21ｂ，
22ｂは巻取軸10に摺動自在に嵌入れられている。ボス部
21ｂ，22ｂの内周面と巻取軸10の外周面の一部にはキー
溝が形成され，このキー溝に側板21，22の廻り止め用の
キー23，24が入っている。

【００２１】巻取用リール30は中空の巻胴33と，この巻
胴33の両端部にリベット，溶接等により取付けられたフ
ランジ31，32とから構成されている。フランジ31，32の
最外縁は外側に比較的大きくかつ丸く折り返されてい
る。この部分が装着用突縁31ａ，32ａである。装着用突
縁31ａ，32ａは側板21，22の環状溝21ａ，22ａ内に入っ
ている。巻取用リール30の巻胴33と側板21，22のボス部
21ｂ，22ｂとの間に間隙が保たれ，また巻胴33と巻取軸
10との間にも間隙が保たれている。

【００２２】側板21と固定カラー11との間，および側板
22と固定カラー12との間には環状の板ばね25，26が介装
されている。側板21と22は板ばね25，26によって互いの
方向，すなわち巻取用リール30を挟むように付勢されて
いる。

【００２３】巻取用リール30の巻取軸10への装着は次の
ようにして行なわれる。固定カラー11は巻取軸10に固定
されているものとする。

【００２４】板ばね25と側板21を巻取軸10に嵌入れる。
巻取用リール30を巻取軸10に嵌入れる。側板22を巻取軸
に嵌入れる。側板21，22の環状溝21ａ，22ａ内に巻取用
リール30の装着用突縁31ａ，32ａを嵌込み，巻取用リー
ル30を位置決めする。環状ばね26と固定カラー12を巻取
軸10に嵌入れ，ねじ13により固定カラー12を固定する。

【００２５】巻取用リール30は上記の逆の手順で取外す
ことができる。

【００２６】巻取用リール30は，そのフランジ31，32の
最外側にある装着用突縁31ａ，32ａが側板21，22の環状
溝部21ａ，22ａ内に受け入れられることにより，支持さ
れている。巻取軸10が回転したときにほとんど振れるこ
とがなく，回転精度が高い。

【００２７】上述のように，巻取用リール30の巻胴33と
側板21，22のボス部21ｂ，22ｂ，および巻取軸10との間
には間隙がある。巻取用リール30に多くのワイヤが巻回
され，巻取用リール30が多少変形したとしても，巻取用
リール30を容易に巻取軸10から取外すことができる。

【００２８】巻取用リール30にワイヤが巻回されていく
につれて，そのフランジ31，32は，その外側部分ほど大
きく，外方に（側板21，22の方向に）反っていく。これ
により側板21，22が押される。フランジ31，32の反りの
力は板ばね25，26によって吸収される。側板21，22を巻
取軸10にしっかりと固定しておいたとすると，この固定
部分に反りの力が加わり，ガタが生じるおそれがある。
そりの力が板ばね25，26によって吸収されるので，装着
装置の寿命が長い。

【図面の簡単な説明】

【図１】巻取用リールおよびその装着装置の断面図であ
る。

【符号の説明】

10 巻取軸 12 固定カラー 21，22 側板 21ａ，22ａ 環状溝（環状受部） 25，26 板ばね 30 巻取用リール 31，32 フランジ 31ａ，32ａ 装着用突縁 33 巻胴

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻胴とその両端部に設けられたフランジ
   とを有し，フランジの外周部に外方に突出する装着用突
   縁が形成されている巻取用リール。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の巻取用リールを取付け
   る装着装置であり，巻取軸に軸方向に移動自在に設けら
   れるものであって，その内面に巻取用リールの装着用突
   縁を受ける環状受部が形成された１対の側板，および上
   記側板を互いの方向に付勢するばねを備え，巻取用リー
   ルを，その巻胴と巻取軸との間に間隔を保って支持する
   装着装置。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の巻取用リールを巻取軸
   に装着する方法であり，内面に巻取用リールの装着用突
   縁を受ける環状受部が形成された１対の側板を，巻取軸
   にその軸方向に移動自在に設け，巻取用リールを，上記
   １対の側板間において，装着用突縁を環状受部によって
   受けることにより，巻取用リールの巻胴と巻取軸との間
   に間隙を保って保持し，上記１対の側板をばねで互いの
   方向に付勢する，巻取用リールの装着方法。