JPH10318239A - 樹脂製パッケージの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】過酷な周囲環境の下で使用する電子部品を、長
期間安定よくねじ止め固定できるようにその取付構造を
改良して信頼性の向上を図る。 【解決手段】圧力センサなどの電子部品を対象に、樹脂
成形品で作られた樹脂ケース１の取付座１ａに金属製の
補強ブッシュ６をインサートしたねじ穴１ｂを設け、該
ねじ穴に締結ねじ４を挿入して相手側の固定部５にねじ
止めしたものにおいて、補強ブッシュの高さ寸法Ａを取
付座のねじ穴深さＢよりも大に設定し、かつ取付座への
インサート位置で補強ブッシュの両端面が取付座の座面
から上下に突き出すようにする。これにより、ねじの締
め付け応力が樹脂成形品である取付座に直接加わること
がなく、これにより樹脂自身の機械的な劣化に起因する
締結ねじの緩みを防止して長期間安定した固定状態を維
持できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車の
エンジンルームなどのように過酷な環境に搭載して使用
する圧力センサなどの電子部品に好適な樹脂製パッケー
ジの取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように自動車のエンジンルームに
は圧力センサなど各種の電子部品が組み込まれており、
その取付け手段として、電子部品の樹脂ケースを小ねじ
などを使って固定するようにしている。次に、自動車エ
ンジンに取付ける圧力センサを例に、従来における樹脂
製パッケージの取付構造を図３，図４に示す。図３にお
いて、１は樹脂成形品として作られた圧力センサの樹脂
ケース、２は外部接続端子、３は導圧パイプであり、樹
脂ケース１から側方に張り出した取付座１ａにはねじ穴
１ｂが開口しており、このねじ穴１ｂに締結ねじ４を挿
入して相手側の固定部（自動車のエンジンボディ）５に
ねじ止め固定するようにしている。

【０００３】ここで、従来の製品においては、図４に示
すようにねじ穴１ｂに金属製の補強ブッシュ６をインサ
ートして樹脂ケース１と一体成形している。この補強ブ
ッシュ６は、ねじ締結時に加わる締め付け力をブッシュ
で受け止め、樹脂成形品である取付座１ａに締め付け応
力が加わるのを防ぐ役目を果たすものであり、従来の取
付構造では補強ブッシュの高さ寸法Ａを取付座１ｂのね
じ穴深さＢに合わせ、補強ブッシュ６の端面が取付座１
ｂの座面と面一になるようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
に構成した従来の取付構造では、次記のような問題点が
ある。すなわち、補強ブッシュ６を樹脂ケース１にイン
サート成形する際には、樹脂ケースの成形金型に補強ブ
ッシュ６をインサートした上で、金型に成形樹脂を注入
して一体成形するようにしている。この場合に、取付座
１ａのねじ穴１ｂにインサートされた補強ブッシュ６の
位置が、図４で示すように取付座１ａの端面と正確に一
致していればよいが、実際には補強ブッシュ６の寸法公
差，成形金型の型締力のばらつきなどが原因で、図５で
示すように補強ブッシュ６が取付座１ａの座面より内側
に引っ込んだ状態に仕上がることが多々ある。

【０００５】このような製品をその取付け相手側の固定
部（例えば自動車のエンジンボディ）にねじ止めする
と、図示のように締結ねじ４のねじ頭４ａが取付座１ａ
の端面（ねじ穴１ｂの縁）に当たり、ねじの締め付け応
力が樹脂成形品である取付座１ａに直接加わるようにな
る。しかも、このように締め付け応力が加わった取付状
態のままで長期間に亘って過酷な周囲環境（自動車エン
ジンルームの温度，湿度，機械的な振動など）に晒され
ると、樹脂自身の劣化も加わって取付座１ａにクラッ
ク，割れなどが生じてねじの緩みが生じ、これが原因で
電子部品が不測に脱落してしまうといった重大なトラブ
ルに発展するおそれがある。

【０００６】この発明は上記の点に鑑みなされたもので
あり、その目的は前記課題を解決し、過酷な使用環境の
下でも、電子部品を長期間安定よくねじ止め固定できる
ように改良して信頼性の向上化を図った樹脂製パッケー
ジの取付構造を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明によれば、樹脂成形品としてなる樹脂ケー
スの取付座に金属製の補強ブッシュをインサートしたね
じ穴を設け、該ねじ穴に締結ねじを挿入して相手側の固
定部にねじ止めしたものにおいて、補強ブッシュの高さ
寸法を取付座のねじ穴深さよりも大に設定し、かつ取付
座へのインサート位置で補強ブッシュの端面を取付座の
座面より突き出すように構成するものとする。（請求項
１） また、前記構成の応用例として、樹脂ケースの取付座の
端面にねじ穴を包囲して締結ねじのねじ頭が入り込む凹
所を形成した構成がある。（請求項２）上記の構成によ
れば、樹脂ケースをねじ止め固定した状態では、締結ね
じの締め付け力が全て補強ブッシュに加わり、樹脂成形
品である取付座に締め付け応力が直接加わることがな
い。これにより、実使用状態で製品が過酷な環境変化に
晒されても、取付座の機械的劣化に起因する締結ねじの
緩みを防いで長期間安定した固定状態を維持できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
示実施例で説明する。なお、各実施例の図中で図４に対
応する同一部材には同じ符号が付してある。 〔実施例１〕図１において、樹脂ケース１の取付座１ａ
のねじ穴１ｂにインサートした金属製の補強ブッシュ６
は、寸法公差分を配慮してその高さ寸法Ａがねじ穴１ｂ
の穴深さＢよりも大で設定されており、かつ樹脂ケース
１にインサート成形する際に補強ブッシュ６の両端面が
取付座１ａの上下座面より突き出すよう構成されてい
る。なお、補強ブッシュ６は樹脂ケース１と一体にイン
サート成形するほか、取付座１ａのねじ穴１ｂに圧入し
て取付けることもできる。

【０００９】かかる構成で、取付座１ａのねじ穴１ｂに
挿入した締結ねじ４を相手側の固定部５にねじ込んで樹
脂ケース１を固定した状態では、補強ブッシュ６の上下
両端面がそれぞれ固定部５の取付面，締結ねじ４のねじ
頭４ａに当たってねじの締め付け力を補強ブッシュ６が
受け止め、樹脂成形品である樹脂ケース１の取付座１ａ
にはねじの締め付け応力が加わることがない。これによ
り、取付座１ａの樹脂の経年劣化などが原因で締結ねじ
４が緩むことがなく、樹脂ケース１を長期間に亘り安定
した状態で締結固定できる。

【００１０】〔実施例２〕図２はこの発明の請求項２に
対応する応用実施例を示すものである。この実施例にお
いては、樹脂ケース１の取付座１ａの上面に、ねじ穴１
ｂを包囲して締結ねじ４のねじ頭が入り込む凹所１ｃ
（凹所の穴径はねじ頭４ａの直径よりも大）が形成され
ており、その底部に補強ブッシュ６の上端が突き出して
いる。

【００１１】かかる構成により、先記実施例１と同等な
機能が得られるほか、補強ブッシュ６の上端部が取付座
１ａから突き出すことがないので、製品の保管，取扱い
時に補強ブッシュ６に物が当たって変形するなどといっ
て不具合が回避できる。

【００１２】

【発明の効果】以上述べたように、この発明の構成によ
れば、樹脂ケースを取付け相手側の固定部にねじ止め固
定する際に、ねじの締め付け力応力が樹脂ケースの取付
座に加わることがなく、これにより従来構造のように樹
脂成形品に加わる応力に起因する機械的な劣化，締結ね
じの緩み発生を防止して過酷な使用環境の下でも長期間
安定した固定状態を維持できて製品の取付構造に対する
信頼性が向上する。

【００１３】また、補強ブッシュを樹脂ケースにインサ
ート形成する際には、補強ブッシュの厳格な寸法管理，
成形金型の型締め調整などの特別な配慮が不要でそれだ
け成形品の品質管理が楽になり、歩留りも向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例１に対応する樹脂パッケージ
の取付構造を表す断面図

【図２】この発明の実施例２に対応する樹脂パッケージ
の取付構造を表す断面図

【図３】この発明の実施対象として例示した圧力センサ
の外観図

【図４】従来における樹脂パッケージの取付構造を表す
断面図

【図５】図４の従来構造で樹脂パッケージの取付部に寸
法のばらつきが生じている場合の状態を表す図

【符号の説明】

１ 樹脂ケース １ａ 取付座 １ｂ ねじ穴 １ｃ 凹所 ４ 締結ねじ ４ａ ねじ頭 ５ 固定部 ６ 補強ブッシュ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電子部品などを実施対象に、樹脂成形品で
   作られた樹脂ケースの取付座に金属製の補強ブッシュを
   インサートしたねじ穴を設け、該ねじ穴に締結ねじを挿
   入して相手側の固定部にねじ止めしたものにおいて、補
   強ブッシュの高さ寸法を取付座のねじ穴深さよりも大に
   設定し、かつ取付座へのインサート位置で補強ブッシュ
   の端面を取付座の座面より突き出したことを特徴とする
   樹脂製パッケージの取付構造。
2. 【請求項２】請求項１記載の取付構造において、樹脂ケ
   ースの取付座の端面にねじ穴を包囲して締結ねじのねじ
   頭が入り込む凹所を形成したことを特徴とする樹脂製パ
   ッケージの取付構造。