JPH1030732A - 磁気シール機構 - Google Patents

磁気シール機構

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JPH1030732A
JPH1030732A JP8205386A JP20538696A JPH1030732A JP H1030732 A JPH1030732 A JP H1030732A JP 8205386 A JP8205386 A JP 8205386A JP 20538696 A JP20538696 A JP 20538696A JP H1030732 A JPH1030732 A JP H1030732A
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JP
Japan
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magnetic
magnet
sealing
magnetic fluid
seal mechanism
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Application number
JP8205386A
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English (en)
Inventor
Manabu Sakamoto
学 坂本
Takafumi Kuwazawa
隆文 桑沢
Masamichi Hayakawa
正通 早川
Yasuo Fujimori
安雄 藤森
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Nidec Instruments Corp
Original Assignee
Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Publication date
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  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の磁気特性を満足して磁性流体の漏出を
防止し、且つ低コストにて軸受部での磁性流体の減少に
よる焼き付き等を防止すると共に磁性流体の粘度上昇に
よる回転部材の回転抵抗の増大を防止する。 【解決手段】 シール用磁石23を、磁性粉末と耐磁性
流体性を有するバインダー樹脂とを備えたボンド磁石と
して射出成形により構成し、射出成形ボンド磁石23の
磁気特性を、圧縮成形ボンド磁石のそれに比して落ちる
が、所望の磁気特性を満足し得るように構成するように
し、且つボンド磁石23を射出成形にて成形することに
よって空孔を殆どなくすと共に混合されるバインダー樹
脂として耐磁性流体性を有しているものを用い、シール
用磁石23表面に耐磁性流体性被膜を設けなくとも、シ
ール用磁石23による磁性流体8の吸い込み及びゲル化
の防止を行い得るように構成してなるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気シール機構に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、モータ等の各種装置において、特
に高速回転に対応するために潤滑流体の動圧を利用した
動圧軸受装置が広く用いられつつある。例えば特開平7
−310734号公報等に記載の動圧軸受装置では、潤
滑流体として磁性流体を用い、この磁性流体の動圧を利
用して回転部材としての例えば回転軸を回転自在に支承
する構成になされていると共に、該磁性流体の外部への
漏出を防止するための磁気シール機構が付設されてい
る。
【0003】この特開平7−310734号公報等に記
載の磁気シール機構を有する例えばHDDスピンドルモ
ータの一例を表したのが図3である。図3に示される軸
回転型のHDDスピンドルモータは、フレーム1側に組
み付けられたステータ組と、このステータ組に対して軸
方向に組み付けられたロータ組とから構成されている。
【0004】上記フレーム1には、磁性材よりなる円筒
状の軸受ホルダー2が立設されており、この円筒状の軸
受ホルダー2の外周部に、巻線3が巻回されたステータ
コア4が装着されている。上記軸受ホルダー2の内周側
には、固定部材としての円筒状のラジアル軸受5が装着
されており、このラジアル軸受5内に回転部材としての
回転軸6が挿入配置されている。これら回転軸6及びラ
ジアル軸受5はそれぞれ磁性材よりなる。
【0005】この回転軸6とラジアル軸受5との周状対
向部位には、一対の動圧軸受部7,7が軸方向に並設さ
れており、これらの両動圧軸受部7,7を含む円筒状空
間内には磁性流体8が充填されている。上記各動圧軸受
部7における回転軸6の外周面及びラジアル軸受5の内
周面は、対向動圧面として構成されており、ラジアル軸
受5側の各動圧面及び回転軸6側の動圧面の少なくとも
一方に、動圧発生用のラジアルグルーブが形成されてい
る。そして、該ラジアルグルーブのポンピング作用によ
って発生される磁性流体8の動圧力により、ラジアル軸
受5に対して回転軸6が回転自在に支承されるように構
成されている。
【0006】上記回転軸6の図示上端部分には、ハブ9
が固着されている。このハブ9は、磁気ディスク等のメ
ディアを外周部に装着する中空円筒状の胴部9aを有し
ていると共に、この胴部9aの内周壁面に環状のバック
ヨーク11を介して環状の駆動マグネット12が装着さ
れている。そして、この駆動マグネット12は、前述し
たステータコア4の外周面に環状に対向するように配置
されている。
【0007】上記フレーム1の上記回転軸6に対向する
部分は、スラスト板18によって閉塞されている。この
スラスト板18と回転軸6との間には、上述した動圧軸
受部7内の磁性流体8が連続して一連に充填されてお
り、スラスト板18の図示上面及び回転軸6の図示下端
面の少なくとも一方に、動圧発生用のスラストグルーブ
が形成されている。そして、該スラストグルーブのポン
ピング作用によって発生される磁性流体8の動圧力によ
り、スラスト板18に対して回転軸6が浮上支持される
ように構成されている。
【0008】上記ラジアル軸受5における図示上端の開
口部(外部開放側)には、上記磁性流体8の外部漏出を
防止する中空円筒状のシール用磁石13が配置されてい
る。このシール用磁石13の外周壁面は、上記軸受ホル
ダー2の内周壁面に装着されたリング状の磁性ヨーク1
9に固着されており、内周壁面13aは、図3及び図4
に示されるように、回転軸6の外周壁面に対する半径方
向の距離が外部開放側(図示上方)に向かって連続的に
拡大するテーパ状の傾斜壁面に形成されて、当該シール
用磁石13の傾斜壁面13aの軸方向の所定位置まで、
上述した動圧軸受部7内の磁性流体8が連続して一連に
充填されている。このシール用磁石13は、磁性材料か
ら形成されていると共にラジアル方向(半径方向)に
N、S着磁が施されている。
【0009】すなわち、このシール用磁石13からの磁
束は、図4に示されるように、磁性材からなる回転軸
6、ラジアル軸受5、磁性ヨーク19を通る磁気回路を
形成して、回転軸6とシール用磁石13との間の磁性流
体8に対して作用すると共に、外方へ向かって拡大する
傾斜壁面13aによる隙間距離の変化に従って、回転軸
6とシール用磁石13との間に形成される磁束の密度
が、外部開放側に向かって徐々に粗となり、その結果、
磁性流体8が回転軸6とシール用磁石13との間に磁気
的に良好に保持されて外部開放側への漏出が防止される
構成になされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記磁気シ
ール機構のシール用磁石13としては、所定の磁性粉末
に結合材としての例えばエポキシ樹脂等のバインダー樹
脂を混合し圧縮成形して固めた所謂圧縮成形ボンド磁石
が採用されつつある。これは、圧縮成形により磁気特性
を所望に高め得るからである。
【0011】しかしながら、このような圧縮成形ボンド
磁石にあっては、以下の問題点があった。すなわち、当
該シール用磁石13が圧縮成形により多孔質となるた
め、多数の空孔に上記磁性流体8が吸い込まれてしま
い、軸受部での磁性流体8が減少して焼き付き等を起こ
すといった問題がある。
【0012】また、上記磁性流体8には、磁性体である
超微粒子を分散させるための所定の分散剤が混入されて
いるが、この分散剤に、上記シール用磁石13を圧縮成
形するために必要なバインダー樹脂からの溶出物または
劣化物が反応し、磁性流体8がゲル化して磁性流体8の
粘度が上がり回転軸6の回転抵抗が増大するといった問
題もある。
【0013】そこで、シール用磁石13の表面に、図4
に示されるように、所定の耐磁性流体性を有する被膜
(樹脂被膜等)10を形成し、この被膜10により、該
磁性流体8とシール用磁石13とを分離して当該シール
用磁石13による磁性流体8の吸い込みを防止すると共
に、磁性流体8のゲル化を抑止して磁性流体8の粘度上
昇を防止するといった提案がなされているが、このよう
な耐磁性流体性被膜10を設けると、高コスト化すると
いった問題がある。
【0014】また、上記シール用磁石13のテーパ状の
傾斜壁面13aは、上記圧縮成形だと寸法精度が出し難
く、作り難いといった問題もあった。
【0015】さらにまた、上記シール用磁石13を得る
場合には、先ず磁性粉末にバインダー樹脂を混合してコ
ンパウンド(混合粉)を生成し、次いでこのコンパウン
ドを圧縮成形して磁石素材を得、次いで削り加工を行
い、次いで上述した耐磁性流体性被膜10の塗装(モー
ルド)を行い、次いで精度を出すための削り出し加工を
行い、次いで洗浄を行うという製造工程となり、工程数
が多いと共に耐磁性流体性被膜10の形成後に精度を出
すための削り出し加工が必ず必要となるため、製造コス
トが高くなるといった問題もある。
【0016】そこで本発明は、所望の磁気特性を満足し
て磁性流体の漏出を防止できると共に、シール用磁石に
よる磁性流体の吸い込み及びゲル化の防止を耐磁性流体
性被膜を設けることなく低コストにて行うことができ、
且つシール用磁石の傾斜面を精度良く容易に成形でき、
しかも安価に製造できる磁気シール機構を提供すること
を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の磁気シール機構は、磁性材からなる対向
部材に対して傾斜面が対向するように配置されるシール
用磁石を備え、このシール用磁石により前記対向部材と
前記シール用磁石の傾斜面との間に介在する磁性流体の
漏出を防止するようにした磁気シール機構において、前
記シール用磁石を、磁性粉末と耐磁性流体性を有するバ
インダー樹脂とを備えたボンド磁石として射出成形によ
り構成したことを特徴としている。
【0018】このような請求項1の磁気シール機構によ
れば、シール用磁石が、磁性粉末と耐磁性流体性を有す
るバインダー樹脂とを備えたボンド磁石として射出成形
により構成されると、射出成形ボンド磁石の磁気特性
は、圧縮成形ボンド磁石のそれに比して落ちるが、所望
の磁気特性は満足される。また、射出成形ボンド磁石に
は空孔が殆どなく、しかも混合されるバインダー樹脂が
耐磁性流体性を有しているため、シール用磁石表面に耐
磁性流体性被膜を設けなくとも、シール用磁石による磁
性流体の吸い込み及びゲル化の防止がなされる。また、
射出成形によりシール用磁石を成形すると、その傾斜面
の寸法精度を出しやすく、作りやすくなる。また、シー
ル用磁石を射出成形により得る場合には、例えば磁性粉
末と耐磁性流体性を有するバインダー樹脂とを備えたペ
レットを射出成形し、次いでバレル処理を行った後に洗
浄を行うという製造工程が採用され得るが、このような
製造工程では、シール用磁石を圧縮成形により得る場合
に比して、工程数が減少されると共に削り出し加工が不
要にされる。
【0019】この時、上記磁気シール機構を適用する対
象としては種々考えられるが、請求項2に記載のよう
に、回転部材に形成された軸受面と固定部材に形成され
た軸受面とを対向配置し、前記軸受面間に充填した磁性
流体の動圧作用によって前記回転部材を回転自在に支承
する動圧軸受装置に適用することが考えられ、該磁気シ
ール機構を、前記軸受面間より開放側に設けることによ
って、当該磁気シール機構から開放側への磁性流体の漏
出が防止されるようになる。
【0020】上記目的を達成するために、請求項3の磁
気シール機構は、請求項1または2に加えて、磁性粉末
を、Nd(ネオジ)−Fe(鉄)−B(ボロン)とし、
その磁粉充填量を、85重量%〜95重量%としたこと
を特徴としている。
【0021】このような請求項3の磁気シール機構によ
れば、磁性粉末が、Nd(ネオジ)−Fe(鉄)−B
(ボロン)にされると、磁性粉末が、他の磁性粉末とし
て例えば交換スプリング磁粉にされた場合に比して、シ
ール用磁石の磁気特性が向上されるようになる。また、
磁粉充填量が85重量%〜95重量%にされると、85
重量%未満にされた場合の磁気特性の悪化、95重量%
より多くされた場合の成形不可という問題がなく、所望
の磁気特性が得られるようになる。また、Nd−Fe−
Bを磁性粉末とした圧縮成形ボンド磁石は錆びやすい
が、Nd−Fe−Bを磁性粉末とした射出成形ボンド磁
石とすると、磁粉がバインダー樹脂で覆われるため、防
錆処理を行う必要がない。
【0022】この時、耐磁性流体性を有するバインダー
樹脂としては種々考えられるが、請求項4に記載のよう
に、ナイロンまたはPPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)が採用され得る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。本発明の適用形態としては図
3に示したHDDスピンドルモータがあるが、当該モー
タの全体構造は従来技術の欄で既に説明したので省略す
ることとし、以下、該モータに適用された磁気シール機
構に関する実施形態を説明する。
【0024】図1に示されている磁気シール機構では、
図3及び図4に示したシール用磁石と略同様な形状のシ
ール用磁石23が、磁性粉末と耐磁性流体性を有するバ
インダー樹脂とを備えたボンド磁石として射出成形によ
り構成されている。
【0025】このようなシール用磁石23は、以下の手
順にて得られる。すなわち、先ず磁性粉末と耐磁性流体
性を有するバインダー樹脂とを含有したペレットを用意
する。このペレットとしては、本実施形態においては、
例えばMQI社製の商品名MQP−B磁性粉末と所定の
耐磁性流体性を有するバインダー樹脂とを含有した住友
金属鉱山製の商品名N6Hが用いられている。上記MQ
P−B磁性粉末とは、Nd(ネオジ)−Fe(鉄)−B
(ボロン)系希土類ボンド磁石用の磁性粉末のことであ
り、このNd−Fe−B磁粉充填量は、85重量%〜9
5重量%となっている。
【0026】また、上記軸受部に充填される磁性流体8
としては、例えばタイホウ工業株式会社製の商品名PA
35(ベースオイルがポリアルファオレフィン)または
(株)フェローテック製の商品名CFF100A(ベー
スオイルがエステル)等が用いられているため、これら
に対しての耐磁性流体性を有するバインダー樹脂とし
て、低温用途(約120°Cまで)には例えばナイロン
12をベースとしたものを用いるのが好ましく、高温用
途(約200°Cまで)には例えばPPS(ポリフェニ
レンサルファイド)をベースとしたものを用いるのが好
ましい。
【0027】そして、上記N6Hを射出成形してシール
用磁石素材を得る。そうしたら、エッジ部のバリ取りや
表面形状を整えるためのバレル処理を行い、次いでバレ
ル時の異物を除去するための洗浄を行い、ラジアル方向
(半径方向)にN、S着磁を施せば、図1に示したシー
ル用磁石23が得られることになる。
【0028】このようにして成形されたシール用磁石2
3では、図3及び図4にて説明したように、その磁束
が、磁性材からなる回転軸6、ラジアル軸受5、磁性ヨ
ーク19を通る磁気回路を形成して、回転軸6とシール
用磁石23との間の磁性流体8に対して作用すると共
に、外方へ向かって拡大する傾斜壁面23aによる隙間
距離の変化に従って、回転軸6とシール用磁石23との
間に形成される磁束の密度が、外部開放側に向かって徐
々に粗となるため、磁性流体8が回転軸6とシール用磁
石23との間に磁気的に良好に保持されて外部開放側へ
の漏出が防止されるようになっている。
【0029】また、磁性流体8が外部開放側(図示上
方)へ移動しようとするに伴って、外方へ向かって拡大
する傾斜壁面23aにより液面曲率が徐々に小さくなる
ため、この曲率変化が液面移動の抵抗となって、磁性流
体8の外部開放側への漏出がさらに防止されるようにな
っている。
【0030】この時、上記シール用磁石23は、射出成
形にて成形されているため、粉体の粒径が200μm以
下と小さく且つ空孔がバインダー樹脂で埋められ、空孔
が殆どない状態となっている。従って、シール用磁石2
3による磁性流体8の吸い込みはなく、軸受部での磁性
流体8の減少による焼き付き等が防止されるようになっ
ている。因に、圧縮成形ボンド磁石では、粉体の粒径が
500μm以下で空孔が多数存在することになる。
【0031】また、混合されるバインダー樹脂として上
述したような耐磁性流体性を有しているものを用いてい
るため、ゲル化を防止できて、磁性流体8の粘度上昇に
よる回転軸6の回転抵抗の増大を防止できるようになっ
ている。
【0032】すなわち、図4で説明したような耐磁性流
体性を有する被膜10を設けなくても、シール用磁石2
3による磁性流体8の吸い込み及びゲル化を防止できる
ようになっている。
【0033】また、上述のように、射出成形によりシー
ル用磁石23を成形するようにしているため、その傾斜
面23aの寸法精度を出しやすく、作りやすくなってお
り、該シール用磁石23を精度良く容易に成形できるよ
うになっている。また、射出成形の工法上、多数個を一
度に生産でき、生産性を向上できるようにもなってい
る。
【0034】また、上述したような製造工程によりシー
ル用磁石23を製造し得るため、該シール用磁石を圧縮
成形により得る場合に比して、工程数を減少できると共
に削り出し加工を不要でき、安価に製造できるようにな
っている。
【0035】また、Nd−Fe−B磁粉充填量を、上述
のように、85重量%〜95重量%にしているため、所
望の磁気特性を得ることができるようになっている。因
に、磁粉充填量を85重量%未満にすると磁気特性が悪
化し、95重量%より多くすると成形ができなくなる。
【0036】また、Nd−Fe−Bを磁性粉末とした圧
縮成形ボンド磁石は錆びやすく、表面に防錆塗装膜等を
形成する必要があるが、本実施形態のようなNd−Fe
−Bを磁性粉末とした射出成形ボンド磁石は、磁粉がバ
インダー樹脂で覆われる構成となるため、表面に防錆塗
装膜等を形成しなくとも錆難くなっている。
【0037】ここで、本発明者は、射出成形ボンド磁石
23の磁気特性が満足いくと共に、このシール用磁石2
3と回転軸6との間に保持されている磁性流体8の外部
への漏出を防止できるということを実験により確認し
た。その結果を表したのが図2である。
【0038】図2は、上記シール用磁石に対する磁束を
横軸とし、NG衝撃値を縦軸として、これらの関係を成
形法及び磁石素材をパラメータとして表したものであ
る。ここでいうNG衝撃値とは、どのくらいの衝撃で回
転軸6とシール用磁石23との間に保持されている磁性
流体8が飛び出すかという指標であり、図中四角印は、
磁性粉末をNd−Fe−Bとしバインダー樹脂を上述し
た耐磁性流体性を有するものとして射出成形したもの
(Nd−Fe−B磁粉充填量=85重量%〜95重量
%)、すなわち本実施形態で用いられているシール用磁
石23を表し、図中丸印は、磁性粉末をNd−Fe−B
とし例えばエポキシ樹脂等のバインダー樹脂を混合して
圧縮成形したものを表し、図中三角印は、磁性粉末を交
換スプリング磁性粉末として例えば住友特殊金属製の商
品名SP360としバインダー樹脂を上述した耐磁性流
体性を有するものとして射出成形したもの(交換スプリ
ング磁性粉末充填量=85重量%〜95重量%)を表し
ている。
【0039】ここで、図中、NG衝撃値200G以上が
磁性流体8の漏出防止レベルであり、磁束0.3KMx
以上が磁気特性を満足させるレベルである。図より明ら
かなように、射出成形ボンド磁石(図中の四角、三角
印)は、従来技術で説明した圧縮成形ボンド磁石(図中
の丸印)に比して、その磁気特性及びNG衝撃値は多少
劣っているが満足いくレベルとなっている。
【0040】このように、本実施形態のシール用磁石2
3により所望の磁気特性が得られると共に、シール用磁
石23と回転軸6との間に保持されている磁性流体8の
外部への漏出を防止し得ることが確認できる。
【0041】なお、上記シール用磁石23を、磁性粉末
をNd−Fe−Bとしバインダー樹脂を上述した耐磁性
流体性を有するものとして射出成形したもの(図中の四
角印)に代えて、磁性粉末を交換スプリング磁性粉末と
しバインダー樹脂を上述した耐磁性流体性を有するもの
として射出成形したもの(図中の三角印)としても、所
望の磁気特性が得られると共に、シール用磁石と回転軸
6との間に保持されている磁性流体8の外部への漏出を
防止できることになる。この時、磁性粉末を交換スプリ
ング磁性粉末としたものは、磁性粉末をNd−Fe−B
としたものに比して、その磁気特性が多少落ちることに
なる。
【0042】以上本発明者によってなされた発明を実施
形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形
態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範
囲で種々変形可能であるというのはいうまでもなく、例
えば、上記実施形態においては、シール用磁石23を固
定部材側に固着しているが、開放側に向かって小径とな
る傾斜面23aを外周面に形成するようにして回転軸6
に固着し、この傾斜面と対向する固定部材(磁性材)と
の間で磁性流体8を保持するようにすることも可能であ
る。すなわち、本発明の磁気シール機構は、回転部材、
固定部材の何れに固定することも可能である。
【0043】また、上記実施形態の磁気シール機構を、
潤滑流体として磁性流体を用いた磁気シール機構とし
て、ディスク以外の例えばポリゴンミラー等の各種回転
板を回転駆動するためのモータ、軸を固定として軸受が
回転する所謂軸固定型のモータ、さらにはモータ以外の
装置に対しても適用することができる。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1の磁気シー
ル機構は、シール用磁石を、磁性粉末と耐磁性流体性を
有するバインダー樹脂とを備えたボンド磁石として射出
成形により構成し、射出成形ボンド磁石の磁気特性を、
圧縮成形ボンド磁石のそれに比して落ちるが、所望の磁
気特性を満足し得るように構成したものであるから、シ
ール用磁石の傾斜面と対向部材との間に介在する磁性流
体の漏出を防止することが可能となる。また、ボンド磁
石を射出成形にて成形することによって空孔を殆どなく
すと共に、混合されるバインダー樹脂として耐磁性流体
性を有しているものを用い、シール用磁石表面に耐磁性
流体性被膜を設けなくとも、シール用磁石による磁性流
体の吸い込み及びゲル化の防止を行い得るように構成し
たものであるから、低コストにて、軸受部での磁性流体
の減少による焼き付き等を防止できると共に磁性流体の
粘度上昇による回転部材の回転抵抗の増大を防止するこ
とが可能となる。また、射出成形によりシール用磁石を
成形するようにし、その傾斜面の寸法精度を出しやす
く、作りやすくし得るように構成したものであるから、
該シール用磁石を精度良く容易に成形することが可能と
なる。また、射出成形によりシール用磁石を成形するよ
うにし、例えば磁性粉末と耐磁性流体性を有するバイン
ダー樹脂とを備えたペレットを射出成形し、次いでバレ
ル処理を行った後に洗浄を行うという製造工程を採用し
て、シール用磁石を圧縮成形により得る場合に比して、
工程数を減少すると共に削り出し加工を不要にし得るよ
うに構成したものであるから、安価に製造することが可
能となる。
【0045】この時、上記磁気シール機構を適用する対
象としては種々考えられるが、請求項2に記載のよう
に、回転部材に形成された軸受面と固定部材に形成され
た軸受面とを対向配置し、前記軸受面間に充填した磁性
流体の動圧作用によって前記回転部材を回転自在に支承
する動圧軸受装置に適用し、該磁気シール機構を、前記
軸受面間より開放側に設けることによって、当該磁気シ
ール機構から開放側への磁性流体の漏出を防止できる。
【0046】また、請求項3の磁気シール機構は、磁性
粉末を、Nd(ネオジ)−Fe(鉄)−B(ボロン)と
し、磁性粉末を、他の磁性粉末として例えば交換スプリ
ング磁粉とした場合に比して、シール用磁石の磁気特性
を向上し得るように構成したものであるから、上述した
効果を一層高めることが可能となる。また、磁粉充填量
を85重量%〜95重量%とし、85重量%未満とした
場合の磁気特性の悪化、95重量%より多くした場合の
成形不可という問題をなくしつつ、所望の磁気特性を得
るように構成したものであるから、上述した効果を一層
高めることが可能となる。また、Nd−Fe−Bを磁性
粉末とすると共に磁粉がバインダー樹脂で覆われる射出
成形ボンド磁石とし、防錆塗装膜等を形成しなくとも錆
難くし得るように構成したものであるから、上述した効
果を一層高めることが可能となる。
【0047】この時、耐磁性流体性を有するバインダー
樹脂としては種々考えられるが、請求項4に記載のよう
に、ナイロンまたはPPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における磁気シール機構を表
した横断面図である。
【図2】同上磁気シール機構に用いられるシール用磁石
に対する磁束とNG衝撃値との関係を成形法及び磁石素
材をパラメータとして表した関係図である。
【図3】従来技術における磁気シール機構を有するHD
Dスピンドルモータを表した半横断面図である。
【図4】図3中の磁気シール機構を表した半横断面図で
ある。
【符号の説明】
5 固定部材 6 対向部材(回転部材) 7 軸受部 8 磁性流体 23 シール用磁石 23a 傾斜面
フロントページの続き (72)発明者 藤森 安雄 長野県諏訪郡下諏訪町5329番地 株式会社 三協精機製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材からなる対向部材に対して傾斜面
    が対向するように配置されるシール用磁石を備え、この
    シール用磁石により前記対向部材と前記シール用磁石の
    傾斜面との間に介在する磁性流体の漏出を防止するよう
    にした磁気シール機構において、 前記シール用磁石を、磁性粉末と耐磁性流体性を有する
    バインダー樹脂とを備えたボンド磁石として射出成形に
    より構成したことを特徴とする磁気シール機構。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気シール機構を、 回転部材に形成された軸受面と固定部材に形成された軸
    受面とを対向配置し、前記軸受面間に充填した磁性流体
    の動圧作用によって前記回転部材を回転自在に支承する
    動圧軸受装置に適用し、 該磁気シール機構を、前記軸受面間より開放側に設けて
    当該磁気シール機構から開放側への磁性流体の漏出を防
    止することを特徴とする磁気シール機構。
  3. 【請求項3】 磁性粉末は、Nd(ネオジ)−Fe
    (鉄)−B(ボロン)であり、 その磁粉充填量を、85重量%〜95重量%としたこと
    を特徴とする請求項1または2記載の磁気シール機構。
  4. 【請求項4】 耐磁性流体性を有するバインダー樹脂
    を、ナイロンまたはPPS(ポリフェニレンサルファイ
    ド)としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一
    つに記載の磁気シール機構。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090279819A1 (en) * 2006-03-20 2009-11-12 Ntn Corporation Fluid dynamic bearing device
CN112431925A (zh) * 2020-11-23 2021-03-02 清华大学 磁性液体复合密封装置
US11261972B1 (en) 2020-11-23 2022-03-01 Tsinghua University Combined sealing device with magnetic fluid

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CN112431925A (zh) * 2020-11-23 2021-03-02 清华大学 磁性液体复合密封装置
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