JPH1030136A - 焼結チタン合金の製造方法 - Google Patents

焼結チタン合金の製造方法

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JPH1030136A
JPH1030136A JP8185105A JP18510596A JPH1030136A JP H1030136 A JPH1030136 A JP H1030136A JP 8185105 A JP8185105 A JP 8185105A JP 18510596 A JP18510596 A JP 18510596A JP H1030136 A JPH1030136 A JP H1030136A
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titanium
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Toshiya Yamaguchi
登士也 山口
Eisuke Hoshina
栄介 保科
Kazuhiko Takahashi
和彦 高橋
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼結チタン合金の密度を向上させるのに有利で
あり、成形体の焼き付きを抑制するのに有利な焼結チタ
ン合金の製造方法を提供すること。 【解決手段】この製造方法は、チタン粉末(水素化脱水
素チタン粉末)と水素化チタン粉末とが混合され水素化
チタン粉末が重量比で75%以上配合された混合粉末、
もしくは、水素化チタン粉末が実質的に100%のいず
れかからなるチタン原料粉末を用いる。このチタン原料
粉末と合金粉末とを混合した混合粉末を用い、その混合
粉末を成形して成形体を成形し、その成形体を脱水素処
理、焼結処理する。混合粉末には、TiB2粉末を混合
することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼結チタン合金の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、焼結チタン合金の製造方法と
して、純チタン粉末と水素化チタン粉末とが混合され水
素化チタンの割合が重量比で10〜75%未満とされた
チタン原料粉末を用い、そのチタン原料粉末を成形して
成形体を形成し、その成形体を焼結して焼結チタン合金
を得る技術が知られている(特開平6−88153号公
報)。この水素化チタン粉末の粒径は25ミクロン以下
であり、微小とされている。
【0003】また焼結チタン合金の製造方法として、純
チタン粉末、(Ti−H)合金粉末、水素化チタン粉末
を、質量比で水素:チタン=0.02〜0.030とな
るように混合したチタン原料粉末を用いた技術が知られ
ている(特開平6−33615号公報)。また特開昭6
3−203733号公報には、TiH2 粉末とNi粉末
とを主原料とするチタン原料粉末を用い、その粉末を筒
体内に充填した後に、筒体内を吸引しながら、800〜
1200℃に加熱し、その後、筒体を押し出し加工また
は鍛造加工する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報技術によれ
ば、水素化チタン粉末を原料として焼結チタン合金を製
造している。このような焼結チタン合金では、密度は必
ずしも充分ではない。特に圧粉体である成形体の密度が
低下し、ひいては、その成形体を焼結した焼結チタン合
金の密度も低下する。その理由は、純度の高いチタン粉
末に比較して水素化チタン粉末の比重が低いためである
と推察される。
【0005】また、純チタン粉末を原料とする焼結チタ
ン合金を製造する技術では、圧粉体である成形体が金型
で圧縮成形される際に、成形体が金型の型面に焼き付く
おそれがあった。純チタン粉末の反応性が高いため、圧
縮成形の際に純チタン粉末が金型と凝着しやすいため、
焼き付きが起こり易いからである。本発明は上記した実
情に鑑みなされたものであり、その課題は、焼結チタン
合金の密度を向上させるのに有利であり、圧粉成形時の
成形体の焼き付きを抑制するのに有利な焼結チタン合金
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記した目的
のもとに鋭意開発を進めた。そして、圧粉体で成形体を
構成する成形体を構成するチタン原料粉末のうち、水素
化チタン粉末が占める割合が少ない場合には、水素化チ
タン粉末の添加につれて、成形体の密度が低下する。更
に成形体の密度低下に起因して、焼結チタン合金の密度
が低下する。しかしながら水素化チタン粉末の割合をさ
らに増加していけば、成形体の密度は低下するものの、
その成形体を焼結した焼結チタン合金の密度が増加する
ことを本発明者は知見し、試験で確認し、この知見に基
づいて本発明方法を完成した。
【0007】即ち、請求項1に係る焼結チタン合金の製
造方法は、チタン粉末と水素化チタン粉末とが混合され
水素化チタン粉末が重量比で75%以上配合された混合
粉末、もしくは、水素化チタン粉末が実質的に100%
のいずれかからなるチタン原料粉末と、合金粉末とを混
合した混合粉末を用い、その混合粉末を成形して成形体
を成形し、その成形体を脱水素処理、焼結処理すること
を特徴とするものである。
【0008】請求項2に係る焼結チタン合金の製造方法
は、チタン粉末と水素化チタン粉末とが混合され水素化
チタン粉末が重量比で25%以上配合され且つチタン粉
末及び水素化チタン粉末の平均粒径が35〜100ミク
ロンの混合粉末からなるチタン原料粉末と、合金粉末と
を混合した混合粉末を用い、混合粉末を成形して成形体
を成形し、前記成形体を脱水素処理、焼結処理すること
を特徴とするものである。
【0009】請求項3に係る焼結チタン合金の製造方法
は、請求項1または2において、更に混合粉末には、ホ
ウ素源粉末を混合することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明方法に係る焼結チタン合金
を製造するチタン原料粉末としては、チタン粉末と水素
化チタン粉末とが混合した混合粉末を採用できる。請求
項1に係る混合粉末では、高密度の焼結チタン合金を得
ることを考慮して、水素化チタン粉末を重量比で75%
以上に配合する。この場合には用途等に応じて、水素化
チタン粉末の配合割合は80%以上、90%以上、95
%以上と選択できる。
【0011】また請求項1に係るチタン粉末としては、
水素化チタン粉末が実質的に100%、つまり実質的に
水素化チタン粉末のみのものを採用しても良い。請求項
1に係る方法によれば、水素化チタン粉末の割合が多い
ので、圧粉体である成形体の密度は低下するものの、そ
の成形体を焼結した焼結チタン合金の相対密度が向上す
る。なお相対密度とはチタン合金の理論密度に対する値
をいう。
【0012】請求項2に係る混合粉末では、後述する図
4や図6で示すように水素化チタン粉末の割合が25%
を越えたあたりから、焼結チタン合金の密度が急に向上
することを考慮し、水素化チタン粉末を重量比で25%
以上に配合する。また請求項2よれば、チタン粉末及び
水素化チタン粉末の平均粒径が35〜100ミクロンで
あり、比較的大きめに規定されているため、延性に悪影
響を与える焼結チタン合金の酸素量を抑制するのに有利
である。更に粒径が比較的大きめに規定されているた
め、混合粉末を金型のキャビティに装入する際の粉末流
動性が確保される。
【0013】一般的には、水素化チタン粉末としては、
重量比で3.0%以上の水素が含まれているものを用い
る。この水素化チタン粉末の大部分がTiH2が占め
る。本発明方法で用いるチタン粉末としては、純チタン
粉末なかでも水素化脱水素チタン粉末が好ましい。水素
化脱水素チタン粉末は、水素化チタン粉末を脱水素処理
したものである。
【0014】ちなみにチタンは延性が良好であるため、
通常の機械的方法では粉砕が困難である。このため一般
的にはチタンを水素化により脆化させた後に粉砕し、更
にそれを脱水素処理した水素化脱水素チタン粉末がチタ
ン粉末として用いられる。請求項1に係る水素化チタン
粉末の平均粒径は、例えば15〜100ミクロン、特に
15〜70ミクロンにできる。請求項1に係るチタン粉
末を構成する水素化脱水素チタン粉末の平均粒径は、例
えば15〜100ミクロン、特に15〜70ミクロンに
できる。
【0015】本発明方法によればチタン原料粉末の成形
性を向上させるために、チタン原料粉末に潤滑剤を添加
することもできる。潤滑剤としては、ステアリン酸亜
鉛、金属石鹸等を公知のもの採用できる。潤滑剤の割合
は、その種類やチタン原料粉末に応じて選択できるもの
の、たとえばチタン原料粉末と合金粉末とが混合した混
合粉末に対して重量比で0.3〜5%、特に0.3〜1
%にできる。
【0016】請求項3の本発明方法に係る混合粉末には
強化材を添加することもできる。強化材としてはホウ素
源粉末、たとえばTiB2粉末、ZrB2粉末、MoB粉末、B
粉末等を採用できる。これらの強化材は焼結時にTiと
反応しTiB粒子を生成させて、焼結チタン合金の強
度、耐摩耗性を向上させる。焼結後のTiB粒子の割合
は体積比で1〜30%にできる。TiBの量は焼結条件
によって変化するので、適宜原料粉末の量を調整する。
【0017】請求項3に係る方法によれば混合粉末にT
iB2粉末などを混合しているので、成形体の成形性や
焼結性が低下して焼結チタン合金の密度が低下するおそ
れがあるが、焼結性向上効果をもつ水素化チタン粉末が
用いられているため、焼結性が確保される。
【0018】
【実施例】以下、本発明方法の実施例を説明する。 (実施例1)本実施例ではチタン粉末として、100メ
ッシュアンダーの水素化脱水素チタン粉末(平均粒径:
60〜70ミクロン)を用いた。これは純チタン粉末と
して機能する。更に100メッシュアンダーの水素化チ
タン粉末(平均粒径:60〜70ミクロン)を用いた。
この水素化チタン粉末の大部分がTiH2が占める。
【0019】上記したように本実施例では水素化チタン
粉末の平均粒径と、純チタン粉末つまり水素化脱水素チ
タン粉末の平均粒径とが同サイズレベルである。上記し
た両者を次の(1)〜(5)の配合割合でチタン原料粉
末として調合した。即ち、水素化脱水素チタン粉末:水
素化チタン粉末の配合割合は、重量比で次である。
【0020】(1)100:0 (2)75:25 (3)50:50 (4)25:75 (5)0:100 すなわち本実施例では純チタン粉末である水素化脱水素
チタン粉末が100%のときについても、水素化チタン
粉末が100%のときについても試験した。
【0021】そして、焼結後の焼結チタン合金の目標組
成が重量比でTi−6%Al−4%Vとなるように、こ
のチタン原料粉末と合金粉末とを混合して混合粉末とし
た。この合金粉末としては330メッシュアンダー(平
均粒径:10ミクロン)のAl−40V組成の合金粉末
を用いた。本実施例では、直径16mmの円筒形状の成
形キャビティを備えた超硬合金製の金型を用い、この混
合粉末を面圧4トンで金型で圧縮成形し、丸棒状の圧粉
体である成形体を得た。その後、成形体を金型から取り
出した。このときの成形体の相対密度、成形体を金型か
ら抜き出す抜き出し力を測定した。成形体の相対密度の
試験結果を図1に示し、抜き出し力を図2に示した。
【0022】次に、10-5Torrの真空雰囲気で、後
述する加熱パターンにより成形体を加熱し、1300℃
×2時間の焼結を行ない、焼結チタン合金を形成した。
この加熱パターンを図3に示す。図3に示すように25
0℃×30分間→800℃×30分間→1300℃×2
時間(本焼結)とした。この加熱パターンにおいて、成
形体中の水素化チタン粉末は、脱水素処理される。
【0023】焼結した焼結チタン合金の相対密度を測定
した。上記した各試験結果について説明を加える。図1
の横軸はチタン合金粉末で占める水素化チタン粉末の割
合[wt%]を示し、縦軸は成形体の密度を示す。図1
の特性線A1に示すように、水素化チタン粉末の占める
割合が増加すれば、成形体の密度は次第に低下する。純
チタン粉末に比較して、水素化チタン粉末の比重が小さ
いからである。水素化チタン粉末が100%のときに
は、成形体の強度がかなり小さくなるので、成形体のハ
ンドリング操作に注意を要する。
【0024】図2の横軸はチタン合金粉末で占める水素
化チタン粉末の割合[wt%]を示し、縦軸は抜き出し
力を示す。成形体の抜き出しの際にダイス型を押し下げ
て行い、(ダイス型を押し下げる際の荷重/成形体の側
面積)を求め、これを抜き出し力とした。図2の特性線
B1に示すように、チタン原料粉末に占める水素化チタ
ン粉末が0%のとき、つまり水素化脱水素チタン粉末が
100%のときには、成形体の抜き出し力はかなり大き
かった。純チタン粉末である水素化脱水素チタン粉末は
反応性が大きく、圧縮成型の際に金型の型面に凝着し易
いからである。
【0025】しかし図2の特性線B1から理解できるよ
うに、水素化チタン粉末の割合が増加すれば、成形体の
抜き出し力は次第に低下する。水素化チタン粉末の割合
が75%あたりで、成形体の抜き出し力はほぼ飽和す
る。図4の横軸はチタン原料粉末に占める水素化チタン
粉末の割合[wt%]を示し、縦軸は焼結チタン合金の
相対密度[%]を示す。図4に示す特性線C1は水素化
チタン粉末が100メッシュアンダーのときの試験結果
を示す。特性線D1は水素化チタン粉末が330メッシ
ュアンダー(平均粒径:20ミクロン)のときの試験結
果を示す。
【0026】図4の特性線C1、特性線D1の双方から
理解できるように、チタン原料粉末で占める水素化チタ
ン粉末の割合が少ないときには、水素化チタン粉末の添
加につれて焼結チタン合金の相対密度が小さくなるもの
の、水素化チタン粉末の割合が25%以上となれば、焼
結チタン合金の相対密度は次第に向上する。特に焼結チ
タン合金を構成するチタン原料粉末に占める水素化チタ
ン粉末の割合が重量比で75%以上であれば、焼結チタ
ン合金がいっそう高密度化する。故に、98%以上の相
対密度をもつ焼結チタン合金を得るのに有利である。
【0027】図4の特性線C1から理解できるように、
焼結チタン合金の相対密度向上効果は、水素化チタン粉
末の粒径が微小(330メッシュアンダー=平均粒径2
0ミクロン)である場合よりも、比較的大きめ(100
メッシュアンダー=平均粒径60〜70ミクロン)であ
る場合のほうが、大きいことがわかる。さて、上記した
ように水素化チタン粉末を用いた場合には、図1の試験
結果から理解できるように圧粉体である成形体の密度は
低下する傾向がある。特に水素化チタン粉末の割合が増
せば増すほど、成形体の密度は低下する傾向がある。そ
れにも関わらず、上記したように成形体を成形した焼結
チタン合金の相対密度が高くなるのは、次のように推察
される。すなわち、成形体が加熱される際に、成形体中
の水素化チタン粉末の粒子から水素が放出される。従っ
て粉末粒子に酸化膜が残留していたとしても、その酸化
膜が水素により還元され、焼結性が向上するためと推察
される。水素化チタン粉末の割合が少量であれば、水素
化チタン粉末の添加による成形体の密度低下の影響が大
きく、かつ焼結性向上効果は少なく、従って水素化チタ
ン粉末が少量であれば焼結チタン合金の密度向上効果
は、基本的には得られない。しかしながら水素化チタン
粉末の割合が25%以上に増加すれば、水素化チタン粉
末添加による焼結性向上効果が大きくなり、特に75%
以上に増加すれば、水素化チタン粉末添加による焼結性
向上効果が特に大きくあらわれ、焼結チタン合金におけ
る密度が増大する。
【0028】(実施例2)実施例2は基本的には実施例
1と同様である。即ち、実施例2では、チタン粉末とし
て100メッシュアンダーの水素化脱水素チタン粉末を
用いた。更に100メッシュアンダーの水素化チタン粉
末を用いた。両者を重量比で次の(1)〜(5)のよう
に配合してチタン原料粉末を調合した。
【0029】(1)100:0 (2)75:25 (3)50:50 (4)25:75 (5)0:100 即ち、実施例2についても実施例1と同様に、純チタン
粉末である水素化脱水素チタン粉末が100%のとき、
水素化チタン粉末が100%のときについても試験し
た。
【0030】そして、焼結後の目標組成が重量比でTi
−6%Al−4%Vとなるようにこのチタン原料粉末と
合金粉末とを混合して混合粉末とした。合金粉末として
は330メッシュアンダーのAl−40V組成の合金粉
末を用いた。さらに焼結チタン合金においてTiBが1
0体積%となるように、強化材として、平均粒径4ミク
ロンのTiB2粉末を配合した。
【0031】実施例2においても実施例1と同様に、直
径16mmの成形キャビティを備えた超硬合金製の金型
を用い、この混合粉末を面圧4トンで圧縮成形し、丸棒
状の圧粉体である成形体を得た。その後、成形体を金型
から取り出した。このときの成形体の密度、成形体を金
型から抜き出す抜き出し力を測定した。抜き出し力の試
験結果を図5に示した。
【0032】図5の特性線B2に示すように、水素化チ
タン粉末が0%のときには、つまり純チタン粉末である
水素化脱水素チタン粉末が100%のときには抜き出し
力は大きかったが、水素化チタン粉末の配合割合が増加
すれば、抜き出し力は次第に低下し、75%あたりで飽
和した。次に上記した加熱パターンに従い、成形体を1
-5Torrの真空雰囲気で1300℃で16時間の加
熱を行い、焼結チタン合金を形成した。焼結パターン
は、図3に示すように250℃×30分間→800℃×
30分間→1300℃×16時間(本焼結)である。実
施例1の場合よりも本焼結の時間が16時間と実施例1
よりも長いのは、焼結性を低下させるTiB2粉末が混
合されているからである。
【0033】本焼結に至るまでの加熱で、成形体中の水
素化チタン粉末は脱水素処理される。実施例2に係る焼
結後の焼結チタン合金の相対密度を測定し、これを図6
に示した。図6において特性線C2は水素化チタン粉末
が100メッシュアンダーのときの試験結果を示し、特
性線D2は水素化チタン粉末が330メッシュアンダー
のときの試験結果を示す。図6の特性線C2、特性線D
2から理解できるように、水素化チタン粉末の割合が少
ないときには相対密度が小さいものの、水素化チタン粉
末の割合がある程度以上つまり25%以上に増加すれ
ば、焼結チタン合金の相対密度は向上する。特にチタン
原料粉末に占める水素化チタン粉末の割合が75%以上
であれば、高密度化した焼結チタン合金が得られる。故
に、97%以上の相対密度をもつ焼結チタン合金を得る
のに有利である。
【0034】(実施例3)実施例3は基本的には実施例
1と同様である。即ち、実施例3では、チタン粉末とし
て100メッシュアンダーの水素化脱水素チタン粉末を
用いた。更に100メッシュアンダーの水素化チタン粉
末を用いた。両者を次の(1)(2)のような割合で配
合してチタン原料粉末を調合した。即ち、水素化脱水素
チタン粉末:水素化チタン粉末は重量比で次の(1)
(2)のように調合した。
【0035】(1)25:75(2)0:100 そして、焼結後の目標組成が重量比でTi−6%Al−
4%Vとなるようにこのチタン原料粉末と合金粉末とを
混合し、混合粉末を得た。合金粉末としては330メッ
シュアンダーのAl−40V組成の合金粉末を用いた。
さらに本実施例では、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を
添加した。添加量は混合粉末に対して0〜5wt%の範
囲で調整した。
【0036】そして実施例1と同様に、直径16mmの
円筒形状の成形キャビティを備えた超硬合金製の金型を
用い、この混合粉末を面圧4トンで圧縮成形し、丸棒状
の圧粉体である成形体を得た。その後、成形体を金型か
ら取り出した。このとき成形体を金型から抜き出す抜き
出し力を測定した。抜き出し力を図7に示した。図7の
横軸はステアリン酸亜鉛の添加量を示し、縦軸は抜き出
し力を示す。図7の特性線E1は水素化チタン粉末が重
量比で75%のときの試験結果を示し、特性線F1は水
素化チタン粉末が100%のときの試験結果を示す。図
7の特性線E1、F1から理解できるように、ステアリ
ン酸亜鉛の添加量が0.3wt%程度で成形体の抜き出
し力が大幅に低下した。
【0037】次に、10-4Torrの真空雰囲気で30
0〜600℃、30分間〜5時間の条件で成形体を加熱
し、成形体中のステアリン酸亜鉛を蒸散させる脱ワック
ス処理を行った。その後、10-5Torrの真空雰囲気
で1300℃×2時間の条件で成形体を加熱し、焼結を
行った。成形体中の水素化チタン粉末の脱水素処理が実
行中であるにも関わらず、脱ワックス処理が未完了であ
ると、脱水素化したチタン粒子の表面に炭素や酸素等の
脱ワックス成分が付着してそのチタン粒子が汚染され、
焼結性が損なわれるおそれがある。一般的には成形体中
の水素化チタン粉末粒子の脱水素処理は基本的には60
0℃あたりで始まり、800℃を越えた温度領域から脱
水素量が急激に増加する。従って実施例3によれば脱水
素量が増大する前に、脱ワックス処理を終えるようにし
ている。そのため、脱水素化したチタン粒子の脱ワック
ス成分による汚染を抑制するのに有利である。
【0038】(他の試験)酸素量が多い場合には焼結チ
タン合金の延性が低下するおそれがある。そこで実施例
1において、水素化チタン粉末の配合割合を変えた場合
における水素化チタン粉末の割合と、焼結チタン合金に
含まれる酸素量との関係を求めた。この場合には100
メッシュアンダーの水素化脱水素チタン粉末つまり純チ
タン粉末の酸素量は重量比で0.12%であり、100
メッシュアンダー(平均粒径:60〜70ミクロン)の
水素化チタン粉末の酸素量は重量比で0.10%であ
り、330メッシュアンダー(平均粒径:20ミクロ
ン)の水素化チタン粉末の酸素量は、粒径が微小である
ため重量比で0.26%と多めであった。
【0039】図8の横軸はチタン原料粉末で占める水素
化チタン粉末の割合[wt%]を示し、縦軸は酸素量を
示す。図8に示す特性線Gは水素化チタン粉末が100
メッシュアンダーのときの酸素量の試験結果を示す。特
性線Hは水素化チタン粉末が330メッシュアンダーの
ときの酸素量の試験結果を示す。図8の特性線Hに示す
ように、水素化チタン粉末の粒径が微少である場合に
は、水素化チタン粉末の占める割合が増加すればするほ
ど、酸素量が増大した。しかしながら特性線Gに示すよ
うに、水素化チタン粉末の粒径が比較的大きめであれ
ば、水素化チタン粉末の割合が増加しても酸素量の増加
を抑制できる。従って上記結果を考慮すれば、請求項2
に示すような粒径が比較的大きめの水素化チタン粉末を
採用すれば、水素化チタン粉末の配合割合が増加したと
しても、酸素量の増加を抑制するのに有利である。
【0040】(付記)上記した実施例から次の技術的思
想も把握できる。 ○請求項1、2において、チタン原料粉末、合金粉末の
ほかに潤滑剤も混ぜて混合粉末を形成し、成形体の本焼
結の前に脱ワックス処理を行うことを特徴とする焼結チ
タンの製造方法。 ○脱ワックス処理は、300〜600℃の温度領域で真
空雰囲気またはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気で
行うことを特徴とする焼結チタン合金の製造方法。この
ようにすれば脱水素処理が完了する前に、脱ワックス処
理を終えるのに有利であり、脱水素化したチタン粒子の
脱ワックス成分による汚染を抑制するのに有利である。 ○請求項1、2において、水素化チタン粉末の平均粒径
と、チタン粉末(水素化脱水素チタン粉末)の平均粒径
とが同サイズレベルである請求項1に記載の焼結チタン
合金の製造方法。
【0041】
【発明の効果】本発明方法によれば、成形体の密度を低
下させる水素化チタン粉末がチタン原料粉末として採用
されているにもかかわらず、焼結チタン合金の密度を向
上させるのに有利である。更に本発明方法によれば、純
チタン粉末のみで成形体を成形する場合に比較して、圧
粉成形時の成形体の焼き付きを抑制でき、金型に対する
成形体の抜け性を確保するのに有利である。
【0042】請求項2に係る方法によれば、水素化チタ
ン粉末の粒径を規制しているため、焼結チタン合金の延
性に悪影響を与える酸素量の抑制に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素化チタン粉末と成形体の密度との関係を示
すグラフである。
【図2】水素化チタン粉末と成形体の抜き出し力との関
係を示すグラフである。
【図3】成形体を加熱して焼結するまでの加熱パターン
を示すグラフである。
【図4】水素化チタン粉末と焼結チタン合金の相対密度
との関係を示すグラフである。
【図5】水素化チタン粉末と成形体の抜き出し力との関
係を示すグラフである。
【図6】水素化チタン粉末と焼結チタン合金の焼結密度
との関係を示すグラフである。
【図7】ステアリン酸亜鉛の添加量と成形体の抜き出し
力との関係を示すグラフである。
【図8】水素化チタン粉末の割合と酸素量との関係を示
すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン粉末と水素化チタン粉末とが混合さ
    れ前記水素化チタン粉末が重量比で75%以上配合され
    た混合粉末、もしくは、水素化チタン粉末が実質的に1
    00%のいずれかからなるチタン原料粉末と、 合金粉末とを混合した混合粉末を用い、前記混合粉末を
    成形して成形体を成形し、前記成形体を脱水素処理、焼
    結処理することを特徴とする焼結チタン合金の製造方
    法。
  2. 【請求項2】チタン粉末と水素化チタン粉末とが混合さ
    れ前記水素化チタン粉末が重量比で25%以上配合され
    且つチタン粉末及び水素化チタン粉末の平均粒径が35
    〜100ミクロンの混合粉末からなるチタン原料粉末
    と、 合金粉末とを混合した混合粉末を用い、前記混合粉末を
    成形して成形体を成形し、前記成形体を脱水素処理、焼
    結処理することを特徴とする焼結チタン合金の製造方
    法。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、更に前記混合
    粉末には、ホウ素源粉末を混合することを特徴とする焼
    結チタン合金の製造方法。
JP8185105A 1996-07-15 1996-07-15 焼結チタン合金の製造方法 Pending JPH1030136A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7175801B2 (en) * 2002-05-03 2007-02-13 Stichting Energieonderzoek Centrum Nederland Method for producing a porous titanium material article
CN108838404A (zh) * 2018-06-20 2018-11-20 北京科技大学 钛合金低成本近净成形方法
JP2020063509A (ja) * 2018-10-16 2020-04-23 武生特殊鋼材株式会社 チタン焼結素材の製造方法

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