JPH10295498A - クッション部材 - Google Patents

クッション部材

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JPH10295498A
JPH10295498A JP11152397A JP11152397A JPH10295498A JP H10295498 A JPH10295498 A JP H10295498A JP 11152397 A JP11152397 A JP 11152397A JP 11152397 A JP11152397 A JP 11152397A JP H10295498 A JPH10295498 A JP H10295498A
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JP
Japan
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thermoplastic elastomer
cushion member
linear
foam
gap
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JP11152397A
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English (en)
Inventor
Kazuyoshi Kaneko
和佳 金子
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 等方性を示す熱可塑性エラストマーを用い
て、軽く、柔軟で、圧縮時の変形を防ぐことのできるク
ッション部材を提供する。 【解決手段】 外装材料中の所定空間内に間隙を残して
熱可塑性エラストマー材料が存在するクッション部材で
ある。間隙の存在によって、熱可塑性エラストマーの圧
縮時の変形を吸収することができるので、シート表皮等
の外装材料にクッション部材の変形の影響を与えること
がない。また間隙があるために、クッション部材の軽量
化が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、自動二輪
車、自転車、ウォータービークル、スノーモービル等の
乗物用シートとして有用であり、ベッド、椅子、ソファ
ー等の家具にも用いることのできるクッション部材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】上記各種乗り物に利用される乗り物用シ
ートにおいて、最近、薄型化の要求が高まっている。自
動車の場合は、シートの薄型化によって乗員の頭上の空
間が広がってゆとりを与えることができ、二輪車の場合
では足の接地が容易になる。しかし、乗り物用シートに
多用されているウレタンフォームでは、ある程度の厚み
がないと衝撃を吸収できないため、発泡倍率や柔軟性等
のフォーム自体の特性を変えずに単に厚みだけを薄くす
ると、路面からの振動が着座している人間に直接伝わっ
て不快感(底付き感)を与えることとなる。
【0003】そこで最近では、熱可塑性エラストマーが
クッション材料として用いられるようになってきた。熱
可塑性エラストマーは、ソフトセグメントの分子運動を
ハードセグメントで物理拘束することによってゴム弾性
を発現するもので、このハードセグメントとソフトセグ
メントの化学構造を変化させることにより、軟質加硫ゴ
ム状物からプラスチックに近いものまで広範囲の物性を
持つ熱可塑性エラストマーが得られる。種々の熱可塑性
エラストマーの中でも、特に、荷重に対して等方性を有
するゲル状粘弾性体タイプの熱可塑性エラストマーは、
振動を吸収する能力が高く、また人間の体重による応力
を分散させて疲れにくくすることから、乗り物用シート
だけでなく、ベッドやソファー等のクッション部材とし
ても使用されている。熱可塑性エラストマーは、成形サ
イクルが短く、複雑な形状も成形し易い射出成形法が採
用可能であり、さらに、架橋ゴムや熱硬化性樹脂では難
しいリサイクルが容易であるという長所も有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、等方性を示す
熱可塑性エラストマーを乗り物用シートに用いた場合、 ウレタンフォームに比べてかなり重く、軽量化による
燃費の向上を目指している乗り物用のシートとしては好
まれない。 圧縮時に体積変化を起こさないので、垂直方向に荷重
がかかると水平方向に広がってしまう。 現在市販されている種々の熱可塑性エラストマーは、
強度を重視しているため、柔軟性に劣り、反発弾性の高
過ぎるものが多い。 熱可塑性エラストマーに可塑剤を入れて柔軟性を確保
して使用すると、可塑剤が移行して表面が粘着性になっ
たり、外装材料(シート表皮や複合使用されるウレタン
フォーム)と接着して、弾性回復力が損なわれる。 等方性材料のため、圧縮時の貯蔵弾性率を小さく(柔
らかく)設定した場合に横方向のずれ(剪断)にも小さ
な荷重で変位してしまい、安定感がない。 燃え易い。 等の問題があった。
【0005】そこで本発明では、熱可塑性エラストマー
からクッション部材を製造するに当たり、上記〜に
示したような問題を起こすことのないクッション部材を
提供することを課題として掲げた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のクッション部材
は、外装材料中の所定空間内に間隙を残して熱可塑性エ
ラストマー材料が存在するところに要旨を有するもので
ある(請求項1)。間隙の存在によって、熱可塑性エラ
ストマーの圧縮時の変形を吸収することができるので、
シート表皮等の外装材料にクッション部材の変形の影響
を与えることがない。また間隙があるために、クッショ
ン部材の軽量化が達成できる。本発明における上記間隙
の形状には、以下の態様がある。
【0007】請求項2に記載の態様は、線状の熱可塑性
エラストマー材料が絡み合った状態で部分的に融着して
いるものであり、三次元的に絡み合った線状体間に空隙
が存在している。線状体がゴム弾性を有するので、荷重
がかかって圧縮したときに線状体と線状体の間の空隙が
縮まり、荷重が除去された後は、また元の形状に復元す
ることができる。また、圧縮時には、線状体同士がこす
れ合うことによりエネルギーを吸収することができる効
果も有する。さらに構成によれば、塊状のエラストマー
よりも貯蔵弾性率を小さく、損失正接(tanδ)を大
きくすることができる。
【0008】請求項3に記載の態様は、隣接する粒状の
熱可塑性エラストマー材料が互いに部分的に融着してい
るものであり、粒状体同士の間に空隙が存在している。
線状体と粒状体が混合されて互いに部分的に融着してい
るようなクッション部材であってもよい。
【0009】請求項4に記載の態様は、塊状の熱可塑性
エラストマー材料が外装材料との間に間隙を残して装填
されているものである。すなわち、乗り物用シートでい
えば、シート表皮、このシート表皮の内側に隣接して必
要に応じて設けられる発泡体層、シート底板等からなる
外装材料によって形成される所定空間内に、塊状の熱可
塑性エラストマー材料がその周囲に空隙を有したまま装
填されている状態である。
【0010】上記熱可塑性エラストマーは、ポリスチレ
ン系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、柔軟
でかつ弾性回復力に優れたクッション材料を提供でき
る。また、微小中空粒子を配合することにより、熱可塑
性エラストマー材料の表面が粘着性になるのを防ぐこと
ができると共に、より一層の軽量化が達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、熱可塑性エラストマ
ー材料からクッション部材を製造するに当たり、2つの
技術思想で前記課題を解決した。すなわち、第1の技術
思想は、熱可塑性エラストマー材料の形状を、立体的
に、かつ間隙を有するように、成形加工しようというも
のである。また第2の技術思想は、熱可塑性エラストマ
ー材料は塊状のままで、このエラストマー材料を装填す
る所定空間内に間隙を形成しようというものである。い
ずれの技術思想においても、クッション部材としての軽
量化を図ることができ、かつ圧縮時の変形を吸収するこ
とができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】まず、本発明では、クッション部材の主成
分として熱可塑性エラストマーを用いる。熱可塑性エラ
ストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを有
し、ソフトセグメントの分子運動をハードセグメントで
局所的に物理拘束することによって常温でゴム弾性を発
現し、かつ温度上昇によって塑性変形を起こすため加工
が容易であるというものである。ハードセグメントとソ
フトセグメントの存在形式は、ブロック共重合体のよう
に1分子としてつながっているもの、ポリマーアロイ的
にブレンド(混合)されているだけのもの、結晶化度の
違いによるもの等種々あり、また拘束様式についても、
凍結相であるもの、水素結合によるもの、結晶相である
もの、イオン架橋によるもの、共有結合架橋によるもの
等多種多様の熱可塑性エラストマーがある。
【0013】本発明で好適に用いられる熱可塑性エラス
トマーとしては、ポリスチレンをハードセグメント、ポ
リブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエ
ン、水素添加ポリイソプレン等のゴム成分、またはエチ
レン・プロピレンゴム(EPM)等のポリオレフィン系
成分をソフトセグメントとするポリスチレン系エラスト
マー;ポリエチレンやポリプロピレンをハードセグメン
トとし、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EP
DM)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレ
ン・ブタジエンゴム(EBM)、ブチルゴム(II
R)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン
−酢酸ビニルをソフトセグメントとするポリオレフィン
系エラストマー;結晶ポリ塩化ビニルをハードセグメン
ト、非晶性ポリ塩化ビニルまたはアクリロニトリル−ブ
タジエンゴム(NBR)をソフトセグメントとするポリ
塩化ビニル系エラストマー;フッ素樹脂をハードセグメ
ント、フッ素ゴムをソフトセグメントとするフッ素系エ
ラストマー等が上げられる。特に、衝撃吸収性と柔軟性
を合わせ持つクッション部材を得るには、ポリスチレン
系熱可塑性エラストマーが好適である。市販されている
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーには、「コスモゲ
ル」(コスモ計器製)や、「セプトン」、「ハイブラ
ー」(クラレ社製)や「アクティマー」(理研ビニル工
業社製)等がある。
【0014】また、ウレタン構造部分をハードセグメン
ト、ポリエーテルまたはポリエステルをソフトセグメン
トとするポリウレタン系エラストマー;高結晶性ポリエ
ステルをハードセグメント、非晶性ポリエーテルまたは
非晶性ポリエステルをソフトセグメントとするポリエス
テル系エラストマー;ポリアミドをハードセグメント、
ポリエステルまたはポリエーテルをソフトセグメントと
するポリアミド系エラストマーなどの場合は、柔軟なグ
レードのものを選択するとよい。上記熱可塑性エラスト
マーは単独で、または、相溶性が良好で弾性回復力等に
悪影響を与えなければ、2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0015】第1の技術思想を具体的に表現すると、2
つの態様に大別できる。すなわち、線状の熱可塑性エラ
ストマー材料が絡み合った状態で部分的に融着している
態様(以下「線状体構造」ということがある)と、隣接
する粒状の熱可塑性エラストマー材料が互いに部分的に
融着している態様(以下「粒状体構造」ということがあ
る)である。
【0016】図1には、線状体構造の一部分を現した説
明図である。三次元的に絡み合った線状体1,1…間に
空隙2,2…が存在している。接触している線状体1,
1は重なり合う部分3,3…で融着しており、この立体
的な絡まり合い状態を維持できるように構成されてい
る。線状体1はゴム弾性を有しており、荷重がかかって
圧縮されたときは、線状体1と線状体1の間の空隙2が
縮まるが、荷重が除去された後は、また元の形状に復元
する。従って、圧縮時に体積が膨張して、シート水平方
向の変形を引き起こすようなことはない。また、塊状の
エラストマーを使用する場合に比べ、著しく軽量にする
ことができる。さらに、シート表皮の内側にウレタンフ
ォーム等の発泡体層を設ける場合には、発泡体層との接
触面積が減少するので、可塑剤の移行によってエラスト
マー表面の粘着性が上がったとしても発泡体層と接着し
て弾性回復力が損なわれる、といった不都合は起こさな
い。
【0017】線状体1は、熱可塑性エラストマーを加熱
溶融させてノズルから押出す方法などで成形することが
できる。予め、線状体1を成形した後、1本または複数
本の線状体1を絡み合わせ、金型内に入れて適当な時間
加熱すれば、線状体1同士が接触している部分が加熱溶
融して一体化するので、その後冷却することにより、接
触部分3のみが融着した3次元的線状体構造のクッショ
ン部材を得ることができる。また、複数の押出孔を有す
るダイ等から、複数本の線状体1を同時に押出して、受
け台等に受け、これらが冷却固化する段階で、接触点の
みを融着させても線状体構造のクッション部材を製造す
ることができる。
【0018】線状体は、中空のもの、表面に凹凸を有す
るもの、多孔質のもの、長さの長いもの短いもの、断面
形状が、円、多角形、星形、その他の異形のものなど、
特に限定されずに利用することができる。
【0019】図2には、粒状体構造の断面説明図を示し
た。隣接する粒状体4,4…が互いに部分的に融着点
3,3…で融着し、空隙2を形成している。粒状体構造
の場合も線状体構造の場合と全く同じ作用効果を得るこ
とができ、軽量化が図れると共に、圧縮時に水平方向に
変形して、シート表皮等の外装材料にクッション部材の
変形の影響を与えることがない。また、発泡体層との接
着による弾性回復力の低下を防ぐことができる。
【0020】粒状体4は、熱可塑性エラストマーをペレ
ット製造機等で製造したり、線状体を成形した後、短く
切断することにより得ることができる。また、粒状体4
は、球状、ラグビーボール状、円柱状等に限られず、角
柱状、板状、不定形のもの、これらの中空のもの等、適
宜選択して用いることができる。
【0021】線状体構造、粒状体構造のいずれの場合に
も、塊状のエラストマーよりも貯蔵弾性率を小さく、損
失正接(tanδ)を大きくすることができ、一層柔軟
で衝撃吸収力に優れたクッション部材を得ることができ
る。なお、線状体と粒状体が混合されて互いに部分的に
融着しているような線状体粒状体混合構造であってもよ
い。
【0022】次に、本発明における第2の技術思想を説
明する。第2の技術思想は、熱可塑性エラストマー材料
は塊状のまま用いるが、このエラストマー材料を装填す
る所定空間内に間隙を形成しようというものである。
【0023】本発明のクッション部材を乗り物用シート
やあるいはベッド、ソファー等に使用する場合、必ず外
装材料で覆って使用するが、この外装材料によって形成
される所定空間内に塊状エラストマー材料を装填すると
きに、空間を残して装填するのである。図3には、乗り
物用シート5の例を示した。シート表皮8、シート表皮
に隣接してその内側に設けられた発泡体層9およびシー
ト底板10からなる外装材料によって形成される所定空
間内に、塊状の熱可塑性エラストマー材料6が、その側
面部外周に空隙7を残して装填されている。
【0024】この構成によって、垂直方向に荷重がかか
って塊状のエラストマー材料6が水平方向に膨張したと
しても、空隙7の存在によってシート表皮8や発泡体層
9を変形させるようなことはない。また、空隙7の存在
で、シート5全体の軽量化が達成できる。なお発泡体層
9は必要に応じて設けられる。
【0025】また、図4に示したように、シート底板1
0aに穴を設けて空隙7aとしたり、図5に示したよう
に、シート底板10bに凹部を設けて空隙7bとするこ
ともできる。図4または図5に示した構成を採用する場
合も、エラストマー材料6は水平方向へ膨張し易いの
で、やはり図3に示したように側面部外周にも空隙を設
けることが好ましい。なお、図3〜5では、乗り物用シ
ートの例を示したが、ベッドや椅子のクッション部材と
して利用するときも、同様に外装材料とエラストマー材
料の間に空間を設ければよい。
【0026】塊状のエラストマーは、中空のもの、貫通
孔を有するもの、表面に凹凸を有するものであってもよ
く、これらの構成は空隙の増加につながるので、より一
層軽量化を達成することができる。また、ウレタンフォ
ーム等の発泡体層を併用する際に、塊状エラストマーと
発泡体層との接触面積を減らし、両者の接着を防ぐ点で
は、エラストマー表面に凹凸を設けたものを使用すると
よい。
【0027】熱可塑性エラストマー材料には、軽量化
と、エラストマーの表面の粘着性を低減させる目的で、
微小中空粒子を加えてもよい。微小中空粒子としては、
ガラスバルーン(例えば「CEL−STAR Z」シリ
ーズ:旭硝子社製)、シラスバルーン(例えば「ガロラ
イト」:白石工業社製、「フィライト」:英国製、日本
フィライト提供、「テラバルーン」および「テラファイ
ン」:カルシート社製)、多孔質炭酸カルシウム(例え
ば「カルライト−KT」白石中央研究所)シリカバルー
ン、フライアッシュバルーン、アルミナ、ジルコニア、
ピッチ系等の無機材料のもの、フェノール系、ポリビニ
ルアルコール系、ポリ塩化ビニリデン系、エポキシ樹脂
系、尿素樹脂系等の高分子材料系のものが利用できる。
【0028】中でも、高分子材料系の粒子は、単に、軽
量化という効果だけでなく、外力に対して変形可能なた
め衝撃吸収力の向上にも効果であり好ましく利用でき
る。特に、塩化ビニリデンにアクリロニトリルを若干共
重合させたポリ塩化ビニリデン系のものが変形能に優れ
ていることから好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニリ
デンの外殻の中にブテンガスを充填させた「エクスパン
セルDE」(スウェーデンエクスパンセル社製、平均粒
径40〜60μm)や、松本油脂製薬社製のマイクロス
フェアーシリーズ等がある。これらの微小中空粒子は、
熱可塑性エラストマー材料中、1〜10重量%の範囲で
使用することが好ましい。1重量%より少ないと軽量化
の効果が発現せず、10重量%を超えると、製造時に原
料と混合しにくい。微小中空粒子の大きさは特に限定さ
れず、数μm〜数百μm程度のものが利用可能である。
【0029】また、熱可塑性エラストマー材料には、可
塑剤を添加してもよい。市販の熱可塑性エラストマー
は、反発弾性が高めになるようにポリマー設計されてい
るものが多いが、可塑剤を添加することによって、熱可
塑性エラストマーの特性を簡単に変更することができ、
柔軟でしかも適度な弾性回復力を有するクッション部材
を得ることができる。
【0030】可塑剤の種類としては、フタル酸ジメチル
(DMP)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジ
ブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フ
タル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DOP)、フタル酸
ジ(n−オクチル)(N−DOP)、フタル酸ジイソデ
シル(DIDP)、フタル酸ジイソノニル(DIN
P)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、ブチルフタ
リルブチルグリコール(BPBG)等のフタル酸エステ
ル類;アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)(DO
A)、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)(DO
Z)等の脂肪族二塩基酸エステル類;リン酸トリブチル
(TBP)、リン酸トリフェニル(TPP)、リン酸ト
リクレジル(TCP)、リン酸トリキシリレニル(TX
P)等のリン酸エステル類;トリメリット酸トリ(2−
エチルヘキシル)(TOTM);その他、ポリエステル
系可塑剤、エポキシ系可塑剤、脂肪族一塩基酸エステル
類、二価アルコールエステル類、オキシ酸エステル類、
塩素化パラフィン、プロセスオイル(飽和または不活性
の石油系不飽和炭化水素)等の汎用可塑剤が利用でき
る。
【0031】本発明で好適に用いられるポリスチレン系
の熱可塑性エラストマーには、プロセスオイル(例え
ば、出光石油社製「ダイアナプロセスオイルPW−9
0」、「同PW−300」等)を使用すると、より一層
柔軟な高性能なクッション部材を提供できる。また、リ
ン酸エステル系可塑剤は、難燃性付与に効果的であるの
で利用してもよい。
【0032】エラストマーの柔軟性の度合いの目安は、
例えば、一定温度25℃で、周波数を0.1〜100H
zと変化させた時の動的粘弾性測定において、貯蔵弾性
率が0.5MPa以下とすることが好ましい。この範囲
内になるように熱可塑性エラストマー材料の配合を適宜
設定すると、柔軟性に優れ、適度な変形能を持ち、かつ
衝撃を吸収し得るだけの弾性力を持つクッション部材と
することができる。
【0033】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。なお、以下の実施例で
「部」とあるのは、「重量部」を示す。また、以下の実
施例および比較例で用いた特性評価方法は次の通りであ
る。
【0034】〔貯蔵弾性率およびtanδ〕アイティ計
測制御社製の動的粘弾性測定装置「DVA−200」を
用いて、温度25℃における動的粘弾性の周波数分散を
JIS K7198に基づいて測定した。表1には、周
波数100Hz、10Hz、1Hz、0.1Hzの値を
示した。チャックスパンは10mmとした。なおMPa
(メガパスカル)は、0.101972kgf/mm2
等しい値である。
【0035】実施例1 熱可塑性エラストマー(コスモ計器社製「コスモゲ
ル」;ポリスチレン系)100部に、可塑剤としてプロ
セスオイル(出光石油社製「ダイアナプロセスオイルP
W−90」)を25部と、微小中空粒子(スウェーデン
エクスパンセル社製「エクスパンセルDE」;ポリ塩化
ビニル系)5部を加えて、二軸押出機で加熱しながら混
練した後、直径2mm程度の線状になるように押し出し
た。冷却固化後、この線状体を丸めて、金型の中に、体
積率が60%程度になるように入れ、155℃で約10
分加熱した。得られたクッション部材は、線状体が3次
元的に絡まり合い、接触部分が融着したものであった。
表1に、得られたクッション部材を直径1.9mm、長
さ10.5mmに切り出した試料と、熱可塑性エラスト
マーのままで直径1.9mm、長さ9mmに切り出した
試料の動的粘弾性データを示した。
【0036】
【表1】
【0037】表1から明らかなように、本発明のクッシ
ョン部材は、熱可塑性エラストマーのままのものに比べ
て、貯蔵弾性率が低下し、tanδが向上して、柔軟で
かつ衝撃吸収性に優れた適度な弾性回復力を有するもの
であることが確認できた。
【0038】
【発明の効果】本発明のクッション部材は、外装材料中
の所定空間内に間隙を残して熱可塑性エラストマー材料
が存在しているので、熱可塑性エラストマーの圧縮時の
変形を吸収することができ、シート表皮等の外装材料に
クッション部材の変形の影響を与えることがない。また
間隙があるために、クッション部材の軽量化が達成でき
る。
【0039】特に、線状の熱可塑性エラストマー材料が
絡み合った状態で部分的に融着している構造、隣接する
粒状の熱可塑性エラストマー材料が互いに部分的に融着
している構造を採用することにより、塊状のエラストマ
ーを使用する場合に比べ、著しく軽量にすることができ
る。さらに、シート表皮の内側にウレタンフォーム等の
発泡体層を設ける場合には、発泡体層との接触面積が減
少するので、可塑剤の移行によってエラストマー表面の
粘着性が上がったとしても発泡体層と接着して弾性回復
力が損なわれる、といった不都合は起こさない。
【0040】また、ゴム弾性を有する線状体または粒状
体同士の間に空隙が存在しているので、荷重がかかって
圧縮したときには、この空隙が縮まり、荷重が除去され
た後は、また元の形状に復元することができ、優れた弾
性回復力を発現するものである。さらに、この構成によ
れば、塊状のエラストマーよりも貯蔵弾性率を小さく、
損失正接(tanδ)を大きくすることができる。
【0041】一方、塊状の熱可塑性エラストマー材料が
外装材料との間に間隙を残して装填されている構成を採
用すると、垂直方向に荷重がかかって塊状のエラストマ
ー材料が水平方向に膨張したとしても、空隙の存在によ
ってシート表皮や発泡体層等の外装材料を変形させるよ
うなことはない。また、空隙の存在で、シート全体の軽
量化が達成できる。さらに、エラストマー材料は塊状の
まま使用できるので、成形加工が容易であるという長所
も有している。
【0042】上記熱可塑性エラストマーとしてポリスチ
レン系熱可塑性エラストマーを採用すると、柔軟でしか
も適度な弾性回復力を有するクッション部材を得ること
ができる。さらに微小中空粒子を配合することにより、
熱可塑性エラストマー材料の表面が粘着性になるのを防
ぐことができると共に、より一層の軽量化が達成でき
る。
【0043】本発明のクッション部材は、自動車、自動
二輪車、自転車、ウォータービークル、スノーモービル
等の乗物用シートとして利用でき、振動を吸収して痛み
や疲労を低減させる。また軽量化が達成できるので、燃
費向上にも効果的である。さらに、軽量でしかも良好な
クッション性を有しているので、ベッドや椅子、ソファ
ー等のクッション部材として、あるいは褥瘡(床ずれ)
防止用マット、車椅子のパット材としても利用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】線状の熱可塑性エラストマー材料が絡み合って
部分的に融着している状態を説明する説明図である。
【図2】粒状の熱可塑性エラストマー材料が互いに部分
的に融着している状態を説明する断面図である。
【図3】乗り物用シートの所定空間内に塊状の熱可塑性
エラストマー材料が間隙を残して装填されている状態を
説明する断面図である。
【図4】図3における他の実施態様を説明する断面図で
ある。
【図5】図3における他の実施態様を説明する断面図で
ある。
【符号の説明】
1 線状体 2 空隙 3 融着点 4 粒状体 5 乗り物用シート 6 塊状熱可塑性エラストマー 7,7a,7b 空隙 8 シート表皮 9 発泡体層 10,10a,10b シート底板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外装材料中の所定空間内に間隙を残して
    熱可塑性エラストマー材料が存在することを特徴とする
    クッション部材。
  2. 【請求項2】 線状の熱可塑性エラストマー材料が絡み
    合った状態で部分的に融着しているものである請求項1
    に記載のクッション部材。
  3. 【請求項3】 隣接する粒状の熱可塑性エラストマー材
    料が互いに部分的に融着しているものである請求項1に
    記載のクッション部材。
  4. 【請求項4】 塊状の熱可塑性エラストマー材料が外装
    材料との間に間隙を残して装填されているものである請
    求項1に記載のクッション部材。
  5. 【請求項5】 熱可塑性エラストマーがポリスチレン系
    熱可塑性エラストマーである請求項1〜4のいずれかに
    記載のクッション部材。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー材料が微小中空粒
    子を含んでいる請求項1〜5のいずれかに記載のクッシ
    ョン部材。
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