JPH10288639A - 電気機器の異常監視装置および方法 - Google Patents

電気機器の異常監視装置および方法

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JPH10288639A
JPH10288639A JP9297144A JP29714497A JPH10288639A JP H10288639 A JPH10288639 A JP H10288639A JP 9297144 A JP9297144 A JP 9297144A JP 29714497 A JP29714497 A JP 29714497A JP H10288639 A JPH10288639 A JP H10288639A
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signal
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partial discharge
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JP9297144A
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Atsuko Kin
敦子 金
Hideki Nemoto
英樹 根本
Takeshi Watabe
剛士 渡部
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、解析範囲のデータに対し効率良く
かつ精度の良い解析を行い高い異常診断精度を得ること
を目的とする。 【解決手段】 サンプリング手段2でサンプリングした
データの中から解析範囲を特定する解析範囲特定手段3
と、解析範囲のデータをウェーブレット変換するウェー
ブレット変換手段8と、ウェーブレット変換結果からサ
ンプリング周期、解析範囲及びウェーブレットパラメー
タを判定し、これらに必要な補正を行う変換結果判定手
段9とを有し、必要な補正を行った後のウェーブレット
変換結果を基に電気機器の異常を監視することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器より得ら
れる各種信号から、例えば、経年劣化に起因する絶縁物
の部分放電検出等を含む電気機器の診断を行う電気機器
の異常監視装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気機器の診断を行う際、電気機
器の電流値や振動などの各種信号から異常を診断してき
た。各種信号の解析手法としては、フーリエ変換などが
多く用いられてきたが、フーリエ変換では時刻に関する
情報を得ることができない。また、周波数分解能の変更
が困難であるため、各種信号からデータをサンプリング
する際、一定周期でサンプリングするしかなく、そのサ
ンプリングに適合しない異常を検出できない場合があ
る。特に、回転機などの異常で回転部に速度変動のある
場合、フーリエ変換では、得られた周波数スペクトルに
揺らぎが生じ、正確な診断を行うことが困難であった。
また、他の信号との同期性を考慮しても、必ずしも異常
を検知できるわけではなく、誤診断があった。最近で
は、これらの欠点を補うものとして、ウェーブレット変
換を用いた解析手法が注目されている。ウェーブレット
変換は、パラメータを自由に設定することができるの
で、各種信号の特徴部分を特定したり、特異信号を抽出
したりするのに優れている。しかし、ウェーブレット変
換結果は多くの情報を含んでいるため、やや複雑なもの
となり、異常や異常兆候の有無や程度を定量的に判定す
ることが困難であった。そのため、自動的に電気機器の
診断を行うことが困難であった。
【0003】また、電気機器の異常の1つに、経年劣化
等に起因する絶縁物の部分放電がある。部分放電をその
まま放置するとやがて絶縁破壊を引き起こして電気設備
の破壊を招くことになる。そこで、部分放電を早期発見
して事故を未然に防止するために部分放電検出装置が使
用されている。この種の部分放電検出装置としては、例
えば、閉鎖型配電盤の内部に取り付けられたAEセンサ
等の部分放電検出手段と、配電盤の外被に取り付けられ
て部分放電以外のノイズを検出するノイズ検出手段と、
部分放電検出手段及びノイズ検出手段の両出力の差を検
出する差分出力手段と、その差分出力信号から不要な信
号を除去するバンドパスフィルタ特性をもつフィルタと
を備えたものがある(特開平8−105929号公
報)。この部分放電検出装置の出力により、部分放電が
発生していることを早期に知ることができるようになっ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ウェーブレット解析では、変換結果が複雑であるために
自動的な診断を行うことには不向きな面があり、本来の
性能を十分に発揮できないという問題点があった。ま
た、従来の部分放電検出装置には、なお次のような問題
点があった。バンドパスフィルタによるフィルタリン
グでは、部分放電の周波数に近い周波数帯を持つノイズ
は除去できない。一過性のホワイトノイズ対応の指数
平滑処理や部分放電の継続時間判定では、連続性のノイ
ズは除去できない。
【0005】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
ウェーブレット変換を用いて、第1に、解析範囲のデー
タに対し効率良くかつ精度の良い解析を行うことができ
て高い異常診断精度を得ることができ、第2に、部分放
電検出のノイズ耐量を向上させて、部分放電の大きさや
発生箇所を有効に把握することができる電気機器の異常
監視装置および方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の電気機器の異常監視装置は、外部ト
リガ信号から得られる情報を基に演算されたサンプリン
グ周期で信号源からデータのサンプリングを行うサンプ
リング手段と、該サンプリング手段でサンプリングした
データの中からウェーブレット変換を行うためのデータ
を所定のデータ数分抽出し、解析範囲を特定する解析範
囲特定手段と、該解析範囲特定手段で特定した解析範囲
のデータに対し、所定の変換式によりウェーブレット変
換するウェーブレット変換手段と、該ウェーブレット変
換手段によるウェーブレット変換結果から前記サンプリ
ング周期、前記解析範囲及び前記変換式におけるパラメ
ータを判定し、該サンプリング周期、解析範囲及びパラ
メータに対し必要な補正を行う変換結果判定手段とを有
し、前記必要な補正を行った後の前記ウェーブレット変
換手段によるウェーブレット変換結果を基に前記信号源
となる電気機器の異常を監視するように構成してなるこ
とを要旨とする。この構成により、サンプリング手段
で、ウェーブレット変換を効果的に行うためのサンプリ
ング周期でデータのサンプリングが行われ、解析範囲特
定手段で、効率良くウェーブレット変換を行う解析範囲
が特定され、この特定された解析範囲のデータに対し、
ウェーブレット変換手段でウェーブレット変換が行われ
る。このウェーブレット変換結果をもとに、変換結果判
定手段で、より適正なサンプリング周期、より適正な解
析範囲及びより適正なパラメータに補正される。これに
より解析範囲のデータに対して効率良くかつ精度の良い
解析が行われて高い異常診断精度が得られる。
【0007】請求項2記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1記載の電気機器の異常監視装置におい
て、前記解析範囲特定手段は、前記サンプリングしたデ
ータの中から等間隔に抽出したデータを振幅の大きい順
に並べ替え、予め用意した基準形との比較からウェーブ
レット変換するデータを選出することによってサンプリ
ング周波数分解能を変更するように構成してなることを
要旨とする。この構成により、サンプリングしたデータ
の中から等間隔に抽出したデータを振幅の大きい順に並
べ替えることで、データの特徴を判別することが可能と
なる。これによってウェーブレット変換の対象を選出す
るので、効率的なサンプリング周波数分解能で効率良く
ウェーブレット変換を行うことが可能となる。
【0008】請求項3記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項2記載の電気機器の異常監視装置におい
て、前記解析範囲特定手段は、前記サンプリングしたデ
ータの中から連続的に抽出したデータを振幅の大きい順
に並べ替え、予め用意した基準形との比較からウェーブ
レット変換するデータを選定することによって前記デー
タ選出範囲の位置決めを行うように構成してなることを
要旨とする。この構成により、サンプリングしたデータ
の中から連続的に抽出したデータを振幅の大きい順に並
べ替え、予め用意した基準形と比較することによって、
その差異の最大になるところのデータを最も特徴的なデ
ータと判定する。これによって、ウェーブレット変換を
行うのに最も効果的な対象選出範囲の位置決めが行わ
れ、効率良くかつ確実にウェーブレット変換を行うこと
が可能となる。
【0009】請求項4記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項2又は3記載の電気機器の異常監視装置
において、前記電気機器が回転機であり、回転部に速度
変動のある場合は、入力信号である電流信号をサンプリ
ングし、前記解析範囲を特定したデータを前記電気機器
の定格速度に応じて時間軸上で拡大、縮小し、新たな解
析範囲のデータとするデータ置換手段を有することを要
旨とする。この構成により、回転機などで回転部に速度
変動のある場合は、解析範囲として特定したデータを、
定格速度のデータと容易に比較するために、時間軸上で
拡大、縮小して置換することで、容易にウェーブレット
変換結果を比較することが可能となる。
【0010】請求項5記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1,2,3又は4記載の電気機器の異常
監視装置において、前記変換結果判定手段には、前記ウ
ェーブレット変換結果から前記変換式中のスケールパラ
メータの所定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解
析感度を表すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブ
レット分散値の大小によって適正な前記スケールパラメ
ータの範囲を求め、次回の前記サンプリング周期に反映
させるサンプリング周期補正部を有することを要旨とす
る。この構成により、ウェーブレット変換結果よりウェ
ーブレット分散を算出し、ウェーブレット分散値の大小
によってサンプリング周期を補正するので、より最適な
サンプリング周期で解析することが可能となる。
【0011】請求項6記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1,2,3又は4記載の電気機器の異常
監視装置において、前記変換結果判定手段には、前記ウ
ェーブレット変換結果から前記変換式中のスケールパラ
メータの所定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解
析感度を表すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブ
レット分散値の大小によって前記スケールパラメータの
とり得る値を変更し、次回の前記ウェーブレット変換に
反映させるパラメータ補正部を有することを要旨とす
る。この構成により、ウェーブレット変換結果よりウェ
ーブレット分散を算出し、ウェーブレット分散値の大小
に応じてスケールパラメータ値を変更するので、より最
適なパラメータでウェーブレット変換を行うことが可能
となる。
【0012】請求項7記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1,2,3又は4記載の電気機器の異常
監視装置において、前記変換結果判定手段には、前記ウ
ェーブレット変換結果から、前記変換式中のシフトパラ
メータ順に等分割した区間ごとに、前記変換式中のスケ
ールパラメータの所定領域内での複数の値にそれぞれ対
応する解析感度を表すウェーブレット分散を算出し、該
ウェーブレット分散の最大値の存在する区間が中央位置
にくるように前記解析範囲を移動して当該解析範囲の補
正を行う解析範囲補正部を有することを要旨とする。こ
の構成により、ウェーブレット変換結果よりシフトパラ
メータ順に等分割した区間ごとのウェーブレット分散を
算出し、値の大きい部分が解析範囲の中央にくるよう
に、解析範囲を移動するので、より適した解析範囲に補
正することが可能となる。
【0013】請求項8記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1記載の電気機器の異常監視装置におい
て、前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常による
部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装置であっ
て、超音波センサで採取したAE信号に対してウェーブ
レット変換を行った結果より、ウェーブレット係数にお
けるシフトパラメータの分布域の特徴からトランスを含
む巻線部分に生じる励磁音の減衰性と部分放電音の継続
性とを捉えるように構成してなることを要旨とする。こ
の構成により、スイッチギヤの絶縁異常による部分放電
の検出を行う場合、トランスなどの巻線部分に生じる励
磁音の減衰性と部分放電音の継続性を、ウェーブレット
係数のシフトパラメータでの分布域の特徴を調べること
によって、周波数域が接近しているにもかかわらず容易
に判別することが可能となる。
【0014】請求項9記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1記載の電気機器の異常監視装置におい
て、前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常による
部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装置であっ
て、超音波センサで採取したAE信号に対してウェーブ
レット変換を行った結果より、ウェーブレット係数にお
けるスケールパラメータの分布域の特徴から励磁音によ
る雑音信号の有無と該雑音信号の周期性を判別するよう
に構成してなることを要旨とする。この構成により、ス
イッチギヤの絶縁異常による部分放電の検出を行う場
合、ウェーブレット係数のスケールパラメータでの分布
域の特徴から、励磁音による雑音信号の有無と、その周
期性を容易に判別することが可能となる。
【0015】請求項10記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項1記載の電気機器の異常監視装置におい
て、前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常による
部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装置であっ
て、超音波センサで採取したAE信号と変流器で検出し
た地絡電流信号の2つの信号を入力し、該地絡電流信号
の1サイクル分をAE信号の前記解析範囲としてウェー
ブレット変換を行った結果より、ウェーブレット係数の
位相から部分放電の有無を判定するように構成してなる
ことを要旨とする。この構成により、スイッチギヤの絶
縁異常による部分放電の検出を行う場合、地絡電流信号
の1サイクル分をAE信号のデータ解析範囲とする。こ
の解析範囲についてウェーブレット変換を行った結果よ
り、ウェーブレット係数の位相をもとに部分放電の有無
を、より正確に判定することが可能となる。
【0016】請求項11記載の電気機器の異常監視方法
は、電気機器の部分放電現象に伴って発生する超音波波
動を検出し、該超音波波動を電気信号に変換して検出波
データとし、前記電気機器の電源電圧を計測して電源位
相の起点からのn周期分の前記検出波データを切り出し
て所定の変換式によるウェーブレット変換を施すことに
より、前記部分放電の特徴を抽出することを要旨とす
る。この構成により、ウェーブレット変換結果が、典型
的表現形態である等高線グラフ等に表示され、その最大
高領域の電源電圧に対する位相等から部分放電が判定さ
れる。これにより、周波数の高いノイズや単発性ノイズ
等が部分放電判定の妨げにならず、部分放電検出のノイ
ズ耐量が向上する。
【0017】請求項12記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項11記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、前記ウェーブレット変換の出力表示を該ウェーブ
レット変換の典型的表示形態である等高線グラフに表現
し、その最大高の領域に対して前記電源位相との一致度
を判定することを要旨とする。この構成により、等高線
グラフの最大高の領域が電源電圧と何度の位相ずれがあ
るかで一致度を判定することにより、沿面放電の場合に
おける位相の一致やボイド欠陥の場合における位相の乖
離のパターンを多くのノイズパターンと区別して判定す
ることが可能となる。
【0018】請求項13記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項11記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、前記ウェーブレット変換の出力表示を該ウェーブ
レット変換の典型的表示形態である等高線グラフに表現
し、その最大高の領域の面積の大きさを判定することを
要旨とする。この構成により、ノイズの影響を殆ど受け
ることなく部分放電の大きさを知ることが可能となる。
【0019】請求項14記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項11記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、前記ウェーブレット変換の出力表示を該ウェーブ
レット変換の典型的表示形態である等高線グラフに表現
し、その最大高又は最小高の重心間距離を判定すること
を要旨とする。この構成により、等高線グラフの最大高
又は最小高の重心間距離を読むことが、超音波波動の包
絡線相当の周波数、即ち電源周波数を判定することを意
味するので、部分放電現象以外の所から発生するノイズ
を明らかに判別することが可能となる。
【0020】請求項15記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項11記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、前記電気機器の電源電圧の計測箇所は、前記部分
放電の発生している高圧側回路に対して所定の電圧及び
位相関係にある低圧側回路であることを要旨とする。こ
の構成により、電源電圧の計測箇所を、位相変換により
高圧側回路の位相に換算して代替できるので、安全に計
測することが可能となる。
【0021】請求項16記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項11記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、前記電源電圧のn周期分の検出波データに対する
ウェーブレット変換結果より、前記部分放電の位相変化
又は大きさの変化の何れかに関する時間差分を評価して
部分放電の時間特性を捉えることを要旨とする。この構
成により、ノイズの多い条件での部分放電をより正確に
検出することが可能となる。
【0022】請求項17記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項11記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、複数箇所の前記部分放電に対応した各検出波デー
タに対するウェーブレット変換結果より、前記部分放電
の位相変化又は大きさの変化の何れかに関する箇所差分
を評価して部分放電箇所を特定することを要旨とする。
この構成により、複数箇所の各検出波データに対するウ
ェーブレット変換結果の差分関係から部分放電位相の差
異や大きさの間違いを捉えるので、部分放電の発生箇所
を絞り込むことが可能となる。
【0023】請求項18記載の電気機器の異常監視装置
は、電気機器の部分放電現象に伴って発生する超音波波
動を検出する超音波センサと、前記電気機器の電源電圧
を計測用の低圧電源電圧に変圧する変圧器と、前記超音
波センサ及び前記変圧器の各出力を入力し、前記超音波
波動を所要レベルの電気信号に変換した検出波データ及
び前記低圧電源電圧の位相を前記部分放電の発生した高
圧側回路の電源位相に変換した所要の信号を出力する増
幅器と、前記電源位相の起点からのn周期分の前記検出
波データを切り出し、所定の変換式によるウェーブレッ
ト変換を施して前記部分放電の特徴を示すウェーブレッ
ト変換結果を出力する信号処理用計算機とを有すること
を要旨とする。この構成により、例えば、受配電設備の
高電圧充電部等の電気機器の部分放電現象に伴って発生
する超音波波動が超音波センサで検出され、また、その
高電圧充電部の高圧電源電圧が、その高圧側回路に対し
て所定の電圧及び位相関係にある変圧器の低圧側回路か
ら低圧電源電圧として計測される。超音波センサ及び変
圧器の各出力が増幅器に入力され、超音波波動は所要レ
ベルの検出波データとされ、低圧電源電圧の位相は高圧
側回路の電源位相に変換される。次いで、信号処理用計
算機で、その電源位相の起点からのn周期分の検出波デ
ータが切り出されてウェーブレット変換が施され、ウェ
ーブレット変換結果から部分放電の特徴が抽出されて、
部分放電の大きさや発生箇所等がノイズの影響を殆ど受
けることなく検出される。
【0024】請求項19記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項18記載の電気機器の異常監視装置にお
いて、前記増幅器は、前記超音波波動が入力する経路
に、ノイズフィルタ、所要レベルに増幅する増幅部、平
均値処理及びノイズ除去処理を含む信号変換部及び伝送
回路を備え、前記低圧電源電圧の入力する経路には、該
低圧電源電圧の位相を部分放電発生回路の電圧位相に変
換する位相変換部、電圧電流変換部及び伝送回路を備え
てなることを要旨とする。この構成により、超音波波動
の入力に関しては、増幅の過程で効果的なノイズ除去処
理を含んでおり、電圧位相から見たn周期分の検出波デ
ータを切り出し、また低圧電源電圧の入力に関しては、
その低圧電源電圧の位相を部分放電の発生した高圧側回
路の電源位相に変換することが行われて、S/N比のよ
い必要最小限のデータを用いて比較的短い時間でウェー
ブレット変換を行うことが可能となる。
【0025】請求項20記載の電気機器の異常監視装置
は、上記請求項18記載の電気機器の異常監視装置にお
いて、前記信号処理用計算機に搭載するソフトウェアを
記憶した記憶媒体を有することを要旨とする。この構成
により、記憶媒体は汎用の計算機において利用可能とな
る。
【0026】請求項21記載の電気機器の異常監視方法
は、信号源から超音波センサで採取したAE信号及び一
定周波数の電源電圧が印加されたときの電源電圧信号の
2つの信号をサンプリングし、前記AE信号に対し所定
の変換式によるウェーブレット変換を行った結果から等
高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振幅の位相と前
記等高線グラフにおける所定のしきい値を超えた領域の
位相との位相ずれを求め、その位相ずれの経時的な変化
を定量評価することにより絶縁劣化の兆候を判断するこ
とを要旨とする。この構成により、部分放電現象は電源
電圧と同期して発生し、電源電圧と無関係に連続的に発
生する励磁音等のノイズに比べて位相ずれの絶対値が小
さくなる。このことから位相ずれの経時的な変化をみ
て、位相ずれが時間とともに小さくなってきている場
合、部分放電が発生している可能性が高いと判断するこ
とができる。
【0027】請求項22記載の電気機器の異常監視方法
は、信号源から超音波センサで採取したAE信号及び一
定周波数の電源電圧が印加されたときの電源電圧信号の
2つの信号をサンプリングし、前記AE信号に対し所定
の変換式によるウェーブレット変換を行った結果から等
高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振幅の位相と前
記等高線グラフにおける所定のしきい値を超えた領域の
位相との位相ずれを求め、その位相ずれが所定の範囲内
にあるとき、前記領域の面積の経時的な変化を定量評価
することにより絶縁劣化の兆候を判断することを要旨と
する。この構成により、等高線グラフにおける所定のし
きい値を超えた領域の面積の大きさは、放電パルスの大
きさを表していると考えることができる。このことか
ら、位相ずれが所定の範囲内にあってノイズでないと判
断できるとき、上記領域の面積の経時的な変化をみて、
その面積が時間とともに大きくなっている場合、部分放
電が進行していると判断することができる。
【0028】請求項23記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項21記載の電気機器の異常監視方法にお
いて、前記位相ずれφの値が、φ<0からφ>0へ変化
したとき、絶縁破壊直前と判断することを要旨とする。
この構成により、部分放電の放電パターンの歪み度は位
相ずれφの大きさに対応しており、歪み度>0でφ<0
のとき、絶縁破壊に至る直前である。このことから、位
相ずれφが、φ<0からφ>0へ変化したとき、絶縁破
壊直前の最も危険な状態と判断することができる。
【0029】請求項24記載の電気機器の異常監視方法
は、信号源から超音波センサで採取したAE信号及び一
定周波数の電源電圧が印加されたときの電源電圧信号の
2つの信号をサンプリングし、前記AE信号に対し所定
の変換式によるウェーブレット変換を行った結果から等
高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振幅の位相と前
記等高線グラフにおける所定のしきい値を超えた領域の
位相との位相ずれを求め、前記等高線グラフの領域の面
積の大きさから絶縁劣化を判断するとともに、この判断
のために設けた他のしきい値を前記位相ずれの値に応じ
て変更することを要旨とする。この構成により、上記の
ように、位相ずれの値と絶縁劣化の状況には関連があ
る。そこで、例えば、φ>0のときは放電が進行してい
る可能性が高いので、他のしきい値を少し低めに変更す
ることで厳しく判定し、φ<0のときは絶縁破壊である
可能性は低いので、他のしきい値は少し高めに変更す
る。これにより、絶縁劣化の状況に応じて適正に他のし
きい値が設定されて、より実フィールドに適した診断を
することが可能となる。
【0030】請求項25記載の電気機器の異常監視方法
は、信号源から超音波センサで採取したAE信号をサン
プリングし、そのAE信号に対し所定の変換式によるウ
ェーブレット変換を行った結果から等高線グラフを求
め、その等高線グラフの各領域の面積についてその等高
線グラフの各領域の分布パターン又は等高線の勾配の少
なくとも何れかを定量化するための重み付けをそれぞれ
行い、この各重み付けに基づいて前記等高線グラフを3
次元グラフで表したときの体積を求めることと同価な指
標を設定し、この指標を絶縁劣化の判定要素とすること
を要旨とする。この構成により、新たな指標を設定する
ことで、等高線グラフの領域の形状、分布がより正確に
把握されて、絶縁劣化の診断精度を向上させることが可
能となる。
【0031】請求項26記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項21乃至25の何れかに記載の電気機器
の異常監視方法において、前記等高線グラフにおける所
定のしきい値を超えた領域を、前記電源電圧の周波数以
外の周波数帯域で検出したとき、絶縁劣化ではなく、ノ
イズと判断することを要旨とする。この構成により、部
分放電の場合、等高線グラフにおける所定のしきい値を
超えた領域は、電源周波数付近の周波数に依存する。こ
のため、その領域が電源周波数以外の周波数帯域で検出
されたときは、位相ずれの情報を用いなくても、ノイズ
を判断することが可能となる。
【0032】請求項27記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項21乃至25の何れかに記載の電気機器
の異常監視方法において、前記電源電圧の周波数と前記
サンプリングの周波数から、予め前記ウェーブレット変
換の最適なスケールパラメータバンドを選定してノイズ
除去を行うことを要旨とする。この構成により、予め選
定したスケールパラメータバンドについてのみウェーブ
レット変換を行うことでも、効率よくノイズ除去を行う
ことが可能となる。
【0033】請求項28記載の電気機器の異常監視方法
は、上記請求項21乃至25の何れかに記載の電気機器
の異常監視方法において、前記等高線グラフで、前記電
源電圧の正極性の領域の値と負極性の領域の値とを比較
し、負極性の領域の値の方が大きい場合に絶縁劣化では
なくノイズと判断することを要旨とする。この構成によ
り、通常の放電の場合、放電電極の整流作用により、負
極性の放電パルスが正極性の値を上回ることは殆どな
い。このような性質を用いてもノイズと判断することが
できる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0035】図1乃至図10は、本発明の第1の実施の
形態を示す図である。まず、図1のブロック図を用い
て、電気機器の異常監視装置の機能構成を説明する。同
図において、サンプリング周期演算手段1は、信号源と
外部トリガ信号から得られる情報をもとにサンプリング
周期を算出し、これをサンプリング手段2へ出力するよ
うになっている。サンプリング手段2は、サンプリング
周期演算手段1が演算したサンプリング周期に基づいて
サンプリングを行う。このサンプリング周期演算手段1
とサンプリング手段2でサンプリング装置が構成されて
いる。解析範囲特定手段3は、サンプリング手段2がサ
ンプリングしたデータの中から、解析する範囲を特定す
る(解析の的をしぼる)もので、サンプリングデータの
中から所定のデータ数抽出するデータ抽出部4、抽出し
たデータを振幅の大きさ順に並べ替えるソーティング部
5及びソーティングしたデータを予め用意した基準形と
比較し判定するソーティングデータ判定部6を有してい
る。データ置換手段7は、回転機などで回転部の速度変
動がある場合、特定した解析範囲のデータを定格速度に
応じて時間軸上で拡大縮小などしてデータを置換し、ウ
ェーブレット変換手段8へ出力する。ウェーブレット変
換手段8は、ウェーブレット変換を行い、その変換結果
を変換結果判定手段9へ出力する。変換結果判定手段9
は、変換結果に基づいて、より適切なサンプリング周
期、より適切なパラメータ、より適切な解析範囲を求め
るものであり、サンプリング周期補正部10、パラメー
タ補正部11、解析範囲補正部12及び出力制御部13
を有している。
【0036】次に、上述のように構成された電気機器の
異常監視装置の動作を、図2のフローチャートを参照し
ながら説明する。外部トリガ信号から得られる情報をも
とにサンプリング周期が算出され(ステップS1)、デ
ータがサンプリングされる(ステップS2)。サンプリ
ングデータの中から所定のデータ数だけデータを抽出す
る(ステップS3)。抽出したデータを振幅の大きさ順
にソーティングする(ステップS4)。ソーティングし
たデータを予め用意した基準形と比較し、その差異の大
きさを判定する(ステップS5)。速度変動のある場
合、データの置換が行われる(ステップS6)。ウェー
ブレット変換が行われ(ステップS7)、そのウェーブ
レット変換結果より、サンプリング周期、ウェーブレッ
ト変換パラメータ、解析範囲の判定、補正を行う。ま
ず、サンプリング周期の判定が行われ(ステップS
8)、その結果はステップS1へフィードバックされ
る。ウェーブレット変換パラメータの判定が行われ(ス
テップS9)、パラメータの範囲や値が変更される。そ
の結果はステップS7へ反映され、再度ウェーブレット
変換が行われる。さらに解析範囲の補正が行われ(ステ
ップS10)、その結果はステップS3へフィードバッ
クされる。最終的なウェーブレット変換結果は、ステッ
プS11において診断される。
【0037】ここで、ウェーブレット変換について簡単
に説明する。一般に、ウェーブレット変換はスケールパ
ラメータaとシフトパラメータbを用いて式1のように
表される。
【0038】
【数1】 ここで、f(x)は変換対象となる関数、ψ(t)は次
の式2の条件を満たす関数であり、ウェーブレット関数
と呼ぶ。
【0039】
【数2】 本実施の形態では、ψ(t)として、比較的よく用いら
れる「Mexican hat 」と呼ばれる関数を用いる。この関
数を式3に示す。
【0040】
【数3】 なお、ここでは、「Mexican hat 」関数で説明するが、
例えば「Haar」関数や「Gabor 」関数など、他の関数で
も実施可能である。
【0041】このウェーブレット変換では、スケールパ
ラメータa、シフトパラメータbはいろいろな値をとる
ことができるが、本実施の形態では、直交の離散系ウェ
ーブレット変換を用いる。直交ウェーブレット変換では
スケールパラメータを2のべき乗で表される。本実施の
形態の第1回目のウェーブレット変換では、スケールパ
ラメータaの範囲は以下のように設定する。あるスケー
ルパラメータamin について、
【数4】 ψ(ti-1 /amin )=0,ψ(ti /amin )>0, ψ(ti+1 /amin )=0 を満たすとき、これを最小のスケールとする。また、あ
るスケールパラメータamax について任意のサンプリン
グデータtに対して、 ψ(t/amax )>0 が成り立つとき、これを最大のスケールとする。このよ
うに設定すれば、スケールパラメータは十分小さい値か
ら、十分大きい値までの範囲をとることができる。
【0042】以上のウェーブレット変換の概要を前提と
して、以下に前記図1に示した各装置及び手段の機能に
ついて、さらに説明する。サンプリング装置1,2で
は、ウェーブレット変換を効果的に行うためのデータサ
ンプリング周期Δtを算出する。外部トリガ信号から得
られる情報は、例えば、周波数fや速度v、回転数rp
mであるが、ここでは、周波数fの例を説明する。得ら
れた情報(周波数f)をもとに、ウェーブレット変換を
効果的に行うためのサンプリング周期Δtを、 Δt=1/2αf …(4) とすることを提案する。αは上述のウェーブレット変換
のスケールパラメータaに対応しており、ここではスケ
ールパラメータaの上限と下限の中間的な値
【数5】 を用いる。ウェーブレット変換のスケールパラメータは
周波数分解能に相当するので、サンプリング周期にスケ
ールパラメータを反映させることにより、効果的にウェ
ーブレット変換を行うための確実なデータサンプリング
ができる。
【0043】解析範囲特定手段3では、上記サンプリン
グ装置1,2によりサンプリングしたデータの中から、
ウェーブレット変換を行うためのデータを所定のデータ
数分抽出する。サンプリングは随時行われているが、所
定のサンプリングポイント数N個のデータは随時バッフ
ァに入る。バッファに入ったサンプリングポイント数の
データ中から、所定のデータ数I個のデータを抽出す
る。まず、N個のサンプリングデータの中から、所定の
データ数I個のデータを等間隔に抽出する(N>I)。
例えば、N=4000,I=1000とした場合、図3
に示すように、4000点のデータの中から1000点
のデータを等間隔に間引きして抽出する。この操作は、
サンプリング周期を大きくすることと同等であり、無駄
なデータ量を取捨選択する目的がある。そこで、データ
の間引きによってデータの特徴が失われることもあり得
るので、その判定を以下の手順によって行う。図4に示
すように、間引きしたデータを振幅の大きい順にソーテ
ィングし、ソーティングしてできた単調減少の図形(図
4(a))を、予め用意した基準の図形(図4(b))
と比較する。比較の方法は、 例1;ソーティングデータと基準形のデータを値の大き
い順から、それぞれ差をとり、二乗和を求める。二乗和
の値によって、基準形との差異を判定する。二乗和があ
るしきい値より大きい場合を“差異大”、小さい場合を
“差異小”とする。
【0044】例2;ソーティングデータと基準形との相
関係数Rを求める。Rの値によって、基準形との差異を
判定する。Rがあるしきい値(例えば、0.9など)よ
り大きい場合は、相関が強いので“差異小”、小さい場
合、相関が弱いので“差異大”とする。
【0045】“差異大”の場合、そのデータについてウ
ェーブレット変換を行う。“差異小”の場合は、ウェー
ブレット変換を行わず、次のように、データの再抽出を
行う。即ち、N個のサンプリングデータの中から、所定
のデータ数I個ずつデータを時間軸上で分割する(N>
I)。例えば、N=4000,I=1000とした場
合、図5に示すように、4000点のデータの中から1
000点ずつデータを分割する(間引きではない)。こ
の場合では、1000点のデータの集まりが4グループ
できる。この4グループを前記と同様に振幅の大きい方
からソーティングし、ソーティングしてできた単調減少
の図形を、予め用意した基準の図形と比較する。比較は
前記の方法と同様に行い、最も差異が大きくなるグルー
プのデータに着目する。このときのデータが“差異大”
と判定された場合は、そのデータについてウェーブレッ
ト変換を行う。“差異小”の場合は、ウェーブレット変
換を行わず、データの再サンプリングを行う。
【0046】図6は、データ置換手段7に関する構成例
を示した概要図である。14は回転機としての誘導電動
機、15は速度センサである。例えば、回転機などで誘
導電動機14のように回転部に速度変動がある場合、前
記サンプリング装置1,2においてサンプリング周期が
随時変更される仕組みになっているが、同じ時間軸上で
容易にデータを比較するために、定格速度のときを基準
として、データを時間軸上で拡大、縮小する。この仕組
みを視覚的に表したものが図7である。データ置換の方
法は、定格速度時(図7(a))の周波数をf、サンプ
リング周期をΔt、サンプリングデータ(図7(b))
の周波数をf′、サンプリング周期をΔt′とすると、
【数6】 f:f′=1/Δt:1/Δt′ …(6) として換算すれば、(図7(c))のように、容易に置
換できる。また、回転速度N(回転数〔rpm〕)、極
数P、回転周波数fとすると、
【数7】 という関係があるので、図6のような構成の場合にも、
回転周波数fは容易に算出できる。
【0047】図8は、サンプリング周期補正部10を説
明するための図である。サンプリング周期補正部10
は、ウェーブレット変換結果より、サンプリング周期の
補正を行うことを目的としている。ここで、ウェーブレ
ット変換結果を以下に説明するウェーブレット分散を用
いて、定量的に把握する。ウェーブレット分散は式8で
定義される。
【0048】
【数8】 ウェーブレット分散は、ウェーブレット変換の各スケー
ルパラメータについての変換結果を基準値0として分散
をとったもので、各スケールパラメータについてのウェ
ーブレット変換の解析感度を表している。このようにし
て算出したウェーブレット分散によって、ウェーブレッ
ト変換結果だけでは判断しにくいウェーブレット変換の
解析感度を定量的に把握することができる。このウェー
ブレット分散に基づいて、ウェーブレット変換のスケー
ルパラメータの範囲を絞り込む。ウェーブレット分散の
値が大きいほど解析感度は高くなっているので、ウェー
ブレット分散の大きい部分のみに着目する。第1回目の
ウェーブレット変換ではスケールパラメータの範囲は十
分大きくとっているので、ウェーブレット分散の値か
ら、あるしきい値より大きくなるときのスケールパラメ
ータを選出し、それらをカバーする範囲を新たなスケー
ルパラメータの範囲とする。このスケールパラメータの
範囲は、サンプリング周期演算手段1に反映され、サン
プリング周期の演算の際に用いたαの値が変更される。
これによって、サンプリング周期が変更される。
【0049】パラメータ補正部11でも、ウェーブレッ
ト変換結果から上述のウェーブレット分散を算出し、あ
るしきい値より大きくなるときのスケールパラメータを
選出し、それらをカバーする範囲を新たなスケールパラ
メータの範囲とする。ここで、本実施の形態では上記ウ
ェーブレット変換の説明で述べたように、スケールパラ
メータの範囲は2のべき乗で表されるが、その値のとり
かたを範囲内でもっと細かくとる。図9のように、例え
ば、新たな解析範囲が25 〜27 となった場合、スケー
ルパラメータは、25 ,26 ,27 であるが、この間を
もっと細かくとって、例えば、25 ,2(15+1)/3,2
(15+2)/3,26 ,2(18+1)/3,2(18+2)/3,27 という
ように、スケールを細分割する。このように、範囲を絞
り込んだ上でパラメータをさらに細かくとるので、効率
良く詳しい解析ができる。
【0050】解析範囲補正部12では、図10に示すよ
うに、ウェーブレット変換結果から、上述のウェーブレ
ット分散をシフトパラメータ上で等分割した区間ごとに
算出する。区間の名前をB1 ,B2 ,B3 ,…とする。
このときの区間ごとのウェーブレット分散をそれぞれW
1 ,W2 ,W3 ,…とすると、
【数9】 と表現できる。ウェーブレット分散が最大となる区間B
max が解析感度が高いので、時間軸上のずれを補正する
ために、その区間が中央へくるようデータを平行移動す
る。ウェーブレット分散が最大となる区間が中央へくる
ようにするためには、シフトパラメータの何点分を左又
は右へシフトさせることになるのか、そして、それが原
データを時間軸上で何ポイント分移動すればよいのかを
算出する。これは、シフトパラメータが時間に相当する
ので容易に算出することができる。これによって、解析
範囲特定手段3で特定されたデータ解析範囲が補正され
る。
【0051】図11は、本実施の形態を電気機器の部分
放電検出に適用した場合の構成例を示した概要図であ
る。電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常による部分
放電の検出を行う場合、超音波センサ(AEセンサ)1
6a,16bから採取した入力信号に対して、ウェーブ
レット変換を行うことにより部分放電を正確に検出する
ものである。
【0052】図12は、第1の部分放電検出法を説明す
るための図で、ウェーブレット変換結果を示したもので
ある。色の濃淡はウェーブレット係数の大小を示してい
る。本検出法では、トランスなどの巻線部分に生じる励
磁音の減衰性と部分放電音の継続性を、ウェーブレット
係数のシフトパラメータでの分布域を調べることによっ
て判別する。ウェーブレット変換結果より、シフトパラ
メータでのウェーブレット係数がピーク性の分布域にな
っている場合、励磁音と判定する。逆にピーク性ではな
く継続的な分布域になっている場合、部分放電音である
と判定する。
【0053】図13は、第2の部分放電検出法を説明す
るための図で、ウェーブレット変換結果を示したもので
ある。トランスなどの巻線部分に生じる励磁音による雑
音信号は、広い周波数成分を持つことが多いので、スケ
ールパラメータでのウェーブレット係数の分布域を調べ
ることによって判定する。ウェーブレット変換結果よ
り、スケールパラメータでのウェーブレット係数の分布
域が狭い場合、例えば同じシフトパラメータでスケール
パラメータの違いによってウェーブレット係数の値が大
きく異なる場合、信号に含まれる周波数域は狭いことに
なるので、部分放電と判定する。逆に同じシフトパラメ
ータでスケールパラメータの違いによってウェーブレッ
ト係数の値の差が小さい場合、信号に含まれる周波数域
は広いことになるので、励磁音による雑音信号と判定す
る。励磁音であると判定された場合、シフトパラメータ
でのウェーブレット係数の分布域を調べて、ピーク性分
の分布から周期性の有無を判別する。
【0054】図14は、第3の部分放電検出法を説明す
るための図である。本検出法では、AE信号と変流器
(CT)17で検出した地絡電流信号(CT信号)の2
つの入力信号をもとに、データ解析を特定する。ウェー
ブレット変換を行う前に、AE信号データからCT信号
の1周期分を時間的に対応させて抽出し、データ解析範
囲とする。このようにして、端子電圧信号の1サイクル
分のAE信号について、ウェーブレット変換を行い、ウ
ェーブレット係数の位相の違いから、部分放電の有無を
判定する。
【0055】次に、本発明を、電気機器の部分放電検出
装置及び部分放電検出方法に適用した例を、第2の実施
の形態として説明する。図15は、本実施の形態の部分
放電検出対象と部分放電検出装置の概念図である。同図
において、受配電設備21は、発変電所・工場・ビルな
どで使用されており、高電圧充電部23が部分放電検出
対象である。また、その中にある電圧変成器24は励磁
騒音を発してノイズ源となる。AEセンサ22により部
分放電現象に伴って発生する超音波波動を検出し、所内
変圧器25から低圧電源電圧を計測して、AEアンプ2
6で所要の出力レベルの電気信号に変換し、信号処理用
計算機27を用いて電源位相の起点からのn周期分の検
出波データを切り出してウェーブレット変換を施すこと
により、部分放電の特徴を抽出する。記憶媒体28は本
実施の形態の機能を実装したソフトウェアを内蔵してお
り、着脱可能である。
【0056】図16は、信号処理用計算機27の出力表
示内容であるウェーブレット変換値の等高線グラフの一
例である。ウェーブレット変換値を数階調L1 ,L2
3,…,Ln に分解して、それぞれの階調ごとに領域
を描かせることができる。縦軸は周波数成分a、横軸は
時間(位相)成分bであり、L3 >L2 >L1 の順に波
高が高いことを示している。このグラフの特徴は、高い
周波数のノイズは上の方に散布し、単発ノイズは、その
発生位相に局在するので、検出に必要なグラフパターン
のところだけに着目できることである。
【0057】図17は、図16におけるウェーブレット
変換値の等高線グラフで、最大高の領域Ln の重心位置
wからの位相の求め方を示す。等高のグラフ領域は、そ
こに属するデータの打点の回りを囲むものであるから、
そのデータの度数分布の重心を求めればよい。電源電圧
の最大位置Vm と何度の位相ずれφがあるかで一致度を
判定する。そうすることで、沿面放電の場合における位
相の一致度やボイド欠陥の場合における位相の乖離度
を、多くのノイズパターンにおける位相と比較して判別
できる。
【0058】図18は、図16におけるウェーブレット
変換値の等高線グラフで、最大高の領域Ln の面積の求
め方を示す。領域の描画のスケールによって変わること
のないように、該当する領域に属するウェーブレット変
換値kの数m(図では5)あるいは輪郭線で囲まれた画
素hの数で読み取る。そうすることで、ノイズの影響を
殆ど受けることなく部分放電の大きさを知ることができ
る。
【0059】図19は、図16におけるウェーブレット
変換値の等高線グラフで、電源電圧の2周期分を用いた
周波数の求め方を示す。最大高の領域面積の最大高また
は最小高の重心間距離(d1 またはd2 )を読むこと
で、超音波波動の包絡線相当の周波数を判定する。そう
することで、部分放電現象以外の所から発生するノイズ
を明らかに判別できる。
【0060】図20は、所内変圧器25の高圧側と低圧
側との位相関係を示す。低圧側電源電圧Vの計測箇所と
部分放電の発生している高圧側回路とに位相差θ(R相
ではゼロ、S、T相では±120度)がある。そこで、
位相変換により低圧側から高圧側の位相に換算する。即
ち位相θだけシフトさせた超音波検出データを切り出せ
ばよい。高圧側から直接信号を取り出すのに比べて、安
全かつ安価に計測できる。
【0061】図21は、電源電圧の2周期分の超音波検
出データの推移の例を示す。ウェーブレット変換結果の
時間差分を評価して、部分放電の位相変化(φn とφ
n-1 の差)や大きさの変化(An とAn-1 の差)のよう
な時間特性を捉える。そうすることで、ノイズの多い条
件(例えば、AxやAy)での部分放電検出からノイズ
を除外して、より正確に傾向を判断できる。
【0062】図22は、AEセンサを複数個設置する
か、AEセンサを移動して複数回測定するかして、複数
箇所(o,p,q)の超音波検出データを得る場合の例
を示す。それらのウェーブレット変換結果の箇所差分を
評価して、部分放電の位相変化(φo〜φp〜φq)や
大きさの変化(Ao〜Ap〜Aq)を捉える。そうする
ことで、部分放電の発生箇所を位相差最小φpまたは面
積最大Apの箇所pとして絞り込むことができる。
【0063】図23は、図15のAEアンプ26の内部
構成を示すブロック図である。AEセンサ22より入力
される超音波信号の経路には、ノイズフィルタ29、増
幅部30、平均値処理やノイズ除去処理を含む信号変換
部31及び伝送回路32が備えられ、所内変圧器25か
ら入力される電源電圧の経路には、AEアンプ駆動用電
源部33、部分放電発生回路の電圧位相に変換する位相
変換部34、電圧電流変換部35及び伝送回路36が備
えられている。超音波信号の入力に関しては、信号増幅
の過程で効果的なノイズ除去処理を含んでおり、電圧位
相から見たn周期分の超音波検出データを切り出してい
るので、S/N比のよい必要最小限のデータを用いて比
較的短い時間でウェーブレット変換を行うことができ
る。また、電源電圧の入力に関しては、ウェーブレット
変換の対象となるデータ域を選択するという役割とアン
プ駆動用電源という役割を共用することで、コストを低
減できる。
【0064】図24は、計算機処理の動作順序を端的に
表示するフローチャートであり、その実現にはソフトウ
ェアを組み込む。超音波検出データfを入力し(ステッ
プS21)、電源電圧vを入力する(ステップS2
2)。超音波検出データfを電源電圧vの基点から所要
のデータ数だけ切り出す(ステップS23)。ウェーブ
レット変換のための変換関数ψを選択する(ステップS
24)。超音波検出データfと変換関数ψの積和をとり
ウェーブレット変換を施して、変換値Wを得る(ステッ
プS25)。変換値Wを等高線グラフに表示する(ステ
ップS26)。この表示データはコンピュータ内での引
き続く判定にも用いるが、人間の判断を取り入れてもよ
い。「最大高の領域は電源位相に一致か?」を判定し
(ステップS27)、yesであれば、「最大高の領域
の面積は大きいか?」を判定し(ステップS28)、y
esであれば、「最大高または最小高の重心間距離は電
源電圧vと一致か?」を判定し(ステップS29)、y
esであれば、部分放電と判定する。また、ステップS
27,S28,S29の何れかで、noであれば、部分
放電ではないと判定する。
【0065】上記の一連のソフトウェアを搭載した記憶
媒体28は、汎用の計算機上で利用可能なことから、受
配電設備の常時監視装置をはじめ、現場での保全ツール
や遠隔診断用など多様な用途に適用できる。したがっ
て、以上のような実施の形態の方法によれば、高周波を
含む複雑な部分放電現象を、ウェーブレット変換結果の
特徴抽出により、電源周波数域での数周期のデータだけ
に着目した簡便な方法で判定できる。また、以上のよう
な実施の形態の装置構成によれば、パーソナルコンピュ
ータでも実現可能なことから、受配電設備に限らず多く
の電気機器の部分放電現象の検出に適用できる。なお、
そのときの検出センサは、マイクロホン、AEセンサな
ど、所要の波動を捉えることができるものであれば何で
もよい。
【0066】図25乃至図35には、本発明の第3の実
施の形態を示す。上記第2の実施の形態では、等高線グ
ラフの最大高の領域と面積のみから部分放電を定量的に
評価するようにしているが、等高線グラフの領域の形状
や分布のパターンを正確に把握するには、なお不十分な
ところがある。本実施の形態及び後述の第4の実施の形
態は、この等高線グラフの領域の形状や分布のパターン
をより正確に把握して、部分放電検出のノイズ耐量と部
分放電の検出感度を向上させ、一層高い異常診断精度が
得られるようにしたものである。
【0067】本実施の形態では、まず単相の電源電圧信
号の場合について説明する。図25は、機能構成の概要
を示すブロック図である。同図において、サンプリング
手段41では、信号源から入力された信号(同時に測定
したAE信号、電源電圧信号)をサンプリングする。こ
のときのサンプリング周期の情報は、ウェーブレット変
換範囲特定手段42に送られる。ウェーブレット変換範
囲特定手段42では、サンプリング手段41でサンプリ
ングしたデータの中から、ウェーブレット変換する範囲
(電源電圧信号の1周期分)を抽出する。ウェーブレッ
トパラメータ設定手段43では、ウェーブレット変換を
するために、パラメータ(特にスケールパラメータ)の
設定を行い、このパラメータに基づいて、ウェーブレッ
ト変換手段44において、ウェーブレット変換が行われ
る。ウェーブレット変換結果は、ウェーブレット変換結
果評価手段45へ送られ、ここでウェーブレット変換結
果の定量的な評価を行う。ウェーブレット変換結果評価
手段45は、等高線グラフ表示部46、位相ずれ算出部
47、位相ずれ判定部48、面積算出部49、面積判定
部50、周波数判定部51及び出力制御部52を有して
いる。
【0068】次に、上述のように構成された本実施の形
態の動作を、図2のフローチャートを用いて説明する。
まず、信号源から入力されるAE信号、電源電圧信号を
サンプリング手段41でサンプリングする(ステップS
41)。サンプリングデータの中から、ウェーブレット
変換範囲特定手段42でウェーブレット変換する範囲
(電源電圧の1周期分)を抽出する(ステップS4
2)。ウェーブレットパラメータ設定手段43でウェー
ブレット変換のパラメータを設定し(ステップS4
3)、このパラメータに基づいて、ウェーブレット変換
手段44でウェーブレット変換が行われる(ステップS
44)。ウェーブレット変換結果は、等高線グラフ表示
部46で等高線グラフに表示され(ステップS45)、
この等高線グラフを基にウェーブレット変換結果の定量
評価が行われる。まず、位相ずれ算出部47で位相ずれ
が算出され(ステップS46)、その位相ずれの値が、
位相ずれ判定部48で判定される(ステップS47)。
そして、面積算出部49で等高線グラフの領域の面積を
算出し(ステップS48)、面積判定部50で、その面
積の大きさが判定される(ステップS49)。このあ
と、最終的なウェーブレット変換結果が診断される(ス
テップS50)。
【0069】本実施の形態における第1の部分放電検出
法を、図27及び図28を用いて説明する。まず、ウェ
ーブレット変換結果を、等高線グラフに表示し、ウェー
ブレット変換結果と電源電圧の最大振幅との位相のずれ
φを算出する。位相のずれφの算出方法は、図27に示
すように、等高線グラフの所定のしきい値γを超えた領
域Lk に着目する。領域Lk の中心位相φL を領域Lk
の位相とする。一方、電源電圧の最大振幅の位相は、9
0度である。つまり、求めたい位相ずれφは、 φ=φL −90 …(10) である。この位相ずれφの値は保存され、位相ずれ判定
部48において、経時的変化が定量評価される。
【0070】部分放電現象は、電源電圧と同期して発生
し、一方励磁音のようなノイズは、電源電圧とは無関係
に連続的に発生する。そのため、位相ずれφの絶対値が
大きいとき、部分放電である可能性は低く、ノイズの可
能性が高い。逆に、位相ずれφの絶対値が小さいとき、
ノイズである可能性は低く、部分放電の可能性が高い。
このことから、位相ずれφの値の経時的な変化をみて、
位相ずれφが時間とともに小さくなってきている場合、
部分放電が発生している可能性があると言える。例え
ば、図28に示すように、時刻t1 ,t2 ,t3 (t1
<t2 <t3 )における位相ずれをそれぞれφt1
φt2,φt3とするとき、φt1>φt2>φt3(φt1−φt2
>0,φt2−φt3>0)となるような変化をしたとき、
部分放電が発生している可能性が高いと判断できる。
【0071】本実施の形態における第2の部分放電検出
法を、図29を用いて説明する。第1の部分放電検出法
と同様、まず、ウェーブレット変換結果と電源電圧の最
大振幅との位相のずれφを算出する。この位相ずれφの
値がある範囲内にあるとき、例えば、|φ|≦pのと
き、領域Lk の面積を算出する。そして、この領域Lk
の面積Sは保存され、面積判定部50において、経時的
変化が定量評価される。部分放電現象において、放電パ
ルスの大きさはウェーブレット変換のウェーブレット係
数に反映される。つまり、領域Lk の面積Sの大きさ
が、放電パルスの大きさを表していると考えることがで
きる。このことから、位相ずれφがある範囲内にあると
き(ノイズではないと判断できるとき)、面積Sの経時
的な変化をみて、面積Sが時間とともに大きくなってい
る場合、部分放電が進行していると言える。例えば、図
29に示すように、時刻t1 ,t2 ,t3 (t1 <t2
<t3)における領域Lk の面積をそれぞれSt1
t2,St3とするとき、St1<St2<St3(St1−St2
<0,St2−St3<0)となるような変化をしたとき、
部分放電が進行し劣化が進行していると判断できる。
【0072】本実施の形態における第3の部分放電検出
法を、図30を用いて説明する。第1の部分放電検出法
と同様、まず、ウェーブレット変換結果と電源電圧の最
大振幅との位相のずれφを算出し、位相ずれの経時的変
化を調べる。ここで、部分放電の放電パターン、絶縁劣
化の状況には、以下のような関連付けがある(図30参
照)。
【0073】放電パターン、歪み度<0のとき;放電
初期の部分放電であり、絶縁劣化を起こしていない。
【0074】放電パターン、歪み度=0のとき;劣化
が進行しているが、直ちに絶縁破壊に至らない。
【0075】放電パターン、歪み度>0のとき;劣化
が進行し、絶縁破壊に至る直前である。
【0076】放電パターンの歪み度は、位相ずれの大き
さに対応しており、歪み度<0のときφ>0、歪み度=
0のときφ=0、歪み度>0のときφ<0である。この
ことから、歪み度>0から歪み度<0へ変化したとき、
即ち、位相ずれφの値がφ<0からφ>0に変化したと
きに、絶縁破壊直前の最も危険な状態と判断することが
できる。
【0077】本実施の形態における第4の部分放電検出
法を、図31を用いて説明する。図31に示すように、
上記と同様、位相ずれφ、領域Lk の面積を算出する。
この面積の大きさから絶縁劣化を判定するために、別の
しきい値を設けたとき、このしきい値βの値を位相ずれ
φの値に応じて変更する。位相ずれφと絶縁劣化の状況
には、第3の部分放電検出法で述べたように関連がある
ので、例えば、しきい値β,x(φ)をφの関数とした
とき、 β=β0 +x(φ) …(11) β0 ;現在のしきい値 として、しきい値βをφの値に応じて変更するようにす
る。つまり、しきい値βは、φの値に応じて(絶縁劣化
の状況に応じて)、φ>0のときは放電が進行している
可能性が高いので、しきい値を少し低めにして厳しく判
定し、φ<0のときは絶縁破壊である可能性は低いの
で、しきい値を少し高めにするようにする。これによっ
て、絶縁劣化の状況に応じて、適正にしきい値を設定す
ることができ、より実フィールドに適した診断ができ
る。
【0078】本実施の形態における第5の部分放電検出
法を、図32及び図33を用いて説明する。図32に示
すように、等高線グラフ(1),(2)の領域L′k
L″k の面積が同じ場合でも、等高線の勾配によってグ
ラフの形状パターンが異なることがある。この場合、正
確な診断ができない場合があるので、等高線グラフの各
領域に適切な重み付けを行い、勾配や分布のパターンを
より正確に定量化するための新たな指標を設ける。例え
ば、等高線グラフ(1)の各領域L′1 ,L′2 ,…,
L′k にそれぞれs1 ,s2 ,…,sk という重みを付
ける。等高線グラフ(2)の領域L″1 ,L″2 ,…,
L″k にも同様の重みを付ける。このとき、新たな指標
Uとして、
【数10】 を考える。指標Uは、丁度等高線グラフを3次元グラフ
で表したときの体積を求めることと同価である。この指
標Uを用いると、等高線グラフ(1)、等高線グラフ
(2)の差は、はっきりと把握できる。また、上記の体
積を求める考え方で、図33に示すように、特に、所定
のしきい値γを超えた領域Lk を底面とする体積だけを
考えるとき、以下のように考えることもできる。
【0079】
【数11】体積=(1/3)・領域Lk の面積・高さh
(錐の体積に近似) このように、領域Lk を底面とする体積を考えること
で、領域Lk のもつ高さを考慮することができる。領域
の底面積が同じ場合でも、高さ成分を考慮することによ
って、違いが明確にできる。これより、この高さの成分
を、領域の重み付けをするときに加味すれば、等高線グ
ラフをより正確に把握できる。例えば、領域Lk の重み
付けsk を、高さhの関数として、高さhに比例して大
きな重み付けをできるようにする。
【0080】 sk =s(h) …(13) このように、新たな指標Uを設けることによって、等高
線グラフの領域の形状、分布をより正確に把握し、絶縁
劣化の診断精度を向上させることができる。
【0081】本実施の形態における第6の部分放電検出
法を、図34を用いて説明する。図34に示すように、
領域Lk を電源周波数(50Hzの場合)付近以外の周
波数fL で検出した場合、(部分放電の場合、電源周波
数(50Hzの場合)付近の周波数に領域Lk が存在す
るはずなので)、絶縁劣化ではなく、ノイズと判断する
ことができる。
【0082】本実施の形態における第7の部分放電検出
法を説明する。上記第6の部分放電検出法において、検
出した領域Lk の存在する周波数域によって、ノイズの
識別をするのではなく、ノイズ電源周波数とデータのサ
ンプリング周波数から、予めウェーブレット変換の最適
なスケールパラメータを選定する。例えば、電源電圧の
周波数が50Hz、データのサンプリング周波数が25
kHzのときを考える。電源電圧の1周期分のサンプリ
ングデータ(データ点数はf/50個)に対して、式
(1)のa(スケールパラメータ)の値によってウェー
ブレット関数の周波数が変化するが、この場合a=27
のとき、電源周波数とウェーブレット関数の周波数が一
致する。このことから、ウェーブレット変換を行うスケ
ールパラメータバンドは、a=26 〜28 と限定でき
る。また、サンプリング周波数が50kHzのときはa
=28 のとき、100kHzのときはa=29 のとき、
電源周波数とウェーブレット関数の周波数が一致する。
このように、ウェーブレット変換のウェーブレット関数
の周波数が電源電圧の周波数に一致するようにスケール
パラメータバンドを選定する。このように、解析するス
ケールパラメータバンドを限定することによって、効率
よくノイズ除去を行うことができる。
【0083】本実施の形態における第8の部分放電検出
法を、図35を用いて説明する。図35に示すように、
等高線グラフで、電源電圧の正極性と負極性の領域の値
(高さ)を比較して、負極性の値が大きい場合にノイズ
と判断する。これは、ボイド放電のような特殊な放電を
除き、通常の放電の場合には、放電電極の整流作用によ
り、負極性の放電パルスが正極性の値を上回ることは殆
どないという性質を用いて判断することができる。
【0084】上記の一連のソフトウェアを搭載した記憶
媒体は、汎用の計算機上で利用可能なことから、多様な
用途に適用できる。
【0085】図36には、本発明の第4の実施の形態を
示す。本実施の形態では、3相の電源電圧信号の場合に
ついて説明する。3相の場合も、単相の場合と同様に考
えることができる。例えば、U相のみに着目して、その
電源電圧信号とAE信号のみに着目すれば、上記単相の
場合と同様の方法を用いることができる。また、V相の
み、W相のみに着目しても同様である。そして、3相全
体を見た場合、図36に示すように、ある電源電圧信号
(例えばU相)のゼロクロス点を起点としてみた位相
で、U相では90゜、V相では210゜、W相では33
0゜の位置を基準位置として、この位相に存在する等高
線グラフの領域に着目すればよい。図36の等高線グラ
フで、例えば、90゜の位相のところに所定のしきい値
γを超えた領域LU (図36の53)が存在するとき
は、U相で部分放電が発生しており、また、210゜の
位相のところに所定のしきい値γを超えた領域LV (図
36の54)が存在するときはV相で、330゜の位相
のところに所定のしきい値γを超えた領域LW (図36
の55)が存在するときはW相で、部分放電が発生して
いると判断することができる。逆に、90゜の位相のと
ころに所定のしきい値γを超えた領域LU (図36の5
3)が存在しないときは、U相では部分放電が発生して
おらず、また、210゜の位相のところに所定のしきい
値γを超えた領域LV (図36の54)が存在しないと
きはV相で、330゜の位相のところに所定のしきい値
γを超えた領域LW (図36の55)が存在しないとき
はW相で、部分放電が発生していないとそれぞれ判断す
ることができる。このように、3相の電源電圧信号の場
合でも、第3の実施の形態で示した単相の場合と同様の
方法で、部分放電を検出することができる。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の電
気機器の異常監視装置によれば、外部トリガ信号から得
られる情報を基に演算されたサンプリング周期で信号源
からデータのサンプリングを行うサンプリング手段と、
該サンプリング手段でサンプリングしたデータの中から
ウェーブレット変換を行うためのデータを所定のデータ
数分抽出し、解析範囲を特定する解析範囲特定手段と、
該解析範囲特定手段で特定した解析範囲のデータに対
し、所定の変換式によりウェーブレット変換するウェー
ブレット変換手段と、該ウェーブレット変換手段による
ウェーブレット変換結果から前記サンプリング周期、前
記解析範囲及び前記変換式におけるパラメータを判定
し、該サンプリング周期、解析範囲及びパラメータに対
し必要な補正を行う変換結果判定手段とを有し、前記必
要な補正を行った後の前記ウェーブレット変換手段によ
るウェーブレット変換結果を基に前記信号源となる電気
機器の異常を監視するように構成したため、サンプリン
グ手段でウェーブレット変換を効果的に行うためのサン
プリング周期でデータのサンプリングが行われ、解析範
囲特定手段で効率良くウェーブレット変換を行う解析範
囲が特定され、変換結果判定手段で、ウェーブレット変
換結果をもとに、より適正なサンプリング周期、より適
正な解析範囲及びより適正なパラメータに補正される。
この結果、解析範囲のデータに対し効率良くかつ精度の
良い解析を行うことができて高い異常診断精度を得るこ
とができる。
【0087】請求項2記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記解析範囲特定手段は、前記サンプリングし
たデータの中から等間隔に抽出したデータを振幅の大き
い順に並べ替え、予め用意した基準形との比較からウェ
ーブレット変換するデータを選出することによってサン
プリング周波数分解能を変更するように構成したため、
サンプリングしたデータの中から無駄のない効率的なサ
ンプリング周波数分解能でウェーブレット変換の対象を
抽出することができる。
【0088】請求項3記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記解析範囲特定手段は、前記サンプリングし
たデータの中から連続的に抽出したデータを振幅の大き
い順に並べ替え、予め用意した基準形との比較からウェ
ーブレット変換するデータを選定することによって前記
データ選出範囲の位置決めを行うように構成したため、
サンプリングしたデータの中から最も特徴的な部分を特
定するので、ウェーブレット変換を行うのに最も効果的
な対象選出範囲の位置決めを行うことができる。
【0089】請求項4記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記電気機器が回転機であり、回転部に速度変
動のある場合は、入力信号である電流信号をサンプリン
グし、前記解析範囲を特定したデータを前記電気機器の
定格速度に応じて時間軸上で拡大、縮小し、新たな解析
範囲のデータとするデータ置換手段を具備させたため、
回転機などで回転部に速度変動のある場合に、解析範囲
として特定したデータを、定格速度のデータと対応する
ように時間軸上で置換することで、容易にウェーブレッ
ト変換結果を比較することができる。
【0090】請求項5記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記変換結果判定手段には、前記ウェーブレッ
ト変換結果から前記変換式中のスケールパラメータの所
定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解析感度を表
すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブレット分散
値の大小によって適正な前記スケールパラメータの範囲
を求め、次回の前記サンプリング周期に反映させるサン
プリング周期補正部を具備させたため、より最適なサン
プリング周期で解析することが可能となる。
【0091】請求項6記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記変換結果判定手段には、前記ウェーブレッ
ト変換結果から前記変換式中のスケールパラメータの所
定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解析感度を表
すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブレット分散
値の大小によって前記スケールパラメータのとり得る値
を変更し、次回の前記ウェーブレット変換に反映させる
パラメータ補正部を具備させたため、より最適なパラメ
ータでウェーブレット変換を行うことができる。
【0092】請求項7記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記変換結果判定手段には、前記ウェーブレッ
ト変換結果から、前記変換式中のシフトパラメータ順に
等分割した区間ごとに、前記変換式中のスケールパラメ
ータの所定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解析
感度を表すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブレ
ット分散の最大値の存在する区間が中央位置にくるよう
に前記解析範囲を移動して当該解析範囲の補正を行う解
析範囲補正部を具備させたため、解析範囲を、より適正
な位置に補正することができる。
【0093】請求項8記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常に
よる部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装置であ
って、超音波センサで採取したAE信号に対してウェー
ブレット変換を行った結果より、ウェーブレット係数に
おけるシフトパラメータの分布域の特徴からトランスを
含む巻線部分に生じる励磁音の減衰性と部分放電音の継
続性とを捉えるように構成したため、スイッチギヤの絶
縁異常による部分放電の検出を行う場合、トランスなど
の巻線部分に生じる励磁音の減衰性と部分放電音の継続
性を、ウェーブレット変換結果のシフトパラメータでの
分布域に応じて、周波数域が接近しているにもかかわら
ず容易に判別することができる。
【0094】請求項9記載の電気機器の異常監視装置に
よれば、前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常に
よる部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装置であ
って、超音波センサで採取したAE信号に対してウェー
ブレット変換を行った結果より、ウェーブレット係数に
おけるスケールパラメータの分布域の特徴から励磁音に
よる雑音信号の有無と該雑音信号の周期性を判別するよ
うに構成したため、スイッチギヤの絶縁異常による部分
放電の検出を行う場合、ウェーブレット変換結果のスケ
ールパラメータでの分布域の特徴に応じて、励磁音によ
る雑音信号の有無と、その周期性を容易に判別すること
ができる。
【0095】請求項10記載の電気機器の異常監視装置
によれば、前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁異常
による部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装置で
あって、超音波センサで採取したAE信号と変流器で検
出した地絡電流信号の2つの信号を入力し、該地絡電流
信号の1サイクル分をAE信号の前記解析範囲としてウ
ェーブレット変換を行った結果より、ウェーブレット係
数の位相から部分放電の有無を判定するように構成した
ため、スイッチギヤの絶縁異常による部分放電の検出を
行う場合、地絡電流信号の1サイクル分をAE信号のデ
ータ解析範囲とするので、ウェーブレット係数の位相を
もとに部分放電の有無を、より正確に判定することがで
きる。
【0096】請求項11記載の電気機器の異常監視方法
によれば、電気機器の部分放電現象に伴って発生する超
音波波動を検出し、該超音波波動を電気信号に変換して
検出波データとし、前記電気機器の電源電圧を計測して
電源位相の起点からのn周期分の前記検出波データを切
り出して所定の変換式によるウェーブレット変換を施す
ことにより、前記部分放電の特徴を抽出するようにした
ため、ウェーブレット変換結果を、典型的表現形態であ
る等高線グラフ等に表示し、その最大高領域の電源電圧
に対する位相等から部分放電を判定することで、周波数
の高いノイズや単発性ノイズ等が部分放電判定の妨げに
ならず、部分放電検出のノイズ耐量を向上させることが
できる。
【0097】請求項12記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記ウェーブレット変換の出力表示を該ウェ
ーブレット変換の典型的表示形態である等高線グラフに
表現し、その最大高の領域に対して前記電源位相との一
致度を判定するようにしたため、沿面放電の場合におけ
る位相の一致やボイド欠陥の場合における位相の乖離の
パターンを多くのノイズパターンと区別して判定するこ
とができる。
【0098】請求項13記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記ウェーブレット変換の出力表示を該ウェ
ーブレット変換の典型的表示形態である等高線グラフに
表現し、その最大高の領域の面積の大きさを判定するよ
うにしたため、ノイズの影響を殆ど受けることなく部分
放電の大きさを把握することができる。
【0099】請求項14記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記ウェーブレット変換の出力表示を該ウェ
ーブレット変換の典型的表示形態である等高線グラフに
表現し、その最大高又は最小高の重心間距離を判定する
ようにしたため、部分放電現象以外の所から発生するノ
イズを明らかに判別することができる。
【0100】請求項15記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記電気機器の電源電圧の計測箇所は、前記
部分放電の発生している高圧側回路に対して所定の電圧
及び位相関係にある低圧側回路としたため、電源電圧
を、安全に計測することができる。
【0101】請求項16記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記電源電圧のn周期分の検出波データに対
するウェーブレット変換結果より、前記部分放電の位相
変化又は大きさの変化の何れかに関する時間差分を評価
して部分放電の時間特性を捉えるようにしたため、ノイ
ズの多い条件での部分放電をより正確に検出することが
できる。
【0102】請求項17記載の電気機器の異常監視方法
によれば、複数箇所の前記部分放電に対応した各検出波
データに対するウェーブレット変換結果より、前記部分
放電の位相変化又は大きさの変化の何れかに関する箇所
差分を評価して部分放電箇所を特定するようにしたた
め、部分放電の発生箇所を絞り込むことができる。
【0103】請求項18記載の電気機器の異常監視装置
によれば、電気機器の部分放電現象に伴って発生する超
音波波動を検出する超音波センサと、前記電気機器の電
源電圧を計測用の低圧電源電圧に変圧する変圧器と、前
記超音波センサ及び前記変圧器の各出力を入力し、前記
超音波波動を所要レベルの電気信号に変換した検出波デ
ータ及び前記低圧電源電圧の位相を前記部分放電の発生
した高圧側回路の電源位相に変換した所要の信号を出力
する増幅器と、前記電源位相の起点からのn周期分の前
記検出波データを切り出し、所定の変換式によるウェー
ブレット変換を施して前記部分放電の特徴を示すウェー
ブレット変換結果を出力する信号処理用計算機とを具備
させたため、部分放電の大きさや発生箇所等をノイズの
影響を殆ど受けることなく効率よくかつ高精度に検出す
ることができる。
【0104】請求項19記載の電気機器の異常監視装置
によれば、前記増幅器は、前記超音波波動が入力する経
路に、ノイズフィルタ、所要レベルに増幅する増幅部、
平均値処理及びノイズ除去処理を含む信号変換部及び伝
送回路を備え、前記低圧電源電圧の入力する経路には、
該低圧電源電圧の位相を部分放電発生回路の電圧位相に
変換する位相変換部、電圧電流変換部及び伝送回路を備
えさせたため、超音波波動は、増幅の過程で効果的にノ
イズ除去処理が行われ、低圧電源電圧は、その位相が部
分放電の発生した高圧側回路の電源位相に変換されて、
S/N比のよい必要最小限のデータを用いて比較的短い
時間でウェーブレット変換を行うことが可能となる。
【0105】請求項20記載の電気機器の異常監視装置
によれば、前記信号処理用計算機に搭載するソフトウェ
アを記憶した記憶媒体を具備させたため、ソフトウェア
を搭載した記憶媒体は、汎用の計算機において利用可能
なことから、受配電設備の常時監視装置をはじめ、現場
での保全ツールや遠隔診断用など多様な用途に適用する
ことができる。
【0106】請求項21記載の電気機器の異常監視方法
によれば、信号源から超音波センサで採取したAE信号
及び一定周波数の電源電圧が印加されたときの電源電圧
信号の2つの信号をサンプリングし、前記AE信号に対
し所定の変換式によるウェーブレット変換を行った結果
から等高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振幅の位
相と前記等高線グラフにおける所定のしきい値を超えた
領域の位相との位相ずれを求め、その位相ずれの経時的
な変化を定量評価することにより絶縁劣化の兆候を判断
するようにしたため、ノイズに関係なく、絶縁劣化の兆
候を判断することができて、高い異常診断精度を得るこ
とができる。
【0107】請求項22記載の電気機器の異常監視方法
によれば、信号源から超音波センサで採取したAE信号
及び一定周波数の電源電圧が印加されたときの電源電圧
信号の2つの信号をサンプリングし、前記AE信号に対
し所定の変換式によるウェーブレット変換を行った結果
から等高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振幅の位
相と前記等高線グラフにおける所定のしきい値を超えた
領域の位相との位相ずれを求め、その位相ずれが所定の
範囲内にあるとき、前記領域の面積の経時的な変化を定
量評価することにより絶縁劣化の兆候を判断するように
したため、ノイズでないと判断することができるととも
に、絶縁劣化の進行度を正確に判断することができて、
高い異常診断精度を得ることができる。
【0108】請求項23記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記位相ずれφの値が、φ<0からφ>0へ
変化したとき、絶縁破壊直前と判断するようにしたた
め、絶縁破壊直前の最も危険な状態を見落とすことな
く、これを確実に検知して正確な異常診断をすることが
できる。
【0109】請求項24記載の電気機器の異常監視方法
によれば、信号源から超音波センサで採取したAE信号
及び一定周波数の電源電圧が印加されたときの電源電圧
信号の2つの信号をサンプリングし、前記AE信号に対
し所定の変換式によるウェーブレット変換を行った結果
から等高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振幅の位
相と前記等高線グラフにおける所定のしきい値を超えた
領域の位相との位相ずれを求め、前記等高線グラフの領
域の面積の大きさから絶縁劣化を判断するとともに、こ
の判断のために設けた他のしきい値を前記位相ずれの値
に応じて変更するようにしたため、絶縁劣化の状況に応
じて適正に他のしきい値が設定されて、より実フィール
ドに適した正確な絶縁異常診断をすることができる。
【0110】請求項25記載の電気機器の異常監視方法
によれば、信号源から超音波センサで採取したAE信号
をサンプリングし、そのAE信号に対し所定の変換式に
よるウェーブレット変換を行った結果から等高線グラフ
を求め、その等高線グラフの各領域の面積についてその
等高線グラフの各領域の分布パターン又は等高線の勾配
の少なくとも何れかを定量化するための重み付けをそれ
ぞれ行い、この各重み付けに基づいて前記等高線グラフ
を3次元グラフで表したときの体積を求めることと同価
な指標を設定し、この指標を絶縁劣化の判定要素とした
ため、ウェーブレット変換結果がより正確に把握され
て、高い異常診断精度を得ることができる。
【0111】請求項26記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記等高線グラフにおける所定のしきい値を
超えた領域を、前記電源電圧の周波数以外の周波数帯域
で検出したとき、絶縁劣化ではなく、ノイズと判断する
ようにしたため、位相ずれの情報を用いなくても、ノイ
ズを判断して、高い異常診断精度を得ることができる。
【0112】請求項27記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記電源電圧の周波数と前記サンプリングの
周波数から、予め前記ウェーブレット変換の最適なスケ
ールパラメータバンドを選定してノイズ除去を行うよう
にしたため、効率よくノイズ除去を行うことができて、
高い異常診断精度を得ることができる。
【0113】請求項28記載の電気機器の異常監視方法
によれば、前記等高線グラフで、前記電源電圧の正極性
の領域の値と負極性の領域の値とを比較し、負極性の領
域の値の方が大きい場合に絶縁劣化ではなくノイズと判
断するようにしたため、ノイズ耐量が向上して部分放電
の検出感度が向上し、高い異常診断精度を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気機器の異常監視装置の第1の
実施の形態を示すブロック図である。
【図2】上記第1の実施の形態の動作を説明するための
フローチャートである。
【図3】上記第1の実施の形態における解析範囲特定手
段によるデータ抽出方法を説明するための図である。
【図4】上記第1の実施の形態における解析範囲特定手
段による抽出データを振幅の大きい順に並べ替えて基準
形と比較する処理を説明するための図である。
【図5】上記第1の実施の形態における解析範囲特定手
段によるデータの再抽出方法を説明するための図であ
る。
【図6】上記第1の実施の形態におけるデータ置換手段
に関して回転部に速度変動のある誘導電動機等の構成を
示す図である。
【図7】上記第1の実施の形態におけるデータ置換手段
のデータ置換方法を説明するための図である。
【図8】上記第1の実施の形態におけるサンプリング周
期補正部の動作を説明するための図である。
【図9】上記第1の実施の形態におけるパラメータ補正
部の動作を説明するための図である。
【図10】上記第1の実施の形態における解析範囲補正
部の動作を説明するための図である。
【図11】上記第1の実施の形態を電気機器の部分放電
検出に適用した場合の構成例を示す図である。
【図12】上記図11の構成例による第1の部分放電検
出法を説明するための図である。
【図13】上記図11の構成例による第2の部分放電検
出法を説明するための図である。
【図14】上記図11の構成例による第3の部分放電検
出法を説明するための図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態である部分放電検
出装置を示すブロック図である。
【図16】上記第2の実施の形態における信号処理用計
算機の出力表示であるウェーブレット変換値の等高線グ
ラフの一例を示す図である。
【図17】上記図16の等高線グラフで最大高の領域の
重心位置からの位相の求め方を説明するための図であ
る。
【図18】上記図16の等高線グラフで最大高の領域の
面積の求め方を説明するための図である。
【図19】上記図16の等高線グラフで電源電圧の2周
期分を用いた周波数の求め方を説明するための図であ
る。
【図20】上記第2の実施の形態における所内変圧器の
高圧側と低圧側との位相関係を示す図である。
【図21】上記第2の実施の形態において電源電圧の2
周期分の超音波検出データの推移の例を示す図である。
【図22】上記第2の実施の形態において複数箇所の超
音波波動を検出して部分放電発生箇所を絞り込む方法を
説明するための図である。
【図23】図15の装置におけるAEアンプ内の構成を
示すブロック図である。
【図24】図15の装置における信号処理用計算機の動
作順序を示すフローチャートである。
【図25】本発明の第3の実施の形態を示すブロック図
である。
【図26】上記第3の実施の形態の動作を説明するため
のフローチャートである。
【図27】上記第3の実施の形態において位相ずれの算
出方法を説明するための図である。
【図28】上記第3の実施の形態における第1の部分放
電検出法を説明するための図である。
【図29】上記第3の実施の形態における第2の部分放
電検出法を説明するための図である。
【図30】上記第3の実施の形態において部分放電の放
電パターンと絶縁劣化の状況を示す図である。
【図31】上記第3の実施の形態における第4の部分放
電検出法を説明するための図である。
【図32】上記第3の実施の形態における第5の部分放
電検出法を説明するための図である。
【図33】上記第3の実施の形態における第5の部分放
電検出法を説明するための他の図である。
【図34】上記第3の実施の形態において所定のしきい
値を超えた領域が電源周波数以外の周波数帯域で検出さ
れた場合を説明するための図である。
【図35】上記第3の実施の形態において電源電圧の負
極性に対応した等高線グラフの領域の方が大きい場合に
ノイズと判断することを説明するための図である。
【図36】本発明の第4の実施の形態における等高線グ
ラフと電源電圧波形を示す図である。
【符号の説明】 1 サンプリング周期演算手段 2,41 サンプリング手段 3 解析範囲特定手段 7 データ置換手段 8,44 ウェーブレット変換手段 9 変換結果判定手段 10 サンプリング周期補正部 11 パラメータ補正部 12 解析範囲補正部 14 誘導電動機(回転機) 16a,16b,22 超音波センサ 17 変流器 21 受配電設備 25 所内変圧器 26 AEアンプ(増幅器) 27 信号処理用計算機 28 記憶媒体 29 ノイズフィルタ 30 増幅部 31 信号変換部 32,36 伝送線路 34 位相変換部 35 電圧電流変換部 45 ウェーブレット変換結果評価手段 46 等高線グラフ表示部 47 位相ずれ算出部 48 位相ずれ判定部 49 面積算出部 50 面積判定部 51 周波数判定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // G06F 17/14 G06F 15/332 S

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部トリガ信号から得られる情報を基に
    演算されたサンプリング周期で信号源からデータのサン
    プリングを行うサンプリング手段と、該サンプリング手
    段でサンプリングしたデータの中からウェーブレット変
    換を行うためのデータを所定のデータ数分抽出し、解析
    範囲を特定する解析範囲特定手段と、該解析範囲特定手
    段で特定した解析範囲のデータに対し、所定の変換式に
    よりウェーブレット変換するウェーブレット変換手段
    と、該ウェーブレット変換手段によるウェーブレット変
    換結果から前記サンプリング周期、前記解析範囲及び前
    記変換式におけるパラメータを判定し、該サンプリング
    周期、解析範囲及びパラメータに対し必要な補正を行う
    変換結果判定手段とを有し、前記必要な補正を行った後
    の前記ウェーブレット変換手段によるウェーブレット変
    換結果を基に前記信号源となる電気機器の異常を監視す
    るように構成してなることを特徴とする電気機器の異常
    監視装置。
  2. 【請求項2】 前記解析範囲特定手段は、前記サンプリ
    ングしたデータの中から等間隔に抽出したデータを振幅
    の大きい順に並べ替え、予め用意した基準形との比較か
    らウェーブレット変換するデータを選出することによっ
    てサンプリング周波数分解能を変更するように構成して
    なることを特徴とする請求項1記載の電気機器の異常監
    視装置。
  3. 【請求項3】 前記解析範囲特定手段は、前記サンプリ
    ングしたデータの中から連続的に抽出したデータを振幅
    の大きい順に並べ替え、予め用意した基準形との比較か
    らウェーブレット変換するデータを選定することによっ
    て前記データ選出範囲の位置決めを行うように構成して
    なることを特徴とする請求項2記載の電気機器の異常監
    視装置。
  4. 【請求項4】 前記電気機器が回転機であり、回転部に
    速度変動のある場合は、入力信号である電流信号をサン
    プリングし、前記解析範囲を特定したデータを前記電気
    機器の定格速度に応じて時間軸上で拡大、縮小し、新た
    な解析範囲のデータとするデータ置換手段を有すること
    を特徴とする請求項2又は3記載の電気機器の異常監視
    装置。
  5. 【請求項5】 前記変換結果判定手段には、前記ウェー
    ブレット変換結果から前記変換式中のスケールパラメー
    タの所定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解析感
    度を表すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブレッ
    ト分散値の大小によって適正な前記スケールパラメータ
    の範囲を求め、次回の前記サンプリング周期に反映させ
    るサンプリング周期補正部を有することを特徴とする請
    求項1,2,3又は4記載の電気機器の異常監視装置。
  6. 【請求項6】 前記変換結果判定手段には、前記ウェー
    ブレット変換結果から前記変換式中のスケールパラメー
    タの所定領域内での複数の値にそれぞれ対応する解析感
    度を表すウェーブレット分散を算出し、該ウェーブレッ
    ト分散値の大小によって前記スケールパラメータのとり
    得る値を変更し、次回の前記ウェーブレット変換に反映
    させるパラメータ補正部を有することを特徴とする請求
    項1,2,3又は4記載の電気機器の異常監視装置。
  7. 【請求項7】 前記変換結果判定手段には、前記ウェー
    ブレット変換結果から、前記変換式中のシフトパラメー
    タ順に等分割した区間ごとに、前記変換式中のスケール
    パラメータの所定領域内での複数の値にそれぞれ対応す
    る解析感度を表すウェーブレット分散を算出し、該ウェ
    ーブレット分散の最大値の存在する区間が中央位置にく
    るように前記解析範囲を移動して当該解析範囲の補正を
    行う解析範囲補正部を有することを特徴とする請求項
    1,2,3又は4記載の電気機器の異常監視装置。
  8. 【請求項8】 前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁
    異常による部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装
    置であって、超音波センサで採取したAE信号に対して
    ウェーブレット変換を行った結果より、ウェーブレット
    係数におけるシフトパラメータの分布域の特徴からトラ
    ンスを含む巻線部分に生じる励磁音の減衰性と部分放電
    音の継続性とを捉えるように構成してなることを特徴と
    する請求項1記載の電気機器の異常監視装置。
  9. 【請求項9】 前記電気機器としてスイッチギヤの絶縁
    異常による部分放電の検出を行う電気機器の異常監視装
    置であって、超音波センサで採取したAE信号に対して
    ウェーブレット変換を行った結果より、ウェーブレット
    係数におけるスケールパラメータの分布域の特徴から励
    磁音による雑音信号の有無と該雑音信号の周期性を判別
    するように構成してなることを特徴とする請求項1記載
    の電気機器の異常監視装置。
  10. 【請求項10】 前記電気機器としてスイッチギヤの絶
    縁異常による部分放電の検出を行う電気機器の異常監視
    装置であって、超音波センサで採取したAE信号と変流
    器で検出した地絡電流信号の2つの信号を入力し、該地
    絡電流信号の1サイクル分をAE信号の前記解析範囲と
    してウェーブレット変換を行った結果より、ウェーブレ
    ット係数の位相から部分放電の有無を判定するように構
    成してなることを特徴とする請求項1記載の電気機器の
    異常監視装置。
  11. 【請求項11】 電気機器の部分放電現象に伴って発生
    する超音波波動を検出し、該超音波波動を電気信号に変
    換して検出波データとし、前記電気機器の電源電圧を計
    測して電源位相の起点からのn周期分の前記検出波デー
    タを切り出して所定の変換式によるウェーブレット変換
    を施すことにより、前記部分放電の特徴を抽出すること
    を特徴とする電気機器の異常監視方法。
  12. 【請求項12】 前記ウェーブレット変換の出力表示を
    該ウェーブレット変換の典型的表示形態である等高線グ
    ラフに表現し、その最大高の領域に対して前記電源位相
    との一致度を判定することを特徴とする請求項11記載
    の電気機器の異常監視方法。
  13. 【請求項13】 前記ウェーブレット変換の出力表示を
    該ウェーブレット変換の典型的表示形態である等高線グ
    ラフに表現し、その最大高の領域の面積の大きさを判定
    することを特徴とする請求項11記載の電気機器の異常
    監視方法。
  14. 【請求項14】 前記ウェーブレット変換の出力表示を
    該ウェーブレット変換の典型的表示形態である等高線グ
    ラフに表現し、その最大高又は最小高の重心間距離を判
    定することを特徴とする請求項11記載の電気機器の異
    常監視方法。
  15. 【請求項15】 前記電気機器の電源電圧の計測箇所
    は、前記部分放電の発生している高圧側回路に対して所
    定の電圧及び位相関係にある低圧側回路であることを特
    徴とする請求項11記載の電気機器の異常監視方法。
  16. 【請求項16】 前記電源電圧のn周期分の検出波デー
    タに対するウェーブレット変換結果より、前記部分放電
    の位相変化又は大きさの変化の何れかに関する時間差分
    を評価して部分放電の時間特性を捉えることを特徴とす
    る請求項11記載の電気機器の異常監視方法。
  17. 【請求項17】 複数箇所の前記部分放電に対応した各
    検出波データに対するウェーブレット変換結果より、前
    記部分放電の位相変化又は大きさの変化の何れかに関す
    る箇所差分を評価して部分放電箇所を特定することを特
    徴とする請求項11記載の電気機器の異常監視方法。
  18. 【請求項18】 電気機器の部分放電現象に伴って発生
    する超音波波動を検出する超音波センサと、前記電気機
    器の電源電圧を計測用の低圧電源電圧に変圧する変圧器
    と、前記超音波センサ及び前記変圧器の各出力を入力
    し、前記超音波波動を所要レベルの電気信号に変換した
    検出波データ及び前記低圧電源電圧の位相を前記部分放
    電の発生した高圧側回路の電源位相に変換した所要の信
    号を出力する増幅器と、前記電源位相の起点からのn周
    期分の前記検出波データを切り出し、所定の変換式によ
    るウェーブレット変換を施して前記部分放電の特徴を示
    すウェーブレット変換結果を出力する信号処理用計算機
    とを有することを特徴とする電気機器の異常監視装置。
  19. 【請求項19】 前記増幅器は、前記超音波波動が入力
    する経路に、ノイズフィルタ、所要レベルに増幅する増
    幅部、平均値処理及びノイズ除去処理を含む信号変換部
    及び伝送回路を備え、前記低圧電源電圧の入力する経路
    には、該低圧電源電圧の位相を部分放電発生回路の電圧
    位相に変換する位相変換部、電圧電流変換部及び伝送回
    路を備えてなることを特徴とする請求項18記載の電気
    機器の異常監視装置。
  20. 【請求項20】 前記信号処理用計算機に搭載するソフ
    トウェアを記憶した記憶媒体を有することを特徴とする
    請求項18記載の電気機器の異常監視装置。
  21. 【請求項21】 信号源から超音波センサで採取したA
    E信号及び一定周波数の電源電圧が印加されたときの電
    源電圧信号の2つの信号をサンプリングし、前記AE信
    号に対し所定の変換式によるウェーブレット変換を行っ
    た結果から等高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振
    幅の位相と前記等高線グラフにおける所定のしきい値を
    超えた領域の位相との位相ずれを求め、その位相ずれの
    経時的な変化を定量評価することにより絶縁劣化の兆候
    を判断することを特徴とする電気機器の異常監視方法。
  22. 【請求項22】 信号源から超音波センサで採取したA
    E信号及び一定周波数の電源電圧が印加されたときの電
    源電圧信号の2つの信号をサンプリングし、前記AE信
    号に対し所定の変換式によるウェーブレット変換を行っ
    た結果から等高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振
    幅の位相と前記等高線グラフにおける所定のしきい値を
    超えた領域の位相との位相ずれを求め、その位相ずれが
    所定の範囲内にあるとき、前記領域の面積の経時的な変
    化を定量評価することにより絶縁劣化の兆候を判断する
    ことを特徴とする電気機器の異常監視方法。
  23. 【請求項23】 前記位相ずれφの値が、φ<0からφ
    >0へ変化したとき、絶縁破壊直前と判断することを特
    徴とする請求項21記載の電気機器の異常監視方法。
  24. 【請求項24】 信号源から超音波センサで採取したA
    E信号及び一定周波数の電源電圧が印加されたときの電
    源電圧信号の2つの信号をサンプリングし、前記AE信
    号に対し所定の変換式によるウェーブレット変換を行っ
    た結果から等高線グラフを求め、前記電源電圧の最大振
    幅の位相と前記等高線グラフにおける所定のしきい値を
    超えた領域の位相との位相ずれを求め、前記等高線グラ
    フの領域の面積の大きさから絶縁劣化を判断するととも
    に、この判断のために設けた他のしきい値を前記位相ず
    れの値に応じて変更することを特徴とする電気機器の異
    常監視方法。
  25. 【請求項25】 信号源から超音波センサで採取したA
    E信号をサンプリングし、そのAE信号に対し所定の変
    換式によるウェーブレット変換を行った結果から等高線
    グラフを求め、その等高線グラフの各領域の面積につい
    てその等高線グラフの各領域の分布パターン又は等高線
    の勾配の少なくとも何れかを定量化するための重み付け
    をそれぞれ行い、この各重み付けに基づいて前記等高線
    グラフを3次元グラフで表したときの体積を求めること
    と同価な指標を設定し、この指標を絶縁劣化の判定要素
    とすることを特徴とする電気機器の異常監視方法。
  26. 【請求項26】 前記等高線グラフにおける所定のしき
    い値を超えた領域を、前記電源電圧の周波数以外の周波
    数帯域で検出したとき、絶縁劣化ではなく、ノイズと判
    断することを特徴とする請求項21乃至25の何れかに
    記載の電気機器の異常監視方法。
  27. 【請求項27】 前記電源電圧の周波数と前記サンプリ
    ングの周波数から、予め前記ウェーブレット変換の最適
    なスケールパラメータバンドを選定してノイズ除去を行
    うことを特徴とする請求項21乃至25の何れかに記載
    の電気機器の異常監視方法。
  28. 【請求項28】 前記等高線グラフで、前記電源電圧の
    正極性の領域の値と負極性の領域の値とを比較し、負極
    性の領域の値の方が大きい場合に絶縁劣化ではなくノイ
    ズと判断することを特徴とする請求項21乃至25の何
    れかに記載の電気機器の異常監視方法。
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