JPH10280036A - 強度と延性に優れた高強度ボルト用線材およびその製造法 - Google Patents
強度と延性に優れた高強度ボルト用線材およびその製造法Info
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Abstract
m2 以上)を有し、かつ絞りが60%以上となる優れた
延性をもつ強度−延性バランスに優れた高強度ボルト用
線材を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.10〜0.30%、
Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80
〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%を含有し、
あるいはさらに、Mo:0.20%以下(0%を含
む)、Ti:0.10%以下(0%を含む)、Nb:
0.10%以下(0%を含む)、B:0.0050%
(0%を含む)の内、1種又は2種以上含有し、残部が
Feおよび不可避不純物元素からなる鋼を、AC3変態点
以上に加熱した後、350〜450℃の温度まで急冷し
て、この温度で恒温変態させて冷却後、10〜30%の
加工率で冷間伸線する。
Description
工により所望の強度および寸法に加工後、ボルト成形す
ることによって、10Tクラス(引張強さ980〜11
80N/mm2 :100〜120kgf/mm2 )以上
の強度を備えた高強度のボルトを得ることができる強度
と延性に優れた高強度ボルト用線材およびその製造法に
関するものである。
簡素化を期して、従来よりボルト成形前に行われる球状
化焼なましやボルト成形後に行われる焼入れ、焼もどし
処理を省略する動きがあり、8Tクラス(引張強さ78
5〜980N/mm2 :80〜100kgf/mm2 )
までのボルトではこうした熱処理を省略可能にするため
非調質化がかなり進んでいる。
0〜1080N/mm2 :90〜110kgf/mm2
程度)以上の強度クラスの非調質ボルトでは靱性や延性
が調質ボルトに比して不足し、実用化されている例はま
だ少ない。このような問題点を解決する強度−延性バラ
ンスに優れた高強度ボルトの製造法としては既に公知の
ものもいくつかあるが(特公昭60−406号公報、特
公昭64−7136号公報)、これらの方法による場合
でも10Tクラス以上の強度になると、延性が低下する
ので高い延性を確保することが困難となる。延性の低下
のためにボルトへの加工性が極端に悪くなるとともに、
高強度であるので工具寿命も低下するため、従来の調質
鋼が使用されているのが現状である。
工程簡素化の要望に応えるために、ボルト成形機や成形
用工具の高剛性化が行われ、高強度の素材の加工が可能
になりつつある。しかしながら、高強度の素材は延性が
劣るのが通常であるので、ボルトへの加工が困難であ
る。このような背景から強度−延性バランスに優れたさ
らなる高強度ボルト用線材が望まれている。
な事情に鑑みなされたものであって、その目的は10T
クラス以上の引張強さ(980N/mm2 以上)を有
し、かつ絞りが60%以上となる優れた延性をもつ強度
−延性バランスに優れた高強度ボルト用線材を提供する
ものである。
ができた本発明に係る強度と延性に優れた高強度ボルト
用線材の製造法は、質量%(以下、鋼の化学成分におい
て、「質量%は%」で示す。)で、C:0.10〜0.
30%、Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:
0.80〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%を
含有し、あるいはさらに、Mo:0.20%以下(0%
を含む)、Ti:0.10%以下(0%を含む)、N
b:0.10%以下(0%を含む)、B:0.0050
%(0%を含む)の内、1種又は2種以上含有し、残部
がFeおよび不可避不純物元素からなる鋼を、AC3変態
点以上に加熱した後、350〜450℃の温度まで急冷
して、この温度で恒温変態させて冷却後、10〜30%
の加工率で冷間伸線することを特徴とするものである。
m2 (100kgf/mm2 )以上の高強度を有すると
共に、絞りが60%以上といった強度−延性バランスに
優れた高強度非調質ボルト用線材を得ることができる。
態点温度+50℃との間の温度範囲(MS 変態点温度を
含まない。)で、ベ−ナイト変態を行うことが好まし
い。この温度範囲で恒温変態を行うことにより、より微
細なベ−ナイト組織を得ることができ、強度−延性バラ
ンスにさらに優れた高強度非調質ボルト用線材を得るこ
とができる。このMS 変態点は測定で求めた値を用いて
もよいが、下記の式(金属便覧、日本金属学会編、昭和
46年発行、p725参照)で計算した値を用いること
ができる。 MS 変態点(℃)=538−317×C量(%)−33
×Mn量(%)−28×Cr量(%)−17×Ni量
(%)−11×(Si量(%)+Mo量(%)+W量
(%))
強度ボルト用線材は、C:0.10〜0.30%、S
i:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80〜
2.20%、Cr:0.50〜1.50%を含有し、あ
るいはさらに、Mo:0.20%以下(0%を含む)、
Ti:0.10%以下(0%を含む)、Nb:0.10
%以下(0%を含む)、B:0.0050%(0%を含
む)の内、1種又は2種以上含有し、残部がFeおよび
不可避不純物元素からなる鋼であって、組織がベーナイ
トからなり、引張強さが980N/mm2 以上で、かつ
絞りが60%以上であることを特徴とするものである。
用線材は、従来の調質鋼を用いた場合に必要となるボル
ト成形前の球状化焼なましや成形後の焼入れ、焼もどし
処理等を省略することができ、加工コストの低減や製造
工程の簡素化の要請に応えることができる。
調質ボルト用線材の強度−延性バランスの劣る原因等に
ついて種々検討を行ってきた。その結果、延性の改善の
ために鋼中のC量を低くすることを基本的考えとし、そ
の他合金元素の種類と各々の含有率を厳密に特定すると
共に、Ms変態点温度直上での低温域(350〜450
℃)で恒温変態させてベーナイト組織とし、さらに、伸
線加工率10〜30%で冷間加工を施すことにより強度
−延性バランスの優れた高強度ボルトが得られるという
知見を得て、本発明を完成した。
めた理由を説明する。 C:0.10〜0.30% Cは、固溶強化によって鋼材に所定の強度を与える。さ
らに、ベーナイト組織を得るために欠くことのできない
必須の元素である。しかしながら、C量が多くなると、
延性の低下をもたらし本発明の目的である延性の改善が
できなくなるので、0.30%以下にすることが必須で
ある。また、C量の増加に伴い加工性が悪くなる。一
方、引張強さを980N/mm2 (100kgf/mm
2 )以上を確保するために、少なくとも0.10%以上
のC量を必要とする。このため強度と延性および加工性
の面から考えて、C量は0.10〜0.30%であり、
より好ましいC量は0.15〜0.25%の範囲であ
る。
ものであるが、フェライト強化および脱酸に適した他の
元素の含有率によってはSiを含まないものまで許容さ
れ得る。しかし、Si量が多すぎると靱性に悪影響を与
えるので0.80%以下にする必要がある。Siのより
好ましい含有量は0.10〜0.50%の範囲である。
れ性を向上させ高強度化に寄与し、さらにはAC3変態点
を下げて組織を微細化して靱性の向上にも寄与する。こ
うした効果を有効に発揮させるためには0.80%以上
含有させることが必要である。しかし、2.20%以上
の添加は加工性に悪影響を与える。また、Mnを含有量
が0.80〜2.20%の範囲であれば、他の元素、例
えばC、Si等を含有させて強化させる場合に比して、
Mnを含有させることに伴う靱性、延性の低下は少な
い。
高い強度を確保しながら、優れた靱性、延性を得ること
ができる有望な元素である。その効果は0.50%以上
含有させることによって有効に発揮するが、含有量をあ
まり多くしてもその効果は飽和することや靱性の悪化を
考慮して1.50%以下にする必要がある。
おりであり、残部は鉄と不可避不純物であるが、必要に
より下記の元素を含有させることによって、高強度非調
質ボルト用線材としての特性をさらに改善することも有
効である。 Mo:0.20%以下 Moは、焼入れ性を高めて高強度に寄与する元素であ
り、この効果を奏するには、Moの含有量は0.03%
以上必要であり、0.20%以上となると、その効果が
飽和してMoの含有量を増加させてもそれ以上の改善効
果が得られないので経済的に無駄である。Moの好まし
い含有量は0.03〜0.20%の範囲である。
Nの生成を抑えることによって、B添加による焼入れ性
向上効果が得られる。さらにTiは炭化物や窒化物を生
成し、オーステナイト結晶粒を微細化し、靱性、延性の
向上に寄与する元素である。この効果を有効に発揮する
ためには、0.03%以上含有させることが好ましい。
しかし、0.10%を越えて含有させても効果が飽和し
改善効果が得られない。Tiの好ましい含有量は0.0
3〜0.10%の範囲である。
ナイト結晶粒を微細化するのに有効な元素であり、焼入
れ性も向上させる。こうした効果を十分に発揮させるに
は、少なくとも0.01%は含有させなければならな
い。しかし、0.10%を越えて含有させても効果が飽
和し改善効果が得られない。Nbの好ましい含有量は
0.01〜0.10%の範囲である。
かも冷間鍛造性(変形抵抗、変形能)を殆ど劣化させな
い有望な元素である。こうした効果を十分に発揮させる
ためには、少なくとも、0.0005%は含有させなけ
ればならない。しかし、Bの含有量が0.0050%を
越えると、その効果が飽和するだけである。Bの好まし
い含有量は0.0005〜0.0050%の範囲であ
る。
定めた理由を説明する。本発明の鋼材の熱処理条件は、
鋼材をAC3変態点以上に加熱した後、350〜450℃
の温度範囲まで急冷して、この温度で恒温変態させて、
鋼材をベーナイト組織にした後に冷却させるものであ
る。
曲線のパーライト変態開始線のノーズを切らない程度の
冷却速度を必要とする。冷却中にパーライト変態を生ず
ると、鋼材はパーライトとベーナイトの混合組織となる
と共に、生成するベーナイト組織が粗大化して、所定の
靱性及び延性が得られない。このため、冷却速度はAC3
変態点温度から恒温変態させる温度の間を5℃/sec
以上で冷却する必要がある。本発明の冷却速度は、通
常、5〜20℃/secの範囲で使用している。
S 変態点+50℃との間の温度範囲で、ベ−ナイト変態
を行うことが好ましい。この温度範囲で恒温変態を行う
ことにより、より微細なベ−ナイト組織(下部ベーナイ
ト組織)を得ることができ、強度−延性バランスにさら
に優れた高強度非調質ボルト用線材を得ることができ
る。このMS 変態点は測定で求めた値を用いてもよい
が、本発明の実施の態様では下記の式で計算した値を用
いた。 MS 変態点(℃)=538−317×C量(%)−33
×Mn量(%)−28×Cr量(%)−17×Ni量
(%)−11×(Si量(%)+Mo量(%)+W量
(%))
と引張強さに及ぼす恒温変態温度の影響を整理した結果
を示す。図1は、引張強さと恒温変態温度との関係を示
す図であり、図2は絞りと恒温変態温度との関係を示す
図である。恒温変態温度は前述の計算したMS 点との温
度差で表示している。これらの供試材は本発明の特許請
求の範囲の化学成分を有する鋼材であり、これらの供試
材をAC3変態点温度から380〜550℃の温度に冷却
速度10℃/secで冷却後、これらの温度で恒温変態
を行なった。その後冷却して、伸線加工率20%で冷間
加工を施した。なお、伸線加工率の20%は後述する最
適な伸線加工率の範囲内にある。
大きいが、全体的にみるとMs変態点温度との温度差が
大きくなるほど、すなわち、恒温変態温度が高くなるほ
ど引張強さが低くなる傾向が認められる。恒温変態温度
が本発明の350〜450℃(図中、白○、白△印)に
ある供試材はすべて、引張強さが980N/mm2 以上
の高い強度を示すのに対し、450℃を越える供試材
(図中、黒○、黒△印)は、引張強さが980N/mm
2 以上に達しないものもある。なお、白○、黒○印は、
本発明の請求項1の化学成分を満足する鋼であり、白
△、黒△印は本発明の請求項2の化学成分を満足する鋼
である。
図2に示すように、本発明のMS 変態点温度とMS 変態
点温度+50℃との間の温度範囲では、絞りは60%以
上を示すのに対し、MS 変態点温度+60℃以上の温度
では、絞りが50%以下となる。このMS 変態点温度+
50℃とMS 変態点温度+60℃との間で、絞りが急激
に低下していることが判明した。この原因は、MS 変態
点温度とMS 変態点温度+50℃との間の温度範囲で恒
温変態させた供試材(図中、白○、白△印)は、Ms変
態点温度直上での低温域(350〜450℃)で恒温変
態させものであり、これら供試材の組織はより微細な下
部ベーナイト組織となっており、これにより優れた延性
を示したと考えている。
る限り低い温度ですることにより、鋼材がより微細化な
ベーナイト組織(下部ベーナイト組織)にさせることに
より、高い延性を得ることができたものである。一方、
恒温変態温度をMs変態点温度以下にするとマルテンサ
イを生成して、鋼材の延性は低下する。このため、恒温
変態温度にはMs変態点温度を含まないのである。
を求めたが、予め、フォーマスタ等での測定した変態点
温度を使用することができる。Ms変態点温度はオース
テナイト化条件や冷却速度によっても変化するので、こ
れらオーステナイト化条件や冷却速度で、実測したMs
変態点温度を用いる場合はより正確にベーナイトの恒温
変態を制御できる。
加工条件を定めた理由を説明する。本発明の鋼材の冷間
伸線の加工条件は、10〜30%の加工率で冷間伸線す
ることである。本発明の実施例の表1の供試材No.
、16、17に示される様に、伸線加工率を5〜40
%に変化させて冷間加工を行った結果、伸線加工率20
%で冷間加工を施すことにより、絞りが60%以上の強
度−延性バランスの優れた高強度ボルトが得られること
を確認した。なお、表1のNo.欄の○印は、本発明の
化学成分を有する供試材を示すものである。今後、表1
の説明では、○印を省略(例えば、No.をNo.1
とする。)する。
する鋼材をベーナイト組織にするための恒温変態温度
は、Ms変態点温度以下とならない温度で、かつ、でき
るだけ低い温度を用い、かつ、AC3変態点温度からこの
恒温変態温度までの冷却速度が5℃/sec以上にする
ことにより、引張強さが980Mpa以上でかつ、絞り
が60%以上となる、強度と延性に優れた高強度ボルト
用線材が得られるものである。
より下記の実施例によって制限されるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能でありそれらはいずれも本発明の技
術的範囲に含まれる。
5mmの各ビレットを製作し、熱間圧延により所望直径
の線材を製造した。熱間圧延後の線材を965℃で再加
熱後、恒温変態温度を変化させるために、350〜55
0℃の所望の温度に保持した鉛浴炉に浸漬することによ
り、これらの温度(350〜550℃)に急冷した。こ
のときの平均冷却速度は、10℃/secであった。こ
の鉛浴炉に20min保持して、前記線材の恒温変態処
理を行った。引き続き加工率5〜40%で伸線加工を行
い直径7mmの線材を製作し、これらを供試材とした。
得られ供試材について、引張強さ及び絞り(いずれもJ
IS Z 2241に準拠)を測定した。得られた供試
材の引張強さ及び絞りを表1に示す。なお、No.1〜
24は、本発明による化学成分の発明鋼であり、No.
1〜15は本発明の実施例であり、No.16〜24は
熱処理条件又は冷間伸線条件が本発明の範囲外となる比
較例である。また、No.25〜32は、本発明による
化学成分は規定外の線材である。
は、実施例のNo.1〜15に示されるように、引張強
さが1000〜1400N/mm2 (980N/mm2
以上)のものが得られ、かつ、絞りも60%以上のもの
が得られた。本発明鋼でも本発明によらないものは、優
れた強度−延性バランスは得られず、引張強さが高いも
のは、絞りが低く、一方、絞りが高いものは引張強さが
低いという結果であった。また、比較鋼を本発明法で製
造しても化学成分範囲外の場合、所定の特性が得られな
った。
1、16、17により、さらに説明する。これらの供試
材の化学成分および熱処理条件はほぼ同一である。伸線
加工率が5%の供試材(No.16)は、絞りも66%
と高い延性を有するが、加工硬化の効果が小さく、引張
強さは903N/mm2 であった。一方、伸線加工率が
40%の供試材(No.17)は、引張強さが1069
N/mm2と高い値が得られたが絞りは46%と低いも
のとなった。伸線加工率が20%の本発明の供試材(N
o.1)は、引張強さが1118N/mmで、絞りも6
8%となり、強度−延性バランスの優れた高強度ボルト
が得られる。
学成分で、冷間伸線条件も本発明の範囲にある。しかし
ながら、熱処理条件が本発明の規定外にあるので、いず
れの供試材も、絞りが60%に達したものがなく、引張
強さが高いものもあるが、引張強さが低いものもあり、
引張強さのバラツキが大きかった。このため、本発明の
目的である、10Tクラス以上の引張強さ(980N/
mm2 以上)を有し、かつ絞りが60%以上となる高強
度ボルト用線材を得ることができなかった。
による化学成分の規定外の高強度ボルト用線材であり、
引張強さが980N/mm2 以上、絞りが60%以上の
両方を満足するものがなかった。引張強さが高いもの
は、絞りが低く、絞りが高いものは引張強さが低いとい
う結果である。
び26について、さらに説明する。これらの供試材は、
C量が異なるのみで、他の化学成分、熱処理条件および
冷間伸線条件はほぼ同一で、本発明の範囲にある。C量
が0.05%と低い供試材(No.25)は絞りが62
%と優れた延性が得られたが、引張強さが852N/m
m2 と低くものであった。一方、C量が0.33%と高
い供試材(No.26)は引張強さが1234N/mm
2 と高くなったが、絞りが39%と低いものとなった。
本発明の供試材(No.1)は、引張強さが1118N
/mmで、絞りも68%となり、強度−延性バランスの
優れた高強度ボルトが得られた。
とともに、熱処理により、その組織をベーナイトとし、
適正な伸線加工による加工硬化を付与することによって
従来の非調質ボルト用鋼線より、引張強さ980N/m
m2 以上、絞り60%以上強度−延性バランスが優れた
高強度ボルト用線材を提供し得ることとなった。最近の
ボルト成形機の高剛性化や成形用工具の超硬合金等の使
用による改善による高強度の素材の加工が可能になって
きたことに伴い、絞りが60%以上の高い延性を有する
強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の出現により、
10Tクラスのみならず12Tクラスのボルトの製造で
も、ボルト成形前の球状化焼なまし処理、成形後の焼入
れ焼もどし処理が省略が可能となり、大きなコストダウ
ンを達成できる。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.10〜0.30%、
Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80
〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%からなり、
残部がFeおよび不可避不純物元素からなる鋼を、 AC3変態点以上に加熱した後、350〜450℃の温度
まで急冷して、この温度で恒温変態させて冷却後、10
〜30%の加工率で冷間伸線することを特徴とする強度
と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造方法。 - 【請求項2】 質量%で、C:0.10〜0.30%、
Si:0.80%以下(0%を含む)、Mn:0.80
〜2.20%、Cr:0.50〜1.50%からなると
共に、 Mo:0.20%以下(0%を含む)、Ti:0.10
%以下(0%を含む)、Nb:0.10%以下(0%を
含む)、B:0.0050%(0%を含む)の内、1種
又は2種以上含有し、残部がFeおよび不可避不純物元
素からなる鋼を、 AC3変態点以上に加熱した後、350〜450℃の温度
まで急冷して、この温度で恒温変態させて冷却後、10
〜30%の加工率で冷間伸線することを特徴とする強度
と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造方法。 - 【請求項3】 前記恒温変態をさせる温度が、MS 変態
点温度とMS 変態点温度+50℃との間の温度範囲(M
S 変態点温度を含まない。)にある請求項1又は2記載
の強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造方法。 - 【請求項4】 引張強さが980N/mm2 以上であ
り、絞りが60%以上である請求項1又は2又は3記載
の強度と延性に優れた高強度ボルト用線材の製造方法。 - 【請求項5】 鋼の成分が、質量%で、C:0.10〜
0.30%、Si:0.80%以下(0%を含む)、M
n:0.80〜2.20%、Cr:0.50〜1.50
%からなり、残部がFeおよび不可避不純物元素からな
り、 組織がベーナイトからなり、引張強さが980N/mm
2 以上で、かつ絞りが60%以上であることを特徴とす
る強度と延性に優れた高強度ボルト用線材。 - 【請求項6】 鋼の成分が、質量%で、C:0.10〜
0.30%、Si:0.80%以下(0%を含む)、M
n:0.80〜2.20%、Cr:0.50〜1.50
%からなると共に、 Mo:0.20%以下(0%を含む)、Ti:0.10
%以下(0%を含む)、Nb:0.10%以下(0%を
含む)、B:0.0050%(0%を含む)の内、1種
又は2種以上含有し、残部がFeおよび不可避不純物元
素からなり、 組織がベーナイトからなり、引張強さが980N/mm
2 以上で、かつ絞りが60%以上であることを特徴とす
る強度と延性に優れた高強度ボルト用線材。
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