JPH10279884A - 多相構造形成性コーティング剤及び多相構造膜形成方法 - Google Patents

多相構造形成性コーティング剤及び多相構造膜形成方法

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JPH10279884A
JPH10279884A JP10268897A JP10268897A JPH10279884A JP H10279884 A JPH10279884 A JP H10279884A JP 10268897 A JP10268897 A JP 10268897A JP 10268897 A JP10268897 A JP 10268897A JP H10279884 A JPH10279884 A JP H10279884A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】紫外線照射により重合して硬化するに際して相
分離を起こし、容易に制御された形状を有する多相構造
膜を形成することができる多相構造形成性コーティング
剤及び多相構造膜形成方法を提供する。 【解決手段】(A)1〜3個の重合性官能基を有する分
子量200〜10,000のモノマー又はプレポリマー
10〜88重量部、(B)(A)成分より分子量が小さ
く、重合速度が速いモノマー又はプレポリマー7〜85
重量部、及び、(C)光重合開始剤0.5〜20重量部
を含有することを特徴とする多相構造形成性コーティン
グ剤、及び、該多相構造形成性コーティング剤に、シリ
カ系、炭酸カルシウム系、タルク系等の無機系充填剤又
はシリコーン系、ウレタン系等の有機系充填剤を配合し
たのち、紫外線を照射して硬化させることを特徴とする
多相構造膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多相構造形成性コ
ーティング剤及び多相構造膜形成方法に関する。さらに
詳しくは、本発明は、紫外線照射により重合して硬化す
るに際して相分離を起こし、相分離を起こす過程で硬化
し、多相構造膜を形成する多相構造形成性コーティング
剤及び多相構造膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】担体上にたがいに相溶性の乏しい2種類
以上のポリマーをコーティングすることにより形成され
る多相構造膜は、反射防止膜、結露防止膜、印刷シート
定着剤などとして有用な性質を備えている。このような
多相構造膜は、従来は、相溶性の乏しい2種類以上のポ
リマーを混合して担体上に塗付するか、あるいは、重合
により相溶性の乏しいポリマーとなる2種類以上のモノ
マーを担体に塗付して重合、硬化していた。しかし、相
溶性の乏しいポリマーの混合物を担体に塗付する方法
は、ポリマーを混合するために、多大な時間とエネルギ
ーを要する上に、形成される膜の多相構造の形状が制御
できないという問題があった。また、モノマー混合物を
担体に塗付して硬化させる方法は、硬化時に多大な時間
とエネルギーを要する上に、ポリマー塗付の場合と同様
に、形成される膜の多相構造の形状が制御できないとい
う問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、紫外線照射
により重合して硬化するに際して相分離を起こし、容易
に制御された形状を有する多相構造膜を形成することが
できる多相構造形成性コーティング剤及び多相構造膜形
成方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、1〜3個の重合
性官能基を有するモノマー又はプレポリマーに、該モノ
マー又はプレポリマーより分子量が小さく、重合速度が
速いモノマー又はプレポリマーを配合し、光重合開始剤
を添加したコーティング剤が多相構造形成性に優れ、こ
のコーティング剤に特定の充填剤を配合したのち、紫外
線を照射して硬化させることにより、得られる膜の多相
構造を容易に制御し得ることを見いだし、この知見に基
づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、(1)(A)1〜3個の重合性官能基を有する分子
量200〜10,000のモノマー又はプレポリマー1
0〜88重量部、(B)(A)成分より分子量が小さく、
重合速度が速いモノマー又はプレポリマー7〜85重量
部、及び、(C)光重合開始剤0.5〜20重量部を含
有することを特徴とする多相構造形成性コーティング
剤、(2)(A)成分が無黄変型の2〜3官能のウレタン
アクリレートオリゴマーであり、(B)成分がカチオン性
の官能基を有する単官能アクリル酸エステル系モノマー
とカルボキシル基を有する単官能アクリル酸をモル比
0.5:1.5〜1.5:0.5で混合することにより生成
したアクリル酸エステル塩であり、(C)成分が水素引き
抜き型の光重合開始剤であり、さらに、(D)成分とし
て、(A)成分と(B)成分の双方を溶解し得る沸点30〜
300℃の溶剤を5〜100重量部含有する第(1)項記
載の多相構造形成性コーティング剤、(3)第(1)項又
は第(2)項記載の多相構造形成性コーティング剤に、シ
リカ系、炭酸カルシウム系、タルク系等の無機系充填剤
又はシリコーン系、ウレタン系等の有機系充填剤を配合
したのち、紫外線を照射して硬化させることを特徴とす
る多相構造膜形成方法、及び、(4)第(2)項記載の多
相構造形成性コーティング剤100重量部あたり、平均
粒径0.5〜5,000μmのシリカ系、炭酸カルシウム
系、タルク系等の無機系充填剤又はシリコーン系、ウレ
タン系等の有機系充填剤0.01〜75重量部を配合
し、担体に5μm以上の厚さに塗付したのち、紫外線を
照射して硬化させることを特徴とする多相構造膜形成方
法、を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の多相構造形成性コーティ
ング剤は、(A)成分として1〜3個の重合性官能基を有
する分子量300〜10,000のモノマー又はプレポ
リマーを使用する。このようなモノマー又はプレポリマ
ーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフ
ェニル)プロパン、1,6−ビス(メタクリロイルオキシ
−2−エトキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメ
チルヘキサン、1,2,6−ヘキサントリオールトリメタ
クリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキ
シアクリレートオリゴマー、ポリエステル系オリゴマー
などを挙げることができる。これらの中で、ウレタンア
クリレートオリゴマーを好適に使用することができ、無
黄変型の2〜3官能のウレタンアクリレートオリゴマー
を特に好適に使用することができる。無黄変型の2〜3
官能のウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリエーテ
ルポリオール、脂肪族又は脂環式ポリイソシアネート及
び水酸基を有するアクリル酸エステル系モノマーを反応
することにより得ることができる。ポリエーテルポリオ
ールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレ
ングリコールなどを開始剤として、エチレンオキシド、
プロピレンオキシドなどを付加反応することにより得ら
れる2官能のポリエーテルポリオール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどを開始
剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど
を付加反応することにより得られる3官能のポリエーテ
ルポリオールなどを挙げることができる。脂肪族ポリイ
ソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステル
トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソ
シアネートなどを挙げることができる。脂環式ポリイソ
シアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネ
ート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソ
シアネートなどを挙げることができる。水酸基を有する
アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ
ートなどを挙げることができる。
【0006】本発明の多相構造形成性コーティング剤に
おいては、(B)成分として、(A)成分より分子量が小さ
く、重合速度が速く、(A)成分と相溶性の悪いモノマー
又はプレポリマーを使用する。このようなモノマーとし
ては、例えば、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基
を有する単官能アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリル
アミドなどの単官能アクリルアミド系モノマー、ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのカチオン性の
官能基を有するアクリル酸エステル系モノマー、さらに
は、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、
酢酸ビニル、スチレンなどを挙げることができる。これ
らの中で、カチオン性の官能基を有するアクリル酸エス
テル系モノマー及びカルボキシル基を有する単官能アク
リル酸系モノマーを好適に使用することができ、特に、
カチオン性の官能基を有するアクリル酸エステル系モノ
マーとカルボキシル基を有する単官能アクリル酸系モノ
マーをアクリル酸エステル塩を形成した状態で併用する
ことが好ましい。カチオン性の官能基を有する単官能ア
クリル酸エステル系モノマーとカルボキシル基を有する
単官能アクリル酸系モノマーから形成されるアクリル酸
エステル塩は、両者のモル比が0.5:1.5〜1.5:
0.5であることが好ましく、0.8:1.2〜1.2:
0.8であることがより好ましい。
【0007】本発明の多相構造形成性コーティング剤に
おいては、(C)成分として、光重合開始剤を使用する。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾイン
イソプロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェ
ニルアセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノ
ン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフ
ィンオキシド、メチルフェニルグリオキシレート、1−
フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイ
ルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−
2−o−エトキシカルボニルオキシム、2,2',4,4',
5,5'−ヘキサフェニル−1,1'−ビスイミダゾールな
どを挙げることができる。本発明の多相構造形成性コー
ティング剤においては、必要に応じて、光重合開始助剤
をさらに配合することができる。光重合開始助剤として
は、例えば、N−メチルジエタノールアミン、n−ブチ
ルアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることがで
きる。本発明の多相構造形成性コーティング剤におい
て、各成分の含有量の割合は、(A)成分が10〜88重
量部であり、(B)成分が7〜85重量部であり、(C)成
分が0.5〜20重量部である。(A)成分の含有量が1
0重量部未満であると、硬化により得られる多相構造膜
が十分な可とう性を有しないおそれがある。(A)成分の
含有量が85重量部を超えると、得られる膜の多相構造
の制御が困難になり、更には塗膜表面の物性が低下する
おそれがある。(B)成分の含有量が7重量部未満である
と、得られる膜の多相構造の制御が困難になるおそれが
ある。(B)成分の含有量が85重量部を超えると、硬化
により得られる多相構造膜の可とう性が低下し、更に多
相構造の制御が困難になるおそれがある。(C)成分の含
有量が0.5重量部未満であると、硬化反応に長時間を
要し、あるいは、得られる多相構造膜の特性が十分に向
上しないおそれがある。(C)成分の含有量は通常は20
重量部以下で十分であり、20重量部を超える(C)成分
を含有せしめても、硬化反応における利点は得られず、
むしろ多相構造膜の長期耐久性を低下させるおそれがあ
る。
【0008】本発明の多相構造形成性コーティング剤に
おいては、必要に応じて、(D)成分として、(A)成分と
(B)成分の双方を溶解し得る沸点30〜300℃の溶剤
を含有せしめることができる。使用する溶剤は、この溶
解性及び沸点の条件を満たすものであれば特に制限はな
いが、沸点50〜90℃のアルコールを好適に使用する
ことができる。沸点50〜90℃のアルコールは、(A)
成分及び(B)成分に対する適度な溶解性と、紫外線を照
射して硬化した際に生成するポリマーに対する適度な非
溶解性を有し、かつ、紫外線照射工程において適度な速
度で蒸発するので、得られる膜の多相構造を容易に制御
することができる。沸点50〜90℃のアルコールの中
で、イソプロピルアルコールを特に好適に使用すること
ができる。(D)成分の含有量は5〜100重量部である
ことが好ましく、20〜100重量部であることがより
好ましい。(D)成分の含有量が5重量部未満であると、
コーティング剤の塗付と、硬化により得られる膜の多相
構造の制御が困難になるおそれがある。(D)成分の含有
量が100重量部を超えると、コーティング剤の塗付が
困難になり、硬化反応に長時間を要するおそれがある。
【0009】本発明の多相構造膜形成方法においては、
上記の多相構造形成性コーティング剤に、シリカ系、炭
酸カルシウム系、タルク系等の無機系充填剤又はシリコ
ーン系、ウレタン系等の有機系充填剤を配合したのち、
紫外線を照射して硬化させる。充填剤を配合することに
より、相分離が規則的に起こり、得られる膜の多相構造
の形状を容易に制御することができる。使用する充填剤
は、平均粒径が0.5〜5,000μmであることが好ま
しい。充填剤の平均粒径が0.5μm未満であると、相
分離が起きづらくなり均一な多相構造膜が得られないお
それがある。充填剤の平均粒径が5,000μmを超え
ると、多相構造膜の均一性と表面平滑性が失われるおそ
れがある。充填剤の配合量は、多相構造形成性コーティ
ング剤100重量部あたり、0.01〜75重量部であ
ることが好ましい。充填剤の配合量が、多相構造形成性
コーティング剤100重量部あたり0.01重量部未満
であると、相分離が起きづらくなり均一な多相構造膜が
得られないおそれがある。充填剤の配合量が、多相構造
形成性コーティング剤100重量部あたり75重量部を
超えると、コーティング剤の粘度が高くなりすぎて、均
一な塗付が困難となるおそれがある。また、塗膜強度が
低下するおそれがある。充填剤は、必要に応じて、あら
かじめ(A)〜(D)成分と同時に多相構造形成性コーティ
ング剤に配合しておくことも可能である。本発明方法に
おいては、充填剤を配合した多相構造形成性コーティン
グ剤を、担体に5μm以上の厚さに塗付することが好ま
しい。多相構造形成性コーティング剤の塗付厚さが5μ
m未満であると、膜厚が薄くなりすぎて、十分な特性を
有する多相構造膜が形成されないおそれがある。担体に
塗付された多相構造形成性コーティング剤は、40℃以
上の重合雰囲気温度で、水銀ランプにより紫外線を照射
し、硬化することが好ましい。重合雰囲気温度が40℃
未満であると、硬化反応に長時間を要するおそれがあ
る。
【0010】本発明の多相構造形成性コーティング剤及
び多相構造膜形成方法によれば、高分子量のポリマーを
用いることなく、担体上に多相構造膜を形成することが
できる。本発明においては、(A)成分である分子量が大
きく重合速度が遅いモノマー又はプレポリマーと、(B)
成分である分子量が小さく重合速度が速いモノマー又は
プレポリマーを配合し、(C)成分である光重合開始剤を
添加し、紫外線を照射して硬化させる。硬化時に、(B)
成分である分子量が小さく重合速度が速いモノマーの一
部が塗膜表面上で硬化しゲル化する。塗膜表面は、(B)
成分の一部のゲル化により流動性がなくなるが、膜中に
流動性のある(A)成分と(B)成分の一部が存在し、この
成分が相分離構造を形成する。ここで、(B)成分は重合
速度が速いために、相分離構造の成長途中で重合・ゲル
化する。重合速度の速い(B)成分がゲル化したのち、
(A)成分がゲル化し、凹凸の形状、すなわち多相構造を
形成しながら硬化する。溶剤は、多相構造形成を容易に
制御するために有効である。また、溶剤については重合
時の紫外線源からの熱及び重合熱により揮発する。この
多相構造は、(A)成分であるモノマー又はプレポリマー
と、(B)成分であるモノマー又はプレポリマーとの混合
比を調整することにより、さらに、必要に応じて添加す
る溶剤の種類と量を調整することにより、容易に制御す
ることができる。本発明の多相構造形成性コーティング
剤及び多相構造膜形成方法により得られる多相構造膜
は、従来にはみられなかった方法で、簡便に、また、製
造時に時間及びエネルギーを大幅に節減して製造するこ
とができ、水溶性又は油溶性成分の分離吸着、香料消臭
剤などの徐放担体、写真技法でパターン化することによ
り水性インキ用活版又はフレキソ印刷用活版、センサ
ー、ドラッグデリバリー用担体、細胞固着構造膜、生理
活性物質の徐放又は固定担体、電池隔膜、イオン導電
体、触媒担体、接着剤、水蒸気又はガス透過膜、反射防
止膜、防曇膜、結露防止膜、帯電防止膜、インクジェッ
トプリンター用印刷シート用コーティング剤などに使用
する機能性材料として、幅広い用途に利用することがで
きる。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、印刷シートの評価は、イ
ンクジェットプリンター[NEC(株)、PC−PR10
1/J180型]により、染料インクを用いてカラー印
刷し、下記の項目について行った。 (1)プリントアウト後の乾燥時間 X字を印刷し、プリントアウト後10秒ごとに指で擦
り、印刷面が汚れなくなるまでの時間を求める。 特に良好:プリントアウト時乾燥 良好:乾燥時間10〜20秒 普通:乾燥時間20〜30秒 (2)色合い カラー印刷面のまだら状態を観察する。 良好:印刷面にまだらがなく、美麗である。 普通:印刷面に、わずかにまだらが認められる。 (3)滲み カラー印刷面の滲みの状態を観察する。 良好:印刷面に滲みがなく、美麗である。 普通:印刷面に、わずかに滲みが認められる。 (4)耐水性A カラー印刷面に水滴を落とし、インクの滲みの状態を観
察する。 良好:印刷面に滲みを生ずることがなく、美麗である。 普通:印刷面に、わずかに滲みを生ずる。 (5)耐水性B カラー印刷した印刷シートを水に浸漬し、コーティング
剤層の剥離の状態を観察する。 特に良好:コーティング剤層に全く変化がない。 良好:コーティング剤層がわずかに膨潤するが、乾燥す
ると元通りになる。 不良:コーティング剤層が、ポリエステルフィルム面か
ら剥離する。 実施例1 N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート[(株)興
人]143.2重量部とアクリル酸[東亜合成(株)、有
効成分98重量%]73.5重量部を室温で混合して、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートとアクリル
酸のモル比1:1の塩を得た。この塩50重量部に、ウ
レタンアクリレートオリゴマー[新中村化学(株)、UA
−W2]38重量部、ベンゾフェノン[昭和化学(株)]
8.0重量部、N−メチルジエタノールアミン[東京化
成工業(株)]3.5重量部及びシリカ系充填剤[水沢化
学工業(株)、ミズカシールP78F]0.5重量部を添
加して均一に混合したのち、さらにイソプロピルアルコ
ール66.7重量部を添加してコーティング剤を調製し
た。このコーティング剤を、厚さ100μmの二軸延伸
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、バーコーター
を用いて塗付し、水銀バルブを装着した紫外線照射機
[フュージョンUVシステムズジャパン社]を用いて、
200mJ/cm2で紫外線を照射し、フィルム送り速度
10m/分で処理してコーティング剤を硬化し、厚さ2
0μmの多相構造膜を有するカラーインクジェットプリ
ンター用印刷シートを得た。この印刷シートにインクジ
ェットプリンターにより、染料インクを印刷した。印刷
したシートは、プリントアウト直後に乾燥していた。印
刷面には、まだらや滲みがなく美麗であった。印刷面に
水滴を落としても滲みを生ずることなく、また、カラー
印刷した印刷シートを水に浸漬しても、多相構造膜には
全く変化がなかった。 比較例1 市販のインクジェットプリンター用印刷シートにインク
ジェットプリンターにより、染料インクを印刷した。印
刷したシートは、プリントアウト後10〜20秒で乾燥
した。印刷面には、まだらや滲みがなく美麗であった。
しかし、印刷面に水滴を落とすとインクが滲み、カラー
印刷した印刷シートを水に浸漬すると、コーティング剤
層がポリエステルフィルム面から剥離した。実施例1及
び比較例1の結果を第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】第1表の結果から、本発明の多相構造形成
性コーティング剤を用いて本発明方法により多相構造膜
を形成した実施例1の印刷シートは、プリントアウト後
の乾燥時間が短く、カラー印刷面にまだらや滲みがなく
美麗であり、印刷面に水滴を落としてもインクが滲むこ
とがなく、印刷シートを水に浸漬しても多相構造膜の剥
離がなく、耐水性に極めて優れていることが分かる。こ
れに対して、比較例1の市販のインクジェットプリンタ
ー用印刷シートは、プリントアウト後の乾燥時間がやや
長く、カラー印刷面にはまだらや滲みがなく美麗である
が、印刷面に水滴を落とすとインクが滲み、印刷シート
を水に浸漬するとコーティング剤層が剥離することか
ら、耐水性が著しく不良であることが分かる。
【0014】
【発明の効果】本発明の多相構造形成性コーティング剤
及び多相構造膜形成方法により得られる多相構造膜は、
短い製造時間及び少ない消費エネルギーで簡便に製造す
ることができ、水溶性又は油溶性成分の分離吸着、香料
消臭剤などの徐放担体、写真技法でパターン化すること
により水性インキ用活版又はフレキソ印刷用活版、セン
サー、ドラッグデリバリー用担体、細胞固着構造膜、生
理活性物質の徐放又は固定担体、電池隔膜、イオン導電
体、触媒担体、接着剤、水蒸気又はガス透過膜、反射防
止膜、防曇膜、結露防止膜、帯電防止膜、インクジェッ
トプリンター用印刷シート用コーティング剤などに使用
する機能性材料として、幅広い用途に利用することがで
きる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)1〜3個の重合性官能基を有する分
    子量200〜10,000のモノマー又はプレポリマー
    10〜88重量部、(B)(A)成分より分子量が小さ
    く、重合速度が速いモノマー又はプレポリマー7〜85
    重量部、及び、(C)光重合開始剤0.5〜20重量部
    を含有することを特徴とする多相構造形成性コーティン
    グ剤。
  2. 【請求項2】(A)成分が無黄変型の2〜3官能のウレタ
    ンアクリレートオリゴマーであり、(B)成分がカチオン
    性の官能基を有する単官能アクリル酸エステル系モノマ
    ーとカルボキシル基を有する単官能アクリル酸をモル比
    0.5:1.5〜1.5:0.5で混合することにより生成
    したアクリル酸エステル塩であり、(C)成分が水素引き
    抜き型の光重合開始剤であり、さらに、(D)成分とし
    て、(A)成分と(B)成分の双方を溶解し得る沸点30〜
    300℃の溶剤を5〜100重量部含有する請求項1記
    載の多相構造形成性コーティング剤。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の多相構造形成
    性コーティング剤に、シリカ系、炭酸カルシウム系、タ
    ルク系等の無機系充填剤又はシリコーン系、ウレタン系
    等の有機系充填剤を配合したのち、紫外線を照射して硬
    化させることを特徴とする多相構造膜形成方法。
  4. 【請求項4】請求項2記載の多相構造形成性コーティン
    グ剤100重量部あたり、平均粒径0.5〜5,000μ
    mのシリカ系、炭酸カルシウム系、タルク系等の無機系
    充填剤又はシリコーン系、ウレタン系等の有機系充填剤
    0.01〜75重量部を配合し、担体に5μm以上の厚
    さに塗付したのち、紫外線を照射して硬化させることを
    特徴とする多相構造膜形成方法。
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