JPH10277043A - リトラクター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 術野への照明光を確実に確保することがで
き、手術の作業性が向上するリトラクターの開発が求め
られていた。 【解決手段】 使用者が手で把持する把持部２１と、箆
状の筋鈎部材３３を突出状態に組み込んでなり前記把持
部２１に着脱自在に取り付けられる筋鈎ヘッド２２とを
備え、前記把持部２１あるいは筋鈎ヘッド２２に組み込
んだ電源２３の電力による光源２４の発光を前記筋鈎部
材３３の筋鈎ヘッド２２からの突出先端３３ｂ近傍に配
置した出射端３９に導いて出射するライトガイド３４を
前記筋鈎ヘッド２２に組み込んだことを特徴とするリト
ラクター２０を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リトラクターに係
り、特に口腔、鼻腔、上顎、眼窩、顎顔面等の外科手術
にて使用されるリトラクターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】口腔、鼻腔、上顎、眼窩、顎顔面等の領
域の外科手術にあっては、術野が深くしかも狭くなる場
合が多く、照明装置によって術野を照らして作業性を確
保したい要求があった。図３は、前記要求に鑑みて提案
されているリトラクターの一例を示す。図３において、
このリトラクター１は、使用者が把持する把持部２を一
端に備える細長形状のリトラクター本体３と、図示しな
いロック手段によってリトラクター本体３に着脱可能に
装着したＬ字状のブレード４とを備えている。前記リト
ラクター本体３は、前記把持部２から突出した先端から
Ｌ字状に屈曲し、該リトラクター本体３に取り付けた前
記ブレード４の先端４ａ突出方向へ照明光を照射する照
明部５を備えている。この照明部５は、リトラクター１
とは別体の光源６にて発光された照明光を接続用光ケー
ブル１０から前記リトラクター本体３に内蔵の光ケーブ
ル７を経由して出射端８へ導いて前記ブレード先端４ａ
の突出方向へ向けて出射する。したがって、このリトラ
クター１ではブレード先端４ａを差し込んで押し開いた
術野に照明部５の照明光が照射されるため、手術の作業
性が確保されるようになっている。なお、接続用光ケー
ブル１０は把持部２に設置した接続ポート９に接続する
ことで光ケーブル７と光接続される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のリト
ラクター１の場合、（１）ブレード４を交換してサイズ
を変更すると、照明部５の出射端８とブレード先端４ａ
との間の離間距離が変化するため、大型のブレード４を
取り付けた時にはブレード先端４ａから出射端８が遠く
なって照明光が不十分になる場合が生じる、（２）接続
用ケーブル１０が手術の邪魔になり、思うように作業性
を向上できない、（３）接続ポート９や接続用光ケーブ
ル１０の滅菌に手間がかかる、といった問題が生じてい
た。

【０００４】本発明は、前述の課題に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成するリトラクターを提供する。 （ａ）筋鈎部材とライトガイドとを組み込んだ筋鈎ヘッ
ドを採用しているので、筋鈎部材の筋鈎ヘッドからの突
出先端とライトガイドの出射端との間の距離を予め適切
に設定することができる。 （ｂ）（ａ）により、筋鈎ヘッドを把持部に着脱して交
換するだけで、目的サイズの筋鈎部材と照明とが簡便に
得られる。 （ｃ）電源を把持部に組み込んだ構成によりライトガイ
ドの光源をも把持部あるいは筋鈎ヘッドのいずれかに組
み込むことが可能になり、従来の接続用光ケーブルが不
要になるので、手術の作業性が向上する。 （ｄ）接続用光ケーブル等が不要になるので、全体を容
易に滅菌できる。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明では、使用者が手
で把持する把持部と、箆状の筋鈎部材を突出状態に組み
込んでなり前記把持部に着脱自在に取り付けられる筋鈎
ヘッドとを備え、前記把持部あるいは筋鈎ヘッドに組み
込まれた電源の電力による光源の発光を前記筋鈎部材の
筋鈎ヘッドからの突出先端近傍に配置した出射端に導い
て出射するライトガイドを前記筋鈎ヘッドに組み込んだ
ことを前記課題の解決手段とした。本発明では、ライト
ガイドの出射端から出射した照明光を術野に照射するこ
とで、術野での作業性を確保する。ライトガイドとして
は、光ファイバや光ケーブルの他、各種光導波路の採用
が可能である。特に、小径の光ファイバや光ケーブルを
採用することがコスト面から好ましく、しかも、これに
より出射端近傍のサイズを小さくすることができ、手術
の作業性を一層向上することができる。光源としては、
ハロゲン電球、半導体レーザ等、各種構成の採用が可能
であるが、特に発熱等の影響を与えないいわゆる冷光源
を採用することがより好ましい。これにより、光ファイ
バ等の発熱といった不都合を回避することができる。な
お、光源の配置位置は、把持部、筋鈎ヘッドのいずれで
あっても良く、把持部側である時には把持部と筋鈎ヘッ
ドとの間にわたってライトガイドを設置し、筋鈎ヘッド
側である時には把持部側の電源の電力を筋鈎ヘッド側に
導く導電手段を設置することになる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下本発明のリトラクターの実施
の形態を、図１（ａ）、（ｂ）および図２を参照して説
明する。図１（ａ）、（ｂ）において、このリトラクタ
ー２０は、使用者が手で把持する外観細長円柱状の把持
部２１と、該把持部２１の長手方向一端２１ａ（以下
「把持部一端」）のブラケット２７に着脱される筋鈎ヘ
ッド２２とを備えて構成されている。

【０００７】把持部２１には、電源（乾電池）２３と、
該電源２３の電力によって発光する光源（ハロゲン電
球）２４とを内蔵している。図１では、電源２３として
出力電圧６ボルトのリチウム乾電池を２個直列にしてい
るが、それ以外、アルカリ釦電池や、電解液を使用した
バッテリー等の各種構成が採用可能である。乾電池２３
は、把持部２１の長手方向他端２１ｂに螺着した開閉自
在の螺着蓋２５を開放すると、把持部２１に対して自由
に取り出し、挿入することができる。前記光源２４は、
把持部一端２１ａ近傍に設置される。図１において、こ
の光源２４は６ボルトハロゲン電球であるが、その他、
半導体レーザ等各種構成の採用が可能である。この光源
２４の点消灯は、把持部２１外側に設置した手元スイッ
チ２６によって簡便に切り替えることができる。

【０００８】ブラケット２７は、把持部一端２１ａから
互いに離間して突設された一対のフランジ２８、２８
と、これらフランジ２８、２８間に架設された係合軸２
９と、両フランジ２８、２８の内面２８ａ、２８ａ側に
対向配置された一対の係止ボール３２、３２とを備えて
いる。係止ボール３２、３２はそれぞれバネ３２ａによ
って付勢されている。

【０００９】筋鈎ヘッド２２は、ヘッド本体３１、筋鈎
部材３３、ライトガイド３４を備えて構成される。ヘッ
ド本体３１は金属製ブロック状であり、対向する両側面
３１ａ、３１ａを両フランジ２８、２８の内面２８ａ、
２８ａに沿わせてフランジ２８、２８間に挿入される。
これら両側面３１ａ、３１ａには、前記係止ボール３
２、３２が係合する係止凹部３５、３５を形成してい
る。また、ヘッド本体３１は、前記係合軸２９と係脱自
在に係合する係合溝３６を有している。この係合溝３６
は前記側面３１ａ、３１ａ対して垂直な軸線を以て細長
く延在形成され、係合溝３６を係合軸２９と係合する
と、筋鈎ヘッド２２は係合軸２９を中心として回動自在
になる。係合溝３６内には位置決め突起３６ａが突設さ
れ、係合溝３６を係合軸２９に係合した時に該係合軸２
９に形成された係止凹部２９ａと前記位置決め突起３６
ａが係合することにより、ヘッド本体３１がブラケット
２７に対して位置決めされる。

【００１０】筋鈎部材３３は、金属等の十分な剛性を有
する素材から細長箆状であり、器端部３３ａをヘッド本
体３１に固着したことにより片持ち的に支持されてい
る。図２に示すように、筋鈎部材３３は先端３３ｂに行
くほど幅寸法ｔが狭くなるテーパ状であり、しかも、図
１（ｂ）に示すように幅方向両端に行くほど捲れ上がる
ように湾曲した筋鈎面３３ｃを有している。図２に示す
ように、術野Ｆに挿入した筋鈎部材３３は前記筋鈎面３
３ｃを利用して術野Ｆを押し広げるようになっているた
め、湾曲した前記筋鈎面３３ｃ形状により術野Ｆ近傍を
傷める心配が無い。

【００１１】図１（ａ）においてライトガイド３４は光
ファイバであり、ヘッド本体３１下端（図１（ａ）下
側）から突設した受光アタッチメント３７から、ヘッド
本体３１を貫通して前記筋鈎部材先端３３ｂ近傍に布線
している。ヘッド本体３１から上方に突出したライトガ
イド３４は、前記筋鈎部材３３の前記筋鈎面３３ｃと対
向する凹所３３ｄ内に固着した挿通管３８内を引き通し
て筋鈎部材先端３３ｂ近傍に到達せしめている。筋鈎部
材先端３３ｂ近傍のライトガイド３４先端には、該ライ
トガイド３４内の伝送光を放射状に出射する出射端３９
を備えている。この出射端３９は、光ファイバであるラ
イトガイド３４先端を目的形状に加工成形したり、ライ
トガイド３４とは別の光学部品を組み込むことで容易に
得られる。また、挿通管３８は光ファイバであるライト
ガイド３４の外形とほぼ同等にまで細くすることが可能
なので、この挿通管３８は前記凹所３３ｄ内にほぼ全体
が収納され、凹所３３ｄ外側への挿通管３８の突出寸法
を極めて小さく抑えることができる。これにより、ライ
トガイド３４や挿通管３８は使用者（術者）が術部Ｆを
目視するための邪魔になることは無い。出射端３９は挿
通管先端３８ａから奥側にやや引っ込んだ位置に配置し
ている。図２に示すように、出射端３９からの出射光は
挿通管先端３８ａの開口部の範囲で一定領域に出射され
る。なお、挿通管先端３８ａは反射内面を有することが
好ましい。この場合、出射端３９からの出射光を挿通管
先端３８ａ内で反射した後に出射するので、目的の出射
領域に安定に光を出射することができる。

【００１２】図１（ａ）、（ｂ）に示すように、前記受
光アタッチメント３７は円筒状であり、筋鈎ヘッド２２
を把持部２１に装着した時には、ブラケット２７内に突
設された導光筒２１ｃに挿入され、前記光源２４の発光
をライトガイド３４に導く。受光アタッチメント３７内
面は反射面になっており、光源２４からの発光は受光ア
タッチメント３７に接続したライトガイド３４の端部へ
殆ど減衰すること無く効率良く導かれる。

【００１３】このリトラクター２０では、把持部２１の
ブラケット２７に筋鈎ヘッド２２を装着して使用する。
この時、ブラケット２７の係合軸２９に筋鈎ヘッド２２
の係合溝３６を係合させ、係止ボール３２に係止凹部３
５を係止し、さらに係止凹部２９ａに位置決め突起３６
ａを係合するので、係合軸２９から係合溝３６を無理に
引き抜かない限り、筋鈎ヘッド２２は把持部２１に強固
に固定される。

【００１４】また、ブラケット２７に装着する筋鈎ヘッ
ド２２を交換すると、術野Ｆの大きさや形状に適合する
目的サイズの筋鈎部材３３を有する筋鈎ヘッド２２を簡
便に選択して使用することができる。したがって、手術
室では複数サイズの筋鈎ヘッド２２を予め準備して置く
ことになるが、全ての筋鈎ヘッド２２は、筋鈎部材先端
３３ｂの近傍の適切距離にライトガイド３４の出射端３
９が位置され、筋鈎ヘッド２２を交換してもライトガイ
ド３４の出射端３９は常に筋鈎部材先端３３ｂ近傍の適
切距離に位置されるため、術野Ｆに照射する適切な照明
光を確実に確保することができ、術野Ｆにおける作業性
が向上する。また、準備した全ての筋鈎ヘッド２２は、
前記凹所３３ｄからの挿通管３８の突出寸法が小さい小
型に形成しているので、術野Ｆを目視する使用者の視野
を常に確保することができる。

【００１５】また、このリトラクター２０では、電源２
３および光源２４を把持部２１に内蔵した構成によりコ
ードレスになっているので、従来構成のリトラクターの
接続用光ケーブル１０のように手術の邪魔になる部品が
少なく、手術の作業性が向上する。しかも、構造が単純
であるため、全体の一層の軽量化、小型化が可能であ
り、使用者の視野の確保、操作性の向上といった効果が
得られる。さらに、滅菌すべき部分が減少するため、手
術環境の清潔を簡便に確保することができる。電源２３
および光源２４を共に把持部２１に内蔵したことは、別
体の光源の設置を不要にするため、手術室内全体の清潔
の確保が容易になる。

【００１６】なお、ライトガイド３４を採用したこと
は、術野ＦのＶＴＲ撮影、写真撮影等にも適しているた
め、これらＶＴＲや写真機の接続用ポートを筋鈎ヘッド
２２に設けることも可能である。本発明のリトラクター
は、前記実施の形態に限定されるものでは無く、各種設
計変更が可能であることは言うまでもない。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のリトラク
ターによれば、以下のような優れた効果を奏する。 （イ）筋鈎部材とライトガイドとを組み込んだ筋鈎ヘッ
ドを把持部に対して着脱する構成により、ライトガイド
の出射端を常に筋鈎部材の筋鈎ヘッドからの突出先端近
傍に位置させることができ、筋鈎部材のサイズに対応し
て術野の照明を安定に確保できるので、手術の作業性が
向上する。 （ロ）筋鈎部材とライトガイドとを併せ持つ筋鈎ヘッド
を把持部に着脱して交換するだけで、目的サイズの筋鈎
部材と照明とが簡便に得られる。 （ハ）光源の電源を把持部に組み込んだ構成によりライ
トガイドの光源をも把持部あるいは筋鈎ヘッドのいずれ
かに組み込むことが可能になり、従来の接続用光ケーブ
ルが不要になるので、手術の作業性が向上する。 （ニ）前記（ハ）により、接続用光ケーブル等を省略す
ることで、全体の滅菌が容易になる。 （ホ）前記（ハ）により、小型化や構造の簡略化が可能
になり、低コスト化することができる。 （ヘ）前記（ハ）により、小型化、軽量化、接続用光ケ
ーブルの省略等によって、操作性が向上する。また、従
来、手術の邪魔になっていた接続用光ケーブルの省略に
より、手術の作業性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のリトラクターの実施の形態を示す図
であって、（ａ）は分解正面図、（ｂ）は（ａ）の側面
図である。

【図２】 本発明のリトラクターの作用を示す図であっ
て、術野に挿入した状態を示す斜視図である。

【図３】 従来例のリトラクターを示す斜視図である。

【符号の説明】

２０ リトラクター ２１ 把持部 ２２ 筋鈎ヘッド ２３ 電源 ２４ 光源 ３３ 筋鈎部材 ３３ｂ 筋鈎部材先端 ３４ ライトガイド ３９ 出射端。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 使用者が手で把持する把持部（２１）
   と、箆状の筋鈎部材（３３）を突出状態に組み込んでな
   り前記把持部に着脱自在に取り付けられる筋鈎ヘッド
   （２２）とを備え、前記把持部あるいは筋鈎ヘッドに組
   み込まれた電源（２３）の電力による光源（２４）の発
   光を前記筋鈎部材の筋鈎ヘッドからの突出先端（３３
   ｂ）近傍に配置した出射端（３９）に導いて出射するラ
   イトガイド（３４）を前記筋鈎ヘッドに組み込んだこと
   を特徴とするリトラクター（２０）。