JPH10274486A - セラミックスの焼成装置 - Google Patents

セラミックスの焼成装置

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JPH10274486A
JPH10274486A JP9080449A JP8044997A JPH10274486A JP H10274486 A JPH10274486 A JP H10274486A JP 9080449 A JP9080449 A JP 9080449A JP 8044997 A JP8044997 A JP 8044997A JP H10274486 A JPH10274486 A JP H10274486A
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JP
Japan
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partial pressure
oxygen
firing
oxygen partial
atmosphere
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Application number
JP9080449A
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English (en)
Inventor
Keiichiro Watanabe
敬一郎 渡邊
Shinji Kawasaki
真司 川崎
Kiyoshi Okumura
清志 奥村
Shigenori Ito
重則 伊藤
Makoto Murai
真 村井
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セラミックスの被焼成体を収容し、焼成するた
めの焼成炉を備えている焼成装置であって、焼成体の特
性や微構造を厳密に制御し、焼成体に対して特定の特性
や微構造を付与するのに適している新たな焼成装置を提
供する。 【解決手段】焼成装置は、焼成炉10に対して所定の雰
囲気を供給するための雰囲気供給源8、焼成炉10から
の排気ガスを分析して所定の情報を得るためのガス分析
器13、およびこの情報に基づいて焼成炉10の稼働条
件をフィードバック制御するための制御機構を備えてい
る。例えば、前記の情報に基づいて、焼成炉の温度、雰
囲気の組成、流量をフィードバック制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種のセラミックス、
例えば、酸素含有量が特性に影響を及ぼす機能性セラミ
ックスの焼成装置および方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、各種のセラミックスを焼成するた
めの焼成炉としては、水素炉、窒素炉、アルゴン炉、ア
ンモニア/窒素炉、水素/水蒸気炉が知られている。例
えば、「熱測定」17(1)1990年、第41頁〜5
4頁においては、超伝導体の一つであるYBa2 Cu3
7-x やMn−Znフェライトにおいて、雰囲気中の酸
素分圧を測定するために酸素センサーを使用している。
また、常圧下で、雰囲気中の酸素分圧を制御する方法と
して、いわゆる単純気体混合法と緩衝気体混合法とが記
載されている。
【0003】単純気体混合法においては、102 〜10
5 Paという比較的高い雰囲気圧力の下で純酸素とアル
ゴン、ヘリウム等の不活性ガスとを機械的に混合する。
また、安定化ジルコニア酸素ポンプを使用することによ
って、不活性ガス中の酸素を除去したり、あるいは不活
性ガスに酸素を添加したりすることも記載されている。
緩衝気体混合法においては、CO−CO2 、H2 −H2
O、H2 −CO2 などの緩衝混合気体の高温における気
体平衡を利用し、一定の酸素分圧を得る。この際、安定
化ジルコニア酸素ポンプを使用して、精製水素ガス中に
酸素を供給することによって、極低圧での酸素分圧の制
御を試みている。また、特にアルゴンガスと酸素ガスと
を混合した雰囲気を使用するのに際して、安定化ジルコ
ニアからなる一本の管状体に酸素センサーと酸素ポンプ
とを設け、この管状体にアルゴンと酸素との混合ガスの
雰囲気を流している。そして、目的とする酸素分圧に対
応する酸素ポンプの駆動電圧を設定し、酸素センサーに
おける起電力を測定し、前記駆動電圧の値と起電力との
差が0となるように、電気的フィードバックを酸素ポン
プに作用させることを試みている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者が、
現実の雰囲気焼成炉に前記のような技術を適用してみる
と、雰囲気焼成炉中への酸素分圧を一定に保持しても、
焼成体、特に機能性の複合酸化物からなるセラミックス
焼成体の特性を厳密には制御できない場合があった。ま
た、特に最近は、セラミックス焼成体の粒径、気孔率、
気孔径、粒形状、粒子の間のネック部分の太さ等の各種
の微構造を精密に制御するための研究が進展してきてい
るが、これを実現するためには雰囲気焼成炉の改良が必
要であると考えられる。
【0005】本発明の課題は、セラミックスの被焼成体
を収容し、焼成するための焼成炉を備えている焼成装置
であって、焼成体の特性や微構造を厳密に制御し、ある
いは焼成体に対して特定の特性や微構造を付与するのに
適している新たな焼成装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックス
の被焼成体を収容し、焼成するための焼成炉を備えてい
る焼成装置であって、焼成炉に対して所定の雰囲気を供
給するための雰囲気供給源、焼成炉からの排気ガスを分
析して所定の情報を得るためのガス分析器および前記の
情報に基づいて焼成炉の稼働条件をフィードバック制御
するための制御機構を備えていることを特徴とする、セ
ラミックスの焼成装置に係るものである。
【0007】本発明者は、例えば雰囲気焼成炉の入口側
の雰囲気の組成、例えば酸素分圧を一定に保持し、焼成
実験を行ってきたが、焼成体の特性や微構造を厳密に制
御することは困難であった。この理由を検討する過程
で、焼成体から、酸素や他の成分が雰囲気中に発散した
り、あるいは雰囲気中の酸素等の成分が雰囲気から焼成
体の内部に取り込まれたりすることに着目した。このよ
うな焼成体と焼成炉内の雰囲気との間の、成分の発散や
取り込みといった相互作用によって、焼成炉内の雰囲気
が厳密に制御されない。この結果、焼成体の特性や微構
造を厳密に制御できないことが判明してきた。
【0008】例えば、焼成炉内の雰囲気中の酸素分圧を
10- 6 atm以下、更には10- 1 8 atm以下とい
った極めて低圧に保持し、これによって焼成体中の組成
や微構造を厳密に制御することを試みた場合、焼成炉中
へ供給する雰囲気中の酸素分圧を厳密に一定に保持して
も、焼成体から発散する酸素の影響によって焼成炉内の
雰囲気中の酸素分圧が上昇し、目的とする制御が不能に
なる。
【0009】また、セラミックス粉末の成形体を脱脂す
る過程で、成形体から発生する炭化水素や水分、一酸化
炭素や二酸化炭素などのガスの発生量の変化によって、
酸素濃度を一定にすることができず、脱脂時の成形体の
挙動が変動することがある。また、この炭化水素や水分
が焼成炉内に残留し、焼成時の焼成炉内の雰囲気に影響
を及ぼすことがある。
【0010】このため、本発明者は、雰囲気焼成炉の出
口側ないし下流側の排気ガスを分析し、この分析情報に
基づいて焼成炉の稼働条件をフィードバック制御するこ
とを想到した。これによって、焼成体、特に機能性の複
合酸化物からなるセラミックス焼成体の特性を厳密に制
御できるようになった。また、セラミックス焼成体の粒
径、気孔率、気孔径、粒形状、気孔形状、粒子の間のネ
ック部分の太さ等の各種の微構造を精密に制御するのに
適した焼成装置を、初めて提供できる。また、本発明の
焼成装置を利用することによって、従来は製造が不可能
であった粒径、気孔率、気孔径、粒形状、気孔形状、粒
子の間のネック部分の太さ等の各種の特異な微構造を有
する焼成体を、製造できると思われる。
【0011】セラミックスの被焼成体としては、セラミ
ックスの原料粉末、セラミックスの原料粉末の成形体、
この成形体の脱脂体、この成形体の仮焼体がある。
【0012】セラミックスの被焼成体を収容し、焼成す
るための焼成炉は、特に外部に対して気密性が保たれた
炉心管を備えている焼成炉が好ましく、電気炉が特に好
ましい。
【0013】ガス分析器による分析の対象となるガスと
しては、酸素、窒素、アルゴン、炭化水素、一酸化炭
素、二酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒素、水蒸気を例
示できる。これらの個々の気体に関しては、それぞれ測
定装置が知られている。このうち、酸素分圧測定装置と
しては、固体電解質酸素センサーや酸化物半導体酸素セ
ンサーを使用できるが、ジルコニア酸素センサーが特に
好ましい。また、一般的な気体濃度測定装置として、ガ
スクロマトグラフィーや質量分析器を使用できる。
【0014】焼成されるべきセラミックスは特に限定さ
れないが、酸素含有量が特性に影響を及ぼす酸素含有機
能性セラミックスが特に好ましい。また、アルミナ、マ
グネシア、ムライト、シリカ、スピネル、チタニア、ジ
ルコニア、イットリア安定化ジルコニア等の安定化ジル
コニア、イットリア部分安定化ジルコニア等の部分安定
化ジルコニアが好ましい。また、ペロブスカイト型複合
酸化物が特に好ましく、この中でも、ランタンを含有す
るペロブスカイト型複合酸化物が好ましく、ランタンマ
ンガナイト、ランタンコバルタイト、ランタンクロマイ
トが特に好ましい。ランタンを含有するペロブスカイト
型複合酸化物は、アルカリ土類金属、希土類金属、例え
ば、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム、クロ
ム、コバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム等をドープ
したものであってよい。更に、窒化珪素、窒化アルミニ
ウムなどの窒化物、炭化珪素、炭化ホウ素などの炭化物
も例示できる。
【0015】制御機構においては、ガス分析器による情
報に基づいて、焼成炉の温度をフィードバック制御する
ことができる。また、雰囲気の組成や流量をフィードバ
ック制御できる。
【0016】本発明の一態様においては、ガス分析器と
して酸素分圧測定装置を使用し、焼成炉から排出される
排気ガス中の酸素分圧を測定し、焼成炉の上流側に酸素
ポンプを設け、排気ガス中の酸素分圧の測定値に基づい
て酸素ポンプの駆動をフィードバック制御できる。これ
によって、焼成体と雰囲気との酸素の授受に伴う焼成炉
雰囲気の酸素分圧の変動を、補償できる。
【0017】また、本発明の他の態様においては、所定
の分圧の水素を含有している水素含有ガスに対して水分
を添加し、次いでこの水素含有ガスを焼成炉に供給でき
る。この場合には、酸素分圧測定装置によって、焼成炉
から排出される排気ガス中の酸素分圧を測定し、酸素分
圧の測定値に基づいて、水分添加装置の駆動をフィード
バック制御できる。これによって、焼成体と雰囲気との
酸素の授受に伴う焼成炉雰囲気の酸素分圧の変動を、補
償できる。
【0018】また、本発明の更に他の態様においては、
雰囲気を分析して所定の情報を得るための上流側ガス分
析器を備え、雰囲気の情報と排気ガスの情報とを制御装
置において対比する。これによって、特定の情報に関し
て、雰囲気と成形体や焼成体との相互作用の有無やその
度合いを知ることができる。
【0019】以下、適宜図面を参照しつつ、本発明によ
るセラミックスの焼成装置および焼成方法の実施例を説
明する。図1、図2は、それぞれ本発明の一実施形態に
係る焼成装置を示す模式図であり、図3は、焼成炉中に
供給される各雰囲気によって制御できる酸素分圧の範囲
を例示するグラフである。
【0020】図1、図2のいずれにおいても、焼成炉1
0の上流側に雰囲気供給装置8が設置されている。雰囲
気供給装置8中には、常温で不活性なガスを供給するた
めの不活性ガス供給源1、所定の酸素分圧を有する酸素
含有ガスを供給するための酸素含有ガス供給源2、およ
び所定の水素分圧を有する水素含有ガスを供給するため
の水素含有ガス供給源3が設置されている。
【0021】常温で不活性な不活性ガスとしては、アル
ゴン、ヘリウム等の希ガスや窒素ガスが好ましい。所定
の酸素分圧を有する酸素含有ガスとしては、純酸素、空
気や、窒素または希ガスと酸素との混合ガスであって、
所定の酸素分圧を有する混合ガスが好ましい。水素含有
ガスとしては、純水素や、窒素または希ガスと水素との
混合ガスであって、所定の水素分圧を有する混合ガスが
好ましい。これらの各ガスの供給源としては、ボンベま
たはコンプレッサーが好ましい。
【0022】各供給源1、2、3は、それぞれ各供給路
15A、15B、15Cに連結されている。各供給路1
5A、15B、15Cには、それぞれ気体の流通と遮断
とを選択するための弁6A、6B、6Cが設けられてい
る。
【0023】各供給路15A、15B、15Cは、下流
側で一つの供給路15Dにまとまっており、供給路15
Dに酸素ポンプ7が設けられている。なお、4はガス精
製器であり、5は水分添加装置である。
【0024】焼成炉10中では、ヒーター11の内側に
炉心管12が固定されている。供給路15Dの下流側の
末端が炉心管12の供給口(図示せず)に接続されてお
り、炉心管12の排出口(図示せず)が排出路16に接
続されている。
【0025】こうした焼成装置を使用することによっ
て、次のような焼成炉内の雰囲気の制御が、初めて可能
となった。
【0026】即ち、(i)不活性ガス供給源1からの不
活性ガスと酸素含有ガス供給源2からの酸素含有ガスと
を混合して混合ガスを得、この混合ガスを、雰囲気とし
て焼成炉10内に連続的に供給する。これによって、常
圧炉の場合には1〜10- 6 atmの範囲内で酸素分圧
を自由に制御できる。焼成炉内では、通常は室温から2
000℃、特には室温〜1700℃の温度範囲で温度を
制御し、被焼成体の乾燥、脱脂、焼成を行う。
【0027】この方法で精密に制御できる下限が10
- 6 atmであるのは、精度良く製造できる混合ガス中
の酸素分圧の下限が、通常は1ppm程度であるからで
ある。また、常圧焼成炉においては上限が1atmであ
るが、加圧炉の場合には一層高い酸素分圧を適用でき
る。
【0028】混合ガスによる酸素分圧の制御は、図3の
領域Eに該当している。このように室温から焼成時の最
高温度に至る全温度範囲で利用できる。
【0029】また、図3に示すように、領域Eよりも低
い酸素分圧の領域F内で酸素分圧を精密に制御するため
には、(ii)不活性ガス中の酸素分圧を酸素ポンプに
よって変更して得られた雰囲気を焼成炉内に供給する。
【0030】具体的には、弁6Bと6Cとを閉じ、弁6
Aを開き、不活性ガス供給源1から供給路15Aを通し
て不活性ガスを供給路15Dに供給する。この際、好ま
しくは、ガス精製器4に不活性ガスを通過させることに
よって、不活性ガス中に存在する微量の不純物、特に酸
素および水を除去する。
【0031】ガス精製器4としては、白金触媒や銅触媒
を用い、酸素をこれらの触媒に吸着させるタイプの装置
や、ニッケル触媒やチタン触媒を使用し、これらの触媒
の酸化反応によって酸素を除去するタイプの装置があ
る。
【0032】この精製された不活性ガスを酸素ポンプ7
に通過させ、酸素ポンプ7によって一定量の酸素を不活
性ガス中に添加するか、あるいは一定量の酸素を除去す
る。
【0033】ジルコニア酸素ポンプの場合には、セル1
個当たり0〜2ボルトの直流電圧を印加して電流を流
し、電流値に比例した量の酸素を投入し、あるいは除去
できる。特にガス精製器4によって除去しきれなかった
微量の酸素を、酸素ポンプで除去することによって、1
- 1 8 atm程度の低い圧力まで、酸素分圧を制御で
きる。
【0034】この方法によって、図3の領域Fに示すよ
うに、10- 1 8 atm〜10- 2 atmの範囲で酸素
分圧を制御することが好ましい。なお、本方法は全温度
範囲に適用できる。この方法によって雰囲気中の酸素分
圧を10- 2 atm以上とするためには、大きな電流が
必要であり、かつセルの本数も非常に多くする必要があ
るために、実用的ではない。また、10- 1 8 atm未
満の圧力の範囲内で酸素分圧を制御することは、ジルコ
ニア酸素ポンプ等の能力から見て困難であった。
【0035】更に、(iii)例えば図3に示す領域G
のように、900℃以上の高温領域において、焼成炉内
の酸素分圧を精密に制御するために、水素含有ガスに所
定量の水分を添加して得られた雰囲気を焼成炉内に供給
できる。これによって、10- 1 9 〜10- 2 atmの
範囲内で、焼成炉内の雰囲気の酸素分圧を精密に制御で
きる。
【0036】具体的には、水素や、水素と希ガスまたは
窒素との混合ガスを、水素含有ガス供給源3から供給路
15Cに通し、加湿器5を通過させ、弁6Cを開放して
供給路15Dへと流す。加湿器5においては、好ましく
は、温度を一定値に制御した水中に水素含有ガスを通し
てバブリングし、飽和させる。次いで、この水素含有ガ
スを炉心管12へと連続的に供給し、被焼成体を例えば
室温〜1700℃の範囲で脱脂し、焼成する。
【0037】この方法では化学平衡を利用しており、水
素濃度、加湿水温、炉心管の温度によって酸素分圧が決
定される。例えば、0.01%水素を、50℃の水に通
して加湿した場合、炉心管の温度が1000℃であると
10- 9 atmであり、1600℃では10- 2 atm
になる。また、1%水素を50℃の水に通して加湿した
場合、炉心管の温度が1000℃であると酸素分圧は1
- 1 3 atmであり、炉心管の温度が1600℃であ
ると酸素分圧は10- 8 atmである。また、100%
水素を0℃の水に通して加湿した場合は、炉心管の温度
が1000℃であると酸素分圧は10- 1 9 atmとな
り、1600℃であると10 - 1 3 atmとなる。
【0038】このように、加湿器5中の水の温度を正確
に制御するだけで、焼成炉中の酸素分圧を広範囲で正確
に制御できるという点で、極めて有効である。
【0039】また、焼成炉の昇温時や降温時のように、
焼成炉中の温度が変化するときには、温度変化と共に焼
成炉中の酸素分圧が変化する。この場合には、焼成炉中
の温度変化に応じて加湿器中の水の温度を変化させるこ
とによって、酸素分圧を一定に制御することが、ある程
度可能である。
【0040】一層酸素分圧が低い領域Hにおいては、
(iv)水素含有ガス中の酸素分圧を酸素ポンプによっ
て変更して得られた雰囲気を焼成炉中に供給することに
よって、酸素分圧を制御できる。制御可能な温度範囲は
例えば900℃〜1700℃であり、制御可能な酸素分
圧は例えば10- 2 2 〜10- 1 8 atmである。
【0041】この場合には、水素含有ガスを加湿しない
で供給路15C、15Dへと流し、酸素ポンプ7におい
て水素含有ガス中に微量の酸素を添加することができ
る。しかし、酸素ポンプ7において水素含有ガス中から
更に微量の酸素を除去し、従来よりも一層低い圧力の範
囲内で酸素分圧を制御できた。例えば炉心管の温度が1
200℃であるときに、雰囲気中の酸素分圧を、10
- 2 2 atmに精密に制御することができた。
【0042】ここで、本発明に従って、焼成炉10の下
流側の排出路16において、排気ガス中の酸素分圧を測
定する。図1においては、炉心管12の下流側の排出路
16に酸素分圧測定装置13が設けられている。図2に
おいては、炉心管12の上流側と下流側との双方に、そ
れぞれ酸素分圧測定装置9、13が設けられている。
【0043】例えば焼成炉10中で被焼成体から酸素が
排出されると、この酸素によって酸素分圧測定装置13
における酸素分圧が上昇し、焼成炉10中で被焼成体に
酸素が取り込まれると、酸素分圧測定装置13における
酸素分圧が低下する。このように、酸素分圧測定装置1
3による測定値は、被焼成体と雰囲気との間の酸素の授
受を反映し、変動する。
【0044】そして、図1、図2に示すように、酸素分
圧測定装置13によって排気ガス中の酸素分圧を測定
し、測定装置13の出力信号を、矢印Aのように、制御
装置17(図1参照)または制御装置18(図2参照)
に送る。
【0045】制御装置17、18においては、所要の計
算を行い、酸素ポンプ7に対して矢印Cのように制御信
号を送る。これによって、酸素ポンプ7から雰囲気中に
添加する酸素量を決定し、これによって焼成炉から排出
される排気ガス中の酸素分圧を一定にできる。または、
酸素ポンプ7によって雰囲気から除去する酸素量を決定
できる。
【0046】また、測定装置13の出力信号に基づい
て、所要の計算を行い、矢印Bのように、焼成炉10内
の温度の制御信号として使用できる。これによって、被
焼成体から雰囲気中に発散する酸素量を制御することが
できる。また、脱脂時の温度スケジュールを微調整する
ことができる。
【0047】また、例えば、焼成炉内の雰囲気中の酸素
分圧を一層精密に制御するためには、図2に矢印Dで示
すように、焼成炉10の上流側に設置された酸素分圧測
定装置9の出力信号を制御装置18に送り、制御装置1
8で所要の計算を行い、矢印Eのように、酸素ポンプ7
の制御信号として使用できる。また、矢印Fのように、
焼成炉の温度の制御信号として使用できる。
【0048】この場合には、酸素分圧測定装置9におけ
る酸素分圧の測定値と、酸素分圧測定装置13における
排気ガスの酸素分圧の測定値とを対比し、これによって
焼成炉内における焼成体と雰囲気との間の酸素の授受を
算出し、これに従って酸素ポンプ7の駆動電圧や焼成炉
の温度を制御できる。
【0049】ガス分析器で炭化水素、H2 O、CO、C
2 を分析することによって、クラックの防止、微構造
制御、特性の向上などが可能となる。例えば、多孔質焼
結体を製造する場合、造孔材として多量のセルロースや
カーボンを含有するため、過剰な酸素があると、急激な
脱脂による成形体からの急激な気体の発散によって、ク
ラックが発生することがある。ガス分析値を成形体から
のガス発生速度に換算し、ガス発生速度を遅くすること
によって、脱脂を徐々に行い、それによって脱脂時のク
ラックを防止することができる。
【0050】また、例えば、脱脂終了時期の検知が可能
で、これを焼成条件に反映させることができる。脱脂過
程、焼成過程に必要な酸素分圧は、それぞれ別に設定し
て供給することが好ましいが、例えば、昇温時にまず脱
脂に必要な酸素分圧を設定し、脱脂が終了するとCOや
CO2 濃度は低下するため、脱脂終了時期を検知でき、
そのタイミングで酸素分圧を焼成に必要な酸素分圧へ変
更してガスを供給することができる。これによって最適
な特性、微構造をもった焼成体を得ることが可能であ
る。
【0051】また、例えば、発生する炭化水素、H
2 O、CO、CO2 のガス組成を検知し、組成を一定に
制御するように供給ガスの酸素分圧や焼成炉の温度を制
御することによって、気孔形状などの微構造制御や、焼
成体の電気伝導度、強度などの特性を制御できる。
【0052】また、制御装置17、18からの制御信号
によって、各電磁弁6A、6B、6Cの駆動を制御し、
各ガスの流量を制御することができる。
【0053】また、制御装置17、18からの制御信号
によって、加湿器5を制御して水素含有ガスへの水の添
加量を制御できる。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、焼
成体の特性や微構造を厳密に制御し、あるいは焼成体に
対して特定の特性や微構造を付与するのに適している、
新たな焼成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る焼成装置の模式的ブ
ロック図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る焼成装置の模式的
ブロック図である。
【図3】(i)〜(iv)の各方法によって制御可能な
酸素分圧の範囲と温度範囲との領域を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 不活性ガス供給源 2 酸素含有ガス供給源
3 水素含有ガス供給源 4 ガス精製器 5 加
湿器 6A、6B、6C 弁 7 酸素ポンプ 8 不活性ガス供給装置 9 上
流側酸素分圧測定装置 10 焼成炉 11 ヒーター 12 炉心管
13 焼成炉の下流側の酸素分圧測定装置 15A、
15B、15C、15D 供給路 16排出路 1
7、18 制御装置 A 酸素分圧測定装置13から
の信号 B、F 焼成炉の温度の制御信号 C、E 酸素ポン
プ7の駆動電圧の制御信号 D 上流側酸素分圧測定
装置9からの信号
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 重則 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 村井 真 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミックスの被焼成体を収容し、焼成す
    るための焼成炉を備えている焼成装置であって、前記焼
    成炉に対して所定の雰囲気を供給するための雰囲気供給
    源、前記焼成炉からの排気ガスを分析して所定の情報を
    得るためのガス分析器および前記の情報に基づいて前記
    焼成炉の稼働条件をフィードバック制御するための制御
    機構を備えていることを特徴とする、セラミックスの焼
    成装置。
  2. 【請求項2】前記制御機構が、前記の情報に基づいて前
    記焼成炉の温度をフィードバック制御するための制御機
    構であることを特徴とする、請求項1記載のセラミック
    スの焼成装置。
  3. 【請求項3】前記制御機構が、前記の情報に基づいて、
    前記焼成炉中への前記雰囲気の流量をフィードバック制
    御するための制御機構であることを特徴とする、請求項
    1または2記載のセラミックスの焼成装置。
  4. 【請求項4】前記制御機構が、前記の情報に基づいて前
    記雰囲気の組成をフィードバック制御するための制御機
    構であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一
    つの請求項に記載のセラミックスの焼成装置。
  5. 【請求項5】前記ガス分析器が、前記焼成炉から排出さ
    れる排気ガス中の酸素分圧を測定する酸素分圧測定装置
    であり、前記焼成装置が、前記焼成炉の上流側に設けら
    れている酸素ポンプを備えており、前記酸素分圧測定装
    置における前記酸素分圧の測定値に基づいて前記酸素ポ
    ンプの駆動電圧または電流をフィードバック制御するこ
    とを特徴とする、請求項4記載のセラミックスの焼成装
    置。
  6. 【請求項6】所定の分圧の水素を含有している水素含有
    ガスを前記焼成炉に供給するための水素含有ガス供給源
    と、この水素含有ガスに対して水分を添加するための水
    分添加装置とを備えており、前記ガス分析器が、前記焼
    成炉から排出される排気ガス中の酸素分圧を測定する酸
    素分圧測定装置であり、かつ前記酸素分圧測定装置にお
    ける前記酸素分圧の測定値に基づいて前記水分添加装置
    の駆動をフィードバック制御することを特徴とする、請
    求項4記載のセラミックスの焼成装置。
  7. 【請求項7】前記雰囲気を分析して所定の情報を得るた
    めの上流側ガス分析器を備えており、前記雰囲気の前記
    情報と前記排気ガスの前記情報とを前記制御装置におい
    て対比できるように前記制御装置が構成されていること
    を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に
    記載のセラミックスの焼成装置。
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