JPH10270226A - 粉末成形磁心およびその製造方法 - Google Patents

粉末成形磁心およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10270226A
JPH10270226A JP9072971A JP7297197A JPH10270226A JP H10270226 A JPH10270226 A JP H10270226A JP 9072971 A JP9072971 A JP 9072971A JP 7297197 A JP7297197 A JP 7297197A JP H10270226 A JPH10270226 A JP H10270226A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
magnetic
magnetic core
molded
core
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9072971A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Yagi
正昭 八木
Yasushi Yamamoto
裕史 山本
Isao Endo
功 遠藤
Hideo Koshimoto
秀生 越本
Isamu Otsuka
勇 大塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kubota Corp filed Critical Kubota Corp
Priority to JP9072971A priority Critical patent/JPH10270226A/ja
Publication of JPH10270226A publication Critical patent/JPH10270226A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/02Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for manufacturing cores, coils, or magnets
    • H01F41/0206Manufacturing of magnetic cores by mechanical means
    • H01F41/0246Manufacturing of magnetic circuits by moulding or by pressing powder

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄損や漏れ磁束の原因となるギャップを切断
加工などによって形成せずとも、高周波領域での使用に
好適な透磁率を有する粉末成形磁心およびその製造方法
を提供する。 【解決手段】 アモルファス軟磁性粉末1と、その結晶
化温度よりも低い軟化点を有するガラス粉末とを混合し
た後、結晶化温度と軟化点との間の温度に加熱して所定
の形状に加圧成形し、次いで、歪取り熱処理を行う。こ
のように作製された粉末成形磁心は、アモルファス軟磁
性粉末1…間に介在するガラス2が、バインダーとして
の機能と共に粒子間の絶縁、および分散型ギャップとし
ての機能を有することになり、切断加工などによってギ
ャップを形成せずとも高周波領域での使用に好適な特性
を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばチョークコ
イルやフライバックトランスなどに使用される粉末成形
磁心に関するものであり、さらに詳しくは、アモルファ
ス合金より成る軟磁性粉末を用いて形成される粉末成形
磁心およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノーマルモードチョークコイルなど、高
周波領域で低透磁率・低鉄損が要求される磁心には従来
フェライトが広く使用され、また、形状の小形化等を目
的として、フェライトよりも飽和磁化が大きなセンダス
ト系圧粉磁心も使用されている。さらに、アモルファス
の磁性合金は高耐食性、高耐摩耗性、高強度、高透磁率
等の点で優れた特性を示すことが知られており、このア
モルファス軟磁性合金から成る薄帯を巻いて形成したア
モルファス薄帯磁心も実用化されている。
【0003】ところで、上記したフェライトやアモルフ
ァス薄帯磁心は、その透磁率(10000〜100000程度)が高
周波領域の使用では高過ぎるため、例えば、図13に示す
ようなリング状のトロイダル磁心50として形成する場合
には、幅1mm以下のギャップ51を設け、これによって透
磁率を 100〜 200程度に下げて使用されている。このよ
うなギャップ51は、リング状に成形後に回転ブレード等
を用いた切断加工によって形成され、或いは、成形金型
内にギャップ幅に相当する薄板状の非磁性板を予め配置
し、これを内包するリング状に磁心材料を一体成形して
形成されている(以下、このようにして所定の幅で形成
されるギャップを「集中型ギャップ」という)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような集中型ギャップを有する磁心では、このギャップ
に起因して鉄損や漏れ磁束が増加するという問題が発生
する。特に、漏れ磁束は、磁心を実際に回路に組込んだ
場合にノイズ発生源となり、また、周辺の導体に渦電流
を誘発し、損失を増大させる原因となる。
【0005】さらに、集中型ギャップを有する磁心は、
ギャップの切断加工と加工後のギャップへの樹脂充填に
伴って加工コストが高くなり、また、ギャップ部に非磁
性板を内包させる成形でも、このために特殊な成形工程
が必要となって、上記同様に加工コストが高くなる。本
発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、高周波
領域での使用に好適なアモルファス軟磁性粉末より成る
粉末成形磁心およびその製造方法を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の粉末成形磁心
は、アモルファス合金より成る軟磁性粉末が、これら粉
末間に介在するガラスにより相互に接合した状態で、閉
磁路を有する所定の磁心形状に形成されていることを特
徴としている。このような構成によれば、アモルファス
軟磁性粉末間のガラスが、バインダーとしての機能と共
に粒子間の絶縁機能をも有することになり、これによっ
て渦電流損失が小さくなるので、高周波領域における鉄
損も小さくなる。また、粒子同士がガラスを挟んで相互
に離間した構造は、微細な分散型ギャップが内部に形成
されたものともなり、これによって、従来のような集中
型ギャップを設けずとも、高周波領域での使用に好適な
透磁率を有する構成とすることができる。この結果、漏
れ磁束も低減され、これに起因するノイズの発生が抑制
される。さらに、集中型ギャップの形成が不要であるこ
とにより、全体的な加工費をより安価なものとすること
ができる。
【0007】本発明の粉末成形磁心の製造方法は、アモ
ルファス合金より成る軟磁性粉末とガラス粉末とを混合
し、この混合粉末を、アモルファス合金の結晶化温度よ
りも低くかつガラスの軟化点よりも高い温度範囲に加熱
して所定形状に加圧成形し、その後、上記温度範囲に加
熱して歪取り熱処理を行うことを特徴としている。この
ように、軟化点がアモルファス合金の結晶化温度よりも
低いガラス粉末をバインダーとして用い、上記の軟化点
と結晶化温度との間の温度に加熱して加圧成形すること
によって、合金粉末はアモルファス状態が維持される。
一方、ガラスは、その軟化点よりも高い温度に加熱され
て圧力が加えられることで、アモルファス合金粒子の間
にほぼ隙間なく侵入する。冷却後、ガラスは硬化して、
アモルファス合金粉末のバインダーおよび粒子間絶縁の
機能を果たすことになり、高密度の成形体が得られる。
さらに、加圧成形時にアモルファス軟磁性粉末に機械的
な歪が生じたとしても、その後に再度ガラスの軟化点を
越える温度に加熱する歪取り熱処理によって歪が除去さ
れ、この結果、歪によって損なわれた磁気特性が回復さ
れる。したがって、アモルファス合金が本来有する特性
が粉末成形体中も極力維持されるので、優れた磁気特性
を有する粉末成形磁心を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の粉末成形磁心を製造する
には、まず、軟磁性を有するFe系、Co系等のアモルファ
ス合金粉末を作製する。このようなアモルファス合金粉
末は、例えば、高速回転水流アトマイズ法により製造す
ることができる。この方法は、冷却用筒体の内周面に旋
回しながら流下する冷却水層を形成し、融点より50〜 2
00℃程度高温に溶解した原料合金の溶融金属流の噴流を
該冷却水層に供給し、旋回する冷却液層によって分断急
冷凝固させて金属粉末を得る方法(特開平4-17605 号公
報参照)である。
【0009】この方法によれば、従来の水アトマイズ法
と異なり、水冷凝固時に粒子周りに発生する水蒸気膜が
高速回転水流の遠心力で速やかに剥離され、蒸気膜によ
る熱伝達の低下が抑制される。これにより、105K/sec以
上の高い急冷速度を得ることができ、アモルファス状態
の合金粉末を作製することができる。また、本方法によ
れば、回転ドラムを用いた回転液アトマイズ法と異な
り、連続大量生産も可能である。このような方法により
製造される合金粉末の粒径は、そのアモルファス性を確
保するために約 250μm以下とし、平均粒径は約 100〜
150μmが好ましい。
【0010】ところで、上記のようなアモルファス合金
粉末を用いて高周波磁心を得るための成形バルク化に
は、(1) 低ヒステリシス損を得るためのアモルファスの
軟磁性の保持、(2) 渦電流を抑制するための粒子間絶
縁、(3) 透磁率を上げるための高密度成形の三条件を満
足する必要がある。これらの観点から、本発明では、上
記のように製造されたアモルファス合金粉末に、その結
晶化温度よりも低い軟化点を有するガラスの粉末を混合
し、これをホットプレス法等により加圧成形する方法
で、所定の形状を有する粉末成形磁心を形成する。
【0011】この場合のガラスとしては、前記したFe
系、Co系等のアモルファス合金の結晶化温度(通常 500
℃前後)よりも、軟化点が約 100〜 200℃低いものを使
用することが望ましい。加圧成形する際、成形温度の範
囲に幅を持たせるためである。このようなガラス材料と
して、酸化鉛含有のホウ酸塩系ガラス(PbO・B2O3)等の
低軟化点ガラスを挙げることができる。
【0012】ガラス粉末の粒径は、アモルファス合金粉
末の粒子間にうまく入り込むことができるように、アモ
ルファス合金粉末の平均粒径の約1/20よりも小さくする
ことが好ましい。アモルファス合金粉末の粒径が、前記
した約 250μm以下、平均粒径が約 100〜 150μの場合
には、ガラス粉末の粒径は約10μm以下、平均粒径は約
1〜7μmが好ましい。
【0013】なお、ガラス粉末をアモルファス合金粉末
と共にボールミルの中で混合する場合、ガラス粉末は、
その攪拌過程で粉砕されて微細化されるため、ボールミ
ルに投入する段階では適当に砕かれたものを使用すれば
よく、その粒径は攪拌時間によって調節することができ
る。ガラスの混合量は3〜 20vol%が望ましく、この範
囲で、所望の透磁率に合わせて設定する。ガラスの混合
量が少なすぎると、アモルファス合金粉末を所定の磁心
形状にバルク化させることができなくなり、一方、混合
量を増やすと結合強度は大きくなるが、アモルファス合
金の量が少なくなり過ぎて所望の磁気特性を確保できな
くなる。
【0014】次に、上記のような混合粉末を例えばホッ
トプレス法により加圧成形する場合、加熱温度は、アモ
ルファス合金の結晶化温度より低く、かつ、ガラスの軟
化点よりも高い温度範囲、例えば 400〜 500℃とし、圧
力1〜2GPa 程度で加圧する。加圧時間は1分以内で充
分である。このような成形により、ガラスは、アモルフ
ァス合金粒子の間にほぼ隙間なく侵入してこれを埋めた
状態となる。冷却後、ガラスは硬化してアモルファス合
金粉末のバインダーおよび粒子間絶縁の機能を果たすこ
とになり、高密度の成形体が得られる。合金粉末は、成
形温度が結晶化温度よりも低いことから加圧成形後もア
モルファス状態が維持される。
【0015】その後、必要に応じて機械加工による仕上
加工を行い、閉磁路を有するリング状等の最終形状に仕
上げ、次いで、再度、アモルファス合金の結晶化温度よ
り低くかつガラスの軟化点よりも高い温度範囲に加熱し
て、歪取り熱処理を行う。加熱保持時間は10〜20分程度
が好ましい。このような熱処理を行うことにより、加圧
成形時にアモルファス軟磁性粉末に機械的な歪が生じた
としても、その後に再度ガラスがその軟化点を越える温
度に加熱されることで、ガラスからの拘束力が除かれた
状態で、歪が除去される。この結果、歪によって損なわ
れた磁気特性が回復され、したがって、アモルファス合
金が本来有する特性が粉末成形体中でも極力維持され、
優れた磁気特性を有する粉末成形磁心が得られる。
【0016】このような製造方法により作製された粉末
成形磁心は、充分な機械的強度を備え、そして、アモル
ファス合金粉末間の隙間を埋めるガラスが、バインダー
としての機能と共に粒子間の絶縁機能をも有するので鉄
損が小さく、また、集中型ギャップを設けずとも、高周
波領域での使用に好適な透磁率を有する磁心として使用
することができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例として、Fe系の軟磁性
材料を用いて作製した粉末成形磁心を例に挙げて、その
具体的な製造手順と特性評価結果とについて説明する。
まず、前記した高速回転水流アトマイズ法により、Fe74
Si12.5B12.5C1 のアモルファス合金粉末を作製した。こ
れによって得られた粉体形状は、細粒では球形に近いも
のが多く、大きくなるに従って偏平・細長になる傾向が
見られた。その平均粒径は約 150μmであり、これら急
冷凝固粉末のX線回折結果では、粒径45μm以下の微細
粒から 250μmの粗粒に至るまでアモルファス化されて
いることが認められた。
【0018】このようにして得られた粉末粒子につい
て、VSM を用いて磁化曲線を測定したが、その傾きは反
磁界の影響で大きく、粉体のままの見かけ上の透磁率は
4〜5程度の低い値であった。図2は保持力Hcの測定値
である。これは、粒度に応じたばらつきが多少見られる
ものの、急冷凝固したままの状態(as madeの状態) では
1〜2[Oe]、最適歪み取り熱処理を施すと数100[mOe]〜
1[Oe]を示しており、良好な軟磁性が得られている。こ
のように、高速回転水流アトマイズ法によって、良好な
軟磁性特性を有するアモルファス粉末を高い生産性(歩
留り)で作製することが可能となっている。
【0019】次に、上記のように作製したアモルファス
粉末(粒径 250μ以下、累積重量比で平均粒径 100〜 1
50μm)と、軟化点が約 320℃のガラス(酸化鉛含有の
ホウ酸塩系ガラス)粉末とを、90:10の混合比(容積
比)にてボールミルの中で24時間攪拌混合した。混合後
のガラス粉末の平均粒径は約1〜2μmであった。な
お、前記組成のアモルファス合金の結晶化温度Txは 548
℃である。
【0020】この混合粉末を、圧力1.6GPa、温度 450
℃、加圧時間1分以内の成形条件でホットプレスを行
い、直径20mm、高さ5mmの円柱状成形体を得た。得られ
た成形体は完全にバルク化されており、その相対密度は
95%であった。なお、「相対密度」とは、円柱状成形
体を完全緻密体と仮定したときの重量に対する実際の重
量の比率として求めたものである。完全緻密体の重量
は、アモルファス合金粉末とガラス粉末の混合比に基づ
いて計算した値である。
【0021】こうして得られた成形体のミクロ組織を図
1(a) に示す。同図中、白い部分がアモルファス合金粒
子1…、黒い部分がガラス2を表している。図のよう
に、微細粒が粗粒の間に入り込み、粗粒同士は押し合っ
て潰れ、粒子間には添加したガラス2が侵入してアモル
ファス合金粒子1…同士がガラスを介して接合されてい
ることがわかる。
【0022】また、このようにガラスをバイダーとして
加圧成形された成形体は、フェライト並みの任意形状の
成形加工が可能であり、さらに、フェライトやダストコ
アに比べ、格段に高い機械的な強度を有している。上記
のような成形体の合金粉末も、そのX線回折パターンか
らアモルファス状態であることが確認された。なお、別
途、加圧成形時の温度を種々変えて上記同様の成形体を
作製し、それらのX線回折パターンを測定したが、その
結果からは、成形温度の上昇に従ってブロードな山がや
や高くなる傾向が見られたものの、結晶化温度Txより数
10℃以下の成形では明確な結晶化の回折は認められず、
アモルファス状態であることが確認されている。
【0023】次に、上記のように作製した成形体に、旋
盤による穴あけ加工を施して外形20mm、内径12mm、高さ
5mmのリング状に仕上げ、その後、これに 450℃−15分
の歪取り熱処理を施して、図1(b) に示す形状の粉末成
形磁心3を作製した。この粉末成形磁心における磁気特
性測定結果について次に説明する。まず、図3に、上記
の成形磁心について測定した直流B-H 曲線を示す。Hcは
0.6[Oe] 、Bmは11[kG]である。前述した粉体のままの磁
化曲線に比べて傾きが急になっており、加圧成形によっ
て実効的な反磁界が低減されている。
【0024】図4は抵抗率ρを示すグラフである。この
測定は、上記同様に作製した成形体から矩形棒状の試料
を切り出し、これについて4端子法を用いて行った。抵
抗率ρは2×10-3Ω・mで、アモルファス合金自体の約
1500倍である。したがって、各合金粉末に対するガラス
絶縁層は、前記の図1(a) に示されているようにそれほ
ど均一ではないが、平均的には粒子間の絶縁が確保され
ている。
【0025】図5は初透磁率μ’の周波数特性を示すグ
ラフである。測定にはインピーダンスアナライザ((株)Y
HP社製4194A)を用いている。μ’の値は1MHz まで 100
前後の値が得られている。この値は、バインダーとして
のガラスの混合比を種々変えて上記同様に形成した各成
形体についての測定結果から、バインダーの混合比を下
げるほど低周波側で大きくなる傾向が見られている。し
たがって、バインダーの混合比を変えることによって、
所望の透磁率を有する磁心を作製することができる。
【0026】なお、透磁率が 100前後の商用磁心には、
高周波用チョークコアやフライバックトランスに用いら
れるギャップ付きアモルファス薄帯磁心およびセンダス
ト系圧粉磁心がある。これらに比較して、本実施例の粉
末成形磁心のμ’は、ギャップ付きアモルファス薄帯磁
心の約1/2 程度、また、センダスト系圧粉磁心に対して
はほぼ同等の値である。
【0027】図6は直流重畳特性である。図は重畳磁界
に対するパーセント初透磁率(重畳磁界0時のμ’の値
に対する変化率)で表している。本実施例におけるアモ
ルファス粉末磁心のμ’は高磁界まで直線的に緩やかに
減少し、5000A/m で零バイアスに対して50%減の値を示
している。この特性はセンダスト系圧粉磁心とほぼ同等
である。ギャップ付きアモルファス薄帯磁心と比較する
と、実施例のアモルファス粉末磁心は、高磁界でのμ’
の減少の割合が小さい。
【0028】このように、本実施例のアモルファス粉末
成形磁心は、高周波用チョークやリアクトル(フライバ
ックトランス)に適した 100前後の透磁率のMHz までの
周波数特性と高い直流重畳特性が得られている。そこ
で、この周波数領域で使用されている前記した商用のギ
ャップ付きアモルファス薄帯磁心(以下、比較例1とい
う)およびセンダスト系圧粉磁心(以下、比較例2とい
う)と、本実施例のアモルファス粉末成形磁心とを、そ
れぞれ昇降圧形DC−DCコンバータに適用し、実際に回路
に組込んだときの動作特性の比較試験を行った。
【0029】実験回路は図7のとおりである。本実施例
および各比較例1,2 の各磁心には、大体同じ巻線数でほ
ぼ同一のインダクタンスになるように巻線を施した。各
磁心の仕様は表1のとおりである。
【0030】
【表1】
【0031】図8には、出力電力20W一定で周波数を変
化させた場合の効率とサージ電圧を示しており、また、
図9には、動作周波数100kHzにおける出力電圧に対する
効率およびサージ電圧を示している。これらの結果か
ら、本実施例におけるアモルファス粉末成形磁心は、市
販のギャップ付きアモルファス薄帯磁心およびセンダス
ト系圧粉磁心と大体同等の優れた動作特性が得られるこ
とが確認された。
【0032】一方、表2には、上記の各磁心について、
磁界H=2400A/m 時における漏れ磁束をガウスメータで測
定した結果を示している。
【0033】
【表2】
【0034】このように、本実施例のアモルファス粉末
成形磁心は、比較例1のギャップ付きアモルファス薄帯
磁心と比べると性能はほぼ同等であり、漏れ磁束は約1/
10という優れた特性を有している。また、比較例2のセ
ンダスト系圧粉磁心と比べると、サイズが小さくてもほ
ぼ同等の性能が得られ、また、漏れ磁束も同等以下のも
のとなっている。
【0035】次に、本実施例のアモルファス粉末成形磁
心と、代表的な高周波磁心であるフェライト(以下、比
較例3という)との比較結果について説明する。フェラ
イトにはPC40((株)TDK製EIコア) を用い、これを飽和磁
束密度・インダクタンス・磁路長が本実施例におけるリ
ング状のアモルファス粉末成形磁心とほぼ同一になるよ
うに成形した。巻線数は各18ターン、25ターンとした。
両磁心の仕様は表3の通りであり、これらの磁心を、先
の図8に示したDC−DCコンバータ回路に各々組込んで動
作特性を測定した。
【0036】
【表3】
【0037】図10は、動作周波数f=100kHzで抵抗Rを変
化させたときの出力電流Ioに対する出力電圧Voの特性で
あり、両磁心間には差異は殆どない。図11は、抵抗Rを
変化させた場合の効率ηの出力電力Po依存性であり、出
力電力Poが大きくなると効率ηの差は小さくなる。図12
は、R=5Ωの場合の効率ηの動作周波数f依存性であ
り、200kHz以上では、両磁心は同程度の効率を示してい
る。
【0038】このように、本実施例のアモルファス粉末
成形磁心は、出力電力ならびに入力電圧動作周波数が大
きくなると、フェライトと同程度の特性を持つようにな
り、さらに、磁心の体積(窓空間を含む)および質量は
約40%に小形化できる。また、ギャップ無しで使用し得
るので、フェライトの持つ漏れ磁束50G(磁界10Oe時)
を数Gに小さくすることができる。
【0039】以上の説明のように、本実施例におけるア
モルファス粉末成形磁心は、市販のギャップ付きアモル
ファス薄帯磁心およびセンダスト系圧粉磁心とほぼ同等
の磁気特性が得られ、さらに、回路試験の結果でもほぼ
同等の動作特性が実証されており、100kHz以上の高周波
用のチョークコアやフライバックトランスとしての使用
に好適である。
【0040】また、フェライトに比較すると、その2〜
3倍の飽和磁束密度と格段に高い機械的な強度を有して
いるので、機械的に脆い焼結体のフェライトでは製作が
困難な大容量の高周波トランスへの適用も可能である。
なお、本発明は、前記した実施形態や実施例に限定され
るものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能で
ある。例えば、上記では軟磁性合金材料として、Fe74Si
12.5B12.5C1 の組成のFe系合金を用いたが、Co系合金
(例えば、(Co0.9 5Fe0.05)75(Si0.6B0.4)25)などのその
他の軟磁性合金を使用することが可能である。また、上
記では、ホットプレス法により加圧成形を行ったが、HI
P(熱間等方圧加圧)法などのその他の加圧成形法を採用
することも可能である。また、上記実施例では、高速回
転水流アトマイズ法を採用してアモルファス合金粉末を
製造した例を挙げたが、例えば回転ドラムを用いて回転
液アトマイズ法で作製されたアモルファス合金粉末や、
さらには、アモルファス薄板を粉砕して得られる粉末な
どを用いることも可能であり、これらをガラスと混合し
て所定の温度で加圧成形し、その後、歪取り熱処理を行
うことで、磁気特性が優れた粉末成形磁心とすることが
できる。
【0041】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の粉末成形
磁心においては、アモルファス軟磁性粉末間のガラス
が、バインダーとしての機能と共に粒子間の絶縁機能も
有するので鉄損が小さく、かつ、粒子間のガラスによっ
て内部に分散型ギャップを有する構成でもあるので、リ
ング状などの閉磁路を有する磁心形状でも、従来のよう
な集中型ギャップを設けずとも高周波領域での使用に好
適な透磁率を有するものとなる。この結果、漏れ磁束が
低減され、これに起因するノイズの発生が抑制されると
共に、集中型ギャップの形成が不要であることにより、
全体的な加工費を低減することができる。
【0042】本発明の粉末成形磁心の製造方法において
は、アモルファス合金の結晶化温度よりも低い軟化点を
有するガラス粉末を混合し、これが軟化する温度で加圧
成形することにより、ガラスがアモルファス合金粒子間
に侵入して高密度の成形体が得られる。さらに、その後
にガラスの軟化点を越える温度に加熱し歪取り熱処理を
施すことによって、歪によって損なわれたアモルファス
合金粉末の磁気特性が回復される。したがって、アモル
ファス合金が本来有する特性が粉末成形体中でも極力保
持され、優れた磁気特性を有する粉末成形磁心を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における粉末成形磁心を示す
もので、同図(a) はホットプレスによって成形した成形
体のミクロ組織を示す図であり、同図(b) は粉末成形磁
心の形状を示す斜視図である。
【図2】上記粉末成形磁心に用いた合金粉末における保
磁力Hcと熱処理温度との関係についての測定結果を示す
グラフである。
【図3】上記粉末成形磁心の直流B-H 曲線の測定結果を
示すグラフである。
【図4】上記粉末成形磁心の抵抗率と周波数との関係に
ついての測定結果を示すグラフである。
【図5】上記粉末成形磁心における初期透磁率の周波数
特性に関する測定結果を示すグラフである。
【図6】上記粉末成形磁心の直流重畳特性の測定結果を
ギャップ付きアモルファス薄帯磁心およびセンダスト系
圧粉磁心と比較して示すグラフである。
【図7】上記粉末成形磁心の回路動作特性を測定するた
めのDC-DC コンバータの構成を示す回路図である。
【図8】上記粉末成形磁心における効率およびサージ電
圧と周波数との関係についての測定結果を、比較例1,2
についての測定結果と共に示すグラフである。
【図9】上記粉末成形磁心における効率と出力電力との
関係についての測定結果を、比較例1,2 についての測定
結果と共に示すグラフである。
【図10】上記粉末成形磁心における出力電圧と出力電
流との関係についての測定結果を、比較例3についての
測定結果と共に示すグラフである。
【図11】上記粉末成形磁心における効率と出力電力と
の関係についての測定結果を、比較例3についての測定
結果と共に示すグラフである。
【図12】上記粉末成形磁心における効率と周波数との
関係についての測定結果を、比較例3についての測定結
果と共に示すグラフである。
【図13】従来のギャップ付きトロイダル磁心の形状を
示す斜視図である。
【符号の説明】
1 アモルファス合金粉末 2 ガラス 3 粉末成形磁心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 功 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 越本 秀生 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内 (72)発明者 大塚 勇 兵庫県尼崎市浜1丁目1番1号 株式会社 クボタ技術開発研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アモルファス合金より成る軟磁性粉末
    が、これら粉末間に介在するガラスにより相互に接合し
    た状態で、閉磁路を有する所定の磁心形状に形成されて
    いることを特徴とする粉末成形磁心。
  2. 【請求項2】 アモルファス合金より成る軟磁性粉末と
    ガラス粉末とを混合し、この混合粉末を、アモルファス
    合金の結晶化温度よりも低くかつガラスの軟化点よりも
    高い温度範囲に加熱して所定形状に加圧成形し、その
    後、上記温度範囲に加熱して歪取り熱処理を行うことを
    特徴とする粉末成形磁心の製造方法。
JP9072971A 1997-03-26 1997-03-26 粉末成形磁心およびその製造方法 Pending JPH10270226A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9072971A JPH10270226A (ja) 1997-03-26 1997-03-26 粉末成形磁心およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9072971A JPH10270226A (ja) 1997-03-26 1997-03-26 粉末成形磁心およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10270226A true JPH10270226A (ja) 1998-10-09

Family

ID=13504794

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9072971A Pending JPH10270226A (ja) 1997-03-26 1997-03-26 粉末成形磁心およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10270226A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013033966A (ja) * 2011-08-01 2013-02-14 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 金属磁性粉末、前記金属磁性粉末を含む磁性層材料、及び磁性層材料を用いた磁性層を含む積層型チップ部品
JP2015084353A (ja) * 2013-10-25 2015-04-30 日立金属株式会社 圧粉磁心、その製造方法、該圧粉磁心を用いたインダクタンス素子および回転電機
CN109285686A (zh) * 2018-08-22 2019-01-29 横店集团东磁股份有限公司 一种切割磁芯生产方法
JP2019106414A (ja) * 2017-12-11 2019-06-27 Tdk株式会社 軟磁性圧粉磁心の製造方法および軟磁性圧粉磁心

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013033966A (ja) * 2011-08-01 2013-02-14 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 金属磁性粉末、前記金属磁性粉末を含む磁性層材料、及び磁性層材料を用いた磁性層を含む積層型チップ部品
JP2015084353A (ja) * 2013-10-25 2015-04-30 日立金属株式会社 圧粉磁心、その製造方法、該圧粉磁心を用いたインダクタンス素子および回転電機
JP2019106414A (ja) * 2017-12-11 2019-06-27 Tdk株式会社 軟磁性圧粉磁心の製造方法および軟磁性圧粉磁心
CN109285686A (zh) * 2018-08-22 2019-01-29 横店集团东磁股份有限公司 一种切割磁芯生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100545849B1 (ko) 철계 비정질 금속 분말의 제조방법 및 이를 이용한 연자성코어의 제조방법
KR101792088B1 (ko) 압분 자심의 제조 방법, 압분 자심 및 코일 부품
US4543208A (en) Magnetic core and method of producing the same
JP4849545B2 (ja) 非晶質軟磁性合金、非晶質軟磁性合金部材、非晶質軟磁性合金薄帯、非晶質軟磁性合金粉末、及びそれを用いた磁芯ならびにインダクタンス部品
KR101470513B1 (ko) 대전류 직류중첩특성 및 코어손실 특성이 우수한 연자성 코어 및 그의 제조방법
KR20160132937A (ko) 압분 자심의 제조 방법 및 압분 자심
WO2018179812A1 (ja) 圧粉磁心
EP2482291A1 (en) Magnetic powder material, low-loss composite magnetic material containing same, and magnetic element using same
JPS63304603A (ja) Fe基軟磁性合金圧粉体及びその製造方法
KR20100033403A (ko) 자석 코어 제조 방법, 자석 코어 및 자석 코어를 구비한 유도 부품
CN107424711B (zh) 用于制造磁粉芯和模压电感的铁基复合粉末及其制备方法
JPH11176680A (ja) 磁芯の製造方法
JP6191855B2 (ja) 軟磁性金属粉末及び高周波用圧粉磁心
WO2014034616A1 (ja) 圧粉磁心用鉄粉および圧粉磁心の製造方法
JP2020155637A (ja) 磁性体コアおよびコイル部品
JP2000232014A (ja) 複合磁性材料の製造方法
JPS63117406A (ja) アモルフアス合金圧粉磁心
JP6168382B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法
JPH10270226A (ja) 粉末成形磁心およびその製造方法
JPH1174140A (ja) 圧粉磁芯の製造方法
JPS59179729A (ja) 非晶質合金圧粉磁心
JPS62232103A (ja) Fe基アモルフアス圧粉磁心およびその製造方法
JP2000100617A (ja) 磁心付きコイル及びpam制御エアコン
US11948712B2 (en) Magnetic powder, magnetic powder molded body, and method for manufacturing magnetic powder
US20230326656A1 (en) Dust core and inductor