JPH10251718A - 高炉のベルレス式炉頂装入装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高炉内に装入した原料の通気性を確保するた
め炉中心部へのコークスを精度よく行う。 【解決手段】 一定の傾斜角度を保持した旋回シュート
５が高炉炉体の中心軸上に相当する位置のシュート面15
に開口８を設け、ここに中心装入シュート９を下方に向
け鉛直に配設すると共に、この開口８を切替えダンパ10
により開閉自在とする。切替えダンパ10により開口８を
閉止した時には、原料は旋回シュート５の先端から炉内
に装入され、また切替えダンパ10を移動して開口８を開
放した時には、原料は開口８から中心装入シュート９経
由して飛散することなく炉中心部に精度よく装入され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高炉の炉頂部に配
設された旋回シュートを介して炉内に装入される炉半径
方向の原料分布を最適にする、特にコークスの炉中心装
入を精度よく行うことができる高炉のベルレス式炉頂装
入装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高炉操業においては、炉内に焼結鉱等の
鉄鉱石およびコークス等の原料が交互に層状に装入され
る。炉内に装入された原料は、炉内を上昇してくる高温
ガスによりまず乾燥、予熱が行われ、鉱石の還元が起こ
り、その降下に伴ってこれらは順次活発となり、鉱石の
酸化鉄は金属鉄となり、さらに吸炭するなどして銑鉄と
なり炉底に溜まる。このようにして炉底に溜まった銑鉄
は炉底の出銑口より溶銑として取り出され、銑鉄が製造
される。高炉の生産性および銑鉄の品質を向上させるた
めには、ガスの通気性をよくすること、装入原料をスム
ーズに降下させること、ガスを通気性よく上昇させるこ
とおよび炉壁への熱負荷を少なくすることなどが要求さ
れる。

【０００３】高炉の形状は軸対称形をなしているが、そ
の操業安定には炉頂部半径方向での原料装入物の分布す
なわち粒度分布やコークスと鉱石の層厚分布を適正に制
御して、ガス流分布、熱流比分布、その結果として生ず
る鉱石の還元、溶解状況を円周方向で適正化する必要が
ある。この条件を満たす炉頂装入装置として、原料装入
物の分布制御の自由度がより大きなベルレス式炉頂装入
装置が採用され、旋回シュートの回転数および傾斜角度
の変更によって多様な原料装入物制御が行われている。

【０００４】ベルレス式炉頂装入装置の場合は、たとえ
ば図６に示すように炉内に装入される原料は、たとえば
２基の炉頂ホッパ１、１に貯蔵される。炉頂ホッパ１に
貯蔵された原料６は原料受入れ完了後に外気と遮断さ
れ、高圧の炉内と同じ圧力に調整される。炉頂ホッパ１
内の圧力調整後に、炉頂ホッパ１の下部に固設した傾斜
シュート２の出口部に配設された流量調整ゲート2Aを開
閉して排出される。傾斜シュート２から排出された原料
６は、集合シュート３とその下部に固設した垂直シュー
ト４を通過して落下する。ここを落下した原料は、垂直
シュート４の出口部に、旋回シュート支持軸７を介して
鉛直に対する傾斜角度θを調整自在かつ炉円周方向に旋
回自在に支持された旋回シュート５に供給される。旋回
シュート５に供給された原料６はシュート面に沿って滑
り落ち、シュート先端から自由落下により炉内に装入さ
れる。

【０００５】ところで最近の高炉操業では、装入原料の
コストを下げるためにできるだけコストの安い細粒鉱石
を多く使用したいというニーズがある。しかし、高炉に
装入する細粒原料の増加は、炉内を上昇するガスの通気
抵抗を増大する原因となる。炉内の通気抵抗が増大する
と、上昇ガスにより押し上げ力が異常に大きくなって装
入物の降下不良の原因となり、結果的に高炉の下部に設
けた羽口から供給する送風量を抑制せざるを得なくな
り、高炉の出銑量低下を余儀なくされる。

【０００６】高炉内部には、羽口から吹き込まれる熱風
により形成されるレースウェイ先端にコークスの運動が
少ない山形状の領域いわゆる炉芯が存在する。この炉芯
を構成するコークスの粒度が小さい場合や、炉芯の空隙
率が低下した場合には、炉芯の通気・通液性が悪化し、
送風圧の上昇、スリップの多発、排滓性の悪化を引き起
こす。これを回避するためには、高炉内に通気性の良い
コークスを炉中心部に優先して装入し、安定した炉内熱
風の中心流を確保し、トータルとして炉内の通気抵抗を
下げ、高炉の炉況を安定化させるのが一般的な方法であ
る。

【０００７】このように高炉内に通気性の良いコークス
を炉中心部に優先して装入する手段としては、通常の高
炉炉頂装入装置とは別に専用の中心装入装置を設置する
もの（特開昭60−56003 号公報参照）が知られている。
また、ベルレス式炉頂装入装置による場合には、図５に
示すように旋回シュート支持軸７を支点にして旋回シュ
ート５をほぼ垂直姿勢として高炉の中心付近に原料６を
装入するのが一般的である。旋回シュート５は旋回と傾
動を同時に行うため、機構的に完全に垂直にすることが
できず少し傾斜しているので、上方から落下する原料６
はその一部が旋回シュート５のシュート面に衝突しなが
ら下方に落下する。このため旋回シュート５で跳ね返っ
て飛散した原料６は、炉頂の原料装入面上への落下位置
が拡がるので精度のよいコークスの中心装入ができない
という問題点があった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】既設の通常の高炉炉頂
装入装置とは別に専用の中心装入装置を設置する場合に
は、当然ながら設備費が非常に高くなり簡単に採用でき
ない。また、旋回シュートを可及的に垂直姿勢にしてコ
ークスを中心装入する方法は、前述したように原料の飛
散によるばらつきが大きく、落下位置の精度が悪いた
め、安定して炉中心コークス層を形成することができ
ず、ガス中心流による通気性の確保を困難としていた。

【０００９】本発明は、前記従来技術の問題点を解決
し、安価な設備投資で精度の良いコークス中心装入を可
能とする高炉のベルレス式炉頂装入装置を提供すること
を目的とするものであり、結果的に安価な細粒鉱石を大
量に使用することを可能とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明は、旋回シュートを備えた高炉のベルレス式炉
頂装入装置において、旋回シュートが一定の傾斜角度を
保持した状態で該旋回シュートのシュート面の高炉炉体
の中心軸上に相当する位置に開口を設け、該開口に高炉
炉体の中心軸と軸を同じくする中心装入シュートを下方
に向け配設すると共に、前記開口の下流側縁部に設けた
回転軸を支点とする回動により該開口を開閉可能とする
切替えダンパを設置したことを特徴とする高炉のベルレ
ス式炉頂装入装置である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。本発明では、旋回シュート
５は、図１および図２に示すように垂直シュート４の下
端部に旋回シュート支持軸７を介して傾動自在に支持さ
れ、底面が平坦な両側に側壁を有する樋状であり、シュ
ート面15には、ある一定の傾斜角度で傾斜した状態で高
炉炉体の中心軸Ａ上に相当する位置に開口８が設けてあ
る。この開口８に接続して下方に向け高炉炉体の中心軸
Ａと軸線を同じくする中心装入シュート９が鉛直方向に
配設されている。そして、旋回シュート５に設けた開口
８には、切替えダンパ10が下流側縁部に設けた回転軸11
を支点にして回動自在に支持されている。

【００１２】旋回シュート５の側壁を貫通する回転軸11
の一端部にはアーム12が取り付けてあり、このアーム12
には旋回シュート５の側面に配設したエアシリンダ13の
ピストンロッド14が連結されている。エアシリンダ13の
ピストンロッド14を伸縮操作すると、アーム12が回転軸
11を支点にして回動し、これによって切替えダンパ10が
開口８の開放位置と閉止位置との間を移動する。なお、
アーム12はリンク機構を介してギヤボックスから操作す
るようにしてもよい。

【００１３】コークス中心装入を行う時の旋回シュート
５の傾斜角度は任意に設定できるが、旋回シュート５に
設けた中心装入シュート９の荷重を旋回シュート支持軸
７で受ける必要があるため、中心装入シュート９の位置
をできるだけ支持軸７に接近させるのが有利であるの
で、旋回シュート５の傾斜角度ができるだけ大きい状態
で高炉炉体中心軸に相当する位置で開口８を設けるのが
好ましい。

【００１４】図３は本発明のベルレス式炉頂装入装置に
より、高炉に通常の原料装入を行っている状態を示す。
この場合には、旋回シュート５に設けた切替えダンパ10
は開口８を閉止した状態であり、原料６は垂直シュート
４から所定の傾斜角度をもって旋回しつつある旋回シュ
ート５に流入し、旋回シュート５に設けた開口８を閉止
した切替えダンパ10の上を滑ってシュート先端から高炉
内の炉頂装入物上における半径方向の所定部位へ分配さ
れる。

【００１５】一方、炉中心装入を行う場合は、図４に示
すように中心装入シュート９が鉛直方向に配向する所定
の角度に旋回シュート５を傾動させると共に、エアシリ
ンダ13を作動して切替えダンパ10を開位置に移動させ開
口８を開放した後に、垂直シュート４から旋回シュート
５に原料を流入させる。この時、切替えダンパ10は開口
８の下流側縁部に設けた回転軸11を支点にして起立位置
にあるので、原料６が切替えダンパ10から旋回シュート
５の先端方向へ流れるのを防ぎ、開口８から中心装入シ
ュート９に導かれる。このため、原料６は全てが中心装
入シュート９を経由し、原料の飛散を抑制した状態で炉
頂中心部へコークスを確実に装入することができる。そ
の結果、高炉内に装入された原料層の炉中心部の通気性
が向上し、炉内熱風の中心流が確保されるため、安価な
細粒鉱石を大量に使用する高炉操業が可能になる。

【００１６】旋回シュート５に設ける開口８および中心
装入シュート９の口径は高炉の生産規模に応じて中心装
入するコークス量が決まるので、それに応じて決めるこ
とができる。一般的には、旋回シュート５の幅と開口８
の径を同じくすれば、旋回シュート５上で原料６の堆積
が生じないので有利となる。また、開口８の形状は任意
で良いが、これも旋回シュート５上での原料６の堆積を
防ぐためにはシュート幅方向を一辺とする四角形とする
のが好適である。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように本発明の高炉のベル
レス式炉頂装入装置は、旋回シュートが一定の傾斜角度
を保持した状態でシュート面の高炉炉体の中心軸上に相
当する位置に開口を設け、ここに中心装入シュートを下
方に向け鉛直に配設してあると共に、この開口は、下流
側縁部を支点にして上方から切替えダンパにより開閉可
能になっている。旋回シュートに設けた開口を切替えダ
ンパにより閉止したときには、旋回シュートの先端から
通常の原料装入を行い、また切替えダンパを移動して開
口を開放したときには、原料は開口から中心装入シュー
トを経由して飛散することなく炉内の中心部に装入され
る。

【００１８】本発明によれば、原料の通常装入と中心装
入とを同一旋回シュートで兼用できるので設備費が安価
になる。中心装入シュートは、主としてコークスの中心
装入専用となるので、設備の特性に併せて自由に設定可
能であり、コークスを高精度で目的とする炉中心装入が
達成される。その結果、十分に安定した炉内熱風の中心
流が得られ、安価な細粒鉱石の大量使用による高炉操業
を行うことができ、その得られる効果は多大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る旋回シュートを示す側面図であ
る。

【図２】本発明に係る旋回シュートを示す正面図であ
る。

【図３】本発明に係る旋回シュートによる原料の通常装
入状況を示す側面図である。

【図４】本発明に係る旋回シュートによる原料の中心装
入状況を示す側面図である。

【図５】従来に係る旋回シュートによる原料の中心装入
状況を示す側面図である。

【図６】従来の旋回シュートを備えた高炉用ベルレス式
炉頂装置を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ 炉頂ホッパ ２ 傾斜シュート ３ 集合シュート ４ 垂直シュート ５ 旋回シュート ６ 原料 ７ 旋回シュート支持軸 ８ 開口 ９ 中心装入シュート 10 切替えダンパ 11 回転軸 12 アーム 13 エアシリンダ 14 ピストンロッド 15 シュート面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 旋回シュートを備えた高炉のベルレス式
   炉頂装入装置において、旋回シュートが一定の傾斜角度
   を保持した状態で、該旋回シュートのシュート面の高炉
   炉体の中心軸上に相当する位置に開口を設け、該開口に
   高炉炉体の中心軸と軸を同じくする中心装入シュートを
   下方に向け配設すると共に、前記開口の下流側縁部に設
   けた回転軸を支点とする回動により該開口を開閉可能と
   する切替えダンパを設置したことを特徴とする高炉のベ
   ルレス式炉頂装入装置。