JPH10247733A - 薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ及びその製造方法

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JPH10247733A
JPH10247733A JP4900597A JP4900597A JPH10247733A JP H10247733 A JPH10247733 A JP H10247733A JP 4900597 A JP4900597 A JP 4900597A JP 4900597 A JP4900597 A JP 4900597A JP H10247733 A JPH10247733 A JP H10247733A
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JP
Japan
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film
alloy
pattern
upper layer
gate
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Application number
JP4900597A
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English (en)
Inventor
Mutsumi Yamamoto
睦 山本
Hiroshi Tsutsu
博司 筒
Michiko Okafuji
美智子 岡藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低抵抗で且つ信頼性の高い配線構造を、生産性
や歩留まりを維持しつつ実現する。 【解決手段】ゲート電極と信号配線との内の少なくとも
一方を、モリブデンを主成分とする金属からなる下層膜
6aとアルミニウムを主成分とする金属からなる上層膜
6bとの積層構造とすることで、一括したウェットエッ
チング処理、エッチング形状の制御、および低い配線抵
抗の実現を可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜トランジスタ
及びその製造方法に関するもので、特に低抵抗で、且つ
高温のプロセスにおいても信頼性の高い配線を提供する
ものである。
【0002】
【従来の技術】透光性基板上に多結晶シリコン膜(以
下、多結晶Si膜と称す)を用いて薄膜トランジスタを
形成し、高性能の薄膜トランジスタアレイを実現する技
術が様々に示されている。このような技術においては、
安価であるものの高温処理が不可能なガラス基板を透光
性基板として用いることが要望されており、このような
要望に応えることができるものとして、低温多結晶Si
膜形成技術がここ数年実用化され始め、薄膜トランジス
タアレイの製造方法に適用されつつある。その一例を図
9を参照して説明する。
【0003】まず、SiOx膜よりなるアンダーコート
膜51が形成された透光性基板(ガラス基板)50上に
多結晶Si膜(図示省略)を成膜し、さらにこの多結晶
Si膜を所定の多結晶Si膜パターン52に成形する。
そして、多結晶Si膜パターン52を形成した透光性基
板50の全面にSiOx膜よりなるゲート絶縁膜53を
形成し、続けてチタンからなる下層膜とアルミニウム合
金からなる上層膜との積層膜からなる金属積層膜(図示
省略)を透光性基板50全面に成膜する。
【0004】成膜した金属積層膜を、p型半導体領域形
成用のマスクパターンに成形したうえで、このマスクパ
ターンをマスクにして透光性基板50の一部にホウ素
(B)を含むガスを注入し、これによって多結晶Si膜
パターン52にp型半導体領域52Pを形成する。さら
に、金属積層膜に形成したマスクパターンをゲート金属
膜パターン54にパターン成形し直す。ゲート金属膜パ
ターン54を形成したのち、このゲート金属膜パターン
54をマスクにして透光性基板50の一部にリン(P)
を含むガスを注入し、これによって多結晶Si膜パター
ン52にn型半導体領域52Nを形成する。
【0005】なお、上記したイオン注入におけるマスク
として機能させたゲート金属膜パターン54は、チタン
からなる下層膜54aとアルミニウム合金からなる上層
膜54bとを備えており、マスクとして機能させた後も
残存させて各トランジスタのゲート電極、TFTアレイ
及び駆動回路部の信号配線の機能を果たすことになる。
【0006】p型,n型の半導体領域52P,52Nを
形成したのち、透光性基板50全面にSiOx膜よりな
る第1層間絶縁膜55、透明導電膜よりなる画素電極5
6、SiOx膜よりなる第2層間絶縁膜57を形成す
る。そして、第1層間絶縁膜55及び第2層間絶縁膜5
7に、多結晶Si膜パターン52及び画素電極56に達
する開口を形成し、この開口上に、ソース電極58S、
ドレイン電極58D、及び走査配線58SBを形成す
る。ソース電極58S、ドレイン電極58D、走査配線
58SBは、下層側に設けたチタン膜58aと上層側に
設けたアルミニウム膜58bとの積層膜から構成されて
いる。
【0007】その後、透光性基板50上に、SiNx膜
よりなるパッシベーション膜59を形成し、さらに、水
素雰囲気中での熱処理により、半導体層(多結晶Si膜
パターン52)の活性化を経て、画素部Aと、画素トラ
ンジスタ部Bと、駆動回路部Cと、ゲート配線部Dとを
有する多結晶TFTアレイが完成する。
【0008】なお、図中、符号52LDは、n型半導体
領域52Nに隣接して形成された低ドープn型半導体領
域であり、60はゲート絶縁膜53とゲート金属膜パタ
ーン54との間に形成された第2ゲート絶縁膜である。
【0009】以上のようにして製造した多結晶SiTF
Tアレイは、CMOS構造のトランジスタよりなる駆動
回路部を同一基板上に同時に作り込むことができ、液晶
パネルの製造コストの大幅な削減が実現できるうえに、
スイッチング素子及び信号配線を小型・細線化でき、高
い画素開口率、或いは高い精細度が可能になるという特
徴がある。
【0010】上記した従来の薄膜トランジスタでは、ゲ
ート電極や信号配線となるゲート金属膜パターン54の
主たる構成成分として、低抵抗のAl合金(上層膜54
b)を用いており、これによって信号配線の遅延による
表示性能の低下を防いでいる。しかしながら、Al合金
を主たる構成成分としてゲート金属膜パターン54を構
成するためには、上層膜(アルミニウム合金膜)54b
の下層にチタンからなる下層膜54aを配置した積層構
造を取らざるを得なかった。これは次のような理由によ
っている。
【0011】単層のAl合金膜でゲート金属膜パターン
54を構成すると、後の工程において、第1,第2の層
間絶縁膜55,57を成膜する際に行う400℃以上の
熱工程によって、ゲート金属膜パターン54やその上に
位置する層間絶縁膜55,57が浮く、若しくは剥離す
るといった不都合が生じる。このような不都合が発生す
る原因は必ずしも明らかではないものの、次のように推
察される。
【0012】ゲート金属膜パターン54の下地層である
ゲート絶縁膜53及びアンダーコート膜51に用いてい
るSiOx膜は、構造上、水分を吸着して保持している
が、これら水分は第1,第2の層間絶縁膜55,57の
成膜時の熱工程によりある程度SiOx膜から脱離する
ことが避けられない。ところが、脱離した水分は次の
式に示すように、ゲート金属膜パターン54の主成分で
あるAlと反応して水素を発生させる。そして、このよ
うにして発生した水素は第1,第2の層間絶縁膜55,
57、あるいはゲート金属膜パターン54を押し上げ、
これによって膜浮きや剥離を生じさせてしまう。
【0013】2Al+3H2O→Al23+3H2↑… これに対して、上述のようにアルミニウム合金からなる
上層膜54bの下層にチタンからなる下層膜54aを設
け、下層膜54aを、SiOx膜から脱離する水分に対
するバリア層として作用させれば、上記不都合を解消す
ることができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゲート
金属膜パターン54として、上記した積層構成を用いる
ことで水分分離に起因する上記不都合を解消した従来の
薄膜トランジスタアレイにおいても、(1)歩留まりが
低下する、(2)Ti残さが発生する、(3)ゲート金
属膜パターン54の主成分として、Al合金を用いた場
合に問題となる配線間ショートを防止することができな
い、といった課題が明らかとなった。以下、説明する、(1)の課題の説明 バリア層として追加された下層膜54a(チタン)の加
工は、ドライエッチングによってしか行えない。そのた
め、上層膜54b(アルミニウム合金)の加工に行って
いたウエットエッチング工程のほかに、新たにドライエ
ッチング工程が必要になり、工程数が増えることなる。
そのうえ、ドライエッチング自体がウェットエッチング
工程に比べて生産性が悪いうえに、基板表面にフレーク
等が乗ってエッチング不良を引き起こし易い。このよう
な理由により、チタンの下層膜54aを設けると、歩留
まりを低下させる原因となる。
【0015】(2)の課題の説明 ゲート金属膜パターン54を形成するドライエッチング
工程を行う際、先に行ったp型半導体領域52Pの形成
工程(イオン注入)によるダメージによって、ゲート絶
縁膜53上にドライエッチング時のTi残さが生じる。
このようなTi残さは、後の工程において行われるイオ
ン注入等の作業(例えば、n型半導体領域52Nを形成
する工程等において行われるイオン注入)において、不
要なマスクとなって加工精度(イオン注入の精度等)を
劣化させる。
【0016】(3)の課題の説明 ゲート金属膜パターン54の主成分としてアルミニウム
合金を用いる場合には、アルミニウム合金からヒロック
が発生する。このようなヒロックを防止するには、ゲー
ト金属膜形成後のプロセス温度を十分下げればよいので
あるが、薄膜トランジスタの性能を低下させずにプロセ
ス温度を低温化する技術は現在までのところ実現してい
ない。これに対して、上層膜54b(アルミニウム合
金)中の添加元素濃度を高くしても、上記したヒロック
を防止することができる。ところが、アルミニウム合金
中の添加元素濃度を高くすることは配線抵抗の上昇を招
くことになる。
【0017】そのため、ヒロックを防止したうえで十分
低い配線抵抗を得るためには、ゲート金属膜パターン5
4の膜厚を厚くせざるを得ない。しかしながら、アルミ
ニウム合金の膜においてヒロックが発生する密度には膜
厚依存性があり、膜厚が厚いほどヒロック発生密度が上
昇し、かつ、その形状が大きくなる傾向にある。そのた
め、ヒロックを防止するために上層膜54bの膜厚を厚
くすれば、そのことを原因として、またヒロックが発生
しやすくなるという悪循環を生んでしまい、これではヒ
ロックの防止にはならない。そのうえ、ゲート金属膜パ
ターン54の膜厚が厚くなると、その上に形成される第
1,第2の層間絶縁膜55,57の被覆性が悪くなり、
このことが配線間ショートの原因にもなる。
【0018】上記のことは、ゲート金属膜パターン54
を上層膜54b(アルミニウム合金)と下層膜54a
(チタン)との積層構造にしたところで変わることはな
い。すなわち、積層構造のゲート金属膜パターン54で
は、下層膜54a(チタン)の比抵抗が約100μΩ・c
mと高いために、ゲート金属膜パターン54の配線抵抗
を下げるためには上層膜54b(アルミニウム合金)の
膜厚を厚くしなければならず、これでもやはり、ヒロッ
クが発生しやすくなったり、ゲート金属膜パターン54
上に形成される第1,第2の層間絶縁膜55,57によ
るゲート金属膜パターン54の被覆性(カバレッジ)が
悪化し、配線間ショートが発生しやすくなっていた。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に半導
体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ソース・ドレイン電
極、および信号配線を設けてなる薄膜トランジスタにお
いて、前記ゲート電極及び前記信号配線のうちの少なく
とも一方は、モリブテンを主成分とする金属からなる下
層膜と、アルミニウムを主成分とする金属からなり前記
下層膜の上に積層された上層膜とを有していることに特
徴を有している。
【0020】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、基板上に
半導体層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ソース・ドレイ
ン電極、および信号配線を設けてなる薄膜トランジスタ
であって、前記ゲート電極と前記信号配線とのうちの少
なくとも一方は、モリブテンを主成分とする金属からな
る下層膜と、アルミニウムを主成分とする金属からなり
前記下層膜の上に積層された上層膜とを有していること
に特徴を有しており、これにより次のような作用を有す
る。
【0021】第1に、アルミニウムを主成分とする金属
からなる上層膜と、モリブデンを主成分とする金属から
なる下層膜とを、ドライエッチング手法を用いることな
く、同一のエッチング液を用いたウェットエッチング手
法によりパターニングすることができる。
【0022】第2に、モリブデンを主成分とする金属か
らなる膜は、チタン膜に代わる良質な水分透過に対する
バリア層となる。また、モリブデンを主成分とする金属
からなる膜は、チタン膜の場合に見られたようなイオン
注入時のダメージに起因するドライエッチング時の残さ
が生じない。
【0023】第3に、ヒロックを抑制しつつ配線抵抗を
低減するができる。モリブデンを主成分とする金属の比
抵抗は、添加元素の濃度の増加に伴い僅かながら上昇す
るものの比較的低いものとなる。例えば、添加元素とし
てタングステンを用いた場合には、ほぼ15〜20μΩ
・cmとなる。そのため、アルミニウムを主成分とする金
属からなる上層膜とモリブデンを主成分とする金属から
なる下層膜とを積層して、ゲート電極や信号配線を構成
した場合、アルミニウムを主成分とする金属からなる上
層膜の厚みをそれほど厚くしなくても十分低い配線抵抗
を実現することができる。一方、アルミニウムを主成分
とする金属からなる膜においてヒロックが発生する密度
には膜厚依存性があり、膜厚が薄いほどヒロック発生密
度が減少し、かつ、その形状が小さくなる傾向にある。
そのため、比較的比抵抗の低いモリブデンを主成分とす
る金属からなる下層膜を設けることで、上層膜(アルミ
ニウムを主成分とする金属)の膜厚を薄くすることがで
きる本発明の構成では、以降の熱工程によるヒロックの
発生を抑制することができる。また、上層膜の厚みをそ
れほど厚くする必要がないため、ゲート電極や信号配線
の上にさらに形成する膜の被覆性が悪くなって配線間シ
ョートの原因となることも起きない。
【0024】第4に、下層膜(モリブデンを主成分とす
る金属)が含有するモリブデン以外の添加元素の濃度を
制御することで、下層膜と上層膜(アルミニウムを主成
分する金属)の積層構造の形状を制御することができ
る。ゲート電極や信号配線を構成する上層膜としてアル
ミニウムを主成分とする金属をどのように構成するか
は、設計上必要となる配線抵抗、あるいは薄膜トランジ
スタの製造プロセスを鑑みて決定されるが、そのエッチ
ング速度は、アルミニウムを主成分とする金属に添加す
る添加元素の種類、濃度によって各々異なる。一方、モ
リブデンを主成分とする金属からなる下層膜のエッチン
グ速度は、モリブデンを主成分とする金属に添加する添
加元素の濃度を適当に選ぶことで実用的な範囲内で制御
することが可能である。従って、上層膜のエッチング速
度に応じて下層膜の添加元素の濃度を選択すれば、上層
膜と下層膜とのエッチング速度を制御して所望のパター
ン形状を得ることができる。
【0025】請求項2記載の発明は、請求項1に係る薄
膜トランジスタにおいて、前記上層膜の膜厚が50nm
以上、150nm以下であることに特徴を有しており、
これによって次のような作用を有する。すなわち、ゲー
ト電極或いは信号配線の表面でのヒロックの発生を効率
よく抑御することが可能となる。また、上層膜の上に更
に膜を堆積する際にもヒロックの成長による配線間ショ
ートを防止することができると同時に、高温プロセスに
おいても比抵抗の低いAl膜或いは添加元素濃度の低い
Al合金膜を用いることができる。
【0026】請求項3記載の発明は、請求項1または2
に係る薄膜トランジスタにおいて、前記下層膜のタング
ステン濃度が0.5原子%以上、30原子%以下である
ことに特徴を有しており、これにより次のような作用を
有する。すなわち、タングステン濃度が0.5原子%以
下であれば、下層膜のエッチングレートが大きくなりす
ぎて、アンダーカットが生じやすくなる。一方、タング
ステン濃度が30原子%以上であれば、下層膜のウエッ
トエッチングが不可能となってしまう。そのため、タン
グステン濃度をこの範囲内に限定することで、下層膜を
ウェットエッチング法によって残さ無くエッチングする
ことができるうえ、下層膜のエッチング速度を、上層膜
のエッチング速度に合わせて制御することが可能とな
る。
【0027】請求項4記載の発明は、基板上に、半導体
層、ゲート絶縁膜、ゲート電極、ソース・ドレイン電
極、および信号配線を形成してなる薄膜トランジスタの
製造方法であって、前記ゲート電極ないし前記信号配線
を形成する工程は、モリブテンを主成分とする金属から
なる下層膜を形成したのち、この下層膜の上に、アルミ
ニウムを主成分とする金属からなる上層膜を重ねて形成
し、これら下層膜および上層膜を、ウェットエッチング
により所定のパターンに同時に形成する手順を含んでい
ることに特徴を有しており、これにより次のような作用
を有する。
【0028】アルミニウムを主成分とする金属からなる
上層膜とモリブデンを主成分とする金属からなる下層膜
とを同一のエッチング液を用いて同時に所定のパターン
に形成することで、高い生産性が実現できる。また、ウ
ェットエッチング法を用いることができるため、フレー
ク等によるエッチング残りが無くなる。
【0029】請求項5記載の発明は、請求項4に係る薄
膜トランジスタの製造方法であって、前記下層膜とし
て、モリブテンとタングステンとの合金膜を用い、か
つ、この下層膜の形成工程において、前記タングステン
の濃度を、下層膜のエッチング速度が前記上層膜のエッ
チング速度と同じか若しくは遅くなる値に制御すること
に特徴を有しており、これにより次のような作用を有す
る。すなわち、上層膜のエッチング速度に合わせて、下
層膜のエッチング速度を制御することができ、これによ
って、ゲート電極や信号配線の形状を、緩やかなテーパ
形状にするといった任意の形状に制御することが容易と
なる。
【0030】以下、本発明の実施の形態である薄膜トラ
ンジスタアレイ及びその製造方法を、図1〜図8を参照
して説明する。
【0031】まず、この薄膜トランジスタアレイの構造
を図1を参照して説明する。すなわち、ガラス基板等か
らなる透光性基板1のうえに、SiOxからなるアンダ
ーコート膜2が設けられている。アンダーコート膜2の
うえには、多結晶Si膜パターン3が設けられている。
多結晶Si膜パターン3には、P型半導体領域3PとN
型半導体領域3Nと低ドープn型半導体領域3LDとが
設けられている。
【0032】さらに、透光性基板1には多結晶Si膜パ
ターン3を覆って第1ゲート絶縁膜4と第2ゲート絶縁
膜5とが形成されており、第2ゲート絶縁膜5の上層に
は、ゲート金属膜パターン6が形成されている。ゲート
金属膜パターン6は下層膜6aと上層膜6bとを積層し
て構成されており、下層膜6aはモリブデン−タングス
テン合金(以下、Mo−W合金と称す)から構成されて
いる。上層膜6bはアルミニウム−ジルコニウム合金
(以下、Al−Zr合金と称す)から構成されている。
ゲート金属膜パターン6は各トランジスタのゲート電
極、画素トランジスタ部や駆動回路部の信号配線の機能
を果たしている。
【0033】さらに、透光性基板1には、ゲート金属膜
パターン6を覆って第1層間絶縁膜7が形成されてお
り、第1層間絶縁膜7のうえには、第2層間絶縁膜9
と、ITO等の透明導電膜からなる画素電極8とが形成
されている。第1,第2層間絶縁膜7,8は例えばSi
Oxから構成されている。第2層間絶縁膜9の上層に
は、ソース電極10S、ドレイン電極10D、走査配線
10SBが配設されている。これら電極10S,10
P,10SBは、チタン膜(以下、Ti膜と称す)10
aとアルミニウム膜(以下、Al膜と称す)10bとを
積層して形成されており、P型,N型の半導体領域3
P,3Nないし画素電極8にそれぞれ接続されている。
透光性基板1には、これら電極10S,10D,10S
Bを覆ってSiNxよりなるパッシベーション膜11が
形成されている。このようにして、画素部A,画素トラ
ンジスタ部B、駆動回路部Cおよびゲート配線部Dを備
えた薄膜トランジスタアレイが構成されている。
【0034】次に、この薄膜トランジスタアレイの製造
方法を説明する。ガラス基板等の透光性基板1のうえ
に、SiOx等よりなるアンダーコート膜2を成膜す
る。さらに、アンダーコート膜2上にアモルファスSi
膜を成膜し、所定の熱処理を加えた後、エキシマレーザ
ーを照射することで多結晶Si膜3’を形成する。(図
2(a)参照) 次に、多結晶Si膜3’をウエットエッチングを用いた
リソグラフィ工程により所定の多結晶Si膜パターン3
に形成した後、基板全面にSiOxよりなる第1ゲート
絶縁膜4、及びTaOxよりなる第2ゲート絶縁膜5を
連続的に成膜する。更に、第2ゲート絶縁膜5上に、M
o−W合金からなる下層膜6aとAl−Zr合金からな
る上層膜6bとを成膜して積層する。(図2(b)参
照) 次に、駆動回路部Cの所定領域にp型トランジスタを形
成する。この工程は、まず、上層膜6b上に所定のフォ
トレジストパターン(図示省略)を形成し、燐酸、硝
酸、酢酸、及び水の混合液を用いて下層膜6aと上層膜
6bとを、一括でウェットエッチングすることで、上下
層膜6a,6bからなるイオン注入用のマスクパターン
12を作成する。(図2(c)参照) マスクパターン12をマスクとし、多結晶Si膜パター
ン3の一部にB(ホウ素)を含むガスを選択的に注入し
てp型半導体領域3Pを形成する。(図2(d)参照) 更に続けて、マスクパターン12が形成された透光性基
板1上に、所定のフォトレジストパターンを形成し、再
び、燐酸、硝酸、酢酸、及び水の混合液を用いてマスク
パターン(下層膜6aおよび上層膜6b)12を一括で
ウェットエッチングすることで、マスクパターン12を
ゲート金属膜パターン6に成形する。ゲート金属膜パタ
ーン6は、p型トランジスタのゲート電極、n型トラン
ジスタのゲート電極、およびこの画素トランジスタ部B
や駆動回路部Cの信号配線の機能を果たす部分を有して
いる。(図2(e)参照) 続けて、透光性基板1上に所定のフォトレジストパター
ン(図示省略)を形成したうえで、F系のガスを用いた
反応性イオンエッチングを施すことで、第2ゲート金属
膜5をパターニングする。これにより、第2ゲート絶縁
膜パターン5LDを、画素トランジスタ部Bのゲート電
極となるゲート金属膜パターン6の側方位置に形成す
る。そして、ゲート金属膜パターン6及び第2ゲート絶
縁膜パターン5LDをマスクとして多結晶Si膜パター
ン3の一部に、P(リン)を含むガスを選択的に注入す
る。これにより、多結晶Si膜パターン3にn型半導体
領域3N及び低ドープn型半導体領域3LDを形成す
る。このとき、第2ゲート絶縁膜パターン5LDの下に
形成される低ドープn型半導体領域3LDは、P(リ
ン)の注入量が少ないために高抵抗となり、TFT特性
におけるオフ電流の低減に効果的な役割を果たす。(図
3(a)参照) 続いて、透光性基板1全面にSiOxよりなる第1層間
絶縁膜7を成膜する。第1層間絶縁膜7を成膜したの
ち、第1層間絶縁膜7全面を覆ってITO等の透明導電
膜(図示省略)を成膜し、さらに透明導電膜に対してウ
エットエッチングを用いたリソグラフィ工程を施すこと
で、画素電極8を作成する。画素電極8を作成した後、
画素電極8を覆って、SiOxよりなる第2層間絶縁膜
9を第1層間絶縁膜7上に成膜する。(図3(b)参
照) その後、第1、第2層間絶縁膜7,8に、P型半導体領
域3PとN型半導体領域3Nとに達する開口13を形成
し、さらに第2層間絶縁膜9に画素電極8に達する開口
14を形成する。開口13,14を形成した後、透光性
基板1の全面に、Ti膜10aとAl膜10bを積層し
て成膜し、さらに、Al膜10b及びTi膜10aを各
々ウェットエッチング及びドライエッチングを用いたリ
ソグラフィ工程によりパターニングすることで、ソース
電極10S、ドレイン電極10D、及び走査配線10S
Bを形成する。(図3(c)参照) 最後に、透光性基板1の全面にSiNx膜を成膜してパ
ッシベーション膜11を形成する。さらに、水素ガスプ
ラズマ雰囲気中で所定の温度の熱処理を施したのち、パ
ッシベーション膜11に画素電極8及び実装電極部(図
示省略)に達する開口15を形成して、図1に示す薄膜
トランジスタアレイが完成する。
【0035】次に、本実施の形態に示したAl−Zr合
金からなる上層膜6bとMo−W合金からなる下層膜6
aとの積層構成(Al−Zr/Mo−W積層膜)を例に
して、本発明の薄膜トランジスタアレイのゲート金属膜
パターン6について、以下に詳しく説明する。
【0036】上述した実施の形態に示した燐酸、硝酸、
酢酸、及び水の混合液を用いた場合のAl−Zr合金膜
及びMo−W合金膜のエッチング速度の添加元素濃度依
存性を図4及び図5にそれぞれ示す。これら図により明
らかなように、Al−Zr合金やMo−W合金からなる
膜は、添加元素であるZr及びWの濃度によってそれぞ
れエッチング速度が変化する。
【0037】Al−Zr合金膜では、Zr濃度の増加に
伴ってエッチング速度が低下し、このようなエッチング
速度の変化は、下層にMo−W合金膜がある場合でも変
わらない。一方、Mo−W合金膜では、W濃度の増加に
伴ってエッチング速度は低下する。Mo−W合金膜にお
けるタングステン濃度は、基本的には、0.5原子%以
上、30原子%以下であることが好ましい。これは次の
ような理由によっている。すなわち、タングステン濃度
が0.5原子%以下であれば、Mo−W合金膜のエッチ
ングレートが大きくなりすぎて、アンダーカットが生じ
やすくなる。一方、タングステン濃度が30原子%以上
であれば、下層膜のウエットエッチングが不可能となっ
てしまう。
【0038】タングステンにはこのような濃度範囲があ
るものの、同じW濃度であってもエッチング速度に幅が
存在している。これは、次のような理由によっていると
考えられる。すなわち、Al−Zr合金膜/Mo−W合
金膜を積層した場合において、上層のAl−Zr合金膜
がエッチングされてMo−W合金膜の表面が露出する
と、エッチング液中において両合金膜間に電池反応が発
生して、この電池反応により、Mo−W合金膜表面に不
働態層が形成され、形成された不働態層によって、Mo
−W合金膜のエッチング速度が低下する。
【0039】このような不働態層はどの程度形成される
かは必ずしも明らかではなく、 ・エッチング液を撹拌する/しない、 ・エッチングを大気圧中で行う/減圧下で行う、 といったエッチングの条件の変動によっても不働態層の
形成具合が異なるうえ、組成や液温といったエッチング
液の形態の変化によっても不働態層の形成具合が異な
る。このような理由により、実際のMo−W合金膜のエ
ッチング速度には図5に示す幅が存在する。
【0040】そこで、エッチング断面形状の制御を目的
とした実際のゲート金属膜パターン6の各々の組成は、
図6に示す指標に基づいて決められる。すなわち、Al
−Zr合金膜(上層膜6b)のZr濃度をCZr(原子
%)、Mo−W合金膜(下層膜6a)のW濃度をCW
(Zr)(原子%)とすると、図6の中の領域Aで示し
た範囲、すなわち、次に示すの式の条件を満たす量を
Wの添加量としたMo−W合金膜を配設した場合では、
Al−Zr合金膜よりMo−W合金膜のエッチング速度
が速くなる。そのため、Mo−W合金膜のサイドエッチ
ングが優勢になって、いわゆるアンダーカットが生じ易
くなる結果、上層膜6bであるAl−Zr合金膜の段差
被覆性が悪くなり、配線間ショートを引き起こす可能性
が高くなる。
【0041】CW(Zr)<2.5CZr+5 … 一方、W濃度が(図6)中の領域Cで示した範囲、すな
わち、次の式の条件を満たす量を、Wの添加量とした
Mo−W合金膜を配設した場合では、Mo−W合金膜よ
りAl−Zr合金膜のエッチング速度が速くなる。その
ため、低抵抗であるAl合金部分(上層膜6b)の配線
が細ってしまい、その結果、配線の実効的な抵抗が上が
ってしまったり、配線が非常に細い場合などには上層膜
6b(Al−Zr)が消失するといった不都合が発生す
る可能性がある。
【0042】CW(Zr)>3CZr+15 … したがって、上記した実施の形態のごとく、Al−Zr
/Mo−Wの積層膜をゲート金属膜パターン6として用
いる場合には、Al−Zr合金膜におけるZr濃度、及
びMo−W合金膜におけるW濃度は、図6中の領域Bで
示した範囲、すなわち、次の式を満たしていることが
望ましい。
【0043】 3C(Zr)+15≧CW(Zr)≧2.5CZr+5 … 次に、Al−Zr/Mo−W積層膜の膜厚について述べ
る。Al−Zr/Mo−Wの積層膜においては、その膜
厚は、(1)熱工程によるAl−Zr合金膜(上層膜6
b)におけるヒロックの発生密度、(2)デバイス設計
上必要とされる配線抵抗、の二つの要件で決められる。
【0044】まず、第1の要件であるヒロックの発生密
度について説明する。例えばゲート金属膜パターン6を
形成した後の最高プロセス温度(以下、Tmaxと称
す)が300℃である場合、Al−Zr合金膜(上層膜
6b)中のZr濃度が0.5原子%以上である薄膜トラ
ンジスタアレイでは、膜厚に関わらずヒロックによる配
線間ショート等の不良は発生しなかった。
【0045】一方、ゲート金属膜パターン6形成後の最
高プロセス温度が450℃の場合、Al−Zr合金膜
(上層膜6b)中のZr濃度が7.0原子%の薄膜トラ
ンジスタアレイでは、Al−Zr合金膜(上層膜6b)
の膜厚に関わらずヒロックによる配線間ショート等の不
良は発生しなかった。これらの条件を詳細に検討した結
果、次に示す式及び式の条件を満たす濃度のZrが
添加されたAl−Zr合金膜(上層膜6b)であれば、
その膜厚に関わらずヒロックによる配線間ショート等の
問題は生じないことが判った。
【0046】CZr≧0.5 … ただし、20℃≦Tmax≦300℃ CZr≧0.043Tmax−12.4 … ただし、300℃≦Tmax≦500℃ 次に、設計上望ましい配線抵抗を得るために、Tmax
が高いにも関わらずAl−Zr合金膜(上層膜6a)の
Zr濃度を低くする必要のある場合の膜厚構成について
次の表1,表2を参照して説明する。表1及び表2は、
Al単体膜及び種々の組成のAl−Zr合金膜を上層膜
6bに用いる一方、Mo−W合金膜を下層膜6aに用い
たゲート金属膜パターン6を有するTFTアレイにおい
て、ヒロックに起因する配線不良(ショート)が発生す
る有無を示している。表1はTmax=450℃の場
合、表2はTmax=500℃の場合についてそれぞれ
示している。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表1及び表2からも明らかなように、Al
膜、及びAl−Zr合金膜のヒロック発生密度には膜厚
依存性があり、50nm以上150nm以下の膜厚の範
囲内であれば、Al−Zr合金膜やAl膜にヒロックに
起因する配線間ショート等の問題は生じない。さらに
は、Al−Zr合金膜の場合では、その組成にかかわら
ず、上記問題は生じない。
【0050】次に、膜厚構成の第2の要件である配線抵
抗について説明する。本発明のAl合金膜とMo−W合
金膜の積層構成よりなるゲート金属膜パターン6の重要
な特徴の第1は、下層膜6aとしてMoを主成分とする
合金を用いることで、一括してウェットエッチングする
ことが可能になった点であり、この特徴から高歩留ま
り、或いは生産性の向上といった利点が生まれる。
【0051】一方、第2の重要な特徴は、高温のプロセ
スに十分耐え、且つ低い配線抵抗が実現できる点であ
る。このような特徴が生じる理由は次の通りである。す
なわち、第1の理由は、上述したようにゲート金属膜パ
ターン6形成後の最高プロセス温度が例えば450℃と
いった高温であるにも関わらず、Alを主成分とする金
属膜(Al−Zr合金膜)中の添加物(Zr)の濃度を
低くすることができることである。また、第2の理由
は、下層膜6aであるMo−W合金膜の比抵抗が15〜
20μΩ・cmであり、従来下層膜として用いられてい
たチタン膜などに比べて比抵抗が非常に低いことであ
る。
【0052】一例として、次のようなゲート金属膜パタ
ーン6,54を形成して、そのシート抵抗のAl−Zr
合金膜厚依存性を測定した。その結果を図7に示す。こ
こで、本発明のゲート金属膜パターン6としては、Mo
−W合金からなり膜厚150nmの下層膜6aの上に、
Zrを1.0原子%添加したAl−Zr合金からなる上
層膜6bを種々の膜厚で形成してなるものを作成した。
また、従来例のゲート金属膜パターン54としては、チ
タンからなり膜厚150nmの下層膜54aの上に、Z
rを1.0原子%添加したAl−Zr合金からなる上層
膜54bを種々の膜厚で形成してなるもの作成した。な
お、このようにして構成した下層膜6a(Mo−W合
金)の比抵抗は20μΩ・cmとなり、下層膜54a
(チタン)の比抵抗は100μΩ・cmとなる。
【0053】図7より明らかなように、本発明品では、
従来例品に比べてシート抵抗を低減することができる。
しかもこのような効果は上層膜6b,54bの膜厚が薄
い程大きく、上層膜6b,54bの膜厚を100nmと
した場合には30%、75nmでは35%ものシート抵
抗の低減効果が得られ、上述のヒロック発生密度の抑制
効果と併せて、従来にない優れたゲート金属膜パターン
を作成することができ、その分、表示品位の優れた液晶
表示装置が提供できる。
【0054】ところで、上記した実施の形態では、ゲー
ト金属膜パターン6として、Al−Zr合金からなる上
層膜6bと、Mo−W合金からなる下層膜6aとを有す
る積層構成(Al−Zr/Mo−W積層膜)を用いた。
本発明の大きな特徴の一つは、下層膜6aとしてモリブ
デン(Mo)を主成分とする金属膜を用いることで、上
層膜6bとして用いるアルミニウム合金を、比抵抗10
μΩ・cm以下といった低抵抗のものにする(=添加元
素の添加量を低く抑える)ことにある。したがって、上
層膜6bとして用いる金属は、Al−Zr合金に限るも
のではない。以下、Al−Nd合金から上層膜6b’を
構成した場合を説明する。
【0055】Al−Nd合金から上層膜6b’を構成し
た場合には、 ・上層膜6b’の比抵抗がNd濃度に比例して増加する
点、 ・Nd濃度が少なく耐熱性が低い場合でも上層膜6b’
の膜厚を薄くすることによりヒロック発生密度を低減さ
せることができ、実用上問題にならない点、 ・一括ウェットエッチングの際、下層膜6a(Mo−W
合金)のエッチング速度が下層膜6aが単層状態である
場合に比べて低下する点、 等々の傾向はAl−Zr合金からなる上層膜6bを設け
た場合と変わらない。しかしながら、エッチング速度や
ヒロック発生密度のNd濃度依存性の傾向や最適膜厚構
成がAl−Zr合金膜からなる上層膜6bを設けた場合
と異なる。
【0056】そこで、ここでは詳細な説明は省略し、最
適な濃度範囲及び膜厚構成を示す条件のみを説明する。
なお以下の説明では、Al−Nd合金膜中のNd濃度を
CNd、Al−Nd/MoW積層構成で用いるMo−W
合金膜中のW濃度をCw(Nd)、そしてゲート金属膜
成膜後の最高プロセス温度を前述と同様、Tmaxとし
て説明する。
【0057】この変形例においても、エッチング断面形
状の制御を目的とした実際のゲート金属膜パターン6’
の各々の組成は、図8に示す指標に基づいて決められ
る。前述したAl−Zr/Mo−W積層構成(図6参
照)の場合と同じ理由から、最適なNd濃度及びW濃度
は、次の式を満足するもの(図8中の領域Bの範囲で
示される範囲)であれば、本発明の要件を満たす。
【0058】 CNd+15≧CW(Nd)≧0.5CNd+5 … 次に、上層膜6b’(Al−Nd)/下層膜6a(Mo
−W)積層構成の最適な膜厚構成及び濃度範囲を説明す
る。
【0059】Al−Nd/Mo−Wの積層膜において
も、Al−Zr/Mo−Wの積層膜の場合と同様、その
膜厚は、(1)熱工程によるAl−Nd合金膜(上層膜
6b’)におけるヒロックの発生密度、(2)デバイス
設計上必要とされる配線抵抗、の二つの要件で決められ
る。
【0060】まず、第1の要件であるヒロックの発生密
度について説明する。上層膜6b’を有するゲート金属
膜パターン6’を形成した後の最高プロセス温度(以
下、Tmaxと称す)が300℃である場合、Al−N
d合金膜(上層膜6b’)中のNd濃度が0.2原子%
以上である薄膜トランジスタアレイでは、膜厚に関わら
ずヒロックによる配線間ショート等の不良は発生しなか
った。
【0061】一方、ゲート金属膜パターン6’形成後の
最高プロセス温度が450℃の場合、Al−Nd合金膜
(上層膜6b’)中のNd濃度が3.5原子%の薄膜ト
ランジスタアレイでは、Al−Nd合金膜(上層膜6
b’)の膜厚に関わらずヒロックによる配線間ショート
等の不良は発生しなかった。これらの条件を詳細に検討
した結果、次に示す式及び式の条件を満たす濃度の
Ndが添加されたAl−Nd合金膜(上層膜6b’)で
あれば、その膜厚に関わらずヒロックによる配線間ショ
ート等の問題は生じないことが判った。
【0062】CNd≧0.2 … ただし、20℃≦Tmax≦300℃ CNd≧0.022Tmax−6.4 … ただし、300℃≦Tmax≦500℃ 次に、設計上望ましい配線抵抗を得るために、Tmax
が300℃以上500℃以下と高いにも関わらずAl−
Nd合金膜のNd濃度を低くする必要のある場合につい
て次の表3,表4を参照して説明する。表3および表4
は、Al単体膜及び種々の組成のAl−Nd合金膜を上
層膜6b’に用い、Mo−W合金膜を下層膜6aに用い
たゲート金属膜パターン6を有する薄膜トランジスタア
レイにおいて、ヒロックに起因する配線不良(ショー
ト)の発生の有無を示している。表3はTmax=45
0℃の場合、表4はTmax=500℃の場合について
それぞれ示している。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】表3および表4からも明らかなように、A
l単体膜、或いはAl−Nd合金膜のヒロック発生密度
には膜厚依存性があり、50nm以上150nm以下の
膜厚の範囲内であれば、Al−Nd合金膜(上層膜6
b’)の組成に関わらず、また、Al膜であってもヒロ
ックの発生に起因する配線間ショート等の問題は起きな
い。 ところで、上層膜6b,6b’として用いるAl
を主成分する金属膜については、以上の実施の形態で示
したAl膜、Al−Zr合金膜、Al−Nd合金膜以外
にもAlにTi、Ta、Gd、V、Bといった他の元素
が単一もしくは複数種添加された合金膜でも適用可能で
ある。この際の添加元素濃度は、添加元素の濃度(複数
種の元素を添加した場合には、それら添加元素の合計濃
度)が概ね0.5原子%以上10原子%以下であればよ
い。また、特にゲート配線形成後の最高プロセス温度が
300℃以上500℃以下であるような場合には、Al
膜或いはAl合金膜の厚さは50nm以上150nm以
下であれば実用上何ら問題はない。
【0066】さらには、上述した実施の形態では、下層
膜6aとして用いるモリブデン(Mo)を主成分とする
金属膜を、Mo−W合金としていた。すなわち、モリブ
デンに添加する元素としてタングステンを用いていた
が、モリブデンに対して、タングステンの以外の金属
(例えば、ジルコニウム、バナジュウムなど)を添加し
て、上記下層膜を構成してもかまわないのはいうまでも
ない。
【0067】
【発明の効果】
請求項1,4の効果 上層膜と下層膜とを、ドライエッチング手法を用いるこ
となく、同一のエッチング液を用いたウェットエッチン
グ手法により一括にパターニングすることができ、その
分、生産性が良くなるうえに、エッチング不良を起こし
にくくなり、歩留まりが向上する。
【0068】また、モリブデンを主成分とする金属から
なる膜は、チタン膜に代わる良質な水分透過に対するバ
リア層となる。また、モリブデンを主成分とする金属か
らなる膜は、チタン膜の場合に見られたようなイオン注
入時のダメージに起因するドライエッチング時の残さを
生じさせないので、その分、薄膜トランジスタの加工精
度が向上する。
【0069】さらには、比較的比抵抗の低いモリブデン
を主成分とする金属からなる下層膜を設けることで、上
層膜(アルミニウムを主成分とする金属)の膜厚を薄く
しながらも、ゲート電極や信号配線の配線抵抗を低くす
ることが可能となった。上層膜でのヒロックの発生密度
には膜厚依存性があり、上層膜の膜厚が薄いほどヒロッ
クが発生しにくく、さらには上下層膜のカバレッジが良
くなる。そのため、本発明では、配線抵抗を低く維持し
つつ、配線間ショートを抑止することができる。
【0070】さらにまた、下層膜(モリブデンを主成分
とする金属)が含有するモリブデン以外の添加元素の濃
度を制御することで、下層膜と上層膜(アルミニウムを
主成分する金属)の積層構造の形状を制御することがで
きるので、上層膜と下層膜とのエッチング速度を制御し
て所望のパターン形状を得ることができる。
【0071】請求項2の効果 ヒロックの発生をさらに効率よく抑御することが可能と
なるうえ、上層膜として、高温プロセスにおいても比抵
抗の低いAl膜或いは添加元素濃度の低いAl合金膜を
用いることができる。
【0072】請求項3の効果 下層膜をウェットエッチング法によって残さ無くエッチ
ングすることが可能となる。また、下層膜のエッチング
速度を、上層膜のエッチング速度に合わせて制御するこ
とも容易となり、その分、エッチング精度が向上する。
【0073】請求項5の効果 例えば、ゲート電極や信号配線の側面を緩やかなテーパ
形状にするといったように、ゲート電極や信号配線の形
状を、カバレッジ等の点で都合の良い形状にすることが
容易となる。
【0074】このように、本発明によれば、低抵抗で信
頼性の高いゲート電極及び信号配線を従来よりも高い生
産性で、且つ歩留まり良く形成することが可能となり、
薄膜トランジスタを用いて、高開口率、高解像度、大型
の液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の薄膜トランジスタアレ
イの構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態の薄膜トランジスタアレイの製造方
法の前期工程の各段階をそれぞれ示す断面図である。
【図3】実施の形態の薄膜トランジスタアレイの製造方
法の後期工程の各段階をそれぞれ示す断面図である。
【図4】Al−Zr合金膜のエッチング速度のZr添加
濃度依存性を示す図である。
【図5】Mo−W合金膜のエッチング速度のW添加濃度
依存性を示す図である。
【図6】Al−Zr合金膜の組成とMo−W合金膜の組
成の関係を示す図である。
【図7】Al−Zr/Mo−Wからなる本発明のゲート
金属膜パターン、及びAl−Zr/Tiからなる従来例
のゲート金属膜パターンにおけるシート抵抗のAl−Z
r合金膜厚依存性を示す図である。
【図8】Al−Nd合金膜の組成とMo−W合金膜の組
成の関係を示す図である。
【図9】従来例の薄膜トランジスタアレイの構成を示す
断面図である。
【符号の説明】
1 透光性基板 3 多結晶Si膜パターン 3P p型半導体領域 3N n型半導体領域 3LD 低ドープn型半導体領域 4 第1ゲート絶縁膜 5 第2ゲート絶縁膜 6 ゲート金属膜パターン 6a 下層膜 6b 上層膜 7 第1層間絶縁膜 8 画素電極 9 第2層間絶縁膜 10S ソース電極 10D ドレイン電極 10SB 走査配線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に半導体層、ゲート絶縁膜、ゲー
    ト電極、ソース・ドレイン電極、および信号配線を設け
    てなる薄膜トランジスタであって、 前記ゲート電極と前記信号配線とのうちの少なくとも一
    方は、モリブテンを主成分とする金属からなる下層膜
    と、アルミニウムを主成分とする金属からなり前記下層
    膜の上に積層された上層膜とを有していることを特徴と
    する薄膜トランジスタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜トランジスタであっ
    て、前記上層膜の膜厚が50nm以上、150nm以下
    であることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  3. 【請求項3】 請求項1また2記載の薄膜トランジスタ
    であって、 前記下層膜はタングステンを含んでおり、かつタングス
    テンの添加濃度が0.5原子%以上、30原子%以下で
    あることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  4. 【請求項4】 基板上に、半導体層、ゲート絶縁膜、ゲ
    ート電極、ソース・ドレイン電極、および信号配線を形
    成してなる薄膜トランジスタの製造方法であって、 前記ゲート電極ないし前記信号配線を形成する工程は、 モリブテンを主成分とする金属からなる下層膜を形成し
    たのち、この下層膜の上に、アルミニウムを主成分とす
    る金属からなる上層膜を重ねて形成し、これら下層膜お
    よび上層膜を、ウェットエッチングにより所定のパター
    ンに同時に形成することを特徴とする薄膜トランジスタ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の薄膜トランジスタの製造
    方法であって、 前記下層膜として、モリブテンとタングステンとの合金
    膜を用い、かつ、この下層膜の形成工程において、前記
    タングステンの濃度を、下層膜のエッチング速度が前記
    上層膜のエッチング速度と同じか若しくは遅くなる値に
    制御することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方
    法。
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