JPH1024560A

JPH1024560A - インクジェット印刷方法

Info

Publication number: JPH1024560A
Application number: JP9053168A
Authority: JP
Inventors: Merry Elli Rose; ローズ・メリー・エリー; Henry Baumann Joseph; ジョセフ・ヘンリー・バウマン
Original assignee: Hewlett Packard Co
Current assignee: HP Inc
Priority date: 1996-03-15
Filing date: 1997-03-07
Publication date: 1998-01-27
Also published as: US5949450A

Abstract

(57)【要約】【課題】走査インクジェット印刷ヘッドと媒体前進機構
とを含むインクジェット印刷システムを用いた印刷方法
を提供する。【解決手段】標準遅延がデフォルトとして与えられる。
この遅延はたとえば０．５秒であってよい。ある種の事
象が発生したときは、デフォルトの標準遅延を、ランプ
アップまたはランプアダウンすることができる可変遅延
に変更する。遅延は、ランプアップされる際には、指数
関数的に実行され、ランプアップされるたびに２倍にな
る。遅延は、ランプダウンされる際には線形に実行され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、走査型インクジェ
ット・プリンタに関し、詳細には、改良された印刷品質
を提供する印刷方法およびシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット・プリンタは一般に、走
査型印刷ヘッドを使用し、印刷ヘッドを印刷媒体（ペー
ジ）を横切って走査させるときにドット・パターンまた
はドット・マトリックスを付着させる。印刷ヘッドをペ
ージを横切って走査させた後、ページは、走査軸に直交
する方向へ増分的に送られ、媒体は次の走査のために位
置決めされる。ドットは小さく、密に離隔されているの
で、パターンは人間の目からは、ドットが、連続する画
像を形成するように知覚される。減法混色の３原色、す
なわちシアン、マゼンタ、黄色（ＣＭＹ）のドットを組
み合わせて広範囲の色を視覚的に知覚させることができ
る。印刷される画像は、全体として画像全体を形成する
連続する一連の水平スワス(swath)で構成される。各ス
ワスは、印刷ヘッド上のノズル・アレイの高さである。
各スワスごとに印刷ヘッドを２回以上走査させることが
でき、スワス間に走査をインタリーブし、スワス間の境
界を均等化することができる。このプロセスは、屋根に
こけら板(shingle)を設置する方法を思い出させるので
「シングリング(shingling)」と呼ばれる。

【０００３】プリンタは通常、パーソナル・コンピュー
タなどのホスト計算装置に接続される。ホストは通常、
ユーザが装置とのインタフェースをとれるようにするビ
デオ・モニタを有する。ユーザがホストの画像を用いて
作業しているとき、この画像は通常、特定のプリンタ解
像度またはモニタ解像度とは独立のグラフィカル・コン
ピュータ言語で記憶され、通常、加法混色の赤、緑、青
（ＲＧＢ）原色で記憶される。このように記憶される画
像は、プリンタによって使用できるフォーマット、すな
わちプリンタの解像度およびＣＭＹフォーマットに変換
しなければならない。この変換は通常、「ドライバ」、
すなわち通常は、ユーザのコンピュータ・アプリケーシ
ョンと共に動作するようにホストにインストールされる
ソフトウェア・パッケージによって行われる。ドライバ
は通常、画像を記述するヒューレットパッカード社（He
wlett-Packard Company）のプリンタ制御言語（Printer
Control Language、ＰＣＬ（米国の商標））など様々
なグラフィックス言語のうちの１つのエスケープ・シー
ケンスによって、情報を圧縮してプリンタ・コントロー
ラへ送り、そこでページ上に情報が配置される。各シー
ケンスは、そのページ上の単一のドット行だけを記述す
る。ドライバは、このようなシーケンスを、単一ドット
行または数百ドット行など様々なサイズのパケットで一
度に送ることができる。

【０００４】プリンタ・コントローラは、ＰＣＬシーケ
ンスを受け取ると、どのドットおよびどの色のドットが
そのページに印刷されるかを正確に表すページセクタ情
報を作る。このようなページ・セクタは全ページ幅であ
り、数回の走査分のみの情報でも、あるいは数垂直イン
チ分の画像でもよい。ページ・セクタは必ずしも、ドラ
イバがコントローラへ送ったＰＣＬシーケンスのパケッ
トのサイズに対応するわけではない。コントローラは、
これらのページ・セクタを構成した後、セクタを印刷ヘ
ッドのパス(pass)に変換する。言い換えれば、ページ・
セクタが構成されたならば、コントローラは、それによ
って印刷ヘッドがどのように、ページを横切って走査し
画像セクタ情報に従ってドットを付着させるかを正確に
判定しなければならない。多くの場合、スワス印刷モー
ド当たりマルチパス(multi-pass)が適用される。画像で
色が使用される場合、プリンタは、使用される各色ごと
にパス情報を準備しなければならない。

【０００５】プリンタは通常、ページ・セクタ情報の準
備が完了した後、非常に迅速にパスの印刷を開始するこ
とができる。しかし、ページ・セクタ情報は様々な要因
のために遅延する恐れがある。たとえば、画像が複雑で
あるためにドライバが遅延することがある。ページ・セ
クタの構成時にコントローラが追加遅延を受けることが
ある。ホストまたはプリンタ、あるいはその両方にある
入出力インタフェースも遅延を発生させることがある。
ページ・セクタ情報の準備を完了したすべてのパスが印
刷された後、新しいページ・セクタ情報が得られるまで
追加パスを印刷することはできない。準備の完了したペ
ージ・セクタ情報がコントローラにない場合、他のパス
に関する十分な情報がないので、印刷ヘッドはアイドル
状態のままでいなければならない。

【０００６】遅延の他の原因は、印刷ヘッドが最適な印
刷品質で印刷を継続するために印刷ヘッドに対して実行
しなければならない「サービシング」である。このよう
なサービシング・ステップには、「スピッティング」お
よび「ワイピング」と呼ばれるルーチンが含まれる。ス
ピッティングでは、ノズルが高いエネルギーで作動し、
印刷のために生じた悪性の材料またはその他の異物を除
去する。「ワイピング」では、高分子ブレードがオリフ
ィス・プレートを横切って通過し余分なインクおよび異
物をかきとる。サービシング・ルーチンは通常、印刷ゾ
ーンの一方の側に配置された「サービス・ステーショ
ン」で実行される。サービシング・ルーチンは、ページ
間に、たとえば次のページを装填する間に実行すること
が好ましい。しかし、ページが高印刷密度を有する場
合、サービシングをページの中間で実行する必要がある
ことがある。サービシング・ルーチンを実行するのに約
１０秒かかることがあり、これは、ページの印刷時の他
の遅延と比べて顕著な遅延である。

【０００７】マルチパス・シングリング印刷を使用する
と、このような遅延のために「ウェイトバンディング(w
ait-banding)」と呼ばれる問題が発生することがある。
一連の原色パスを行って特定の二次色を印刷するとき、
ページ上に印刷される実際の色は、第１のパスが行われ
るときと第２のパスが行われるときとの間の時間遅延に
応じて異なることがある。この差は主として、第２のパ
スの滴が付着する前に第１のパスのインク滴がそれぞれ
の異なる角度で乾燥するからである。たとえば、大きな
面積の青を印刷すると仮定する。ある走査でシアン・パ
スを行い、次いで、シアンの上方でマゼンタ・パスが行
われる前に時間Ｔ１が経過する。所与の青色相が得られ
る。連続スワスでは、シアン・パスが行われるが、次い
でマゼンタ・パスが行われる前に異なる時間Ｔ２が経過
する。この場合、わずかに異なる青色相が得られる。そ
れぞれの異なる青色の２回の連続スワスは、望ましくな
いウェイトバンディングとみなされる。ウェイトバンデ
ィングは特に、暗い青などより暗い色で問題となる。

【０００８】この問題に対処する１つの手法は、パスが
完了するまでに、プリンタが、印刷に使用できるより多
くのページ・セクタ情報を得ているように、各印刷パス
間に固定遅延を確立することである。しかし、この手法
は、パスを行う前にページ・セクタ情報の準備が完了し
ている場合でも所与のページを印刷するのに必要な時間
全体を延長するので不利である。言い換えれば、プリン
タのプリンタ・スループットが不必要に低下する。スル
ープットは、競争の激しいインクジェット・プリンタ市
場で重要な問題である。

【０００９】依然として、プリンタのスループットを不
必要に低下させずにウェイトバンディングを最小限に抑
える印刷方法およびシステムが必要である。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、走査インク
ジェット印刷ヘッドと媒体前進機構とを含むインクジェ
ット印刷システムを用いた印刷方法を提供する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この方法は、（ａ）画像を表す画像データを提供するステップと、（ｂ）画像データを、一連の走査として構成されたスワ
ス・データとして構成するステップと、（ｄ）標準遅延を与えるステップと、（ｅ）可変遅延を与えるステップと、（ｆ）次の走査がフル・スワス境界で行われる場合、
（１）ローオンメモリ条件のスワス・データが見つかっ
た場合には可変遅延を延長し、（２）ローオンメモリ条
件のスワス・データが見つからず、遅延が標準遅延より
も長い場合には可変遅延を短縮し、（３）可変遅延の後
に次の走査を印刷するステップと、（ｇ）画像が印刷されるまでステップ（ｆ）を繰り返す
ステップとを含む。

【００１２】好ましい一実施例では、前述のステップ
（ｆ）でさらに、次の走査が、フル・スワス境界では行
われない場合には標準遅延で印刷される。本発明は、前
述のステップを実行するようにプログラムされた印刷シ
ステムも提供する。

【００１３】したがって、ウェイトバンディング問題を
最小限に抑える印刷方法およびシステムが提供される。
この方法およびシステムの利点は、特に光沢紙およびト
ランスペアレンシ（透明セルロイド状の用紙媒体）に対
して顕著である。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１は、全体的に１０で示した、
本発明のインクジェット・プリンタを示す。プリンタ１
０は、コントローラ１４と、（印刷カートリッジ１８お
よび２０を受容する）印刷カートリッジ・キャリッジ１
６と、媒体前進モータ２２と、キャリッジ駆動モータ２
４が取り付けられたハウジング１２を含む。ハウジング
１２には、用紙送りトレー２６と、ウィング２８と、用
紙排出トレー３２も取り付けられる。コントローラ１４
は、パーソナル・コンピュータなどのホスト印刷装置
（図示せず）に通信可能に接続され、印刷する必要があ
る画像またはテキスト、あるいはその両方を表すデータ
信号をホスト印刷装置から受け取る。コントローラ１４
は、印刷ヘッド１８および２０と、媒体前進モータ２２
と、キャリッジ前進モータ２４にも通信可能に接続され
る。媒体前進モータ２２は、プリンタを通じて印刷媒体
を駆動する高分子ローラ（図示せず）にギアアセンブリ
３０を介してリンクされる。媒体前進モータ２２は、ウ
ィング２８を（コントローラ１４からの入力に基づい
て）選択的に開閉するためにクラッチ伝動アセンブリ
（図示せず）を介してウィング２８にも係合される。キ
ャリッジ前進モータ２４は、駆動ベルト３４を介してキ
ャリッジ１６にリンクされる。入力トレー２６に用紙の
スタックが配置される。用紙３８上に印刷している状態
が示されている。

【００１５】適当な時間に、コントローラ１４はキャリ
ッジ前進モータ２４を作動させ、キャリッジ１６をキャ
リッジ前進軸Ｙで駆動し、印刷ヘッド１８および２０を
用紙３８上の現スワスの上方で走査させる。印刷ヘッド
（図示せず）を含む印刷カートリッジ１８および２０を
Ｙ方向に走査させると、印刷ヘッドは、インク滴を用紙
３８を横切って所望のドット・マトリックス・パターン
で吐出するようにコントローラ１４によってアドレスさ
れる。走査が完了した後、コントローラ１４は、印刷ヘ
ッドが他のパスを開始できるように用紙３８を図の媒体
前進方向Ｘへ増分的に駆動する信号を媒体前進モータ２
２へ送る。隣接する複数の水平パスがこのように印刷さ
れ、ページ上での所望の画像の印刷が完了する。用紙を
前進させずに同じセクション上で複数のパスを行うこと
もできる。ページ３８は印刷されると、ウィング２８上
に置かれる。ページ３８が完了した後、（排出トレー３
０内に存在する）前のページが乾燥し、あるいは新しい
ページの印刷準備が完了し、あるいはその両方が行われ
ると、ウィング２８が開き、それによってページ３８は
垂直に排出トレー上に落下することができる。前のペー
ジは通常、比較的乾燥しており、ページ３８がこの前の
ページ上に垂直に落下するので、前のページがインクで
汚れることはない。

【００１６】図２は、本発明の印刷システムを概略的に
示す。この印刷システムは、ホスト５０とプリンタ５２
とを含む。ホスト５０は、画像データ５４とドライバ５
６とを含む。プリンタ５２は、コントローラ５８とプリ
ンタ機構６０とを含む。ホスト５０は通常、パーソナル
・コンピュータなどの計算装置であり、通常、キーボー
ドまたはマウス、あるいはその両方などの入力機構と、
コンピュータ・モニタなどのビデオ出力とを含む。画像
データ５４は、ユーザによって作成されたテキストまた
はグラフィックス、あるいはその両方、あるいはスキャ
ナ、フォトＣＤカメラ、ビデオ・レコーダなど他の何ら
かのデータ源から導かれた画像、あるいはテキストまた
はグラフィックスと画像の両方を含むことができる。こ
の画像データは、特定のコンピュータ・モニタまたは印
刷装置の解像度とは独立の、様々なフォーマットまたは
コンピュータ・グラフィックス言語のうちの任意のフォ
ーマットまたは言語で記憶することができる。画像デー
タ５４は通常、赤、緑、青（ＲＧＢ）加法色フォーマッ
トとして各色ごとに２５６個の強度レベルでホストに保
持される。

【００１７】ドライバ５６は、画像データに対するいく
つかの重要な機能を実行する。これらは主として、色変
換、ラスタ走査、ハーフトーン化である。色変換時に
は、画像データ５４が減法シアン、マゼンタ、黄（ＣＭ
Ｙ）色平面に変換される。ラスタ走査時には、画像デー
タが、使用中のプリンタの解像度に整合するラスタ走査
フォーマットに変換される。たとえば、解像度が３００
ＤＰＩである場合、ホスト５０から受け取った画像は３
００ＤＰＩにラスタ走査される。ハーフトーン化ステッ
プ時には、画素当たりのほぼアナログの情報（画素当た
り２５６レベル）を各画素ごとにバイナリ情報のみ、す
なわちドット・オンおよびドット・オフに変換しなけれ
ばならない。情報をハーフトーン化しなければならない
のは、インクジェット・プリンタが基本的にバイナリで
あるからである。言い換えれば、インクジェット・プリ
ンタは各色ごとに２つのレベル、すなわちオンおよびオ
フしか印刷できない。ハーフトーン化は、「Digital Ha
lftoning」（Robert Ulichney、MIT Press、１９８７
年）に記載されている。ドライバはその場合、このラス
タ走査バイナリ画素情報を、プリンタへ伝達すべきエス
ケープ・シーケンスに変換する。このシーケンスは、一
度に１情報ドット行を伝達する。このようなドット行シ
ーケンスは逐次プリンタ・コントローラ５８に伝達され
る。

【００１８】コントローラは、印刷ヘッドのどのパスま
たは走査でどのドットを印刷するかを判定する。インク
ジェット・プリンタでは、所与の印刷スワスを複数のパ
スで構成することが一般的である。また、スワス間の境
界を均等化するために、パスはしばしば、スワス間にイ
ンタリーブされる。インタリーブされたマルチパス印刷
の例は、米国特許第４、９６７、２０３号（Doan等）で
開示されている。コントローラは、ウィング２８がいつ
開き、モータ２２がいつプリンタに新しいページを送り
込むかも判定する。コントローラはタイマを使用してこ
の機能を実行する。

【００１９】ドライバ５６は通常、ホストのメモリにソ
フトウェア・インストールされる。コントローラ５８は
通常、プリンタ内のコントローラ・カード上のフォーム
ウェアで実施される。しかし、ホストとドライバとコン
トローラとの間のこの分離は変更することができる。た
とえば、ドライバとコントローラは共に、ホスト・メモ
リに保持されたソフトウェアで実施することができる。
この場合、ラスタ走査、色変換、ハーフトーン化、ペー
ジ・セクタ管理の各機能がすべてホスト・レベルで実行
されるので、プリンタはホストから受け取った非常に明
示的な走査ごとの画素命令に基づいて動作するに過ぎな
い。この実施態様を「ダム・プリンタ」と呼ぶ。他の極
端な例では、ドライバとコントローラを共にプリンタ内
のファームウェアまたはソフトウェア、あるいはその両
方として実施することができ、ラスタ走査、色変換、ハ
ーフトーン化、ページ・セクタ管理のすべての機能はプ
リンタで処理される。この実施例では、ホストは画像デ
ータを非常に高いレベルで（通常、解像度とは独立のグ
ラフィックス言語で）プリンタに供給する。この実施態
様を「スマート・プリンタ」と呼ぶ。

【００２０】特に、コントローラ５８は、一般に印刷モ
ードと呼ばれるステップを実行し、このステップで、印
刷ヘッドの実際の走査またはパスが判定される。したが
って、コントローラ５８は、各パスに配設された特定の
ドット・パターンを実施する。たとえば、２パス・シン
グリング印刷モードを使用する場合、コントローラは、
印刷ヘッドにドットを、２回のパスのそれぞれごとに選
択されたパターンとして配設させる命令を準備する。４
パス印刷モードを選択した場合、コントローラ５８は、
４回のパスのそれぞれごとに命令を準備する。コントロ
ーラ５８は、用紙上に物理ドットを配設するように（用
紙前進モータ、キャリッジ走査モータ、印刷ヘッド・フ
ァイアリング抵抗器等を含む）プリンタ機構６０を制御
する。

【００２１】下記の表１は、インタリーブされた４パス
印刷モードを示す。この表で、数は印刷パスを表し、文
字は４つの異なる相補印刷パターンを表す。第１のパタ
ーンを「Ａ」と呼び、第２のパターンを「Ｂ」と呼び、
第３のパターンを「Ｃ」と呼び、第４のパターンを
「Ｄ」と呼ぶ。印刷ヘッドの第１のパスでは、あるドッ
ト・パターンが印刷され、あるドット位置は空のまま残
る。次いで、印刷媒体が（たとえば、有効印刷ヘッド高
の４分の１だけ）前進し、新しい一群のノズルが所定の
位置に配置され、パスが完了する。次いで、第２のパス
が行われ、印刷ヘッド全体が第２のドット・パターンを
付着させ、それによって第１のスワス中の間隙位置の部
分が充填され、第２のスワスの部分の上方に第２のパタ
ーンが印刷される。このプロセスは、第３のパスおよび
第４のパスで繰り返される。次いで、用紙が再び、有効
ノズル・アレイ高の４分の１だけ前進し、プロセスが繰
り返される。このように、印刷媒体が連続的に前進し、
印刷ヘッド全体を用いて第１、第２、第３、第４のパタ
ーンが交互に印刷され、一連の連続スワスが完了し、し
たがって４つの印刷モード・パターンが印刷スワス間に
インタリーブされる。

【００２２】

【表１】

【００２３】表１で分かるように、４つのパターンＡ、
Ｂ、Ｃ、Ｄは連続印刷パス間にインタリーブされる。こ
のインタリービングまたはシングリングによって、媒体
前進機構のエラーのために起こる白バンディングまたは
黒バンディングを隠すことができる。第１の印刷スワス
は必然的に、ページの頂部または画像の一部から印刷プ
ロセスを開始する部分的スワスに過ぎない。図のよう
に、第２のスワシュで安定状態が達成された後、各フル
・スワスを完了するには印刷ヘッドの４回のパスが必要
である。

【００２４】遅延は様々な要因のために起こる。たとえ
ば、ドライバ５６は、データの計算上の複雑さに応じて
データを様々な速度でプリンタへ送ることができる。こ
の速度は、複雑さが所与のページで大幅に異なるので、
常に一定であるわけではない。そのため、コントローラ
５８に到達するデータは、現在印刷できるデータよりも
少ない。これは、コントローラ５８が使用できるメモリ
中の情報の量が、フルスピードで印刷するために最適に
使用できる情報量よりも少ないため、ローメモリ状態あ
るいはローオンメモリ状態と呼ばれる。

【００２５】遅延はサービシング・ルーチンのために起
こることもある。サービシング・ルーチンは、ページ
間、たとえばあるページの印刷が終了した後、供給トレ
ーから新しいページが装填される間に実行することが好
ましい。しかし、ページの印刷密度が高い場合は、サー
ビシング・ルーチンをページの印刷中に実行する必要が
ある。このようなサービシング遅延は１０秒程度かかる
ことがあり、これは、他の遅延と比べて顕著な遅延であ
り、顕著なウェイトバンディングを発生させることがあ
る。

【００２６】遅延が発生しないときの印刷パスと、ロー
オンメモリ条件またはサービシング・ルーチンのために
遅延が発生するときの印刷パスとの間の通常時間の差を
平均または均等化しようとしない場合、各カラー・パス
の、重なり合う印刷パス間の乾燥時間が異なるものにな
る。このような時間差のために、重なり合うパスが、そ
れぞれの異なる乾燥時間を有するインク上に配設される
領域間に、わずかな色差が生じる。このようなインク色
差は、観測者には、それぞれの異なる色相の色の水平の
帯として知覚される。この、色の変化の問題を「ウェイ
トバンディング」と呼ぶ。これは特に、暗い青など（Ｃ
ＭＹ原色を使用する）暗い二次色の場合に問題となる。

【００２７】ウェイトバンディングに対処するための簡
単な技法は、４つの印刷パスのそれぞれ間に短い固定時
間遅延を確立することである。この標準遅延によって、
コントローラがドライバからデータを受け取るために使
用できる時間が延長される。しかし、この標準遅延は常
に、すべてのローオンデータ条件に備えるのに十分なも
のであるとは限らず、かつサービシング・ルーチンに十
分な時間を与えないので、パス間の時間遅延がより大き
な領域間に色ずれが発生する。各ローオンデータ条件に
対する時間遅延が同じである場合、正しい固定時間遅延
を提供して最大のスループットおよび最小限のウェイト
バンディングを与えることが可能である。もちろん、常
に、各走査の後に長い遅延を提供することができるが、
この場合、プリンタのスループットが受け入れられない
程度に低下する。

【００２８】図３は、各パス間に標準固定遅延を有する
簡単な１パス印刷モードを示す。第１のパス６２の後、
次のパス６６を行う前に標準遅延６４が与えられる。単
一のパスおよび単一の標準遅延のこの同じルーチンが、
画像全体にわたって実行される。この印刷モードに関す
る問題は、このモードがローオンメモリ条件に対しても
サービス・ルーチンのニーズに対しても調整されないこ
とである。プリンタが、ドライバから受け取ったデータ
に対してローになり、あるいはサービスを実行する必要
がある場合、必然的に、より長い遅延が、関連するパス
間に課され、ウェイトバンディングが問題となることが
ある。

【００２９】図４ないし図６は、ローオンデータ条件ま
たはサービシング・ルーチンのために遅延が発生するパ
ス間の時間遅延を均等化するアルゴリズムが使用され
る、本発明による印刷モードを示す。したがって、これ
らの印刷モードは、ウェイトバンディングが低減される
という有益な結果を与える。

【００３０】図４に１パス印刷モードが示されている。
第１のパス６８の後、パス７２が行われる前に標準遅
延、たとえば０．５秒が与えられる。パス７２の後、印
刷モードは、ローオンデータ条件を認識し、遅延をラン
プアップ(ramp up)し、そのため、パス７６が行われる
前により長い遅延７４が与えられる。パス７６の後、ア
ルゴリズムは依然として、ローオンデータ条件を検出
し、パス８０が行われる前に、再び遅延をより長い遅延
７８へランプアップする。パス８０の後、印刷モード
は、ローオンデータ条件がもはや存在しないことを認識
し、次の遅延８２をランプダウン(ramp down)する。同
様に、遅延８４も、パス８６が行われる前にランプダウ
ンされる。したがって、遅延８４が均等化され、スルー
プットを不当に低下させずにウェイトバンディングが低
減される。

【００３１】図５に２パス印刷モードが示されている。
第１のパス８８の後、パス９２が行われる前に標準遅延
９０がある。パス９２の後、この方法は、ローオンデー
タ条件を認識し、標準遅延から遅延９２へランプアップ
することによって可変遅延を与える。この場合も次の２
回のパス間に標準遅延９６が使用されるが、これらのパ
スの後、ローオンデータ条件が依然として検出され、し
たがって、この方法は再び、可変遅延をより長い遅延９
８にランプアップする。次の２回のパスの後に、この方
法はもはやローオンデータ条件を検出せず、可変遅延を
遅延１００にランプダウンする。遅延１０２は同様に、
遅延１００からランプダウンされた可変遅延である。図
のように、各２パス群内に標準遅延が与えられる。

【００３２】図６は、４パス印刷モードを示す。最初の
４回のパスの後、この方法は、ローオンデータ条件を認
識し、可変遅延を遅延１０４にランプアップする。同様
に次の４回のパスの後、この方法は、依然としてローオ
ンデータ条件を検出し、可変遅延を遅延１０６にランプ
アップする。次の４回のパスの後、可変遅延は遅延１０
８にランプダウンされる。図５の２パス・モードの場合
と同様に、４パス群中のパス間の遅延は標準遅延であ
る。

【００３３】図７は、本発明による印刷モードのフロー
チャートである。この印刷モードでは、標準遅延がデフ
ォルトとして与えられる。この遅延はたとえば０．５秒
であってよい。ある種の事象が発生したときは、この遅
延を、ランプアップまたはランプアダウンすることがで
きる可変遅延に変更することができる。遅延は、ランプ
アップされる際には、下記の公式に従って指数関数的に
実行される。この結果、遅延は、ランプアップされるた
びに２倍になる。遅延は、ランプダウンされる際には線
形に実行される。このため、たとえば、ローメモリ条件
またはペン・サービスの必要がある事象の場合には高速
に増大するランプアップが行われる。しかし、遅延は徐
々にランプダウンし、たとえば他のローメモリ条件が発
生しそうな場合に、遅延をより小さな遅延から回復する
必要はなくなる。

【００３４】この図の実施例では、可変遅延をランプア
ップするときは、公式ｔ_n+1＝２ｔ_n（ｔ_max＝１６秒）
を使用して前の可変遅延がランプアップされ、遅延をラ
ンプダウンするときには、可変遅延は公式ｔ_n+1＝０．
７５ｔ_n（ｔ_min＝０．５秒）を使用する。このため、ラ
ンプアップまたはランプダウンが行われるときに可変遅
延は指数関数的に増減する。しかし、ランプアップはラ
ンプダウンよりも高速に行われる。ランプアップを高速
に行い、ローオンデータ条件によってランプアップ手順
が妨げられないようにすることはより重要である。しか
し、ローオンデータ条件がもはや存在しないときには、
可変遅延をより円滑に変更するためにより低速のランプ
ダウンが好ましい。ランプダウンは、公式ｔ_n+1＝ｔ_n-s
（ｔ_min＝０．５秒）を使用して線形遅延を使用するこ
ともできる。この場合、「ｓ」は、前の可変遅延から減
じられる設定された時間である。たとえば、設定された
この遅延低減量は標準遅延と同じ、すなわち０．５秒で
よい。

【００３５】この解決策はステップ１２０で開始され
る。試験１２２で、アルゴリズムは、次の走査がフル・
スワス境界で行われるかどうかを尋ねる。前述のよう
に、コントローラは、画像を、パスで構成されたいくつ
かのスワスとして構成する。応答がない場合、ステップ
１２４で遅延が標準遅延に設定される。応答がｙｅｓで
ある場合、試験１２６は、コントローラ５８にローメモ
リ条件が存在するかどうか、あるいは現在ペン・サービ
スが必要であるかどうかを尋ねる。試験１２６に対する
応答がｙｅｓである場合、ステップ１２８で、遅延が可
変遅延になるように設定され、ステップ１３０で可変遅
延がランプアップされる。

【００３６】試験１２６に対する応答がｎｏである場
合、試験１２８は、システムがローメモリ条件またはペ
ン・サービスから回復しているかどうかを尋ねる。言い
換えれば、試験１２８は、遅延は現在、標準遅延以外の
遅延であるかどうかを尋ねる。応答がｙｅｓである場
合、ステップ１３０で遅延が可変遅延に設定され、ステ
ップ１３２で可変遅延がランプダウンされる。応答がｎ
ｏである場合、ステップ１２４で遅延が標準遅延に設定
される。

【００３７】ステップ１３４で、ペン・サービスが必要
であり、かつ使用できる時間がある場合、ペン・サービ
スが実行される。ペン・サービスが不要である場合、あ
るいは使用できる時間がない場合、ルーチンはステップ
１３６へ移る。ステップ１３６で、この方法は標準遅延
と（アルゴリズムが現在この値に設定している任意の値
の）可変遅延のどちらかの間待ち、現走査が印刷され
る。ルーチンは次いでステップ１２０に戻る。

【００３８】したがって、この印刷モードは、ローメモ
リ条件またはペン・サービシングの必要のために生じる
走査間の遅延を円滑にランプアップしランプダウンしよ
うとすることによって走査の印刷間の遅延を均等化する
傾向がある。

【００３９】このアルゴリズムは、フル・スワス間の境
界に特に留意するものである。表１を参照すると、安定
状態の印刷が達成された後、１組の４回の印刷パスで１
フル・スワス高のページの部分が印刷されるので、フル
印刷スワス（たとえばフル印刷スワス１とフル印刷スワ
ス２）間の境界と、連続する数組の４回の印刷パス間の
境界に実際上差がないことは明らかである。言い換えれ
ば、パターンＡＢＣＤ−−ＢＣＤＡの境界とたとえばＣ
ＤＡＢ−−ＤＡＢＣの境界との間には実際上差はない。
したがって、フル・スワス境界はどの場所に選んでもよ
い。したがって、画像のどの部分でも、フル・スワス境
界は、可変遅延が最初に使用される場所になるように設
定される。

【００４０】遅延をランプアップまたはランプダウンす
る場所としてフル・スワス境界を選択すると、特に第二
原紙上で使用するときに印刷品質が向上することが経験
的に判明している。この利点は、再湿潤と呼ばれる現象
によるものである。任意に選択したフル・スワス境界の
パス内で標準遅延を使用すると、それらのスワス内の走
査のインクが前の走査を再湿潤させ、それによってイン
クがスワス境界内でより円滑に混ざる。これは特にトラ
ンスペアレンシでそうである。というのは、紙の場合と
は異なり、この印刷媒体にはインクが容易には吸収され
ないからである。

【００４１】以上、本発明の実施例について詳述した
が、以下、本発明の各実施態様の例を示す。

【００４２】（実施態様１）走査インクジェット印刷ヘ
ッド（１８、２０）と媒体前進機構（２２、３０）とを
含むインクジェット印刷システムを用いた印刷方法であ
って、（ａ）画像を表す画像データ（５４）を提供するステッ
プと、（ｂ）前記画像データをスワス・データとして構成する
ステップと、（ｃ）変更できる時間遅延を与えるステップと、（ｄ）標準遅延を与えるステップと、（ｅ）次の走査がフル・スワス境界では行われない場
合、前記時間遅延を前記標準遅延に設定するステップ
と、（ｆ）次の走査がフル・スワス境界で行われる場合、
（１）ローオンメモリ条件のスワス・データが見つかっ
た場合には前記時間遅延を延長し、（２）ローオンメモ
リ条件のスワス・データが見つからず、遅延が標準遅延
よりも長い場合には前記時間遅延を短縮するステップ
と、（ｇ）前記時間遅延の後に次の走査を印刷するステップ
と、（ｈ）前記画像が印刷されるまでステップ（ｅ）ないし
（ｇ）を繰り返すステップとを有することを特徴とする
方法。

【００４３】（実施態様２）前記ステップ（ｅ）の後
に、次の走査がフル・スワス境界で行われる場合、
（ａ）ペン・サービシングが必要な場合には前記可変時
間遅延を延長し、（ｂ）ペン・サービシングが必要でな
く、遅延が標準遅延よりも長い場合には前記時間遅延を
短縮するステップとを有することを特徴とする実施態様
１に記載の方法。

【００４４】（実施態様３）次の走査がフル・スワス境
界で行われ、前記可変時間遅延に前記ペン・サービシン
グを実行するのに十分な時間がある場合に、前記ペン・
サービシングを実行するステップを含むことを特徴とす
る実施態様２に記載の方法。

【００４５】（実施態様４）（ａ）次の走査がフル・スワス境界では行われない場合
に、時間遅延を前記標準遅延に設定するステップを備え
ることを特徴とする実施態様１ないし３のいずれかに記
載の方法。

【００４６】（実施態様５）前記時間遅延が延長される
際に、指数関数的に延長されることを特徴とする実施態
様１ないし４のいずれかに記載の方法。

【００４７】（実施態様６）前記時間遅延が短縮される
際に、線形に短縮されることを特徴とする実施態様１な
いし５のいずれかに記載の方法。

【００４８】

【発明の効果】したがって、本発明は、ウェイトバンデ
ィングを低減させ、改良された印刷品質を提供する有利
な印刷モードを提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のプリンタの斜視部分切断図である。

【図２】本発明の印刷システムのブロック概略図であ
る。

【図３】遅延が行われない印刷モードを表す概略図であ
る。

【図４】本発明による印刷モードを表す概略図である。

【図５】本発明による印刷モードを表す概略図である。

【図６】本発明による印刷モードを表す概略図である。

【図７】本発明の印刷方法のフローチャートである。

【符号の説明】

１０：プリンタ１２：ハウジング１４：コントローラ１８、２０：印刷カートリッジ２２：媒体前進モータ２４：キャリッジ起動モータ２６：用紙送りトレー２８：ウィング３０：ギアアセンブリ３４：駆動ベルト３８：用紙５０：ホスト５２：プリンタ５４：画像データ５６：ドライバ５８：コントローラ６０：プリンタ機構６２、６６、６８、７２、７６、８０、８６、８８、９
２：パス６４、７０、７４、７８、８２、８４、９４、９８、１
００、１０２、１０４、１０６、１０８：遅延１２０，１２２，１２４，１２６，１２８，１３０，１
３２，１３４，１３６：ステップ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】走査インクジェット印刷ヘッドと媒体前進
機構とを含むインクジェット印刷システムを用いた印刷
方法であって、（ａ）画像を表す画像データを提供するステップと、（ｂ）前記画像データをスワス・データとして構成する
ステップと、（ｃ）変更できる時間遅延を与えるステップと、（ｄ）標準遅延を与えるステップと、（ｅ）次の走査がフル・スワス境界では行われない場
合、前記時間遅延を前記標準遅延に設定するステップ
と、（ｆ）次の走査がフル・スワス境界で行われる場合、
（１）ローオンメモリ条件のスワス・データが見つかっ
た場合には前記時間遅延を延長し、（２）ローオンメモ
リ条件のスワス・データが見つからず、遅延が標準遅延
よりも長い場合には前記時間遅延を短縮するステップ
と、（ｇ）前記時間遅延の後に次の走査を印刷するステップ
と、（ｈ）前記画像が印刷されるまでステップ（ｅ）ないし
（ｇ）を繰り返すステップとを有することを特徴とする
方法。