JPH1024516A - 透明導電性積層体および透明タブレット - Google Patents

透明導電性積層体および透明タブレット

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JPH1024516A
JPH1024516A JP18063596A JP18063596A JPH1024516A JP H1024516 A JPH1024516 A JP H1024516A JP 18063596 A JP18063596 A JP 18063596A JP 18063596 A JP18063596 A JP 18063596A JP H1024516 A JPH1024516 A JP H1024516A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機高分子成型物からなる基板の一方の面上
に、透明導電層が積層されてなる透明導電性積層体にお
ける、滑り性や光透過率の向上。また、二枚の透明電極
基板が電極面を相対して配置される透明タブレットにお
ける、動作不良の低減や視認性の向上。 【解決手段】透明導電性積層体としては、基板は表面粗
さが中心面平均粗さ(SRa)<0.003μm。かつ
基板上の少なくとも透明導電層が積層された側には粗面
化層を積層。さらに、少なくとも透明導電層が積層され
た側の積層体表面は、SRa=0.003〜0.04μ
m。また透明タブレットとしては、少なくとも一方の透
明電極基板として本発明の透明導電性積層体を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機高分子成型物
からなる基板の一方の面上に、透明導電層が積層されて
なる透明導電性積層体、およびこの透明導電性積層体を
用いて作成される透明タブレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報表示用の液晶ディスプレーと
情報入力用の透明タブレット(タッチスイッチ、タッチ
パネル、フラットスイッチとも称される)を搭載した携
帯型の情報機器が広く使用され始めている。透明タブレ
ットとして多く用いられている抵抗膜方式の透明タブレ
ットは、透明導電層が形成された二枚の透明電極基板が
およそ10μm前後の間隔で相対させて構成されてお
り、外力を加えた部分のみで両電極が接触してスイッチ
として動作するものであり、例えばディスプレー画面上
のメニューの選択あるいは図形や手書き文書の入力等を
行なうことができる。
【0003】従来、透明タブレットは、液晶ディスプレ
ー上に一定の間隔をあけて配置されていたが、最近で
は、軽量化や薄型化、透過率の向上や視差低減等の目的
で、液晶ディスプレーの上部偏光板と液晶セルとの間に
タブレットを挿入した入力表示一体のタブレットが検討
されはじめている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この入力表示一体のタ
ブレットにおいては、タブレットが二枚の偏光板に挟ま
れた構造になっているために、タブレットに用いられる
透明電極基板が光学等方性である必要性がある。すなわ
ち、透明電極基板の光学等方性が劣る場合には、リタデ
ーションの存在による着色現象や視認性の低下といった
パネル表示性能の低下が課題となる。特に、タブレット
の上部の透明電極基板には可撓性が必要である事からポ
リカーボネート、ポリアリレート等の光学等方性の有機
高分子フィルムが好ましく用いられる。また、下部の透
明電極基板には、ガラスや前記の光学等方性の有機高分
子フィルム、有機高分子シート等が用いられる。
【0005】ここで、これらの透明電極基板の導電面の
平坦性が非常に高い場合には、入力時に上下の透明電極
基板が密着して離れにくくなる等の動作不良が発生する
課題がある。また、電極面とは反対側の面に関しても、
表面の平坦性が非常に高い場合には、タブレット作成時
に於けるエッチングや印刷、ヒートシール等の諸工程に
おいて、透明電極基板が搬送されるライン上に密着して
離れにくくなる等のハンドリング上の課題が発生する。
【0006】また、一般に、抵抗膜方式の透明タブレッ
トにおいては、上下の透明電極基板間の距離が小さくな
った時に、両方の電極表面からの反射光が干渉して強い
光干渉縞(ニュートンリング)を発生し、視認性が低下
する場合がある。この光干渉縞を防止するためには、電
極表面を適当な粗度に粗面化して、反射光を散乱性にす
ることが有効である。しかしながら、この方法では、電
極基板のヘイズの増加を伴い、光透過率や視認性が低下
する課題があった。
【0007】本発明は、これらの課題を解決すべくため
されたものであり、滑り性に優れ、光透過率の高い透明
電極基板を得ることを目的とし、さらに、この透明電極
基板を用いて、動作不良や光干渉縞の発生の少ない、高
透過率で低ヘイズの透明タブレットを得ることを目的と
している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の透明導電性積層
体は、有機高分子成型物からなる基板の一方の面上に、
透明導電層が積層されてなる透明導電性積層体におい
て、基板は表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)で0.
003μm未満であり、基板上の少なくとも透明導電層
が積層された側には粗面化層が積層され、透明導電性積
層体としては少なくとも透明導電層が積層された側の表
面の表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)で0.003
〜0.04μmであることを特徴としている。また本発
明の透明タブレットは、二枚の透明電極基板が電極面を
相対して配置される透明タブレットにおいて、少なくと
も一方の透明電極基板として、本発明の透明導電性積層
体を用いたことを特徴としている。
【0009】すなわち本発明の透明導電性積層体は、平
滑性に優れた有機高分子成型物上の少なくとも導電面に
易滑性の層を積層することを特徴としている。易滑性は
一般に基体の表面粗さと関係していると考えられるが、
本発明者らの検討によれば良好な易滑性の発現には、積
層体としてはその表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)
で0.003μm以上であることが好ましく、0.00
3μm未満では滑り性が低く前述の諸課題を発生する場
合が多いことがわかった。また中心面平均粗さ(SR
a)が大きくなると、ヘイズ値が増加する。このため本
発明の積層体においては中心面平均粗さ(SRa)は
0.04μm以下とすることが必要である。
【0010】なおここで中心面平均粗さ(SRa)と
は、JIS B 0601記載の中心線平均粗さ(R
a)を三次元に拡張したものであり、次のように定義す
る。まず、粗さ曲面からその中心面上に面積Smの部分
を抜き取り、この抜き取り部分の中心面上に直交座標軸
としてX軸とY軸を置く。さらに中心面に直交する軸を
Z軸とし、粗さ曲面をz=f(x,y)で表した場合、
次式(イ)にて求められる値SRa(μm)を中心面平
均粗さと呼ぶ。尚、次式(イ)内でLx・Ly=Smで
ある。
【0011】
【数1】
【0012】このため、中心面平均粗さが0.003μ
m未満の有機高分子成型物からなる基板、例えば、内部
にフィラーが添加される事の少ない、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート等の非晶性の有機高分子成型物等を
基板に用いた場合、基板上に粗面化層を設けることで、
積層体としての表面の中心面平均粗さ(SRa)を0.
003〜0.04μmとする。本発明においてこの粗面
化層は、前述の課題を解決するためにも、基板上の少な
くとも透明導電層が積層された側に積層されることが必
要である。さらに透明導電性積層体としての用途に応じ
ては、粗面化層は基板の両側に形成され、透明導電性積
層体としては両側の表面の表面粗さが中心面平均粗さ
(SRa)で0.003〜0.04μmであることがよ
り好ましい。
【0013】そして粗面化層は、易滑加工、すなわち基
板表面に適当な密度で微小な突起を形成するような加工
を行なうことにより設けることができる。具体的には、
フィラーとしての微粒子を分散した塗膜をコーティング
する方法や、基材にエンボス加工やサンドブラスト加工
等の機械的加工を加える方法等が例示されるが、工程の
簡便性の観点からは、フィラーとしての微粒子を分散し
た塗膜をコーティングする方法が好ましく用いられる。
【0014】ここで、フィラーとしての微粒子を分散し
た塗膜をコーティングする場合、フィラーを分散した事
による塗膜強度の低下や光散乱によるヘイズの上昇を最
小限に抑える必要があるが、本発明者らの検討によれ
ば、平均一次粒径が塗膜の膜厚対比小さいフィラーを用
いた場合、易滑性の発現のためにはフィラーを多く添加
する必要が生じ、ヘイズの増加や塗膜強度の低下等の悪
影響が観られることがわかった。これは、フィラーの一
次粒径が小さいと、塗膜内部に完全に埋もれて粗面化に
全く寄与しないフィラーの割合が非常に多くなるためで
あると考えられる。これらの事から、一次粒径が塗膜の
膜厚対比大きいフィラーを用いることが好ましいが、フ
ィラーの一次粒径が膜厚の3倍を越える場合には、フィ
ラーの固着性が低下する傾向が観られるため、フィラー
として用いる微粒子の平均一次粒径は塗膜の膜厚の約
1.1〜3倍の範囲にあることが好ましい。
【0015】塗膜へのフィラー微粒子の添加量は、重量
比率で0.05〜0.5%の範囲にあることが好まし
い。添加量が0.05%に満たない場合には充分な易滑
性が得られず、逆に0.5%を越える場合にはヘイズが
不必要に増加していくので好ましくない。そうしたフィ
ラーとして添加する微粒子としては、塗工液中で微粒子
の凝集や沈降が起こりにくいものを用いることが好まし
く、具体的には市販の有機シリコン微粒子や架橋アクリ
ル微粒子、架橋ポリスチレン微粒子等が好ましく用いら
れる。
【0016】ところで、これら粗面化された塗膜(以下
粗面化層と記す)は、導電層のエッチング時に使用され
る酸性水溶液やアルカリ性水溶液等への耐溶剤性等、後
述の評価法において十分な耐溶剤性を有していることが
より好ましい。このような耐溶剤性を有する塗膜として
は、例えば、アクリル系樹脂の放射線架橋層やフェノキ
シ系樹脂の熱架橋層、エポキシ系樹脂の熱架橋層および
ケイ素アルコキシドの熱架橋層等の各種樹脂架橋層が挙
げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂の放射線架
橋層は、放射線の照射により比較的短時間に架橋度の高
い層が得られる事から、製造プロセスへの負荷が少ない
特徴があり、最も好ましく用いられる。
【0017】放射線架橋型樹脂は、紫外線や電子線等の
放射線を照射する事によって架橋が進行する樹脂を指
し、単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有する多
官能アクリレート成分を樹脂組成中に含有するアクリル
系樹脂が挙げられる。例えばトリメチロールプロパント
リアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキ
サイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパン
プロピレンオキサイド変性トリアクリレート、イソシア
ヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ
アクリレート等の各種アクリレートモノマーや、ポリエ
ステル変性もしくはウレタン変性、エポキシ変性の多官
能アクリレートオリゴマー等が本用途に好ましく用いら
れる。これらの樹脂は単独の組成で用いても、数種の混
合組成で用いても良く、また場合によっては、各種ケイ
素アルコキシドの加水分解物を組成中に適量添加するこ
とも好ましく行われる。
【0018】なお、紫外線照射によって樹脂層の架橋を
行う場合には公知の光反応開始剤が適量添加される。光
反応開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノ
ン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}
−2−モルフォリノプロパン、2−ヒドロキシ−2−メ
チル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系
化合物;ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベ
ンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香
酸等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2、
4−ジクロロチオキサンソン等のチオキサンソン系化合
物等が挙げられる。
【0019】また、フェノキシ系樹脂の熱架橋層として
は、下記一般式(1)で示されるフェノキシ樹脂、フェ
ノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂を多官能
イソシアネート化合物で熱的に架橋させた層が挙げられ
る。
【0020】
【化1】
【0021】ここでR1〜R6は、同一または異なる水素
または炭素数1〜3のアルキル基、R7は炭素数2〜5
のアルキレン基、Xはエーテル基、エステル基、mは0
〜3の整数、nは20〜300の整数をそれぞれ意味す
る。そうした中でも特にR1、R2はメチル基、R3〜R6
は水素、R7はペンチレン基のものが、合成が容易で生
産性の面から好ましい。
【0022】また、多官能イソシアネート化合物として
は、一分子中にイソシアネート基を二つ以上含有する化
合物であれば良く、以下のものが例示される。2,6−
トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロール
プロパンアダクト体、t−シクロヘキサン−1,4−ジ
イソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p
−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタ
レンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネ−
ト、水添ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソ
シアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、
トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、
m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テ
トラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11
−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシア
ネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ビシクロ
ヘプタントリイソシアネート、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメ
チルヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシア
ネートおよびそれらの混合物あるいは多価アルコール付
加体等。この中でも特に汎用性、反応性の観点から2,
6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイ
ソシアネート、トリレンジイソシアネート−トリメチロ
ールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートが好ましい。
【0023】この他、反応促進剤として、公知のトリエ
チレンジアミン等の第三アミン、ジブチル錫ジラウレー
ト等の有機錫化合物を適量添加する事で架橋速度を向上
することが可能である。
【0024】また、エポキシ系樹脂の熱架橋層として
は、各種のものが使用できるが、その中でも、下記一般
式(2)で示されるノボラック型のエポキシ樹脂を熱的
に架橋させた層が好ましい。
【0025】
【化2】
【0026】ここで、R8は水素またはメチル基、R9
水素またはグリシジルフェニルエーテル基を示す。ま
た、qは1〜50までの整数を示すが、実際の所、qの
値は一般的に分布を持っていて特定しにくいが、平均の
数として大きい方が好ましく、3以上さらには5以上が
好ましい。
【0027】このようなエポキシ樹脂を架橋させる硬化
剤としては、公知のものが適用される。例えば、アミン
系ポリアミノアミド系、酸および酸無水物、イミダゾー
ル、メルカプタン、フェノール樹脂等の硬化剤が用いら
れる。これらの中でも、酸無水物および脂環族アミン類
が好ましく用いられ、さらに好ましくは酸無水物であ
る。酸無水物としては、メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸などの脂環族酸無
水物、無水フタル酸等の芳香族酸無水物、ドデセニル無
水フタル酸等の脂肪族酸無水物が挙げられるが、特にメ
チルヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。尚、脂環族
アミンとしては、ビス(4−アミノ−3−メチルジシク
ロヘキシル)メタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、
イソホロンジアミン等が挙げられ、特にビス(4−アミ
ノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタンが好ましい。
【0028】ここで、硬化剤として酸無水物を用いた場
合、エポキシと酸無水物との硬化反応を促進する反応促
進剤を添加しても良い。反応促進剤としては、ベンジメ
チルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノール、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−1等の公知の第二、第三ア
ミン類やイミダゾール類等の硬化触媒が挙げられる。
【0029】また、ケイ素アルコキシドの熱架橋層とし
ては、2〜4官能性、さらに好ましくは3〜4官能性の
のケイ素アルコキシドを二種以上混合して用いることが
好ましく、これらをあらかじめ溶液中で適度に加水分解
ならびに脱水縮合を行なって適度にオリゴマー化させた
ものも好ましく用いられる。
【0030】使用可能なケイ素アルコキシドの例として
は、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0031】これらのケイ素アルコキシドによる層は、
熱的に架橋が進行するが、必要に応じて紫外線等の活性
光線を塗膜に照射する事によって、架橋度をより高める
ことができる。
【0032】また、これら樹脂架橋層のコーティングに
あたっては、前記の樹脂架橋物の前駆体組成物ならびに
フィラー等を各種有機溶剤に溶解して、濃度や粘度を調
節した塗液を用いて、被体上に塗工後、放射線の照射や
加熱処理等により層を架橋させる。塗工方式としては、
マイクログラビヤコート法、ダイコート法、リバースロ
ールコート法、カーテンコート法、スピンコート法等の
各種塗工方法が用いられる。
【0033】本発明で用いる有機高分子成型物からなる
基板は、前述のように、表面粗さが中心面平均粗さで
0.003μm以下のものが用いられる。成型物の厚み
に関しては、本発明の透明導電性積層体を透明タブレッ
トの上部電極基板として用いる場合には、50〜400
μmの範囲にあることが、また、下部電極基板として用
いる場合には50〜1000μmの範囲にあることが、
透明タブレットの動作特性、軽薄性、軽量性の観点から
好ましく、また、さらに、成型物のリタデーションにつ
いては20nm以下であることが光学等方性の観点から
好ましい。ここでリタデーションは複屈折の屈折率の差
△nと膜厚dとの積△ndであり、ここでは日本分光株
式会社製の多波長複屈折率測定装置(商品名「M−15
0」)を用いた波長590nmでの測定値に代表させて
いる。
【0034】これら光学等方性の有機高分子成型物とし
ては、例えば、ポリカーボネートやポリアリレート、ポ
リエーテルスルフォン、トリアセチルセルロース等の成
型物が例示されるが、成形性や製造コスト、熱的安定性
等の観点から、ポリカーボネート、ポリアリレートがよ
り好ましく挙げられる。成形体の成形方法としては公知
の溶融押し出し法や溶液流延法、射出成型法等の方法が
例示されるが、優れた光学等方性を得る観点からは、特
に溶液流延法を用いて成形を行なうことが好ましい。
【0035】また、本発明において用いる透明導電層と
しては、公知のもの、例えば錫酸化物(SnO2)およ
び/またはインジウム酸化物(In23)からなる層、
特に両者の化合物であるITOが好ましく用いられる。
また、タブレットの消費電力を低減する必要がある場合
には、比抵抗の比較的大きな透明導電層を用いることが
好ましく、ITOに、SiO2、TiO2、Al23、Z
rO2、MgO、ZnOから選ばれる金属酸化物が微量
添加された透明導電層が好ましく用いられる。
【0036】こうした透明導電層の膜厚は、10〜50
nmの範囲にあることが、抵抗値や抵抗値の経時安定
性、および透明性の観点から好ましい。あるいはまたこ
れら透明導電層は、スパッタリング法、イオンプレーテ
ィング法、真空蒸着法、CVD法等の公知の気相堆積法
を用いて積層することができる。中でも幅方向、長さ方
向での膜厚均一性、組成均一性の面からはスパッタリン
グ法が好ましい。
【0037】さて、本発明においては、透明導電層の下
地として光学干渉層が積層することにより、導電面の反
射を低減し、積層体の光透過率を高めることが可能であ
る。ここで光学干渉層とは、隣接する層との屈折率が異
なる薄膜を一層もしくは二層以上積層して構成された層
であり、各界面からの反射光が相互干渉した結果、透明
導電層表面の反射率、特に波長450〜600nmに於
ける反射率が効果的に低減されるように、各層の膜厚や
屈折率が設定されてなる層と定義する。
【0038】こうした光学干渉層としては、屈折率が
1.5以下の低屈折率の層を単層で設けたものや、基板
側から、屈折率が1.6以上の高屈折率の層と、屈折率
が1.5以下の低屈折率の層を積層したもの等が好まし
く用いられるが、必要に応じて三層以上の積層構成のも
のも用いる事も可能である。
【0039】これらの層は、スパッタリング法、蒸着
法、イオンプレーティング法、CVD法等の各種の真空
製膜プロセスや、ロールコーティング、カーテンコー
ト、スピンコート等の湿式コーティング法、およびそれ
らの併用により作成が可能である。
【0040】具体的には、真空製膜プロセスを用いて作
成された各種無機誘電体層、例えばMgF、SiO2
CaF2、NaF、Na3AlF6、LiF、Al23
CeF3、LaF3、NdF3、TiO2、MgO、PbF
3、ThO2、ZrO2、ZnS、SnO2、In23、S
23、CeO2、Nd23、Ln23等およびそれら
の混合物からなる層が例示され、また、さらに、湿式コ
ーティング法を用いて作成された樹脂架橋層、例えば、
ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、錫、タンタル、イ
ンジウム等の金属アルコキシドの単体あるいはそれらの
混合物を、加水分解ならびに脱水縮合してなる樹脂架橋
層や、数十nm以下の粒径の各種金属酸化物の微粒子が
分散された樹脂架橋層等が例示される。
【0041】これらの内、製造コストの観点からは、前
記の湿式コーティング法による樹脂架橋層による光学干
渉層を用いることが好ましく、さらに、湿式コーティン
グによる樹脂架橋層の中でも、層の機械的強度や密着
性、安定性の観点から、チタニウム、ジルコニウムなら
びにケイ素のアルコキシドの架橋層を用いることが最も
好ましい。ここで、チタニウムとジルコニウムのアルコ
キシドの架橋層は、光学干渉層において主に高屈折率の
層として機能するものであり、ケイ素アルコキシドの架
橋層は、光学干渉層において主に低屈折率の層として機
能するものである。
【0042】チタニウムアルコキシドとしては、例えば
チタニウムテトライソプロポキシド、テトラーnープロ
ピルオルトチタネート、チタニウムテトラーnーブトキ
シド、テトラキス(2ーエチルヘキシルオキシ)チタネ
ート等が例示され、また、ジルコニウムアルコキシドと
しては、例えばジルコニウムテトライソプロポキシド、
ジルコニウムテトラーnーブトキシド等が例示される。
【0043】ケイ素アルコキシドとしては、例えば、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチ
ルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン等が例示される。
【0044】これらのケイ素アルコキシドは、層の機械
的強度や密着性および耐溶剤性等の観点から二種類以上
を混合して用いることが好ましく、特に、耐溶剤性の観
点から、ケイ素アルコキシドの全組成中に重量比率0.
5〜40%の範囲で、分子内にアミノ基を有するケイ素
アルコキシドが含有されていることが好ましい。
【0045】これらの金属アルコキシドは、モノマーで
用いても、あらかじめ加水分解と脱水縮合を行なって適
度にオリゴマー化して用いても良いが、通常、適当な有
機溶媒に溶解、希釈した塗液を基板上に塗工する。基板
上に形成された塗膜は、空気中の水分等により加水分解
が進行し、続いて、脱水縮合により架橋が進行する。
【0046】一般に、架橋の促進には適当な加熱処理が
必要であり、湿式コーティングのプロセスにおいて10
0℃以上の温度で数分以上の熱処理を施すことが好まし
い。また、場合によっては、前記の熱処理と並行して、
紫外線等の活性光線を塗膜に照射する事により、架橋性
をより高めることができる。
【0047】希釈溶剤としては、アルコール系、炭化水
素系の溶剤、例えば、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、
ヘキサン、シクロヘキサン、リグロイン等が好適である
が、この他にも、キシレン、トルエン、シクロヘキサノ
ン、メチルイソブチルケトン、酢酸イソブチル等の極性
溶媒も使用可能である。これらのものは単独あるいは二
種以上の混合溶剤として用いることができる。
【0048】このように透明導電層に接して基板側に光
学干渉層を積層した場合、光学干渉層を積層しなかった
場合に比べて、透明導電性積層体の光透過率が数%以上
向上する。そして、この透明導電性積層体を透明タブレ
ットの上下の電極基板として用いた場合には、タブレッ
トの光透過率の向上すると共に、タブレットの光干渉縞
(ニュートンリング)の発生が低減されることがわかっ
た。これは、上下の電極表面の光反射率が低下した事に
よる、光干渉強度の低減効果と、本発明の粗面化層の微
細な凹凸による反射光の散乱効果との相乗によるものと
推定される。ここで、粗面化による反射光の散乱効果の
みを利用した従来の方法に比べ、本発明における電極表
面の粗面化の程度は非常に小さいため、粗面化に伴うヘ
イズの増加が抑えられ、視認性の高い透明タブレットを
得ることができる。
【0049】ところで本発明においては、有機高分子成
型物上に適当な粗面化層を設けた後に、粗面化層と透明
導電層の間に光学干渉層を積層した構成が一般的に用い
られるが、光学干渉層として前述の金属アルコキシドの
架橋層等を初めとした各種樹脂架橋層を用いる場合にお
いては、光学干渉層が粗面化層を兼ねる事も可能であ
る。すなわち、光学干渉層の少なくとも一層として、前
述の樹脂架橋層中に重量比率0.05〜0.5%の割合
で平均一次粒径が層膜厚の1.1〜3倍の範囲にある微
粒子を分散した粗面化層を用いた場合には、より簡略な
層構成で本発明の目的を達することができる。
【0050】そして以下に示す実施例と比較例において
は、各種特性の評価は次の要領にて行った。
【0051】耐有機溶剤性:タブレット作成時に透明導
電層上に印刷が行われる銀ペーストの溶剤として代表さ
れるトルエン(和光純薬工業社製、特級)をサンプル面
に数滴滴下し、25℃で3分間放置後の表面の白濁、膨
潤、溶解等の外観変化を目視にて観察し、変化が確認さ
れない場合に耐有機溶剤性を有すると判定した。
【0052】耐アルカリ性水溶液性:透明導電層のパタ
ーニング時のレジスト溶解に用いる3.5wt%の水酸
化ナトリウム水溶液をサンプル面に数滴滴下し、25℃
で3分間放置後の表面の白濁、膨潤、溶解等の外観変化
を目視にて観察し、変化が確認されない場合に耐アルカ
リ性水溶液性を有すると判定した。
【0053】耐酸性水溶液性:透明導電層のパターニン
グに用いるエッチング液(35wt%塩化第2鉄水溶
液、35wt%塩酸、水を1:1:10の割合で混合し
たもの)をサンプル面に数滴滴下し、25℃で3分間放
置後の表面の白濁、膨潤、溶解等の外観変化を目視にて
観察し、変化が確認されない場合に耐酸性水溶液性を有
すると判定した。
【0054】光線透過率およびヘイズ値:日本電色工業
社製の測定器(商品名「COH−300A」)を用いて
測定を行った。
【0055】中心面平均粗さ(SRa):小坂研究所社
製の三次元表面粗さ測定器(商品名「サーフコーダSE
−30KS」)を用いて、測定幅200μm、測定長1
mmの条件にて測定を行った。
【0056】
【実施例1】ビスフェノール成分がビスフェノールAの
みからなる平均分子量37,000のポリカーボネート
樹脂を用いて、溶液流延法により厚み98μm、中心面
平均粗さ(SRa)が0.0012μm、リタデーショ
ン7±2nmのポリカーボネートフィルムを得た。
【0057】粗面化層を形成するための塗液として、ト
リメチロールプロパンエチレンオキサイド変性アクリレ
ート(東亜合成化学社製の商品名「アロニックスM−3
50」)100重量部、光開始剤1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の商品名
「イルガキュアー184」)7重量部、平均粒子径4.
5μmのシリコン樹脂微粒子(東芝シリコーン社製の商
品名「トスパール145」)0.1重量部、1−メトキ
シ−2−プロパノール200重量部を混合した液を用い
た。
【0058】この塗液を前述のポリカーボネートフィル
ム上にロールコーティング後、60℃で1分乾燥した後
に120W/cm2の高圧水銀灯を用いて積算光量約8
00mJ/cm2の条件で硬化を行い、膜厚が約3.5
μmの粗面化層を形成し、続いてフィルムの反対面にも
同様の粗面化層を形成した。
【0059】この粗面化層が形成された面に対し、前記
の各種耐溶剤性試験を行った所、外観の変化は観られ
ず、耐溶剤性に優れていた。
【0060】次に、片面の粗面化層上にインジウム−錫
酸化物層をスパッタリング法により形成して透明導電性
フィルムを作製した。スパッタリングターゲットにはイ
ンジウムと錫が重量比9:1の組成で充填密度が90%
のインジウム−錫ターゲットを用いた。スパッタ装置内
にフィルムをセットした後、1.3mPaの圧力まで排
気を行い、ついでArとO2の体積比98.5:1.5
の混合ガスを導入し、雰囲気圧力を0.27Paにし
た。そしてフィルム温度を50℃、投入電力密度が1W
/cm2の条件でDCスパッタリングを行い、透明導電
層を積層した。この透明導電層の膜厚は約19nm、表
面抵抗は約280Ω/□であった。
【0061】そしてこのようにして作成した透明導電性
フィルムの導電層表面の中心面平均粗さ(SRa)は
0.0045μm、非導電面側では0.0043μm、
ヘイズは0.8%、光線透過率は87.4%であった。
また、導電層が積層された面と反対側のフィルム面(以
下非導電面と記す)を、表面が平坦なガラス板等の上に
置いた場合でも、ガラス表面に密着して離れなくなるよ
うな事もなく、滑り性に優れていた。
【0062】さらに、このようにして作製した透明導電
性フィルムを上部と下部の電極基板として用い、公知の
方法によりアナログ式の透明タブレットを作製した。こ
のタブレットに対し、プラスチック製の入力ペンを用い
て入力試験を行った所、上下の電極面同士が密着して離
れなくなるような動作不良は全く観られなかった。
【0063】
【実施例2】実施例1においてフィルムの両面に積層し
た粗面化層の片面上に、テトラブトキシチタネート(日
本曹達社製の商品名「B−4」)をリグロイン(和光純
薬工業社製の等級が一級品)とブタノール(和光純薬工
業社製の等級が特級品)の混合溶媒で希釈した塗液を用
いてロールコーティングし、130℃で2分間熱処理し
て、膜厚約70nm、屈折率約1.82の層を形成し
た。
【0064】さらに、該層上に下記組成からなる塗液を
用いてロールコーティングし、130℃で2分間熱処理
して、膜厚約45nm、屈折率約1.45の層を形成し
た。すなわち、、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン(信越化学社製の商品名「KBM403」)と
メチルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「K
BM13」)を1:1のモル比で混合し、酢酸水溶液
(PH3.0)により公知の方法で前記シランの加水分
解を行った。こうして得たシランの加水分解物に対し、
固形分の重量比率20:1の割合でN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学
社製の商品名「KBM603」)を添加し、さらにイソ
プロピルアルコール(和光純薬工業社製の等級が特級
品)とn−ブタノール(和光純薬工業社製の等級が特級
品)の混合溶媒で希釈を行い、該層形成用の塗液とし
た。
【0065】前記二層を積層した面に対し、耐溶剤性試
験を行った所、外観の変化は観られず、耐溶剤性に優れ
ていた。
【0066】さらに、同面上に、実施例1と全く同様に
膜厚約19nm、表面抵抗約280Ω/□のインジウム
−錫酸化物層を形成して透明導電性フィルムを作製し
た。このようにして作成した透明導電性フィルムの導電
層表面の中心面平均粗さ(SRa)は0.0041n
m、ヘイズは0.8%、光線透過率は92.4%であっ
た。
【0067】次に、実施例1同様に、この透明導電性フ
ィルムを上部と下部の電極基板として用い、アナログ式
の透明タブレットを作製した。このタブレットは、入力
時に上下の電極面が密着して離れなくなるような動作不
良は観られず、さらに三波長蛍光灯下でこのタブレット
を観察した所、光干渉縞(ニュートンリング)はほとん
ど観察されなかった。
【0068】
【実施例3】実施例1のポリカーボネートフィルム上に
テトラブトキシチタネート(日本曹達社製の商品名「B
−4」)100重量部に対して、平均一次粒径120n
mの酸化ケイ素微粒子を0.45重量部混合し、さらに
これをリグロイン(和光純薬工業社製の等級が一級品)
とブタノール(和光純薬工業社製の等級が特級品)の混
合溶媒で希釈した塗液を用いてロールコーティングし、
130℃で5分間熱処理して、膜厚約64nm、屈折率
約1.87の層を形成した。
【0069】さらに、該層上に下記組成からなる塗液を
用いてロールコーティングし、130℃で7分間熱処理
して、膜厚約50nm、屈折率約1.45の層を形成し
た。すなわち、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン(信越化学社製の商品名「KBM403」)とメ
チルトリメトキシシラン(信越化学社製の商品名「KB
M13」)を1:1のモル比で混合し、酢酸水溶液(P
H約3.0)により公知の方法で前記シランの加水分解
を行った。こうして得たシランの加水分解物に対し、固
形分の重量比率20:1の割合でN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学
社製の商品名「KBM603」)を添加し、さらにイソ
プロピルアルコール(和光純薬工業社製の等級が特級
品)とn−ブタノール(和光純薬工業社製の等級が特級
品)の混合溶媒で希釈を行い、該層形成用の塗液とし
た。
【0070】ここで、前記二層を積層した面に対し、耐
溶剤性試験を行った所、外観の変化は観られず、耐溶剤
性に優れていた。
【0071】続いて、同面上に実施例1と全く同様に膜
厚約19nm、表面抵抗約280Ω/□のインジウム−
錫酸化物層を形成して透明導電性フィルムを作製した。
このようにして作成した透明導電性フィルムの導電層表
面の中心面平均粗さ(SRa)は0.0061nm、ヘ
イズは0.7%、光線透過率は91.4%であった。
【0072】次に、実施例1同様に、この透明導電性フ
ィルムを上部と下部の電極基板として用い、アナログ式
の透明タブレットを作製した。このタブレットは、入力
時に上下の電極面が密着して離れなくなるような動作不
良は観られず、さらに三波長蛍光灯下でこのタブレット
を観察した所、光干渉縞(ニュートンリング)はほとん
ど観察されなかった。
【0073】
【比較例1】実施例1において粗面化層の形成のために
用いた塗液中に、シリコン樹脂微粒子を混合させなかっ
た以外は、実施例1と全く同様に透明導電性フィルムを
作成した。このようにして作成した透明導電性フィルム
の導電層表面の中心面平均粗さ(SRa)は0.001
8μm、非導電面側は0.002μm、ヘイズは0.3
%、光線透過率は87.8%であった。この透明導電性
フィルムの非導電面を平坦なガラス板上に置いた所、フ
ィルムがガラス面に密着して離れなくなる現象が多発し
た。
【0074】また、この透明導電性フィルムを用いて、
実施例1と同様にアナログ式の透明タブレットを作製
し、入力試験を行った所、上下の電極基板が密着して離
れなくなるような動作不良が多発し、また、光干渉縞
(ニュートンリング)の発生がはっきりと観察された。
【0075】
【比較例2】粗面化層を形成するための塗液として、ト
リメチロールプロパンエチレンオキサイド変性アクリレ
ート(東亜合成化学社製の商品名「アロニックスM−3
50」)100重量部、光開始剤1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の商品名
「イルガキュアー184」)7重量部、平均一次粒径が
約100nmのシリカ0.5重量部、1−メトキシ−2
−プロパノール130重量部を混合した塗液を用いた他
は、実施例1と全く同様にして透明導電性フィルムを作
成した。
【0076】このようにして作成した透明導電性フィル
ムの導電面ならびに非導電面の中心面平均粗さ(SR
a)は0.0023μmであり、ヘイズは0.5%、光
線透過率は87.6%であった。この透明導電性フィル
ムの非導電面を平坦なガラス板等の上に置いた場合、ガ
ラス表面に密着して離れなくなる現象が多発した。
【0077】また、この透明導電性フィルムを用いて、
実施例1と同様にアナログ式の透明タブレットを作製
し、入力試験を行った所、上下の電極基板が密着して離
れなくなる動作不良が多発した。
【0078】
【比較例3】粗面化層を形成するための塗液として、ト
リメチロールプロパンエチレンオキサイド変性アクリレ
ート(東亜合成化学社製の商品名「アロニックスM−3
50」)100重量部、光開始剤1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバガイギ−社製の商品名
「イルガキュアー184」)7重量部、平均一次粒径が
約100nmのシリカ3重量部、1−メトキシ−2−プ
ロパノール130重量部を混合した塗液を用いた他は、
実施例1と全く同様にして透明導電性フィルムを作成し
た。
【0079】このようにして作成した透明導電性フィル
ムの導電面ならびに非導電面の中心面平均粗さ(SR
a)は0.027μmであった。この透明導電性フィル
ムの非導電面を平坦なガラス板等の上に置いた場合で
も、ガラス表面に密着して離れなくなるようなこともな
く、滑り性に優れていた。また、この透明導電性フィル
ムを用いて、実施例1と同様にアナログ式の透明タブレ
ットを作製し、入力試験を行った所、上下の電極基板が
密着して離れなくなるような動作不良は発生しなかっ
た。
【0080】しかしながら、この透明導電性フィルムの
ヘイズは4.1%であり、実施例1と比べてヘイズが高
く、タブレットの視認性が低下した。
【0081】
【発明の効果】本発明の透明導電性積層体は、導電面お
よび非導電面の滑り性に優れ、かつヘイズが低い特徴を
有し、導電面の表面反射を低減する事によって、非常に
高い光透過率を得ることができる。そして、この透明導
電性積層体を透明タブレットの上下の電極基板として用
いた場合には、動作不良や光干渉縞の発生が少なく、視
認性に優れた透明タブレットを得ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機高分子成型物からなる基板の一方の
    面上に、透明導電層が積層されてなる透明導電性積層体
    において、基板は表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)
    で0.003μm未満であり、基板上の少なくとも透明
    導電層が積層された側には粗面化層が積層され、透明導
    電性積層体としては少なくとも透明導電層が積層された
    側の表面の表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)で0.
    003〜0.04μmであることを特徴とする透明導電
    性積層体。
  2. 【請求項2】 粗面化層は基板の両側に形成され、透明
    導電性積層体としては両側の表面の表面粗さが中心面平
    均粗さ(SRa)で0.003〜0.04μmであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の透明導電性積層体。
  3. 【請求項3】 粗面化層内には、重量比率0.05〜
    0.5%の割合で、平均一次粒径が粗面化層の平均膜厚
    の1.1倍〜3倍の範囲にある微粒子が分散されている
    ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透明
    導電性積層体。
  4. 【請求項4】 透明導電層の基板側には、透明導電層に
    接して光学干渉層が積層されていることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性積層体。
  5. 【請求項5】 光学干渉層は樹脂架橋層を一層もしくは
    二層以上積層したものであり、かつ樹脂架橋層はケイ素
    アルコキシド、チタニウムアルコキシド、ジルコニウム
    アルコキシドのいずれかあるいはこれらアルコキシドの
    中から選ばれた混合物からなるものであることを特徴と
    する請求項4記載の透明導電性積層体。
  6. 【請求項6】 光学干渉層内の少なくとも一層が、粗面
    化層を兼ねて積層されていることを特徴とする請求項5
    記載の透明導電性積層体。
  7. 【請求項7】 二枚の透明電極基板が電極面を相対して
    配置される透明タブレットにおいて、少なくとも一方の
    透明電極基板として請求項1〜6のいずれかに記載の透
    明導電性積層体を用いたことを特徴とする透明タブレッ
    ト。
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