JPH10241928A - 磁性流体の低コスト製造方法 - Google Patents

磁性流体の低コスト製造方法

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JPH10241928A
JPH10241928A JP10055918A JP5591898A JPH10241928A JP H10241928 A JPH10241928 A JP H10241928A JP 10055918 A JP10055918 A JP 10055918A JP 5591898 A JP5591898 A JP 5591898A JP H10241928 A JPH10241928 A JP H10241928A
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magnetic fluid
magnetic
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iron oxide
slurry
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JP10055918A
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Kuldip Raj
クルディップ・ラジ
Lutful M Aziz
ラトフル・エム・アジズ
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Ferrofluidics Corp
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/44Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids
    • H01F1/445Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids the magnetic component being a compound, e.g. Fe3O4

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来技術による場合よりも短時間の内に実質的
に大量の磁性流体を製造するプロセスを提供する。 【解決手段】磁性流体製造プロセスにより、非磁性のα
−Fe23からなる出発原料にエネルギーが加えられ
て、これに磁性を帯びさせ、磁性流体に使うために適切
なものとする。この出発材料を、溶液と界面活性剤と共
に市販のアトライター粉砕機の中に入れるが、この粉砕
機の運動により、この非磁性粒子が磁性粒子に変換され
る。オイルからなる担体用液体の場合に必要な溶媒除去
プロセスを無くするために、粉砕溶媒と同時に磁性流体
の担体用液体として水を使用する。これにより得られた
水ベースの磁性流体の飽和磁化は高く、粘性が低く、コ
ロイド安定性も良好である。このユニークな方法を使用
して、大量の磁性流体を短時間で安く製造することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は従来技術による場合よ
りも短時間の内に実質的に大量の磁性流体を製造するプ
ロセスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁性流体は磁性粒子を含有するコロイド
・システムであり、この磁性粒子は典型的には10nm
のオーダーの粒径を有し、液体状担体の中に懸濁してい
る。磁性流体とその他の公知のコロイドの差異は、磁性
流体が磁気特性を有する粒子を特に利用していることに
対して、その他のコロイドには磁性粒子を含んでいない
ことである。市販されている磁性流体には、マグネタイ
ト粒子あるいは混合フェライト粒子が一般的に含まれて
いるが、他の磁性材料からなる粒子を使用することも可
能であり、この場合の磁性材料には、鉄、コバルト、ニ
ッケル、二酸化クローム、窒化鉄や、これらの材料の磁
性合金等がある。一般的には、磁性流体はコロイド的に
安定なものであり、その粘性は比較的低い。
【0003】安定なコロイドとなるためには、この磁性
粒子のサイズは10nmのオーダーでなければならな
い。実際には、一般的に磁性粒子の形状は球状であり、
単一の磁気ドメインを形成する程に小さなサイズであ
り、このドメインが、その中にN極とS極とを一つずつ
有する小さな永久磁石となっている。この磁性粒子は、
更に、界面活性剤からなる層でコーティングされてお
り、磁力とワンデルワールス力の吸引力により凝集する
ことが防止されている。磁性粒子が凝集しないように、
正電極あるいは負電極を加えることにより安定なコロイ
ドを形成することも可能であり、この方式によるもの
は、「イオン型磁性流体」と呼ばれている。これらの磁
性流体に使用する界面活性剤は、この界面活性剤が担体
と化学的に適合していなければならないので、担体によ
ってそれぞれ異なる。この磁性粒子は界面活性剤からな
る単独の層あるいは二層のいずれかの一方でコーティン
グされる場合もあり、粒子は、カチオン型、アニオン
型、非イオン型のいずれかの特性を有することがある。
【0004】典型的な磁性流体は、以下の体積比率を有
することもある。即ち、磁性粒子が4%で、界面活性剤
が8%で、液体状担体が88%である。磁性流体は、磁
性粒子が懸濁している液体状担体により特徴付けられる
が、この理由は、液体状担体の割合が大きいからであ
る。例えば、水ベースの磁性流体は水の中に磁性粒子が
安定的に懸濁しているものであるが、オイルベースの磁
性流体は、オイル(例えば、炭化水素、エステル、フッ
化炭素、シリコーンオイル、ポリフェニルエーテル等
々)の中に、磁性粒子が安定的に懸濁しているものであ
る。磁性流体の物理特性は、更に、液体状担体が主な成
分であるので、この選択にも左右される。このことに加
えて、上述のように、水ベースの磁性流体とオイルベー
スの磁性流体に使用する界面活性剤は異なる。
【0005】磁性コロイドは、シーリングと熱伝導率を
向上させるために、磁場により操作できて、配置するこ
とができる「流体磁石」と見ることもできる。磁性流体
の商業用の用途には、シール、ダンパー、熱伝導、ノイ
ズ制御、材料分離、センサー、部品検査等がある。磁性
流体は、様々な製品に使用されており、これらの製品に
は、隔離用シール、ラウド・スピーカー、ステッピング
・モータ等々がある。磁性流体を使用した製品が典型的
に使用される産業分野には、半導体産業、コンピュータ
産業、航空産業、石油探査産業、及び鉱山産業がある。
【0006】磁性流体を作るための公知の製造プロセス
は、鉄を有するFe34(マグネタイト)等の材料から
なる粒子で適切なサイズの粒子を最初に製造することを
特徴とする。磁性流体に使用する場合に必要なサブミク
ロン(例えば、約10nm)のサイズを有するマグネタ
イト粒子は市販されてはいない。従って、適切なサイズ
の粒子を作るために2つの方法が使用されており、この
方法には、ボールミルによる粉砕と化学的析出によるも
のがある。これらの方法は、Ferrohydrodymanics(著
者:R. E. Rosenweig、出版社:Cambridge University
Press)という本やMagnetic Fluid Hnadbook and Appli
cation Handbook(著者:B. Berkovoski、出版社:Bege
ll House, Inc., New York 1996)という本に詳細に記
載されている。
【0007】ボールミルによる典型的な粉砕プロセスに
おいては、マグネタイト粒子等の市販されている磁性粉
末を最初に使うが、この粉末では、粒子のサイズは、例
えば、約0.15ミクロンから約0.3ミクロン(即
ち、約150nmから約300nm)の「ミクロンサイ
ズ」である。次に、市販されているこの磁性粒子を粉砕
して、そのサイズを約90%減少させて、約10nmに
する。ボールミルによる典型的な粉砕プロセスは米国特
許第3,917,538号に記載されている。このプロ
セスでは、適切な量の磁性粉末と界面活性剤と溶剤と
を、0.635cm(1/4インチ)の炭素鋼からなる
ボール等の粉砕媒体が約40%となるように入れたステ
ンレス鋼製の粉砕容器の中に入れる。粉砕を効果的に行
うためには、この溶媒の粘性が低くなければならない。
水ベースの磁性流体では、水からなる担体の粘性が低い
ので、従って、粉砕プロセスにおける溶剤として水を使
うことができる。オイルをベースとする磁性流体の場合
には、担体となる液体の粘性は往々にして高い。従っ
て、粘性を下げるために粉砕プロセス中にオイルからな
る担体に低分子量の溶剤を加えることが往々にしてあ
る。この次に、この溶媒を蒸発させることにより除去し
て、最終的に得られる磁性流体の飽和磁化が増大させら
れる。
【0008】粉砕機の回転運動により、粒径の粗いマグ
ネタイトに繰り返し粉砕媒体が当たり、これをサブミク
ロンサイズの粒子に粉砕すると同時に界面活性剤により
一部の粒子をコーティングする。粉砕媒体により発生す
るせん断エネルギーは比較的小さいので、従来のボール
ミルによる作業が完了するためには2週間から6週間か
かり、しかも、分散特性は良くない。このプロセスによ
り形成されたコロイドには一般的にコーティングされて
いない粒子やサイズの大きな凝集物が含まれており、従
って、次に続いて、精製プロセスが必要となり、このプ
ロセスで好ましくない粒子や凝集物が除去される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】更に、最終製品には、
粉砕プロセス中に生成した細かい粒子が存在するため
に、その粘性は往々にして大きくなる。このような細か
い粒子により、磁性流体の熱的安定性が劣化することも
更に知られている。市販されている磁性粉末の中に始め
から存在する大きな凝集物で、有用な細かい粒子からな
る大きな凝集物を少なくするだけの場合もあることも信
じられている。この歩留まりは良くなく、製造にかかる
時間も長く、それに伴うコストも高いので、ボールミル
による方法は、商業的な磁性流体を大量に製造するため
には適しているとは一般的には考えられない。
【0010】マグネタイト粒子は化学的析出プロセスに
よっても製造することができる。このようなプロセスで
は、一般的に、アルカリ性媒体の存在下で第1鉄の塩の
溶液と第2鉄の塩の溶液とを混合することによりマグネ
タイト粒子が作られる。ここで出来た粒子を次に界面活
性剤でコーティングする。この方法により水ベースの磁
性流体とオイルベースの磁性流体とのどちらも作ること
ができる。例えば、米国特許第5,240,626号に
は、ナノサイズのマグネタイト粒子がカルボキシ機能型
ポリマーからなる1種類の界面活性剤によりコーティン
グされた場合の水ベースの磁性流体の合成方法が開示さ
れている。米国特許第4,094,804号では、未乾
燥状態の磁性粒子に対して、別個の2種類の界面活性剤
によるコーティングがなされている。木材をパルプにす
る工程での副産物であるリグノスルフォナートを使っ
て、米国特許第4,110,208号に開示されている
ように、マグネタイトのマイクロ結晶を化学的に析出さ
せることにより、水ベースの低コストのコロイドが作ら
れている。
【0011】しかしながら、このような方法で作られた
磁性流体では、磁性粒子が生成した後に、この粒子サイ
ズを許容できる範囲内に押さえておくためには、数多く
のプロセスが必要となるのが典型的である。この結果得
られる磁性流体の粘性は高くて、その磁化は低い。従っ
て、この磁性流体は実際の用途の内で多数の場合に適し
ていない。これに加えて、化学的析出方法には、数種類
の化学薬品を使用することや多数のプロセス操作が必要
となるが、この操作には磁性粒子の洗浄や界面活性剤を
吸着させるための加熱制御や磁力使用した相分離等が含
まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】従って、短時間に大量の
磁性流体を安く製造することのできるプロセスが必要で
ある。更に、このような磁性流体は水ベースのものであ
ることが好ましく、この理由は、水ベースの磁性流体の
場合には、使用するする化学成分を最小限にすることが
可能であり、水からなる担体は価格が低いのでコストを
非常に安くすることが可能である。更に、廃棄物が全く
出ないプロセスであり、かつ、労力が余り必要でないプ
ロセスによって磁性流体を製造することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本願発明の原理に従った磁性流体
の製造プロセスにおいては、出発原料として非磁性の鉄
粉を使用して、この非磁性鉄粉にエネルギーを加えて磁
性を帯びさせて磁性流体に使用するのに適するようにす
る。
【0014】一つの実施態様においては、この非磁性の
出発原料はα−Fe23であり、これは文献によれば赤
色の酸化鉄と呼ばれることが良くある。この材料は、1
0nmレベルの特定のサイズを有するものとして市販さ
れており、従って、粒子サイズを減少させる目的におい
ては、粉砕は殆どあるいは全く必要ない。この材料を溶
媒と界面活性剤と一緒に市販の後ライター粉砕機の中に
入れるのであるが、この粉砕機の動きによりこの非磁性
粒子が磁性粒子に変換される。
【0015】本願発明の他の観点においては、粉砕溶媒
と磁性流体の担体用液体として水を使用している。この
ことにより、オイルからなる担体の倍に必要な溶媒除去
ステップが無くなる。この結果得られる水ベースの磁性
流体の飽和磁化は高く、粘性も低く、コロイド安定性も
良好である。このユニークな方法を使って大量の磁性流
体を短時間の内に安く作ることが可能である。極めて大
量の磁性流体を製造するレベルにスケールアップするこ
とは容易に達成できる。
【0016】本願発明の一つの実施態様においては、出
発原料は非磁性の赤色の酸化鉄である。この実施態様に
おいて使用した赤色の酸化鉄は、ニュージャージー州マ
ウント・オリーブのBASF Corporation社から入手した。
この材料は「カルボニル酸化鉄・赤」の商品名にて販売
されている。この粒子径は10〜130nmであると記
載されている。粉末の見かけの密度は0.7〜0.8k
g/lであり、水には不溶である。この粉末のX−線回
折を測ってこれがα−Fe23であることを確認した。
この粉末に磁石を近づけても磁力により引きつけられる
ことはなかった。
【0017】α−Fe23の出発原料を後ライター粉砕
機で処理するのであるが、この粉砕機によりこの出発原
料には高レベルのせん断エネルギーが加えられてこの非
磁性の赤色の酸化鉄粉末が磁性を有するマグネタイト
(Fe34)に変換する。後ライター粉砕機は多数の製
造元から購入することができる。以下の実施例において
は、オハイオ州アクロンのUnion Process Company社に
より製造された2つの異なる機械を使用した。第1の後
ライター粉砕機は01−HDDM型(最大容積は1.4
リットル)であり、これは少量の材料を処理するための
実験室用縦型後ライターである。第2の後ライター粉砕
機はDM−20型(最大容積は20リットル)であり、
中程度の製造用の横型後ライターである。これらの粉砕
機に使用した粉砕媒体は直径が0.85mmあるいは
0.25mmの炭素鋼からなるボールであり、この粉砕
機は様々なスピードで運転することができる。この後ラ
イター粉砕機には回転軸が搭載されており、この回転軸
には穴の開けられた円盤が複数取り付けられており、こ
の穴開きの円盤により回転軸の運動エネルギーが粉砕機
中の粉砕媒体とスラリーに伝達され、このプロセスによ
り発生する熱は撹乱された懸濁液の流れと外側の冷却に
より除去される。このような粉砕機は、例えば、インク
やペンキや塗料の製造等の場合の粉砕用途や分散用途に
従来から使用されている。
【0018】01−HDDM型後ライター粉砕機を使用
した場合には、粉砕プロセスに使用する材料は、開口を
通じて1種類ずつ容器の中に直接注入される。材料を混
合するために回転軸を当初低速で回転させ、次に、コロ
イドを形成するためにその速度を上げる。材料をDM−
20型後ライター粉砕機で処理する場合には、このプロ
セスは連続式でもバッチ式でも可能である。どちらの場
合でも、水と界面活性剤と赤色の酸化鉄からなるスラリ
ーを55ガロンのドラム等の大きなドラムの中で当初プ
レミキシングを行い、次に、後ライター粉砕機の中に注
ぎ込む。
【0019】図1は本願発明のユニークなプロセスに従
って磁性流体をバッチ式あるいは連続式のいずれかの方
法で製造するための装置を説明するための工程図であ
る。水からなる溶媒と界面活性剤と赤色の酸化鉄とを以
下に記載するような適切な割合でプレミックス用容器1
00に入れる。アジテータ102により、この酸化鉄が
スラリー中に懸濁した状態が維持される。このスラリー
は排出用パイプ104を通じてバルブ106に流れ、こ
のバルブ106により、パイプ108を経由してこのス
ラリーがぜん動型ポンプ(peristaltic pump)110ま
で流れる。
【0020】このスラリーは、ポンプ110から流れ出
てパイプ112を経由してDM−20型後ライター粉砕
機114に流れ、この後ライター粉砕機114により安
定なコロイドが形成されて、非磁性の酸化鉄をマグネタ
イトに変換させるためにスラリーを粉砕する。この寸再
起114はパイプと115Aを通じてこの混合物の温度
を制御する熱交換器/冷却器116に連結されている。
この混合物は、次に、パイプ118を通じて収集容器1
22に流入する。第2のアジテータ120によりこの混
合物は懸濁状態に維持される。この混合物は、後ライタ
ー粉砕機114を一回目に通ったときに所望の磁化が達
成できない場合に、後ライター粉砕機114を二回目に
通すためにパイプ124を通じてバルブ106とポンプ
110に戻される。別の方法では、最終的に得られた磁
性流体を収集容器122から取り出すこともできる。装
置をバッチ式で使用した場合には、容器100の中のプ
レミックスされたスラリーを後ライター粉砕機114の
中に注ぎ込んで粉砕する。ここで得られたコロイドは収
集容器122の中に集められる。容器100の中の全て
の内容物が粉砕機114により処理された後に、容器1
22の中の全ての内容物はパイプ124を通じて容器1
00に戻されて粉砕プロセスが繰り返される。
【0021】後ライター粉砕機の中では、粉砕運動がボ
ールミルの中の場合よりもはるかに強烈である。その結
果、後ライター粉砕機を使用した場合には、ボールミル
を使用した場合よりもはるかに短い時間で満足のいく結
果が達成できるので、後ライター粉砕機を使用すること
が磁性流体を製造する場合の粉砕時間とコストを下げる
ためには重要なファクターである。1つの説明として、
上述の実験室用の後ライターを従来のボールミルを使用
して、水ベースの同じ磁性流体を調製した。磁性流体の
成分は、後ライター粉砕機の場合とボールミルの場合と
も同じ割合のものを使用した。図2にこの場合の結果が
示されている。後ライター粉砕機の場合には、ボールミ
ルの場合に比較してはるかに短い時間で満足のいく飽和
磁化を有する安定コロイドが形成される。例えば、後ラ
イターの場合には、60分で飽和磁化が60ガウスの磁
性流体が得られたがボールミルの場合には同様な飽和磁
化を有する磁性流体を作るのには約60時間運転しなけ
ればならなかった。
【0022】水ベースの磁性流体を作る目的で、多種類
の界面活性剤をテストするために01−HDDM型後ラ
イターを使用した。一部の界面活性剤は他のものよりも
機能が良好であったが、一部の界面活性剤は不適格であ
った。このテストに使用した混合物は、以下の通りであ
った。即ち、30グラムのα−Fe23と、175ccの
非イオン水と、12グラムの界面活性剤と、400ccの
直径0.85mmの炭素鋼からなる粉砕用ボールである。
テストでは、毎回、α−Fe23の酸化鉄粉末と非イオ
ン水と選択した界面活性剤とを上述のように別々に01
−HDDM型アトライターの中に入れて、粉砕を始める
前に低速で混合した。
【0023】アトライターの軸の回転スピードを350
0RPMにして、粉砕をそれぞれ6時間行った。安定状
態に達したときのスラリーの温度は約70℃に達した。
ここで得られた磁性流体の特徴を磁化と色で調べた。高
品質の磁性流体は飽和磁化が高く、全体に同じ黒い色を
有している。磁化の低い磁性流体は用途が限られる。褐
色を呈している場合は、界面活性剤が他の成分とは化学
的に適合性がなくて、磁性粒子のコーティングが適切で
ないことを示している。多種類の界面活性剤を使用した
場合の結果の纏めが表1に示されている。他の界面活性
剤も試したが、磁性粒子をコーティングが起こらない
か、あるいは、異常な発泡が起こったりして、結果とし
て、満足のいくものではなかった。
【0024】表1に、本願発明のユニークな方法に従っ
て多種類の界面活性剤を使用して製造された磁性流体の
特性を一覧表で示した。
【0025】
【表1】
【0026】図1に図示されたプロセス用の装置を有す
るDM−20型アトライター粉砕機を使用して磁性流体
を大量に製造する場合の酸化鉄スラリーの調製には同じ
調合を使用した。DM−20型アトライター粉砕機を使
用したテストでは、1種類だけの界面活性剤を使用した
が、それはWestvaco社のReax 88Bという界面活性剤であ
った。
【0027】これらのテストにおいては、40キログラ
ムのα−Fe23の酸化鉄を55ガロンのドラムに入れ
た。これに15キログラムのReax 88Bの界面活性剤を加
え、次に、40ガロンの非イオン化水を加えた。これら
を撹拌・混合して、45ガロンの均一なスラリーを得
た。
【0028】次に、1バッチ45ガロンのこのスラリー
を図1に示された装置を使用してバッチ式に運転して処
理した。容器100から得られた混合物を、1時間当た
り20ガロンの速さでアトライター粉砕機114の中に
注入した。この粉砕機から出てくるものは全て中が空に
なった容器122の中に集められた。この操作が「パス
No.1」となる。容器122の中の内容物は全て、次
に、第2のパスのために容器100の中に移し替えられ
た。このプロセスを、1バッチ45ガロン毎に、合計4
回繰り返した。各回のパス毎の総時間は約2時間であっ
た。
【0029】1バッチ45ガロンの場合の5回のバッチ
の結果を表2に示す。各バッチ毎の粒子サイズの測定値
は約90オングストロームであった。約8時間後に45
ガロンの「直ぐに使える状態の」磁性流体がこのプロセ
スで作られた。この磁性流体の飽和磁化は165ガウス
であった。より大きな容量のアトライターを使えば生産
量は増大する。この操作中には廃棄物は何も出なかっ
た。
【0030】表2に、本願発明の原理に従って大量に製
造された磁性流体の特性を一覧表で示した。
【0031】
【表2】
【0032】市販されている黒色のマグネタイト粉末の
中で(粒子サイズの点で)ベストのものを使って、実験
室用のアトライターとボールミルとの両方を使用して水
ベースの磁性流体を作成することを行った。褐色の酸化
物を粉砕する場合と同じ調合を使用した。更に、使用し
た界面活性剤は、Westvaco社のReax 88Bであったが、こ
れは褐色の酸化鉄と相性が良いとして知られているもの
であった。原料となるマグネタイト粉末の一つにはニュ
ージャージー州マウント・オリーブの BASFCorporatio
n社が製造した「BASF Micromagnetite」の名称の製品で
あった。この粉末の粒子サイズは0.15ミクロンであ
った。原料とした他のマグネタイト粉末は、イリノイ州
フェアービュー・ハイツのHarcros Pigment Inc.社が製
造した「HPX-6173」の名称の製品であり、この粒子サイ
ズは45nmであった。これらの実験の結果によれば、
このようにして形成されたコロイドは安定性が良好でな
く、粒子の沈降が多く見られた。磁性流体の磁化は低か
った(〜10ガウス)。しかしながら、アトライターの
場合の生成量はボールミルの場合よりも多かった。
【0033】
【発明の効果】本願発明により、従来技術の場合よりも
実質的に短時間でコロイド状の磁性流体を製造すること
が可能となる。プロセスに必要な時間を、時間単位から
分単位に短縮したり、日単位から時間単位に短縮するこ
とができ、このことにより、磁性流体を商業的な量で経
済的に製造することが可能となる。これにより得られた
水ベースの磁性流体の飽和磁化は高く、粘性が低く、コ
ロイド安定性も良好となる。大量の磁性流体を短時間の
内に安く作ることが出来、このプロセスは極めて大量の
生産規模にスケールアップすることも容易である。この
技術は自動化されており、最低限の管理で十分であり、
工程数も少ない。製造中には廃棄物が何も出なくて、磁
性流体の製造には僅か3成分のみが使用される。
【0034】更に、この水ベースの磁性流体をカチオン
性の界面活性剤と共に調製する場合には、Rosensweigに
付与された米国特許第3,917,538号に論じられ
ているように、この磁性粒子を非可逆的に凝集させるこ
とが可能であり、新たな界面活性剤を選択することによ
り、オイルからなる担体当の別の媒体中にこれを再度懸
濁させることにより低コストで処理することが可能であ
る。
【0035】本願発明は、その好ましい実施態様を参考
にしながら以上のように具体的に示され記載されている
が、以下の特許請求の範囲により規定される本願発明の
精神と範囲から離れることなく多種類の変更をその形態
や詳細部分に加えることが可能であることは当業者には
理解されているものとされる。
【0036】本願発明の以上の長所及び更なる長所は、
以上の記載とそれに対応する図面を参照することにより
更に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本願発明の方法に従って磁性流体をバ
ッチ式あるいは連続式に製造する場合に使用することが
できるプロセス用装置の工程の模式図である。
【図2】図2は、本願発明の原理に従って磁性流体用の
出発原料を粉砕するために後ライター粉砕機を使った場
合に、ボールミルを従来通りに使用した場合と比較した
ときのプロセス時間の減少を図示するグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 ラトフル・エム・アジズ アメリカ合衆国、ニューハンプシャー州 03060、ナシュア、フッカー ストリート 20

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性流体を製造する方法であって、前記方
    法が、 (a)スラリーを形成するために非磁性酸化鉄粒子と、
    担体用液体と、界面活性剤とを組み合わせるステップ
    と; (b)上記非磁性酸化鉄粒子を磁性酸化鉄粒子に変換す
    るために上記スラリーに機械的エネルギーを加えるステ
    ップ;とを有することを特徴とする磁性流体製造方法。
  2. 【請求項2】上記非磁性酸化鉄がα−Fe23であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の磁性流体製造方法。
  3. 【請求項3】上記液体状担体が水であることを特徴とす
    る請求項1記載の磁性流体製造方法。
  4. 【請求項4】上記界面活性剤がリグノスルフォン酸のナ
    トリウム塩であることを特徴とする請求項1記載の磁性
    流体製造方法。
  5. 【請求項5】上記(b)のステップが、 (b1)上記スラリーに機械的せん断エネルギーを加え
    るステップを有することを特徴とする請求項1記載の磁
    性流体製造方法。
  6. 【請求項6】上記(b)のステップが、 (b2)アトライター粉砕機の中に上記スラリーを入れ
    るステップと; (b3)磁性流体ができるまで十分な時間に亘って上記
    アトライター粉砕機を運転するステップ;とを有するこ
    とを特徴とする特徴とする請求項1記載の磁性流体製造
    方法。
  7. 【請求項7】上記(b3)のステップにおいて上記時間
    が、生成された磁性流体が予め定められた飽和磁化を有
    するまで十分に長いことを特徴とする請求項6記載の磁
    性流体製造方法。
  8. 【請求項8】 磁性流体を製造するための方法であっ
    て、前記方法が、 (a)スラリーを形成するためにα−Fe23の粒子
    と、水と、界面活性剤とを組み合わせるステップと; (b)上記スラリーをアトライター粉砕機の中に入れる
    ステップと; (c)上記非磁性酸化鉄粒子を磁性酸化鉄粒子に変換す
    るために十分な時間に亘って上記アトライター粉砕機を
    運転するステップ;とを有することを特徴とする磁性流
    体製造方法。
  9. 【請求項9】上記界面活性剤がリグノスルフォン酸のナ
    トリウム塩であることを特徴とする請求項8記載の磁性
    流体製造方法。
  10. 【請求項10】上記界面活性剤がWestvaco社のReax 88B
    であることを特徴とする請求項8記載の磁性流体製造方
    法。
  11. 【請求項11】上記α−Fe23粒子が10nmと13
    0nmとの間のサイズを有することを特徴とする請求項
    8記載の磁性流体製造方法。
  12. 【請求項12】上記α−Fe23粒子がBASF社のカルボ
    ニル酸化鉄赤色粉末であることを特徴とする請求項8記
    載の磁性流体製造方法。
  13. 【請求項13】上記水が非イオン化されていることを特
    徴とする請求項8記載の磁性流体製造方法。
  14. 【請求項14】上記(b)のステップが、 (b1)上記アトライター粉砕機の中に鋼製の粉砕媒体
    を入れるステップを有することを特徴とする請求項8記
    載の磁性流体製造方法。
  15. 【請求項15】上記鋼製の粉砕媒体が0.25mmの炭
    素鋼からなるボールであることを特徴とする請求項14
    記載の磁性流体製造方法。
  16. 【請求項16】磁性流体を製造する方法であって、前記
    方法が、 (a)重量比率で19%のα−Fe23粉末と、73%
    の水と、8%のWestvaco社のReax 88Bの界面活性剤から
    なるスラリーを形成するステップと; (b)上記スラリーをアトライター粉砕機の中に入れる
    ステップと; (c)上記非磁性酸化鉄粒子を磁性酸化鉄粒子に変換す
    るために十分な時間に亘って上記アトライター粉砕機を
    運転するステップ;とを有することを特徴とする磁性流
    体製造方法。
  17. 【請求項17】製造された磁性流体が少なくとも150
    ガウスの予め定められた飽和磁化を有するように上記
    (c)のステップの上記時間が十分に長いことを特徴と
    する請求項16記載の磁性流体製造方法。
  18. 【請求項18】上記(b)のステップが、 (b1)上記アトライター粉砕機の中に炭素鋼からなる
    粉砕媒体を入れるステップを有することを特徴とする請
    求項16記載の磁性流体製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018532279A (ja) * 2015-08-28 2018-11-01 湖南博海新材料股▲ふん▼有限公司Hunan Bohai New Materials Co.,Ltd ナノ磁気レオロジカル流体及びその製造設備並びに方法

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