JPH10238691A - 真空断熱パネル及びその製造方法並びにこの真空断熱パネルを用いた冷蔵庫 - Google Patents

真空断熱パネル及びその製造方法並びにこの真空断熱パネルを用いた冷蔵庫

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JPH10238691A
JPH10238691A JP9043132A JP4313297A JPH10238691A JP H10238691 A JPH10238691 A JP H10238691A JP 9043132 A JP9043132 A JP 9043132A JP 4313297 A JP4313297 A JP 4313297A JP H10238691 A JPH10238691 A JP H10238691A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝達と輻射伝熱の量を抑制する断熱性の大
きい真空断熱パネル及びその製造方法並びにこの真空断
熱パネルを用いた冷蔵庫を得ること。 【解決手段】 芯材によって形状を保持されてなる真空
断熱パネル7であって、芯材が板状充填材を含有する連
通気泡の硬質ポリウレタンフォームからなる多孔体によ
って構成され、板状充填材の面を芯材の面方向と平行に
配向させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、冷蔵庫や
保冷車などの断熱を要する壁面の金属製薄板と樹脂成型
品で構成された間隙に断熱材として配設して用いる真空
断熱パネルに係り、さらに詳しくは、外殻をアルミ箔な
どの不透気性のフィルムなどで作られた容器または包装
材の内部にあって、主として内部を真空に保持していて
も大気圧による加圧に対して変形を来さず、形状を保持
する機能を有する芯材を備えた真空断熱パネル及びその
製造方法並びにこの真空断熱パネルを用いた冷蔵庫に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫や保冷車などに用いる断熱
体の壁面は、外郭を鉄板などの金属製薄板で覆い内面部
分を樹脂成形品で形成して、その間隙に硬質ポリウレタ
ンフォームを注入発泡して充填させたものが用いられて
きた。断熱材である硬質ウレタンフォームの発泡剤に
は、ハイドロクロロフルオロカーボン類である1,1−
ジクロロ−1−フルオロエタンが用いられてきたが、近
年オゾン層破壊の原因となる塩素を分子中に含まないハ
イドロフルオロカーボン類やハイドロカーボン類を用い
ることが提案されている。
【0003】例えば、特開平2−235982号公報で
は、1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(H
FC−245fa)や1,1,1,4,4,4−ヘキサ
フルオロブタン(HFC−356mffm)のようなハ
イドロフルオロカーボン類を、特開平3−152160
号公報ではシクロペンタンなどのハイドロカーボンを、
発泡剤に適用した硬質ポリウレタンフォームの製造方法
が開示されている。しかしながら、これらの硬質ポリウ
レタンフォームの断熱性は19〜20mw/mkであ
り、オゾン層破壊物質の仕様規制前に用いていたクロロ
フルオロカーボン類を用いた場合の16mw/mkの断
熱性に比較すれば明らかに劣る。
【0004】このため、各断熱材の性能を比較した図7
に示すように、従来の硬質ポリウレタンフォームによっ
て構成した真空断熱パネルの2倍以上の断熱性能が得ら
れる真空断熱パネルを応用する技術が提案されている。
例えば、特開昭60−243471号公報には、硬質ポ
リウレタンフォーム(以下、PUFという)の粉砕品を
合成樹脂袋に投入してボード状に真空パックしたものを
壁内に配設した断熱箱体が開示されており、特開昭60
−60483号公報では、側板のフランジ側にPUFが
流動する隙間を設けた真空断熱パネルの設置方法が開示
されている。このような真空断熱パネルの芯材は、大気
圧相当以上の強度を有し、熱伝導と輻射伝熱の量を抑制
することが必要になり、従って、芯材には伝熱量が小さ
い物質で作られた多孔質物質の板が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の条件を満たすも
のとして、特開昭60−205164号公報では連通気
泡の硬質ポリウレタンフォームを、特開昭60−718
81号公報ではパーライト粉末を、特開平4ー2185
40号公報では熱可塑性のウレタン樹脂粉体を型内で焼
結させた板状成形品を、また、特開平7ー96580号
公報ではガラスの長繊維を無機微粉末にフィビリル化し
た樹脂繊維により固化保持したボードを、真空断熱パネ
ルのコア材として使用している。しかしながら、これら
の方法では、真空断熱パネルの芯材として必要な断熱機
構を一部にしか応用していないため、真空断熱パネルと
しての熱伝導率が不十分であった。
【0006】このため、断熱性能の向上を達成するため
に、輻射熱の遮蔽効果に優れる金属箔や金属蒸着フィル
ムを埋設する特開昭62−13979号公報や、ケイ酸
カルシウム等の微粉末を混合したPUFを用いる特開昭
63−135694号公報に開示された発明がある。
【0007】しかしながら、ケイ酸カルシウム等の粒状
物質を混合するには相当量が必要で、それら充填材の熱
伝導率が高いために、十分な断熱性を得るに至っていな
い。また、金属箔を配設した芯材であっても伝熱が面方
向に展開するのみで減衰することがないため、物質間の
伝熱に対する抑制を得た構造にはなっていない。しか
も、特開昭60−243471号公報で述べているPU
Fの粉砕物をそのままで用いれば、真空断熱パネルへの
挿入や包装用袋内を真空状態にした後の体積減少が大き
いなど、取り扱いに困難が伴う。
【0008】本発明は、上記のような課題を解決するた
めになされたもので、環境破壊をもたらすことなく製造
でき、真空状態のパネル形状を保持でき、熱伝達と輻射
伝熱の量を抑制でき、軽量で量産生に優れ、製造時の取
扱性に優れた、断熱性の大きい真空断熱パネル及びその
製造方法並びにこの真空断熱パネルを用いた冷蔵庫を得
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明にかかる真空断熱パネルは、芯材によっ
て形状を保持されてなる真空断熱パネルであって、芯材
を、板状充填材を含有する連通気泡の硬質ポリウレタン
フォームからなる多孔体で構成したものである。 (2) 上記(1)の真空断熱パネルにおいて、板状充
填材の面を芯材の面方向と平行に配向させた。
【0010】(3) 上記(1),(2)記載の真空断
熱パネルにおいて、板状充填材に無機物または金属の少
なくとも一方を用いた。 (4) 上記(3)記載の真空断熱パネルにおいて、板
状充填材にフレーク状マイカを用いた。 (5) 上記(3)記載の真空断熱パネルにおいて、板
状充填材にプラスチックスフィルムを用いた。
【0011】(6) 上記(3)記載の真空断熱パネル
において、板状充填材に金属薄膜を被覆したプラスチッ
クスフィルムを用いた。 (7) 上記(3)記載の真空断熱パネルにおいて、板
状充填材に金属箔を用いた。 (8) 上記(6),(7)記載の真空断熱パネルにお
いて、金属薄膜または金属箔にアルミニウムを用いた。
【0012】(9) 上記(1),(2),(3),
(4),(5),(6),(7),(8)記載の真空断
熱パネルにおいて、板状充填材の表面に離型剤を塗布し
た。 (10) 上記(1),(2),(3),(4),
(5),(6),(7),(8),(9)記載の真空断
熱パネルにおいて、板状充填材の大きさを硬質ポリウレ
タンフォームのセルサイズよりも大きくした。 (11) 上記(1),(2)記載の真空断熱パネルに
おいて、芯材の表面層を削除した。
【0013】(12) 本発明による真空断熱パネル
は、板状充填材と硬質ポリウレタンフォームの原料液を
混合して板状成型型の端部から注入し、この端部から発
泡させて流れ方向にシェアをかけ、板状充填材の面を板
状成型品の面方向と平行に配向させるようにしたもので
ある。
【0014】(13) 上記(12)記載の真空断熱パ
ネルの製造方法において、板状充填材に離型剤を塗布
し、板状充填材を硬質ポリウレタンフォームの原料液で
あるプレミックス液とイソシアネート液を混合する直前
に投入し、これらの混合原料を発泡に間に合うように板
状成型型の端部から注入し、この端部から発泡させてそ
の後の発泡により流れ方向にシェアをかけ、板状充填材
の面を板状成型品の面方向と平行に配向させるようにし
た。
【0015】(14) 上記(12),(13)記載の
真空断熱パネルの製造方法において、硬質ポリウレタン
フォームの発泡速度を大きくした。 (15) 上記(12),(13)記載の真空断熱パネ
ルの製造方法において、発泡液の流動距離Lに対する成
型品厚さTの比率L/Tを、10以上にした。
【0016】(16) 本発明にかかる冷蔵庫は、板状
充填材を含有する連続気泡の硬質ポリウレタンフォーム
を芯材とした真空断熱パネルを内箱と外箱の間に配設し
たものである。 (17) また、上記(16)の冷蔵庫において、真空
断熱パネルを内箱又は外箱に貼り付け、残った空間に硬
質ポリウレタンフォームを充填した。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1 断熱性能の向上には、構成する材料に熱伝導の低い物質
を用いること、材料間の接触面積を少なくするとともに
物質を伝わる伝熱を断熱方向と直角の面方向に制御して
断熱(厚さ)方向への伝熱量を抑制すること、さらに、
熱の反射能力の高い物質を混入させて輻射による伝熱量
の減少を両立させる断熱機構が必要になる。
【0018】本発明においては、硬質ポリウレタンフォ
ームに、輻射熱の遮蔽効果に優れるマイカなどの無機物
やアルミニウムなどの金属箔のごとく高密度で熱反射性
に優れた板状充填材を混合して、薄板状金型内を流動す
るように発泡成型させて得た成型品を、真空断熱パネル
の芯材として用いたものである。しかも、上記成型品の
独立気泡をなくするために、従来の連通気泡を有する硬
質ポリウレタンフォームを用いることに加えて、板状充
填材に離型剤を塗布して用いるものである。
【0019】上記のように構成した板状充填材を混合し
た連通気泡の硬質ポリウレタンフォームを真空断熱パネ
ルの芯材として用いることによって断熱性能が向上する
が、その機構は以下のごとくであると考えられる。すな
わち、輻射熱の遮蔽効果に優れる板状充填材は、硬質ポ
リウレタンフォームの発泡液との混合状態を保持したま
まの状態で、硬質ポリウレタンフォームの発泡、膨脹に
伴って金型内を流動する。
【0020】この際、金型面で受ける流動抵抗に基づく
流速差によって発生する剪断力を受けにくい流動方向、
つまり面方向に板状充填材を配向する。板状充填材の伝
熱係数が硬質ポリウレタンフォームのそれより大きいに
もかかわらず、この断熱方向と直角にある面方向に配向
することにより、断熱方向に連続して接触して配向せ
ず、しかも、非常に薄い物質であるから、厚さ方向への
熱伝達による断熱効果の顕著な悪化を来すこともない。
しかも、板状充填材はフレーク状の小片であるから、横
方向にも連続しておらず、伝熱量が減衰して拡がること
もない。
【0021】従って、従来の連通気泡の硬質ポリウレタ
ンフォームのみを芯材に用いた場合と比較して、物質を
伝わる伝熱量の増加も無視できる程度であるうえ、輻射
伝熱量の低下がそれを上回ることにより、充填断熱体の
断熱性能が向上できるものと考えられる。さらに、硬質
ポリウレタンフォームに板状充填材を面方向に配設した
複合体であるから、これら芯材が真空下で受ける大気圧
を上回る圧縮強度は十分に確保でき、真空断熱パネル内
の芯材が包装材内を真空にしたときに受ける大気圧で変
形を来すこともない。
【0022】一方、芯材内部の真空状態を維持するため
に、残存する独立気泡が内部のガスを放出して系内の真
空度を低下させることに伴う断熱性能の劣化を防止する
ため、硬質ポリウレタンフォームを構成する100〜2
00μmの大きさの個々の泡、つまり、セルの境界に存
在する膜を破壊して連通化させることに配慮する必要が
ある。この対応策として、板状充填材をこのセルの大き
さ、つまりセルサイズよりも大きくして、しかも離型剤
を塗布することにより、硬質ポリウレタンフォームが樹
脂化時の収縮に伴う応力が面方向に配設した板状充填材
との剥離時に、貫通するセル膜を破壊しながら新たな空
隙を生み出すことにより達成する機能を付与させたもの
である。
【0023】図1は、真空断熱パネルの製造工程の概略
を示す説明図である。図に示すように、まず、マイカの
粉砕またはアルミ箔の切断等から調製した板状充填材A
と、ポリオール液、触媒、連通化材、発泡剤等から調製
したプレミックス液Bと、イソシアネート液Cとを混合
し(ステップS−1)、これらを金型へ投入して、成型
を行う(ステップS−2)。次いで、成型品の表面層を
削除し(ステップS−3)、外周を切断する(ステップ
S−4)。
【0024】そして、これを包装材に挿入し(ステップ
S−5)、真空パネル成形機によって、真空引き(ステ
ップS−6)及び端片溶着をし(ステップS−7)、取
り出す(ステップS−8)。上記のような真空断熱パネ
ルの製造工程を、さらに、(1)芯材の作成(ステップ
S−1〜ステップS−4)、(2)真空断熱パネルの作
成(ステップS−5〜ステップS−8)に分けて詳述す
る。
【0025】(1)芯材の作成(ステップS−1〜ステ
ップS−4) 硬質ポリウレタンフォームと板状充填材であるマイカを
複合化させてボード状に発泡成形した芯材を例として、
まず、その芯材の作成方法を詳述する。 (a) 板状充填材Aの調整 板状の充填材は熱反射性に優れていることが必要で、無
機物や金属のような高密度の物質が好ましい。また、板
状片形成の容易性から反映される価格から鑑みれば、ア
ルミ箔やマイカを用いることが最も好ましい。また、低
密度物質であるプラスチックフィルムの、表面にアルミ
などの金属被膜を被覆して用いても、同様の効果を得る
ことができる。
【0026】ここでは、マイカをフレーク状にして用い
た場合について説明する。フレーク状マイカは、硬質ポ
リウレタンフォームのセルサイズが70μm〜200μ
mであるから、粉砕によって直径が0.1mm以上、好
ましくは、5mm〜0.1mm、さらに好ましくは、2
mm〜0.5mmの大きさに粉砕する。このときの粉砕
には、ウオータジェットによる高速水流を応用すれば、
層間の引き剥がしも同時に行われて、より薄いフレーク
状のマイカが得られる。これらの板状充填材に、パラフ
ィン系、シリコーン系などの離型剤の1%〜10%溶液
をスプレーしたり、投入、浸漬等の方法によって表面を
覆った後、温風乾燥によって溶剤を除去して塗布したも
のを用いる。
【0027】(b) 硬質ポリウレタンフォーム原料液
B,Cの調製と発泡成形(ステップS−1〜ステップS
−2) 硬質ポリウレタンフォーム原料液には、ポリオールを中
心に、触媒、整泡剤、破泡剤、発泡剤などが混合されて
いるプレミックス液、及びイソシアネートが主成分であ
るイソシアネート液の2液があり、各々の規定量を混合
することによって発泡が開始される。離型剤を塗布した
板状充填剤の任意の量を、これらを混合する直前に投入
する。
【0028】これらの原料を、インペラー式のミキサー
を用いて混合し、数秒後に開始される発泡に間に合うよ
うに金型内に投入する。このときの金型温度は30℃〜
60℃が好ましく、40℃〜50℃が特に好ましい。用
いる金型の発泡液の流動距離Lに対する成型品厚さTの
好ましい比(L/T)は10以上であり、特に好ましく
は、20〜40である。また、流動距離Lは、1000
mm以下にすることが、均質な成型品を得るうえで好適
である。
【0029】具体的に、以下の実施例を行うのに用いた
金型の大きさは、幅(W):300mm、流動距離
(L):500mm、成型品厚さ(T):30mmであ
った。混合液は、金型を45度に傾けた端部にのみ液が
溜まるようにして原料を投入し、投入後直ちに金型を密
閉して静置し、5分以上の放置後にボード状の成型品を
確保した。
【0030】(c) 芯材の作製(ステップS−3〜ス
テップS−4) 得られた成型品を芯材にそのまま用いてもよいが、好ま
しくは、金型と接した表面部分にかかる剪断力が不足し
て板状充填剤の配向が不十分であるばかりか、独立気泡
も多く残存しており、これを切断する等して削除する。
削除する厚さは2mm以上が好ましく、5mm以上が特
に好ましい。また、所定の大きさを得るために外周を切
断する。
【0031】(2)真空断熱パネルの作成(ステップS
−5〜ステップS−8) 芯材は、多層シートの包装材内に格納し、次いで、真空
雰囲気下で挿入口を熱溶着することにより得られる。以
下に、真空断熱パネルの形成方法を述べる。芯材には、
所定の面大きさを得るために裁断して調整したものを用
いる。断熱性を中心とした各種評価に用いる試料は、こ
の芯材を予め3方向が熱シールされた包装材内に挿入し
た後、図2に示す装置に装填して所定の真空度の雰囲気
を確保し、この中で残った1方向を熱シールすることに
よって得た。真空度は、1×101 〜10-3Torrの
間の任意の値とした。
【0032】すなわち、図2に示すように、包装材1内
に芯材2を挿入したものを上・下融着ヒータ3,3の間
に装着した後、真空パネル成形機4内を所定の真空度に
なるように真空調整用バルブ5によって調整する。その
後、シール用加圧装置6,6を用いて挿入口を固定し、
熱シールした後ヒータを切り、冷却後に真空を解放して
取り出せば、真空断熱パネル7が得られる。
【0033】ここで用いる包装材1は、シール面が熱溶
着の可能な熱可塑性樹脂、中間層が外気の侵入を完全に
遮断するためのアルミ箔などの金属箔、さらに最外層が
傷付きなどに耐性のあるナイロンやポリエステルなどの
樹脂を用いた多層シートである。芯材2は、厚さが20
mm、面が180×180mmのものを用いた。また、
芯材2と包装材1は100℃以上の温度で乾燥を行った
後に使用することとした。
【0034】図3は、真空断熱パネルを用いて製品(こ
の場合は冷蔵庫)を組み立てる工程の概略を示す説明
図、図4、図5は組み立てた製品の使用状態を示す斜視
図とその要部イの縦断面図である。図に示すように、外
箱8に真空断熱パネル7を貼り付けた(ステップS−
1)後、内箱9を外箱8の嵌合部に挿入して(ステップ
S−2)合体させ、その他の部材も含めて箱体の組み立
てを終える(ステップS−3)。次に、外箱8と内箱9
の間に形成された空間部に硬質ポリウレタンフォームの
原料混合液を注入して発泡成型させることにより断熱層
10を形成する(ステップS−4)。その後、内部部品
と冷媒回路部品を用いて内部部品の配置や冷媒回路の製
品組立を行い(ステップS−5)、製品検査を完了すれ
ば(ステップS−6)、製品として完成する(ステップ
S−7)。
【0035】上記のようにして得られ、かつ製品に組み
込まれた芯材の評価を、得られた真空断熱パネルを用い
て、断熱性能とその経時変化、および形状の経時変化に
ついて行った(以下に示す、実施例A〜G)。断熱性能
の評価は熱伝導率で行い、その測定には、栄弘精機
(株)社製の「オートラムダ」を用いた。また、断熱性
能の経時変化は、真空断熱パネルを50℃の雰囲気中に
任意の時間放置した後の熱伝導率を求め、その試料の作
成直後との変化によって評価した。形状の経時変化は、
特に収縮が判別し易い側部の変形について目視観察を行
った。
【0036】実施例A 以下に、断熱性能の向上効果の確認について述べる。ま
ず、本発明の実施例1〜実施例3に試料として用いた芯
材の組成を、表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】硬質ポリウレタンフォームは単体で発泡し
たときの密度が45kg/m3 、フレーク状マイカは平
均直径が1.0mmのものを用いた。硬質ポリウレタン
フォームの2液とフレーク状マイカをビーカにとった
後、ただちに高速攪拌機にて攪拌を行い、500L×3
00W×30T(mm)で45℃に調温した金型の短辺
側に投入した。このとき、金型を完全充填させる必要最
低量に対し、10%の過剰充填量を投入、金型を密封状
態にして7分間の静置後、ボード状成型品を得た。芯材
にはこのボード状成型品の表面層2.5mmを削除し
て、さらに180×180(mm)の大きさに切断した
板を用いた。
【0039】また、本発明の比較例として、従来の真空
断熱パネルとして特開昭60−243471号公報で代
表される連通気泡の硬質ポリウレタンフォーム(比較例
1)、及び特開昭62−13979号公報で示された輻
射熱の遮蔽効果に優れたアルミ箔を連通気泡の硬質ポリ
ウレタンフォームの薄板の間に配設したもの(比較例
2)を、各々芯材に用いた。比較例1である連通気泡の
硬質ポリウレタンフォームは、密度が45kg/m3
セルサイズが300μmのものを用いた。また、比較例
2として上記の硬質ポリウレタンフォームを中央部分で
切断したものに厚さが10μmのアルミ箔を挾み込んだ
ものを、同様の芯材として用いた。
【0040】試料とする真空断熱パネルは、上述した各
芯材の厚さを20mm、面大きさを180×180mm
の大きさに切断、これを150℃で1時間程度乾燥した
後に使用した。試料とする真空断熱パネルは、110℃
で30分乾燥した多層シートで作った包装材内に挿入
後、100 〜10-3Torrの任意の真空雰囲気中で熱
シールすることによって得た。
【0041】実施例1〜実施例3の試料に加えて、連通
気泡の硬質ポリウレタンフォームの芯材を用いた比較例
1、アルミ箔を連通気泡の硬質ポリウレタンフォームの
間に挾んだ芯材を用いた比較例2を、各々、熱シールす
るときの真空度が101 〜10-3Torrの任意の真空
度で調整した真空断熱パネルの同様試料を作製、これら
試料の断熱性能の真空依存性に関する評価結果を図6に
示す。表2に、図6の結果より、真空度が10-2Tor
r相当のときの断熱性能と50℃の雰囲気中に最大30
日間放置後の経時変化、さらに変形の評価結果を示し
た。
【0042】
【表2】
【0043】以上の結果から、硬質ポリウレタンフォー
ムの発泡、流動によってマイカを面方向に配向させた芯
材を用いた本発明である真空断熱パネルの断熱性能は、
従来の連通気泡の硬質ポリウレタンフォームに比べて、
約10ポイント以上の熱伝導率の低減、つまりの断熱性
の向上を達成できた。さらに、本発明品の経時変化につ
いても、熱伝導率及び変形のいずれとも、比較例1及び
比較例2として示した、フレーク状マイカを含まない従
来材である連通気泡の硬質ポリウレタンフォームを芯材
として用いた真空断熱パネルよりも安定した結果を示し
ていることが確認できた。
【0044】実施例B 次に、本発明の材料組成であるフレーク状マイカの大き
さについて述べる。連続気泡の硬質ポリウレタンフォー
ムに充填するフレーク状のマイカの大きさが異なる材料
組成により、実施例Aと同様の成形方法で作製した芯材
及び評価方法を用いて、10-2Torrの真空雰囲気の
包装材料内に封入した真空断熱パネルに相当する試料と
しての断熱性能(初期値および50℃で10日間放置し
た後の経時変化後の値)を評価した。
【0045】用いたマイカフレークの平均直径は、表3
に示すごとく、連通気泡の硬質ポリウレタンフォームの
セルと同一の平均直径である0.1mmからその50倍
以上の7.0mmまで変化させた。これら平均直径の異
なるフレーク状マイカを含有した硬質ポリウレタンフォ
ームを混合、配向させた芯材にに関する断熱性能と10
日間の経時変化後の評価結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】以上の結果から、フレーク状マイカの平均
直径が0.2mm〜4.0mmの各実施例における熱伝
導率の差異はほとんどなく、50℃の雰囲気下で10日
間放置した経時変化後の熱伝導率にも大きな変化がみら
れず、実用にて支障をきたすこともない。しかし、比較
例3の、直径が0.05mmのフレーク状マイカを用い
た場合には熱伝導率の初期値が大きくなり、逆に、比較
例4で示した直径が7mm以上のフレーク状マイカを用
いた場合には、50℃の雰囲気下で10日間放置後した
経時変化後の熱伝導率に大きな変化がみられ、いずれの
場合にも実用に支障をきたす可能性が示唆された。
【0048】実施例C 次に、アルミ箔を板状充填材として用いた場合について
述べる。連通気泡の硬質ポリウレタンフォームと平均直
径が1.0mmのアルミ箔との複合構造体となるよう
に、実施例Aと同様の成形方法で作製した芯材および評
価方法を用いて、10-2Torrの真空雰囲気の包装材
内に封入した真空断熱パネルに相当する試料としての断
熱性能(初期値および50℃で10日間放置した後の経
時変化後の値)を評価した。
【0049】表4に、上述した組成の芯材を用いた真空
断熱パネルを実施例6として示し、その効果を確認する
目的で、板状充填材にフレーク状マイカを用いた実施例
2、および連通気泡の硬質ポリウレタンフォームを芯材
を用いた比較例1、アルミ箔を連通気泡の硬質ポリウレ
タンフォームの間に挾んだ芯材を用いた比較例2につい
ても熱伝導率の初期値と50℃の雰囲気下で10日間放
置後の値を併記した。
【0050】
【表4】
【0051】以上の結果、フレーク状マイカを用いた場
合よりもさらに断熱性能の向上が確認され、しかも、比
較例で示した連通気泡の硬質ポリウレタンフォームのよ
うに、事実上、断熱性能に支障を来すような経時劣化も
なく、有効であることが確認された。
【0052】実施例D 次に、硬質ポリウレタンフォームと、それを複合化した
板状充填材との離型剤が及ぼす断熱性能の劣化抑制の効
果について述べる。連通気泡の硬質ポリウレタンフォー
ムに表面に離型剤を塗布した平均直径が1.0mmのフ
レーク状マイカとの複合構造体となるよう、実施例Aと
同様の成形方法で作製した芯材および評価方法を用い
て、10-2Torrの真空雰囲気の包装材内に封入した
真空断熱パネルに相当する試料としての断熱性能(初期
値および50℃で10日間放置した後の経時変化後の
値)を評価した。
【0053】表5に、上述した組成の芯材を用いた真空
断熱パネルを実施例6として示し、その効果を確認する
目的で、別の離型剤を用いた例を実施例2に示した。さ
らに、それら実施例の有効性を確認するために、離型剤
を塗布しないフレーク状マイカを用いた例を比較例5
に、充填剤を用いない連通気泡の硬質ポリウレタンフォ
ームのみを芯材に用いた比較例1についても、熱伝導率
の初期値と50℃の雰囲気下で10日間放置した後の値
を併記した。
【0054】
【表5】
【0055】以上の結果、離型剤を板状充填材の表面に
塗布しなくても、断熱性能の初期値においては、比較例
5と比較例1との差異から、連通気泡の硬質ポリウレタ
ンフォームを芯材に用いることよりも遥かに優れた効果
が得られることが確認できた。しかし、経時変化後の数
値は実用に支障を来すと予測される程の悪化を示した。
これは、連通気泡の硬質ポリウレタンフォームを用いる
場合に、完全な連通化が比較例5では不十分であったこ
とから、残存する独立気泡内に二酸化炭素などの発泡ガ
スがセル外に放出され、これに伴う真空度の低下がもた
らす断熱性能の悪化現象であると考えられる。
【0056】これに対し、本発明による離型剤をフレー
ク状マイカの表面に塗布し、それによって発生する硬質
ポリウレタンフォームとの剥離が独立気泡の残存をなく
するという効果に関し、実施例6および実施例2と比較
例5との差異から経時劣化を抑制することが確認でき
た。
【0057】実施例E 次に、硬質ポリウレタンフォームに投入した板状充填材
を配向させることによる断熱性能の向上効果について述
べる。板状充填材の配向は、硬質ポリウレタンフォーム
の発泡速度を早くすることと、金型の厚さ(成型製品の
厚さ)に対する流動距離の比(以下、L/Tという)が
大きいことによって強くなる。
【0058】用いる連通気泡の硬質ポリウレタンフォー
ムの反応速度、およびL/Tを変えて作製した芯材を用
い、これを10-2Torrの真空雰囲気下で包装材内に
封入させた真空断熱パネルを試料として断熱性能を評価
した。なお、ここで用いた板状充填材は、平均直径が
1.0mmのフレーク状マイカを用い、これと連通気泡
の硬質ポリウレタンフォームとの複合構造体を得るた
め、実施例Aと同様の成形方法で作製した芯材および評
価方法を用いて、10-2Torrの真空雰囲気の包装材
内に封入した真空断熱パネルに相当する断熱性能(初期
値および50℃で10日間放置した後の経時変化後の
値)を評価した。
【0059】表6に、断熱性能の評価に用いる真空断熱
パネルの芯材を成型するときの流動速度の影響について
調べた結果を示す。硬質ポリウレタンフォームが泡立ち
初める発泡開始の時間(以下、CTという)から樹脂化
に至る時間(以下、GTという)までほぼ一定の速度で
発泡流動が進むことから、流動速度の指標となる、GT
−CT(秒)として示される反応速度を、用いる触媒の
量を変えて作製した芯材を実施例2および実施例7、実
施例8として組成とともに示した。
【0060】
【表6】
【0061】同様に、表6には、成形に用いた金型(3
00W×500L×30T)の長さ(流動距離)Lを変
えて、L/Tの異なる芯材を成形、これを用いて作製し
た真空断熱パネルの評価結果を、実施例2および実施例
7、実施例9、実施例10として示した。また、それら
の効果を確認する目的で、反応速度を遅くした硬質ポリ
ウレタンフォームから得た芯材を用いた例を比較例6、
L/Tの小さな金型から得られた芯材を用いた例を比較
例7として示し、熱伝導率の初期値と50℃の雰囲気下
で10日間放置後の値を、各々併記した。
【0062】以上のごとく、実施例2から実施例7さら
に実施例8へと反応速度を変化させた場合、断熱性能は
明らかに向上の傾向を有することが確認できた。逆に、
比較例6で示したように、反応速度が遅い場合には、急
激な断熱性能の低下をもたらすことも確認できた。これ
らの低下の要因については、流動に伴う壁面との速度比
から生まれる剪断力を最小限に止めようとすることによ
ってもたらされる板状充填材であるフレーク状マイカの
面方向への配向によるものと考えられる。
【0063】また、L/Tについても、実施例10から
実施例2、さらに実施例9へと大きくなると、断熱性能
が同様に向上する傾向を確認しており、逆に、L/Tが
非常に小さい比較例7では断熱性能の悪化傾向を示して
おり、上述した流動の剪断力による充填材の配向が要因
として大いに寄与しているものと考えられる。
【0064】断熱性能の経時変化についても、適正な条
件下で得られた各実施例では1〜3ポイントの変化に止
まる結果が得られたが、比較例で示した剪断のかかりに
くい流動形態をとった場合には7〜9ポイントもの悪化
をもたらした。これも、本来、厚さ方向の配向にかかる
板状充填材との剥離が連続性をもたらしやすい亀裂を得
るものであるのに対して、不十分な配向状態では非連続
となって発泡ガスが残存しやすい状況を生み、それらの
ガスの漏洩から真空度の低下が断熱性能の悪化をもたら
す結果を招いたものと考えられる。
【0065】実施例F 次に、発泡成型品の表面層削除による断熱性能の安定性
向上効果について述べる。硬質ポリウレタンフォームの
最表面には樹脂の薄皮層が存在し、さらにその下には高
密度なスキン層を有した後、コア層と呼ばれる均質で安
定した品質を有するコア層がある。このうち、スキン層
までは金型との流動抵抗が大きく、金型内を流動せずに
コア層との界面で割れて、金型面にほとんど滞留した結
果として生成される高密度な層である。従って、スキン
層までの表面層には流動に伴う泡同士または板状充填材
との間で剪断力が働かず、独立気泡が多く残存すること
が考えられる。
【0066】板状充填材を含有する連通気泡硬質ポリウ
レタンフォームの成型品を実施例Aと同様の成形方法で
作製した芯材および評価方法を用いて、10-2Torr
の真空雰囲気の包装材内に封入した真空断熱パネルに相
当する断熱性能(初期値および50℃で10日間放置し
た後の経時変化後の値)を評価した。なお、ここで表面
層から任意の厚さを均一に削除した芯材を作製して用
い、板状充填材には平均直径が1.0mmのフレーク状
マイカを用いて、これと連通気泡の硬質ポリウレタンフ
ォームとの複合構造体を得た。
【0067】表7に、断熱性能を評価する真空断熱パネ
ルに用いた芯材の組成と、その芯材を得るために板状成
型品の表面層を削除する量について、実施例2および実
施例11、実施例12として示した。成形に用いた金型
(300W×500L×30T)の長さLと厚さTを変
えてL/Tを一定(16.6)としたうえで、厚さTを
25mm、30mm、40mmの板状成型品を作製し、
これから表裏各2.5mm、5.0mm、10.0mm
を削除して20mm厚の芯材を成形した。真空断熱パネ
ルはこれら表面削除量の異なる芯材を用いて作製し、そ
の熱伝導率の評価結果を、実施例2および実施例11、
実施例12に示した。
【0068】
【表7】
【0069】また、この表面層の削除による熱伝導率の
安定確保を確認する目的で、表面層を削除しない例を比
較例8に、削除する量を少なくした例を比較例9に、各
々板状成型品のL/Tを一定とした上記と同様の方法で
得た芯材を用いた真空断熱パネルについて、熱伝導率の
初期値と50℃の雰囲気下で10日間放置後の値を併記
した。
【0070】以上の結果、実施例2、11、12の断熱
性能にはほとんど差異がなく、かつ経時変化もきわめて
少ない安定した結果が得られた。これに対し、比較例で
示した表面層の削除量が少ない場合には、断熱性能の初
期値には実施例との間で差異がない反面、経時変化につ
いては表面層を削除する量に応じて悪化の生じることが
確認できた。表面層を削除する量に応じて経時変化が抑
制でき、削除しない場合の悪化量が最も大きい傾向を有
する。比較例における削除量では、実用に耐えうること
が不可能であるといえる。
【0071】実施例G 次に、本発明に係る真空断熱パネルを用いた冷蔵庫の運
転性能を測定し、その効果を確認した。まず、アルミ箔
を中間層に有する包装材を用いて実施例Aに示す実施例
1と同じ方法で作製した真空断熱パネルを用い、薄板鋼
板の折り曲げ加工によって得られた外箱8にABS樹脂
の真空成型によって得られた内箱9を嵌合して形成され
た空間に、図5に示すごとく、外箱8側に真空断熱パネ
ル7を貼り付けて配設した。この状態で、図6に示すよ
うに、残りの空間に硬質ポリウレタンフォーム10を注
入、発泡させ充填することで完全固定させた。
【0072】上記方法で作製した断熱箱体を用いて組み
立てた400Lクラスの冷蔵庫を実施例13とした。一
方、実施例Aに示す比較例1と同じ方法で作製した芯材
を連通気泡の硬質ポリウレタンフォームを芯材とした真
空断熱パネルを用いて同様に作製した断熱箱体を用いた
冷蔵庫を比較例10、内箱と外箱の間隙のすべてを硬質
ポリウレタンフォームで充填した断熱箱体を比較例11
とし、これらすべての冷蔵庫をJIS9607における
消費電力B法測定法に準拠して消費電力を求め、表8に
併記した。
【0073】
【表8】
【0074】以上の結果から、本発明の真空断熱パネル
を用いた冷蔵庫の消費電力量は、硬質ポリウレタンフォ
ームのみを断熱材として用いた比較例11の従来の冷蔵
庫に比較して少なく、箱体の断熱性能が有為に優れてい
ることが解った。しかも、同様の真空断熱パネルを断熱
材の一部に用いた冷蔵庫と比較しても、連通気泡の硬質
ポリウレタンフォームが芯材である従来仕様の真空断熱
パネルを用いた比較例10の冷蔵庫より、消費電力量が
少ない冷蔵庫を得られることも確認できた。
【0075】以上、本発明の実施の形態である冷蔵庫に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、例えば、車載用小型冷蔵庫やプレハブ式簡易冷蔵
庫、保冷車やパイプや建築物の保温材など、保温および
保冷用製品の断熱用部品としての応用も可能であり、そ
の要旨を脱し得ない範囲で種々変形して実施することが
できる。
【0076】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、次のような効果を得ることができる。なお、
説明に当たっては、請求項の番号と同じ番号を付してそ
れぞれの請求項の効果を記述する。
【0077】(1) 本発明に係る真空断熱パネルは、
芯材によって形状を保持されてなる真空断熱パネルであ
って、芯材を板状充填材を含有する連通気泡の硬質ポリ
ウレタンフォームからなる多孔体で構成したので、真空
状態のパネル形状を保持することができ、熱伝達と輻射
伝達の量を抑制でき、断熱性も大きい。
【0078】(2) 上記(1)の板状充填材の面を芯
材の面方向と平行に配向させたので、板状充填材の面が
熱の貫通方向と直交する方向に配向され、輻射熱の遮蔽
効果向上による優れた断熱性能とその経時安定性を確保
することができる。 (3) 上記(1)又は(2)の板状充填材に無機物ま
たは金属の少なくとも一方を用いたので、輻射熱を反射
し易く、その遮断効果によって断熱性が向上する。 (4) 上記(3)の板状充填材にフレーク状マイカを
用いたので、輻射熱を反射し易く、その遮蔽効果によっ
て断熱性が向上する。
【0079】(5) 上記(3)の板状充填材にプラス
チックスフィルムを用いたので、輻射熱を反射し易く、
その遮蔽効果によって断熱性が向上する。 (6) 上記(3)の板状充填材に金属薄膜を被覆した
プラスチックスフィルムを用いたので、輻射熱を反射し
やすく、その遮蔽効果によって断熱性が向上する。
【0080】(7) 上記(3)の板状充填材に金属箔
を用いたので、輻射熱を反射しやすく、その遮蔽効果に
よって断熱性が向上する (8) 上記(6)又は(7)の金属薄膜または金属箔
にアルミニウムを用いたので、輻射熱を反射しやすく、
その遮蔽効果によって断熱性が向上する。
【0081】(9) 上記(1),(2),(3),
(4),(5),(6),(7)又は(8)の板状充填
材の表面に離型剤を塗布したので、ウレタン樹脂と板状
充填材が剥離する際にセルの連通化がより確実に達成さ
れ、また、より確実に貫通される。しかも、その剥離が
新たな空隙を形成して真空中での熱の伝搬を妨げる効果
も生み、飛躍的に断熱性が向上する。 (10) 上記(1),(2),(3),(4),
(5),(6),(7),(8)又は(9)の板状充填
材の大きさを硬質ポリウレタンフォームのセルサイズよ
りも大きくしたので、セルの連通化を効率よく促進させ
ることができる。 (11) 上記(1)又は(2)の芯材の表面層を削除
したので、輻射熱の遮蔽効果が向上して、優れた断熱性
能と経時安定性を確保することができる。
【0082】(12) 本発明にかかる真空断熱パネル
の製造方法は、板状充填材と硬質ポリウレタンフォーム
の原料液を混合して板状成型型の端部から注入し、この
端部から発泡させて流れ方向にシェアをかけ、板状充填
材の面を板状成型品の面方向と平行に配向させるように
したので、板状充填材を伝熱方向と直角に配向でき、輻
射伝熱の遮断により一層の断熱性向上が可能となる。
【0083】(13) 上記(12)の板状充填材に離
型剤を塗布し、板状充填材を硬質ポリウレタンフォーム
の原料液であるプレミックス液とイソシアネート液を混
合する直前に投入し、これらの混合原料を発泡に間に合
うように板状成型型の端部から注入し、この端部から発
泡させてその後の発泡により流れ方向にシェアをかけ、
板状充填材の面を板状成型品の面方向と平行に配向させ
るようにしたので、板状充填材を伝熱方向と直角に配向
でき、輻射伝熱の遮断により一層の断熱性向上が可能と
なる。また、製造時の取扱いが容易で、量産性に優れ
る。
【0084】(14) 上記(12)又は(13)の硬
質ポリウレタンフォームの発泡速度を大きくしたので、
断熱性能を大幅に向上させることができる。 (15) 上記(12)又は(13)の発泡液の流動距
離Lに対する成型品厚さTの比率L/Tを、10以上に
したので、断熱性能を大幅に向上させることができる。
【0085】(16) 本発明にかかる冷蔵庫は、板状
充填材を含有する連続気泡の硬質ポリウレタンフォーム
を芯材とした真空断熱パネルを内箱と外箱の間に配設し
たので、断熱性が増して消費電力の低減が達成できる。
【0086】(17) 上記(16)の真空断熱パネル
を内箱又は外箱に貼り付け、残った空間に硬質ポリウレ
タンフォームを充填したので、上記(16)の効果と共
に外箱と内箱を完全に固定でき、また従来の構造仕様を
変更する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 真空断熱パネルの製造工程を示す説明図であ
る。
【図2】 真空断熱パネル製造装置を示す側面図であ
る。
【図3】 真空断熱パネルを用いた製品組立工程を示す
説明図である。
【図4】 真空断熱パネルを組込んだ製品の斜視図であ
る。
【図5】 図4の要部の縦断面図である。
【図6】 断熱性能の真空度依存性を示す線図である。
【図7】 各断熱材の断熱性能を比較した説明図であ
る。
【符号の説明】
2 芯材、7 真空断熱パネル、8 外箱、9 内箱、
10 硬質ポリウレタンフォーム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:16 105:20

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材によって形状を保持されてなる真空
    断熱パネルにおいて、 前記芯材を、板状充填材を含有する連通気泡の硬質ポリ
    ウレタンフォームからなる多孔体で構成したことを特徴
    とする真空断熱パネル。
  2. 【請求項2】 板状充填材の面を芯材の面方向と平行に
    配向させたことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱
    パネル。
  3. 【請求項3】 板状充填材に無機物または金属の少なく
    とも一方を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載
    の真空断熱パネル。
  4. 【請求項4】 板状充填材にフレーク状マイカを用いた
    ことを特徴とする請求項3記載の真空断熱パネル。
  5. 【請求項5】 板状充填材にプラスチックスフィルムを
    用いたことを特徴とする請求項3記載の真空断熱パネ
    ル。
  6. 【請求項6】 板状充填材に金属薄膜を被覆したプラス
    チックスフィルムを用いたことを特徴とする請求項3記
    載の真空断熱パネル。
  7. 【請求項7】 板状充填材に金属箔を用いたことを特徴
    とする請求項3記載の真空断熱パネル。
  8. 【請求項8】 金属薄膜または金属箔にアルミニウムを
    用いたことを特徴とする請求項6または7記載の真空断
    熱パネル。
  9. 【請求項9】 板状充填材の表面に離型剤を塗布したこ
    とを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は
    8記載の真空断熱パネル。
  10. 【請求項10】 板状充填材の大きさを硬質ポリウレタ
    ンフォームのセルサイズよりも大きくしたことを特徴と
    する請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9記載
    の真空断熱パネル。
  11. 【請求項11】 芯材の表面層を削除したことを特徴と
    する請求項1又は2記載の真空断熱パネル。
  12. 【請求項12】 板状充填材と硬質ポリウレタンフォー
    ムの原料液を混合して板状成型型の端部から注入し、該
    端部から発泡させて流れ方向にシェアをかけ、前記板状
    充填材の面を板状成型品の面方向と平行に配向させるこ
    とを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
  13. 【請求項13】 板状充填材に離型剤を塗布し、該板状
    充填材を硬質ポリウレタンフォームの原料液であるプレ
    ミックス液とイソシアネート液を混合する直前に投入
    し、これらの混合原料を発泡に間に合うように板状成型
    型の端部から注入し、該端部から発泡させてその後の発
    泡により流れ方向にシェアをかけ、前記板状充填材の面
    を板状成型品の面方向と平行に配向させることを特徴と
    する請求項12記載の真空断熱パネルの製造方法。
  14. 【請求項14】 硬質ポリウレタンフォームの発泡速度
    を大きくしたことを特徴とする請求項12又は13記載
    の真空断熱パネルの製造方法。
  15. 【請求項15】 発泡液の流動距離Lに対する成型品厚
    さTの比率L/Tを、10以上にしたことを特徴とする
    請求項12又は13記載の真空断熱パネルの製造方法。
  16. 【請求項16】 板状充填材を含有する連続気泡の硬質
    ポリウレタンフォームを芯材とした真空断熱パネルを内
    箱と外箱の間に配設したことを特徴とする冷蔵庫。
  17. 【請求項17】 真空断熱パネルを内箱又は外箱に貼り
    付け、残った空間に硬質ポリウレタンフォームを充填し
    たことを特徴とする請求項16記載の冷蔵庫。
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