JP3921580B2 - 断熱箱体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷蔵庫などの断熱箱体の製造方法に関し、さらに詳しくは、断熱箱体を構成する真空断熱パネルを備えた断熱壁の形成において、発泡断熱材を所望の位置に注入できるようにするための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷蔵庫などの断熱体の壁面は、その外側を鉄板などの金属製薄板で、内側部分を樹脂成形品で形成され、その間隙を断熱性に優れた発泡ウレタンを注入発泡して充填させたものが用いられてきた。
【0003】
断熱材である発泡ウレタンの発泡剤には、優れた断熱性が得られるハイドロクロロフルオロカーボン類である1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンに替えて、オゾン層破壊の原因となる塩素を分子中に含まないハイドロフルオロカーボン類やハイドロカーボン類が用いられつつある。たとえば、特開平2−235982号公報では1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(以後、HFC-245fa という。)や1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン (以後、HFC-356mffという。)などのハイドロフルオロカーボン類を、特開平3−152160号公報ではシクロペンタンなどの可燃性物質を、各々、発泡剤に適用した発泡ウレタンの製造方法が述べられている。しかし、冷蔵庫などへに適用したこれら発泡ウレタンの断熱性能は、一般に、17〜20mw/mK に留まる。
【0004】
消費電力の低減が求められている冷蔵庫では、オゾン層破壊の原因物質を用いない発泡断熱材である発泡ウレタンに対する断熱性能が限界にあることから、図6の比較図で示す如く、発泡ウレタンの2倍以上の断熱性能が得られる真空断熱パネルを応用する技術が提案されている。
【0005】
この真空断熱パネルの断熱性能を確保するには、構成する材料に熱が伝達し難い物質を用いること、材料間の接触面積を少なくすることによって物質内を伝達する熱量を抑制すること、更に空隙を小さくすることによって輻射伝熱を抑制することが有効である。
【0006】
また、真空断熱パネルは、外部から空気や水蒸気などのガスが侵入するのを防止するため、外殻を構成する包装材を備えるとともに、その包装材は図7に示す断面図の如く、基材1の両面に最外層部分である表面層2とガスバリヤー層3を設け、さらにガスバリヤー層3の表面に最内層部分となる接着層4を備えた多層構造を有する。例えば、特開昭58−145488号公報では金属箔の両面にプラスチックスフィルムを貼合せたラミネートシートを用いており、最内層部分である接着層には熱融着フィルムを重ね合わせ、その端辺を熱融着して芯材を包装した真空断熱パネルが提案されている。さらに、特開平5−57105号公報では接着層に高密度ポリエチレンを用いて水分の侵入を抑制することが、特開平8−303685号公報ではその接着層を熱伝達を低減するために50〜150ミクロンの適正厚さにすることが、それぞれ提案されている。
【0007】
しかし、ガスバリヤー層3である金属薄膜が有するピンホールや各種樹脂で構成されている端辺シール部分を通じて、外部から経時的に侵入する空気( 酸素と窒素) や水蒸気、さらに各種構成材、特に接着層4が保有する収着水、未反応原料や副生成物である炭酸ガスや各種低分子有機物が真空中で飛散するなどの原因によって真空度が悪化を来す。このため、これらの透過または内部発生した各種ガスを吸着して真空度の低下を阻止することも重要であり、真空断熱パネルの内部には、それらガスの吸着機能を有する「ゲッター剤」と称する吸着物質が挿入され用いられている。
【0008】
「ゲッター剤」として、例えば、特開昭59−225275号公報では酸化カルシウム、ゼオライト、シリカゲルなどの水分を吸着する物質が、特公平7−89004号公報では有機ガスを吸着する物質として活性炭が、炭酸ガスを吸着する物質として水酸化ナトリウムが、水分を吸着する物質としてカルシウム塩を混合したものなどが提案されている。さらに、特開平8−159377号公報では、殆ど全ての物質を高温、高真空の条件下にあっても確実に吸着して再放出することがない化学的な吸着機構を有するゲッター剤である、バリウム−リチウム合金の提案がある。
【0009】
以上のような構成を有する真空断熱パネルは、図8の工程図に示す如く方法にて作製される。すなわち、まず、図7の断面構造を備えたラミネートシートの3方向を熱シールすることによって袋状に成形した包装材6の内部に芯材7を挿入する(S−1)。次に、包装材6の開放端辺9がシール加圧装置10の融着ヒータ11部に来るようにして、芯材7を挿入した包装材6を真空包装機8に装着する(S−2)。続いて、真空包装機8のチャンバー内を排気して所定真空度の雰囲気に形成した後、包装材6の端辺9である1方向を熱シールして(S−3)、図9の構造を有する真空断熱パネル12を得る(S−4)。
【0010】
図9に示すように、真空断熱パネル12の内部には、芯材7である連続した気孔を有する発泡ウレタンなどの多孔体に圧入された態様にてゲッター剤13が備えられ、その外側が大気中の空気などの侵入を防止する包装材6で覆われているので、内部の真空度の低下を維持できると共に、大気圧による圧縮応力によって変形するのを芯材7が防止している。さらに、包装材6の最外層には、傷つきなどに耐性を有すると共に、発泡ウレタンなどの発泡樹脂と接着が容易なナイロンやポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を好適に用いているので、破壊され難い態様をも有している。
【0011】
以上のようにして構成される真空断熱パネルは、厚さが10〜30mmの板状であり、図10の断面図に示す如く、塗装鋼板などの折曲げ加工品である外箱15とABS樹脂などの熱成型品である内箱16の間隙に配置され、そこに断熱材である発泡ウレタン17が充填された状態で用いられる。
ここで、食品貯蔵のための各種部品を保持するとともに搬送や使用に必要な箱体強度を確保するためには、平面形状を多く有する外箱15面に真空断熱パネルを強固に固定したうえで、内箱16および真空断熱パネル12の表面とが、充填された発泡ウレタンと接着した状態で一体化して成ることが肝要である。
【0012】
発泡ウレタンの原料混合液を外箱15と内箱16との間に注入して断熱壁を充填する場合、その注入口が位置する断熱箱体の側壁中央部の外箱15面に真空断熱パネル12を設けているので、図11に示すように、内箱16と真空断熱パネル12との間隙は真空断熱パネルを設けない部分の間隙に比較して大幅に狭くなっていた。従って、側壁の真上に位置した従来の注入口位置のままでは、高圧発泡機などに備えられたミキシングヘッド20から吐出される発泡ウレタンの原料混合液21を注入すると、たとえ断熱箱体内の空間を所定の部屋に仕切るデバイダ18の端部の位置を避けたとしても、原料混合液21が注入速度に応じた特定の広がりを有して落下するため、真空断熱パネル12の上端部に衝突して不用意な位置で発泡が開始し、その後の適正な発泡状態で流動してきた発泡ウレタンの流動を阻害するという不具合を生じていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、断熱壁の内部に10〜30mmの厚さを有する真空断熱パネルを配することは、発泡ウレタンの原料混合液を注入する際に必要な相応の空隙が確保できなくなって、注入した液が壁面に付着して発泡し、その後の壁内の充填に供する流動性のある泡の進路を塞ぎやすくする。この結果、発泡ウレタンの充填量が過度に必要になったり、場合によっては未充填となった空隙を残存することになって、断熱性能と外観の意匠性を損なうといった問題を来すことにもなる。
【0014】
この様な問題に対処するため、発泡ウレタンの注入位置および方向と真空断熱パネルの配設位置が干渉することが無いようにしたり、本来の注入に伴う液溜りの位置に発泡ウレタンの原料混合液の注入口を設けるなどの対処をすることが必要である。例えば、特開昭64−14584号公報および特開平5−288461号公報においては、断熱箱体の背面に設けた注入口から吐出する発泡ウレタンなどの発泡断熱材と干渉しない位置に真空断熱パネルを配設したものが、また、特開平8−61837号公報では注入口から吐出した発泡断熱材の原料混合液が真空断熱パネルと干渉しないように、所望する発泡ウレタンの原料混合液の液溜まりの位置に注入口を設けて流路を分岐したものが、各々示されている。
【0015】
しかし、これらの方法によれば、真空断熱パネルの配設位置を分割したり排除するなどの措置が必要であるために、真空断熱パネルの配設面積が狭くなることに起因して本来の断熱性能の確保が困難となったり、分割に伴って本来の配設枚数以上の真空断熱パネルが必要になり製造工数やコストの増加を来すなどの問題を生じる。また、液溜まりの位置に注入口を設ける方法では、液溜まりが断熱箱体の外殻下部にあるので、上方向に原料混合液を吐出することになり、この為、原料混合液を吐出する位置に洩れを来さない治具を設けるなどの措置が不可欠となるなど、この方法によっても製造工数やコストの増加を来すなどの問題を生じることになる。
【0016】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、真空断熱パネルの形状やその配設位置を変えることなしに、しかも注入した発泡ウレタンの原料混合液が断熱壁面の途中で付着することなしに任意の液溜まりの位置に到達するようにして、断熱材の均一で充分な充填を可能にする断熱箱体の製造方法を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、断熱箱体の外側を構成する外箱と断熱箱体の内側を構成する内箱との間に真空断熱パネルを配してなる断熱壁と、該断熱壁によって形成される空間を分割するデバイダとを備え、該デバイダの端部が前記断熱壁の間隙に面し、前記断熱壁の間隙に断熱材原料混合液を注入して前記断熱壁を充填する断熱箱体の製造方法において、前記デバイダの端部に凹溝を設け、この凹溝に係合する位置に設けた断熱箱体の背面の注入口から、前記断熱材原料混合液を注入するようにしたものである。
【0018】
また、前記凹溝が、前記断熱箱体の前面のフランジ部へ向かって曲折した構造を備えたデバイダを用いるものである。
【0019】
さらに、前記凹溝が、前記原料混合液を注入するミキシングヘッドのノズルよりも大きな溝幅を備え、かつ前記ノズルから注入された前記原料混合液を前記フランジ部に流入させる長さを備えたデバイダを用いるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
この発明では、断熱箱体内部の室の仕切に供するものであって、その端部が外箱、内箱、及び真空断熱パネルを備えた断熱壁の間隙に面して、発泡ウレタンの原料混合液の好適な注入にも供するデバイダを使用する。図1にそのデバイダの外観を示す。デバイダ18は、板状部材で、左右の端面にはそれぞれ凹溝19が一端面から他端面まで形成されている。
次に、このデバイダおよび真空断熱パネルを備えた断熱箱体を、冷蔵庫として製造する方法を、図2の工程図に基づき説明する。
【0021】
[断熱箱体の製造方法]
まず、塗装または着色した樹脂シートを貼り付けた意匠性のある鋼板を折曲げ加工によって成形した外箱の内面に、両面テープなどを用いて、真空断熱パネルを貼り付ける(S−11)。
他方、発泡ポリスチレンの成型品から成る図1の概念図で示したデバイダ18を、ABS樹脂シートの真空成型品である内箱の同一成型品内に備えた冷凍室と冷蔵室を隔てる仕切部に挿入しておく(S−12)。この内箱は、前記外箱に挿入して外殻として一体化させた後(S−13)、外殻外側にあって底部を構成するボトムパン、外殻外側にあって背面部分を構成する背面板を規程の位置に取り付けることによって、箱体を完成させる(S−14)。
【0022】
次に、この箱体の外殻内の空隙に断熱材である発泡ウレタンを充填するが、この時、発泡ウレタンの発泡を伴う流動時に発生する圧力によって箱体が変形しないように箱体を治具に挿入して固定すると共に、好適な流動を得るために、治具の温度を40〜50℃に保つ。発泡ウレタンの注入は、任意の位置に設けられた注入口から、高圧発泡機などの定量混合装置を用いて所定の原料混合液を注入後、直ちに注入口を閉塞すれば良く、注入から数秒で発泡を開始、1分以内で充填を完了した後、約5分から7分後に硬化が完了して断熱層を形成するので、そこで治具から取り出せばよい(S−15)。得られた断熱箱体には、内装部品や冷媒回路部品を装着する製品組立を行い(S−16)、使用可能な状態にした後、冷却試験などの品質を確認する製品検査行って(S−17)、冷蔵庫が完成する(S−18)。
【0023】
ここで、図3に基づき本発明による断熱箱体の断熱壁への発泡ウレタンの原料混合液の充填方法を説明する。なお、(a)は本発明の断熱箱体の側壁及び背面部の拡大図、(b)は本発明の断熱箱体の断熱壁を背面方向から見た概略図である。
本発明のデバイダ18には、左右両端部に凹溝19が形成されており、このデバイダ18が断熱箱体の所定の位置、例えば図3(b)に示す冷凍室と冷蔵室の区切り部に配置されたとき、その箱体の背面を構成する背面板23の凹溝19と係合する位置に、発泡ウレタンの原料混合液21の注入口24を設ける。このようにすることで、注入口24から発泡ウレタンの原料混合液21を注入する時、原料混合液21の断熱壁内への落下がこの凹溝19を通って行なわれ、その落下は凹溝19の深さに応じて真空断熱パネル12から遠ざかって箱体の中心方向に移動する。
【0024】
このため、発泡ウレタンの原料混合液21がミキシングヘッド20からの注入速度に応じた特定の広がりを有して落下したとしても、原料混合液21の落下位置と真空断熱パネル12の配設位置がほとんど干渉せず、注入した発泡ウレタンの原料混合液21が真空断熱パネル12の上端部及び側面部に衝突および付着することなしに、下方に位置するフランジ部22の任意の液溜まり位置に流れ込むことになる。液溜まり位置は、その後の発泡ウレタンの発泡を伴う流動に際し、外殻内を充填するのに要する距離が最も短くてすむ位置として設定されるものであるから、充填に要する発泡ウレタンの量および発泡圧による製品の部分的な変形への負荷を少なくし、発泡ウレタンの特性分布を良好にするという利点を得ることが出来る。
【0025】
また、フランジ部22における原料混合液の流入位置が、デバイダ18の配設位置の都合によって好適な位置を選択できない場合には、好適とする方向に適度な曲折を備えた構造を有して構成すれば良い。つまり、デバイダ18に、好適な位置に向かうような曲折を有した凹溝19を形成すれば、原料混合液21の流入位置はそれに沿って移動し、任意の液溜まり位置に流れ込ませることが出来る。
【0026】
さらに、デバイダ18が複数設けられる場合には、当然、複数の注入口の設定が可能となるので、原料混合液21の流入位置をフランジ部のより広範囲に渡って分散することが可能となり、従って、それは大型の断熱壁を有する、例えば背の高い冷蔵庫などの断熱箱体への好ましい注入形態を得るうえで好都合である。
【0027】
[適用の評価方法とその結果]
本発明の有効性を確認するため、上述した本発明によるデバイダを用い、側壁および天井部に真空断熱パネルを配設し、背面を上にして発泡ウレタンを注入することによって外殻(断熱壁)を充填して製作した230Lの内容積を有する冷蔵庫を用い、以下の評価を行った。
なお、以下において、実施例とは図1に示したような本発明のデバイダを用いたものであり、比較例とは従来の凹溝を持たないデバイダを用いたものである。
【0028】
(1)発泡ウレタンの充填量
デバイダを挿入した内箱と、厚さが20mmの真空断熱パネル12を図4の断熱箱体に示す位置に来るように配設した外箱とにより外殻を構成した後、この外殻内の空隙容量と発泡ウレタンの予想密度から算出した充填量よりもわずかに少ない注入量を、45℃に保温した治具に挿入して発泡時の圧力による変形を防止する措置を施した外殻内に注入して充填させる。その後、未充填部分を調査して約50cc±30ccの空隙を有する状態のものを得るまで、充填を繰り返す。適正な未充填状態となった断熱箱体への注入量に対して、安定した成形状態を確保する為の15%の過剰充填量を追加した注入量を、充填量とした。
(2)発泡ウレタンの特性分布
本発明による冷蔵庫を解体して、図5に示す任意の場所から採取した発泡ウレタンの圧縮強度を測定することによって、発泡ウレタンの分布状態を評価した。圧縮強度は、採取した発泡ウレタンのほぼ中央付近から、50×50×10mmの大きさの試料を裁断によって得て、これを10mm/min の速度で10%の歪みを付与して圧縮したときにおける最大応力として求めた。
(3)外観意匠性
本発明の断熱壁について、真空断熱パネルの貼付に供さない冷蔵庫内の内箱側壁の平滑性について目視観察を行い、真空断熱パネルを用いずに発泡ウレタンのみで構成した断熱壁を利用した冷蔵庫の断熱壁との比較によって、3段階で評価した。
これら(1)〜(3)の各結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1中、「天」は冷蔵庫の天井51、「F」は冷凍室左面52と右面53の平均値、「R」は冷蔵室左面54と右面55の平均値、「底」は冷蔵庫の底面58、「背」は冷蔵庫の背面で冷凍室56と冷蔵室57の背面の平均値である(図5参照)。
また、外観の評価は、○が優れる、△が同等、×が劣る、を表している。
【0031】
表1から、本発明による断熱箱体の場合には、充填量が低下するとともに、発泡ウレタンの特性分布と外観意匠性に優れることが確認できた。圧縮強度を測定するために行った冷蔵庫の解体時に、注入口近傍における発泡ウレタンの泡の付着状態から原料混合液の飛散状態を判断すると、従来のデバイダを用いた比較例では真空断熱パネルの上端部に原料混合液が衝突して飛散し発泡ウレタンの充填に支障を来したのに対し、本発明によるデバイダを用いた実施例においてはそのような飛散の跡が見られず、原料混合液が円滑にフランジ部分にある好ましい液溜まりの位置に流入したと推測される。すなわち、本発明の場合、発泡ウレタンの流動過程において障害物がなくなって、原料混合液が短い距離を流動したと考えられる。
【0032】
さらに、デバイダに設ける凹溝を、フランジの任意の方向、つまり天井方向または底面方向の何れかに捻れたり曲げたりするように曲折した構造とすることによって、フランジに原料混合液が流れ込む方向を調整することができる。例えば、凹溝のフランジ側位置を注入口直下よりも底面方向に曲折されることによって、原料混合液を底面方向に多く調整して液溜まりの中心位置を注入口直下よりも底面方向にずらすことができ、その後の発泡ウレタンの流動距離や方向を調整することが可能となる。
【0033】
一方、比較例においては、付着した原料混合液が発泡した部分および近傍の内箱表面が、他の部位よりも平滑性が損なわれて小さな凹部を生み、外観意匠性に悪影響を来していることが確認された。
【0034】
なお、実施の形態で述べたデバイダの凹溝形状に対して、デバイダに孔を設けて、注入した発泡ウレタンを最も好ましい位置に案内する方法もあるが、この場合には、前記孔の内壁に付着した発泡ウレタンの原料混合液が発泡したことに伴う孔の内外との圧力差に応じた部分的な充填挙動の乱れを来し、外観挙動に好ましくない影響を及ぼす可能性がある。
【0035】
以上に述べた如く、本発明によれば、外殻を構成する外箱内壁に真空断熱パネルを配設した断熱箱体の製造方法において、端部に凹溝を備えた断熱箱体内仕切り用のデバイダを用いることによって、凹溝と真空断熱パネルの間隙に発泡ウレタンの原料混合液が注入されても原料混合液が接触しない空隙を形成し、かつ、その空隙が最も好ましい位置に原料混合液を導くようにすることで、原料混合液の充填量を低下させ、しかも、発泡ウレタンの特性分布と外観意匠性に優れる断熱箱体を得ることが出来た。
【0036】
以上、ここでは冷蔵庫を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、断熱材が発泡ウレタンのみの構成であっても、例えば車載用小型冷蔵庫やプレハブ式簡易冷蔵庫、保冷車やパイプや建築物の保温材など、保温および保冷用製品の発泡ウレタン注入に応用することも可能であり、その要旨を脱し得ない範囲で種々変形して実施することができる。
【0037】
【発明の効果】
この発明は、断熱箱体の外側を構成する外箱と断熱箱体の内側を構成する内箱との間に真空断熱パネルを配してなる断熱壁と、該断熱壁によって形成される空間を分割するデバイダとを備え、該デバイダの端部が断熱壁の間隙に面し、この断熱壁の間隙に断熱材原料混合液を注入して充填する断熱箱体の製造方法において、デバイダの端部に凹溝を設け、この凹溝に係合する位置に設けた断熱箱体の背面の注入口から、断熱材原料混合液を注入するようにしたので、原料混合液が真空断熱パネルの上端部や側壁部に付着してその後の充填に供する挙動を阻害することがなくなり、従って、断熱材の均一な充填が行われて、断熱性能及び外観意匠に優れた断熱箱体を得ることが出来る。
【0038】
また、凹溝が断熱箱体の前面の液溜まりであるフランジ部へ向かって曲折した構造を備えたデバイダを用いることで、原料混合液を最も充填の距離が短くなる位置に供給することができ、少ない注入量で均一でしかも充分な充填を確保することが出来る。
【0039】
さらに、凹溝が原料混合液を注入するミキシングヘッドのノズルよりも大きな溝幅を備え、かつノズルから注入された原料混合液をフランジ部に流入させる長さ備えたデバイダを用いることで、原料混合液が真空断熱パネル表面に過剰な付着をすることなしに容易にフランジ部に到達でき、したがって、フランジ部における原料混合液の安定した拡散や、その後の泡状での充填を円滑に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用するデバイダの一例を示す外観図である。
【図2】 断熱箱体の製造方法を示す工程図である。
【図3】 (a)は本発明による断熱壁への発泡ウレタンの原料混合液の充填方法を示す部分拡大図、(b)は本発明の断熱壁を背面方向から見た概略図である。
【図4】 冷蔵庫における真空断熱パネルの配設位置を示す斜視図である。
【図5】 発泡ウレタンを採取した位置を示す冷蔵庫を構成する各面の展開図である。
【図6】 断熱材の性能比較図である。
【図7】 真空断熱パネルの包装材の構成を示す断面図である。
【図8】 真空断熱パネルの製造方法を示す工程図である。
【図9】 真空断熱パネルの内部構造を示す断面図である。
【図10】 冷蔵庫を構成する断熱壁における真空断熱パネルの配設状態を示す断面図である。
【図11】 従来の断熱壁への発泡ウレタンの原料混合液の充填方法を示す説明図である。
【符号の説明】
12 真空断熱パネル、15 外箱、16 内箱、17 発泡ウレタン、
18 デバイダ、19 デバイダの凹溝、21 発泡ウレタンの原料混合液、
22 フランジ部、23 背面板、24 注入口。
Claims (3)
- 断熱箱体の外側を構成する外箱と断熱箱体の内側を構成する内箱との間に真空断熱パネルを配してなる断熱壁と、該断熱壁によって形成される空間を分割するデバイダとを備え、該デバイダの端部が前記断熱壁の間隙に面し、前記断熱壁の間隙に断熱材原料混合液を注入して前記断熱壁を充填する断熱箱体の製造方法において、
前記デバイダの端部に凹溝を設け、この凹溝に係合する位置に設けた断熱箱体の背面の注入口から、前記断熱材原料混合液を注入することを特徴とする断熱箱体の製造方法。 - 前記凹溝が、前記断熱箱体の前面のフランジ部へ向かって曲折した構造を備えたデバイダを用いることを特徴とする請求項1記載の断熱箱体の製造方法。
- 前記凹溝が、前記原料混合液を注入するミキシングヘッドのノズルよりも大きな溝幅を備え、かつ前記ノズルから注入された前記原料混合液を前記フランジ部に流入させる長さを備えたデバイダを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の断熱箱体の製造方法。
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