JPH10237284A - 繊維強化熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂組成物および成形品

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JPH10237284A
JPH10237284A JP3954997A JP3954997A JPH10237284A JP H10237284 A JPH10237284 A JP H10237284A JP 3954997 A JP3954997 A JP 3954997A JP 3954997 A JP3954997 A JP 3954997A JP H10237284 A JPH10237284 A JP H10237284A
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fiber
thermoplastic resin
resin composition
reinforced thermoplastic
weight
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JP3954997A
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Hidetoshi Sakai
秀敏 坂井
Hiromitsu Ishii
博光 石井
Motonori Hiratsuka
元紀 平塚
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、成形性、機械的性質、加水分解性、
耐疲労特性などに優れた繊維強化熱可塑性樹脂組成物、
および高い生産性のその製造方法を提供することを目的
とする。 【解決手段】ポリブチレンテレフタレート、強化繊維、
ゴム弾性を有するポリマー、エポキシ化合物からなる繊
維強化熱可塑性樹脂組成物において、組成物中の強化繊
維の重量平均繊維長(Lw)と繊維径(d)の関係(L
w/d)が50〜250であり重量平均繊維長(Lw)
と数平均繊維長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.1〜
3.5であることを特徴とす繊維強化熱可塑性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性や機械的性質に
優れた繊維強化熱可塑性樹脂組成物および高い生産性の
その製造方法に関する。更には、熱的特性、特に加水分
解性や耐ヒートサイクル性、耐疲労特性に優れた繊維強
化熱可塑性樹脂組成物に関し、また、金属やセラミック
等の他素材と接触して用いられる繊維強化熱可塑性樹脂
成形品に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】繊維強化熱可塑性樹脂組成物
は、その優れた機械的性質を活かして、自動車部品や電
気および電子部品などの様々な用途に使用されている。
また、最近では、軽量化や各種部品の保護を目的に、樹
脂と各種部品を一体化した部品、中でも各種部品などを
樹脂に埋め込んだ成形品等に利用されている。しかしな
がら、樹脂とそれ以外の素材からなる部品などでは、温
度変化による膨張や収縮率に大きな差があることから、
一体化部品では樹脂部分が温度変化で割れたりする。そ
こで、繊維強化熱可塑性樹脂とそれ以外の素材との熱膨
張の差を追随するためと、耐衝撃強度を向上させる目的
のために、ゴム成分を繊維強化熱可塑性樹脂に溶融混練
する検討が進められ、特開昭56−30460号公報や
特開平7−18166号公報や特開平7−132546
号公報などが知られている。
【0003】また、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の押出
機による製造方法として、強化繊維の開繊性や繊維長を
制御しようとする試みは、特開昭58−56818号公
報のごとく二軸押出機の第二の供給口からガラスロービ
ングを供給して単繊維化する方法、特開昭60−221
460号公報のごとき強化された材料や特開平4−12
5110号公報のように混練装置内で切断された短繊維
を分散させた材料や特公平4−80810号公報のよう
にピストン運動を利用して混練する方法が知られてい
る。
【0004】また、繊維強化熱可塑性樹脂組成物の強度
や熱的特性、特に加水分解性を向上させる目的で、特公
昭55−41700号公報や特開平6−212065号
公報に記載されているようにエポキシ化合物を強化材と
共に用いることが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ゴム成分と繊維状強化材を溶融混練した特開昭56−3
0460号公報や特開平7−18106号公報や特開平
7−132546号公報では、耐ヒートサクイル性で若
干の効果は見られるものの、その効果は不十分であり、
曲げや疲労等の強度も劣る。
【0006】また、繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製造
する方法についても、一般に押出機を用いると高い生産
性が得られるが、特開昭58−56818号公報、特開
昭60−221460号公報、特開平4−125110
号公報や特公平4−80810号公報の方法では、繊維
状強化材の開繊度合と繊維長を十分に制御することがで
きず、スクリュの混練作用を強化すると繊維長が短くな
り機械的性質が低下してしまい、混練を弱くすると開繊
度合が不十分で繊維状強化材が不均一となる問題点があ
る。
【0007】また、エポキシ化合物を強化材と共に用い
て繊維強化熱可塑性樹脂組成物の加水分解性を向上させ
る特公昭55−41700号公報や特開平6−2120
65号公報の方法においても、十分な効果を得ることは
困難である。
【0008】そこで本発明は、上述の従来技術の問題点
を解消し、機械的特性や加水分解性に優れると同時に、
耐ヒートサイクル性や耐疲労特性、さらに成形性に優れ
る繊維強化熱可塑性樹脂組成物および成型品を提供する
ことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリブチレンテ
レフタレートとゴム弾性を有するポリマー並びにエポキ
シ化合物を用い、強化繊維を単繊維近くまで開繊し均一
分散させると共に、組成物中の繊維状強化材の繊維長と
繊維長分布を制御することで、衝撃強度と剛性のバラン
スに優れ、耐ヒートサイクル性や耐疲労強度等が向上
し、さらに熱的特性にも優れることを見いだし、発明に
到ったものである。
【0010】すなわち本発明は、(1)(A)ポリブチ
レンテレフタレートと、(B)強化繊維、(C)ゴム弾
性を有するポリマーおよび(D)エポキシ化合物を配合
してなる繊維強化熱可塑性樹脂組成物であって、組成物
中の(B)強化繊維の重量平均繊維長(Lw)と繊維径
(d)の関係(Lw/d)が50〜250であり、重量
平均繊維長(Lw)に対する数平均繊維長(Ln)の比
(Lw/Ln)が1.1〜3.5である繊維強化熱可塑
性樹脂組成物、(2)(A)〜(D)成分の配合量が、
(A)、(B)および(C)の合計に対して(A)ポリ
ブチレンテレフタレートが40〜98重量%、(B)強
化繊維が1〜60重量%、(C)ゴム弾性を有するポリ
マーが1〜50重量%であり、(D)エポキシ化合物
が、(A)、(B)および(C)の合計100重量部に
対して、2.5重量部以下である上記(1)記載の繊維
強化熱可塑性樹脂組成物、(3)(A)ポリブチレンテ
レフタレートが、COOH末端基10〜60eq/t、
固有粘度0.60〜1.25である上記(1)〜(2)
のいずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物、(4)
(A)ポリブチレンテレフタレートがCOOH末端基2
0〜55eq/t、固有粘度0.65〜1.10のポリ
ブチレンテレフタレートである上記(1)〜(3)のい
ずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物、(5)
(C)ゴム弾性を有するポリマーが、ガラス転移温度0
℃未満である上記(1)〜(4)のいずれか記載の繊維
強化熱可塑性樹脂組成物、(6)(C)ゴム弾性を有す
るポリマーが、エチレン共重合体であることを特徴とす
る上記(1)〜(5)のいずれか記載の繊維強化熱可塑
性樹脂組成物、および、(7)(D)エポキシ化合物が
グリシジルエステルを有する化合物、グリシジルエーテ
ルを有する化合物およびグリシジルエステルとグリシジ
ルエーテルを有する化合物から選ばれた1種以上である
上記(1)〜(6)のいずれか記載の繊維強化熱可塑性
樹脂組成物である。
【0011】さらに本発明は(8)上記(1)〜(7)
いずれか記載の組成物からなるペレット、(9)スクリ
ューおよび/またはシリンダーの少なくとも一部を、表
面異形化加工した開繊・繊維長制御機構部を設けた押出
機を使用し、(A)成分のポリブチレンテレフタレート
と(C)成分のゴム弾性を有するポリマーと(D)成分
のエポキシ化合物を溶融すると共に、該溶融状態にある
樹脂組成物中に連続状態にある(B)成分の強化繊維を
供給し、前記開繊・繊維長制御機構部を通過させながら
強化繊維を開繊し、繊維長を制御することにより上記
(1)〜(7)のいずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂
組成物を製造することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹
脂組成物の製造方法、(10)上記(1)〜(7)のい
ずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物を成形してな
る成形品、および、(11)成形品が、繊維強化熱可塑
性樹脂組成物以外の素材と接触して用いられるものであ
る上記(10)記載の成形品である。
【0012】
【発明の実施の態様】以下に、本発明を更に詳細に説明
する。本発明で使用する(A)ポリブチレンテレフタレ
ートとは、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘
導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形
成性誘導体とを主成分とし重縮合反応させる等の通常の
重合方法によって得られる重合体であって、特性を損な
わない範囲、例えば20wt%程度以下、他の共重合成
分を含んでも良い。これら(共)重合体の好ましい例と
しては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン
(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン
(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレ
フタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレ
ート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テ
レフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチ
レン)テレフタレート等が挙げられ、単独で用いても2
種以上混合しても良い。
【0013】本発明で用いるポリブチレンテレフタレ1
ートは、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴
定して求めたCOOH末端基量が10〜60eq/t
(ポリマー1トン当たりの末端基量)の範囲にあるもの
が好ましく、さらには20〜55eq/tが好ましい。
また、o−クロロフェノール溶液を用いて25℃で測定
したときの固有粘度は0.60〜1.25の範囲にある
ものが好ましく、さらには0.65〜1.10が好まし
く、さらに0.65〜0.95が好ましい。このような
最適の条件を満たした場合に、成形時の流動性や機械的
性質に特に優れた繊維強化熱可塑性樹脂組成物が得られ
る。
【0014】本発明の組成物中の(B)強化繊維は、通
常樹脂の補強用として用いられているものならば特に限
定されるものではなく、ガラス繊維,炭素繊維,金属繊
維および有機繊維(ナイロン,ポリエステル,アラミ
ド,ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマ,アクリル
等)等を使用することが可能であり、1種または2種以
上併用することも可能であるが、ガラス繊維や炭素繊維
が最も望ましい。また、繊維径は通常樹脂の補強用とし
て使用されるものであれば特に限定されるものではな
く、好ましくは、直径4から25μm、特に6から20
μmの繊維を使用することができる。組成物中の強化繊
維の重量平均繊維長(Lw)と繊維径(d)の関係(L
w/d)は50〜250、さらに好ましくは53〜20
0であり、重量平均繊維長(Lw)に対する数平均繊維
長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.1〜3.5、さら
に好ましくは1.1〜2.0であることが好ましい。L
w/dが小さい場合には十分な機械的性質の向上効果が
得られず、大きい場合には強化繊維が絡み合い不均一に
なったり流動性を悪化させるため好ましくない。また、
Lw/Lnが、1.1未満では実質的に繊維長が一定で
ある特公昭63−37694号公報で示されるようなプ
ルトルージョン法などで得られる組成物を意味し、この
場合、強化繊維の開繊性が劣り良好な成形性(流動性)
が得られない。大きい場合には、繊維のからみあいのた
め不均一な流動になり、均一な成形品が得られないため
望ましくない。本発明において重量平均繊維長および数
平均繊維長は、組成物を500℃の電気炉内で熱可塑性
樹脂のみ燃焼させたものを顕微鏡で写真撮影し、その写
真から500本以上の繊維の長さを計測し、その繊維長
分布から求めることができる。
【0015】なお、重量平均繊維長(Lw)と数平均繊
維長(Ln)は、各々次のように定義されるものであ
る。
【0016】
【数1】 重量平均繊維長(Lw)=Σ(ρπr2 Li×Li)/Σ(ρπr2 Li) =ΣLi2 /ΣLi 数平均繊維長(Ln) =ΣLi/n ただし、ρ:強化繊維の密度 r:強化繊維の半径 Li:i番目の強化繊維の長さ n:強化繊維の本数
【0017】また、本発明において強化繊維は組成物中
で開繊していることが好ましく、かかる開繊性とは組成
物中の強化繊維が実質的に単繊維にまで開繊している状
態をいい、具体的には観察した強化繊維の内で10本以
上束になった強化繊維の本数が強化繊維の総本数の40
%以下程度にあることを意味する。
【0018】本発明で(C)成分として使用されるゴム
弾性を有するポリマとは、常温では加流ゴムのようなゴ
ム弾性を示し、高温で可塑化され任意の形状に加工可能
な熱可塑性のエラストマ樹脂であれば特に制限はなく、
例えば、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満のゴム弾性
を有するポリマが挙げられる。具体的にはポリアルキレ
ンテレフタレートのような芳香族ポリエステルとポリア
ルキレングリコールのよな脂肪族ポリエーテルやポリブ
チレンアジペートのような脂肪族ポリエステルを構成成
分とするポリエステル系エラストマ、具体的にはポリエ
チレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシ
ド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフ
タレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキ
シド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレ
フタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコー
ルブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イ
ソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコ
ールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/
デカンジカルボキシレート・ポリ(テトラメチレンオキ
シド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレ
フタレート・ポリエチレンアジペートブロック共重合
体、ポリブチレンテレフタレート・ポリブチレンアジペ
ートブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・
ポリーεーカプロラクトンブロック共重合体などのポリ
エステル系エラストマ、エチレン・プロピレン共重合
体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ペンテ
ン−1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共
重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−
ノルボーネン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4
−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシ
クロペンタンジエン共重合体、エチレン・グリシジルメ
タクリレート共重合体などのオレフィン系エラストマ、
ポリスチレンとポリブタジエンやポリイソプレンおよび
これらの水素添加物等からなるスチレン・ブタジエンブ
ロック共重合体、スチレン・イソプレンブロック共重合
体、スチレン・エチレン・ブチレンロック共重合体、ス
チレン・エチレン・プロピレン共重合体などのスチレン
系エラストマ、ポリエステルあるいはポリエーテルポリ
オールとイソシアナート化合物の反応により得られるウ
レタン系エラストマ、ポリアミド6,11,12などの
結晶性ポリアミドとポリオキシエチレン、ポリオキシプ
ロピレン、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエ
ーテルやポリブチレンアジペートのような脂肪族ポリエ
ステルからなるポリアミド系エラストマ、α−オレフィ
ンと不飽和カルボン酸との共重合体を金属イオンで分子
鎖間を架橋したアイオノマ系のエラストマ、エチレンと
アクリル酸エチルの共重合体、エチレン・アクリル酸メ
チル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体な
どのエチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、コアシェルゴムおよびこれらの
酸変性やエポキシ変性物等が挙げられ、これらは単独ま
たは2種以上組み合わせて用いることも可能である。
【0019】本発明で使用する(D)エポキシ化合物と
しては、1グラム当量のエポキシ基を含む化合物のグラ
ム数であるエポキシ当量が1000以下であるエポキシ
基を有する化合物が、加水分解性の改良効果の点から好
ましく挙げられ、一般に熱可塑性樹脂に添加して使用さ
れるものであってよい。
【0020】さらに分子内にグリシジルエステルを有す
る化合物、グルシジルエーテルを有する化合物、グリシ
ジルエステルとグリシジルエーテルの両者を有する化合
物が好ましく挙げられる。これらのエポキシ化合物は1
種または2種以上で用いられ、特にグリシジルエステル
を有する化合物とグリシジルエーテルを有する化合物の
併用やグリシジルエステルとグリシジルエーテルの両者
を有する化合物の配合が好ましい。具体的なエポキシ化
合物としては、レゾルシンジグリシジルエーテル、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ジエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジル
エーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジ
ルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエー
テル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、アクリル
グリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテ
ル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェ
ニルグリシジルエーテル、ビスフェノール−A−ジグリ
シジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエ
ーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ダイマー
酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグルシジルエ
ステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、
ネオデカン酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリ
シジルエステル、大豆油グリシジルエステル、安息香酸
モノグリシジルエステル、ステアリン酸モノグリシジル
エステル、ラウリン酸モノグリシジルエステル、p−ヒ
ドロキシベンゾイック酸グリシジルエステルエーテルな
どが挙げられる。
【0021】(A)ポリブチレンテレフタレートと
(B)強化繊維と(C)ゴム弾性を有するポリマー
(D)エポキシ化合物の各成分の含有割合は、加水分解
性や成形性(流動性)の点から、(A)と(B)と
(C)の合計100重量部に対して(D)のエポキシ化
合物が2.5重量部以下であることが好ましく、特に
1.5重量部以下であることが好ましい。また、必須成
分である以外、下限として特に制限はないが、0.03
重量部以上であることが好ましく、特に0.05重量部
以上であることが好ましい。また、(A)〜(C)の合
計に対して(A)ポリブチレンテレフタレートは39〜
98重量%であることが好ましい。なかでも上限として
は特に96重量%以下、さらに94重量%以下であるこ
とが好ましく、下限としては特に50重量%以上である
ことが好ましい。(B)強化繊維は1〜60重量%であ
ることが好ましく、なかでも機械的性質や成形性、表面
平滑性の点を考慮すると、上限としては50重量%以下
であることが特に好ましく、下限としては3重量%以上
であることが特に好ましい。(C)のゴム弾性を有する
ポリマーの配合割合は、剛性と衝撃強度のバランスや耐
ヒートサイクル性の面から任意に配合量を調節すること
が可能であり、1〜50重量%であることが好ましく、
なかでも上限としては20重量%以下であることが特に
好ましく、下限としては3重量%以上であることが特に
好ましい。
【0022】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物を製
造する方法は、上記の規定を満足する組成物が得られる
方法であれば特に制限はないが、最も好ましい方法は、
熱可塑性樹脂と連続した強化繊維を押出機シリンダ内で
溶融混練することにより繊維強化熱可塑性樹脂組成物を
製造する方法である。詳しくは、溶融した熱可塑性樹脂
と連続した強化繊維とをスクリュ表面および/またはシ
リンダ内壁の少なくとも一部が表面異形化加工されたス
クリュおよび/またはシリンダで形成される制御機構部
を通過させることにより、異形化加工表面の櫛作用で強
化繊維を開繊し、繊維長を制御する方法である。
【0023】上述の連続した強化繊維を開繊し、繊維長
を制御するスクリュおよび/またはシリンダを加工した
押出機とは、単軸または多軸のスクリュ式の押出機であ
って、その内部に連続した強化繊維の開繊度合や繊維長
の制御機構部を含む押出機を言う。連続した強化繊維
は、スクリュフライトとシリンダ間の剪断力によって押
出機シリンダ内に一定速度で巻き込まれ、スクリュに巻
き付きながら前進する。通常樹脂はスクリュの溝内を流
動するが、上記の方法において連続した強化繊維はスク
リュフライトを乗り越えて前進する。従って、スクリュ
外周部やシリンダ内壁に種々の加工をほどこすことによ
って、スクリュに巻き付いた強化繊維にスクリュとシリ
ンダ間で“櫛”の作用を及ぼすことができる。具体的な
制御機構部の例としては、スクリュ表面、好ましくは円
柱状のスクリュ表面やニュートラルエレメントなどの楕
円状のスクリュ表面に、異形化加工を施すことが挙げら
れる。異形化加工としては凹凸加工が挙げられる。凹凸
を形成する方法は特に制限はないが、切削加工、研削加
工、ブラスト加工等を採用することができる。凹凸の形
態としては、刃状の加工や網目状の加工などが挙げら
れ、連続した強化繊維を開繊し繊維長を制御することが
可能な形態であれば特に限定するものではない。図1
a,bは、スクリュ1の表面に、またシリンダ3の内壁
に刃状の加工2,4を施した例である。これらはスクリ
ュ軸と垂直方向に特定の刃先角度で凹凸を形成した刃状
加工部2、4であり、刃状加工部2、4は図2に示すよ
うに、特定の刃先角度(θ)、凸凹形状の山頂と谷底の
高さ(h)および山頂とその隣の山頂の距離、ピッチ
(t)により表現し得る。特定の刃先角度(θ)は60
度以下が望ましく特に45度以下が好ましい。凹凸形状
の山頂と谷底の高さ(h)は繊維径の30倍以上が望ま
しく、更に好ましくは70倍以上が望ましい。刃状加工
の刃先角度が大きすぎたり台形形状の場合や、凹凸の山
頂と谷底の高さの繊維径に対する割合が小さすぎる場合
では、強化繊維に対し“櫛”として及ぼす作用が小さく
なり開繊性が悪くなったり、擦り潰し作用により繊維長
が短くなる傾向がある。刃先とそれに隣接する刃先の距
離であるピッチ(t)は強化繊維径の30〜200倍に
することが好ましい。
【0024】上記制御機構部は、連続した強化繊維の投
入部に隣接して、設ける事が望ましい。投入部から離れ
過ぎると、強化繊維が制御機構部に到達する前に、通常
のスクリュフライトとシリンダ間で擦り切れてしまい、
繊維長や開繊度合の制御が困難となるため、望ましくな
い。また、投入部以降に通常の混練部や逆流部を設ける
と、そこで強化繊維が破損するため望ましくない。投入
部と制御機構部間に混練部を設けると、前述と同様に強
化繊維が切れてしまい、制御できなくなる。更に、制御
機構部以降に混練部を設けた場合も、特に繊維長を短く
したい場合を除けば、繊維が破損してしまうため望まし
くない。
【0025】連続した強化繊維の投入部は、熱可塑性樹
脂の溶融部よりも下流に設け、溶融した樹脂中に投入す
る。樹脂と同時に投入すると、樹脂の溶融時に繊維が切
れてしまい、制御しにくくなる。また、連続した強化繊
維の投入部は窒素などでシールし、溶融樹脂と空気との
接触を断つことが樹脂の酸化劣化を防止する点で望まし
い。
【0026】押出機としては、特に限定する物はない
が、特にユニット構造の二軸押出機のような多軸の押出
機が簡便である。多軸押出機としては、最も一般的な二
軸押出機が好ましく、同方向、異方向、噛み合い型、非
噛み合い型、どのタイプでも良いが、同方向が最も好ま
しい。また、スクリュとしても、深溝や浅溝、1条、2
条、3条ネジ等が利用できる。二軸押出機は、単軸押出
機に比較すると、樹脂供給量とスクリュ回転数を独立に
制御できるため、強化繊維の添加量を制御しやすい。ま
た、ユニット構造であれば、開繊度合や繊維長の制御機
構部を設けやすく、かつその位置も変えやすい点で有利
である。
【0027】また、樹脂や繊維から発生する揮発成分や
強化繊維が抱き込む気泡による、物性の低下や外観不良
を防止する目的から、開繊度合や繊維長の制御機構部以
降に、脱気口を設けることが望ましい。
【0028】本発明においては、繊維供給後の円柱や楕
円筒等のスクリュの表面及び/又はシリンダの内壁の少
なくとも一部に凹凸を施した制御機構部を設けることが
重要であり、凹凸加工部のピッチ、深さは、目的とする
制御の程度によって変更できる。また、加工を有するス
クリュと加工を有するシリンダを各々単独で用いたり、
組み合わせて用いることもできる。スクリュ断面は楕円
形の場合を例示してあるが、円形状も可能で、特に噛み
合い型の二軸押出機の場合は、セルフクリーニング性を
維持するために、楕円形状が望ましい。更に、繊維長の
制御のために、制御機構部の長さを変えたり、必要に応
じ両端部で径を変えたり、ピッチや深さの異なる突起を
組み合わせて用いることもできる。好ましい制御機構部
の長さは、スクリュ径の0.1〜10倍、より好ましく
は0.2〜5倍、特に好ましくは0.3〜3倍である。
本発明は、これらの例に限定されるものではなく、強化
繊維を単繊維にまで開繊し、目的とする繊維長に応じ
て、“櫛”のごとき機能を有する加工全てを包含する物
である。
【0029】また、連続した強化繊維の集束本数におい
ても特に限定されるものはないが、単繊維やモノフィラ
メントを10〜20000本集束したものが望ましく、
通常これら強化繊維は、樹脂との界面接着性やハンドリ
ング特性向上のための、集束剤やカップリング剤で表面
処理を行って使用することが好ましい。例えば、特公平
4−47697号公報等公知の表面処理を行うことがで
きる。これらの表面処理は、前もって処理した強化繊維
を用いても良いし、強化繊維を押出機に投入する直前に
行って、連続的に本発明の組成物を製造することもでき
る。
【0030】本発明の組成物は、通常の公知の方法で、
ペレット化して成形に供することができる。
【0031】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物から
なるペレットは、上述の押出機の先端にダイスを設置
し、ダイスを介してガット状、チューブ状あるいはシー
ト状などの形状に押出された組成物をカッティングする
ことにより製造することができ、具体的には押出機から
断面積1〜100mm2 程度のスパゲティー状等のガッ
ト状に吐出したものを、長さ2〜50mm程度にカッテ
ィングしたもの、あるいは厚さ1〜8mm程度のシート
状物として吐出したものを辺長さ2〜50mm程度の細
片にカッティングしたものなどが挙げられる。また、吐
出口の大きい押出機から塊状に吐出されたものや成形品
などを粉砕して、射出成形やブロー成形、押出成形など
各種成形方法で成形加工できるような形にしたものでも
よい。
【0032】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物は通
常の方法、例えば射出成形、押出成形、ブロー成形など
の方法で成形品とすることができ、特に、該繊維強化熱
可塑性樹脂組成物以外の素材と接触して使用される成形
品に好ましく使用される。
【0033】繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外の素材と
しては繊維強化熱可塑性樹脂組成物と異なる線膨張係数
を有する素材であれば特に限定されるものではないが、
好ましくは金属、セラミック、熱硬化性樹脂、非繊維強
化の熱可塑性樹脂などが挙げられ、特に、金属や熱硬化
性樹脂が好ましい。また、これらの素材は、1種以上を
組み合わせて使用することも可能であり、数種類の異な
った素材からなる部品なども挙げられる。
【0034】上記において、繊維強化熱可塑性樹脂組成
物が該繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外の素材と接触し
て使用される状態とは、単なる接触ではなく繊維強化熱
可塑性樹脂組成物と該繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外
の素材とが、温度変化による膨張、収縮による寸法変化
の差や成形収縮率の差等により、繊維強化熱可塑性樹脂
組成物が応力を受けるような接触をしている状態をい
う。このような接触をしている繊維強化熱可塑性樹脂組
成物と該繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外の素材からな
る成形品の具体例としては、繊維強化熱可塑性樹脂組成
物以外の素材を被覆する様なインサート成形品、ネジ穴
またはネジのない穴を有する繊維強化熱可塑性樹脂組成
物からなる成形品を該繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外
の素材からなるネジまたは穴に相当する形状を有する物
品を実質的に隙間のないようにはめ込んだ複合物品など
が挙げられる。上記被覆の態様としては例えば、表面積
の1/3以上を覆っている状態をも含む。
【0035】繊維強化熱可塑性樹脂組成物からなる成形
品を得る成形方法としては、特に限定されるものはな
く、通常一般に利用されている射出成形や押出成形、ス
タンピング成形、ブロー成形等が挙げられるが、特に射
出成形によるインサート成形が好ましい。また、繊維強
化熱可塑性樹脂組成物中の繊維の破損を極力低減させる
成形が好ましく、過剰な圧力や剪断力等を加えない成形
や、成形機のスクリュの溝深さやノズルさらに金型のゲ
ート等を大きくすることが好ましい。
【0036】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物から
なる成形品は、繊維強化熱可塑性樹脂組成物と該繊維強
化熱可塑性樹脂組成物以外の素材が接触して使用される
ものであり、特に、両者を一体成形して、両者の熱膨張
率による差により本発明の繊維強化熱可塑性樹脂成形品
が応力を受ける場合に好適であり、自動車や車両等の関
連部品、電気電子部品、家電製品の部品、機械や工具等
の関連部品、スポーツやレジャー用品、光学機器や精密
機械関連部品、建築資材等に好ましく使用される。特に
と繊維強化熱可塑性樹脂組成物以外の素材を繊維強化熱
可塑性樹脂組成物で保護する等の目的から包み込むよう
な形態の一体成形品であることが望ましく、具体的な用
途としては、イグニッションシステムやディストリビュ
ーターの部品等が挙げられる。
【0037】本発明の繊維強化熱可塑性樹脂組成物に
は、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般に熱可
塑性樹脂に用いられる公知の物質、例えば、酸化防止
剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤などの公知の安定剤、帯
電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料や含量等の着色剤、
潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等を添加した
り配合したりする事ができる。また、ガラスフレーク、
ガラス粉、ガラスビーズ、シリカ,モンモリナイト、石
英、タルク,クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウ
オラストナイト、マイカ、炭酸カルシウム、金属粉、木
粉、紙等の充填剤を同時に配合することも可能である。
これらの添加、配合方法は特に限定する物はなく、組成
物の特性を損なわない範囲内で添加、配合することがで
き、ポリブチレンテレフタレートと同時に押出機内に投
入しても、強化繊維と同時に押出機内に投入しても、ま
た別の投入口から投入してもよく、さらに本発明の組成
物のペレットと混ぜて成形機等に投入してもよい。
【0038】次に本発明の製造方法の具体例を図で説明
する。図3は本発明で好ましく使用される二条ネジスク
リュ式二軸押出機の全体断面図であり、第1の供給口8
より熱可塑性樹脂を供給し、スクリュ10によって押出
し方向に搬送されながら溶融され、ニーディングゾーン
11にて完全に熱可塑性樹脂を溶融する。その後、強化
繊維の投入口9よりロービング状態の繊維を供給して、
順ネジのフルフライト12で構成されたスクリュによっ
て溶融樹脂と繊維はスクリュ先端へと送られる。投入口
に隣接した制御機構13によって、繊維を開繊し繊維長
を制御した後、ダイス14を通って繊維強化熱可塑性樹
脂組成物15を得る。尚、スクリュ凹凸面形成部13に
対応するシリンダ内壁16に、凹凸面形成部17を形成
することも可能である。
【0039】
【実施例】以下に実施例によって本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例、比較例中で示される各機械特性値は、10個の
サンプルについて測定し、その平均値を求めた。各樹脂
組成物はシリンダ温度260℃、金型温度80℃、成形
サイクル25秒で(株)名機製作所製M−50AII−S
J射出成形機にて試験片を成形した。このとき金型のキ
ャビティが完全に充填されるのに必要な最低のゲージ圧
を評価し、成形下限圧として成形性の指標とした。アイ
ゾット衝撃強度の評価,引張強度の評価,曲げ強度や弾
性率の評価は、各々ASTM D−256,ASTM
D−638,ASTM D−790に従って測定した。
加水分解性については、(株)田葉井製PRESSURE COOKE
R TPC-411 で121℃、100%RHの加水分解処理を
120時間(5日間)した後の引張強度を測定し強度保
持率を調べた。疲労強度の試験はASTM D671に
従って110℃雰囲気中で107 回までの繰返し応力に
対し、破壊しない応力の上限値の疲労限度を疲労強度と
して、測定した。また、耐ヒートサイクル性の試験は、
縦47mm、横47mm、高さ27mmの材質がS35
C製鉄芯をインサート成形用の金型に設置し、東芝機械
製IS55−EPN射出成形機で射出成形により、樹脂
厚み1.5mmで被覆した成形品を、TABAI−TS
V−40冷熱試験機を用いて−40℃×1h〜130℃
×1hを1サイクルとする条件で、樹脂にクラックが発
生するサイクル回数を測定した。
【0040】ペレット中、成形品中の繊維の観察は、各
サンプルを500℃の電気炉内で熱可塑性樹脂のみ燃焼
させ、繊維含有量を測定した。また、灰分の繊維を顕微
鏡にて観察し、任意の500本について繊維長を測定し
重量平均繊維長(Lw)と数平均繊維長(Ln)を求
め、Lw/dとLw/Lnを求めた。
【0041】本実験に用いたポリブチレンテレフタレー
トとエポキシ化合物を以下に示す。
【0042】 ポリブチレンテレフタレート A−1:COOH末端基40eq/t、固有粘度0.88 A−2:COOH末端基 9eq/t、固有粘度1.30 A−3:COOH末端基70eq/t、固有粘度0.55
【0043】エポキシ化合物 D−1:ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル
(エピコート−191P)(エポキシ当量:170)油
化シェルエポキシ製 D−2:テレフタル酸ジグリシジルエステル(デナコー
ルEX−711)(エポキシ当量:149)長瀬産業製 D−3:ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル
(エピコート−819)(エポキシ当量:200)油化
シェルエポキシ製 D−4:ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルと
ブチルグリシジルエーテルの混合物(エピコート−81
5)(エポキシ当量:185)油化シェルエポキシ製 D−5:p−ヒドロキシベンゾイック酸グリシジルエス
テルエーテル(UQ−103)(エポキシ当量:16
1)上野製薬製
【0044】実施例1〜5 図3のごとく押出し方向に2つの供給口を有するスクリ
ュ径30mm,L/D35の同方向回転2軸押出機
((株)日本製鋼所製TEX30)を用い、2条ネジで
相互の噛み合い3.5mmのスクリュを使用し、第一の
樹脂供給口と強化繊維投入口の間にL/D=1の45度
に傾いた5枚のニーディングディスクからなるスクリュ
エレメントを、順逆の順番に組み合わせて設け、強化繊
維投入口の吐出側にL/D=1のフルフライトスクリュ
を介して、図1a.(ピッチ1mm、刃先角30度、山
頂と谷底の高さ1mm)加工を施したL/D=1、楕円
断面の表面異形化加工を施したスクリュを装備した装置
を使用し、表1に示した割合になるようにスクリュ式ペ
レット供給装置によって第1の供給口に、ポリブチレン
テレフタレートとエポキシ化合物並びに、ゴム弾性を有
するポリマーとしてエチレンプロピレン共重合体と無水
マレイン酸を有機過酸化物の存在下で変性した酸変性の
エチレンプロピレン共重合体を供給し、強化繊維投入口
から直径13μm,1000m当たり1100gのガラ
スロービング(日本電気硝子(株)製)を導入し、シリ
ンダ温度260℃,スクリュ回転数200rpmの条件
でストランド状に押出し、水槽内で冷却後、4mm長に
カッティングして繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得
た。繊維強化熱可塑性樹脂ペレットは110℃×8時間
乾燥した後、射出成形した。
【0045】比較例1 表2に示したポリブチレンテレフタレートを用い、実施
例1と同じ強化繊維、ゴム弾性を有するポリマー、装
置、方法で繊維強化熱可塑性樹脂組成物を作成し、同様
に成形、評価した。
【0046】比較例2 L/D=0.75の45度に傾いた5枚のニーディング
ディスクからなるスクリュエレメントを、強化繊維投入
口の吐出側にも設けた他は実施例1と同じ装置を使用
し、実施例1と同じポリブチレンテレフタレートとエポ
キシ化合物とゴム弾性を有するポリマーを供給し、強化
繊維には実施例1と同じガラスロービングを3mm長に
カッティングしたチョップドストランドタイプの強化繊
維を用いて、公知の繊維強化熱可塑性樹脂ペレットの製
造方法でストランド状に押出し、実施例1と同様に冷却
し、4mm長にカッティングしてガラス繊維含有量30
重量部の繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを得た後乾燥
し、実施例1と同じ方法で射出成形した。
【0047】比較例3 実施例2と同じポリブチレンテレフタレートとエポキシ
化合物とゴム弾性を有するポリマー、ならびにガラスロ
ービングを用い、公知のクロスヘッドダイ式プルトルー
ジョン法で、ペレット長5mmにカッティングし、ガラ
ス含量45重量部の長繊維補強ペレットを得た。実施例
1と同じ方法で乾燥後射出成形した。
【0048】表1のごとく、本発明の実施例では各種特
性値で優れた値を示す繊維強化熱可塑性樹脂組成物を得
ることができた。その中で、実施例4はポリブチレンテ
レフタレートの固有粘度が高めであるため若干繊維長が
短くなり、機械的性質がやや低かった。また、実施例5
では、繊維長は長いもののポリブチレンテレフタレート
の固有粘度が小さいため、若干機械的性質が低かった。
表2のごとくエポキシ化合物を含まない比較例1では加
水分解性が悪い。比較例2では、成形品中での繊維長が
短く十分な強化繊維による補強効果が得られず、機械的
性質が悪かった。プルトルージョン法で試作した比較例
3は、優れた機械的性質は得られるものの成形品毎のば
らつきが大きく、成形性も悪かった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】以上の説明および実施例から明らかなよ
うに、ポリブチレンテレフタレートと強化繊維とゴム弾
性を有するポリマー及びエポキシ化合物からなり、特定
の繊維長や繊維長分布を有する本発明の繊維強化熱可塑
性樹脂組成物は、各種成形の際の成形性や機械的性質、
加水分解性、耐疲労特性などに優れ、さらに強化繊維の
開繊度合や繊維長、繊維長分布を制御する繊維強化熱可
塑性樹脂組成物を製造する方法は、生産性も高く極めて
工業的な価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1aは本発明で好ましい刃状の加工を施した
スクリュの斜視図、図1bは本発明で好ましい刃状の加
工を施したシリンダの切開斜視図である。
【図2】図2は図1で示した刃状加工を施したスクリュ
またはシリンダの刃状部分を拡大した断面側面概念図で
ある。
【図3】図3は本発明で好ましく使用される供給口を2
ケ設けた押出機の全体断面図である。
【符号の説明】
θ.刃先角度 t.ピッチ h.山頂と谷底の高さ 1.刃状加工部を有するスクリュ 2.スクリュの刃状加工部 3.刃状加工部を有するシリンダ 4.シリンダ内壁の刃状加工部 5.スクリュフルフライト部 6.フライト面 7.シリンダ内壁 8.第1の供給口 9.第2の供給口(強化繊維投入口) 10.スクリュ 11.ニーディングゾーン 12.順ネジのフルフライト 13.スクリュ凹凸面形成部 14.ダイス 15.繊維強化熱可塑性樹脂ストランド 16.シリンダ内壁 17.シリンダ内壁凹凸面形成部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリブチレンテレフタレートと、
    (B)強化繊維、(C)ゴム弾性を有するポリマーおよ
    び(D)エポキシ化合物を配合してなる繊維強化熱可塑
    性樹脂組成物であって、組成物中の(B)強化繊維の重
    量平均繊維長(Lw)と繊維径(d)の関係(Lw/
    d)が50〜250であり、重量平均繊維長(Lw)に
    対する数平均繊維長(Ln)の比(Lw/Ln)が1.
    1〜3.5である繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)〜(D)成分の配合量が、(A)、
    (B)および(C)の合計に対して(A)ポリブチレン
    テレフタレートが39〜98重量%、(B)強化繊維が
    1〜60重量%、(C)ゴム弾性を有するポリマーが1
    〜50重量%であり、(D)エポキシ化合物が、
    (A)、(B)および(C)の合計100重量部に対し
    て、2.5重量部以下である請求項1記載の繊維強化熱
    可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)ポリブチレンテレフタレートが、C
    OOH末端基10〜60eq/t、固有粘度0.60〜
    1.25である請求項1または2記載の繊維強化熱可塑
    性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(A)ポリブチレンテレフタレートがCO
    OH末端基20〜55eq/t、固有粘度0.65〜
    1.10のポリブチレンテレフタレートである請求項1
    〜3のいずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(C)ゴム弾性を有するポリマーが、ガラ
    ス転移温度0℃未満である請求項1〜4のいずれか記載
    の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】(C)ゴム弾性を有するポリマーが、エチ
    レン共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】(D)エポキシ化合物がグリシジルエステ
    ルを有する化合物、グリシジルエーテルを有する化合物
    およびグリシジルエステルとグリシジルエーテルを有す
    る化合物から選ばれた1種以上である請求項1〜6のい
    ずれか記載の繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7いずれか記載の組成物からな
    るペレット。
  9. 【請求項9】スクリューおよび/またはシリンダーの少
    なくとも一部を、表面異形化加工した開繊・繊維長制御
    機構部を設けた押出機を使用し、(A)成分のポリブチ
    レンテレフタレートと(C)成分のゴム弾性を有するポ
    リマーと(D)成分のエポキシ化合物を溶融すると共
    に、該溶融状態にある樹脂組成物中に連続状態にある
    (B)成分の強化繊維を供給し、前記開繊・繊維長制御
    機構部を通過させながら強化繊維を開繊し、繊維長を制
    御することにより請求項1〜7のいずれか記載の繊維強
    化熱可塑性樹脂組成物を製造することを特徴とする繊維
    強化熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜7のいずれか記載の繊維強化
    熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
  11. 【請求項11】成形品が、繊維強化熱可塑性樹脂組成物
    以外の素材と接触して用いられるものである請求項10
    記載の成形品。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001031851A (ja) * 1999-07-23 2001-02-06 Toray Ind Inc ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および成形品
JP2003026996A (ja) * 2001-07-18 2003-01-29 The Inctec Inc 蒸着塗布液
JP2006063110A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Asahi Denka Kogyo Kk 成型品用樹脂組成物
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