JPH10235269A - 塗布装置および塗布方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】メタリングバーのたわみを許容範囲に抑えつつ
塗液の侵入や飛散を防止し、塗布むら、塗布すじといっ
た欠点の発生を防止するとともに、高速で走行する広幅
のウエブ表面に均一な厚さで塗液を塗布することのでき
る塗布装置、塗布方法、および上記塗布装置を用いた熱
可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供する。 【解決手段】走行するウエブ表面に余剰に塗液を供給す
る手段と、供給された塗液を計量するメタリングバーを
有する塗布装置において、少なくとも２つのバックアッ
プローラーにより、前記バーを回転自在に外接支持する
とともに、該バックアップローラーの回転中心間の距離
をバックアップローラー自身の最大外径よりも小さくな
るように構成したメタリングユニットを有することを特
徴とする塗布装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、所定の方向に走行
するウエブに均一な厚さで塗液を塗布する塗布装置およ
び塗布方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般的にウエブ表面に塗液を所定の厚み
でかつ均一に塗布するためには、塗液を余剰に塗布した
後、掻き落として精度良く計量するメタリングバー方式
が多く用いられている。図３は一般的な塗布装置である
上記メタリング方式のメタリング部を示す概略断面図で
ある。メタリングバー１は通常、金属のバーの外周面上
にワイヤを密に巻いたもの（図示しない）で、両端部で
支持されているものが一般的である。

【０００３】しかしながら、通常メタリングバー１の直
径に比べ、ウエブ３の幅方向の塗布幅の方が相当大であ
るため、ウエブ３の張力やメタリングバー１自身の自重
によって、メタリングバー１にたわみが生じる。メタリ
ングバー１にたわみが生じてしまうと、ウエブ３の幅方
向に塗液２を均一に掻き落とすことができなくなる。結
果、ウエブ３表面に均一な厚みの塗膜を得られない。

【０００４】また、ウエブ３を高速で走行させると、塗
液２の表面が不安定になり、ウエブ３の幅方向に塗布む
らが発生する。この塗布むらはウエブ３表面の塗液２の
膜厚の差であり、細いすじ状の欠点としてあらわれる。
この塗布すじ欠点を解消するために、メタリングバー１
の径を小径化することが従来より行われているが、メタ
リングバー１を小径化すれば、そのたわみ量が大となっ
てしまう。したがって、何らかの方法で小径のメタリン
グバー１のたわみを防止するようにメタリングバー１を
支持する必要がある。

【０００５】その１つの手段として、特公平６−４９１
６９号公報に記載の方法がある。図４にその塗布装置の
メタリング部の概略断面図を示す。

【０００６】上記図４において、１はメタリングバー、
２は塗液、３は高速で走行するウエブを示している。メ
タリングバー１は、外周全周にわたって、バックアップ
ローラ４で支持されている。図５はそのバックアップロ
ーラーの概略模式図である。バックアップローラー４は
溝部５とつば部６とからなり、その軸線はメタリングバ
ー１の軸線と平行である。

【０００７】このようにメタリング部を構成することに
より、メタリングバー１のたわみを防止しつつウエブ３
の塗布面に塗布された塗液２のうちの余剰の塗液２ａの
みをメタリングバー１を経て、バックアップローラ４の
溝５内に誘導させて、排出するものである。

【０００８】しかしながら、ウエブ３が高速で走行する
と、つば部６の外周面に残った余剰の塗液２ｂが、バッ
クアップローラー４の遠心力で飛散し、せっかく規定厚
さに美しく塗布された塗布面に付着してしまい、結果と
して、塗布品質を著しく低下させるという問題があっ
た。

【０００９】このような余剰塗液の飛散を防止する方法
として、該公報によれば、メタリングバー１の上流側
に、余剰塗液２ａがバックアップローラー４に付着しな
いための塗液侵入防止カバー７と、メタリングバー１下
流側に、バックアップローラー４に付着してしまった余
剰の塗液２ｂが、バックアップローラー４の遠心力で飛
散してもウエブ３に付着しないようにする、塗液飛散防
止カバー８を設けている。

【００１０】しかしながら、この方法においても、メタ
リングバー１がさらに小径になると、ウエブ３とバック
アップローラー４の隙間が小となり、上記カバー７，８
をメタリングバー１に極力接近させるような構造が実質
的にとりにくくなるという問題がある。その結果、メタ
リングバー１を小径にすることができないので、広幅か
つ高速で走行するウエブに均一な膜厚で塗液を掻き取る
ことができず、高品質な製品が得られない。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の欠点を解消し、メタリングバーのたわみを許
容範囲内に抑えつつ塗液の侵入や飛散を防止し、塗布む
ら、塗布すじといった欠点の発生を防止するとともに、
高速で走行する広幅のウエブ表面に均一な厚さで塗液を
塗布することのできる塗布装置、塗布方法、および上記
塗布装置を用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提
供することにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の手段としては、 （１）走行するウエブ表面に余剰に塗液を供給する手段
と、余剰に供給された塗液を掻き落とすメタリングバー
とを有する塗布装置において、少なくとも２つのバック
アップローラーにより、前記バーを回転自在に外接支持
するとともに、該バックアップローラーの回転中心間の
距離をバックアップローラー自身の最大外径よりも小さ
くなるように構成したメタリングユニットを有すること
を特徴とする塗布装置。

【００１３】（２）前記メタリングユニットをウエブ走
行方向に複数セット設けたことを特徴とする前記１記載
の塗布装置。

【００１４】（３）塗液を供給する手段よりも遠い距離
に位置するメタリングユニットは、そのメタリングユニ
ットよりも近い距離に位置するメタリングユニットに対
して、 メタリングユニットのメタリングバーの外径が同じか
または小さい、 バーを通過する塗液の量が同じかまたは小さい、 バックアップローラーの最大外径が同じかまたは小さ
い、 バックアップローラーの数が同じかまたは多い、 という〜の条件のうちの少なくとも１つを満足する
ことを特徴とする請求項２記載の塗布装置。

【００１５】（４）前記メタリングバーの最大たわみ量
が５００μｍ以下となるようにバックアップローラーを
構成したことを特徴とする前記１〜３のいずれかに記載
の塗布装置。

【００１６】（５）前記１〜４のいずれかに記載の塗布
装置を用いたことを特徴とする塗布方法。

【００１７】（６）熱可塑性樹脂を押出機より押出し、
ダイにてシート状に吐出し、縦方向に延伸した後、横方
向に延伸し、巻き取って熱可塑性樹脂フィルムを製造す
る方法であって、縦延伸と横延伸との間において前記１
〜４のいずれかに記載の塗布装置を用いてフィルムに塗
液を塗布することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの
製造方法である。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいてさらに詳細
に説明する。

【００１９】本発明におけるウエブとは、熱可塑性樹脂
フィルム、紙、皮革、不織布、編織物などに適用でき
る。

【００２０】本発明の塗布装置は、従来例と同様にウエ
ブ３表面に塗液２を規定塗布量よりも、やや過剰気味に
塗布する手段と、この塗液が規定厚さになるように余剰
塗液のみを掻き落として、計量するためのメタリングユ
ニットを具備している。

【００２１】図１は本発明のメタリングユニットの一実
施態様例を示す模式的な断面図である。また、図２は図
１の概略平面図を示している。

【００２２】メタリング手段であるメタリングバー１
は、ウエブ３の幅方向に延びており、図示していない塗
布手段で、ウエブ３に塗布された塗液２から余剰の塗液
２ａを掻き取ることを目的とするものであれば特に限定
されない。具体的には、直径が３〜３０ｍｍ程度の小径
の鋼製ローラーなどが好ましく適用され、ウエブ３表面
に近接され、膜厚が所定の厚みになるように塗液２を掻
き落とす位置に調整されている。メタリングバー１は、
外周に計量機能の向上のために、直径０．０１〜１ｍｍ
程度のワイヤが巻きつけられたもの、深さ０．００１〜
０．１ｍｍ、ピッチ０．０１〜０．１ｍｍの螺旋状の溝
が設けられたものが好ましい。。

【００２３】本発明では、ウエブ３の表面に掻き傷を発
生させないためにメタリングバー１の回転方向は、通常
は、ウエブ３の走行方向と同方向に回転させている。

【００２４】また、メタリングバー１の周速としては、
塗液の粘度、温度などの塗液２の条件や、ウエブ３の走
行速度や、表面粗さなどの被塗布物の条件、塗布精度な
どの塗布条件に影響されるが、ウエブ３の走行速度の−
１０％〜＋１０％とするのが好ましい。その理由はメタ
リングバー１をウエブ３の走行方向と同方向で、しか
も、上記速度範囲内で回転させると、メタリングバー１
とウエブ３の相対速度差が小さくなって上記掻き傷が発
生しないだけでなく、ワイヤの断線防止やメタリングバ
ー１の摩耗防止がはかれるからである。ここで同方向と
は、ウエブ３とメタリングバー１との接触点におけるメ
タリングバー１のウエブ３に対する回転方向を指す。メ
タリングバー１およびバックアップローラー４は上記速
度範囲内であれば、フリー回転するものであってもよい
し、積極的に駆動させるものであってもよい。

【００２５】また、バックアップローラー４は、ウエブ
３からの力とメタリングバー１自体の自重により、メタ
リングバー１がウエブ３と反対方向にたわむのを防止す
るためのものである。その軸線はメタリングバー１の軸
線と平行にして設けられている。バックアップローラー
４の材質は特に限定されないし、内部にベアリングなど
を組み込んだものであればなお好ましい。このバックア
ップローラー４はメタリングバー１と同様に、ウエブ３
の幅方向に連続して設けられたものであってもよいし、
不連続に設けられたものであってもよい。その数は、メ
タリングバー１のたわみが実用上問題ない程度に防止し
得る最低限度の数であればよい。具体的には、メタリン
グバー１のたわみが５００μｍ以下になるように構成さ
れることが好ましい。

【００２６】バックアップローラー４の回転速度は、メ
タリングバー１の周速とほぼ同等の速度で回転させるの
が好ましい。あまり両者間の相対速度に差があると、メ
タリングバー１やバックアップローラー４が摩耗し、摩
耗屑がウエブ３の塗布面に付着して塗布欠点を生じるか
らである。

【００２７】このようなメタリングユニットをウエブ３
の走行方向に複数セット存在させ、塗液２の供給手段か
ら遠い位置にあるメタリングユニットほど、近い位置に
あるメタリングユニットに対して、下記〜の要件の
うちの少なくとも１つの要件を満たすこと、より好まし
くは同時に複数個の要件を満たすことにより、計量の精
度がより向上し、より好ましい製品が得られる。計量精
度を向上するために、メタリングバー１の径を同じか
または小さくし、あるいは、同じく計量精度を向上する
ために、バー１を通過する塗液２の量を同じかまたは
小さくし、あるいは、ウエブ３とバックアップローラー
４との隙間を確保するために、バックアップローラー
４の最大外径を同じかまたは小さくし、あるいは、メタ
リングバー１のたわみを最小限に抑制するために、バ
ックアップローラー４の数を同じかまたは多くなるよう
に構成する。

【００２８】本発明は、上記のようなメタリングユニッ
トにおいて、上記塗液侵入防止カバー７と塗液飛散防止
カバー８を構成するために、図１および図２に示すよう
に、メタリングバー１を２本のバックアップローラー４
で外接支持しようとする場合、各々のバックアップロー
ラー４の回転中心間の距離Ｌを、該バックアップローラ
ー４の最大外径Ｄよりも小さくなるように構成する。つ
まり従来例に比べ、概略向かい合うつば部６がメタリン
グバー１のウエブ３と反対側に、くい違うように密接し
た構成にすることによって、ウエブ３とバックアップロ
ーラー４との隙間Ｈが確保され、従来例ではなし得なか
った、該カバー７，８の正確、かつ精密な位置の調整が
容易となる。

【００２９】さらに該メタリングユニットを用いれば、
メタリングバー１、バックアップローラー４、塗液侵入
防止カバー７、塗液飛散防止カバー８がユニット化され
ているため、メタリングバー１の交換、清掃時等のメタ
リング部材の取り外しが非常に容易であり、作業性が向
上する。

【００３０】

【実施例】以下に本発明の一実施例について述べる。

【００３１】図１、図２において、３は矢印方向に走行
している幅が１０００ｍｍのポリエステルフィルムから
なるウエブであり、メタリングバー１の上流側に設置さ
れた図示しないキスローラーにより、その片面に塗液２
が塗布されている。

【００３２】１は直径が２０ｍｍ、ワイヤの線形が０．
１５ｍｍ、長さが１２００ｍｍのステンレス製のメタリ
ングバーである。４は直径Ｄが１５ｍｍ、幅が１０ｍｍ
の合成樹脂製のバックアップローラーであり、メタリン
グバー１をウエブ３と反対側から支持している。バック
アップローラー４はメタリングバー１の長手方向に１２
対が設置されている。バックアップローラー４とウエブ
３との隙間Ｈは９ｍｍ確保されている。７は合成樹脂製
の塗液侵入防止カバーで、８は同じく合成樹脂製の塗液
飛散防止カバーである。ともにメタリングバー１に接触
はしないまでも、ほぼ、隙間無く取り付けられている。

【００３３】このように構成されたメタリングユニット
に対して、粘度が１０ｃｐの低融点ポリエステルの水溶
液を、図示しないキスローラーで塗布厚さ５０μｍ、走
行速度２００ｍ／分で塗布したところ、メタリングバー
１にて掻き取られた余剰の塗液２ａのほとんどは、メタ
リングバー１と塗液侵入防止カバー７の隙間に入り込む
ことなく、該カバー７の上面に沿って排出された。ま
た、一部の余剰塗液２ｂも、バックアップローラー４の
遠心力によって、飛散したものの塗液飛散防止カバー８
を越えて計量後のコーティングフィルムに付着すること
なく１０μｍの厚さに計量された美しい製品が得られ
た。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の塗布装
置、塗布方法によれば、メタリングバーを非常に小径に
しても、メタリングバーのたわみを許容範囲内に抑える
ように支持可能でさらに余剰塗液飛散対策も容易に行
え、塗布むら、塗布すじといった欠点の発生を防止し、
非常に広幅なウエブ表面に高速、かつ均一に安定した膜
厚で薄膜塗布することが可能であり、高品質なウエブが
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る塗布装置のメタリングユニット部
の一実施態様例の模式的な断面図である。

【図２】図１の本発明に係る塗布装置の概略平面図であ
る。

【図３】一般的な塗布装置のメタリング部の概略断面図
である。

【図４】従来の塗布装置を示すメタリング部の概略断面
図である。

【図５】従来の塗布装置を構成するバックアップローラ
ーの模式図である。

【符号の説明】

１：メタリングバー ２、２ａ、２ｂ：塗液 ３：ウエブ ４：バックアップローラー ５：バックアップローラーの溝部 ６：バックアップローラーのつば部 ７：塗液侵入防止カバー ８：塗液飛散防止カバー Ｌ：バックアップローラーの回転中心間距離 Ｄ：バックアップローラーの最大外径 Ｈ：ウエブとバックアップローラーとの隙間

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行するウエブ表面に余剰に塗液を供給す
   る手段と、余剰に供給された塗液を掻き落とすメタリン
   グバーとを有する塗布装置において、少なくとも２つの
   バックアップローラーにより、前記バーを回転自在に外
   接支持するとともに、該バックアップローラーの回転中
   心間の距離をバックアップローラー自身の最大外径より
   も小さくなるように構成したメタリングユニットを有す
   ることを特徴とする塗布装置。
2. 【請求項２】前記メタリングユニットをウエブ走行方向
   に複数セット設けたことを特徴とする請求項１記載の塗
   布装置。
3. 【請求項３】塗液を供給する手段よりも遠い距離に位置
   するメタリングユニットは、そのメタリングユニットよ
   りも近い距離に位置するメタリングユニットに対して、 メタリングユニットのメタリングバーの外径が同じか
   または小さい、 バーを通過する塗液の量が同じかまたは小さい、 バックアップローラーの最大外径が同じかまたは小さ
   い、 バックアップローラーの数が同じかまたは多い、 という〜の条件のうちの少なくとも１つを満足する
   ことを特徴とする請求項２記載の塗布装置。
4. 【請求項４】前記メタリングバーの最大たわみ量が５０
   ０μｍ以下となるようにバックアップローラーを構成し
   たことを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の塗
   布装置。
5. 【請求項５】請求項１〜４のいずれかに記載の塗布装置
   を用いたことを特徴とする塗布方法。
6. 【請求項６】熱可塑性樹脂を押出機より押出し、ダイに
   てシート状に吐出し、縦方向に延伸した後、横方向に延
   伸し、巻き取って熱可塑性樹脂フィルムを製造する方法
   であって、縦延伸と横延伸との間において前記請求項１
   〜４のいずれかに記載の塗布装置を用いてフィルムに塗
   液を塗布することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの
   製造方法。