JPH10216219A - 医療用硬化性組成物およびその製造法 - Google Patents

医療用硬化性組成物およびその製造法

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JPH10216219A
JPH10216219A JP9033221A JP3322197A JPH10216219A JP H10216219 A JPH10216219 A JP H10216219A JP 9033221 A JP9033221 A JP 9033221A JP 3322197 A JP3322197 A JP 3322197A JP H10216219 A JPH10216219 A JP H10216219A
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kneading
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phosphate
collagen
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JP9033221A
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Kunio Ishikawa
邦夫 石川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生体親和性に優れ、形態付与性を有し、血液な
どの水分と練和直後の練成体が接触しても崩壊しない、
また、骨に対して粘着性を示す、などの優れた性質を示
すため、臨床応用上有用な医療用硬化性組成物を提供す
る。 【構成】粉末部および練和液のいずれか、あるいはその
両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する硬化
性組成物において、粉末部および練和液のいずれか、あ
るいはその両方に、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導
体のいずれか、あるいはその両方を含有し、かつ、粉末
部あるいは練和液のいずれか、あるいはその両方に水溶
性リン酸塩を含有しており、その全量が練和液に溶解し
た場合における練和液のリン酸イオン濃度が50ミリモ
ル濃度以上であることを特徴とする医療用硬化性組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な医療用硬化性組成
物、詳しくは充填、補填硬化性組成物、止血用硬化性組
成物に関する。より詳しくは病的あるいは外的原因等に
より生じた骨や歯などの硬組織の欠損部や空隙部に適応
し、当該個所に所望の形状のリン酸カルシウム硬化体を
形成させ、欠損空隙部の機能を補綴することと共に新生
硬組織の発生を誘発する硬組織組成物、あるいは硬組織
の欠損部あるいは空隙部における出血を、当該箇所に所
望の形状のリン酸カルシウム硬化体を形成させ止血する
止血用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】医療用硬化性組成物は医科用としては主
に骨欠損部充填材、骨接合材などに、歯科用としては合
着用、金属修復物の断熱、暫間あるいは永久充填、根管
充填や覆髄などに用いられる。現在用いられている医科
用硬化性組成物である骨セメントは、粉末部にメタアク
リル酸メチル重合体を主成分として含み、メタアクリル
酸メチルモノマーを練和液とし、両者を混合練和するこ
とによりメタアクリル酸メチル重合体を硬化物として得
るものである。歯科用硬化性組成物には酸化亜鉛を粉末
部にリン酸水溶液を練和液に持つリン酸亜鉛セメント、
酸化亜鉛を粉末部にポリカルボン酸水溶液を練和液とす
るカルボキシレートセメント、酸化亜鉛を粉末部にユー
ジノールを練和液に持つユージノールセメントなどがあ
り、いずれも粉末部を練和液で練和することにより硬化
物を得る。これら現在の医療用硬化性組成物は粉末部を
練和液で練和することにより所望の形態の硬化物を得る
ことができるが、生成する硬化物は生体組織とは異質な
ものであり、したがって、硬化体は生体親和性を示さな
い。しかも骨セメントの場合では残留モノマー、あるい
は重合時の発熱のために周辺の組織に炎症が起きること
が報告されている。
【0003】また、骨欠損部からの出血の止血を目的と
して、現在臨床応用されているのは骨ろうである。骨ろ
うは蜜ろうを主成分とし、アーモンド油やサリチル酸を
含有するワックスであり、骨欠損部における出血部位に
擦り込むことにより、骨内血管に圧入され、血管内を物
理的に塞栓し、圧迫止血と同様の原理で骨出血を止血す
る。しかし、骨ろうは生体構成成分とはかけ離れた成分
から構成されており、止血作用には優れるが、骨再成の
癒合を妨げたり、周辺の組織に異物反応、浮腫などの炎
症が起きることが報告されている。
【0004】一方、生体硬組織はアパタイトを主成分と
するリン酸カルシウムであり、アパタイト、リン酸三カ
ルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物などのリン酸
カルシウムは、優れた生体親和性を示すことが知られて
いる。アパタイトやリン酸三カルシウムは焼結体とし
て、あるいは顆粒状、紛体として現在臨床応用されてい
るが、形態付与性はない。リン酸カルシウムの優れた生
体親和性に形態付与を目的とした硬化性を持たせるため
に、例えば、特開昭58−83605、特開昭59−8
8251、特開昭59−182263、特開昭61−2
36644、特開昭62−72363に見られるように
リン酸カルシウムを重合性ポリマー、接着性ポリマー、
あるいは酸化亜鉛などと混合する試みがなされたが、硬
化体がポリマーあるいは酸化亜鉛などを含むために、や
はり生体親和性を期待できないものであった。
【0005】最近、特開昭62−83348、特開昭6
4−18949、特開昭64−29266、特開平4−
307067、特開平2−311340、特開平6−1
72008に見られるように、硬化性を有し、硬化体が
アパタイトなどになるため、優れた生体親和性が期待で
きる、リン酸カルシウム系の硬化性組成物が注目されて
いる。例えば、アパタイトを高温で脱水、熱分解するこ
とにより得られる、α型リン酸三カルシウムとリン酸四
カルシウムの混合物である。これらの硬化性組成物は水
で練和すると水和反応により硬化挙動を示し、その硬化
体がアパタイトになり軟硬両組織に対して優れた生体親
和性を示す。従って、これらの硬化性組成物は、(あ)
優れた生体親和性を示すこと、(い)形態付与性を有す
ること、の条件を満足する医療用硬化性組成物であると
思われた。実際、実験動物にインプラントした場合にお
いても、(a)完全に止血ができた部位に充填した症
例、あるいはセメントが硬化するまで止血に成功した症
例で、かつ、(b)骨欠損領域が比較的小さい症例で、
かつ、(c)医療用硬化性組成物を当該骨欠損部位に充
填してから硬化するまで静置された症例、においては、
これらの硬化性組成物は、骨との界面に空隙を生じるこ
となく、硬化し、その硬化体は優れた生体親和性を示し
た。
【0006】しかし、整形外科、口腔外科領域などにお
ける骨欠損部再建術式において、完全に止血ができる症
例は少ない。また、骨欠損領域が大きい症例も頻繁にあ
り、骨欠損部に医療用硬化性組成物を充填後、医療用硬
化性組成物の硬化まで静置することが困難な症例も多
い。
【0007】出血などの理由により、硬化前のセメント
練成体が体液などと接触した場合、セメント練成体は硬
化せず、くずれて形態を保てない、すなわち崩壊するば
かりでなく、重篤な炎症反応が認められる。また、医療
用硬化性組成物を充填すべき骨欠損領域が大きい場合
は、医療用硬化性組成物の硬化収縮により、医療用硬化
性組成物と骨との界面に空隙が生じる。医療用硬化性組
成物の硬化まで静置できなかった場合にも、医療用硬化
性組成物と骨との界面に空隙が生じる。医療用硬化性組
成物と骨との界面に空隙が生じた場合、骨の伝導速度よ
り、軟組織の伝導速度が早いため、医療用硬化性組成物
と骨との界面に軟組織に侵入し、満足度の高い臨床結果
が得られない場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の医療用硬化性組
成物である骨セメント、歯科用セメントは形態付与性は
あるが、生体親和性に乏しい。一方、リン酸カルシウム
焼結体、リン酸カルシウム粉末などは生体親和性に優れ
るが、形態付与性に乏しい。またリン酸カルシウムを重
合性ポリマーあるいは酸化亜鉛と混合したものは形態付
与性を獲得したが、やはり生体親和性に劣っている。リ
ン酸カルシウム系の硬化性組成物の場合は、形態付与性
を示し、(a)完全に止血ができた部位に充填した症
例、あるいはセメントが硬化するまで止血に成功した症
例で、かつ、(b)骨欠損領域が比較的小さい症例で、
かつ、(c)医療用硬化性組成物を当該骨欠損部位に充
填してから硬化するまで静置された症例、においては、
これらの硬化性組成物は、骨との界面に空隙を生じるこ
となく、硬化し、その硬化体は優れた生体親和性を示す
が、止血が完全でない部位に充填した場合は、硬化しな
いため形態付与性もなく、生体為害性を示す。また、医
療用硬化性組成物を充填すべき骨欠損領域が大きい場
合、また、医療用硬化性組成物の硬化まで静置できなか
った場合には、医療用硬化性組成物と骨との界面に軟組
織が侵入し、満足度の高い臨床結果が得られない。従っ
て、整形外科や口腔外科におけるさまざまな症例に対処
できる材料はなかった。本発明は、医療用硬化性組成物
としての要求事項である、(あ)生体親和性に優れるこ
と、(い)形態付与性を有すること、(う)硬化時間が
適度(約60分以内)であること、(え)血液などの水
分と練和直後の練成体が接触しても崩壊しないこと、
(お)機械的強さが大きいこと、(か)骨に対して粘着
性あるいは接着性を示すこと、の全てを満足する臨床応
用上有用な医療用硬化性組成物を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前項に記載した医療用硬
化性組成物の問題点を解決するために本発明者は新たな
硬化性組成物を種々検討した結果、粉末部および練和液
のいずれか、あるいはその両方にリン酸成分およびカル
シウム成分を含有する硬化性組成物において、粉末部お
よび練和液のいずれか、あるいはその両方に、コラーゲ
ンあるいはコラーゲン誘導体のいずれか、あるいはその
両方を含有し、かつ、粉末部あるいは練和液のいずれ
か、あるいはその両方に水溶性リン酸塩を含有してお
り、その全量が練和液に溶解した場合における練和液の
リン酸イオン濃度が50ミリモル濃度以上であることを
特徴とする医療用硬化性組成物、が、医療用硬化性組成
物としての要求事項である、(あ)生体親和性に優れる
こと、(い)形態付与性を有すること、(う)硬化時間
が適度(約60分以内)であること、(え)血液などの
水分と練和直後の練成体が接触しても崩壊しないこと、
(お)機械的強さが大きいこと、(か)骨に対して粘着
性あるいは接着性を示すこと、の全てを満足する臨床応
用上有用な硬化性組成物であることを見いだし、本発明
を完成した。
【0010】即ち、本発明の硬化性組成物とは、粉末部
および練和液のいずれか、あるいはその両方にリン酸成
分およびカルシウム成分を含有する硬化性組成物におい
て、粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方
に、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体のいずれか、
あるいはその両方を含有し、かつ、粉末部あるいは練和
液のいずれか、あるいはその両方に水溶性リン酸塩を含
有しており、その全量が練和液に溶解した場合における
練和液のリン酸イオン濃度が50ミリモル濃度以上であ
ることを特徴とする医療用硬化性組成物、であり、コラ
ーゲンと水溶性リン酸塩の効果により、(あ)生体親和
性に優れること、(い)形態付与性を有すること、だけ
でなく、(う)硬化時間が適度(約60分以内)である
こと、(え)血液などの水分と練和直後の練成体が接触
しても崩壊しないこと、(お)機械的強さが大きいこ
と、(か)骨に対して粘着性あるいは接着性を示すこ
と、の全てを満足するように設計された臨床応用上有用
な硬化性組成物である。
【0011】本発明でいうリン酸成分とは五酸化二リン
および、五酸化二リンが水和してできる酸の総称であ
り、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン
酸、四リン酸などをいう。また、粉末がガラスや結晶性
ガラスなどである場合において、リン酸構造が特定でき
ない場合にも、原料成分が上述リン酸成分を用いている
場合にはリン酸成分と定義する。
【0012】本発明でいうカルシウム成分とはカルシウ
ム元素を含有する組成物をいう。
【0013】コラーゲンは、生体中に最も多く含有され
る蛋白質であり、結合組織に存在する。皮膚、骨、軟
骨、象牙質、セメント質、あるいは腱などの主要な有機
成分であり、成熟した結合組織の構造と機能を保つのに
重要な役割を果たしている。本発明でいうコラーゲンと
はアルカリ処理コラーゲン、中性塩可溶化コラーゲン、
酵素可溶化コラーゲンを含む。例えば、コラーゲナーゼ
などにより可溶化されたコラーゲンもコラーゲンとい
う。またテロペプチド画分の一部を欠如させたアテロコ
ラーゲンなどもコラーゲンという。各種のコラーゲンが
現在、購入可能である。
【0014】本発明でいうリン酸水素カルシウムとはC
aHPO4、CaHPO4・2H2Oなどであり化学薬品
として購入可能である。
【0015】本発明でいうリン酸三カルシウムはCa3
(PO42でありα−Ca3(PO42、β−Ca3(P
42のいずれでもよいが、α−Ca3(PO42がよ
り迅速な硬化反応を与えるので好ましい。リン酸三カル
シウムの製造法としてはカルシウム源とリン酸源を3:
2のモル比に混合し加熱する。1200度以上ではα型
リン酸三カルシウムが、1000度以下ではβ型リン酸
三カルシウムが主に生成することが公知となっている。
【0016】本発明でいうリン酸八カルシウムはCa8
2(PO46・5H20であり公知の方法で合成され
る。
【0017】本発明でいうリン酸二水素カルシウムはC
a(H2PO42、Ca(H2PO42・H20などであ
り化学薬品として購入可能である。
【0018】本発明でいう非晶質リン酸カルシウムとは
非晶質状態のリン酸カルシウムであり、カルシウム成分
を含む溶液とリン酸成分を含む溶液を低温で混合するな
どの公知の方法で合成できる。本発明においては非晶質
リン酸カルシウムを主成分として含有しており、マグネ
シウムあるいは炭酸イオンなどを含有しているものも非
晶質リン酸カルシウムと定義する。
【0019】本発明でいうリン酸四カルシウムはCa4
(PO42O、であり、いかなる方法で製造したもので
も良い。原料のカルシウムとリン酸の比が2:1になる
ように混合し1200度以上で焼成後急冷あるいは窒素
等不活性ガス雰囲気下で1200度に焼成すれば良好な
リン酸四カルシウムが得られる。例えば原料としてリン
酸水素カルシウムと炭酸カルシウムを等モル混合したも
のが例示される。強度向上などを目的としてリン酸四カ
ルシウムにリン酸三カルシウムを混合させるためにカル
シウムとリン酸の比を2:1より小さくすることも可能
である。
【0020】本発明でいう酸化カルシウムはCaOであ
り、化学薬品として購入可能である。
【0021】本発明でいう水酸化カルシウムはCa(O
H)2であり、化学薬品として購入可能である。
【0022】本発明でいう炭酸カルシウムはCaCO3
であり、化学薬品として購入可能である。
【0023】本発明でいうフッ化カルシウムはCaF2
であり、化学薬品として購入可能である。
【0024】本発明でいうアパタイトとはCa10(PO
46(OH)2の基本構造を持つものをいう。Ca欠損
型のアパタイトCa10-x(HPO4y(PO46-y(O
H)2- zや、炭酸含有アパタイトCa10-x(HPO4y
(PO46-y(CO3a(OH)2-zなど、あるいはC
aが他の金属に一部あるいは全部置換した、例えば、C
8Ba2(PO46(OH)2など、あるいはOHがハ
ロゲン元素に一部あるいは全部置換した、例えばCa10
(PO46F(OH)もアパタイトと定義する。
【0025】本発明でいう水溶性リン酸塩とは水に溶解
してリン酸イオンを生成するものであり(NH43PO
4、(NH42HPO4、NH42PO4、Na3PO4
Na2HPO4、NaH2PO4、K3PO4、K2HPO4
KH2PO4、Ca(H2PO42などで代表されるリン
酸塩である。
【0026】また、本発明でいうリン酸イオン濃度とは
溶液中のH2PO4 -、HPO4 2-、PO4 3-など溶解して
いるリン酸イオン成分の合計の濃度をいう。
【0027】本発明は下に記述する原理で構成される。
粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方にリ
ン酸成分とカルシウム成分を含有する硬化性組成物は、
水に代表される練和液で練和するとカルシウム成分およ
びリン酸成分が溶解する。その結果、カルシウムイオン
とリン酸イオンが反応し、反応系が中性あるいは塩基性
領域の場合は、中性あるいは塩基性領域においてリン酸
カルシウム塩の中で熱力学的に最も安定であるアパタイ
トが生成、生成したアパタイト結晶の絡み合いなどで硬
化する。また、反応系のpHが約4.5以下の酸性領域
の場合は、酸性領域においてリン酸カルシウム塩の中で
熱力学的に最も安定であるリン酸水素カルシウム二水和
物が生成、生成したリン酸水素カルシウム二水和物結晶
の絡み合いなどで硬化する。以下、簡単のため、アパタ
イト結晶が形成される場合について記述する。生成した
アパタイト結晶の絡み合いである硬化反応が終了すれ
ば、硬化物の主成分はアパタイトとなり、水中、血液中
などにおいても安定である。また、アパタイトである硬
化体は優れた生体親和性を示す。しかし、硬化反応中に
硬化性組成物練成体が血液などの多量の水分と接触する
と、水分が練成体内に浸透し、その結果、練成体の一部
あるいは全部が崩壊してしまう。練成体の一部が崩壊し
た場合においても、残存した硬化体の機械的強さが低下
する。また、崩壊した粉末成分は生体親和性に優れるア
パタイトではない場合があり、またアパタイトになって
いる場合においても、アパタイトの粒径が小さいので、
細胞による貪食作用、すなわち吸収作用を受けるため、
崩壊した粉末の周囲においては重篤な炎症所見が認めら
れる。従って、良好な臨床結果を得るためには、十分な
止血を施した後に、骨欠損部あるいは空隙部などへ硬化
性組成物の練成体を充填するなどの術式を施す必要性が
高い。しかし、止血操作は煩雑であり、また十分な止血
が困難である症例が少なくない。
【0028】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分とカルシウム成分を含有する硬化
性組成物においては、水に代表される練和液で練和した
後、形成された練成体が血液などの多量の水分と接触す
ると、練成体内で二つの反応が進行する。一つの反応は
上述した(I)アパタイト形成による硬化反応である。
この反応は練和液により練和を開始した時に開始してい
る。もう一つの反応は、(II)水分の硬化性組成物練
成体内への浸透に基づく硬化性組成物の崩壊である。こ
の二つの反応すなわち、(I)アパタイト形成による硬
化反応と、(II)水分の硬化性組成物練成体内への浸
透に基づく硬化性組成物の崩壊、は競争的に進行し、各
々の反応の度合いにより医療用硬化性組成物練成体の挙
動が決定される。例えば、(I)アパタイト形成による
硬化反応、が(II)水分の硬化性組成物練成体内への
浸透に基づく硬化性組成物の崩壊、に比較して十分に早
い場合は硬化性組成物は形態が崩れることなく、すなわ
ち崩壊することなく、硬化する。逆に、(II)水分の
硬化性組成物練成体内への浸透に基づく硬化性組成物の
崩壊、が(I)アパタイト形成による硬化反応、に比較
して十分に早い場合は、硬化性組成物は完全に形態が崩
れる。すなわち崩壊する。また、(I)アパタイト形成
による硬化反応と、(II)水分の硬化性組成物練成体
内への浸透に基づく硬化性組成物の崩壊、が同程度の速
度で進行する場合、硬化性組成物は一部崩壊する。ま
た、一部崩壊に至らない場合においても、硬化体の機械
的強さは低下する。
【0029】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物、において、(II)水分の硬化性組成物
練成体内への浸透に基づく硬化性組成物の崩壊、を抑制
するには、粉末部および練和液のいずれか、あるいはそ
の両方に、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体のいず
れか、あるいはその両方を含有すること、が有効であ
る。コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体のいずれか、
あるいはその両方は粘性ゾルであり、硬化体組成物練成
体内部への体液など水分の浸透を抑制する。その結果、
相対的に(I)アパタイト形成による硬化反応、がより
進行するため、硬化性組成物練成体が血液などの多量の
水分と接触しても、崩壊しにくくなる。
【0030】しかし、硬化性組成物の硬化反応と硬化性
組成物練成体内への水分の浸透による崩壊過程は、あく
まで競争反応であり、コラーゲンあるいはコラーゲン誘
導体のいずれか、あるいはその両方、は硬化性組成物練
成体内への水分の浸透を完全には抑制できない。例え
ば、粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方
にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する硬化性組
成物において、粉末部および練和液のいずれか、あるい
はその両方に、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体の
いずれか、あるいはその両方を含有することを特徴とす
る医療用硬化性組成物の練成体を練和直後に蒸留水に浸
漬した場合は、練成体を湿度100%に保持した場合と
比較して機械的強さが小さくなる。これは、(I)アパ
タイト形成による硬化反応、が終了する前に、(II)
水分の硬化性組成物練成体内への浸透に基づく硬化性組
成物の崩壊、がある程度進行していることが原因であ
る。したがって、医療用硬化性組成物の要求事項であ
る、(え)血液などの水分と練和直後の練成体が接触し
ても崩壊しないこと、をより満足させるためには、
(I)アパタイト形成による硬化反応、を促進する必要
がある。(I)アパタイト形成による硬化反応、が促進
された場合、(II)水分の硬化性組成物練成体内への
浸透に基づく硬化性組成物の崩壊、の進行の時間が短縮
され、(え)血液などの水分と練和直後の練成体が接触
しても崩壊しないこと、を満足するだけでなく、(お)
機械的強さが大きいこと、も満足する結果が得られる。
【0031】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物において、硬化反応は、カルシウムイオン
およびリン酸イオンの反応で生成するアパタイトの絡み
合いなどにより発生する。コラーゲンは、粉末部が血液
などの多量の水分と接触しても崩壊しないように固定す
る効果は有するが、アパタイト形成を促進する効果はな
い。逆に、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体のいず
れか、あるいはその両方、はリン酸成分およびカルシウ
ム成分の拡散を阻害するため、硬化性組成物の硬化時間
を遅延させることがある。
【0032】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物において、粉末部および練和液のいずれ
か、あるいはその両方にコラーゲンを含有することを特
徴とする医療用硬化性組成物、における(I)アパタイ
ト形成による硬化反応、を促進するためには、硬化性組
成物の、粉末部あるいは練和液のいずれか、あるいはそ
の両方に水溶性リン酸塩を含有させ、その全量が練和液
に溶解した場合における練和液のリン酸イオン濃度が5
0ミリモル濃度以上、となるよう設計することが有効で
ある。
【0033】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物において、粉末部および練和液のいずれ
か、あるいはその両方にコラーゲンを含有することを特
徴とする医療用硬化性組成物、における50ミリモル濃
度以上のリン酸イオン添加による硬化時間短縮は下記の
原理で発生する。なお生成するアパタイトは、Ca欠損
型のアパタイトCa10-x(HPO4y(PO46-y(O
H)2-zや、炭酸含有アパタイトCa10-x(HPO4y
(PO46-y(CO3a(OH)2-zなどである場合も
あり、その場合、アパタイトのカルシウムとリン酸の比
(以下Ca/PO4と言う)は10/6ではないが簡単
のため、以下には基本構造であるCa10(PO46(O
H)2の場合についてのみ記述する。
【0034】Ca10(PO46(OH)2の基本構造を
もつアパタイトの生成には10モルのCaに対し6モル
のPO4が必要である。すなわちCa/PO4が10/
6、約1.67となることが必要である。リン酸カルシ
ウム塩の中で水に溶解しやすいリン酸四カルシウムはC
a/PO4が2.0であり、また酸化カルシウムはカル
シウムのみを供給するのでハイドロキシアパタイト生成
にはPO4が不足する。このPO4の不足をCa/PO4
が1.67より小さいリン酸水素カルシウム、リン酸三
カルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシ
ウムなどから供給する。例えばリン酸水素カルシウムの
場合Ca/PO4は1.0であり、先のリン酸四カルシ
ウムと1:1のモル比で混合したとすればアパタイト生
成に必要なCaとPO4が供給されることになる。しか
しリン酸四カルシウムとリン酸水素カルシウムをモル比
で1:1に混合した組成物ではリン酸水素カルシウムが
リン酸四カルシウムと比較して溶解しにくいため、リン
酸供給源であるリン酸水素カルシウムの溶解反応がアパ
タイト生成、従って硬化反応における律速段階となる。
【0035】硬化反応であるアパタイト生成反応におい
てリン酸イオンの供給が律速段階であるのならば、反応
系中に当初よりリン酸イオンを存在させれば、この律速
段階は解除される。すなわち、反応系中に当初よりリン
酸イオンを添加しておけば、溶解度の小さいリン酸水素
カルシウムあるいはリン酸三カルシウムあるいはリン酸
八カルシウムなどの溶解によるリン酸イオンの供給でな
く溶解度の大きいリン酸四カルシウムあるいは酸化カル
シウムあるいは水酸化カルシウムあるいは炭酸カルシウ
ムなどの溶解によるカルシウムイオンの供給が律速段階
となり、(I)アパタイト形成による硬化反応、が著し
く加速される。
【0036】アパタイトの生成、従って硬化反応の律速
段階は特に初期において重要である。硬化反応の初期に
おいて、いったんアパタイトが生成されるとアパタイト
はそれ自体が種結晶となり、以後アパタイトが生成され
やすくなる。したがって練和液中に存在すべき最低リン
酸イオン濃度は当初のアパタイト生成に必要な50ミリ
モル濃度以上であることが必要である。リン酸イオン濃
度が大きくなると、さらに(I)アパタイト形成による
硬化反応、が促進されるので、リン酸イオン濃度は10
0ミリモル濃度以上がより好ましく、200ミリモル濃
度以上が特に好ましい。なお、水溶性リン酸塩添加の目
的は、硬化性組成物を練和した場合における、反応部位
のリン酸イオン濃度を50ミリモル濃度以上とするこ
と、であるので、練和液に水溶性リン酸塩を溶解する方
法、および粉末部に水溶性リン酸塩を混合し、練和液と
練和した時に粉末部の水溶性リン酸塩が練和液に溶解
し、50ミリモル濃度以上のリン酸イオン濃度を確保す
る方法、あるいはそれらを組み合わせた方法は本質的に
同一である。
【0037】アパタイトの生成速度、すなわち本発明の
医療用硬化性組成物の硬化反応促進に重要な要素はま
ず、リン酸イオン濃度であるが、(あ)生体親和性に優
れること、(お)機械的強さが大きいこと、を特に重視
する場合は、練和液のpHが3以上11以下であること
がより好ましい。pHが3より小さい場合や、11より
大きい場合は生体親和性に劣る場合があり、pHが3よ
り小さい場合は、練成体の操作性が悪くなり、かつ、硬
化体の機械的強さが低下する場合がある。なお、練和液
におけるpHの記述は本発明の範囲を制限するものでは
ない。
【0038】本発明において、コラーゲンあるいはその
誘導体、の種類、含有量、あるいは分子量などは制限さ
れないが、テロペプチド画分の一部を欠如させたアテロ
コラーゲンは(あ)生体親和性に優れること、の観点か
ら特に好ましい。
【0039】硬化性組成物として機械的強さが重要であ
る場合には、低濃度のコラーゲンあるいはその誘導体、
の溶液が好ましい。コラーゲンあるいはその誘導体、の
場合、練和液中に0.1重量パーセント濃度のコラーゲ
ンあるいはその誘導体、を溶解させた練和液でも硬化性
組成物の練成体の水中における崩壊を抑制する効果があ
る。一方、止血等を目的として本発明の医療用硬化性組
成物を用いる場合はガム状の練成体形成が有用であるの
で、高濃度のコラーゲンあるいはその誘導体、が有効で
ある。
【0040】さて、医療用硬化性組成物を用いた骨欠損
部位の修復術式などにおいて、良好な臨床成績を得るた
めには、医療用硬化性組成物が骨と密接して硬化する必
要がある。医療用硬化性組成物と骨との界面に空隙が生
じた場合、骨の伝導速度より、軟組織の伝導速度が早い
ため、医療用硬化性組成物と母床骨との界面に軟組織が
侵入し、硬化した医療用硬化性組成物は母床骨と隔離さ
れてしまう。医療用硬化性組成物を充填すべき骨欠損領
域が大きい場合は、医療用硬化性組成物の硬化収縮によ
り、医療用硬化性組成物と母床骨との界面に空隙が生じ
る。医療用硬化性組成物の硬化まで静置できなかった場
合にも、医療用硬化性組成物と母床骨との界面に空隙が
生じる。
【0041】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物は硬化反応により収縮する場合があるが、
粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方にリ
ン酸成分およびカルシウム成分を含有する硬化性組成物
において、粉末部および練和液のいずれか、あるいはそ
の両方にコラーゲンあるいはその誘導体を含有し、か
つ、粉末部あるいは練和液のいずれか、あるいはその両
方に水溶性リン酸塩を含有しており、その全量が練和液
に溶解した場合における練和液のリン酸イオン濃度が5
0ミリモル濃度以上であることを特徴とする医療用硬化
性組成物、の場合は練成体が粘性を示すため、充填部位
の表面と粘着するため、硬化性組成物が収縮しても母床
骨との間には空隙を形成しない。
【0042】また、粉末部および練和液のいずれか、あ
るいはその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含
有する硬化性組成物を骨欠損部に充填後、硬化まで静置
できなかった場合は、硬化性組成物と母床骨の間には空
隙が形成されるが、粉末部および練和液のいずれか、あ
るいはその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含
有する硬化性組成物において、粉末部および練和液のい
ずれか、あるいはその両方にコラーゲンあるいはその誘
導体を含有し、かつ、粉末部あるいは練和液のいずれ
か、あるいはその両方に水溶性リン酸塩を含有してお
り、その全量が練和液に溶解した場合における練和液の
リン酸イオン濃度が50ミリモル濃度以上であることを
特徴とする医療用硬化性組成物、の場合は練成体が粘性
を示すため、母床骨の表面と粘着するため、硬化性組成
物を骨欠損部に充填後、硬化まで静置できなかった場合
にも母床骨との間に空隙を形成しない。
【0043】医療用硬化性組成物としての要求事項であ
る、(あ)生体親和性に優れること、(い)形態付与性
を有すること、(う)硬化時間が適度(約60分以内)
であること、(え)血液などの水分と練和直後の練成体
が接触しても崩壊しないこと、(お)機械的強さが大き
いこと、(か)骨に対して粘着性あるいは接着性を示す
こと、の全てを満足する臨床応用上有用な硬化性組成物
を提供するために、(う)(え)(お)および(か)の
要求事項を重視して、より要求水準の高い(あ)の要求
事項を軽視することは本末転倒である。例えばコラーゲ
ンあるいはその誘導体の代わりに接着性ポリマーを用い
た場合、(い)(う)(え)(お)および(か)、の要
求事項を満足する硬化性組成物を提供することができる
が、その場合、医療用硬化性組成物としての要求水準が
最も高い、(あ)の要求事項を犠牲にしてしまう。
【0044】コラーゲンは生体中に最も多く含有される
蛋白質であり、現在すでに臨床応用されており、その生
体親和性が確立している。
【0045】従って、粉末部および練和液のいずれか、
あるいはその両方にリン酸成分とカルシウム成分を含有
することを特徴とする硬化性組成物、の粉末部および練
和液のいずれか、あるいはその両方にコラーゲンあるい
はその誘導体を含有させてもその練成体および硬化体の
生体親和性を低下させることはない。
【0046】次に、粉末部および練和液のいずれか、あ
るいはその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含
有する硬化性組成物において、粉末部および練和液のい
ずれか、あるいはその両方にコラーゲンあるいはその誘
導体を含有し、かつ、粉末部あるいは練和液のいずれ
か、あるいはその両方に水溶性リン酸塩を含有してお
り、その全量が練和液に溶解した場合における練和液の
リン酸イオン濃度が50ミリモル濃度以上であることを
特徴とする医療用硬化性組成物、が止血用組成物に利用
できる原理を記述する。
【0047】骨欠損部、あるいは空隙部などにおいては
出血を認めることが多い。現在、止血法としては圧迫止
血、レーザー、電気メスなどによる周囲組織の固定など
のほか、凝固促進剤、抗線溶剤などの止血剤を作用させ
ることも行われているが、止血効果が十分でなかった
り、レーザー、電気メスなどによる周囲組織の固定の場
合には、周囲組織に損傷を与えることが知られている。
【0048】粉末部および練和液のいずれか、あるいは
その両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有する
硬化性組成物において、粉末部および練和液のいずれ
か、あるいはその両方にコラーゲンあるいはその誘導体
を含有し、かつ、粉末部あるいは練和液のいずれか、あ
るいはその両方に水溶性リン酸塩を含有しており、その
全量が練和液に溶解した場合における練和液のリン酸イ
オン濃度が50ミリモル濃度以上であることを特徴とす
る医療用硬化性組成物、は、その練成体を骨や歯などの
欠損部や空隙部に止血することなしに充填し、所望の形
状のリン酸カルシウム硬化体を形成できる。その結果、
圧迫止血と同様の原理で出血を抑制するので、止血材と
しても使用できる。
【0049】本発明の硬化性組成物は以下に記載する方
法で製造される。
【0050】硬化性組成物の粉末部は十分に混合する。
例えばリン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リ
ン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウム、非晶質リ
ン酸カルシウムの群から選ばれた少なくとも一つとリン
酸四カルシウム、リン酸三カルシウム、酸化カルシウ
ム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシ
ウムの群から選ばれた少なくとも一つの混合物はそれぞ
れをそのまま、あるいはボールミル等で粉砕したものを
十分に混合する。粉末部にコラーゲンあるいはその誘導
体、を含有させる場合には、これも十分に混合する。粉
末部に水溶性リン酸塩を混合する場合は、これも十分に
混合する。混合が十分でない場合には粉末部と練和液と
を練和しても不均一な硬化反応がおこりやすく、硬化速
度が遅くなったり、硬化体の機械的強さが低下する。
【0051】硬化性組成物の粉末部が、カルシウムおよ
びリン酸およびケイ素を主成分とする場合は、カルシウ
ムおよびリン酸およびケイ素を含有する原料粉末を十分
に混合する。カルシウムおよびリン酸およびケイ素、以
外の元素を含有させたい場合には、対応する元素を含有
する原料粉末をさらに混合する。例えば、粉末部にフッ
素やマグネシウム成分を含有させたい場合には、原料粉
末にフッ化カルシウムや酸化マグネシウムなどをさらに
混合する。混合後、必要に応じて、加熱溶融し、急冷あ
るいは徐冷する。その後、必要に応じて粉砕し、粉末を
調整する。加熱溶融後、急冷すると、ガラス質の粉末が
調整でき、加熱溶融後、徐冷すると、結晶質の粉末が調
整できることが公知となっている。
【0052】本発明の医療用硬化性組成物の特徴の一つ
である、(か)骨に対して粘着性あるいは接着性を示す
こと、に関し、その要求水準が高い場合には本発明の医
療用硬化性組成物の粉末部および練和液のいずれか、あ
るいはその両方に含有されるコラーゲンあるいはその誘
導体、の含量を増大することが要求される。コラーゲン
あるいはその誘導体、を練和液のみに含有させた場合、
練和液が粘調になりすぎて、粉末部と練和液との均一な
練和が困難になる場合がある。したがって、コラーゲン
あるいはその誘導体、を粉末部に、あるいは粉末部と練
和液の両方に含有させる必要がある。コラーゲンあるい
はその誘導体、を粉末部に含有させる場合、上述のよう
にコラーゲンあるいはその誘導体、以外の粉末部の構成
成分と、コラーゲンあるいはその誘導体、を十分に混合
することが重要であるが、混合が困難であったり、粉末
部の嵩密度が低下して、結果的に硬化体の機械的強さが
小さくなることがある。
【0053】本発明の医療用硬化性組成物の粉末部を、
粉末部を構成するコラーゲンあるいはその誘導体、以外
の原料粉末とコラーゲンあるいはその誘導体、の溶液を
混合後、コラーゲンあるいはその誘導体、の溶液、の溶
媒を乾燥させることにより製造する方法は、粉末部にコ
ラーゲンあるいはその誘導体、が均一に混合されるこ
と、嵩密度の比較的大きい医療用硬化性組成物が製造さ
れるので硬化体の機械的強さが大きくなるなどの好まし
い結果を惹起する。
【0054】具体的には、コラーゲンあるいはその誘導
体の溶液を、粉末部を構成するコラーゲンあるいはその
誘導体、以外の原料粉末と十分混合する。この際にコラ
ーゲンあるいはその誘導体、の溶液濃度と溶液量、と、
コラーゲンあるいはその誘導体、以外の原料粉末量、を
調整することにより、医療用硬化性組成物の粉末部にお
けるコラーゲンあるいはその誘導体の含有量が決定され
る。混合後、コラーゲンあるいはその誘導体、の溶液、
の溶媒の乾燥を行う。コラーゲンあるいはその誘導体、
の溶液、の溶媒の乾燥は、必要に応じて凍結乾燥などで
おこなう。
【0055】硬化性組成物の練和液は、水などの溶媒に
必要に応じ、添加物を溶解あるいは懸濁させて製造され
る。練和液にリン酸イオンを含有させる場合には、水溶
性リン酸塩を溶解させて製造する。練和液にコラーゲン
あるいはその誘導体を含有させる場合には、コラーゲン
あるいはその誘導体を溶解させて製造する。
【0056】粉末部あるいは練和液には機械的強さの向
上、X線造影性、練和性向上、破骨細胞による吸収性向
上などを目的として第三の成分を添加することができ
る。第三の成分としてはアパタイト、フルオロアパタイ
ト、リン酸三カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、酸化
ジルコニウム、次炭酸ビスマス、炭酸水素ナトリウム、
炭酸ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化スズ、フッ
化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウムなどの無機物ある
いはグリセリン、シリコ−ンオイル等の有機物、さらに
薬物の除放性を目的として抗生物質などの医薬品を粉末
部あるいは練和液に混合することも有効である。またT
GF−β、BMP、FGFなど骨生成に有効とされる薬
剤を含有させることは極めて有用である。
【0057】本発明の硬化性組成物は粉末部を練和液で
練和することにより硬化反応が開始する。粉末部と練和
液の重量混合比(以下P/Lと言う)は硬化性組成物の
練和性、硬化時間、硬化体の機械的強さ、気孔率などに
影響を及ぼす。P/Lは硬化性組成物の使用目的によっ
て決定されるが、本発明においてP/Lに関しての制限
はない。一般的にP/Lが大きくなりすぎると硬化性組
成物の練和性が悪くなり、P/Lが小さくなりすぎると
硬化体の機械的強さが小さくなる。また気孔率の大きい
硬化体を作成したいときにはP/Lを小さくし、気孔率
の小さい硬化体を作成したいときにはP/Lを大きくす
る。
【0058】練和した硬化性組成物の練成体は、骨欠損
部あるいは空隙部などの所望の部位に充填される。充填
方法は、通常の充填方法でよい。例えば手圧を用いても
良いし、アマルガム充填器、スパチュラなどの器具を用
いてもよい。充填後、必要に応じて、術者の手あるいは
スパチュラなどの器具を使用して、充填物の表面形状を
形成する。
【0059】本発明を実施例で更に詳しく説明する。
【0060】本医療用硬化性組成物の特徴は、(あ)生
体親和性に優れること、(い)形態付与性を有するこ
と、(う)硬化時間が適度(約60分以内)であるこ
と、(え)血液などの水分と練和直後の練成体が接触し
ても崩壊しないこと、(お)機械的強さが大きいこと、
(か)骨に対して粘着性あるいは接着性を示すこと、で
ある。
【0061】本医療用硬化性組成物である(あ)生体親
和性に優れること、の原因は硬化体の主成分がアパタイ
トに代表されるリン酸カルシウムになることであり、一
般にアパタイトに代表されるリン酸カルシウムは優れた
生体親和性を示すことは公知であるので、硬化体の生体
親和性に関しては硬化体の組成分析で検討した。具体的
には、硬化性組成物の練成体を生体条件を疑似した37
℃、相対湿度100%の環境下で24時間、保管し、硬
化体の組成を粉末X線回折装置により分析した。なお、
ガラス粉末などを硬化性組成物の粉末に用いた場合には
析出するアパタイトの相対量が少なく、粉末X線回折装
置によっては形成されたアパタイトの検出が困難である
場合がある。そのような場合には、ラット大腿骨に骨欠
損を形成し、当該部位を硬化性組成物練成体で充填、4
週後に組織学的に硬化性組成物の生体親和性を検討し
た。
【0062】本医療用硬化性組成物である(い)形態付
与性を有すること、に関しては、硬化性を示すことを確
認して、形態付与性の有無を判断した。
【0063】本硬化性組成物の特徴である(う)硬化時
間が適度(約60分以内)であること、に関しては、日
本工業規格T6602に規定されている歯科用りん酸亜
鉛セメントの凝固試験に準じて硬化時間を測定した。た
だし、この規格は歯科用りん酸亜鉛セメント用であり、
日本工業規格T6602に規定は「標準ちょう度のセメ
ントを練和を開始してから3分を経過したときに恒温器
中に移す」と規定されているが本硬化性組成物の場合に
は本硬化性組成物の臨床応用を考慮してP/Lを4.0
とし、練和を開始して1分以内に湿度100%温度37
度のインキュベーターに試料を移した。なお、P/Lが
4.0で十分な操作性が得られなかった場合には、実施
例に記載したP/Lにて実験を行なった。
【0064】本硬化性組成物の特徴である(え)血液な
どの水分と練和直後の練成体が接触しても崩壊しないこ
と、に関しては、その効果を定量的に検討するために練
和直後の練成体を蒸留水中に浸積し、24時間後におけ
る練成体の崩壊の程度を検討した。すなわち、24時間
後における練成体の崩壊していない部分の体積、すなわ
ち残存体積を、崩壊に対する指標とした。具体的には、
練和直後の硬化性組成物の練成体を直径4mm、高さ1
cmの円柱状に成形し、練和開始後1分以内に、37度
の蒸留水中に浸積し、24時間後における硬化体の乾燥
体積を測定することにより計算した。残存率はパーセン
トとして、残存率=(V/V0)×100として計算し
た。以下、この値を硬化性組成物の水中残存率と定義す
る。ここでVは練成体を蒸留水中に浸積した場合の24
時間後における硬化体の乾燥体積であり、V0は練成体
の練成直後の体積、すなわち直径4mm、高さ1cmの
円柱状の練成体の体積である約0.1256cm3であ
る。なお、残存率が70%以上の場合は(え)血液など
の水分と練和直後の練成体が接触しても崩壊しないこ
と、の要件を満たすものと判断した。
【0065】本硬化性組成物の特徴である(お)機械的
強さが大きいこと、に関しては、日本工業規格T660
2に規定されている歯科用りん酸亜鉛セメントの破砕抗
力試験に準じて測定した。ただし、この規格は歯科用り
ん酸亜鉛セメント用であり、日本工業規格T6602に
規定は「標準ちょう度のセメントを練和を開始してから
3分を経過したときに恒温器中に移す」と規定されてい
るが本硬化性組成物の場合には本硬化性組成物の臨床応
用を考慮してP/Lを4.0とし、練和を開始して1分
で恒温器中に試料を移した。なお、P/Lが4.0で十
分な操作性が得られなかった場合には、実施例に記載し
たP/Lにて実験を行なった。また、破砕抗力試験は2
4時間後に行なった。なお、破砕抗力が100kgf/
cm2以上の場合は(お)機械的強さが大きいこと、の
要件を満たすものと判断した。
【0066】本硬化性組成物の特徴である(か)骨に対
して粘着性あるいは接着性を示すこと、に関しては、硬
化性組成物の粘着性を、練和直後の練成体を二枚のガラ
ス板間に静置し、一定加重を一定時間加えた後、二枚の
ガラス板を剥がすのに必要な加重として測定した。具体
的には、練和後1分以内の硬化性組成物0.2gを万能
試験機に固定されてあるガラス板に静置し、10分間8
kgfの一定加重を負荷した。その後万能試験機を引っ
張り試験モードとし、二枚のガラス板が剥がれるまでの
最大荷重を測定した。以下、この値を硬化性組成物のガ
ラス分離粘着度と定義する。ガラス分離粘着度が0.3
kgf以上の場合は(か)骨に対して粘着性あるいは接
着性を示すこと、の要件を満たすものと判断した。
【0067】(実施例1)リン酸水素カルシウム無水物
とリン酸四カルシウムを1:1のモル比で混合したもの
を粉末部とし、2重量パーセントのコラーゲンを含有す
るpH7.4の0.2モル濃度中性リン酸水素ナトリウ
ム水溶液を練和液とした。本硬化性組成物は硬化性を示
し、硬化時間は約6分であった。24時間後に得られた
硬化体の破壊抗力は約1020kgf/cm2であり、
硬化体の主成分はアパタイトであった。練和直後の練成
体を蒸留水に浸漬した場合の水中残存率は100%であ
り、ガラス分離粘着度は0.5kgfであった。したが
って、医療用硬化性組成物としての要求事項(あ)、
(い)、(う)、(え)、(お)、(か)の全てを満足
する臨床応用上有用な医療用硬化性組成物であった。
【0068】(実施例2)リン酸水素カルシウム無水物
とリン酸四カルシウムを1:1のモル比で混合した粉末
を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥
し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸水
素カルシウムとリン酸四カルシウム混合物を調整し、硬
化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の0.2モ
ル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約16
分であった。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は
約960kgf/cm2であり、硬化体の主成分はアパ
タイトであった。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した
場合の水中残存率は100%であり、ガラス分離粘着度
は2.4kgfであった。したがって、医療用硬化性組
成物としての要求事項(あ)、(い)、(う)、
(え)、(お)、(か)の全てを満足する臨床応用上有
用な医療用硬化性組成物であった。
【0069】(実施例3)リン酸水素カルシウム無水物
とリン酸四カルシウムを1:1のモル比で混合した粉末
を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥
し、5重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸水
素カルシウムとリン酸四カルシウム混合物を調整し、硬
化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の0.2モ
ル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約34
分であった。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は
約700kgf/cm2であり、硬化体の主成分はアパ
タイトであった。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した
場合の水中残存率は100%であり、ガラス分離粘着度
は2.9kgfであった。したがって、医療用硬化性組
成物としての要求事項(あ)、(い)、(う)、
(え)、(お)、(か)の全てを満足する臨床応用上有
用な医療用硬化性組成物であった。
【0070】(実施例4)実施例3の粉末部を硬化性組
成物の粉末部とした。またpH7.4の0.6モル濃度
中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬
化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約14分であっ
た。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は約820
kgf/cm2であり、硬化体の主成分はアパタイトで
あった。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した場合の水
中残存率は100%であり、ガラス分離粘着度は2.8
kgfであった。したがって、医療用硬化性組成物とし
ての要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、
(お)、(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療
用硬化性組成物であった。
【0071】(実施例5)実施例3の粉末部を硬化性組
成物の粉末部とした。またpH3.5の0.2モル濃度
リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬化性
組成物は硬化性を示し、硬化時間は約12分であった。
24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は約600kg
f/cm2であり、硬化体の主成分はアパタイトであっ
た。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した場合の水中残
存率は100%であり、ガラス分離粘着度は2.2kg
fであった。したがって、医療用硬化性組成物としての
要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、
(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性
組成物であった。
【0072】(実施例6)実施例3の粉末部を硬化性組
成物の粉末部とした。またpH7.5の0.2モル濃度
リン酸水素カリウム水溶液を練和液とした。本硬化性組
成物は硬化性を示し、硬化時間は約15分であった。2
4時間後に得られた硬化体の破壊抗力は約700kgf
/cm2であり、硬化体の主成分はアパタイトであっ
た。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した場合の水中残
存率は100%であり、ガラス分離粘着度は2.8kg
fであった。したがって、医療用硬化性組成物としての
要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、
(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性
組成物であった。
【0073】(比較例1)実施例1から6の効果を明ら
かにするために比較例として、リン酸水素カルシウム無
水物とリン酸四カルシウムを1:1のモル比で混合した
ものを粉末部とし、蒸留水を練和液とした。したがっ
て、この硬化性組成物は粉末部にも練和液にもコラーゲ
ンあるいはコラーゲン誘導体を含有せず、また、粉末部
にも練和液にも水溶性リン酸塩も含有していないので本
発明の範囲を外れている。本硬化性組成物は硬化性を示
し、硬化時間は約31分であった。24時間後に得られ
た硬化体の破壊抗力は約980kgf/cm2であり、
硬化体の主成分はアパタイトであった。しかし、練和直
後の練成体を蒸留水に浸漬した場合の水中残存率は0%
であり、ガラス分離粘着度は0kgfであった。したが
って、医療用硬化性組成物としての要求事項(あ)、
(い)、(う)、(お)は満足するが(え)、(か)を
満足しない硬化性組成物であった。
【0074】(比較例2)実施例3の粉末部を硬化性組
成物の粉末部とした。また、蒸留水を練和液とした。し
たがって、この硬化性組成物は、粉末部にも練和液にも
水溶性リン酸塩も含有していないので本発明の範囲を外
れている。本硬化性組成物は24時間以内に硬化性を示
さず、したがって、硬化時間は測定できなかった。また
24時間後の練成体の破壊抗力は0kgf/cm2であ
った。またほとんどアパタイトの形成は認められなかっ
た。また、練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した場合の
水中残存率は0%であった。なお、ガラス分離粘着度は
2.0kgfであった。したがって、医療用硬化性組成
物としての要求事項(か)は満足するが(あ)、
(い)、(う)、(え)、(お)を満足しない硬化性組
成物であった。
【0075】(比較例3)比較例1の粉末部を硬化性組
成物の粉末部とした。また、0.2モル濃度中性リン酸
水素ナトリウム水溶液を練和液とした。したがって、こ
の硬化性組成物は、粉末部にも練和液にもコラーゲンあ
るいはコラーゲン誘導体を含有していないので本発明の
範囲を外れている。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬
化時間は約5分であった。24時間後に得られた硬化体
の破壊抗力は約1040kgf/cm2であり、硬化体
の主成分はアパタイトであった。しかし、練和直後の練
成体を蒸留水に浸漬した場合の水中残存率は0%であ
り、ガラス分離粘着度は0kgfであった。したがっ
て、医療用硬化性組成物としての要求事項(あ)、
(い)、(う)、(お)は満足するが(え)、(か)を
満足しない硬化性組成物であった。
【0076】(実施例7)リン酸水素カルシウム二水和
物とリン酸四カルシウムを1:1のモル比で混合した粉
末を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾
燥し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸
水素カルシウム二水和物とリン酸四カルシウム混合物を
調整し、硬化性組成物の粉末部とした。またpH7.4
の0.2モル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練
和液とした。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間
は約16分であった。24時間後に得られた硬化体の破
壊抗力は約970kgf/cm2であり、硬化体の主成
分はアパタイトであった。練和直後の練成体を蒸留水に
浸漬した場合の水中残存率は100%であり、ガラス分
離粘着度は2.4kgfであった。したがって、医療用
硬化性組成物としての要求事項(あ)、(い)、
(う)、(え)、(お)、(か)の全てを満足する臨床
応用上有用な医療用硬化性組成物であった。
【0077】(実施例8)α型リン酸三カルシウムとリ
ン酸四カルシウムを2:1のモル比で混合した粉末を、
コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥し、
3重量パーセントのコラーゲンを含有するα型リン酸三
カルシウムとリン酸四カルシウム混合物を調整し、硬化
性組成物の粉末部とした。またpH7.4の0.4モル
濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とした。
本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約20分で
あった。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は約5
30kgf/cm2であり、硬化体の主成分はアパタイ
トであった。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した場合
の水中残存率は100%であり、ガラス分離粘着度は
2.0kgfであった。したがって、医療用硬化性組成
物としての要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、
(お)、(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療
用硬化性組成物であった。
【0078】(実施例9)リン酸八カルシウムとリン酸
四カルシウムを1:3のモル比で混合した粉末を、コラ
ーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥し、3重
量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸八カルシウ
ムとリン酸四カルシウム混合物を調整し、硬化性組成物
の粉末部とした。またpH7.4の0.2モル濃度中性
リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とした。本硬化性
組成物は硬化性を示し、硬化時間は約16分であった。
24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は約130kg
f/cm2であり、硬化体の主成分はアパタイトであっ
た。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した場合の水中残
存率は100%であり、ガラス分離粘着度は1.0kg
fであった。したがって、医療用硬化性組成物としての
要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、
(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性
組成物であった。
【0079】(実施例10)リン酸二水素カルシウムと
リン酸四カルシウムを2:7のモル比で混合した粉末
を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥
し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸二
水素カルシウムとリン酸四カルシウム混合物を調整し、
硬化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の0.2
モル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約16
分であった。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は
約220kgf/cm2であり、硬化体の主成分はアパ
タイトであった。練和直後の練成体を蒸留水に浸漬した
場合の水中残存率は100%であり、ガラス分離粘着度
は1.0kgfであった。したがって、医療用硬化性組
成物としての要求事項(あ)、(い)、(う)、
(え)、(お)、(か)の全てを満足する臨床応用上有
用な医療用硬化性組成物であった。
【0080】(実施例11)リン酸二水素カルシウム一
水和物とリン酸四カルシウムを2:7のモル比で混合し
た粉末を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍
結乾燥し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリ
ン酸二水素カルシウム一水和物とリン酸四カルシウム混
合物を調整し、硬化性組成物の粉末部とした。またpH
7.4の0.1モル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶
液を練和液とした。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬
化時間は約5分であった。24時間後に得られた硬化体
の破壊抗力は約250kgf/cm2であり、練和直後
の練成体を蒸留水に浸漬した場合の水中残存率は100
%であり、ガラス分離粘着度は2.4kgfであった。
また、本硬化性組成物はラット大腿骨内において優れた
組織親和性を示した。したがって、医療用硬化性組成物
としての要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、
(お)、(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療
用硬化性組成物であった。
【0081】(実施例12)リン酸水素カルシウム無水
物と酸化カルシウムを3:2のモル比で混合した粉末
を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥
し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸水
素カルシウム無水物と酸化カルシウム混合物を調整し、
硬化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の0.2
モル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約14
分であった。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は
約670kgf/cm2であり、練和直後の練成体を蒸
留水に浸漬した場合の水中残存率は100%であり、ガ
ラス分離粘着度は2.5kgfであった。また、本硬化
性組成物はラット大腿骨内において優れた組織親和性を
示した。したがって、医療用硬化性組成物としての要求
事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、(か)
の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性組成物
であった。
【0082】(実施例13)リン酸水素カルシウム無水
物と水酸化カルシウムを3:2のモル比で混合した粉末
を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥
し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸水
素カルシウム無水物と水酸化カルシウム混合物を調整
し、硬化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の
0.4モル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和
液とした。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は
約20分であった。24時間後に得られた硬化体の破壊
抗力は約250kgf/cm2であり、練和直後の練成
体を蒸留水に浸漬した場合の水中残存率は100%であ
り、ガラス分離粘着度は2.4kgfであった。また、
本硬化性組成物はラット大腿骨内において優れた組織親
和性を示した。したがって、医療用硬化性組成物として
の要求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、
(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性
組成物であった。
【0083】(実施例14)リン酸水素カルシウム無水
物と炭酸カルシウムを3:2のモル比で混合した粉末
を、コラーゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥
し、3重量パーセントのコラーゲンを含有するリン酸水
素カルシウム無水物と炭酸カルシウム混合物を調整し、
硬化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の0.4
モル濃度中性リン酸水素ナトリウム水溶液を練和液とし
た。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約16
分であった。24時間後に得られた硬化体の破壊抗力は
約200kgf/cm2であり、練和直後の練成体を蒸
留水に浸漬した場合の水中残存率は100%であり、ガ
ラス分離粘着度は2.4kgfであった。また、本硬化
性組成物はラット大腿骨内において優れた組織親和性を
示した。したがって、医療用硬化性組成物としての要求
事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、(か)
の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性組成物
であった。
【0084】(実施例15)酸化カルシウムと二酸化珪
素、五酸化二リン、フッ化カルシウムを46:36:1
7:1の重量比で混合した粉末を、1500度で4時間
溶融し、室温まで急冷し、粉砕した。粉砕粉末をコラー
ゲン水溶液とすばやく練和した後、凍結乾燥し、3重量
パーセントのコラーゲンを含有するガラス粉末とし、硬
化性組成物の粉末部とした。またpH7.4の3.7モ
ル濃度中性リン酸水素アンモニウム水溶液を練和液とし
た。なお、本硬化性組成物はP/L=2.0で練和し
た。本硬化性組成物は硬化性を示し、硬化時間は約12
分であった。24時間後に得られた硬化体の破砕抗力は
約520kgf/cm2であった。練和直後の練成体を
蒸留水に浸漬した場合の水中残存率は100%であり、
ガラス分離粘着度は2.2kgfであった。また、本硬
化性組成物はラット大腿骨内において優れた組織親和性
を示した。したがって、医療用硬化性組成物としての要
求事項(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)、
(か)の全てを満足する臨床応用上有用な医療用硬化性
組成物であった。
【0085】
【発明の効果】本発明の医療用硬化性組成物は、粉末部
および練和液のいずれか、あるいはその両方にリン酸成
分およびカルシウム成分を含有する硬化性組成物におい
て、粉末部および練和液のいずれか、あるいはその両方
に、コラーゲンあるいはコラーゲン誘導体のいずれか、
あるいはその両方を含有し、かつ、粉末部あるいは練和
液のいずれか、あるいはその両方に水溶性リン酸塩を含
有しており、その全量が練和液に溶解した場合における
練和液のリン酸イオン濃度が50ミリモル濃度以上であ
ることを特徴とする医療用硬化性組成物、である。本発
明の医療用硬化性組成物は、医療用硬化性組成物に必要
な(あ)生体親和性に優れること、(い)形態付与性を
有すること、(う)硬化時間が適度(約60分以内)で
あること、(え)血液などの水分と練和直後の練成体が
接触しても崩壊しないこと、(お)機械的強さが大きい
こと、(か)骨に対して粘着性あるいは接着性を示すこ
と、の全てを要件を満足し、臨床応用に適する医療用硬
化性組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61L 25/00 A61K 37/12 ACK

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉末部および練和液のいずれか、あるい
    はその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有す
    る硬化性組成物において、粉末部および練和液のいずれ
    か、あるいはその両方に、コラーゲンあるいはコラーゲ
    ン誘導体のいずれか、あるいはその両方を含有し、か
    つ、粉末部あるいは練和液のいずれか、あるいはその両
    方に水溶性リン酸塩を含有しており、その全量が練和液
    に溶解した場合における練和液のリン酸イオン濃度が5
    0ミリモル濃度以上であることを特徴とする医療用硬化
    性組成物。
  2. 【請求項2】 粉末部および練和液のいずれか、あるい
    はその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有す
    る硬化性組成物が、リン酸水素カルシウム、リン酸三カ
    ルシウム、リン酸八カルシウム、リン酸二水素カルシウ
    ム、非晶質リン酸カルシウムの群から選ばれた少なくと
    も一つ、とリン酸四カルシウム、リン酸三カルシウム、
    酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、
    フッ化カルシウムの群から選ばれた少なくとも一つ、の
    混合物を主成分とする粉末部を持つことを特徴とする請
    求項1記載の医療用硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 粉末部および練和液のいずれか、あるい
    はその両方にリン酸成分およびカルシウム成分を含有す
    る硬化性組成物が、カルシウムおよびリン酸およびケイ
    素を主成分とする粉末部を持つことを特徴とする請求項
    1記載の医療用硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 粉末部を構成するコラーゲンあるいはコ
    ラーゲン誘導体、以外の原料粉末とコラーゲンあるいは
    コラーゲン誘導体、の溶液を混合後、コラーゲンあるい
    はコラーゲン誘導体の、溶液の溶媒を乾燥させることに
    より医療用硬化性組成物を製造すること特徴とする請求
    項1、請求項2または請求項3記載の医療用硬化性組成
    物の製造法。
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