JPH10206537A - レーダ補助装置 - Google Patents

レーダ補助装置

Info

Publication number
JPH10206537A
JPH10206537A JP9008649A JP864997A JPH10206537A JP H10206537 A JPH10206537 A JP H10206537A JP 9008649 A JP9008649 A JP 9008649A JP 864997 A JP864997 A JP 864997A JP H10206537 A JPH10206537 A JP H10206537A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target
radar
speed
antenna
course
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9008649A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Okamoto
和男 岡本
Kenichi Osawa
謙一 大沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP9008649A priority Critical patent/JPH10206537A/ja
Publication of JPH10206537A publication Critical patent/JPH10206537A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 船舶搭載レーダからは直接得られない相手船
の針路及び速力の情報が直接且つ連続的に得られるレー
ダ補助装置。 【解決手段】 舶用レーダアンテナ11を含む直線上の
異なる位置に設置された2つの空中線1,2と、所定周
期で所定周波数のパルスを送信する送信機4と、送信機
4の出力を交互に空中線1,2に切換接続すると共に、
その後所定タイミングに空中線1,2を受信機6,7に
切換接続する切換器3と、切換器3に所定の切換制御信
号を供給するタイミング信号発生器5と、空中線1,2
から切換器3を介して入力される受信信号に基づきドッ
プラ周波数をそれぞれ算出する受信機6,7と、受信機
6,7からの入力信号に基づき相手船の針路及び速力を
算出する速度算出器8と、速度算出器8の算出値を表示
する表示器9とを備えたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶に搭載された
レーダ装置またはこのレーダで検出した物標の追尾装置
の補助装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーダは、Radio detection and rangin
g の略で、自らの送信機から電波を発射し、物標から反
射されて戻ってくる電波を受信機で受信することによ
り、目的とする物標を検出し、その距離、方位、移動速
度などの情報を得る無線観測装置である。そして海上を
航行する船舶が、自船に搭載し、電波を用いて、海上に
おける他船等の移動物標の状況を監視する装置としても
レーダが用いられており、現在レーダ以外に、この用途
に使用できる実用的な装置は存在しない。
【0003】しかし、現在のレーダは、電波の送受信を
行うアンテナ(スロットアンテナ等)を機械的に回転さ
せているものが大部分であるから、自船から特定方位に
ある特定物標を観察する場合に、アンテナの1回転毎に
電波ビームが該当物標を照射している短時間しかその物
標についてのレーダ情報は得られない。現在の船舶レー
ダのアンテナ回転数は、速いもので30rpm程度であ
るから、レーダアンテナの1回転には、約2秒を要する
ことになる。
【0004】一方海上を航行する船舶には、近年高速船
(例えばホーバークラフト、水中翼船、高速コンテーナ
船等)が出現し、レーダアンテナの1回転の間の移動距
離が大きくなってきた。従ってレーダによる情報取得周
期の短縮化が要望されているが、レーダアンテナの回転
数の増加は、物標照射時間をも短縮するからレーダの情
報精度が低下する、アンテナの機械的強度及び駆動力を
増す必要がありアンテナの重量増及びコストアップにな
る等の性能とコストの面で限界があるのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、港湾、
海峡、外洋においても高速船が出現し、レーダアンテナ
の回転数は増加できないので、最も懸念される衝突予防
について、高速船の操船者は、現用レーダによるアンテ
ナ回転毎に得られる相手船の映像位置を逐次観察して相
手船の針路及び速力を推定し、その上で自船と衝突の可
能性を判断するには時間が不足し、そのため衝突回避の
対応が遅れるという危機感を抱くという問題があった。
【0006】またレーダの検出情報は基本的には物標の
位置情報であり、レーダ単体では物標の速度情報が十分
に得られない場合があるので、物標追尾や衝突予防がう
まく処理できないという問題があり、さらにレーダと結
合された物標追尾装置や衝突予防装置(例えばARPA
等)は、レーダから追尾をしたい物標映像の過去から現
在までの複数回観測された位置情報を入力し、これらの
入力情報に基づきカルマンフィルタ処理等の演算を行っ
て該当物標の速度や将来の予測位置等を算出するように
しており、高速船に対しては、高速回転のできないアン
テナ回転による前記複数回の観測及び演算処理時間によ
る遅れのために、適切なタイミングで対応できないとい
う問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るレーダ補助
装置は、船舶に搭載されたレーダが検出した物標の針路
及び速力を算出するレーダ補助装置において、前記船舶
搭載レーダのアンテナを含む直線上の異なる位置にそれ
ぞれ設置され、それぞれ所定の指向特性によって所定電
波の放射及び受信が可能な少くとも2つの空中線と、所
定周期毎に所定パルス幅で所定周波数の送信信号を出力
する送信手段と、制御信号発生手段から供給される制御
信号に従い、前記少くとも2つの空中線のうちの1つを
順次前記送信手段の出力端に切換接続すると共に、その
後この切換接続された空中線を対応する受信機の入力端
に切換接続する切換手段と、前記送信手段が送信信号を
出力する周期毎に、交互にまたは定められた順に送信手
段の出力端を1つの空中線に切換接続させる制御信号
と、この切換接続された空中線からの前記送信信号が前
記船舶搭載レーダの検出位置にある物標から反射されて
受信されるタイミングのみ前記切換接続させた空中線を
対応する受信手段の入力端に切換接続させる制御信号と
を発生して前記切換手段に供給する制御信号発生手段
と、前記少くとも2つの各空中線にそれぞれ対応して設
けられ、この対応する空中線から前記切換手段を介して
入力される前記船舶搭載レーダの検出位置にある物標か
らの受信信号と、前記送信手段の送信信号とから該当物
標についてのドップラ周波数をそれぞれ算出する少くと
も2つの受信手段と、前記船舶搭載レーダが検出した物
標の位置情報と、この位置にある物標について前記少く
とも2つの受信手段がそれぞれ算出した複数のドップラ
周波数の情報とを用いて、該当物標の針路及び速力を算
出する速度算出手段と、前記速度算出手段の算出した物
標の針路及び速力を表示する表示手段とを備えたもので
ある。
【0008】その結果、従来レーダ情報からは直接得ら
れなかった相手船の針路及び速力の情報が直接且つ連続
的に得られ、さらに従来の衝突予防装置等が時間をかけ
て推測演算した精度よりも大幅に向上した精度で得られ
るので、船舶の監視及び衝突予防に役立つところが大き
い。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施形態1.図1は本発明の実施形態1に係るレーダ補
助装置の構成を示す図である。図1において、1,2は
#1,#2空中線であり、それぞれ方位駆動機構を含ん
でいる。3は#1,#2空中線への接続を切換える#1
及び#2スイッチを含む切換器である。4はドップラ信
号用の送信機、5はタイミング信号発生器で、送信機4
の送信タイミング及び切換器3の切換タイミングを制御
するタイミング信号を発生する。6,7は#1,#2ド
ップラ信号用の受信機で、それぞれ位相検波器を含む。
8は速度算出器で、#1,#2受信機6,7から入力す
る2つのドップラ周波数とレーダ情報(物標の距離、方
位情報)とから移動物標の速度(針路及び速力)を算出
する。9は表示器で、速度算出器8の算出した物標の針
路及び速力を例えばデジタル値により表示する。10は
実施形態1のレーダ補助装置であり、上記1〜9の機器
により構成される。16は船舶に搭載される舶用レーダ
装置で、レーダアンテナ11、レーダ送受信機12及び
レーダ表示器15により構成される。
【0010】図2は図1の#1,#2空中線の設置位置
とその指向特性の例を示す図である。図2の(a)に
は、船舶におけるレーダアンテナと共に#1,#2空中
線の設置位置が示されており、図の例では、レーダアン
テナ11は、船舶を左舷と右舷に分ける船首・船尾方向
の中心線上に設置される。そして#1空中線1と#2空
中線2は、レーダアンテナ11から前線中心線に直角な
方向に等距離(この例では2mとする)の両側の位置に
それぞれ設置される。しかし後述する動作例で明らかと
なるように、#1,#2空中線1,2とレーダアンテナ
11とが同一直線上の異なる位置にそれぞれ設置されれ
ば、本発明を適用することが可能である。例えば上記3
つの空中線の配列される直線と船舶を左舷と右舷に分け
る中心線とは直角でなくとも、また#1,#2空中線
1,2は、レーダアンテナ11の両側に等距離でなくと
もよい。即ち、#1,#2空中線1,2は、レーダアン
テナ11の片側に等間隔にでも、両側又は片側に異なる
間隔にでも設置できる。従って船体構造に応じて、自由
に#1,#2空中線1,2の設置位置を選択できる。
【0011】図2の(b)は、#1,#2空中線1,2
の指向特性の2種類の例を示しており、図の(イ)はビ
ーム幅は狭いがビーム方位を回転できるもので、(ロ)
はビーム幅は広くビーム方位は固定されるものである。
図2の(b)の(イ)の場合には、#1,#2空中線
1,2は、図示のように、ビーム幅が比較的狭い(例え
ば5〜10度程度)ほぼ同一の指向特性を有すると共
に、共通の方位指示信号によって電波ビームの中心方位
を指示された方位と一致させるようにそれぞれのビーム
方位を回転させることができる。図1の各空中線1,2
に含まれる方位駆動機構はこのためのものである。
【0012】即ち図1の舶用レーダ装置16がある位置
(即ちある方位と距離)にある物標を検出すると、まず
このレーダで検出した物標の方位情報を共通の方位指示
信号として、#1,#2空中線1,2が内蔵する方位駆
動機構(サーボ機構を含んでいる)にそれぞれ供給する
ことにより、各空中線の電波ビームの中心方位を指示さ
れた方位(360度のうちの任意の方位)と一致させる
ように電波ビームの方位を回転させることができる。そ
の結果レーダで検出した物標の方位が360度のうちの
どの方位であっても、レーダ補助装置10は、この物標
に対して電波の送受信を行い、この物標のドップラ周波
数を測定することが可能となる。
【0013】図2の(b)の(イ)の実線は、#1,#
2空中線のビーム方位(電波ビームの中心方位の意)を
共に船首方向と一致させた場合を示し、(イ)の破線
は、ビーム方位を共に船首方向から角度θだけ時計方向
に回転させた場合をそれぞれ示している。なお図2の
(b)の(イ)の場合には、測定物標に対するビーム方
位範囲が狭いので、後述する受信ゲートとの併用により
誤った物標を測定することはまず無く、測定動作は優れ
ているが、(ロ)に比較して方位駆動機構がコスト増と
なる。
【0014】図2の(b)の(ロ)の場合は、#1,#
2空中線1,2は、図示のようにビーム幅が比較的広い
(例えば90度程度)ほぼ同一の指向特性を有し、その
ビームの中心方位が船首方向に固定されて設置されたも
のである。この場合には、各空中線のビーム方位が固定
されているため、図1の方位駆動機構は不要となるが、
ドップラ周波数の測定ができる物標の領域が空中線のビ
ーム幅(例えば船首方向±45度)の範囲に制限され
る。またこのビーム幅内に複数物標が同時に存在する可
能性もあり、この場合の測定法は、後述する。
【0015】図3は図1の#1,#2空中線の送受信タ
イミングを示す図である。いま図1の送信機4は、所定
周期T(この例では5/1000秒とする)毎に、所定
パルス幅τ(この例では10μs程度とする)で、所定
周波数f(一般にUHF又はVHF、この例では300
MHz、従って波長λは1mとする)の送信信号を出力
するが、この送信信号は、前記周期T毎に#1空中線1
と#2空中線2とから交互に送信されるように切換器3
により送信機4と空中線1,2の間の接続が切換えられ
る。また#1,#2受信機6,7と、それぞれ対応する
#1,#2空中線1,2とは、舶用レーダ装置16が検
出した物標までの距離情報に基づきタイミング信号発生
器5が発生する受信ゲート(距離範囲を限定するゲー
ト)の期間のみ切換器3によって接続される。
【0016】いま送信機4の送信周期T毎の送信時刻を
時間の経過順にt1 ,t2 ,t3 ,t4 ,t5 ,t6
とし、図3によって切換器3の動作を具体的に説明す
る。送信時刻t1 ,t3 ,t5 …になると、まず切換器
3内の#1スイッチの接点c1 とa1 が接触し、送信機
4からパルス幅τの送信波が#1空中線1から空中に放
射される。そしていま物標の距離が15kmの場合、レ
ーダ電波の送信後約100μs後にレーダによる物標検
出が行われ、この時間(即ち距離)情報はタイミング信
号発生器5に供給されるので、タイミング信号発生器5
は、この物標検出時間の前後に多少の余裕時間を付加し
た受信ゲート、例えば送信機4の送信後95〜105μ
sの間だけONとなる受信ゲートを発生して切換器3に
供給する。切換器3は、前記受信ゲートの供給されてい
る間のみ#1スイッチの接点c1 とb1 とを接触させ、
#1空中線1からの受信波を#1受信機6に入力させ
る。
【0017】同様に送信時刻t2 ,t4 ,t6 …になる
と、切換器3内の#2スイッチの接点c2 とa2 とが接
触し、送信機4からパルス幅τの送信波が#2空中線2
から空中に放射される。そして同様にタイミング信号発
生器5から発生される受信ゲートの期間のみ切換器3は
#2スイッチの接点c2 とb2 とを接触させ、#2空中
線2からの受信波を#2受信機7に入力させる。
【0018】最初に、図1の各空中線が方位駆動機構を
含む場合(指向特性が図2の(b)の(イ)の場合)に
おける動作について説明する。レーダ補助装置10は、
レーダが検出した位置にある物標のドップラ周波数か
ら、その物標の速度を算出するため、まず、各空中線
1,2の方位駆動機構にレーダが検出した物標方位を共
通の方位指示信号として供給し、各空中線1,2のビー
ム方位を物標方位と一致させ、次にレーダが検出した物
標の距離に応じた受信ゲートを発生させ、この方位と距
離の範囲を限定することにより正しい位置にある物標に
対して電波の送受信を行い、ドップラ周波数の測定をす
るようにしている。なお測定したドップラ周波数が正し
い位置にある物標のものであるか否かの判別は、#1,
#2受信機6,7の測定する距離情報に基づき速度検出
器8が行うが、その動作は後述する。
【0019】#1,#2受信機6,7はそれぞれ内部に
位相検波器を含み、送信機4が送信した送信波と、移動
物標からドップラシフトを受けた受信波との間の位相差
を検出することにより、そのドップラ周波数を測定す
る。そして#1,#2受信機6,7によるこのドップラ
周波数の測定は、測定精度を向上させるため、複数N回
(例えば10回程度)の測定毎に、このN個の測定値の
平均値がそれぞれ算出され、この平均処理された2つの
ドップラ周波数の情報が速度検出器8に供給される。ま
た#1,#2受信機6,7は、それぞれ#1,#2空中
線1,2を介して送信電波が発射された時点から、測定
物標からの反射電波が受信されるまでの時間を個別に測
定する。この2つの測定時間と電波の伝播速度とから、
#1空中線1からこの物標までの距離R1 と#2空中線
から同一物標までの距離R2 とが算出される。そして2
つの距離R1 とR2 の情報も同様に平均化処理されて速
度検出器8に供給される。
【0020】速度算出器8は#1,#2受信機6,7か
ら入力される2つのドップラ周波数の情報を用いて、後
述するように該当物標の針路及び速度を算出すると共
に、前記入力される#1,#2空中線1,2から物標ま
での距離R1 ,R2 が正しい物標による値であるかを次
のようにチェックする。速度算出器8は、#1,#2空
中線1,2間の距離及びレーダアンテナ11との位置関
係は既知であるから、レーダがある方位及び距離にある
物標Pを検出すると、後述する図4に示すように、#1
空中線1と#2空中線2を結ぶ線分を底辺とし、物標P
を頂点とする三角形が形成され、それぞれの位置関係は
固定される。そして三角測量の原理によって、#1,#
2空中線1,2から測定物標までの距離R1 ,R2 でこ
の物標の位置が決まるから、この2つの受信機6,7か
らの距離情報R1 ,R2 に基づき算出される物標の位置
と、レーダが検出した物標Pの位置とが同一又は近傍で
あるかをチェックすることにより、正しい位置にある物
標について測定したドップラ周波数であることが確認で
きる。
【0021】次に図1の各空中線が方位駆動機構を含ま
ない(指向特性が図2の(b)の(ロ)の場合)におけ
る前記動作との相違点について説明する。この場合にお
いても、レーダが物標を検出した距離によって図3の受
信ゲートは同様に発生されるから、測定物標の距離範囲
は限定される。しかし各空中線のビーム幅は、例えば前
記船首方向±45度の範囲あるので、距離が前記受信ゲ
ートの範囲内で且つ方位が角度90度の範囲(即ち図2
の(b)の(ロ)の扇形領域)内に、複数の物標が同時
に存在する可能性は皆無ではない。
【0022】いま上記扇形領域内に物標C,Dの2つが
存在したとすると、レーダアンテナ11から物標C,D
まではほぼ等距離であるが、レーダアンテナ11と各空
中線1,2とはそれぞれ設置位置が異っているから、厳
密にいうと、空中線1から物標CとDまでの距離R1C
1Dとは異なる値となり、空中線2から物標CとDまで
の距離R2CとR2Dとは異なる値となっている。従っても
しR1CとR1Dとの距離差及びR2CとR2Dの距離差が、そ
れぞれ送信パルス幅に相当する距離以上あれば、受信機
6,7はそれぞれ物標C,Dからの反射電波を、異なる
時刻に到達する分離された2つの受信波として受信する
ことができる。従って受信機6,7は、この時間的に分
離された2つの受信波によって、それぞれ2つのドップ
ラ周波数及び物標C,Dまでの距離R1C,R1D,R2C
2Dを測定することができる。速度算出器8は、レーダ
が検出した物標C,Dの位置(この場合、距離はほぼ等
距離で方位のみ異っている)と、上記R1C,R1D
2C,R2Dから算出した物標C,Dの位置とを照合する
ことにより、上記受信機6,7がそれぞれ測定した2つ
のドップラ周波数と物標C,Dとの対応関係を識別する
ことができる。
【0023】次に前記R1CとR1Dとの差またはR2CとR
2Dとの差が僅少で、送信パルス幅に相当する距離以下の
場合について説明する。この場合受信機6又は7は、物
標CとDからの反射電波の到達時刻の接近により、2つ
の電波の連結された受信波、または一部が混合された受
信波を受信することになる。しかし、物標CとDの移動
速度が同一でなければ、物標C,Dからのドップラ周波
数はそれぞれ異った値となる。従って周波数の異なる2
つの混合波を受信したとしても、公知のスペクトラム分
析技術を用いることによって、#1,#2受信機6,7
は2つのドップラ周波数をそれぞれ抽出して取り出すこ
とができる。
【0024】さらに物標の速度は、不連続に変化するこ
とがなく連続性を有するものであり、ドップラ周波数や
距離の測定値については、前記のように複数N回の測定
値の平均化処理を行うので、混合波の測定等によって極
端に異常な測定値が得られた場合には、この異常値を除
去して平均化処理を行う等の処置をして、物標C,Dの
いずれか一方が前記扇形領域外に去るまでの暫定処理を
行う。
【0025】上記のように#1,#2空中線1,2の指
向特性が図2の(b)の(ロ)の場合の動作について詳
細に説明したが、実際に図示のある扇形領域に複数物標
が同時に存在する可能性は少く、またかりに複数物標が
同時に存在したとしても、さらに複数の各物標までの距
離差が僅少の可能性はさらに少く、またかりに複数の物
標間の距離差が僅少であったとしても、さらに複数の各
物標の速度が同一である可能性はきわめて少いこと、並
びに一定時間経過すれば前記扇形領域内は、単数物標と
なる可能性が大きいこと等により、物標の測定方位が限
定されること以外は、実用上、この指向特性の空中線で
ほとんど支障はない。以下速度算出器8が、どのように
物標の針路及び速力を算出するかを具体例について詳細
に説明する。
【0026】図4は図1の動作例における物標位置と船
首方向を示す図である。図1において、まず船舶に搭載
された船用レーダ装置16がある物標Pを検出したとす
ると、レーダアンテナ11から物標Pまでの距離とその
真方位(真北から時計廻の方向に測った方位)は、レー
ダ送信機12によって直ちに検出される。いま上記物標
Pまでの距離は5海里、その真方位は30度、船舶の船
首方位が40度であったとすると、レーダアンテナ1
1、#1,#2空中線1,2と物標Pとの位置関係は、
図4に示す通りである。そして物標Pがいま速力10海
里/時で、針路250度の方位に移動しており、この移
動物標の速力及び針路についての情報がレーダによって
全く得られていない場合に、本発明によってこれらの情
報がどのようにして、またどの程度の精度で得られるか
を以下に説明する。
【0027】図5は図4の動作例の座標位置を示す図で
ある。まずレーダアンテナ11の設置位置を座標原点の
O点、#1,#2空中線1,2の設置位置をそれぞれA
点、B点、物標位置をP点、真北方向(方位0度)をN
とすると、図5のような各座標位置となる。また図5の
A,B点を結ぶ延長直線上に対して直角にP点から垂線
(この垂線は船の船首方向と平行となる)を引き、角P
ABをΦA 、角PBAをΦB とし、上記垂線をY軸方向
とし、A,B,P点の各位置関係を示すと、図6の通り
となる。
【0028】図5,6において、O点からみた船首方向
とP点方向との間の角度は10度であるので、角度PO
Aは80度となる。またO点とP点との間の距離OP
は、5海里(1海里は1852m)であるので、メート
ルに換算すると9260m(=5×1852m)にな
る。一般に三角形の3つの角をA,B,C、各角に対向
する辺をa,b,cとすると、次の(1),(2)式が
成立する。 c2 =a2 +b2 −2abcos C …(1) cos A=(b2 +c2 −a2 )/2bc …(2)
【0029】図6の三角形AOPにおいて、線分AO
(上記bに相当)=2m、線分OP(上記aに相当)=
9260m、角AOP(上記Cに相当)=80度より上
記cに相当する線分APは上記(1)式に各数値を代入
し、(AP)2 =92602 +22 −2×2×9260
×cos 80°よりAPの近似値は9259.6529m
となる。また三角形の角Aに相当する角ΦA (角PA
O)は(2)式に各数値を代入し、cos ΦA =(22
9259.65292 −92602 )/(2×2×92
59.6529)よりΦA の近似値は99.988°と
なる。
【0030】同様に図6の三角形OBPにおいて、OP
は9260m、OBは2m、角POBは100度より、
線分BPは、上記(1)式に各数値を代入し、(BP)
2 =92602 +22 −2×2×9260×cos 100
°よりBPの近似値は9260.3475mとなる。ま
た角ΦB (角PBO)は、上記(2)式に各数値を代入
し、cos ΦB =(22 +9260.34752 −926
2 )/(2×2×9260.3475)よりΦB の近
似値は79.988°となる。
【0031】一方物標Pは、速度10海里/時で、図5
に示すようにP点からA,B点を通る直線に対する垂線
と30度時計廻り方向に移動しているので、A,B点に
おける受信波に生じるドップラ周波数に注目する。一般
にある観測点より、送信周波数がf(電波伝播速度をC
とすると、波長はλ=C/fとなる)の電波を移動物標
に送信し、観測点に対して相対速度Vr の移動物標から
反射される受信波に生じるドップラ周波数fD は次の
(3)式となる。 fD =2Vr /λ …(3) また物標Pの速度10海里は、秒速V(メートル/秒)
に換算すると、V=10×1852/3600=5.1
444m/秒となる。
【0032】そこでA点に対する物標Pの相対速度VrA
は、 VrA=(5.1444m/秒) ×cos [30°+{90°−(180°−ΦA )}] =(5.1444m/秒)×cos (30°−90°+ΦA ) =(5.1444m/秒)×sin (ΦA +30°) となる。いま波長λ=1mとしているから、A点で観測
されるドップラ周波数fDAは、(3)式に数値を代入す
ると、 となる。
【0033】同様にB点に対する物標Pの相対速度VrB
は、 VrB=(5.1444m/秒)×cos (30°+90°−ΦB ) =(5.1444m/秒)×sin (ΦB −30°) となる。いま波長λ=1mであるから、B点で観測され
るドップラシフト周波数fDBは、(3)式に数値を代入
すると、 となる。
【0034】図7は移動物標の位置及び速度と観測点に
おける相対速度の求め方の説明図である。図7におい
て、TRは観測点に設けられた送受信機、P点は移動物
標の位置、TRからPまでの距離R′、移動物標が速度
Vで移動する針路方向へTRから直角に引いた垂線が針
路と交わる点をO点、TRとO点との距離をR;O点を
座標原点として、針路をX軸としたP点の座標をxとす
ると、R′は次の(4)式となる。 R′=(R2 +x2 1/2 …(4)
【0035】TRからみた移動物標の相対速度Vr とし
て、物標が近ずく場合を正とすると、 Vr =−dR′/dt =−[{d(R2 +x2 1/2 }/dx]・(dx/dt) =−x(R2 +x2 -1/2・(dx/dt) となる。また時間に対するxの減少率が速度Vであるか
ら、−dx/dt=V を Vr に代入すると次の
(5)式 Vr =x(R2 +x2 -1/2・V …(5) として示すことができる。
【0036】図8は図7の一般例を、図6の位置関係に
書き直した図である。図8において、A,B,P点は図
6と同一位置を示し、角度θは、P点からA,B点を結
ぶ直線に対して引いた垂線とPの針路との間になす角度
で、図6の30°に相当する角度である。またRA ,R
B は、それぞれA点、B点より針路方向へ引いた垂線の
距離であり、R′A ,R′B はそれぞれRA と針路方向
の交点と、P点との間の距離、RB と針路方向との交点
と、P点との間の距離を示している。なお角αはAPと
A とのなす角、角βはBPとRB とのなす角である。
この場合R′A ,R′B は次の(6),(7)式で示さ
れる。 R′A =APsin α=APsin (180°−ΦA −θ) =APsin (ΦA +θ) …(6) R′B =BPsin β=BPsin (ΦB −θ) …(7)
【0037】ここで前記(4)式と同様に次の(8),
(9)式が成立する。 AP=(RA 2 +R′A 2 1/2 …(8) BP=(RB 2 +R′B 2 1/2 …(9) (8),(9)式をそれぞれ(6),(7)式に代入す
ると、次の(10),(11)式となる。 R′A =(RA 2 +R′A 2 1/2 ・sin (ΦA +θ) …(10) R′B =(RB 2 +R′B 2 1/2 ・sin (ΦB −θ) …(11)
【0038】いまA点に対する相対速度をVrA、B点に
対する相対速度をVrBとして、上記の関係式を前記
(5)式に代入すると、(5)式のxは、R′A ,R′
B に相当し、(5)式のRはRA ,RB に相当するか
ら、次の(12),(13)式となる。 VrA=(RA 2 +R′A 2 1/2 ・sin (ΦA +θ) ・(RA 2 +R′A 2 -1/2・V =V・sin (ΦA +θ) …(12) VrB=(RB 2 +R′B 2 1/2 ・sin (ΦB −θ) ・(RB 2 +R′B 2 -1/2・V =V・sin (ΦB −θ) …(13)
【0039】従って(3)式と同様にA,B点で観測さ
れるドップラ周波数fDA,fDBは、次の(14),(1
5)式となる。 fDA=2VrA/λ=2Vsin (ΦA +θ)/λ …(14) fDB=2VrB/λ=2Vsin (ΦB −θ)/λ …(15) 上記(14),(15)式よりV,λを消去すると(1
6)式となる。 fDA/sin (ΦA +θ)=fDB/sin (ΦB −θ) fDA・sin (ΦB −θ)=fDB・sin (ΦA +θ) fDA・(sin ΦB ・cos θ−cos ΦB ・sin θ) =fDB・(sin ΦA ・cos θ+cos ΦA ・sin θ) …(16)
【0040】上記(16)式の両辺のsin θとcos θと
をまとめて、その比tan θからθを求めると(17)式
となる。 (fDA・sin ΦB −fDB・sin ΦA )・cos θ =(fDB・cos ΦA +fDA・cos ΦB )・sin θ sin θ/cos θ=(fDA・sin ΦB −fDB・sin ΦA )/ (fDB・cos ΦA +fDA・cos ΦB ) θ=tan -1{(fDA・sin ΦB −fDB・sin ΦA )/ (fDB・cos ΦA +fDA・cos ΦB )} …(17) 上記(17)式のθは図8の針路を示しており、このθ
を(14)式又は(15)式に代入することにより移動
物標Pの速度Vが求められることになる。
【0041】上記(17)式に、既に求められたΦA
ΦB ,fDA,fDBの数値を代入すると、 θ=tan -1{(7.8831Hz・sin 79.988°−7.8804Hz・sin 99.988°)/ (7.8831Hz・cos 79.988°+7.8804Hz・cos 99.988°)} =tan -1(0.56183 ) =29.33 ° このθを用い、λ=1mとして、(14)式からVを求
める式は(18)式となる。 V=fDA/2sin (ΦA +θ) …(18)
【0042】上記(18)式に数値を代入して計算する
と、次の値になる。 V=7.8831/2・sin (99.988+29.33 ) =7.8831/1.5473=5.095 m/秒 この秒速を海里/時に換算すると、次の値になる。 V=5.095 ×3600/1852=9.904 海里/時
【0043】上述の通り、#1,#2受信機6,7によ
りそれぞれ移動物標の移動速度に基づくドップラ周波数
DA,fDBを測定し、またレーダで検出される前記移動
物標の方位及び距離情報と船上の#1,#2空中線の設
置位置とから前記移動物標に対するΦA ,ΦB を得るこ
とで、速度算出器8は、上記三角関数を含む通常の計算
により従来よりも向上した精度(上記相手船の自船に対
する方位30度、速力10海里/秒は、計測例で方位2
9.33度、速力9.904海里/時となるから、方位
は2.3%、速力は1%の精度となる。)で、移動物標
の針路と速力を算出し、この算出値を例えばデジタル値
によって表示器9に表示させることができる。なお上記
の計算例は、説明を簡単にするため概略の数値で計算し
た例を示したが、実際には有効桁数を増すことによっ
て、さらに高精度の計算結果を得ることができる。
【0044】なお図2の(a)に示した#1空中線1と
#2空中線2との間の距離は、小型船にも搭載できるよ
うに4mと狭くしたため、2つのドップラ周波数fDA
DBの差が僅かとなった。従って#1,#2受信機6,
7は、それぞれ受信位相データに複数N回の測定値の平
均処理後のデータを用いるようにして、前記2つのドッ
プラ周波数fDA,fDBの測定精度を向上させている。し
かしULCCやVLCCのような大型船では、#1空中
線1と#2空中線2との間隔を広くすることがきるの
で、ドップラ周波数fDA,fDBの差が大きくなり、その
結果針路及び速力の計算精度は向上する。
【0045】図3に示したように#1,#2受信機6,
7は、それぞれ2T毎に測定を行う。そして、この例で
はT=5msとしたので、2T=10mとなる。また上
記平均回数Nを10回とすると、100ms(0.1
秒)毎に平均化データが得られることになる。従って速
度算出器8は、#1,#2受信機6,7から最初の平均
化処理されたドップラ周波数fDA,fDBを供給されてか
ら、0.1秒以内に移動物標の針路及び速力の算出を終
了するようにすれば、0.1秒間隔で順次入力される平
均化処理されたドップラ周波数による演算処理を繰り返
し、常に0.1秒間隔で更新した最新の計算値を連続的
に表示器9に表示させることができる。
【0046】実施形態2.図9は本発明の実施形態2に
係るレーダ補助装置の構成を示す図である。図9のレー
ダ補助装置10Aは、図1のレーダ補助装置10から表
示器9を除去したものであり、図9の舶用レーダ装置1
6Aは図1の舶用レーダ装置16に表示制御器14を追
加して設けたものであり、図9のその他の機器は図1と
同じものである。図1の実施形態1においては、船舶の
操船を行う航海士は、レーダ表示器15に表示される複
数の物標映像を監視し、そのなかで衝突等の危険の可能
性のある物標についての距離及び方位を測定すると共
に、レーダ補助装置10内の表示器9に表示される該当
物標の針路及び速力の値を読取り、その上で自船の針路
及び速力との相対運動において、減速や針路変更を行う
か否かを判断する必要がある。
【0047】しかし航海士がレーダ表示器15とレーダ
補助装置の表示器9の両方の表示をみて必要な情報を取
得し、さらに相対運動の計算を行うのは負担が大きい。
そこでレーダ表示器15の表示画面上に相手船の針路及
び速力の情報をも重畳表示させ、航海士の負担を少くす
るのが実施形態2の目的である。このためレーダ補助装
置10A内の速度算出器8は、#1,#2受信機6,7
からのドップラ周波数とレーダ情報(距離及び方位)に
基づき算出した相手物標の針路及び速度の情報を、舶用
レーダ装置16A内の表示制御器14へ供給する。
【0048】表示制御器14では、供給された相手物標
の針路及び速力の情報を、例えばベクトルの方向及び長
さに対応させて変換し、前記相手物標の中心(又は重
心)位置を前記ベクトルの始点とする映像信号を発生
し、レーダ送受信機12から入力する物標映像に前記ベ
クトル映像を重畳させてレーダ表示器15に表示させ
る。航海士はレーダ表示器15に重畳表示された物標映
像と、その中心位置からのベクトルの方向及び大きさに
より、相手船の方位、距離、針路及び速度の情報を一度
に取得することができ、負担が軽減される。
【0049】なお、表示制御器14には、文字発生器を
内蔵させ、前記ベクトル映像のほかに、デジタル数値に
より相手船の針路及び速度を示す数値映像情報を発生さ
せ、この情報を前記ベクトル映像の近傍部や表示画面の
角の余白部に表示させるようにしてもよい。
【0050】実施形態3.図10は本発明の実施形態3
に係るレーダ補助装置の構成を示す図である。図10の
レーダ補助装置10Aは図9と同一のものである。また
図10の舶用レーダ物標追尾装置17は、図9の舶用レ
ーダ装置16Aに物標追尾手段13を追加して設けたも
のであり、その他は図9と同一である。実施形態3にお
いては、レーダ補助装置10A内の速度算出器8が算出
した相手物標の針路及び速度の情報を舶用レーダ物標追
尾装置17内の物標追尾手段13に供給し、その追尾性
能を向上させることを目的としている。
【0051】一般に、物標追尾手段13は、追尾物標に
ついてアンテナの数回転(一般に5,6回転)前から現
在までの検出位置と、その間の航跡及び速度等の情報を
記憶しておき、これらの情報に基づき、未来の(即ち次
のアンテナ回転時の)推測速度や推測位置を演算により
求めて物標の追尾を行うものである。従って新規に出現
した物標の速度を推測する場合には、その出現時点から
アンテナが5,6回転するまで待たないと、推測速度は
求められない。一般に舶用レーダアンテナの回転速度
は、高速のものでも30rpm程度で、アンテナ1回転
に2秒程度を要するから、5〜6回転には、10〜12
秒程度待つことになる。またこの推測速度の更新には、
アンテナ1回転、即ち2秒程度を要することになる。ま
たこの推測速度は、追尾物標が加減速や変針を行うと実
際の速度(針路及び速力)との差が大きくなり、時には
物標の追尾に失敗し、物標喪失となる場合もある。
【0052】これに比較し、本発明のレーダ補助装置1
0,10Aは、新規に出現した物標の速度を0.1秒程
度で算出することができ、また物標が加減速や変針を行
う場合にも0.1秒程度で逐次変更された速度を算出す
る。さらに本発明の算出速度は推測速度ではなく、ドッ
プラ周波数に基づく実測速度であり、推測速度よりも精
度が良い(前記計算例では方位は2.3%、速力は1%
の精度である)。このように速度算出器8は、測定間隔
が短時間で且つ測定精度も良い物標速度情報を逐次物標
追尾手段13に供給するので、物標追尾手段13はこの
速度情報を利用してその物標追尾性能を向上させること
ができる。
【0053】舶用レーダ物標追尾装置17内の表示制御
器14は、図9の場合と同様に、追尾物標の針路及び速
力を対応するベクトルに変換して、このベクトル映像を
物標映像に重畳させたり、さらにベクトル映像のほかに
デジタル数値映像も付加したりしてレーダ表示器15に
表示させる。なお、図10の例においては、レーダ補助
装置10Aから図1の表示器9は除去してあるが、図1
のように表示器9を残したままで、速度算出器8の出力
を物標追尾手段13へ並列的に供給するようにしてもよ
い。
【0054】実施形態4.図11は本発明の実施形態4
に係るドップラ信号用トランスポンダの構成を示す図で
ある。実施形態4は、図1,9,10のレーダ補助装置
内の送信機4の送信出力が小電力の場合や、ドップラ周
波数を測定したい移動物標が小さく(従って電波の有効
反射面積も小さい)且つ遠距離にある場合等に、その測
定したい移動物標から直接十分なる反射信号が得られ
ず、その結果、ドップラ周波数の測定ができない場合の
対策を示している。実施形態4においては、上記のよう
にレーダ補助装置内の#1,#2受信機6,7が受信す
る移動物標からの直接反射電力が小さ過ぎる場合に、移
動物標にトランスポンダを搭載させ、このトランスポン
ダの送信波を受信して十分なる受信電力を得んとするも
のである。
【0055】図11において、20はドップラ測定用送
受信機であり、具体的には、図1,9,10のレーダ補
助装置10,10A内の送信機4と、2つの空中線1,
2と受信機6,7のうちのいずれか一方、例えば#1空
中線1及び#1受信機6とが組込まれたものと考えれば
よい。図11の30は移動物標に搭載されるドップラ信
号用トランスポンダであり、受信アンテナ31、送信ア
ンテナ32、増幅器35、遅延回路36、送信器37及
びスイッチ38により構成される。
【0056】図11のドップラ測定用送受信機20は、
図1の送信機4と同様に、#1空中線1(図示せず)か
ら、特定周波数がfで、パルス幅がτ、繰返周期2Tの
電波を大気中に放射する。移動物標に搭載されたドップ
ラ信号用トランスポンダ30では、まず受信アンテナ
(例えばロッドアンテナ等)31が、大気中を伝搬して
きた前記特定周波数fを中心周波数としてその前後にΔ
fの帯域幅を有する周波数帯における電波のみを受信
し、その受信信号をスイッチ38を介して増幅器35へ
供給する。
【0057】図11のスイッチ38は、受信アンテナ3
1の出力端と増幅器35の入力端の間の回路を通常は閉
とし、ドップラ信号用トランスポンダ30の送信アンテ
ナ32から送信される電波が自己の受信アンテナ31を
介して直接増幅器35に入力されないように、受信アン
テナ31からの受信信号を増幅器35へ供給すると直ち
に開となり、一定時間経過すると再び閉となるものであ
る。
【0058】増幅器35は、線形増幅器であり、入出力
信号間の振幅に比例関係が成立する。そしてこの比例定
数は、入力信号の大きさが変化してもまた周波数が多少
変化しても、所定の範囲にわたり一様な値を有するもの
である。従って入力信号の波形を歪ませたり、周波数や
位相を変化させたりすることがなく、入力信号を線形増
幅して出力するものである。増幅器35の出力する被増
幅信号は、遅延回路36へ供給される。
【0059】遅延回路36は、増幅器35からの入力信
号を予め設定された所定時間td (td は一般的にパル
ス幅τよりやや大きい値に設定する)だけ遅延させ、こ
の被遅延信号を送信器37へ供給する。送信器37で
は、入力信号を線形増幅し、所要電力の送信信号として
送信アンテナ32へ供給する。送信アンテナ32は、送
信器37からの送信信号を、受信アンテナ31で受波さ
れた電波信号と波形、周波数、位相は同一で、単に信号
の大きさのみが線形増幅された電波信号として大気中に
放射する。送信アンテナ32は、例えば無指向特性のロ
ッドアンテナ等を使用すればよい。
【0060】ドップラ測定用送受信機20は、自己の送
信電波が移動物標に照射され、この移動物標から直接反
射されてくる電波の受信電力が小さくて、その受信周波
数を測定できなくとも、時間td だけ遅延してドップラ
信号用トランスポンダ30から送信されてくる電波の受
信電力は十分に大きいので、その受信周波数を測定する
ことができる。そしてこの受信周波数は、ドップラ効果
によって周波数偏移を生じているものである。但しこの
場合トランスポンダからの応答信号の到達時刻は、直接
反射波の場合よりも時間td だけ遅れているので、図3
の受信ゲート信号の立上り及び立下りの時刻は、共にt
d だけ遅延させる必要がある。なお立下りの時刻のみ遅
延させれば、直接反射波の場合と応答信号の場合の両方
が受信できる。
【0061】このようにしてドップラ測定用送受信機2
0は、移動物標の移動速度に基づくドップラ周波数をト
ランスポンダからの応答信号によって測定することがで
きる。また図3の送受信タイミングで説明したように#
1空中線1と#2空中線2による電波の送受信は交互に
行われるから、2つの送信波が同時にトランスポンタダ
に到達することはなく、トランスポンダは単純に受信波
に対して応答波を送信すればよい。従って移動物標に搭
載するトランスポンダは1台でよい。
【0062】上記のように本実施形態1〜4によれば、
近年、高速船が数多く出現しているにもかかわらず、レ
ーダによる情報取得周期の短縮化ができない現況におい
て、レーダ情報では直接得られない相手船の針路及び速
力の情報が直接且つ、連続的に得られないので、船舶の
衝突予防に役立つところが大きい。またレーダ情報を利
用した衝突予防装置(ARPA等)において、時間をか
けた推測演算により算出する他船の針路及び速力の精度
は大略±10%程度であるが、上記実施形態1の計算例
に示した精度は、方位が2.3%、速力は1%であるの
で、他船の監視精度の向上にも資するものと考える。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、船舶に搭
載されたレーダが検出した物標の針路及び速力を算出す
るレーダ補助装置において、前記船舶搭載レーダのアン
テナを含む直線上の異なる位置にそれぞれ設置され、そ
れぞれ所定の指向特性によって所定電波の放射及び受信
が可能な少くとも2つの空中線と、所定周期毎に所定パ
ルス幅で所定周波数の送信信号を出力する送信手段と、
制御信号発生手段から供給される制御信号に従い、前記
少くとも2つの空中線のうちの1つを順次前記送信手段
の出力端に切換接続すると共に、その後この切換接続さ
れた空中線を対応する受信機の入力端に切換接続する切
換手段と、前記送信手段が送信信号を出力する周期毎
に、交互にまたは定められた順に送信手段の出力端を1
つの空中線に切換接続させる制御信号と、この切換接続
された空中線からの前記送信信号が前記船舶搭載レーダ
の検出位置にある物標から反射されて受信されるタイミ
ングのみ前記切換接続させた空中線を対応する受信手段
の入力端に切換接続させる制御信号とを発生して前記切
換手段に供給する制御信号発生手段と、前記少くとも2
つの各空中線にそれぞれ対応して設けられ、この対応す
る空中線から前記切換手段を介して入力される前記船舶
搭載レーダの検出位置にある物標からの受信信号と、前
記送信手段の送信信号とから該当物標についてのドップ
ラ周波数をそれぞれ算出する少くとも2つの受信手段
と、前記船舶搭載レーダが検出した物標の位置情報と、
この位置にある物標について前記少くとも2つの受信手
段がそれぞれ算出した複数のドップラ周波数の情報とを
用いて、該当物標の針路及び速力を算出する速度算出手
段と、前記速度算出手段の算出した物標の針路及び速力
を表示する表示手段とを備えるようにしたので、従来レ
ーダ情報からは直接得られなかった相手船の針路及び速
力の情報が直接且つ連続的に得られ、さらに従来の衝突
予防装置等が時間をかけて推測演算した精度よりも大幅
に向上した精度で得られるので、船舶の監視及び衝突予
防に役立つところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るレーダ補助装置の構
成を示す図である。
【図2】図1の#1,#2空中線の設置位置とその指向
特性の例を示す図である。
【図3】図1の#1,#2空中線の送受信タイミングを
示す図である。
【図4】図1の動作例における物標位置と船首方向を示
す図である。
【図5】図4の動作例の座標位置を示す図である。
【図6】図5のA,B,P点の各位置関係を示す図であ
る。
【図7】移動物標の位置及び速度と観測点における相対
速度の求め方の説明図である。
【図8】図7の一般例を図6の位置関係に書き直した図
である。
【図9】本発明の実施形態2に係るレーダ補助装置の構
成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態3に係るレーダ補助装置の
構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態4に係るドップラ信号用ト
ランスポンダの構成を示す図である。
【符号の説明】 1 #1空中線 2 #2空中線 3 切換器 4 送信機 5 タイミング信号発生器 6 #1受信機 7 #2受信機 8 速度算出器 9 表示器 10,10A レーダ補助装置 11 レーダアンテナ 12 レーダ送受信機 13 物標追尾手段 14 表示制御器 15 レーダ表示器 16,16A 舶用レーダ装置 17 舶用レーダ物標追尾装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船舶に搭載されたレーダが検出した物標
    の針路及び速力を算出するレーダ補助装置において、 前記船舶搭載レーダのアンテナを含む直線上の異なる位
    置にそれぞれ設置され、それぞれ所定の指向特性によっ
    て所定電波の放射及び受信が可能な少くとも2つの空中
    線と、 所定周期毎に所定パルス幅で所定周波数の送信信号を出
    力する送信手段と、 制御信号発生手段から供給される制御信号に従い、前記
    少くとも2つの空中線のうちの1つを順次前記送信手段
    の出力端に切換接続すると共に、その後この切換接続さ
    れた空中線を対応する受信機の入力端に切換接続する切
    換手段と、 前記送信手段が送信信号を出力する周期毎に、交互にま
    たは定められた順に送信手段の出力端を1つの空中線に
    切換接続させる制御信号と、この切換接続された空中線
    からの前記送信信号が前記船舶搭載レーダの検出位置に
    ある物標から反射されて受信されるタイミングのみ前記
    切換接続させた空中線を対応する受信手段の入力端に切
    換接続させる制御信号とを発生して前記切換手段に供給
    する制御信号発生手段と、 前記少くとも2つの各空中線にそれぞれ対応して設けら
    れ、この対応する空中線から前記切換手段を介して入力
    される前記船舶搭載レーダの検出位置にある物標からの
    受信信号と、前記送信手段の送信信号とから該当物標に
    ついてのドップラ周波数をそれぞれ算出する少くとも2
    つの受信手段と、 前記船舶搭載レーダが検出した物標の位置情報と、この
    位置にある物標について前記少くとも2つの受信手段が
    それぞれ算出した複数のドップラ周波数の情報とを用い
    て、該当物標の針路及び速力を算出する速度算出手段
    と、 前記速度算出手段の算出した物標の針路及び速力を表示
    する表示手段とを備えたことを特徴とするレーダ補助装
    置。
  2. 【請求項2】 前記少くとも2つの各受信手段は、それ
    ぞれ複数回測定したドップラ周波数の値を平均化処理
    し、この平均化処理された値によるドップラ周波数を前
    記速度算出手段に供給することを特徴とする請求項1記
    載のレーダ補助装置。
  3. 【請求項3】 前記少くとも2つの各空中線は、それぞ
    れこの空中線を搭載した船舶の船首方向にビーム幅の中
    心方向を向けた所定のビーム幅の指向特性を有するもの
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のレーダ補
    助装置。
  4. 【請求項4】 前記少くとも2つの各空中線は、それぞ
    れ所定のビーム幅の指向特性を有すると共に、前記船舶
    搭載レーダが検出した物標の方位を指示されると、この
    指示された方位に前記ビーム幅の中心方位を一致させる
    ようにそれぞれビーム方位を回転させる方位駆動機構を
    有することを特徴とする請求項1又は2記載のレーダ補
    助装置。
  5. 【請求項5】 前記少くとも2つの各受信手段は、前記
    送信手段が送信し、前記船舶搭載レーダの検出位置にあ
    る物標から直接反射される電波を受信する代りに、前記
    物標に搭載されたドップラ信号用トランスポンダが送信
    する応答電波を受信し、この受信信号を用いて前記物標
    のドップラ周波数をそれぞれ算出することを特徴とする
    請求項1から4までのいずれかに記載のレーダ補助装
    置。
  6. 【請求項6】 前記表示手段の代りに、前記船舶搭載レ
    ーダが検出した位置により物標映像を表示するレーダ表
    示装置を用いて、前記レーダが検出した位置にある物標
    の前記速度算出手段の算出した針路及び速力の情報を、
    該当物標映像に付加して表示させるようにしたことを特
    徴とする請求項1から5までのいずれかに記載のレーダ
    補助装置。
  7. 【請求項7】 前記船舶搭載レーダが検出した物標映像
    の位置により物標の追尾を行う物標追尾手段に対して、
    前記物標映像の検出された位置において前記速度算出手
    段が算出した該当物標の針路及び速力の情報を供給し、
    前記物標追尾手段が前記供給される物標の針路及び速力
    の情報を用いて該当物標の追尾処理を行うことを特徴と
    する請求項1から6までのいずれかに記載のレーダ補助
    装置。
JP9008649A 1997-01-21 1997-01-21 レーダ補助装置 Pending JPH10206537A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9008649A JPH10206537A (ja) 1997-01-21 1997-01-21 レーダ補助装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9008649A JPH10206537A (ja) 1997-01-21 1997-01-21 レーダ補助装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10206537A true JPH10206537A (ja) 1998-08-07

Family

ID=11698798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9008649A Pending JPH10206537A (ja) 1997-01-21 1997-01-21 レーダ補助装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10206537A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000026689A1 (en) * 1998-10-30 2000-05-11 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) Method for determining object movement data
JP2010091490A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Hitachi Automotive Systems Ltd 車載用レーダシステム
KR101411571B1 (ko) * 2012-03-23 2014-06-25 삼성중공업 주식회사 모터 조속기의 동작 방법 및 이를 이용하는 장치들
JP2015055619A (ja) * 2013-09-13 2015-03-23 株式会社日立産機システム 測距端末および測距システム
JP2018063259A (ja) * 2017-11-29 2018-04-19 株式会社日立産機システム 測距端末および測距システム

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000026689A1 (en) * 1998-10-30 2000-05-11 Telefonaktiebolaget Lm Ericsson (Publ) Method for determining object movement data
JP2010091490A (ja) * 2008-10-10 2010-04-22 Hitachi Automotive Systems Ltd 車載用レーダシステム
KR101411571B1 (ko) * 2012-03-23 2014-06-25 삼성중공업 주식회사 모터 조속기의 동작 방법 및 이를 이용하는 장치들
JP2015055619A (ja) * 2013-09-13 2015-03-23 株式会社日立産機システム 測距端末および測距システム
JP2018063259A (ja) * 2017-11-29 2018-04-19 株式会社日立産機システム 測距端末および測距システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5091651B2 (ja) レーダ装置及びターゲットの方位角計測方法
CN109477892B (zh) 用于环境检测的车辆雷达
EP3196669B1 (en) Radar apparatus and method of tracking target object
US11262449B2 (en) Signal processing device and radar device
JPS6019470B2 (ja) 船舶位置検出装置
JP2008215981A (ja) Fmcw方式合成開口レーダ、偏流角検出方法、プログラムおよび記憶媒体
JP2008170386A (ja) レーダ情報処理装置
JP2007192575A (ja) 目標測位装置
JP5074718B2 (ja) 船舶用レーダ
JPH1078481A (ja) 航空機搭載用レーダ装置
JPH10206537A (ja) レーダ補助装置
JP5277693B2 (ja) レーダ装置
JP4863679B2 (ja) 位置測定装置
JP2007192573A (ja) 目標測位装置
JP3484995B2 (ja) 瞬時パッシブ距離測定装置
JPH10206535A (ja) レーダ遮蔽域支援装置
JP2002071795A (ja) 目標捕捉・追尾用レーダ装置
JP6989663B1 (ja) レーダ装置
JP5730565B2 (ja) レーダ信号処理装置およびレーダ画像処理装置
JP2896704B2 (ja) 港湾監視システム
JPH10213652A (ja) 追尾情報補間方法及び追尾情報補間装置
RU2097784C1 (ru) Способ автономной выработки информации для проводки судов в узких фарватерах и устройство для его осуществления
JPH07128082A (ja) 船舶の対岸壁位置測定装置
JPH0850172A (ja) 音波方位計測装置
JP3792596B2 (ja) 方位探知システム