JPH10204203A - ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製法 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂予備発泡粒子の製法

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JPH10204203A
JPH10204203A JP9008707A JP870797A JPH10204203A JP H10204203 A JPH10204203 A JP H10204203A JP 9008707 A JP9008707 A JP 9008707A JP 870797 A JP870797 A JP 870797A JP H10204203 A JPH10204203 A JP H10204203A
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particles
expanded particles
heating
expanded
low
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JP9008707A
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Takeshi Obayashi
毅 御林
Kenji Mogami
健二 最上
Kyoichi Nakamura
京一 中村
Shigehiko Akamatsu
成彦 赤松
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡剤として水およびチッ素含有無機ガスを
使用して、独立気泡率が高く、倍率バラツキが少ないポ
リエチレン系樹脂予備発泡粒子を製造する。 【解決手段】 無架橋ポリエチレン系樹脂(A)100
重量部およびエチレン系アイオノマー(B)0.01〜
20重量部を含有するポリエチレン系樹脂組成物(A
B)からなる樹脂粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散
させ、ついでチッ素含有無機ガスを密閉容器内に導入し
て密閉容器内の圧力を1〜30kg/cm2Gとしたの
ち、ポリエチレン系樹脂組成物(AB)の軟化温度以上
の温度に加熱し、密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中
に放出させて低倍率発泡粒子をえたのち、該低倍率発泡
粒子に発泡能を付与し、加熱体積膨張中に発泡粒子の単
位セル膜厚当たりにはたらく周応力の最大値αmaxが3
kg/cm2/μm以下で加熱体積膨張させることによ
り、予備発泡粒子にすることを特徴とするポリエチレン
系樹脂予備発泡粒子の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレン系樹
脂予備発泡粒子の製法に関する。さらに詳しくは、たと
えば型内発泡成形品の原料として好適に使用しうるポリ
エチレン系樹脂予備発泡粒子の製法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子を製造する方
法として、樹脂粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散さ
せ、さらに揮発性有機発泡剤を導入し、ついで前記樹脂
粒子をポリオレフィン系樹脂の軟化温度以上の温度に加
熱し、前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出
させて発泡させる方法がよく知られている。
【0003】また、この方法に用いられる揮発性有機発
泡剤として、たとえばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサンなどの脂肪族炭化水素や、塩化メチル、トリクロ
ロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタンなどのハ
ロゲン化炭化水素が使用されている。
【0004】しかしながら、これら揮発性有機発泡剤の
うちのあるものは毒性や可燃性を有し危険を有するもの
であり、また、あるものは大気中に放出したばあいにオ
ゾン層を破壊するなど地球環境汚染の問題を生じるもの
であり、さらにあるものは高価である。そして、これら
の欠点を克服した発泡剤として二酸化炭素を使用した製
法が提案されている(たとえば特公昭62−61227
号公報など)。
【0005】確かに、二酸化炭素は前記揮発性有機発泡
剤と比べると安価であり、かつ毒性も可燃性も有さず、
代替発泡剤としては比較的好ましいものであるが、それ
でも大気中に大量に放出したばあいには地球の温暖化を
進行させるものであり、地球環境汚染に関する課題を残
しているうえ、高圧の密閉容器中の水性媒体に容易に溶
解して酸性となるため、容器の腐食に対する対策を講じ
る必要があり、結果として設備コストが高くなるという
欠点を有している。
【0006】そこで、空気に代表されるチッ素含有無機
ガスあるいは水を発泡剤として用いる方法も提案されて
いる(たとえば特公昭49−2183号公報、特公平4
−64334号公報など)。
【0007】ところが、とくにポリエチレン系樹脂の予
備発泡粒子を製造するに際し、チッ素含有無機ガスや水
を発泡剤として使用したばあいには、樹脂粒子または樹
脂組成物粒子中に吸収させることができる量が少ない、
発泡適性条件範囲における発泡剤の蒸気圧が低い、ある
いは樹脂膜に対する透過性が大きく、発泡途中で樹脂中
から発泡剤が急速に逸散してしまうなどのために、発泡
倍率5倍程度以下の発泡倍率の低い予備発泡粒子しかえ
られていない。
【0008】そこで、こうした課題を解決するためにポ
リオレフィン系樹脂の低倍率発泡粒子を作製し、段階的
に膨張させて目標発泡倍率の予備発泡粒子をうる方法も
知られている(たとえば特公昭61−11253号公
報、特開平4−372630号公報など)。
【0009】ところが、こうした従来公知の技術のばあ
い、あるものは前述の揮発性有機発泡剤あるいは二酸化
炭素を発泡剤として用いるものであり、またあるものは
架橋した樹脂を用いるものであり、このばあいには成形
体の再利用が困難であるという欠点がある。
【0010】一方、無架橋ポリオレフィン系樹脂を用い
るばあい、たとえばポリスチレン系樹脂や架橋ポリオレ
フィン系樹脂に比べて一般に樹脂の緩和時間が短いた
め、予備発泡粒子の製造に多段発泡法を用いると、発泡
速度が遅いために体積膨張中にセル膜が破断し、結果と
してえられる予備発泡粒子の連泡率が高くなり、成形体
の機械的強度が著しく低下するなどの問題がある。
【0011】それゆえ、低倍率発泡粒子の物性および多
段発泡条件を明確に規定する必要があるが、前記低倍率
発泡粒子の物性および多段発泡条件の双方を明確に開示
し、かかる課題を解決した技術は存在しない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来技術
に鑑みてなされたものであり、空気および(または)水
といった地球環境を汚染しない発泡剤のみを使用し、発
泡倍率が高く、かつ連泡率が低いポリエチレン系樹脂予
備発泡粒子を製造することができる方法の開発が望まれ
ているという社会的要望に応えるためになされたもので
あり、無架橋ポリエチレン系樹脂(A)100部(重量
部、以下同様)およびエチレン系アイオノマー(B)
0.01〜20部を含有するポリエチレン系樹脂組成物
(AB)からなる樹脂粒子を密閉容器内で水系分散媒に
分散させ、ついでチッ素含有無機ガスを密閉容器内に導
入して密閉容器内の圧力を1〜30kg/cm2Gとし
たのち、ポリエチレン系樹脂組成物(AB)の軟化温度
以上の温度に加熱し、密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲
気中に放出させて低倍率発泡粒子をえたのち、該低倍率
発泡粒子に発泡能を付与し、加熱体積膨張中に発泡粒子
の単位セル膜厚当たりにはたらく周応力の最大値αmax
が3kg/cm2/μm以下で加熱体積膨張させること
により、予備発泡粒子にすることを特徴とするポリエチ
レン系樹脂予備発泡粒子の製法(請求項1)、およびエ
チレン系アイオノマー(B)が、エチレン−(メタ)ア
クリル酸−アクリル酸ブチル3元共重合体のアルカリ金
属塩である請求項1記載のポリエチレン系樹脂予備発泡
粒子の製法(請求項2)に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明においては、ポリエチレン
系樹脂予備発泡粒子を製造するために、無架橋ポリエチ
レン系樹脂(A)100部に対して、エチレン系アイオ
ノマー(B)0.01〜20部を含有するポリエチレン
系樹脂組成物(AB)からなる樹脂粒子が使用される。
【0014】無架橋ポリエチレン系樹脂(A)は、本発
明によるポリエチレン系樹脂予備発泡粒子のベース樹脂
として使用される成分であり、えられるポリエチレン系
樹脂予備発泡粒子から製造される成形品が緩衝材、自動
車用等工業資材、建築土木資材、通い函、物流コンテ
ナ、保温材などの用途に用いられるばあいに要求される
緩衝性、機械的強度、耐熱性、耐水性、耐油・耐薬品
性、断熱性などの特性を有する限りとくに限定はない。
一般に融点110〜130℃、さらには115〜128
℃、190℃でのMI 0.1〜30g/10分、さら
には0.5〜20g/10分の無架橋ポリエチレン系樹
脂が使用される。
【0015】なお、無架橋ポリエチレン系樹脂(A)を
使用するため、たとえば架橋ポリエチレン系樹脂を使用
するばあいと比較して、成形体の再利用性が高い。
【0016】無架橋ポリエチレン系樹脂(A)の例とし
ては、たとえば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンな
どのエチレン単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などがあ
げられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。
【0017】これらの無架橋ポリエチレン系樹脂(A)
のなかでは、密度0.915〜0.935g/cm3
中密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレン
が、発泡性が良好である点から好ましい。
【0018】エチレン系アイオノマー(B)は、ポリエ
チレン系樹脂組成物(AB)の吸水性を改善し、とくに
低倍率発泡粒子を製造する際の発泡性を改善するために
使用される成分である。
【0019】前記エチレン系アイオノマーとしては、一
般にエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ
金属塩(エチレン単位70〜99%、さらには80〜9
7%と(メタ)アクリル酸単位1〜30%、さらには3
〜20%との共重合体のカルボキシル基の20〜80
%、さらには25〜70%をNaイオン、Kイオンなど
のアルカリ金属イオンで塩にし、分子間をイオン架橋さ
せたもの)、エチレン−(メタ)アクリル酸−アクリル
酸ブチル3元共重合体のアルカリ金属塩または亜鉛塩
(エチレン単位70〜99%、さらには80〜97%、
(メタ)アクリル酸単位0.5〜29.5%、さらには
0.5〜20%、アクリル酸ブチル0.5〜29.5%
との共重合体のカルボキシル基の20〜80%、さらに
は25〜70%をNaイオン、Kイオンなどのアルカリ
金属イオンまたは亜鉛イオンで塩にし、分子間をイオン
架橋させたもの)があげられる。エチレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体のアルカリ金属塩の具体例としては、
三井・デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン17
07などがあげられる。また、エチレン−(メタ)アク
リル酸−アクリル酸ブチル3元共重合体のアルカリ金属
塩または亜鉛塩の具体例としては、三井・デュポンポリ
ケミカル(株)製のハイミラン1856などがあげられ
る。これらのうちでもエチレン−(メタ)アクリル酸−
アクリル酸ブチル3元共重合体のアルカリ金属塩が、加
熱体積膨張中の発泡性がとくに良好になる点から好まし
い。
【0020】エチレン系アイオノマー(B)の含有量
は、エチレン系アイオノマーの種類および目的とする予
備発泡粒子の物性から決定されるが、本発明において
は、無架橋ポリエチレン系樹脂(A)100部に対して
0.01〜20部、好ましくは0.01〜15部であ
る。前記含有量が0.01部未満のばあい、ポリエチレ
ン系樹脂組成物の吸水性が不足し、発泡剤としての水を
充分にポリエチレン系樹脂組成物中に吸収させることが
できず、とくに低倍率発泡粒子を製造する際の発泡性が
わるくなるため好ましくなく、また20部をこえるばあ
い、原料コストが高くなるうえに吸水性が向上するのと
比較して発泡性改善効果が小さくなるため好ましくな
い。
【0021】なお、本発明においては、無架橋ポリエチ
レン系樹脂(A)およびエチレン系アイオノマー(B)
を含有するポリエチレン系樹脂組成物(AB)には、充
填剤を含有せしめるのが好ましい。このようにポリエチ
レン系樹脂組成物(AB)に充填剤を含有せしめたばあ
いには、気泡が均一な予備発泡粒子をえやすいという利
点がある。とくに低倍率発泡粒子の発泡倍率および平均
セル径に影響を及ぼし、これらの物性を通じて単位セル
膜厚当たりにはたらく周応力の値に関与する。このこと
については後述する。
【0022】前記充填剤の平均粒子径としては、均一な
気泡を有する予備発泡粒子をつくり、該予備発泡粒子か
ら機械的強度や柔軟性などのすぐれた成形体をうるため
に、50μm以下、なかんずく20μm以下であるのが
好ましい。
【0023】前記充填剤は無機充填剤と有機充填剤とに
大別される。
【0024】前記無機充填剤の具体例としては、たとえ
ばタルク、カオリン、クレー、マイカ、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウムなどがあげられる。これらの無機
充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても
よい。これらの無機充填剤のなかでは、タルクが、比較
的安価であるうえに、気泡が均一な予備発泡粒子がえら
れやすい点からとくに好ましい。
【0025】前記有機充填剤としては、無架橋ポリエチ
レン系樹脂(A)の軟化温度以上の温度で固体形状のも
のであれば一般に使用されているものをとくに制限なく
使用しうる。
【0026】前記有機充填剤の具体例としては、たとえ
ばフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、熱可塑性ポリ
エステル樹脂粉末などがあげられる。これらの有機充填
剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0027】前記充填剤の通常の使用量は、無架橋ポリ
エチレン系樹脂(A)100部に対して0.001部以
上、なかんずく0.005部以上であり、また予備発泡
粒子を成形する際に、すぐれた融着性を発現させ、該予
備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれた成形
体をうるためには、無架橋ポリエチレン系樹脂(A)1
00部に対して12部以下、なかんずく6部以下であ
る。
【0028】無架橋ポリエチレン系樹脂(A)およびエ
チレン系アイオノマー(B)、および必要により加えら
れる充填剤などを含有したポリエチレン系樹脂組成物
は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロ
ールなどを用いて溶融混練し、ついで円柱状、だ円柱
状、球状、立方体状、直方体状など予備発泡に利用しや
すい所望の粒子形状(通常、円柱状またはだ円柱状で
0.5〜10mg/粒)に成形するのが好ましい。
【0029】本発明においては、前記のごときポリエチ
レン系樹脂組成物(AB)からなる樹脂粒子を密閉容器
内で水系分散媒に分散させ、ついでチッ素含有無機ガス
を密閉容器内に導入して密閉容器内の圧力を1〜30k
g/cm2Gとしたのち、ポリエチレン系樹脂組成物
(AB)の軟化温度以上の温度に加熱し、密閉容器の内
圧よりも低圧の雰囲気中に放出させて低倍率発泡粒子が
製造される。
【0030】このように、ポリエチレン系樹脂組成物
(AB)からなる樹脂粒子を密閉容器内で水系分散媒に
分散させ、加熱を開始するまでの間にチッ素含有無機ガ
スを密閉容器内に導入して1〜30kg/cm2Gにす
るため、加熱時間中に樹脂粒子に水系分散媒以外にチッ
素含有無機ガスをも吸収させることができる。この結
果、吸収された2種の発泡剤によって、えられる低倍率
発泡粒子の発泡倍率が加熱時間中の圧力が高ければ大き
く、低ければ小さくなるようにコントロールされる。
【0031】前記チッ素含有無機ガス導入後の密閉容器
内の圧力は、放出時の密閉容器内外の圧力差により決定
されるが、前述のごとく1〜30kg/cm2G、好ま
しくは1〜25kg/cm2Gである。前記密閉容器内
の圧力が1kg/cm2Gより低いばあいには、発泡時
までに樹脂粒子に吸収されるチッ素含有無機ガスの量が
少なすぎ、30kg/cm2Gをこえるばあいには、加
熱後の密閉容器内圧が高くなりすぎ、容器に過剰な負担
がかかるうえ、発泡性の改善効果(好ましい予備発泡粒
子の特性および加熱体積膨張条件において、αmaxを小
さくするような低倍率発泡粒子の特性をえる)が小さく
なるため好ましくない。また、えられる低倍率発泡粒子
の発泡倍率のコントロールのために、放出の直前にチッ
素含有無機ガスにより放出圧力を微調整するのが好まし
い。放出は、一般に、ポリエチレン系樹脂組成物(A
B)の軟化温度以上、融点+20℃以下、さらには軟化
温度+10℃以上、融点+20℃以下で行なわれ、密閉
容器内外の圧力差は一般に5〜50kg/cm2、さら
には10〜45kg/cm2程度で行なわれる。なお、
本発明でいう軟化温度はASTM D 1525による
値であり、また、融点はDSCによって10℃/分で測
定したばあいの融解ピークの頂点の温度をいう。
【0032】また、樹脂粒子を水系媒体およびチッ素含
有無機ガスとともに密閉容器から放出する過程において
は、放出による密閉容器内の気相の体積分率の増大とと
もに密閉容器内圧力が低下し、えられる低倍率発泡粒子
の発泡倍率に分布が生じるため、放出中、チッ素含有無
機ガスなどを導入することによりこの圧力低下分に相当
する圧力を補充し、放出中の圧力低下を防止し、もって
低倍率発泡粒子の発泡倍率分布のシャープ化をはかるの
が好ましい。
【0033】本発明においては、前記のごとく密閉容器
内で樹脂粒子を水系分散媒に分散させるが、このとき、
分散剤として、第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグ
ネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウムなどや、少
量の界面活性剤、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸
ソーダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフ
ィンスルホン酸ソーダなどが使用されうる。
【0034】前記分散剤の使用量としては、ポリエチレ
ン系樹脂組成物(AB)100部に対して0.1〜10
部が好ましい。また、前記界面活性剤の使用量として
は、ポリエチレン系樹脂組成物(AB)100部に対し
て0.001〜2.0部が好ましい。
【0035】前記水系分散媒の代表例として水があげら
れるが、地球環境に影響を与えない範囲(水に対して2
5%以下の範囲)において、前記水に必要により、アセ
トン、エチレングリコール、エチルアルコール、t−ブ
チルアルコール、グリセリンなどを含有させてもよい。
【0036】水系分散媒に分散させる樹脂粒子の量は、
水系分散媒100部に対して5〜85部が好ましい。
【0037】前記チッ素含有無機ガスとは、チッ素、空
気および地球環境を汚染しない範囲でチッ素に対し各種
無機ガスを混合したものであり、原料コストおよび地球
環境汚染の点から、チッ素または空気が好適に用いられ
る。
【0038】本発明においては、以上によりえられた通
常2〜8倍、好ましくは2〜5倍に発泡し平均セル径2
5〜1000μm、好ましくは25〜700μmの低倍
率発泡粒子に発泡能を付与し、加熱体積膨脹中に発泡粒
子の単位セル膜厚当たりにはたらく周応力の最大値α
maxが3kg/cm2/μm以下で加熱体積膨張させるこ
とにより、予備発泡粒子が製造される。
【0039】前記発泡能の付与とは、加熱により低倍率
発泡粒子が体積膨張を生じやすいように前もって内圧を
高めることをいい、具体的には低倍率発泡粒子を耐圧容
器中でチッ素含有無機ガスなどで1〜30kg/cm2
G、さらには1〜20kg/cm2Gの圧力で加圧し、
低倍率発泡粒子の内圧を1〜20kg/cm2G、さら
には1〜15kg/cm2G程度まで高めることをい
う。加圧は室温雰囲気で行なってもよいが、ポリエチレ
ン系樹脂組成物(AB)の結晶特性に影響を与えない範
囲の加熱雰囲気下(通常、ポリエチレン系樹脂組成物
(AB)の軟化温度以下)で行なってもよい。このばあ
い低倍率発泡粒子の内圧が平衡圧力に速く到達する。
【0040】前記加熱の方法については、とくに限定は
なく、たとえば水蒸気加熱・温風加熱・赤外線加熱・超
音波加熱などの従来公知の方法があげられる。これらの
うち、設備コストおよび加熱効率などの点から、水蒸気
加熱が好ましい。
【0041】前記加熱は、αmaxを3kg/cm2/μm
以下とし、加熱体積膨張中の連泡を抑制あるいは防止し
ながら、所望とする予備発泡粒子の発泡倍率がえられる
べく適宜調整されるが、通常、ポリエチレン系樹脂組成
物(AB)の軟化温度以上、融点以下の温度で行なわれ
る。加熱温度が軟化温度未満のばあいには、低倍率発泡
粒子が膨張せず、また融点をこえて加熱したばあいに
は、αmaxが3kg/cm2/μmをこえ予備発泡粒子の
連泡率が高くなったり、あるいは予備発泡粒子表面が溶
融し予備発泡粒子同士が相互融着してしまうため好まし
くない。
【0042】前記加熱体積膨張による予備発泡粒子化
は、前記αmaxが3kg/cm2/μm以下である限り何
回行なってもよいが、後述のように一般的には加熱体積
膨張を何度も繰り返したばあいには、αmaxを3kg/
cm2/μm以下とすることが困難になる。αmaxが3k
g/cm2/μmをこえると加熱体積膨張中に発泡粒子
のセル膜にはたらく応力が破断応力以上になりやすく、
予備発泡粒子の連泡率が高くなる。
【0043】このようにしてえられるポリエチレン系樹
脂予備発泡粒子は、発泡倍率が3〜50倍、さらには3
〜30倍、連泡率が20%以下、さらには15%以下、
平均セル径が28〜1500μm、さらには28〜11
00μmを有する。
【0044】なお、低倍率発泡粒子のセル径と予備発泡
粒子のセル径との関係は、大略、予備発泡粒子のセル径
が、予備発泡粒子/低倍率発泡粒子の発泡倍率の比の1
/3乗×低倍率発泡粒子のセル径となるので、たとえば
発泡倍率5倍の低倍率発泡粒子が加熱により体積が4倍
となり、発泡倍率20倍の予備発泡粒子になったばあ
い、予備発泡粒子のセル径は4の1/3乗の1.59倍
×低倍率発泡粒子のセル径となる。したがって、低倍率
発泡粒子の発泡倍率の範囲が2〜8倍で、セル径の範囲
が25〜1000μmのばあい、予備発泡粒子の発泡倍
率3〜50倍のばあいのセル径の範囲は28〜1500
μmとなる。
【0045】つぎに、前記単位セル膜厚さ当たりにはた
らく周応力の最大値αmaxについて説明する。
【0046】加熱による体積膨張は、ポリスチレン系樹
脂予備発泡粒子または架橋ポリオレフィン系樹脂予備発
泡粒子の製法として広く用いられているが、無架橋ポリ
オレフィン系樹脂、とくに無架橋ポリエチレン系樹脂予
備発泡粒子の製法として用いるばあいには、一般にポリ
スチレン系樹脂や架橋ポリオレフィン系樹脂と比べてセ
ル膜強度が弱く、加熱体積膨張中にセルを構成するセル
膜が引張変形により破断しやすいため、予備発泡粒子の
連泡率が高くなり、その結果、えられる成形体の機械的
強度が低下しやすい。したがって、加熱体積膨張に供す
る低倍率発泡粒子の物性、発泡能の付与の程度、加熱の
程度などを適切にコントロールすることが必要である。
【0047】しかし、従来公知の技術では、これらの因
子のうちいくつかの因子を固定して、あるものは予備発
泡粒子の物性について、またあるものは加熱の程度につ
いてのみ、それぞれ別個に独立して検討を行ない、その
結果の条件開示をしているにすぎない。
【0048】本発明では、こうした加熱体積膨張中にお
けるセル膜破断を抑制するための全因子を加味した新し
い理論を構築し、これを無架橋ポリエチレン系樹脂
(A)とエチレン系アイオノマー(B)とからなるポリ
エチレン系樹脂組成物(AB)からの予備発泡粒子の製
造に役立て、空気および(または)水といった地球環境
を汚染しない発泡剤のみを使用し、発泡倍率が高く、か
つ連泡率の低い予備発泡粒子を製造しうるようにしたも
のである。
【0049】(αmaxの算出)発泡体のセルは厳密には
球ではないが、通常はこれを球とみなし、セルの大きさ
を平均セル径で示す。発泡体のセルがすべて球であると
みなしたばあい、式:
【0050】
【数1】
【0051】(式中、Vsは樹脂(組成物)の体積分
率、ρf、ρg、ρsはそれぞれ発泡体、セル内ガス、
樹脂の密度、dはセルである球の直径、tはセル膜厚)
が成り立つ(「プラスチックフォームハンドブック」日
刊工業新聞社、昭和48年2月28日初版、222
頁)。
【0052】式において、Vs≒ρf/ρsとする
と、セル膜厚tは、式:
【0053】
【数2】
【0054】(式中、Kは発泡倍率(=ρs/ρf≒1
/Vs)、dは前記と同じ)で表わされる。
【0055】また、内圧を受ける薄肉球殻にかかる周応
力の膜厚平均値σmは、式:
【0056】
【数3】
【0057】(式中、Pはセル内圧力(ゲージ)、d、
tは前記と同じ)で与えられる(高圧ガス保安協会編、
「甲種化学機械製造保安責任者講習テキスト 高圧ガス
保安技術」平成6年4月8日 改訂版3刷、140
頁)。したがって、式、式から、σmは式:
【0058】
【数4】
【0059】で表わされる。また、2段発泡中、セル内
ガスの逸散がないとすると式: K(P+1)=const. が成り立つ。
【0060】また、加熱による体積膨張初期の加熱温度
の立ち上がりはステップ状であるとし、加熱開始と同時
に発泡粒子内の温度は所望とする温度になるとすると、
加熱による体積膨張開始時の発泡粒子内圧(ゲージ)P
inは式:
【0061】
【数5】
【0062】(式中、P0は発泡能付与後加熱開始直前
における発泡粒子内圧(室温;ゲージ)、Tsは加熱温
度(℃)、Trは室温(℃))で表わされる。
【0063】式によりPinが求められ、そののち発泡
粒子の体積膨張とともに発泡倍率Kが増大すると、式
からその時点での発泡粒子内圧P、式からσmがそれ
ぞれ求められ、加熱前の低倍率発泡粒子のセル径と体積
膨張比の1/3乗の積からセル径、さらに式からtが
求められる。
【0064】ここで、単位セル膜厚あたりにはたらく周
応力αを式のように定義する。
【0065】α=σm/t αは前述の手順によって、加熱体積膨張中の任意の時
間、発泡倍率について求めることができ、下記実施例の
ように各種パラメータを適切に設定し、αをKに対して
プロットしたばあい、ある特定の発泡倍率において極大
となり、そののち減少するという挙動を示す。このαの
極大値をαmとする。したがって、とくに良好な体積膨
張性を有する状態ではαmax=αmであるが、Kの増大に
伴ってαが極大となる前に体積膨張が停止してしまうば
あいもありうる。このばあいには、体積膨張が停止した
(最終的にえられた)発泡粒子(予備発泡粒子)の発泡
倍率における計算値αをもってαmaxとする。
【0066】以上により算出されたαmaxとえられた予
備発泡粒子の連泡率との関係について整理したところ、
驚くべきことにこの両者の間に明確な正の相関関係があ
ることが見出された。すなわち、加熱体積膨張中に単位
セル膜厚当たりにはたらく周応力の最大値が大きいほ
ど、加熱体積膨張中のセル膜の破断を生じる部位が多く
なり、えられる予備発泡粒子の連泡率が高くなることが
明らかとなった。αmaxは、低倍率発泡粒子物性として
発泡倍率およびセル径;実験環境として室温;発泡能付
与の程度として加熱直前の低倍率発泡粒子内圧;加熱条
件として加熱温度がそれぞれ与えられたばあいに初めて
算出することが可能である。すなわち、以上の全因子が
適切に設定されたばあいに初めて、えられる予備発泡粒
子の独立気泡構造が保たれることが理論的に明確になっ
た。
【0067】そして、無架橋ポリエチレン系樹脂(A)
およびエチレン系アイオノマー(B)からなるポリエチ
レン系樹脂組成物(AB)からなる発泡粒子について、
圧力の単位をkg/cm2、セル径・セル膜厚の単位を
μmとしてσm(kg/cm2)、t(μm)を算出し、
式によりαを求め、前述の手順にしたがってαmax
連泡率の関係をグラフにプロットした結果(図1)、予
備発泡粒子の連泡率を20%以下とし、成形後の機械的
強度の低下を防止するためには、αmaxを3kg/cm2
/μm以下とする必要があることが見出されたのであ
る。
【0068】以上述べたとおり、αmaxは加熱体積膨張
に関連する多くの因子により決定されるため、たとえば
これに好適な低倍率発泡粒子の発泡倍率・セル径のみを
他の条件から独立して決定することはできないが、本発
明の製法をさらに明確にするため、加熱直前の低倍率発
泡粒子の内圧5atm(abs)、加熱体積膨張を0.
8kg/cm2Gの水蒸気(≒116℃)を用いて行な
ったばあいに、αmaxが3kg/cm2/μmとなる低倍
率発泡粒子の発泡倍率とセル径との関係を、室温を5℃
と30℃とにしたばあいについて求めた結果を図2に示
す。
【0069】図2には、低倍率発泡粒子の発泡倍率、セ
ル径を様々に変化させ、上述の手順にしたがって求めた
αmax=3となる発泡倍率・セル径の関係の回帰曲線を
示した。いずれの曲線についても、n=6の相関係数は
0.99以上であり、αmax=3となる臨界セル径は、
5℃のばあいは発泡倍率の2.14乗、30℃のばあい
は2.13乗にそれぞれ比例する。
【0070】本発明において、加熱体積膨張性が良好
で、予備発泡粒子の連泡率の低い範囲は、図2に示す曲
線の左上側となる。このように、本発明によって初め
て、加熱体積膨張性が良好な低倍率発泡粒子の物性の範
囲が定量的に規定される。また、室温の変化により、発
泡倍率5倍の低倍率発泡粒子を加熱体積膨張させるばあ
い、冬期(室温5℃)ではセル径は約240μm以上必
要となるのに対し、夏期(室温30℃)ではセル径は約
206μm以上でよいことがわかる。このように、加熱
体積膨張性の季節差についても説明することができる。
【0071】また、加熱体積膨張を数回にわたって繰り
返し実施するばあいには、第1回目の加熱体積膨張によ
り、セルの破泡合一が生じず、セル数が変化しないとす
ると、加熱体積膨張前後のセル径は、体積膨張比の1/
3乗にほぼ比例する。図2に示したとおり、本発明にお
いて開示される技術では、好適に使用される範囲の下限
曲線は発泡倍率の約2.1乗に比例しているため、第1
回目の加熱体積膨張前では本発明において好適に使用さ
れる物性の範囲内にある予備発泡粒子でも、加熱体積膨
張後には再度の加熱体積膨張には適さなくなることがあ
る。たとえば図2のプロット作成の際用いた条件下にお
いて、発泡倍率3倍、セル径100μmで充分本発明の
範囲内にある低倍率発泡粒子を加熱体積膨張し、連泡せ
ずに体積が2倍となったとすると、発泡倍率6倍、セル
径126μmとなり、再度の加熱体積膨張には適さなく
なるようなばあいである。
【0072】
【実施例】つぎに本発明の製法を実施例および比較例に
基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定
されるものではない。
【0073】また、以下の実施例において、えられた低
倍率発泡粒子、予備発泡粒子の物性として、発泡倍率、
平均セル径、連泡率および発泡粒子の内圧はそれぞれ下
記方法により求めた。
【0074】(発泡倍率)発泡粒子3〜10g程度をと
り、重量w(g)を精秤後、100mlのメスシリンダ
ー中のエタノール液に浸漬し、浸漬前後のメニスカスか
ら体積v(ml)を測定し、発泡粒子の真比重ρb=w
/vを求め、原料樹脂組成物の密度ρrとの比より、発
泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
【0075】(平均セル径)えられた発泡粒子から任意
に30個の発泡粒子を取り出し、ASTM D 357
6に準拠してセル径を測定し、平均セル径dを算出し
た。
【0076】(連泡率)空気比較式比重計(ベックマン
(BECKMAN)社製、930型)を用いて、えられ
た予備発泡粒子の独立気泡体積を求め、別途水没法によ
り求めたみかけの体積からかかる独立気泡体積を差し引
いたのち、見かけの体積で除することによって算出し
た。
【0077】(発泡粒子の内圧)発泡能の付与された発
泡粒子20〜30gを精秤し(W1(g))、アルミカ
ップに入れ、密封されないが発泡粒子がこぼれないよう
な状態とし、温度150℃の乾燥機中に30分間放置し
た。そののち30分間デシケータ中で乾燥し、再度アル
ミカップ内の発泡粒子重量を精秤し(W2(g))乾燥
前後の重量変化量ΔW=W1−W2(g)を測定した。発
泡粒子の内圧Pbは式:
【0078】
【数6】
【0079】(式中、Mgは発泡能付与に使用した気体
の分子量(空気のばあい28.8)、Trは室温
(℃)、ρは発泡粒子密度(g/L)である)から求め
た。
【0080】実施例1 直鎖状低密度ポリエチレン(三井石油化学工業(株)製
のウルトゼックス3021F、密度0.930g/cm
3、融点122℃、MI 2.1g/10分、軟化温度
112℃)100部にエチレン系アイオノマー(三井・
デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1707、
エチレン−メタクリル酸共重合体のナトリウム塩(エチ
レン単位約95%、メタクリル酸単位約5%、カルボキ
シル基のナトリウム塩置換度(=中和度)約60%))
5.3部をドライブレンドしたのち無機充填剤としてタ
ルク(林化成(株)製のTALCAN POWDER
PKZ、平均粒子径10μm)0.12部とともに混合
用単軸押出機(φ50)に供給し、直径2φの円筒ダイ
より押し出し、えられた円筒状ストランドを水冷後カッ
ティングし、円柱状のポリエチレン系樹脂組成物ペレッ
ト(5mg/粒、軟化温度112℃、融点122℃)を
製造した。
【0081】つぎに、えられたペレット100部を、水
1000部、第三リン酸カルシウム4.0部およびn−
パラフィンスルホン酸ソーダ0.8部とともに耐圧密閉
容器(内容積10L)に投入し、室温でチッ素ガスを用
いて15kg/cm2Gまで加圧した。そののち125
℃まで加熱したところ、密閉容器内圧は約20kg/c
2Gとなった。これにさらにチッ素ガスを加えて密閉
容器内圧を35kg/cm2Gとしたのち、直径4φ×
5Lの円形オリフィスを通じて常圧雰囲気中に放出し、
低倍率発泡粒子をえた。放出中、容器内圧の低下が生じ
ないように、チッ素ガスを適宜導入し、圧力を保持し
た。えられた低倍率発泡粒子は発泡倍率2.3倍、平均
セル径131μmの独立気泡構造を有するものであっ
た。
【0082】つぎに、えられた低倍率発泡粒子を別の耐
圧密閉容器中に移し、60℃の温度雰囲気下、空気で8
kg/cm2Gまで加圧し、3時間放置し、低倍率発泡
粒子に発泡能を付与した。約1時間冷却後圧力を解放
し、室温(34℃)・常圧下で放置し、該発泡粒子の内
圧が5気圧(abs)となる時間後(約3分後)さらに
別の耐圧容器に供給し、密閉後水蒸気(0.8kg/c
2G(≒116℃))を約30秒導入し、加熱体積膨
脹させた。えられた予備発泡粒子は、加熱体積膨脹終了
後収縮したため、室温・8kg/cm2で約18時間さ
らに耐圧容器中で空気加圧し、発泡粒子表面のシワがな
くなった状態にしたのち、常圧下で放置し、粒子内圧が
安定した状態で、発泡倍率、平均セル径および連泡率を
測定した。その結果、えられた予備発泡粒子は、発泡倍
率3.8倍、平均セル径147μm、連泡率4.5%の
均一なセル構造を有する良好な予備発泡粒子であった。
また、以上の条件について、単位セル膜厚当たりにはた
らく周応力の最大値αmaxを計算により求めた結果、α
maxは0.63kg/cm2/μmであった。
【0083】実施例2 エチレン系アイオノマーを三井・デュポンポリケミカル
(株)製のハイミラン1856(エチレン−メタクリル
酸−アクリル酸ブチル3元共重合体のナトリウム塩(エ
チレン単位約92%、メタクリル酸単位約4%(中和度
約50%)、アクリル酸ブチル単位約4%))とした以
外は実施例1と同様にして、低倍率発泡粒子および予備
発泡粒子をそれぞれえた。なお、ポリエチレン系樹脂組
成物の軟化温度は110℃、融点は122℃であった。
えられた低倍率発泡粒子は発泡倍率2.5倍、平均セル
径117μm、予備発泡粒子は発泡倍率9.0倍、平均
セル径198μm、連泡率4.8%であり、計算により
求めたαmaxは1.11kg/cm2/μmであった。
【0084】実施例3 無架橋ポリエチレン系樹脂を別の直鎖状低密度ポリエチ
レン(三井石油化学工業(株)製のウルトゼックス20
22L、密度0.920g/cm3、融点120℃、M
I 2.1g/10分、軟化温度102℃)とし、1回
目の発泡における圧力解放時の密閉容器内の無架橋ポリ
エチレン系樹脂組成物と水の混合物の温度を124℃と
した以外は実施例1と同様にして、低倍率発泡粒子およ
び予備発泡粒子をそれぞれえた。なお、ポリエチレン系
樹脂組成物の軟化温度は102℃、融点は120℃であ
った。えられた低倍率発泡粒子は発泡倍率3.8倍、平
均セル径145μm、予備発泡粒子は発泡倍率7.8
倍、平均セル径161μm、連泡率11.7%であり、
計算により求めたαmaxは2.09kg/cm2/μmで
あった。
【0085】実施例4 エチレン系アイオノマーをハイミラン1856とした以
外は、実施例3と同様にして、低倍率発泡粒子および予
備発泡粒子をそれぞれえた。なお、ポリエチレン系樹脂
組成物の軟化温度は98℃、融点は120℃であった。
えられた低倍率発泡粒子は発泡倍率3.5倍、平均セル
径114μmの独立気泡構造を有する発泡粒子であり、
予備発泡粒子は発泡倍率16.9倍、平均セル径282
μm、連泡率12.6%であり、計算により求めたα
maxは2.43kg/cm2/μmであった。
【0086】実施例5 エチレン系アイオノマーであるハイミラン1856の添
加量を0.5部とし、タルクの添加量を0.01部と
し、初期に密閉容器内に導入するチッ素ガスの圧力を2
3kg/cm2とした以外は、実施例4と同様にして低
倍率発泡粒子および予備発泡粒子をそれぞれえた。な
お、ポリエチレン系樹脂組成物の軟化温度は101℃、
融点は120℃であった。えられた低倍率発泡粒子は発
泡倍率3.6倍、平均セル径128μmの独立気泡構造
を有する発泡粒子であり、予備発泡粒子は発泡倍率2
2.1倍、平均セル径242μm、連泡率9.8%であ
り、計算により求めたαmaxは2.40kg/cm2/μ
mであった。
【0087】実施例6 エチレン系アイオノマーであるハイミラン1707の添
加量を11.1部とした以外は実施例1と同様にして低
倍率発泡粒子および予備発泡粒子をそれぞれえた。な
お、ポリエチレン系樹脂組成物の軟化温度は112℃、
融点は122℃であった。えられた低倍率発泡粒子は発
泡倍率2.5倍、平均セル径139μmの独立気泡構造
を有する発泡粒子であり、予備発泡粒子は発泡倍率5.
3倍、平均セル径200μm、連泡率9.2%であり、
計算により求めたαmaxは0.91kg/cm2/μmで
あった。
【0088】比較例1 エチレン系アイオノマーを含有しない無架橋ポリエチレ
ン系樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして低倍率発
泡粒子を作製しようとしたが、えられた低倍率発泡粒子
は発泡倍率1.2倍であり、セル径分布、倍率バラツキ
ともに大きく、未発泡粒子をも含むような、ほとんど発
泡粒子とよべるものにはならなかった。
【0089】比較例2 無機充填剤であるタルクの含有量を無架橋ポリエチレン
系樹脂100部に対して0.53部加えた以外は実施例
4と同様にして低倍率発泡粒子および予備発泡粒子をそ
れぞれえた。なお、ポリエチレン系樹脂組成物の軟化温
度は98℃、融点は120℃であった。えられた低倍率
発泡粒子は発泡倍率4.5倍、平均セル径95μm、予
備発泡粒子は発泡倍率14.3倍、平均セル径177μ
mであったが、連泡率28.9%であり、独立気泡構造
を有するとはいえないものであった。計算により求めた
αmaxは5.01kg/cm2/μmであった。
【0090】比較例3 実施例3でえられた予備発泡粒子に対し、再度同一条件
で発泡能の付与および加熱体積膨脹を行ない、さらに予
備発泡粒子をえた。えられた発泡粒子は、発泡倍率1
4.1倍、平均セル径235μmであったが、連泡率は
36.6%であり、独立気泡構造を有するとはいえない
ものであった。計算により求めたαmaxは8.36kg
/cm2/μmであった。
【0091】比較例4 実施例4でえられた低倍率発泡粒子を用い、発泡能の付
与圧力12kg/cm2Gとし、発泡粒子の内圧を7.
5気圧(abs)としたのち加熱体積膨脹に1.2kg
/cm2Gの水蒸気(≒123℃)を用いて予備発泡粒
子をえた。えられた予備発泡粒子は、発泡倍率22.5
倍、平均セル径364μmであったが、連泡率は30.
8%であり、独立気泡構造を有するとはいえないもので
あった。計算により求めたαmaxは5.74kg/cm2
/μmであった。
【0092】比較例5 タルクの添加量を0.12部にした以外は、実施例5と
同様にして低倍率発泡粒子および予備発泡粒子をそれぞ
れえた。なお、ポリエチレン系樹脂組成物の軟化温度は
101℃、融点は120℃であった。えられた低倍率予
備発泡粒子は発泡倍率4.2倍、平均セル径104μ
m、予備発泡粒子は発泡倍率25.9倍、平均セル径2
04μmであったが、連泡率は24.6%であり、独立
気泡構造を有するとはいえないものであった。計算によ
り求めたαmaxは3.93kg/cm2/μmであった。
【0093】結果をあわせて表1および表2に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】図1に、実施例1〜6および比較例2〜4
でえられた予備発泡粒子の連泡率と計算により求めたα
maxとの関係を示す。αmaxと予備発泡粒子の連泡率の間
には強い正の相関関係があり、連泡率20%以下の独立
気泡構造を有する予備発泡粒子をうるためには、αmax
を3kg/cm2/μm以下とする必要があることがわ
かる。
【0097】
【発明の効果】従来のブタンなどの脂肪族炭化水素やハ
ロゲン化炭化水素などの揮発性有機発泡剤および二酸化
炭素などの発泡剤を使用せずとも、独立気泡率が高く、
倍率バラツキが少ないポリエチレン系樹脂予備発泡粒子
を製造することができる。また、ブタンなどの可燃性ガ
スを使用しないので、火災・爆発の危険がなく、フロン
などのハロゲン化炭化水素を使用しないので、オゾン層
破壊や毒性の心配がなく、二酸化炭素などを使用しない
ので地球温暖化などの地球環境の破壊の惧れがない。さ
らに、前記発泡剤と異なり、空気などのチッ素含有無機
ガスおよび水だけで無架橋ポリエチレン系樹脂を高倍率
に発泡させることができるので、設備費・変動費などを
大幅に削減させることができ、経済性の面でも有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜6および比較例2〜4でえられた予
備発泡粒子の連泡率とαmaxとの関係を示すグラフであ
る。
【図2】加熱体積膨張に適した、低倍率発泡粒子の物性
範囲の一例を示すグラフである(図中の曲線は臨界線で
あり、曲線の左上が適性範囲である)。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無架橋ポリエチレン系樹脂(A)100
    重量部およびエチレン系アイオノマー(B)0.01〜
    20重量部を含有するポリエチレン系樹脂組成物(A
    B)からなる樹脂粒子を密閉容器内で水系分散媒に分散
    させ、ついでチッ素含有無機ガスを密閉容器内に導入し
    て密閉容器内の圧力を1〜30kg/cm2Gとしたの
    ち、ポリエチレン系樹脂組成物(AB)の軟化温度以上
    の温度に加熱し、密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中
    に放出させて低倍率発泡粒子をえたのち、該低倍率発泡
    粒子に発泡能を付与し、加熱体積膨張中に発泡粒子の単
    位セル膜厚当たりにはたらく周応力の最大値αmaxが3
    kg/cm2/μm以下で加熱体積膨張させることによ
    り、予備発泡粒子にすることを特徴とするポリエチレン
    系樹脂予備発泡粒子の製法。
  2. 【請求項2】 エチレン系アイオノマー(B)が、エチ
    レン−(メタ)アクリル酸−アクリル酸ブチル3元共重
    合体のアルカリ金属塩である請求項1記載のポリエチレ
    ン系樹脂予備発泡粒子の製法。
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