JPH10194929A - 化粧料用抗菌性顔料、前記顔料の製造方法及び前記顔料を含有する化粧料組成物 - Google Patents

化粧料用抗菌性顔料、前記顔料の製造方法及び前記顔料を含有する化粧料組成物

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JPH10194929A
JPH10194929A JP9015843A JP1584397A JPH10194929A JP H10194929 A JPH10194929 A JP H10194929A JP 9015843 A JP9015843 A JP 9015843A JP 1584397 A JP1584397 A JP 1584397A JP H10194929 A JPH10194929 A JP H10194929A
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Masaaki Horino
政章 堀野
Yoshikazu Nishizawa
美和 西澤
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Miyoshi Kasei Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人体に対して悪影響がなく、使用量の制限を受
けることがなく、化粧料に配合した場合でも化粧料のp
H、化粧料の各種共存成分等により抗菌力を損なうこと
がなく、化粧料を変質させることもなく、使用感が良好
な化粧料用抗菌性顔料及び抗菌性化粧料組成物等を提供
する。 【解決手段】酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子
を含有する化粧料用抗菌性粉体顔料、前記抗菌性焼成粒
子と化粧料用粉体粒子が固着して成る抗菌性複合粉体粒
子を含有する化粧料用抗菌性複合粉体顔料及び、前記顔
料のうちの1種以上を含有する抗菌性化粧料組成物等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧料用抗菌性顔
料(化粧料用抗菌性粉体顔料と化粧料用抗菌性複合粉体
顔料)、これらの顔料の製造方法及び、前記顔料のうち
の1種以上を含有する抗菌性化粧料組成物に関する。
【0002】より詳細には、水酸化マグネシウム及び酸
化マグネシウムのうちの1種以上から成る抗菌性粒子を
高温で焼成することにより、吸湿性を防止し、経時安定
性が高く、化学的にも安定な抗菌性を有する、酸化マグ
ネシウムから成る抗菌性焼成粒子を含有する化粧料用抗
菌性顔料、前記化粧料用抗菌性顔料の製造方法及び前記
化粧料用抗菌性顔料を配合してなる化粧料組成物に関す
るものである。
【0003】
【従来の技術】微生物は酒類や醗酵食品の生産を姶めと
して、各種の生理活性物質や抗生物質、環境浄化等の分
野や様々な分野で利用されており、化粧品分野でもその
有効利用が図られている。一方、微生物のもつこの様々
な能力が、逆に我々にとって望ましくない侵害という形
で現れることもある。化粧品が、微生物により汚染され
た場合には、製品の変色、異臭、混濁、酸敗、沈殿物や
浮遊物の発生、スライム生成など、我々が認知できる形
で現れることもあるが、このような形では表面化せず、
汚染を知らずに使用し続けるということも起こりうる。
一般的に、化粧品は無菌性を要求される製品ではない
が、本来、使用者に清潔さと美しさを提供するものであ
り、「微生物汚染」というトラブルがあってはならない
ものである。
【0004】化粧品類はもともと微生物の増殖に好都合
な栄養分を含みまた、微生物汚染の高い天然物由来の原
料を使用する場合が多く、さらに安全性の問題から防腐
剤の種類や使用量に制限がある上に、多くの場合、最終
製品での滅菌も製品品質上ほとんど不可能に近く、より
厳密な無菌性を要求される医薬品や腐敗が起こりうるこ
とが一般的に認知されている食品とは異なった困難さを
抱えている。
【0005】製品の微生物汚染は製造段階で起こる一次
汚染と、消費者の使用中に起こる二次汚染とに大別でき
る。一次汚染は、衛生的な製造設備や管理により、二次
汚染は適切な防腐剤の配合や、容器の材質や形態などの
工夫により防ぐことが基本とされている。微生物汚染
は、原料そのものから製品の腐敗や、作業者、製造工
程、環境、包装、保存、さらにこれらに付随する詳細な
項目があるが、これらを完全にまっとうするのは不可能
に近い。こうしたことから、化粧品に防腐殺菌剤を添加
する目的は、原料から製造設備、製造管理からくる一次
汚染と消費者の使用中に発生する二次汚染をより抑制
し、微生物による変質、変色、カビの発生等を防止する
ことにある。
【0006】水銀性化合物は防腐殺菌効果をもっている
にもかかわらず、毒性が強いため、現在では厳格な法規
制により、化粧料における使用は禁止されている。一般
に細菌を含む微生物が増殖するためには水と栄養分と更
には増殖しやすい適度な温度、湿度を必要とする。化粧
品には、種々の原料が用いられているが、微生物はこの
ような原料の炭素源、あるいは窒素源を利用して増殖す
る。従って、水を含む製品ほど微生物の増殖が容易なた
め、そのリスクは大きく、非水系の製品ではそのリスク
は小さい。
【0007】粉体メークアップ製品は油剤、界面活性
剤、粉体原料などにより構成され、通常、水を配合する
ケースは少ない。このために細菌、酵母は増殖しにくい
という処方上の特徴をもっている。しかし、カビについ
ては、製品のおかれる環境によっては、製品の表面に菌
系が伸張し、胞子形成まで至る。消費者は、化粧品の保
存場所にあまり気を使わないこともある。従って使用中
断後再使用する際カビが表面に発生したというケースも
多々ある。こうしたことを鑑みた時、製造時の一次汚染
防止を行うと同時に二次汚染防止のための適切な防腐殺
菌力を付与する必要がある。
【0008】化粧品に用いられていた又は用いられてい
る防腐殺菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、
サルチル酸、ヒノキチオール、フェノキシエタノール、
デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸とその塩、アミノ酸
化第二水銀、ホウ砂、3−トリフルオロメチル−4,
4’ジクロルカルバニリド、P−フェノールスルフォン
酸亜鉛、ビオサルファ−F(ポリソルベート80と沈降
イオウの混合物)、4−ヒドロキシ−2−オキシベンゾ
キサチオール、ヘキサクロロフェン、アルキルジメチル
ベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウ
ム)、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジンジグルコ
ネート20%水溶液、2,4,4’−トリクロロ−2’
ハイドロキシジフェニルエーテル、塩化セチルピリジウ
ム、レゾルシン、DMDMビダントインイソチアゾリン
オン、イミダゾリジニルウレア、等がある。
【0009】また、特開平7−10821号公報には、
特定の抗菌性組成物を配合した化粧料が開示されてお
り、特開平8−40830号公報には、特定の抗菌性化
粧料用顔料とその製造方法及び前記顔料を含有する化粧
料組成物が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の防腐殺
菌剤は、それ自身が人体に及ぼす悪影響があり、安全性
の問題のために配合限度を定めて、使用量を規制し、表
示成分として取り扱われている物質が多い。
【0011】例えば、サルチル酸は0.2%(重量%)
以下、パラオキシ安息香酸エステルは1.0%以下、デ
ヒドロ酢酸ナトリウムは0.5%以下、レゾルシンは
0.1%以下の規制がある。中には、3−トリフルオロ
メチル−4,4’ジクロルカルバニリドによるリール黒
皮症の原因物質の問題、p−フェニルスルフォン酸亜鉛
によるアレルギー性の問題、ヘキサルクロフエンによる
神経毒性の問題等のように問題点を有する防腐殺菌剤も
あり、また、レゾルシンの様に染毛料に限定するなど化
粧品メーカーにより自主規制している防腐殺菌剤も少な
くない。
【0012】ヒノキチオールは表示成分ではないが、光
安定性が悪いという欠点がある他、金属イオンと反応し
て錯イオンを形成し、例えば鉄イオンとの錯イオンは暗
赤色、マンガンとの錯イオンは淡褐色、銅イオンとの錯
イオンは緑色、アルミニウムイオンとの錯イオンは白色
に着色し、製品の外観を損なう欠点をもっている。
【0013】フェノキシエタノールは表示成分ではない
が通常配合される0.1〜0.2%程度の配合では防腐
殺菌効果が認められず、通常汎用される配合濃度ではそ
の効果が期待できず、好ましい防腐殺菌剤とは言い難
い。
【0014】一方、化粧料に配合された防腐殺菌剤の防
腐殺菌効果に影響を与える因子としては、化粧料のp
H、防腐殺菌剤の溶解度(分配係数)、化粧料において
共存するノニオン活性剤、粉体、保湿剤、水溶性高分子
の各々の種類や容器の材質等がある。
【0015】例えば、パラオキシ安息香酸エステル(パ
ラベン)は、pHがアルカリ側での加水分解安定性に課
題がある。通常のスキンケア商品は、pHが8前後の商
品が多い。パラベン類は、pH8以上では、防腐殺菌効
果が弱く、pH8でのその必要量はpH4の約2倍量必
要である。また、パラベン類は、低温での結晶の析出も
課題になっている。パラベン類は、多くの紫外線吸収剤
やイソプロピルミリステート、ひまし油、等の高極性油
に対しては、パラベンが取り込まれ防腐殺菌効果が低下
する。また、パラベン類は、高HLBの界面活性剤が共
存すると抗菌活性が著しく低下してしまうことがある。
これは、界面活性剤のミセルに可溶化され、界面活性剤
がパラベンとコンプレックスを形成し、不活性化すると
言われている。高分子化合物も、同様にパラベンと錯体
を形成し、防腐活性を著しく弱めるとされている。
【0016】粉体については有機樹脂粉末へのパラベン
の吸着により防腐殺菌効果が低下し、それら処方系への
有機樹脂粉末の配合は、微生物対策の面から配合量制限
を受けている。また、容器等の材質によっては、防腐剤
が吸着してしまい、期待した防腐効果が得られない場合
も多い。さらに化粧科において、有用物質としての生理
活性物質を配合する場合が多く、例えば、エリスリトー
ルやプラセンターエキスに見られるように、資化性のあ
る物質が多く、パラベンの防腐力の低下をまねく物質が
多く、抗菌力の低下の一翼になっている。
【0017】防腐殺菌剤は、それ自体に刺激性があるた
め、表示成分のものが非常に多く、化粧品メーカーによ
っては、自主規制、あるいは、統制物質あるいは使用禁
止物質として取り扱っているものが少なくない。198
0年に薬事法の改正があり、防腐剤を含む成分表示が義
務付けられ、国内商品は、圧倒的にパラベンの表示が多
く見受けられるが、上述のように化粧料組成物のpHの
影響、非イオン界面活性剤の使用や水溶性高分子による
ミセル内への可溶性あるいは、錯体の形成による防腐力
の低下、生理活性物質配合による資化性物質の配合、使
用感の向上からくる極性油剤の多様化等により、パラベ
ンのみでは防腐殺菌効果の保持が難しく、他の防腐殺菌
剤との併用が余儀なくされ、化粧料の安定性は、もちろ
んのこと、安全性の確保に課題を残している。
【0018】一方、特開平7−10821号公報には、
酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネ
シウム、酸化ケイ素、リン酸3カルシウム、ハイドロキ
シアパタイト、炭酸カルシウム、タルク、及び、ゼオラ
イトから選ばれた少なくとも一つのセラミックスに、
銀、銅及び亜鉛から選ばれた抗菌性金属を担持させた抗
菌性組成物を配合した化粧料が開示されている。また、
特開平8−40830号公報には、化粧品用無機顔料の
表面にガラス質の無定形コーティング層を形成し、抗菌
性金属として、銀、銅、亜鉛を用いた抗菌性金属をコー
ティング層の結合格子内に固溶化させて、製造する抗菌
性化粧料用顔料とその製造方法及びこれを含有する化粧
料組成物が開示されている。
【0019】しかし、このような抗菌性組成物及び抗菌
性化粧料顔料は、公知の銀、銅、亜鉛の金属あるいは、
それらのイオンによる抗菌を利用したものに過ぎない。
特に、銀や銅は、化粧料に関しては、安全性の課題か
ら、適用が禁止されている抗菌性金属であり、実用に供
しない。また、亜鉛に関しては、銀や銅と比較して抗菌
スペクトルが狭く、亜鉛を用いた抗菌剤のみでは防腐殺
菌剤としての強力な効果は望めない。
【0020】なお、これらの抗菌性金属を担持させるた
めにゼオライト中の金属とイオン交換をさせた抗菌性粉
体も化粧品分野以外の市場に上市されている。しかし、
特に銀を用いた銀ゼオライトは変色しやすい。また、抗
菌性金属を担持した抗菌性ゼオライトは粒子が粗い。従
って、前記抗菌性ゼオライトを化粧料に含有させた場合
は、使用感が悪いほか、化粧料用油剤への酸化促進作用
があり化粧料を変質させる欠点をもっている。
【0021】本発明の目的は、上記従来の技術の問題点
を解消し、人体に対して悪影響がなく、使用量の制限を
受けることがなく、化粧料に配合した場合でも化粧料の
pH、化粧料の各種共存成分等により抗菌力を損なうこ
とがなく、化粧料を変質させることもなく、使用感が良
好な化粧料用抗菌性顔料、その製造方法及び抗菌性化粧
料組成物を提供することにある。
【0022】また、本発明の他の目的は、微生物である
細菌やカビに対して抗菌力及び殺菌力に優れた新規な化
粧料用抗菌性顔料、その製造方法及び抗菌性化粧料組成
物を提供すること、化粧料に必要とされる防腐殺菌剤の
配合量をより低濃度に抑えた低濃度防腐殺菌剤配合化粧
料や無防腐殺菌剤(防腐殺菌剤フリー)の化粧料の開発
を可能にする化粧料用抗菌性顔料を提供すること、ま
た、既存製品に配合されている防腐殺菌剤による皮膚刺
激がなく、長期間に亘り、安定な防腐殺菌効果をもつ化
粧料組成物を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の従来
技術の問題点を解決すべく鋭意研究をした結果、水酸化
マグネシウム及び酸化マグネシウムはそれぞれ幅広い抗
菌スペクトルを有し、抗菌作用ないし殺菌作用があるこ
と、それにもかかわらず人体に対して悪影響がなく、使
用量の制限を受けることがなく、化粧料に配合した場合
でも化粧料のpH、化粧料の各種共存成分等により抗菌
力を損なうことがなく、化粧料を変質させることもな
く、使用感が良好であるということを見出した。
【0024】しかしながら、通常、市販されている酸化
マグネシウムは、不安定なので抗菌力の持続性に問題が
あることが判った。例えば、酸化マグネシウムは、吸収
性があり、空気中の水分や炭酸ガスとの反応により、ヒ
ドロキシ炭酸マグネシウム(3MgCO3・Mg(O
H)2・3H2O)に変化したり、一般式で表すならば、
酸化マグネシウムがXMgCO3・YMg(OH)2・Z
2Oになり、又、市販の酸化マグネシウムは水と反応
して水酸化マグネシウムに変化し、細菌類に対しての抗
菌力の低下が見られる。
【0025】こうした事実から見ると、酸化マグネシウ
ムの吸湿性をいかに押さえ、耐湿性を保持できるかが問
題である。酸化マグネシウムの耐湿性改善のために特開
昭61−91232号公報では、酸化マグネシウムの表
面の疎水化、あるいは、樹脂との接合力を改善し、耐湿
性を向上させるために、酸化マグネシウムの表面にサラ
ンカップリング剤やチタネートカップリング剤を処理す
る方法が開示されている。特開昭61−283648号
公報では、酸化マグネシウム粉末の表面をシリカで被覆
し、耐湿性に改善する方法が開示されている。特開平1
−10815号公報では、酸化マグネシウム粉末にアル
ミナゾルを添加し、焼成することにより、酸化マグネシ
ウム粉末表面にスピネル酸を形成させ、耐湿性を改善す
る方法が開示されている。
【0026】しかし、上記の技術では、被覆層の機械的
強度や、酸化マグネシウム粉末の被覆が完全でなく十分
な耐湿性が得られず、酸化マグネシウムが経時変化によ
り、上記したようにヒドロキシ炭酸マグネシウムや、あ
るいは水酸化マグネシウムに変化するのは避けられない
ばかりか、酸化マグネシウムのもつ抗菌力ないし殺菌力
が消失するか、著しく低下するという欠点を有する。
【0027】そこで、本発明者は、酸化マグネシウムを
特定の温度で焼成することにより安定化させることがで
き、抗菌力ないし殺菌力を長期間持続させることができ
るということを見出し、本発明を完成するに至った。例
えば、特定温度の焼成により、吸湿性の高い酸化マグネ
シウムが空気中の水分と炭酸ガスの吸収によりMgCO
3・MgOへ変化することを防止したり、水分の吸収に
よりMg(OH)2(抗菌性を有するが抗菌性の持続性
に欠ける)へ構造変化することを防止して、経時安定性
が高く抗菌性ないし殺菌性が長期間持続する酸化マグネ
シウムを得ることができる。
【0028】即ち、本発明は、次の化粧料用抗菌性粉体
顔料、化粧料用抗菌性複合粉体顔料、前記各顔料の製造
方法及び抗菌性化粧料組成物により上記目的を達成する
ことができる。
【0029】(1)酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成
粒子を含有する化粧料用抗菌性粉体顔料(請求項1)。 (2)酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子と化粧料
用粉体粒子が固着して成る抗菌性複合粉体粒子を含有す
る化粧料用抗菌性複合粉体顔料(請求項2)。前記抗菌
性焼成粒子は、安定しており、湿気、水分、炭酸ガス等
と容易に反応しないので、化粧料中に配合した場合でも
安定した状態で存在することができ、抗菌性ないし殺菌
性を長期間に亘り保持することができる。
【0030】(3)水酸化マグネシウム及び酸化マグネシ
ウムのうちの1種以上から成る抗菌性粒子を800℃以
上で焼成して抗菌性焼成粒子を得る焼成工程を含む化粧
料用抗菌性粉体顔料の製造方法(請求項3)。 (4)水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウムのうちの
1種以上から成る抗菌性粒子を800℃以上で焼成して
抗菌性焼成粒子を得る焼成工程と、前記焼成工程で得た
抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子を固着させて抗菌性
複合粉体粒子を得る複合化工程を含む化粧料用抗菌性複
合粉体顔料の製造方法(請求項4)。
【0031】(5)水酸化マグネシウム及び酸化マグネシ
ウムのうちの1種以上が付着する化粧料用粉体粒子を8
50℃以上で焼成して、酸化マグネシウムから成る抗菌
性焼成粒子と化粧料用粉体粒子が固着して成る抗菌性複
合粉体粒子を得る焼成複合化工程を含む化粧料用抗菌性
複合粉体顔料の製造方法(請求項5)。 (6)請求項1の化粧料用抗菌性粉体顔料及び請求項2の
化粧料用抗菌性複合粉体顔料のうちの1種以上を含有す
る抗菌性化粧料組成物(請求項6)。なお、本発明にお
いて数値範囲の記載は、両端値のみならず、その中に含
まれる全ての任意の中間値を含むものとする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に説明する。 [化粧料用抗菌性顔料]本発明の化粧料用抗菌性粉体顔
料は、酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子を含有
する。また、本発明の化粧料用抗菌性粉体顔料は、その
一部ないし全部を前記抗菌性焼成粒子にすることができ
る。即ち、本発明の化粧料用抗菌性粉体顔料は、前記抗
菌性焼成粒子以外の化粧料用顔料を含有することができ
る。
【0033】本発明の化粧料用抗菌性複合粉体顔料は、
前記抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子が固着して成る
抗菌性複合粉体粒子を含有する。また、本発明の化粧料
用抗菌性複合粉体顔料は、その一部ないし全部を抗菌性
複合粉体粒子にすることができる。即ち、本発明の化粧
料用抗菌性複合粉体顔料は、前記抗菌性複合粉体粒子以
外の化粧料用顔料を含有することができる。
【0034】前記抗菌性複合粉体粒子にする第1の意味
は、複合化する事により、特に、化粧料用粉体粒子が有
機粉体粒子の場合、パラオキシ安息香酸エステル(パラ
ベン類)の吸着を抑制し、パラベンの防腐効果を維持、
発揮させる事ができると共に、防腐殺菌効果を実際に有
するパラベン類と本発明における抗菌性焼成粒子の併用
を可能にすることができる。即ち、化粧料に有機粉体粒
子とパラベン類を含有させる場合に、本発明における抗
菌性焼成粒子を化粧料用有機粉体粒子と固着させること
なくそのまま化粧料に含有させても、前記有機粉体粒子
はパラベン類を吸着してしまう。これに対して、抗菌性
焼成粒子と化粧料用有機粉体粒子が固着して成る抗菌性
複合粉体粒子とすることにより、化粧料用有機粉体粒子
がパラベン類を吸着することを防止することができる。
【0035】前記抗菌性複合粉体粒子にする第2の意味
は、複合化する事により、のびが軽く、肌に負担をかけ
ずに伸展性に優れ、肌へのつきの均一性に優れる利点が
発現するということであり、化粧料に配合する事は大変
有利に作用する特徴をもつ。
【0036】次に作用機序について考察してみる。一般
の抗菌剤の作用機構は、(1)生合成経路(蛋白質合
成、細胞膜合成、DNA合成、RNA合成など)の阻害
作用、(2)エネルギー系(呼吸、電子伝達系など)の
阻害作用、(3)変性作用(酵素蛋白、細胞膜、DN
A、RNAなど)の生物学的性質が損なわれること、
(4)細胞膜の破壊作用等が考えられている。
【0037】通常の菌(カビを除く)は、pHが10以
上では生育できないといわれている。しかし、水酸化カ
ルシウムのpHが11〜12の範囲でも0.1%濃度で
は抗菌効果はない。0.2%濃度においても、緑膿菌に
対しては抗菌効果が見られない。このことから見るとカ
ルシウムは微生物の栄養源になることを考えても、水素
イオン濃度のみでは説明できない面がある。
【0038】一方、酸化マグネシウムのpHは9.3〜
10.4程度で、通常、菌の生育は可能なpHの範囲で
ある。しかし、酸化マグネシウムには防腐殺菌作用があ
る。酸化マグネシウムの溶解度は、冷水では6.2×1
-4g/100g、30℃で8×10-3g/100g程
度であるが、pHが高い領域にある事と水素で解離した
酸化マグネシウムの塩基遊離(・OH)による細胞質で
の酸化作用と微生物中のSH結合がMgイオンによりS
−Mg結合になり、吸収器系、電子伝達系の代謝機能障
害によるそれらの相乗作用で防腐殺菌作用が出ると思わ
れる。
【0039】化粧料用粉体粒子に固着させない場合の抗
菌性焼成粒子の平均粒子径は0.01〜15μmにする
ことができ、好ましい範囲は0.01〜10μmであ
り、より好ましい範囲は0.01〜5.0μmであり、
更に好ましい範囲は0.01〜2.5μmである。
【0040】抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子が固着
して成る抗菌性複合粉体粒子の好ましい平均粒子径は、
0.03〜50μmであり、より好ましい範囲は0.1
〜20μm、更に好ましくは0.2〜15μmの範囲で
ある。また、抗菌性複合粉体粒子において、抗菌性焼成
粒子の粒子径は、好ましくは化粧料用粉体粒子の粒子径
よりも小さくし、好ましい平均粒子径の範囲は0.01
〜15μmであり、より好ましい範囲は0.01〜10
μmであり、更に好ましい範囲は0.01〜5.0μm
であり、最も好ましい範囲は0.01〜2.5μmであ
る。また、抗菌性複合粉体粒子における化粧料用粉体粒
子の粒子径は、好ましくは0.02〜50μmであり、
より好ましい範囲は0.02〜20μmであり、更に好
ましい範囲は0.02〜5.0μmである。特に、平均
粒子径が50μm以下の場合は使用感上、肌に異和感を
感じないので好ましい。抗菌性複合粉体粒子における抗
菌性焼成粒子の粒径Aと化粧料用粉体粒子の粒径Bの関
係については、A/B≦0.5にすることができ、好ま
しくはA/B≦0.4にし、より好ましくは0.001
≦A/B≦0.3、更に好ましくは0.005≦A/B
≦0.2、最も好ましくは0.01≦A/B≦0.1に
する。
【0041】抗菌性複合粉体粒子における化粧料用粉体
粒子としては、無機粉体、有機粉体、無機顔料及び有機
−無機複合粉体のそれぞれの粉体粒子がある。
【0042】無機粉体としては、カオリナイト、デッカ
イト、ナクライト、ハロイドサイト、アンチゴライト、
クリソタイル等のカオリン族、パイロフィライト、モン
モリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトラ
イト、ベントナイト等のスメクタイト族、セリサイト白
雲母、黒雲母、リチア雲母、合成雲母、合成セリサイト
等のイライト族、ハイデライト、ケイ酸マグネシウム、
ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等
のケイ酸塩、珪線石、藍晶石等のカルシウム化合物等の
シリマナイト族、リン酸3カルシウム、ハイドロキシア
パタイト、等のカルシウム化合物、タルク、蛇紋石等の
マグネシウムシリケート族、シリカ、アルミナ、等の単
一成分粉体、酸化チタン内包シリカ、酸化亜鉛内包シリ
カ、酸化鉄内包シリカ、酸化チタン内包PMMA(ポリ
メタクリル酸メチル)、酸化亜鉛内包PMMA、酸化セ
リウム内包PMMA、等の硬質カプセル、チタンマイ
カ、酸化チタン−硫酸バリウム、酸化チタン−タルク、
オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス−マイカ等の
パール顔料がある。
【0043】有機粉体としては、ナイロンパウダー、ポ
リエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、酢酸ビ
ニルパウダー、ポリメタアクリル酸エステルパウダー、
ポリアクリルニトリルパウダー、ポリスチレンパウダ
ー、セルロースパウダー等がある。無機顔料としては、
酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウ
ム等の白色顔料と酸化鉄、水和酸化鉄、群青、紺青等の
有色顔料がある。有機−無機複合粉末は、上記の有機粉
体の粒子に無機粒子、好ましくはシリカ、アルミナ、酸
化チタン、酸化セリウム、酸化鉄のうちの1種以上の粒
子を固着して複合させた素材である。
【0044】[化粧料用抗菌性顔料の製造方法]本発明
の化粧料用抗菌性粉体顔料の製造方法及び本発明の化粧
料用抗菌性複合粉体顔料の製造方法における焼成工程
は、水酸化マグネシウム及び未焼成の酸化マグネシウム
のうちの1種以上から成る抗菌性粒子を850℃以上で
焼成して抗菌性焼成粒子(主として酸化マグネシウムか
ら成る抗菌性焼成粒子)を得る工程である。
【0045】本発明の化粧料用抗菌性複合粉体顔料の製
造方法における複合化工程は、前記焼成工程で得た抗菌
性焼成粒子と化粧料用粉体粒子を固着させて抗菌性複合
粉体粒子を得る工程である。抗菌性焼成粒子と化粧料用
粉体粒子は、好ましくは、ボールミル等の機械的エネル
ギーを用いたメカノケミカル反応ないしメカノフュージ
ョン(mechanofusion)により、あるいは
静電気により固着させることができる。
【0046】メカノフュージョンとは、固体の表面が強
力な機械的エネルギーにより融解し、その融解した表面
に他の固体物質が固着し、固定化されることをいう。例
えば、ナイロンパウダーと酸化マグネシウム粒子とを混
合して強力なエネルギーを与えた場合、エネルギー的に
はプラズマ発生時のエネルギーが発生しナイロンパウダ
ーの表面が瞬間的に融解した状態になり、その状態にな
った表面に酸化マグネシウム粒子が固着すると考えられ
ている。
【0047】本発明の化粧料用抗菌性複合粉体顔料の製
造方法における焼成複合化工程は、水酸化マグネシウム
及び未焼成の酸化マグネシウムのうちの1種以上が付着
する化粧料用粉体粒子を850℃以上で焼成して、酸化
マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒
子が固着して成る抗菌性複合粉体粒子を得る工程であ
る。好ましくは、水酸化マグネシウムを析出させること
のできる液体(溶液)と化粧料用粉体粒子を接触させて
前記粉体粒子に水酸化マグネシウムを析出させ850℃
以上で焼成する。このようにすると、前記水酸化マグネ
シウムは、酸化マグネシウムに変化しさらに酸化マグネ
シウム焼成粒子になると共に、この酸化マグネシウム焼
成粒子が化粧料用粉体粒子に固着した抗菌性複合粉体粒
子を得ることができる。
【0048】例えば、硫酸マグネシウム6水和物の溶液
に化粧料用粉体を分散させ加温しながら水酸化ナトリウ
ム水溶液を滴下し、水酸化マグネシウム粒子と化粧料用
粉体粒子とを固着させ、さらに、850℃〜1200℃
の温度で焼成する事により、酸化マグネシウムから成る
抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子が固着した抗菌性複
合粉体粒子を得ることができる。この方法を用いると微
粒子の抗菌性焼成粒子を化粧料用粉体粒子の表面に均一
に固着させる事が出来る。
【0049】他の方法としては、通常の中和法で常温に
て塩化マグネシウム6水和物の水溶液に化粧料用粉体粒
子を分散させたのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下す
ることによって、化粧料用粉体粒子表面にかなり含水率
の高い水酸化マグネシウム粒子を固着させ、850〜1
200℃の温度で焼成する方法があり、この方法により
酸化マグネシウム焼成粒子と化粧料用粉体粒子が固着し
た抗菌性複合粉体粒子を得る事が出来る。
【0050】酸化マグネシウムは、(a)金属マグネシ
ウムを空気中で熱して得ることができ、また、(b)炭
酸マグネシウム、ヒドロキシ炭酸マグネシウム、水酸化
マグネシウムのいずれか1種以上を熱分解して得ること
ができる。従って、金属マグネシウム粒子を空気中で熱
して酸化マグネシウム粒子得て、引き続き酸化マグネシ
ウム粒子から酸化マグネシウム焼成粒子を得る工程を1
回の熱処理で行うことができる。また、同様に炭酸マグ
ネシウム、ヒドロキシ炭酸マグネシウム、水酸化マグネ
シウムのいずれか1種以上の粒子を熱分解して酸化マグ
ネシウム粒子を得て、引き続き酸化マグネシウム粒子か
ら酸化マグネシウム焼成粒子を得る工程を1回の熱処理
で行うことができる。なお、酸化マグネシウムは、通
常、市販されている。
【0051】水酸化マグネシウム及び未焼成の酸化マグ
ネシウムのうちの1種以上から成る抗菌性粒子を焼成し
て酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子を得る際に
適用される焼成温度は、850℃以上であり、好ましく
は850〜1100℃の範囲にし、より好ましくは10
00〜1100℃の範囲である。焼成温度が850℃未
満、特に800℃以下で焼成した場合の酸化マグネシウ
ムは大気中の水分の吸湿性がきわめて大きく、酸化マグ
ネシウムが水酸化マグネシウムに構造変化したり、ある
いは大気中の水分及び炭酸ガスと反応し、ヒドロキシ炭
酸マグネシウムに構造が変化し、本来もつ酸化マグネシ
ウムの防腐殺菌効果が低下したり、場合によっては消失
してしまう。
【0052】安定な酸化マグネシウムの構造を有し、長
期間の防腐殺菌効果を維持できる抗菌性焼成粒子を得る
ための焼成温度は、1000〜1100℃である。この
温度範囲が好適である理由としては、不明な点が多い
が、酸化マグネシウムの多孔質性が消滅し、多孔質部分
の活性部分が消失したり、粒子表面の一部或いは粒子が
融解したりして、結晶構造がより緻密化されているのも
一つの要因と推測している。
【0053】酸化マグネシウム(MgO)の焼成温度と
吸湿度(重量の増加分を重量%で示す)の関係(焼成温
度ごとの吸湿度の経時変化)について次の表1に示す。
なお、表1には、MgO(未焼成の試薬)とMg(O
H)2(未焼成の試薬)についての吸湿度の経時変化及
び、吸湿度測定時の温度(℃)及び湿度(%)について
も示す。
【0054】
【表1】
【0055】酸化マグネシウムの焼成時の雰囲気は、酸
化雰囲気、不活性雰囲気、還元雰囲気のいずれでも良
い。焼成時間は1〜24時間にすることができる。望ま
しくは2〜12時間、更には4〜8時間である。焼成時
間は、ろ体の大きさや雰囲気、ろ体の温度分布幅にもよ
るが、より短時間で焼成するのが経済的でもあるし、ま
た、必要以上の時間を費やしても経済的にも望ましくな
い。
【0056】[抗菌性化粧料組成物]本発明の化粧料用
抗菌性粉体顔料及び本発明の化粧料用抗菌性複合粉体顔
料のうちの1種以上は、一般的な無機粉体や無機顔料、
有機粉末及び、有機−無機複合粉末等の化粧料用粉体を
含有または、配合できるすべての化粧料組成物に適用す
ることができる。本発明の抗菌性化粧料組成物は、前記
化粧料用粉体を含有させることができ、前記化粧料用粉
体の粒子(抗菌性焼成粒子と固着していない化粧料用粉
体粒子)の平均粒子径は好ましくは0.01〜50μm
にすることができ、より好ましい範囲は0.01〜20
μm、更に好ましい範囲は0.01〜5μmである。特
に、平均粒子径が50μm以下の場合は使用感上、肌に
異和感を感じないので好ましい。
【0057】一般的な無機顔料や無機粉体、および有機
粉末を用いることのできる化粧料としては、パウダーフ
ァンデーション、コンパクトパウダー、ツーウェイケー
キ、フェイスパウダー、制汗スプレーの白粉類とアイシ
ャドー、パウダーブラッシャー、マスカラ、リップステ
ィック、アイブロウペンシル、アイライナー等のポイン
トメーク化粧料、乳化型ファンデーション、メークアッ
プベース等の乳化製品類、粉末パック、クレンジングパ
ック、サンスクリーンクリーム、ローション化粧水等の
一部基礎化粧品類とベビーパウダー、ボディパウダー、
フレグランスパウダー等の全身用製品類などがある。
【0058】本発明の抗菌性焼成粒子及び抗菌性複合粉
体粒子(抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子が固着して
成る抗菌性複合粉体粒子)のうちの1種以上は、0.1
重量%(抗菌性複合粉体粒子を含有する場合は、化粧料
用粉体粒子を除く抗菌性焼成粒子のみの配合率に換算、
以下同様)程度の配合で十分な抗菌効果をもつが、望ま
しい配合率は0.15〜0.2重量%程度である。ま
た、白粉では40重量%以上の配合はできるがこの場
合、抗菌効果を発揮する側面からは、非経済的である。
従って、化粧料組成物中における抗菌性焼成粒子及び抗
菌性複合粉体粒子(抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子
が固着して成る抗菌性複合粉体粒子)のうちの1種以上
の配合量は0.05〜40重量%にすることができ、好
ましくは、0.1〜30重量%、更に好ましくは0.1
〜20重量%である。
【0059】本発明の化粧料組成物に適用される無機粉
体は、例えば、セリサイト、白雲母、黒雲母、リチア雲
母、合成雲母、合成セリサイト等のイライト族、カオリ
オナイト、ナクライト、デッカイト、ハロサイト等のカ
オリン族、珪線石、藍晶石等のシリマナイト族、タル
ク、蛇蚊石等のマグネシウムシリケートとシリカとそれ
らの着色粉体、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の
炭酸塩化化合物、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等の複
合化合物、チタンマイカ、チタン−硫酸バリウム、チタ
ン−タルク、オキシ塩化ビスマス−マイカ等のパール類
料およぴ着色した着色パール顔料と硫酸バリウム、ゼオ
ライト、アルミナ等である。
【0060】無機顔料は、好ましくは、酸化鉄、水和酸
化鉄、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコ
ニウム、酸化セリウム等である。有機粉末は、ナイロン
パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウ
ダー、ポリメタクリル酸エステルパウダー、ポリスチレ
ンパウダー、ポリアクリルニトリルパウダー、セルロー
スパウダー等である。有機−無機複合粉末は、上記の有
機粉末に、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、
酸化セリウム、酸化鉄のうちの1種以上の粒子を固着し
て複合させた素材である。
【0061】
【実施例】以下本発明を実施例と比較例を挙げて詳細に
説明する。 [実施例(1)]市販の酸化マグネシウム(和光純薬
製)を酸化雰囲気中にて1100℃、6時間焼成して、
抗菌性化粧品顔料の焼成酸化マグネシウムを得た。
【0062】試験概要;任意濃度に検体を添加した液体
培地に大腸菌、緑膿菌、黄色ぶどう球菌、カンジダ、黒
コウジカビの菌液をそれぞれの添加後、振とう培養し、
菌の発育の有無を確認した。
【0063】試験方法 (1)試験菌 細菌:Escherichia coli IFO 3972(大腸菌)Pseudomonas aeruginosa IFO 13275(緑膿菌)Staphylococcus aureus IFO 13276(黄色ブドウ球菌) 酵母:Candida albicans IFO 1594(カンジダ) カビ:Aspergillus niger IFO 4407(黒コウジカビ)
【0064】(2)試験用培養地 細菌:Mueller Hinton Broth(D
ifco) 酵母およびカビ:ブドウ糖ペプトン培地(日水製薬
(株)) (3)接種用菌液の調製 細菌:継代培養した各試験菌を試験用培地に接種し、3
5℃で18〜20時間培養後、菌数が104/mlにな
るように試験用培地で希釈し、接種用菌液とした。 酵母:継代培養した試験菌を各種試験用培地に接種し、
25℃で48時間培養後、菌数が約104/mlになる
ように試験用培地で希釈し、接種用菌液とした。
【0065】カビ:継代培養した試験菌をポテトデキス
トロース寒天培地[栄研科学(株)]に接種し、25℃で
7日間培養後、形成された胞子(分生子)を、ポリソル
ベート80を0.05%添加した滅菌生理食塩水に浮遊
させ、胞子数が約104/mlになるように調製し、接
種用菌液とした。
【0066】(4)感受性測定用培地の作成 検体を乾熱滅菌(121℃、30分)後、これを試験用
培地にそれぞれ0.1、0.2、0.5、2.5、5.
0、10、15%添加し、感受性測定用培地とした。
【0067】(5)培養 感受性測定用培地に接種用菌液0.1mlを添加し、細
菌は35℃で18〜24時間、酵母及びカビは25℃で
5日間振とう培養した (6)判定 培養後、肉眼観察又は顕微鏡及び、生菌数により試験菌
の発育の有無を判定した。
【0068】
【表2】
【0069】表2に示すように、実施例(1)の抗菌性
顔料(焼成酸化マグネシウム)は、細菌類である大腸
菌、黄色ブドウ球菌と酵母、黒コウジカビに対して、
0.1重量%で菌の成長抑制効果が現れ、接種した緑膿
菌に対しては、0.2重量%で菌の抑制効果が認められ
た。これに対して、化粧品配合に際し、表示成分である
メチルパラベンは0.1重量%では酵母、黒コウジカビ
に対しては菌の抑制効果が認められたが、細菌に対して
はその効果は認められず、0.2重量%で本発明の抗菌
性顔料と同様に菌の抑制効果が認められた。表示成分で
ない防腐殺菌剤のフェノキシエタノールは0.1〜0.
2重量%では、菌の抑制効果が認められない結果であっ
た。以上の結果から、本発明の抗菌性顔料がより低濃度
で成長抑制効果があることが判明した。なお、表2に
は、参考として、水酸化マグネシウム(未焼成)であっ
て経時変化していないものについての結果も併せて示
す。
【0070】酸化マグネシウムのMBC(最小殺菌濃
度)を測定した結果、細菌類の大腸菌と黄色ブドウ球菌
に対して0.5重量%で、緑膿菌に対しては0.4重量
%で殺菌効果が認められた。メチルパラベンのMBC測
定は水に対する溶解度が0.2%以上では不溶になるた
めに測定はできないが酸化マグネシウムのMIC(最小
発育阻止濃度)とMBCの関係からメチルパラベンのM
ICの関係から推測すると、パラベン類のMBCは酸化
マグネシウムより高い濃度になると思われる。
【0071】[実施例(2)]ナイロンパウダーSP5
00(東レ製)200gに対し、1100℃焼成酸化マ
グネシウム80gを均一混合した後、ボールミル処理を
12時間行った。その結果ナイロンパウダーSP500
の表面に均一に焼成酸化マグネシウムが固着していた。
そこでナイロンSP500と本発明のハイブリッドパウ
ダ(抗菌性複合粉体粒子)であるナイロン−MgOにつ
いてパラベンの吸着量を測定した。
【0072】セリサイト50gとナイロンパウダー50
gに対しメチルパラベン0.2gを精秤し、高速混合機
で5分間混合した後、試料1gを正確に精秤し、精製水
10g中に分散させ、超音波で5分間処理する。その処
理物を2時間、20℃で静置後、上澄液を液体クロマト
グラフィー用フィルターを用いて濾過し、そのろ液から
液体クロマトグラフィーを用いて残留パラベン量を求め
た。
【0073】その結果、ナイロンSP500に対するメ
チルパラベンの吸着量は85.6%であるのに対し、本
発明の抗菌性複合粉体粒子(ハイブリッドパウダー)へ
の吸着量は0.9%であった。この結果により、パラベ
ンがナイロンパウダーへの吸着により資化されてしまい
防腐殺菌効果が殆どないのに対し、ハイブリッドパウダ
ーヘのパラベンの吸着量が極めて少なく、本発明の抗菌
性複合粉体粒子にパラベンを併用しても、パラベンの効
果が維持できることがわかった。
【0074】[実施例(3)]硝酸カルシウム4水和物
23.661gを精製水150mlに溶解させpH4に
合わせた液と、リン酸二水素アンモニウム7.923g
を精製水150mlに溶解させた液を、1000ml冷
却管付二口フラスコの中で混合して得られた液を100
℃に昇温した後、この液に、17Nのアンモニア水6m
lを600mlの精製水に希釈した液を5ml/分の速
度で滴下させた。滴下終了後15時間そのままの温度で
成熟後、ろ別、水洗後40℃、20時間減圧乾燥し、1
0gのハイドロキシアパタイトを得た。
【0075】このハイドロキシアパタイト10gを精製
水200mlに分散させた溶液に別に水酸化ナトリウム
2.48gを50mlの精製水に溶解させておいた溶液
を加え、均一に混合した後、攪拌しながら塩化マグネシ
ウム6水和物6.3gを溶解させた溶液を滴下し、ハイ
ドロキシアパタイトの表面に水酸化マグネシウムを固着
させ、濾過し、飽和水酸化マグネシウム溶液で、洗浄し
た後、エタノール洗浄をし、60℃で乾燥する。その後
取り出し、1000℃で12時間焼成後、カルシウムア
パタイト−酸化マグネシウム複合粉体顔料を得た。この
複合粉体顔料における酸化マグネシウムは、抗菌性焼成
粒子である。
【0076】[実施例(4)]精製水1000ml中に
セリサイト(三信鉱工社製)80gを攪拌分散させた
後、塩化アルミニウム6水和物53gと塩化マグネシウ
ム44.4gを加え溶解させる。別に水酸化ナトリウム
41.1gを300mlの精製水に溶解させた溶液を前
記セリサイトが分散する液に滴下し、セリサイトの表面
に水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを固着す
る。この固着した試料を濾過した後、飽和水酸化マグネ
シウム溶液で、洗浄し、60℃で乾燥する。乾燥した試
料を950℃にて10時間以上焼成し、セリサイト−酸
化アルミニウム−酸化マグネシウムの複合粉体顔料を得
た。この複合粉体顔料における酸化マグネシウムは、抗
菌性焼成粒子である。
【0077】[実施例(5)]精製水1000ml中に
チタンマイカであるチミロンスーパーシーンMP100
1(メルク社製)80gを攪拌分散させた後、塩化マグ
ネシウム100.9gを溶解させる。この溶液に精製水
300ml中に水酸化ナトリウム39.7gを溶解させ
た溶液を滴下し、チミロンスーパーシーンMP1001
の表面に水酸化マグネシウムを固着化させる。次いで濾
過した後、飽和水酸化マグネシウム溶液で洗浄をくり返
す。濾過した後、80℃で乾燥し、900℃にて20時
間焼成し、チタンマイカ−酸化マグネシウムの複合粉体
顔料を得た。この複合粉体顔料における酸化マグネシウ
ムは、抗菌性焼成粒子である。
【0078】[実施例(6)]ハイブリタリゼーション
システム(奈良機械製作所)を用いて、ポリメタクリル
酸メチル(略称、PMMA)と酸化亜鉛と焼成酸化マグ
ネシウムの複合粉体顔料を製造した。PMMA(積水化
成工業社製)10kgの母粒子と子粒子の酸化亜鉛(堺
化学社製)を、850℃で焼成した酸化マグネシウム3
kgに投入し、O.M.タイザー(前記ハイブリタリゼ
ーションシステムの中の一部分に当たるオーダードミク
スチャータイザーのことであり、粉体を混合分散させ母
粒子の表面に小粒子をまぶすもの)の混合分散作用で母
粒子の表面に子粒子をまぶしたオーダードミックスチャ
ーを形成させる。オーダードミックスチャーを計量器で
一定量計量し、ハイブリタイザーにかける。ハイブリタ
イザーにかけ、粒子を気相中に分散させながら、衝撃力
を主体とする機械的エネルギーを粒子に与え、完全にP
MMAの表面に粒子(酸化亜鉛粒子と焼成酸化マグネシ
ウム粒子)をメカノフュージョンにより固着化させた。
【0079】実施例(2)、実施例(3)、実施例
(4)、実施例(5)、実施例(6)で得た化粧料用抗
菌性有機複合粉体顔料、無機複合粉体顔料の微生物に対
するMIC(最小発育阻止濃度)を調べ、抗菌効果を測
定した。その結果を表3、表4で示す。なお、表3〜4
における実施(2)、実施(3)、実施(4)、実施
(5)、実施(6)は、それぞれ、実施例(2)、実施
例(3)、実施例(4)、実施例(5)、実施例(6)
を示す。
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】表3、表4から判るように、本発明の化粧
料用抗菌性粉体顔料及び複合粉体顔料は、抗菌、防腐効
果を示した。
【0083】[実施例(7)及び比較例(1)と比較例
(2)の評価]表5の組成にしたがって、80℃に加温
した油相を溶解し、減圧した後、80℃に加温した水相
を徐々に添加し、500rpmで10分間乳化し、冷却
した後取り出し、クリームを得た。
【0084】
【表5】
【0085】[実施例(8)及び比較例(3)と比較例
(4)の評価]表6の組成にしたがって85℃に加温
し、溶解、分散させた油相を減圧し、この油相に、85
℃に加温し、分散させた水相を徐々に添加し、10分間
乳化する。その後30℃まで冷却した後取り出し、クリ
ームファンデーションを得た。
【0086】
【表6】
【0087】[実施例(9)及び比較例(5)と比較例
(6)の評価]表7の組成にしたがって、粉体をヘンジ
ェルミキサーで混合した後、粉砕機で粉砕、分散させ
る。この粉砕物に油剤を注入し、5分間攪拌混合した
後、取り出し、粉砕機で解砕し、中皿に充填してパウダ
ーファンデーションを得た。
【0088】
【表7】
【0089】[製品防腐試験]各製品50gを製品容器
に入れ、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌は寒天培地に
37℃で24時間培養した後、滅菌食塩水に懸濁させて
使用し、カンジタ、黒コウジカビはポテトデキストロー
ス寒天に30℃で各々48時間と4日間培養した後に、
滅菌食塩水に懸濁させたものを106cells/gに
接種し、時間経過にともなう菌数を測定した。その結果
を表8に示す。
【0090】
【表8】
【0091】上記以外の化粧料にも本発明の化粧料用抗
菌性粉体顔料及び複合粉体顔料は、カーマインローショ
ン、整肌化粧水、ツーウェイケーキ、ケーキアイシャド
ウ、コンパクトパウダー、制汗スプレー、フェイスパウ
ダー、ボディパウダー、フェースブラッシュ、ベビーパ
ウダー、クリームルージュ、リップスティック、リップ
グロス、アイライナー、マスカラ、アイブロウペンシ
ル、アンダーメークアップベースに配合したときも、同
様に優れた抗菌効果を示した。
【0092】以上のように、発明の化粧料用抗菌性粉体
顔料及び複合粉体顔料は、優れた抗菌効果を示し、これ
を配合した化粧品業界で汎用されている表示成分である
パラベン類やフェノキシエタノールやヒノキチオール等
の無表示成分の防腐剤を配合した化粧料よりも接種した
微生物に対する抗菌効果が優れているばかりでなく、よ
り低濃度で抗菌作用があり、長期間に亘る持続的効果を
有すると共に優れた安定性を示した。従って、本発明の
抗菌性素材を配合した化粧料は、市場にある防腐剤を使
用する事なく、又、その配合量に法的規制もなく、更に
は防腐剤フリーとしての化粧料の開発に役立つ。
【0093】
【発明の効果】請求項1の化粧料用抗菌性粉体顔料及び
請求項2の化粧料用抗菌性複合粉体顔料は、酸化マグネ
シウムから成る抗菌性焼成粒子を有するので、次の効果
を奏することができる。
【0094】微生物である細菌やカビに対して良好な抗
菌性ないし殺菌性を有するにもかかわらず、人体に対し
て悪影響がなく、使用量の制限を受けることがなく、化
粧料に配合した場合でも化粧料のpH、化粧料の各種共
存成分等により抗菌力を損なうことがなく、化粧料を変
質させることもなく、使用感が良好である。また、化粧
料に必要とされる防腐殺菌剤の配合量をより低濃度に抑
えた低濃度防腐殺菌剤配合化粧料や無防腐殺菌剤(防腐
殺菌剤フリー)の化粧料の開発を可能にすることができ
る。さらに、微生物である細菌やカビに対して良好な抗
菌性ないし殺菌性を長期間に亘って持続することができ
る。
【0095】前記抗菌性焼成粒子又は、前記抗菌性焼成
粒子と化粧料用粉体粒子が固着して成る抗菌性複合粉体
粒子のいずれかを化粧料組成物に配合した場合、前記抗
菌性焼成粒子と前記抗菌性複合粉体粒子は、いずれも、
水や炭酸ガスの影響、pHの影響や高極性油に対する影
響を受けず、又、非イオン活性剤とコンプレックスを形
成せず、不活性化することもなく、水溶性高分子への吸
着或いは錯体形成による防腐活性低下の問題も起こさず
に、しかも安全性が高いので、長期間安定で高い抗菌力
を有する化粧料組成物を提供することができる。更に、
前記抗菌性焼成粒子と前記抗菌性複合粉体粒子は、いず
れも、製造段階で生じる微生物の一次汚染や消費者の使
用中に発生する微生物の二次汚染に対しても優れた防腐
効果を付与するので、既存の化粧料組成物の微生物汚染
に関する課題を解決することができる。
【0096】請求項3の化粧料用抗菌性粉体顔料の製造
方法は、水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウムのう
ちの1種以上から成る抗菌性粒子を850℃以上で焼成
して抗菌性焼成粒子を得る焼成工程を含むので、請求項
1の化粧料用抗菌性粉体顔料を製造することができる。
【0097】請求項4の化粧料用抗菌性複合粉体顔料の
製造方法は、前記焼成工程と、前記焼成工程で得た抗菌
性焼成粒子と化粧料用粉体粒子を固着させて抗菌性複合
粉体粒子を得る複合化工程を含むので、請求項2の化粧
料用抗菌性複合粉体顔料を製造することができる。請求
項5の化粧料用抗菌性複合粉体顔料の製造方法は、水酸
化マグネシウム及び酸化マグネシウムのうちの1種以上
が付着する化粧料用粉体粒子を850℃以上で焼成し
て、酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子と化粧料
用粉体粒子が固着して成る抗菌性複合粉体粒子を得る焼
成複合化工程を含むので、請求項2の化粧料用抗菌性複
合粉体顔料を製造することができる。
【0098】請求項6の抗菌性化粧料組成物は、請求項
1の化粧料用抗菌性粉体顔料及び請求項2の化粧料用抗
菌性複合粉体顔料のうちの1種以上を含有するので、次
の効果を奏することができる。
【0099】化粧品原料基準に収載されている防腐剤や
化粧品以外に使用されている銀化合物、銅化合物、亜鉛
化合物を含有しない場合でも、微生物である細菌やカビ
に対して良好な抗菌性ないし殺菌性を有することができ
る。また、微生物である細菌やカビに対して良好な抗菌
性ないし殺菌性を有するにもかかわらず、化粧料に必要
とされる防腐殺菌剤の配合量をより低濃度に抑えたり、
あるいは無防腐殺菌剤(防腐殺菌剤フリー)にすること
ができる。さらに、微生物である細菌やカビに対して良
好な抗菌性ないし殺菌性を長期間に亘って持続すること
ができる。従って、防腐殺菌剤による皮膚刺激がなく、
長期間に亘り、安定な防腐殺菌効果を有することができ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子
    を含有することを特徴とする化粧料用抗菌性粉体顔料。
  2. 【請求項2】酸化マグネシウムから成る抗菌性焼成粒子
    と化粧料用粉体粒子が固着して成る抗菌性複合粉体粒子
    を含有することを特徴とする化粧料用抗菌性複合粉体顔
    料。
  3. 【請求項3】水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウム
    のうちの1種以上から成る抗菌性粒子を850℃以上で
    焼成して抗菌性焼成粒子を得る焼成工程を含むことを特
    徴とする化粧料用抗菌性粉体顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウム
    のうちの1種以上から成る抗菌性粒子を850℃以上で
    焼成して抗菌性焼成粒子を得る焼成工程と、 前記焼成工程で得た抗菌性焼成粒子と化粧料用粉体粒子
    を固着させて抗菌性複合粉体粒子を得る複合化工程を含
    むことを特徴とする化粧料用抗菌性複合粉体顔料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】水酸化マグネシウム及び酸化マグネシウム
    のうちの1種以上が付着する化粧料用粉体粒子を850
    ℃以上で焼成して、酸化マグネシウムから成る抗菌性焼
    成粒子と化粧料用粉体粒子が固着して成る抗菌性複合粉
    体粒子を得る焼成複合化工程を含むことを特徴とする化
    粧料用抗菌性複合粉体顔料の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1の化粧料用抗菌性粉体顔料及び請
    求項2の化粧料用抗菌性複合粉体顔料のうちの1種以上
    を含有することを特徴とする抗菌性化粧料組成物。
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