JPH10193489A - 薄膜形成材、及び薄膜の形成方法 - Google Patents

薄膜形成材、及び薄膜の形成方法

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JPH10193489A
JPH10193489A JP9298807A JP29880797A JPH10193489A JP H10193489 A JPH10193489 A JP H10193489A JP 9298807 A JP9298807 A JP 9298807A JP 29880797 A JP29880797 A JP 29880797A JP H10193489 A JPH10193489 A JP H10193489A
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JP
Japan
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thin film
water
substance
film forming
forming material
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JP9298807A
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English (en)
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Yoshikazu Miyazawa
良和 宮澤
Tomonori Aoki
智則 青木
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OPUTORON KK
Canon Inc
Original Assignee
OPUTORON KK
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材上に、簡易に且つ高品質の薄膜を得るこ
とを目的とする。 【解決手段】 常温硬化性物質からなる多孔質材に、有
機シリコーンやパーフルオロアルキル基を持つ有機物の
撥水性物質を含浸させ、それを真空中で蒸発させること
によって、防汚・防水性を必要とする基材上に撥水薄膜
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材もしくは基材
上のコート膜の表面処理等に用いる材料、及び該表面処
理としての薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の基材表面に防汚、防水、防塵等の
機能を付与する表面処理を施すに当たって、基材表面に
上記防汚・防水等の機能を持った有機系材料等からなる
薄膜を設けることが広く行われている。かかる薄膜の形
成方法としては、例えば、有機溶媒に希釈した撥水性物
質を基材に形成された下地層に直接塗布する方法(特開
昭60−40254)、撥水性物質により調製された溶
液に基材(レンズ)を浸漬させる方法(特開昭61−1
30902)が知られている。また、多孔性セラミック
スに含浸させた有機物質を真空槽中で蒸発させ基材上に
保護膜を形成する方法(特開平4−72055)、繊維
状の金属塊に含浸させた有機物質を真空槽中で蒸発さ
せ、無機コート膜上に有機系被膜を形成する方法(特開
平6−340966)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような各種の薄膜形成方法にはそれぞれ以下のような欠
点がある。
【0004】撥水性物質を基材に直接塗布する方法で
は、得られた塗膜の均一性が必ずしも十分でないことが
ある。特に、真空蒸着等の真空工程により形成された無
機薄膜上に塗布を行う場合では、真空工程(蒸着工程)
により無機薄膜を形成した基材を一度真空槽から取り出
し、再度別工程で塗布を行うために、工程が煩雑である
上に塗膜ムラになりやすく、均質な撥水薄膜が得ること
が難しい。
【0005】浸漬による方法も、特に真空工程で形成さ
れた無機薄膜上に塗布を行う場合では、同様な煩雑な工
程を要し、また必要量の何倍もの希釈溶液が必要であ
り、廃液を環境に放出しないための廃液処理設備や処理
コストがかかる。
【0006】セラミックスに含浸させた有機物質を蒸発
させる方法では、セラミックスを形成するためにプレス
や高温焼結といった工程が必要であり、また有機物の含
浸量を制御するためにセラミックスの空隙率を微細に調
整することが必要となる。よって、セラミックスの粒
度、焼結温度、純度等を精密に制御することが要求さ
れ、材料の調製工程の煩雑化及びコストの増大を招く。
また、セラミックス自体の調製に有機バインダーを使用
することが多く、この場合有機物(有機バインダー或い
はその分解生成物)が残存すると、セラミックスに含浸
された膜形成材料(例えば有機シリコーン類やパーフル
オロアルキル基等の撥水性物質)と反応あるいは共に蒸
発して被処理基材上に付着し、接触角の低下などの得ら
れる薄膜の特性が劣化し、所望の防汚、防水効果等が得
られなくなる。
【0007】また、繊維状金属塊に含浸させた有機物質
を蒸発させる方法では、上記の他の方法に比べて簡単で
ある。しかし、特に金属材料として銅やアルミニウム等
などを使用した場合、これら金属の融点が600℃乃至
800℃であるため、加熱条件の調整によっては金属塊
が溶け、或いは溶解した金属自体が蒸発して基材に付着
することがあり、着色や接触角の低下などの得られる薄
膜の特性について悪影響を与える場合がまれにあり得
る。更に、金属は熱伝導率が大きいので加熱時の昇温が
非常に早く、含浸された有機物質の蒸発量の調整に精度
を要する場合がある。
【0008】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、その課題とするところは、基材上に、簡便な工程
で、所望の特性、特に防汚、防塵、撥水、撥油等の機能
を有効に且つ安定的に実現し得る均質な薄膜を形成する
ことの可能な薄膜形成材並び薄膜の形成方法を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜形成材は、
常温硬化性物質からなる多孔質材に、薄膜形成物質を保
持させたことを特徴とする。
【0010】また、本発明の薄膜形成方法は、常温硬化
性物質からなる多孔質材中に含浸させた薄膜形成物質を
蒸発させて、基材上に薄膜を形成することを特徴とす
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の薄膜形成材は、多孔質材
に薄膜形成物質を保持せしめたものであり、該薄膜形成
物質を好ましくは蒸発等により基材上に堆積させるよう
に用いる。そして本発明の薄膜形成材は、この多孔質材
の材料として、常温硬化性物質を用いた点で特徴的であ
る。
【0012】本発明において、“常温硬化性物質”と
は、例えば粉末状物質であって水或いは水を含むアルコ
ールを加え室温〜100℃程度の範囲の温度域での処理
(例えば加熱)により硬化する物質である。但し、特に
硬化の過程で硬化反応時の物質自体の発熱により100
℃を超えるような物質をも包含する。
【0013】前記常温硬化性物質としては、上述したよ
うに好ましくは水(或いは水を含むアルコール)により
硬化する多孔質物質を用いる。具体的には、例えば、ポ
ルトランドセメント、アルミナセメント等の無機質の膠
着物質、石膏(硫酸カルシウム)、石灰(酸化カルシウ
ム又は水酸化カルシウム)、酸化亜鉛等の無機多孔質物
質を用いることができる。特に、硬化時間が短い、成分
構成が単純である、硬化後の多孔質材の空隙率に影響す
る粒度の制御が容易である等の多孔質材を調製する容易
さを考慮すると、石膏、特に粒度分布が遠心沈降法で測
定される粒度分布で1〜100μm程度の石膏を用いる
ことが望ましい。
【0014】前記常温硬化性物質は、水を用いて硬化さ
せた後に薄膜形成物質を含浸させるが、該薄膜形成物質
が水溶性であり、水によって希釈可能な場合には、直接
その水溶液で当該常温硬化性物質を固化乾燥させ、同時
に薄膜形成物質が含浸された薄膜形成材を調製すること
もできる。更に、薄膜を形成する基材(処理される基
材)が特に水分を嫌う材料からなる場合には、基材上に
形成される薄膜に水分の混入を低減させるために、常温
硬化性物質を水分によって固化させた後に150℃から
700℃で乾燥し水分を蒸発させ、その後薄膜形成物質
を含浸させ、水分量が抑制された薄膜形成材を調製して
もよい。
【0015】また、前記常温硬化性物質からなる多孔性
材には、その空隙中に薄膜形成物質を最適量含有させる
ように空隙を調整するべく、常温で硬化しない他の物質
を70重量%以下の配合量で、例えば粒度0.5mm以
下の石英等の無機物質の粉末を70重量%以下の量程度
で混入させても良い。
【0016】常温硬化性物質として石膏を用いる場合で
は、薄膜形成物質を必要量含有させるように空隙を形成
するため、焼き石膏にて水分を40重量%から150重
量%程度配合して固化させて調製することが望ましい。
【0017】本発明の薄膜形成材で用いる薄膜形成物質
としては、形成する薄膜に要求される機能に応じて選択
されるものである。例えば、基材に対して、撥水性、撥
油性、防塵性等の機能を付与するような表面処理を行う
ために用いる薄膜形成材においては、薄膜状態でこれら
機能を付与し得る材料を薄膜形成物質を適用する。
【0018】特に撥水性を付与する薄膜形成物質として
は、例えば、オルガノシロキサン類化合物、又はパーフ
ルオロアルキル基含有化合物等の撥水性の有機材料を好
適に用いることができる。かかるオルガノシロキサン類
化合物の具体例としては、ジエトキシジメチルシラン、
トリエトキシメチルシラン等の他、特開昭61―130
902に挙げられたポリオルガノシロキサン類が挙げら
れる。また、パーフルオロアルキル基含有化合物の具体
例としては、2−(パーフルオロオクチル)エチルトリ
アミノシラン、2−(パーフルオロヘキシル)エチルト
リアミノシランをはじめ、特開昭63−296002号
公報に記載されたパーフルオロアルキル基含有化合物が
挙げられる。この他、クロルトリエチルシラン等のシラ
ン化合物を用いることもできる。これら化合物は単独で
はもちろんのこと2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】上記薄膜形成物質、特に、有機シリコーン
類化合物、またはパーフルオロアルキル基含有化合物等
は、一般には原液あるいは溶媒に希釈された溶液の形で
供給される。そして、これらの物質を含む原液ないし溶
液に、前述したような硬化させた常温硬化性物質からな
る多孔質材を直接浸す方法、また当該原液ないし溶液を
ピペット等で必要量滴下含浸させる方法、あるいは溶
液、特に水溶液の形(薄膜形成物質が水溶性の場合)で
直接常温硬化性物質を固化させる方法などにより、常温
硬化性物質からなる多孔質材に薄膜形成物質を保持せし
めた薄膜形成材を調製する。
【0020】本発明では、上述したような薄膜形成材に
おいて保持された薄膜形成物質を蒸発させ、所定の基材
上に堆積させて薄膜を形成し、基材の表面に所望の機能
を付与する。
【0021】その具体例としては、上述したような薄膜
形成物質として撥水性物質を用いた薄膜形成材を用い、
当該撥水性物質を真空中で加熱蒸発させ、基材の表面に
直接ないしは基材上に形成された無機コート膜等の被膜
上に撥水性物質を堆積せしめ撥水性薄膜を形成し、当該
基材表面に撥水性を付与する。
【0022】ここで、薄膜形成物質を蒸発させる方法と
しては、大気中又は減圧下でのハロゲンランプヒーター
加熱、抵抗加熱による方法が適用される。好ましくは薄
膜形成材を真空槽中等の閉じた系内で加熱する方法が用
いられる。
【0023】真空中における薄膜形成物質の蒸発の条件
は、薄膜形成物質及び基材の種類、状態により条件を適
宜決定することが望ましいが、例えば、プラスチック基
材上にSiO2などの無機コート薄膜を形成した光学レ
ンズ上に、撥水性物質を加熱蒸発及び堆積させて薄膜を
形成する場合には、真空度10-6〜10-3Torrで行うこ
とがより望ましい。
【0024】本発明においては、薄膜を形成する基材は
特に限定されない。例えば、撥水性の薄膜形成物質を用
いて撥水性薄膜を形成する場合では、最表面が無機物質
からなるコート膜であるようなものであれば特に限定さ
れるものではないが、具体例としては、無機反射防止膜
が形成されたガラスレンズ、プラスチックレンズ、光学
フィルター、自動車のフロントガラス、ディスプレイパ
ネルなどが挙げられる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を、図面を参照し、実施例に沿
って更に詳細に説明するが、本発明は以下に限定される
ものではない。
【0026】(例1)石膏(サンエス石膏株式会社製、
商品名:焼石膏/粒度分布5〜50μm)50gに水2
5gを添加し1分間よく攪拌した後、これを図1に示す
ような直径18mm深さ10mmのプラスチック製の鋳型1
に流し込んで室温で1時間乾燥させた。かかる鋳型1内
の石膏2に、化学式n−C817CH2CH2Si(N
23で表されるパーフルオロアルキル基含有化合物を
メタキシレンヘキサフロライドで3%に希釈した撥水処
理用の溶液をピペットを用いて1ml含浸させた。更
に、石膏2を70℃で20分間乾燥後、鋳型1から取り
出し、真空蒸着装置(シンクロンVE800/シンクロ
ン社製)の真空槽内に設置した。即ち、図2に示すよう
な真空蒸着装置3の真空槽4内に設けられた抵抗加熱電
極5間に抵抗加熱ボード6を架設した構造の薄膜形成材
の設置部において、抵抗加熱ボート6上に石膏2を設置
した。
【0027】次に、真空槽4内に、被蒸着基材となるジ
エチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂からな
る合成樹脂製レンズ7をセットした。そして、これ対向
させて設けた電子銃8、蒸着試料ととしてのZrO
29、SiO210を用いて、電子ビーム蒸着法により
(電子ビーム11を試料に照射して)レンズ7上にSi
2薄膜及びZrO2薄膜を交互に、膜構成が基板側から
SiO2膜約3μm、ZrO2膜約0.015μm、Si
2膜約0.02μm、ZrO2膜約0.1μm、SiO
2膜約0.08μmとなるように積層し反射防止膜付き
レンズを得た。
【0028】続いて、この合成樹脂レンズ7を、反射防
止膜の形成後、真空槽4から出さずに、先に抵抗加熱ボ
ート6上にセットした薄膜形成材(薄膜形成物質を保持
した石膏)2を約500℃で3分間加熱し、パーフルオ
ロアルキル基含有化合物を蒸発させ、上記のレンズの反
射防止膜上に撥水薄膜の蒸着による形成を行った。
【0029】蒸着終了後、合成樹脂レンズ7を取り出
し、その表面の状態を観察すると共に、その表面の水に
対する接触角を協和界面科学製CA−Z型接触角計を用
いて測定した。またその測定後アセトンを含ませたレン
ズペーパーで約1Kgの重量をかけ、50往復擦り、そ
の後再度接触角を測定し、その変化を観察した。更に合
成樹脂レンズ7を大気中に1週間放置した後、上記同様
の表面の観察と接触角の測定を行った。結果を下記表1
に示す。
【0030】(例2)石膏(サンエス石膏株式会社製、
商品名:焼石膏/粒度分布5〜50μm)50gに水2
5gを添加し1分間よく攪拌した後、これを図1に示す
ような直径18mm深さ10mmのプラスチック製の鋳型1
に流し込んで室温で1時間乾燥させ、更にオーブン内に
て200℃で1時間加熱し、水分を蒸発させた。かかる
鋳型1内の石膏に、化学式n−C817CH2CH2Si
(NH23で表されるパーフルオロアルキル基含有化合
物をメタキシレンヘキサフロライドで3%に希釈した撥
水処理用の溶液をピペットを用いて1ml含浸させた。
更に、石膏2を70℃で20分間乾燥後鋳型から取り出
し、例1と同様に、図2に示す真空蒸着装置(シンクロ
ンVE800)3の真空槽4内における抵抗加熱ボード
6に設置した。
【0031】続いて、例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜((Si
2とZrO2の積層膜))を形成した後、更に上記抵抗
加熱ボード(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用
い真空蒸着法により撥水薄膜を形成した。こうして得ら
れたレンズの薄膜が形成された側の表面について、例1
と同様に観察及び水に対する接触角を測定、評価した
(撥水膜形成直後及び大気中に1週間放置後)。結果を
下記表1に示す。
【0032】(例3)石膏(サンエス石膏株式会社製、
商品名:焼石膏/粒度分布5〜50μm)50gにCF
3(CH22SiCl3の3%水溶液25gを添加し1分
間よく攪拌した後、これを図1に示すような直径18mm
深さ10mmのプラスチック製の鋳型1に流し込んで室温
で1時間乾燥させた後、これを鋳型から取り出し、例1
と同様に、図2に示す真空蒸着装置3(シンクロンVE
800)の真空槽4内における抵抗加熱ボード6(図2
参照)に設置した。
【0033】続いて、例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜(SiO
2とZrO2の積層膜)を形成した後、更に上述した抵抗
加熱ボード(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用
いて真空蒸着により撥水薄膜を形成した。こうして得ら
れたレンズの薄膜が形成された表面について、例1と同
様に観察及び水に対する接触角を測定し、評価した(撥
水膜形成直後及び大気中に1週間放置後)。結果を下記
表1に示す。
【0034】(例4)石膏(サンエス石膏株式会社製、
商品名:焼石膏/粒度分布5〜50μm)50gに水2
5gを添加し1分間よく攪拌した後、これを図1に示す
ような直径18mm深さ10mmのプラスチック製の鋳型1
に流し込んで室温で1時間乾燥させた後、更にオーブン
内で200℃で1時間加熱し水分を蒸発させた。かかる
鋳型1内の石膏に、化学式n−C817CH2CH2Si
(OCH33で表されるパーフルオロアルキル基含有化
合物(希釈せず)をピペットを用いて0.5ml含浸さ
せた。更に、石膏を鋳型から取り出し70℃で20分間
乾燥した後、例1と同様に、図2に示す真空蒸着装置
(シンクロンVE800)3の真空槽4内における抵抗
加熱ボード6に設置した。
【0035】続いて、例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜(SiO
2とZrO2の積層膜)を形成した後、更に上述した抵抗
加熱ボード(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用
いて真空蒸着により撥水薄膜を形成した。こうして得ら
れたレンズの薄膜が形成された表面について、例1と同
様に観察及び水に対する接触角を測定、評価した(撥水
膜形成直後及び大気中に1週間放置後)。結果を下記表
1に示す。
【0036】(例5)例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜(SiO
2とZrO2の積層膜)を形成した後、真空槽より取り出
し、これに化学式n−C817CH2CH2Si(NH2
3で表されるパーフルオロアルキル基含有化合物をメタ
キシレンヘキサフロライドで3%に希釈した撥水処理用
の溶液を刷毛を用いて直接塗布した。こうして得られた
レンズの薄膜が形成された表面について、例1と同様に
観察及び水に対する接触角を測定、評価した(撥水膜形
成直後及び大気中に1週間放置後)。結果を下記表1に
示す。
【0037】尚、本例のレンズは、1週間の放置後では
表面の一部に白濁が生じ、眼鏡レンズ等として使用不能
な状態となっていた。これはレンズに撥水性物質を塗布
したことで過度に厚く付着し、当該物質中の官能基が大
気中の水分と反応して白濁を生じたことが原因と考えら
れる。
【0038】(例6)例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜(SiO
2とZrO2の積層膜)を形成した後、真空槽より取り出
し、これを化学式n−C217CH2CH2Si(NH2
3で表されるパーフルオロアルキル基含有化合物をメタ
キシレンヘキサフロライドで3%に希釈した撥水処理用
の溶液中に直接浸漬した。こうして得られたレンズの薄
膜が形成された表面について、例1と同様に観察及び水
に対する接触角を測定、評価した(撥水膜形成直後及び
大気中に1週間放置後)。結果を下記表1に示す。
【0039】尚、本例のレンズは、1週間の放置後では
表面の一部に白濁が生じ、眼鏡レンズ等として使用不能
な状態となっていた。これはレンズを直接撥水性物質の
溶液に浸漬せしめたため、レンズに撥水性物質が過度に
厚く付着し、当該物質中の官能基が大気中の水分と反応
して白濁を生じたことが原因と考えられる。
【0040】(例7)直径18mm深さ10mmの銅製
の容器にスチールウールを充填し、これに化学式n−C
817CH2CH2Si(NH23で表されるパーフルオ
ロアルキル基含有化合物をメタキシレンヘキサフロライ
ドで3%に希釈した撥水処理用の溶液をピペットを用い
て1ml含浸させた。更に、これを70℃で20分間乾
燥後、例1で用いた真空蒸着装置(シンクロンVE80
0)3の真空槽4内における抵抗加熱ボード6(図2参
照)に設置した。
【0041】続いて、例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズに真空蒸着により反射防止膜(SiO2とZ
rO2の積層膜)を形成した後、更に上述した抵抗加熱
ボード(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用い、
真空蒸着法により撥水薄膜を形成した。こうして得られ
たレンズの薄膜が形成された表面について、実施例1と
同様に観察及び水に対する接触角を測定、評価した(撥
水膜形成直後及び大気中に1週間放置後)。結果を下記
表1に示す。
【0042】尚、撥水薄膜の真空蒸着形成後、抵抗加熱
ボードに薄膜形成材に用いた銅がごく微量付着してい
た。これは銅製の容器がごく微量溶けたことが原因と推
定される。
【0043】(例8)直径18mm深さ10mmの銅製
の容器にスチールウールを充填し、これに化学式n−C
817CH2CH2Si(NH23で表されるパーフルオ
ロアルキル基含有化合物をメタキシレンヘキサフロライ
ドで3%に希釈した撥水処理用の溶液をピペットを用い
て1ml含浸させた。更に、これを70℃で20分間乾
燥後、スチールウールを銅製容器より取り出し、実施例
1で用いた真空蒸着装置(シンクロンVE800)3の
真空槽4内における抵抗加熱ボード6(図2参照)に設
置した。
【0044】続いて、例1と同様の手順に沿って、合成
樹脂レンズに真空蒸着により反射防止膜(SiO2とZ
rO2の積層膜)を形成した後、更に上述した抵抗加熱
ボード(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用い、
真空蒸着法により撥水膜を形成した。得られたレンズの
膜が形成された表面について、例1と同様に観察及び水
に対する接触角を測定、評価した(撥水膜形成直後及び
大気中に1週間放置後)。尚、当該例では、撥水薄膜形
成のプロセスにおいて、真空排気中に排気される空気の
流れによってスチールウールが抵抗加熱ボード上を移動
し、安定した保持が困難であり、所定膜厚の薄膜を均一
に得ることができなかった。
【0045】(例9)市販のポルトランドセメント(鹿
島コンクリート製、商品名ポルトランドセメント:粒度
分布が1から30μm)50gに水20gを添加し1分
間よく撹拌した後、図1に示すような直径18mm深さ
10mmのプラスチック製の鋳型に流し込んで室温で1
時間乾燥させ、更にオーブン内にて200℃で1時間加
熱し、水分を蒸発させた。かかる鋳型1内のセメント
に、化学式n−C817CH2CH 2Si(NH23で表
されるパーフルオロアルキル基含有化合物をメタキシレ
ンヘキサフロライドで3%に希釈した撥水処理用の溶液
をピペットを用いて1ml含浸させた。更に、セメント
(2)を70℃で20分間乾燥後鋳型から取り出し、例
1と同様に、図2に示す真空蒸着装置(シンクロンVE
800)の真空槽4内における抵抗加熱ボート6に設置
した。
【0046】続いて、例1と同様の手順に従って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜(SiO
2とZrO2の積層膜)を形成した後、更に上記抵抗加熱
ボート(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用い真
空蒸着法により撥水薄膜を形成し、かかるレンズの薄膜
が形成された側の表面について、例1と同様に評価し
た。結果を下記表1に示す。
【0047】(例10)石膏(サンエス石膏株式会社
製、商品名:焼石膏/粒度分布が5から50μmのも
の)50gと二酸化ケイ素粉末(キシダ化学製、商品
名:Siliconoxide:粒度が約35μm以
下)10gに水25gを添加し1分間よく撹拌した後、
その一部を、図1に示すような直径18mm深さ10m
mのプラスチック製の鋳型に流し込んで室温で1時間乾
燥させ、更にオーブン内にて200℃で1時間加熱し、
水分を蒸発させた。かかる鋳型1内の石膏に、化学式n
−C817CH2CH2Si(NH23で表されるパーフ
ルオロアルキル基含有化合物をメタキシレンヘキサフロ
ライド3%に希釈した撥水処理用の溶液をピペットを用
いて1ml含浸させた。更に、石膏2を70℃で20分
間乾燥後鋳型から取り出し、例1と同様に、図2に示す
真空蒸着装置(シンクロンVE800)の真空槽4内に
おける抵抗加熱ボート6に設置した。
【0048】続いて、例1と同様の手順に従って、合成
樹脂レンズ(7)に真空蒸着により反射防止膜(SiO
2とZrO2の積層膜)を形成した後、更に上記抵抗加熱
ボート(6)上に設けられた薄膜形成材(2)を用い真
空蒸着法により撥水薄膜を形成し、かかるレンズの薄膜
が形成された側の表面について、例1と同様に評価し
た。結果を下記表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】表1に示す結果によれば、撥水性物質を石
膏に保持させた薄膜形成材(例1〜4)、撥水性物質を
ポルトラントセメントに保持させた薄膜形成材(例
9)、あるいは撥水性物質を微粉末(二酸化ケイ素)を
含んだ石膏に保持させた薄膜形成材(例10)を用い、
真空蒸着法により合成樹脂レンズ(反射防止膜付)表面
に形成された撥水薄膜は、外部からの影響による水に対
する接触角の変化、即ち、撥水性の変化が低減され、安
定した特性が得られている。
【0051】また、例1〜4、9、10のような薄膜形
成材では、常温硬化性物質からなる多孔質材があらゆる
形態で供給される薄膜形成物質を安定して保持されてお
り、真空蒸着プロセスにおいても装置内で容易に設置使
用することが可能となる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
常温硬化性物質からなる多孔質材に薄膜形成物質を保持
させた薄膜形成材が提供される。かかる薄膜形成材を用
いて、所定の基材上に、低コストで簡易な操作により、
高品質の薄膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の薄膜形成材の調製時におけ
る、石膏をプラスチック製の鋳型に充填した状態を模式
的に示す断面図。
【図2】本発明の実施例で使用する真空蒸着装置の構造
を示す図。
【符号の説明】 1 プラスチック製鋳型 2 石膏、セメント(薄膜形成材) 3 真空蒸着装置 4 真空槽 5 抵抗加熱電極 6 抵抗加熱ボード 7 レンズ 8 電子銃 9 ZrO2 10 SiO2 11 電子ビーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G09F 9/30 312 G02B 1/10 Z

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温硬化性物質からなる多孔質材に、薄
    膜形成物質を保持させた薄膜形成材。
  2. 【請求項2】 前記薄膜形成物質が、撥水性の有機物質
    からなる請求項1記載の薄膜形成材。
  3. 【請求項3】 前記撥水性の有機物質は、有機シリコー
    ン類化合物、又はパーフルオロアルキル基含有化合物で
    あることを特徴とする請求項2記載の薄膜形成材。
  4. 【請求項4】 前記常温硬化性物質が、水によって硬化
    する物質であることを特徴とする請求項1記載の薄膜形
    成材。
  5. 【請求項5】 前記常温硬化性物質が、セメントからな
    る請求項1記載の薄膜形成材。
  6. 【請求項6】 前記常温硬化性物質が、石膏からなる請
    求項1記載の薄膜形成材。
  7. 【請求項7】 前記石膏が粒度分布5〜50μmである
    請求項6記載の薄膜形成材。
  8. 【請求項8】 前記常温硬化性物質からなる多孔質材
    は、70重量%以下の常温で硬化しない物質を混合した
    ことを特徴とする請求項1記載の薄膜形成材。
  9. 【請求項9】 前記常温硬化性物質からなる多孔質材
    が、水または水溶性の撥水性物質を含んだ状態で硬化さ
    れたものであることを特徴とする請求項1記載の薄膜形
    成材。
  10. 【請求項10】 常温硬化性物質からなる多孔質材中に
    保持された薄膜形成物質を蒸発させて、基材上に薄膜を
    形成する薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記薄膜形成物質が撥水性の有機物質
    からなり、基材上に撥水薄膜を形成する請求項10記載
    の薄膜形成方法。
  12. 【請求項12】 基材上に形成された無機物質からなる
    層上に、薄膜を形成する請求項10記載の薄膜形成方
    法。
  13. 【請求項13】 真空槽内で薄膜の形成を行うことを特
    徴とする請求項10記載の薄膜形成方法。
  14. 【請求項14】 真空槽内で基材上に前記無機物質から
    なる層を形成し、同一の真空槽内で該無機物質の層上に
    撥水薄膜を形成する請求項12記載の薄膜形成方法。
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