JPH10179143A - リン酸化1,5−アンヒドログルシトールに作用する酵素を産生する微生物、当該微生物が産生する酵素及びそれを使用したリン酸化1,5−アンヒドログルシトールの定量方法 - Google Patents

リン酸化1,5−アンヒドログルシトールに作用する酵素を産生する微生物、当該微生物が産生する酵素及びそれを使用したリン酸化1,5−アンヒドログルシトールの定量方法

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JPH10179143A
JPH10179143A JP9303642A JP30364297A JPH10179143A JP H10179143 A JPH10179143 A JP H10179143A JP 9303642 A JP9303642 A JP 9303642A JP 30364297 A JP30364297 A JP 30364297A JP H10179143 A JPH10179143 A JP H10179143A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リン酸化1,5−アンヒドロ−D−グルシト
ールに作用する酸化還元酵素を産生する微生物、当該酵
素及びそれを使用したリン酸化1,5−アンヒドロ−D
−グルシトールの定量方法を提供する。 【解決手段】 本発明の微生物は、リン酸化1,5−ア
ンヒドロ−D−グルシトールに作用する酸化還元酵素を
産生する微生物である。本発明の微生物の産生する酸化
還元酵素は1,5−アンヒドロ−D−グルシトールの酵
素定量法に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な微生物、それ
が産生する酵素及び当該酵素を使用した1,5−アンヒ
ドログルシトールの定量方法に関する。より詳細には、
リン酸化1,5−アンヒドロ−D−グルシトール類に作
用する酵素を産生する微生物及び当該微生物が産生し、
リン酸化1,5−アンヒドロ−D−グルシトール類を酸
化し得る酵素、並びに当該酵素を使用したリン酸化1,
5−アンヒドロ−D−グルシトールの定量方法に関し、
かかる酵素及び定量方法は、臨床検査などにおける1,
5−アンヒドロ−D−グルシトール(以下、1,5−A
Gという)の定量に有用である。
【0002】
【従来の技術】1,5−AGはグルコース類似の構造を
有するポリオールであり、ヒトでは血液、髄液、尿など
に存在し、糖尿病患者では1,5−AG濃度が低下する
ことが知られており、糖尿病の重要なマーカーとして注
目されている。従来、1,5−AGはガスクロマトグラ
フィーにより定量されていた(検査と技術、21巻、No.
6、407〜412、1982年)。しかし、この方法で定量する
には特別な装置が必要であり、また操作が繁雑で熟練を
要するため、臨床検査の分野で多数の検体を測定するに
は支障があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、操作性の改善を
目的として1,5−AGの定量に酵素を用いた方法が報
告されている。例えば特開昭63−185397号には
1,5−AGを酸化する酵素を用いて過酸化水素を産生
させて1,5−AGを定量する方法が開示されている。
しかし、このような酸化酵素を用いる方法は、生体試料
中のビリルビンやアスコルビン酸などの還元性物質の影
響を受けるという問題がある。更に、使用する酵素の
1,5−AGに対する基質特異性が低いため、臨床検査
のような各種/多量の糖類を含む試料から微量の1,5
−AGのみを測定することは困難で、各種糖類の測定値
に与える影響が大きい。特に、グルコースの正の影響が
大きいため、これらの対策として、たとえば前記特開昭
63−185397号や特開平7−231796号で
は、強塩基性陰イオン交換樹脂やホウ酸処理法が開示さ
れている。また特開平5−304996号では同様にp
Hを7.2〜8.5に調整する方法が開示されている。
しかし、これらの方法はいずれも操作が繁雑であるとい
う欠点があり、自動分析装置を用いて多数の検体を迅速
に測定するには難点を持っていた。
【0004】このような臨床検査における実状を考慮し
て、自動化に適した検査方法の開発が行われ、特開平6
−303995号、特開平6−189755号あるは特
開平6−239704号に示すように、酸化還元酵素を
用いた1,5−AGの測定方法が検討されてきた。しか
し、各種/多量の糖類を含む臨床検体試料中から微量の
1,5−AGを分別測定することは困難であった。特
に、酸化酵素、例えば、ピラノースオキシダーゼを用い
た方法では混在する糖類の測定値に与える影響が指摘さ
れている(臨床化学、第23巻、第2号、188〜194、19
94年)。このような実状は精密かつ高精度を要求される
臨床検査の分野では改善されなければならない問題であ
る。
【0005】本発明者等はこのような従来の方法を改良
して、臨床検査における検体試料の測定に適応できる方
法、特に自動分析装置に利用できる方法について鋭意研
究を行った。その結果、リン酸化1,5−AGに作用す
る微生物を見出し、またこの微生物からリン酸化1,5
−AGに作用し得る酸化還元酵素の分離に成功した。そ
して、この酵素を、電子受容体の存在下にリン酸化1,
5−AGに作用させて、その酸化還元物を測定すること
により、リン酸化1,5−AGの測定が可能になること
が確認され、更にその反応を利用することによって、
1,5−AGを高精度で測定できることを見出した。詳
しくは、リン酸基供与体の存在下で、1,5−AGにリ
ン酸化酵素を作用させてリン酸化1,5−AGを生成
し、次いで本発明の酵素を作用させることにより1,5
−AGの測定が可能になる。これらの方法は操作が繁雑
でなく、反応条件が穏和なため自動分析装置での測定が
可能となり、日常の臨床検査で多数の試料測定に有用で
あることが分かり、本発明を完成するに至った。本発明
はかかる知見に基づいてなされたもので、リン酸化1,
5−AGに作用する酸化還元酵素を産生する微生物及び
当該微生物が産生する酸化還元酵素並びに当該酵素を使
用したリン酸化1,5−AGの定量方法を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明の要旨は、 リン酸化1,5−AGに作用する酸化還元酵素を産生
するデレヤ属に属する微生物; 微生物が、デレヤ エスピー α-15(FERM BP
−6140)である上記記載の微生物; 下記の理化学的性質及び生化学的性質を有する酵素; a)リン酸化1,5−AGに作用する; b)SDS−PAGEによる推定分子量が約67kDa
である; c)ゲル濾過法による推定分子量が約55kDaであ
る; d)10mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で
平衡化したDEAE型樹脂ゲルに吸着し、0.3M N
aClを含有する同緩衝液で溶出する; リン酸化1,5−アンヒドログルシトールに、電子受
容体の存在下、上記記載の酵素を作用させることを特
徴とするリン酸化1,5−アンヒドログルシトールの定
量方法; 1,5−アンヒドログルシトールをリン酸化し、生成
したリン酸化1,5−アンヒドログルシトールに、電子
受容体の存在下、上記記載の酵素を作用させることを
特徴とする1,5−アンヒドログルシトールの定量方
法;にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明による上記の微生物は、リ
ン酸化1,5−AGに作用する酸化還元酵素を産生す
る。当該酵素はリン酸化1,5−AG及び1,5−AG
の定量に有用である。本発明の微生物の具体例であるデ
レヤ エスピー α-15株の菌学的性質は以下のとおり
である。 (a)形態学的性状 1. 細胞の形及び大きさ: カン菌 2. 細胞の多形性の有無: なし 3. 運動性の有無: あり 4. 胞子の有無: なし 5. グラム染色性: 陰性
【0008】(b)各培地における生育状態 1. 肉汁寒天平板培養: 乳白色/良好 2. 肉汁寒天斜面培養: 乳白色/良好 3. 肉汁液体培養: 乳白色/良好
【0009】(c)生理学的性質 1. 硝酸塩の還元: 陽性 2. 脱窒反応: 陰性 3. VP反応: 陰性 4. インドールの生成: 陰性 5. 硫化水素の生成: 陰性 6. クエン酸の利用: 陰性 7. 色素の生成: 陰性 8. ウレアーゼ: 陰性 9. オキシダーゼ: 陰性 10. カタラーゼ: 陽性 11. 生育の範囲: pH6.0〜8.0/30℃付近 12. 酸素に対する態度: 好気性 13. O-Fテスト: 無変化型 14. 下記の糖類からの酸の生成 L−アラビノース: 陽性 D−キシロース : 陽性 D−グルコース : 陽性 D−マンノース : 陰性 D−フルクトース: 陽性 D−ガラクトース: 陽性 麦芽糖 : 陽性 ショ糖 : 陽性 乳糖 : 陽性 トレハロース : 陽性 D−ソルビット : 陽性 D−マンニット : 陽性 イノシット : 陽性 グリセリン : 陽性
【0010】(d)その他の諸性質 1. β-ガラクトシダーゼ: 陽性 2. アルギニンジヒドラーゼ: 陰性 3. リジンデカルボキシラーセ: 陰性 4. オルニチンデカルボキシラーゼ: 陰性 5. トリプトファンデアミナーゼ: 陰性 6. ゼラチナーゼ: 陰性 7. α−メチル−D−グルコシドでの増殖: 陽性 8. NaClの要求性: 陽性
【0011】以上の菌学的性質から、Bergey's Manual
of Determinative Bacteriology (Ninth Edition)に基
づいて検索したところ、本菌株はデレヤ(Deleya)属の細
菌に比較的類似しているが、上記の諸性質と一致するも
のは見出されなかった。そこで、本発明菌はデレヤ属に
属する新種の菌株と判断し、デレヤ エスピー α-15
(Deleya sp. α-15)と命名した。また、この菌株は工業
技術院生命工学工業技術研究所に「受託番号FERM
BP−6140」として寄託されている。
【0012】本発明菌の培養は、当該菌株が良好に生育
できるものであれば、いかなる培地及び培養条件であっ
てもよく、かかる培養により増殖させて必要量の菌体を
得ることができる。上記の培地は、適当な炭素源、窒素
源、無機イオン及びその他必要な成分を含有させること
ができる。培地の炭素源としては、グルコース、α−メ
チル−D−グルコシドなどが利用できる。また、窒素源
としては、ペプトン、酵母エキス、肉エキスなどの有機
窒素源、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの無
機窒素源が利用できる。更に、無機イオンとしては、リ
ン酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグ
ネシウムイオン、鉄イオン、銅イオン、マンガンイオン
などが利用できる。また、必要に応じて、培地には、ビ
タミン類、細胞増殖因子などの成分を添加することもで
きる。
【0013】本発明菌の培養方法としては、常法に準
じ、振盪培養法などの液体培地を用いる培養方法、寒天
培地などの固体培地を用いる培養方法が利用でき、好気
的条件下に行われる。培養温度は25〜40℃、好まし
くは30℃付近、培養途中のpHは6〜8、好ましくは
7付近にて行われる。培養日数としては、菌体量、培地
組成などに応じて適宜設定できるが、通常1〜2日、好
ましくは1日である。
【0014】本発明の酵素は、本発明の微生物の粉砕物
の水溶性画分から得ることができる。即ち、本発明の酵
素は、培養した本発明の微生物を適当な緩衝液(例え
ば、リン酸緩衝液等、pH6程度)中で慣用の方法(例
えば、フレンチプレス等)で粉砕し、次いで遠心分離し
て夾雑物を除去した水溶性画分に含まれている。上記の
水溶性画分からの本発明の酵素の分離・精製は、慣用の
蛋白質精製法(例えば、塩析、透析、遠心分離、電気泳
動、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー等)に準
じて行うことができる。より具体的には、上記の水溶性
画分に硫酸アンモニウム等の塩を加え、夾雑蛋白を塩析
して除去し、次いで透析により塩を除去し;得られた水
溶液をDEAE型イオン交換クロマトグラフィーで精製
し;溶出液をゲル濾過法で精製することにより、精製さ
れた本発明の酵素を得ることができる。
【0015】かくして得られた本発明の酵素(以下、α
−15 GDHという)は、下記の理化学的性質及び生
化学的性質を有していた。 a)リン酸化1,5−AGに作用する; b)SDS−PAGEによる推定分子量が約67kDa
である; c)ゲル濾過法による推定分子量が約55kDaであ
る; d)10mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で
平衡化したDEAE型樹脂ゲルに吸着し、0.3M N
aClを含有する同緩衝液(pH6.0)で溶出する。
【0016】本発明におけるリン酸化1,5−AGの定
量方法は、リン酸化1,5−アンヒドログルシトール
に、電子受容体の存在下、前記のα−15 GDHを作
用させることからなり、その酵素反応を反応式(1)に
示す。
【0017】
【化1】
【0018】本発明に使用される電子受容体としては特
に制限はなく、例えば、酸素、フェナジンメトサルフェ
ート(PMS)、メトキシ−PMS(m-PMS)、ジ
クロロフェノールインドフェノール(DCIP)、フェ
ロセン、フェロセン誘導体、ニトロテトラブルーテトラ
ゾリウム塩(NTB)、チトクロームC、ニコチンアミ
ドアデニンジヌクレオチド(リン酸)酸化型(NAD
(P))、フラビンモノヌクレオチド(FMN)などが
例示される。
【0019】本発明の方法を、下記の反応式(2)に示
す例をもってより具体的に説明する。この反応におい
て、リン酸化1,5−AGはα−15 GDHの作用に
より酸化されると共に共存するm-PMSは還元され、
生成した還元型m-PMSでNTBを還元してフォルマ
ザンを生成させて、これを波長570nmの吸光度で測
定することにより、リン酸化1,5−AGの定量を行う
ことができる。なお、リン酸化1,5−AGは、例え
ば、下記の反応式(3)、(4)又は(5)に示す方法
を用いて、1,5−AGをリン酸基供与体の存在下でリ
ン酸化することにより生成することができる。反応式
(3)又は(4)に示す酵素反応は公知の反応であり、
従来法に準じて実施することができ、使用される試薬組
成物、反応条件などは従来法に準じて設定することがで
きる。また、反応式(5)に示す反応は、文献(例え
ば、The Journal of Biological Chemistry Vol.269, N
o.26, 17537-17541, 1994; 同誌 Vol.270, No.51, 3045
3-30457, 1995)に記載されているADP-dependent Hexoki
nase(以下、ADP-dependent HKという)を用いる方法
で、本反応では特に効率よく1,5−AGをリン酸化す
ることができることを本発明者らは見出した。
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】また、下記の反応式(6)に示される反応
は本発明の他の例を示すもので、この例ではα−15
GDHの作用によりリン酸化1,5−AGは酸化される
と共に共存するDCIPは還元されるので、波長600
nmの吸光度で測定することにより、リン酸化1,5−
AGの定量を行うことができる。
【0025】
【化6】
【0026】本発明のリン酸化1,5−AGの定量方法
は、適当な緩衝液中で行われ、用いられる酵素の使用量
は、試料中のリン酸化1,5−AG濃度などに応じて適
宜調整することができる。この酵素反応に使用される試
薬組成物の好ましい例としては、MES−NaOH緩衝
液(50mM, pH5.5)、0.1mM m-PM
S、0.01〜2.00mM DCIP、0.01〜1
0% BSA、1〜10 U/ml α−15GDHなど
が挙げられる。また、1,5−AGをリン酸化する酵素
反応で使用される試薬組成物の好ましい例としては、5
0〜100mM リン酸緩衝液(pH7.3)、0.1
〜10mM MgCl2、10〜30mM KCl、2〜
5mM ATP、0.1〜50mM PEP(フォスホエ
ノールピルビン酸)、1〜20 U/ml PK(ピルビ
ン酸キナーゼ)、10〜1000 U/ml HK(又は
GK);又は50〜100mM トリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)、0.1〜10mM MgCl2、10〜
30mM KCl、2〜10mM ADP若しくはCD
P、1〜1000 U/ml ADP-dependent HKなどが
挙げられる。
【0027】反応式(1)、(2)及び(6)の基質で
あるリン酸化1,5−AGは、反応式(3)、(4)又
は(5)に示されるように、常法に準じ1,5−AGに
グルコキナーゼ(GK)、ヘキソキナーゼ(HK)又は
ADP-dependent HKを作用させることにより生成させる
ことができる。従って、反応式(3)、(4)又は
(5)により、1,5−AGからリン酸化1,5−AG
を生成させ、ついで反応式(1)、(2)又は(6)に
よりリン酸化1,5−AGを測定することにより1,5
−AGを測定することが可能になる。
【0028】上記の方法に用いるリン酸化酵素HK(Hex
okinase, EC 2.7.1.1)、ADP-dependent HK(EC登録な
し)及びGK(Glucokinase, EC 2.7.1.2)は特に限定され
ないが、Alternaria sp., Bacillus sp., Aerobacter a
erogenes, Aspergillus oryzae, Bacillus stearotherm
opilus, Collectotrichum trifolii, Collectotrichum
trunctum, Escherichia coli, Fusarium roseum, Gibbe
rella fujikuroi, Leuconostoc mesenteroides, Saccha
romyces cerevisiae, Pyrococcus furiosusなど微生物
由来の酵素が適する。また、血清などの試料中の1,5
−AGを測定する場合は、特開平5−76397号に示
す試料中のグルコースの消去法を用いることにより、多
量のグルコースを含む血清試料中の1,5−AGを正確
に測定することもできる。なお、血清試料中のグルコー
スの消去に関する方法はこれらに限定されるものではな
い。
【0029】
【発明の効果】本発明菌はリン酸化1,5−AGを炭素
源として利用できるので、本発明菌の産生する酵素はリ
ン酸化1,5−AGに作用しリン酸化1,5−AGの酵
素定量、ひいては1,5−AGの酵素定量法に有用であ
る。また、本発明の方法によれば、リン酸化1,5−A
G及び1,5−AGを簡便にして且つ高精度で定量する
ことができ、更に自動分析装置による測定が可能である
ので、多数の試料を迅速に処理することができるという
効果を奏する。
【0030】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1菌株の取得 唯一の炭素源としてα−メチル−D−グルコシドを添加
したM9培地寒天プレート(培地1リットル当り、Na
2HPO4 6g、KH2PO4 3g、NaCl30g、N
4Cl 1g、α−メチル−D−グルコシド 4g、M
gSO4 1mM、CaCl2 0.1ml、寒天15gを
含有)に、日本各地で採取した海水試料を加え、30℃
で好気的に培養した。コロニーを単離し、下記のグルコ
ースデヒドロゲナーゼ(GDH)活性試験に付し、GD
H活性を有するコロニーを選択・分離した。GDH活性
試験は、各コロニーの細胞を10mM リン酸緩衝液
(3%NaCl含有、pH6.0)で3回洗浄した後、
0.75mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェ
ノール(DCIP)、0.75mM フェナジンメトサ
ルフェート(PMS)及び100mM α−メチル−D
−グルコシドを含有する25mM トリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)に加え、DCIPの消色を観察し、消色
が認められたコロニーはGDH活性を有すると判断し
た。その結果、幾つかのGDH活性を有するコロニーが
見出され、そのうちGDH活性が特に強い株を単離した
(デレヤ エスピー α-15株)。
【0031】実施例2デレヤ エスピー α-15株の培養 上記の菌株を、1リットル当り10gポリペプトン、1
g酵母抽出物、30gNaCl、2g K2HPO4、1
0g α−メチル−D−グルコシドを含有する培地(pH
7.0)中で、30℃にて12〜48時間好気的に培養
した。培養細胞を分離し、3% NaClを含有する1
0mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で洗浄し
た。1リットルの培養液から約10g(湿潤重量)の細胞
を得た。
【0032】実施例3酵素(α−15 GDH)の分離・精製 後期対数期にある上記の培養細胞をフレンチプレス(1
500kgf)で粉砕した後、超遠心(4℃、6980
0×g、90分間)して上清の水溶性画分(10mM
リン酸カリウム緩衝液、pH6.0)を分離した。この
画分に硫酸アンモニウムを30%となるように添加して
析出物を廃棄し、水溶液は10mM リン酸カリウム緩
衝液(pH6.0)を用いて透析した。透析後の水溶液
は、DEAE−トヨパールカラム(内径22mm×20
cm)に付し、更に10mM リン酸カリウム緩衝液
(pH6.0)で平衡化したDEAE−5PWカラム
(内径5mm×5cm)に付した。0〜0.45M N
aClを含有する10mM リン酸カリウム緩衝液(p
H6.0)を用いた直線勾配法で溶出したところ、目的
物質は0.3M NaClにて溶出した。溶出液を、
0.3M NaClを含有する10mM リン酸カリウム
緩衝液(pH6.0)で平衡化したTSKgel G3
000カラム(内径8mm×30cm)に付し、GDH
活性画分を分離して本発明の酵素を含む溶液を得た。得
られた酵素液を、8−25%ポリアクリルアミド勾配ゲ
ル(ファルマシア社製、PhastGel gradient 8-25)を用
いたSDS−電気泳動法(硝酸銀染色)で分子量を測定
したところ、約67kDaであった。また、前述のTS
Kgel G3000を用いたゲル濾過法で分子量を測
定したところ、約55kDaであった。なお、分子量標
準として、低分子量スタンダードキット(ファルマシア
社製)を使用した。
【0033】実施例4本発明の酵素(α−15 GDH)を用いたリン酸化
1,5−AGの定量 本発明の酵素の存在下、リン酸化1,5−AGを酸化す
ると共にDCIPを還元する酵素反応(反応式6)を利
用し、種々の濃度のリン酸化1,5−AGを試料として
検量線を作成した。即ち、本発明の酵素溶液20μlと
50mM MES緩衝液(pH5.5)に0.1mM D
CIP、0.1% BSAを含む試薬300μlを混和
して37℃で5分間予備加温した後、生理的食塩水に種
々の濃度のリン酸化1,5−AGを溶解した試料80μ
lを添加して消費されるDCIPを600nmの吸光度
で測定した。リン酸化1,5−AG濃度と吸光度の関係
を図1に示す。図1に示されるように、本発明の酵素を
用いた測定法は良好な直線性を示した。
【0034】実施例5本発明の酵素(α−15 GDH)を用いた1,5−A
Gの定量 ヘキソキナーゼ(HK)又はグルコキナーゼ(GK)を
用いて1,5−AGをリン酸化する酵素反応(反応式
4)と、本発明の酵素を用いてリン酸化1,5−AGを
酸化する酵素反応(反応式2)を組み合わせ、種々の濃
度の1,5−AGを用いて検量線を作成した。即ち、
0.1%トリトンX−100、0.1% BSA、10
mM MgCl2、20mM PEP(フォスホエノール
ピルビン酸)、20mM KCl、5mM ATP、50
0 U/ml HK、10 U/ml PK(ピルビン酸キ
ナーゼ)、1.3mM NTB(ニトロテロラブルーテ
トラゾリウム塩)及び0.13mM m-PMS(メトキ
シ-フェナジンメトサルフェート)を含む50mM トリ
ス-塩酸緩衝液(pH8.0)の第一試薬320μに
1,5−AG試料20μlを加え、37℃下で5分間予
備加温した後、0.1%トリトンX−100、0.1%
BSA、60 U/mlの本発明の酵素を含む50mM
トリス-塩酸緩衝液(pH8.0)の第二試薬80μl
を加え5分間加温した。その後、570nmにおける吸
光度を測定した。図2にその検量線を示す。図2に示さ
れるように、本発明の酵素を用いた測定法は良好な直線
性を示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酵素を用いたリン酸化1,5−AGの
定量における検量線を示す図である。
【図2】本発明の酵素を用いた1,5−AGの定量にお
ける検量線を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 9/04 C12R 1:01) (72)発明者 渡津 吉史 神戸市西区室谷1丁目1−2 国際試薬株 式会社研究開発センター内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸化1,5−アンヒドロ−D−グ
    ルシトールに作用する酸化還元酵素を産生するデレヤ属
    に属する微生物。
  2. 【請求項2】 微生物が、デレヤ エスピー α-15
    (FERM BP−6140)である請求項1記載の微
    生物。
  3. 【請求項3】 下記の理化学的性質及び生化学的性質
    を有する酵素。 a)リン酸化1,5−アンヒドロ−D−グルシトールに
    作用する; b)SDS−PAGEによる推定分子量が約67kDa
    である; c)ゲル濾過法による推定分子量が約55kDaであ
    る; d)10mM リン酸カリウム緩衝液(pH6.0)で
    平衡化したDEAE型樹脂ゲルに吸着し、0.3M N
    aClを含有する同緩衝液で溶出する。
  4. 【請求項4】 リン酸化1,5−アンヒドログルシト
    ールに、電子受容体の存在下、請求項3記載の酵素を作
    用させることを特徴とするリン酸化1,5−アンヒドロ
    グルシトールの定量方法。
  5. 【請求項5】 1,5−アンヒドログルシトールをリ
    ン酸化し、生成したリン酸化1,5−アンヒドログルシ
    トールに、電子受容体の存在下、請求項3記載の酵素を
    作用させることを特徴とする1,5−アンヒドログルシ
    トールの定量方法。
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