JPH10179026A - 深いこく味を有するo/w乳化組成物の製造方法 - Google Patents

深いこく味を有するo/w乳化組成物の製造方法

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JPH10179026A
JPH10179026A JP34871896A JP34871896A JPH10179026A JP H10179026 A JPH10179026 A JP H10179026A JP 34871896 A JP34871896 A JP 34871896A JP 34871896 A JP34871896 A JP 34871896A JP H10179026 A JPH10179026 A JP H10179026A
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保雄 奥冨
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雅治 鶴巻
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幹広 金子
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 深いこく味を有し、加熱殺菌によっても、こ
く味が劣化や低下することのないO/W乳化組成物を提
供すること。 【解決手段】 本発明のO/W乳化組成物の製造方法
は、非熟成の冷凍変性させたナチュラルチーズを、水に
溶解、乳化し、その後、脂肪球をクラスタリングさせ、
二次粒子の体積比率が、全脂肪球の5〜90%になるよ
うに二次粒子を形成せしめることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深いこく味を有す
るO/W乳化組成物の製造方法、詳しくは、長期間保存
しても風味の劣化が生じにくい、乳飲料並びに、パン、
洋菓子素材用の乳等を主要原料とする食品に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の
乳飲料や、乳等を主要原料とする食品は、例えば、牛
乳、脱脂粉乳、バター等の乳製品を用いて製造されてい
る。これらの、乳飲料や、乳等を主要原料とする食品
は、流通、販売するために、その製造工程中に加熱殺菌
又は滅菌工程を設けているのが通常である。上記加熱殺
菌又は滅菌工程は、原料乳製品の風味やこく味を劣化又
は低減させる為、従来は、これを補う目的で、原料の乳
製品を増量したり、香料を添加しているのが現状であ
る。このため、上記加熱殺菌又は滅菌工程によっても、
こく味の低減しない乳化組成物が望まれていた。
【0003】従って、本発明の目的は、深いこく味を有
し、加熱殺菌によっても、こく味が劣化や低下すること
のないO/W乳化組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
した結果、非熟成のナチュラルチーズを冷凍変性させた
ものを用い、これを水に溶解、乳化し、その後、脂肪球
をクラスタリングさせ、二次粒子の体積比率が、特定範
囲の比率になるように二次粒子を形成せしめることによ
り、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0005】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、非熟成の冷凍変性させたナチュラルチーズを、水に
溶解、乳化し、その後、脂肪球をクラスタリングさせ、
二次粒子の体積比率が、全脂肪球の5〜90%になるよ
うに二次粒子を形成せしめることを特徴とする、O/W
乳化組成物の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のO/W乳化組成
物の製造方法について詳述する。本発明に使用される非
熟成の冷凍変性させたナチュラルチーズとは、非熟成の
ナチュラルチーズ、即ち熟成を行わない生鮮なナチュラ
ルチーズを、冷凍変性させたものである(以下、この非
熟成の冷凍変性させたナチュラルチーズを「冷凍ナチュ
ラルチーズ」という)。熟成の進んだ(熟成を行った)
ナチュラルチーズを使用した場合には、発酵風味が強く
なり、得られるO/W乳化組成物も生乳の持つ新鮮なこ
く味や乳風味が弱くなるため、本発明においては上記の
非熟成のナチュラルチーズが使用される。
【0007】上記の非熟成のナチュラルチーズとして好
ましいものは、乳脂肪分50重量%以上及び蛋白質含量
4.0重量%以上の非熟成の高脂肪ナチュラルチーズで
ある。また、このような高脂肪ナチュラルチーズは、通
常、水分が40重量%以下の低水分品である。
【0008】上記高脂肪ナチュラルチーズを製造する方
法としては、例えば、生乳や脱脂乳、クリーム、バター
ミルク等を、限外ろ過、超ろ過等の膜濃縮、真空蒸発濃
縮又はこれらの組合せにより、好ましくはその体積の5
0〜76%をカットし、濃縮したものを原料として、以
下殺菌、均質化、スターター接種、凝固等、ナチュラル
チーズの製造の一連の常法により得る方法等が挙げられ
る。
【0009】ここで、上記の非熟成のナチュラルチーズ
の具体的な製造方法の一例を、下記≪製造例≫に示す。 ≪製造例≫脂肪分3.6重量%、無脂乳固形分8.3重
量%の原料生乳をクラリファイヤーにて清浄化後、HI
ST熱交換殺菌機にて、74〜76℃の温度で15秒間
殺菌し、55℃に冷却後、続けて遠心分離機で乳脂肪分
30重量%のクリームと脱脂乳とに分離する。分離され
たクリームは、プレート殺菌機にて再度100℃で3秒
間殺菌し、55℃で真空脱気処理後、限外ろ過濃縮装置
を用いて乳脂肪分70重量%まで濃縮する。一方、脱脂
乳は、超ろ過濃縮装置を用いて、無脂乳固形分13.6
重量%まで濃縮する。限外ろ過により濃縮されたクリー
ムと、超ろ過により濃縮された脱脂乳とを、クリーム/
脱脂乳=80/20(重量比)の割合で混合し、この混
合物を掻き取り式熱交換機を用いて、115℃で2秒間
殺菌し、30℃まで冷却する。次に、チーズバット内
で、この混合物を22℃において、各種乳酸連鎖菌や各
種乳酸かん菌等の培養液からなる1.0重量%のスター
ター、又は濃縮物100kgに対して0.6gのレンネ
ットを、各々単独で又は双方組み合わせて接種し、均一
に混合後、12〜16時間静置し凝固させる。凝固物を
チーズパット内で攪拌して破砕後、クリーマーで組織を
均一なクリーム状とし、75℃に加熱し、圧力175k
g/cm2 で均質化し、熱い間に充填包装後0〜5℃の
冷蔵保管庫で一晩保管して、非熟成のナチュラルチーズ
を得る。
【0010】上記≪製造例≫で得られた非熟成のナチュ
ラルチーズは、乳脂肪分55.8重量%、水分33.3
重量%、蛋白質8.0重量%、無脂乳固形分10.9重
量%の組成からなり、高脂肪、低水分の組成を有し、生
鮮な乳風味を有したものである。
【0011】本発明に使用される上記冷凍ナチュラルチ
ーズは、上述のようにして得られた非熟成のナチュラル
チーズを、例えば冷凍庫内で冷凍保存する等により、該
チーズの凍結温度(凍結点)以下の温度で冷凍変性させ
たものである。該チーズの凍結温度は、該チーズの水分
含量により異なり、該水分含有量が40重量%程度のも
のは概ね−7.0〜−10.0℃であり、30重量%程
度のものは概ね−16.0〜−18.0℃である。
【0012】本発明においては、上記の非熟成のナチュ
ラルチーズの冷凍変性により、該チーズ中の蛋白質は、
水和していた水の一部又は大部分を失い脱水され、その
結果、分子内架橋結合が切断されて高次構造が変化し、
ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊
離状態になる為、解凍後に分子間架橋結合を生成しやす
い状態にあると考えられる。これにより、得られるO/
W乳化組成物における脂肪球がクラスタリングを起こす
ものと考えられる。
【0013】上記冷凍変性の進行程度を判断するには、
例えば、上記冷凍ナチュラルチーズを、60℃程度の温
水中に入れ、一定時間、一定強度のプロペラ攪拌により
溶解し、その後、60メッシュ程度のふるいで濾した時
のふるい上残存物の量を測定することで容易に行われ
る。具体的には、冷凍保存の前後で、ふるい上残存物の
量に変化が無ければ冷凍変性は進行しておらず、量が増
えれば冷凍変性が進行していると判断できる。
【0014】上記冷凍変性のための冷凍期間は、冷凍温
度や、上記の非熟成のナチュラルチーズの組成により異
なるが、概ね、7日間〜24ヶ月であることが好まし
い。該冷凍期間が7日間より短いと、該チーズの冷凍変
性が不十分となり、本発明の効果を得難くなり、また、
24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり、冷凍ナチ
ュラルチーズの溶解、乳化が困難となるので好ましくな
い。
【0015】上記冷凍ナチュラルチーズを水に溶解する
際に、通常のプロペラ攪拌を用いる場合には、該チーズ
の溶解液中において、冷凍したことにより不溶化した該
チーズ中のカゼインが存在し、該カゼインは水(温水を
含む)に完全には溶解しない。しかし、上記冷凍ナチュ
ラルチーズを水に溶解する際に、有機酸塩類、リン酸塩
類及び無機塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以
上の塩類を添加する方法、又は上記チーズを物理的に破
砕する方法(以下、「物理的破砕法」という)、又はこ
れらの両方法を組み合わせた方法により、上記チーズ
(チーズ中のカゼイン)を溶解することができる。本発
明においては、上記溶解液中に上記の不溶化したカゼイ
ンを含んでいても、本発明の効果を損なわない限り特に
問題ないが、上述のような方法により、上記カゼインを
溶解した方が好ましい。
【0016】ここで、上記有機酸塩類としては、例え
ば、クエン酸塩類、酒石酸塩類等が例示され、また上記
リン酸塩類としては、例えば、オルトリン酸塩類、ピロ
リン酸塩類、メタリン酸塩類、ポリリン酸塩類等が例示
され、また上記無機塩類としては、例えば、炭酸塩類等
が例示され、またこれらの塩類としては、例えば、ナト
リウム等から構成された塩が例示される。これらの塩類
は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。また、上記塩類の中でも、リン酸三ナトリ
ウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等
のリン酸塩類や、クエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム等が特に好ましい。
【0017】上記塩類の添加量は、無水物換算で、上記
冷凍ナチュラルチーズに対して、好ましくは0.05〜
4.0重量%である。該添加量が、0.05重量%未満
になると、該チーズ中の蛋白質の解膠水和が不十分とな
り、均一で滑らかなO/W乳化組成物が得られないこと
がある。また、4.0重量%を越えると、各種塩類特有
の塩味、酸臭が発現し、乳風味を損ねることがある。
【0018】また、上記物理的破砕法とは、水中におい
て、上記冷凍ナチュラルチーズに高いせん断力や、圧縮
力、衝撃力等の物理的力を与えることで、該チーズを破
砕し、水和させる方法である。上記物理的力を与えるこ
とのできる装置としては、例えば、クイックホモミキサ
ー、ディスパーミキサー〔以上、みずほ工業(株)
製〕、スパイラルピンミキサー〔大平洋機工(株)
製〕、エバラマイルダー〔(株)荏原製作所製〕等のタ
ービン式混合機や、アトライタ、ユニバーサルミル〔以
上、三井三池化工機(株)製〕等の摩砕型ミル等が例示
できる。これらの装置は、1種単独で又は2種以上を組
み合わせて、上記冷凍ナチュラルチーズの破砕、溶解に
使用される。
【0019】本発明においては、上記冷凍ナチュラルチ
ーズを、水に溶解し(好ましくは、上述の2種の方法を
各々単独に又は適宜組み合わせて用いて水に溶解し)、
必要に応じて後述のその他の原料を混合した後、乳化
し、その後、脂肪球をクラスタリングさせ、二次粒子
(脂肪球の二次粒子)の体積比率が、全脂肪球の5〜9
0%、好ましくは15〜80%、更に好ましくは30〜
80%になるように二次粒子を形成させる。尚、本明細
書において「二次粒子」とは、クラスタリングにより形
成された平均粒径が5〜100μmの脂肪球の集合物を
いうものとする。
【0020】上記脂肪球のクラスタリングは、上記冷凍
ナチュラルチーズの溶解液の単独乳化物、又は必要に応
じてその他の原料を混合した乳化物を、一定時間エージ
ングすることにより発生させることができ、所定量の二
次粒子を形成した後、平衡状態となる。このときの様子
は、粒度分布測定装置を用いることにより、容易に観
察、測定することができる。このように、全脂肪球に対
して上記範囲の体積比率である二次粒子を形成すること
により、本発明の効果である深いこく味が強く発現す
る。
【0021】上記脂肪球のクラスタリングを生成させる
ためのエージング期間は、用いる非熟成のナチュラルチ
ーズの組成や冷凍変性の程度、得られるO/W乳化組成
物の処方により異なるが、何ら脂肪球のクラスタリング
を加速する手段を講じない場合には、短くて、おおよそ
18時間、長くて、5日間程度の時間が必要である。
【0022】本発明においては、上記の脂肪球のクラス
タリングを加速する一手段として、下記のカルシウムを
含有する食品素材及び/又は食品添加物を添加する方法
が好ましく用いられる。この方法を用いることにより、
得られるO/W乳化組成物のカルシウムイオン濃度が上
昇し、これにより、脂肪球がクラスタリングを起こし、
二次粒子の形成速度を制御することができる。
【0023】上記カルシウムイオン濃度の上昇による二
次粒子形成の加速の度合いは、上記のカルシウムを含有
する食品素材及び/又は食品添加物の種類、添加量以外
に、使用する非熟成のナチュラルチーズの種類や冷凍変
性の程度、必要により添加する塩類の種類や量により異
なり、一様ではない。このため、上記の二次粒子形成の
加速の度合いの効率を最もよくする条件が適宜選択され
る。
【0024】ここで、上記のカルシウムを含有する食品
素材及び/又は食品添加物としては、カルシウムイオン
を供給できるものであれば特に限定されるものではない
が、カルシウム含有量が該食品素材/又は食品添加物1
00g当たり概ね50mg以上、好ましくは300mg
以上のものが望ましい。
【0025】このようなカルシウムを含有する食品素材
の例としては、例えば、牛乳、クリーム、脱脂乳、脱脂
粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー等の乳製
品や、生乳から分離した乳清ミネラル、ミルクカルシウ
ム等が例示される。また、上記のカルシウムを含有する
食品添加物の例としては、例えば、炭酸カルシウム、硫
酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等
が例示される。
【0026】更に、本発明においては、上記の脂肪球の
クラスタリングを加速する別の手段として、1段圧力と
2段圧力との比率が、2段圧力/1段圧力=0.2〜
0.9となるように、2段式高圧バルブホモジナイザー
で均質化する方法が好ましく用いられる。
【0027】上記高圧バルブホモジナイザーとしては、
2段式であれば、その機種、バルブ形状共に特に限定さ
れるものではなく、乳製品製造に一般的に用いられてい
るものが用いられる。通常行われる乳製品製造では、1
段圧力と2段圧力との比率は、2段圧力/1段圧力=
0.1〜0.2未満となるのが一般的である。これに対
し、本発明では、2段圧力/1段圧力=0.2〜0.9
となるように、2段圧力を高め、1段圧力に近づけてい
る。このような比率で均質化することで本発明の効果は
向上する。この理由は、1段目で均質化され細かくなっ
た脂肪球が、続けて1段圧力に比較的近い圧力で処理さ
れることで、脂肪球表面の界面活性物質の膜が歪みや損
傷を受け、クラスタリングを起こしやすい状態となるた
めと考えられる。
【0028】本発明においては、上記の非熟成のナチュ
ラルチーズを冷凍変性させて、クラスタリングを起こし
やすい状態としている。そのため、通常、強制的なクラ
スタリングが発生するカルシウムイオン濃度よりも、遥
かに低いカルシウムイオン濃度で、二次粒子の形成を加
速することができる。また、2段式高圧バルブホモジナ
イザーでの均質化時も、比較的小さな圧力比率(2段圧
力/1段圧力)で、二次粒子の形成を加速することがで
きる。
【0029】本発明においては、上述したように、上記
脂肪球をクラスタリングさせ、二次粒子の体積比率が、
全脂肪球の5〜90%、好ましくは15〜80%、更に
好ましくは30〜80%になるように二次粒子を形成さ
せる。該二次粒子の体積比率が5%未満であると、こく
味の発現が弱くなり、また、90%を越えると、O/W
乳化組成物の乳化安定性が損なわれる。
【0030】上記の二次粒子の体積比率の測定方法は、
例えば、次の方法が挙げられ、該方法にて容易に測定、
算出できる。即ち、得られたO/W乳化組成物の粒度分
布を体積を基準に測定し、この粒度分布を(分布1)と
する。次に、該O/W乳化組成物を、出力35w、周波
数47kHzの超音波分散器を用いて超音波分散を行
い、60秒おきに粒度分布を測定する。分布に変化がな
くなり、平衡に達した粒度分布を(分布2)とする。こ
れにより、二次粒子が消滅し、クラスタリング発生前の
一次粒子のみによる粒度分布を測定できる。(分布1)
から(分布2)を減じ、(分布1)から消失した差分分
布の割合を二次粒子の体積比率とする。
【0031】本発明において、上記冷凍ナチュラルチー
ズを水に溶解した後、必要に応じて混合されるその他の
原料としては、動植物油脂類、乳化剤、増粘安定剤、甘
味料、香料、着色料等が挙げられる。これらの他の原料
は、目的に応じて適宜使用することができる。
【0032】本発明においては、上記冷凍ナチュラルチ
ーズを水に溶解し、必要に応じてその他の原料を混合
し、乳化して予備乳化物を形成し、更に、該予備乳化物
に、予備均質化処理、殺菌及び/又は滅菌処理、均質化
処理を行い、低温(例えば、5〜10℃)まで冷却後、
無菌充填機にて充填し、低温(例えば、5℃)の冷蔵庫
内でエージングすることにより、好ましいO/W乳化組
成物を得ることができる。
【0033】更に、本発明においては、上記冷凍ナチュ
ラルチーズ及び乳化剤を含む水相、及び油相を形成し、
該水相と該油相と混合、乳化した予備乳化物を用いた場
合に、良好で深いこく味を持ったO/W乳化組成物を得
ることができる。
【0034】本発明の製造方法により得られたO/W乳
化組成物は、長期間保存しても風味の劣化が生じにく
い、乳飲料並びに、パン、洋菓子素材用の乳等を主要原
料とする食品等に広く用いることができる。
【0035】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0036】≪実施例1≫73.42重量%の温水(6
0℃)に、トリポリリン酸Naを0.05重量%(対冷
凍ナチュラルチーズ0.25重量%)を溶解後、乳化剤
としてショ糖脂肪酸エステル(HLB16)を0.03
重量%を均一に分散して分散液とした。次に、前記《製
造例》に従って製造した非熟成のナチュラルチーズを用
い、これを−18℃にて60日間冷凍保存品して冷凍変
性させた、乳脂肪分55.8%、無脂乳固形分10.9
%の冷凍ナチュラルチーズ20.0重量%を上記分散液
に投入し、60℃まで加温した後、30分間混合攪拌し
て該冷凍ナチュラルチーズを溶解、乳化した。その後、
更に、6.50重量%の砂糖を溶解後、予備乳化物を得
た。次に、この予備乳化物を60℃の温度で、20kgf/
cm2 の圧力で予備均質化し、直ちに130℃にて3秒間
のUHT処理を行い、60℃の温度で1段100−2段
90kgf/cm2 の圧力(2段/1段比0.90)で再度均
質化し、10℃に冷却後、無菌充填機にて充填し、5℃
の冷蔵庫中で24時間エージングして、O/W乳化組成
物を得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の体
積比率が全脂肪球の58.4%、粘度が20cps/5.0
℃、乳脂肪分11.2重量%、無脂乳固形分2.2重量
%の乳飲料であり、乳風味は、牛乳に酷似した、良好で
深いこく味を有していた。(下記〔表1〕参照)
【0037】≪実施例2≫1段100−2段60kgf/cm
2 の圧力(2段/1段比=0.60)で均質化した以外
は、実施例1と同一配合、同一工程にてO/W乳化組成
物を得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の体
積比率が全脂肪球の44.8%、粘度が15cps/5.0
℃、乳脂肪分11.2重量%、無脂乳固形分2.2重量
%の乳飲料であり、乳風味は、実施例1で得られたO/
W乳化組成物と同様に、牛乳に酷似した、良好で深いこ
く味を有していた。(下記〔表1〕参照)
【0038】≪実施例3≫1段100−2段20kgf/cm
2 の圧力(2段/1段比=0.20)で均質化し、また
後、5℃の冷蔵庫中で72時間エージングした以外は、
実施例1と同一配合、同一工程にてO/W乳化組成物を
得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の体積比
率が全脂肪球の36.2%、粘度が15cps/5.0℃、
乳脂肪分11.2重量%、無脂乳固形分2.2重量%の
乳飲料であり、乳風味は、実施例1で得られたO/W乳
化組成物と同様に、牛乳に酷似した、良好で深いこく味
を有していた。(下記〔表1〕参照)
【0039】≪実施例4≫73.47重量%の温水(6
0℃)に、ショ糖脂肪酸エステル(HLB16)0.0
3重量%を均一に分散して分散液とした。次に、実施例
1で使用したものと同一の冷凍ナチュラルチーズ20.
0重量%を上記分散液に投入し、60℃まで加温し、1
0分間混合攪拌した後、大平洋機工(株)製スパイラル
ピンミキサー(SPM−15W型)を用いて、60℃に
て30分間循環、粉砕溶解した。続いて、6.50重量
%の砂糖を溶解して、予備乳化物を得た。次に、この予
備乳化物を60℃の温度で、20kgf/cm2 の圧力で予備
均質化し、直ちに130℃にて3秒間のUHT処理を行
い、60℃の温度で1段100−2段60kgf/cm2 の圧
力(2段/1段比=0.60)で再度均質化し、10℃
に冷却後、無菌充填機にて充填し、5℃の冷蔵庫中で2
4時間エージングして、O/W乳化組成物を得た。得ら
れたO/W乳化組成物は、二次粒子の体積比率が全脂肪
球の74.7%、粘度が25cps/5.0℃、乳脂肪分1
1.2重量%、無脂乳固形分2.2重量%の乳飲料であ
り、乳風味は、牛乳に酷似した、良好で深いこく味を有
していた。(下記〔表1〕参照)
【0040】≪比較例1≫冷凍ナチュラルチーズに替え
て、同一工程より得た、同一組成の冷蔵ナチュラルチー
ズ(冷凍履歴無し)を用いた以外は全て実施例1と同様
の配合及び製造方法でO/W乳化組成物を得た。得られ
たO/W乳化組成物は、二次粒子の形成がほとんど見ら
れず、(体積比率が全脂肪球の0.1%)、粘度が12
cps/5.0℃、組成は、実施例1で得られたO/W乳化
組成物と同じ乳脂肪分11.2重量%、無脂乳固形分
2.2重量%の乳飲料であるが、乳風味は、実施例1で
得られたO/W乳化組成物の様な、牛乳に酷似した、深
いこく味を有しておらず、淡白な風味であった。(下記
〔表1〕参照)
【0041】
【表1】
【0042】実施例1〜4及び比較例1で得られたO/
W乳化組成物について、下記の10人の判定者で、こく
味についての官能試験を常法(Kramerの順位法)により
下記判定基準に従って実施した。その結果を下記〔表
2〕に示す。 判定基準・・乳のこく味を強く感じる順に1〜5の順位
をつける。 判定者・・・10名〔男性5名(M1〜M5)、女性5
名(F1〜F5)〕
【0043】
【表2】
【0044】Kramerの順位法では、判定者数(n)=1
0及び実験試料数(t)=5の場合は、各順位合計の値
(Ti)が、20〜40の範囲を外れると危険率5%で
有意差があるといえる。実施例1〜4で得られたO/W
乳化組成物の各順位合計の値は、全て20〜40の範囲
内にある為、各実験試料間に有意差が無いが、比較例1
で得られたO/W乳化組成物の順位合計の値は47で2
0〜40の範囲を越えている。従って、実施例1〜4で
得られたO/W乳化組成物は、比較例1で得られたO/
W乳化組成物と比較して、有意にこく味が強いといえ
る。
【0045】≪実施例5≫43.3重量%の温水(60
℃)に、ヘキサメタリン酸Naを0.40重量%(対冷
凍ナチュラルチーズ1.14重量%)を溶解後、乳化剤
としてショ糖脂肪酸エステル(HLB11)0.20重
量%及びポリグリセリンモノステアレート(HLB1
3.4)0.10重量%を均一に分散して分散液とし
た。次に、実施例1で用いたものと同一の乳脂肪分5
5.8重量%、無脂乳固形分10.9重量%の冷凍ナチ
ュラルチーズ(−18℃にて60日間冷凍保存品) 3
5.0重量%を上記分散液に投入し、60℃まで加温
し、10分間混合攪拌した後、大平洋機工(株)製スパ
イラルピンミキサー(SPM−15W型)を用いて、6
0℃にて30分間循環粉砕溶解した。その後、更に、2
1.0重量%の脱塩ホエイパウダーを溶解して、予備乳
化物を得た。次に、この予備乳化物を60℃の温度で2
0kgf/cm2 の圧力で予備均質化し、直ちに130℃にて
3秒間のUHT処理を行い、60℃の温度で、1段15
0−2段120kgf/cm2 の圧力(2段/1段比=0.8
0)で再度均質化し、10℃に冷却後、無菌充填機にて
充填し、5℃の冷蔵庫中で24時間エージングして、O
/W乳化組成物を得た。得られたO/W乳化組成物は、
二次粒子の体積比率が全脂肪球の55.6%、粘度が1
70cps/5.0℃、乳脂肪分19.5重量%、無脂乳固
形分24.8重量%の合成濃縮乳状組成物で、3倍濃縮
乳と同等の組成を持ち、還元した後の乳風味は、牛乳に
酷似した、良好で深いこく味を有しており、飲料とし
て、また、調理、製菓、製パン用に牛乳代替品として使
用し得るものであった。(下記〔表3〕参照)
【0046】≪実施例6≫実施例5で用いた脱塩ホエイ
パウダーに替えて、未脱塩ホエイパウダーを用い、また
UHT処理後の均質化を1段150−2段40kgf/cm2
の圧力(2段/1段比=0.27)で行った以外は、全
て実施例5と同様の配合及び製造方法でO/W乳化組成
物を得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の体
積比率が全脂肪球の62.3%、粘度が180cps/5.
0℃、乳脂肪分1 9.5重量%、無脂乳固形分24.8
重量%で3倍濃縮乳と同等の組成を持ち、還元した後の
乳風味は、実施例5で得られたO/W乳化組成物と同様
に、良好な深いこく味を有していた。(下記〔表3〕参
照)
【0047】≪実施例7≫実施例5で用いた脱塩ホエイ
パウダーに替えて、未脱塩ホエイパウダーを用いた以外
は、全て実施例5と同様の配合及び製造方法でO/W乳
化組成物を得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒
子の体積比率が全脂肪球の72.1%、粘度が180cp
s/5.0℃、乳脂肪分1 9.5重量%、無脂乳固形分2
4.8重量%で3倍濃縮乳と同等の組成を持ち、還元し
た後の乳風味は、実施例5で得られたO/W乳化組成物
と同様に、良好な深いこく味を有していた。(下記〔表
3〕参照)
【0048】≪実施例8≫UHT処理後の均質化を1段
150−2段40kgf/cm2 の圧力(2段/1段比=0.
27)で行った以外は、全て実施例5と同様の配合及び
製造方法でO/W乳化組成物を得た。得られたO/W乳
化組成物は、二次粒子の体積比率が全脂肪球の36.4
%、粘度が120cps/5.0℃、乳脂肪分19.5重量
%、無脂乳固形分24.8重量%で3倍濃縮乳と同等の
組成を持ち、還元した後の乳風味は、実施例5で得られ
たO/W乳化組成物と同様に、良好な深いこく味を有し
ていた。(下記〔表3〕参照)
【0049】≪比較例2≫冷凍ナチュラルチーズに替え
て、同一工程より得た、同一組成の冷蔵ナチュラルチー
ズ(冷凍履歴無し) を用い、また脱塩ホエイパウダーに
替えて、未脱塩ホエイパウダーを用いた以外は全て実施
例5と同様の配合及び製造方法でO/W乳化組成物を得
た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の形成が全
く見られず、(体積比率が全脂肪球の0.0%)、粘度
が90cps/5.0℃、乳脂肪分1 9.5重量%、無脂乳
固形分24.8重量%で、実施例5で得られたO/W乳
化組成物と同一の組成を有していたが、還元した後の乳
風味は、実施例5で得られたO/W乳化組成物の様な深
いこく味を有しておらず、淡白な風味であった。(下記
〔表3〕参照)
【0050】
【表3】
【0051】実施例5〜8及び比較例2で得られたO/
W乳化組成物を水で3倍に還元したものについて、下記
の10人の判定者で、こく味についての官能試験を常法
(Kramerの順位法)により下記判定基準に従って実施し
た。その結果を下記〔表4〕に示す。 判定基準・・乳のこく味を強く感じる順に1〜5の順位
をつける。 判定者・・・10名〔男性5名(M1〜M5)、女性5
名(F1〜F5)〕
【0052】
【表4】
【0053】前記〔表2〕と同様に、判定者数(n)=
10及び実験試料数(t)=5の場合は、各順位合計の
値(Ti)が、20〜40の範囲を外れると危険率5%
で有意差があるといえる。実施例5〜8で得られたO/
W乳化組成物の各順位合計の値は、全て20〜40の範
囲内にあるが、比較例2で得られたO/W乳化組成物の
順位合計の値は46で20〜40の範囲を越えている。
従って、実施例5〜8で得られたO/W乳化組成物は、
比較例2で得られたO/W乳化組成物と比較して、有意
にこく味が強いといえる。
【0054】≪実施例9≫上昇融点36℃のナタネ硬化
油30.7重量%、パーム核油11.0重量%を溶融混
合し、これにソルビタンモノステアレート0.2重量%
を溶解し、60℃まで加温して、油相を調製した。これ
とは別に、43.4重量%の温水(60℃)に、ヘキサ
メタリン酸Na0.10重量%及びリン酸三Na0.2
0重量%を溶解後、ショ糖脂肪酸エステル(HLB1
1)0.30重量%及びポリグリセリンモノオレート
(HLB13)0.20重量%を均一に分散して分散液
とした。その後、実施例1で用いたものと同一の乳脂肪
分55.8重量%、無脂乳固形分10.9重量%の冷凍
ナチュラルチーズ(−18℃にて60日間冷凍保存品)
10.0重量%を上記分散液に投入し、60℃まで加温
し、10分間混合攪拌した後、大平洋機工(株)製スパ
イラルピンミキサー(SPM−15W型) を用いて、6
0℃にて30分間循環、粉砕溶解した。次いで、3.9
重量%の脱脂粉乳を溶解後、混合攪拌して、水相を調製
した。上記水相と、上記油相とを、30分間混合攪拌し
て予備乳化物を得た。次に、この予備乳化物を60℃の
温度で50kgf/cm2 の圧力で予備均質化し、直ちに13
0℃にて3秒間のUHT処理を行い、60℃の温度で1
段100−2段80kgf/cm2 の圧力(2段/1段比=
0.80)で再度均質化し、10℃に冷却後、無菌充填
機にて充填し、5℃の冷蔵庫中で24時間エージングし
て、O/W乳化組成物を得た。得られたO/W乳化組成
物は、二次粒子の体積比率が全脂肪球の54.1%、粘
度が60cps/5.0℃で、乳脂肪分3.3重量%、無脂
乳固形分4.9重量%の気泡性乳化脂(いわゆるホイッ
プクリーム) であった。このO/W乳化組成物100重
量部に、砂糖10重量部を添加して、縦型ミキサーにて
ホイップさせたところ、オーバーラン115%で、キ
メ、保形性(15℃、24時間後) とも良好であった。
また、このO/W乳化組成物(気泡性乳化脂)は、生乳
様の深く、濃厚なこく味を有していた。(下記〔表5〕
参照)
【0055】≪実施例10≫水相を調製時に、温水の量
を43.05重量%とし、脱脂粉乳と共に0.35重量
%のミルクカルシウム( 乳清ミネラルを精製し、カルシ
ウム含量を18重量%に高めたもの) を添加し、またU
HT処理後の均質化を1段100−2段20kgf/cm2
圧力(2段/1段比=0.20)で行った以外は全て実
施例9と同様の配合及び製造方法でO/W乳化組成物を
得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の体積比
率が全脂肪球の61.9%、粘度が70cps/5.0℃
で、実施例9で得られたO/W乳化組成物と同等の組成
を持つ気泡性乳化脂 (いわゆるホイップクリーム) であ
った。このO/W乳化組成物100重量部に、砂糖10
重量部を添加して、縦型ミキサーにてホイップさせたと
ころ、オーバーラン112%で、キメ、保形性ともに良
好であった。また、このO/W乳化組成物(気泡性乳化
脂)は、実施例9で得られたO/W乳化組成物と同様
に、良好な深いこく味を有していた。(下記〔表5〕参
照)
【0056】≪実施例11≫水相を調製時に、温水の量
を43.05重量%とし、脱脂粉乳と共に0.35重量
%のミルクカルシウム(乳清ミネラルを精製し、カルシ
ウム含量を18重量%に高めたもの) を添加した以外は
全て実施例9と同様の配合及び製造方法でO/W乳化組
成物を得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子の
体積比率が全脂肪球の67.8%、粘度が75cps/5.
0℃で、実施例9で得られたO/W乳化組成物と同等の
組成を持つ気泡性乳化脂( いわゆるホイップクリーム)
であった。このO/W乳化組成物100重量部に、砂糖
10重量部を添加して、縦型ミキサーにてホイップさせ
たところ、オーバーラン109%で、キメ、保形性とも
に良好であった。また、このO/W乳化組成物(気泡性
乳化脂)は、実施例9で得られたO/W乳化組成物と同
様に、良好な深いこく味を有していた。(下記〔表5〕
参照)
【0057】≪実施例12≫UHT処理後の均質化を1
段100−2段20kgf/cm2 の圧力(2段/1段比=
0.20)で行った以外は全て実施例9と同様の配合及
び製造方法でO/W乳化組成物を得た。得られたO/W
乳化組成物は、二次粒子の体積比率が全脂肪球の47.
3%、粘度が65cps/5.0℃で、実施例9で得られた
O/W乳化組成物と同等の組成を持つ気泡性乳化脂(い
わゆるホイップクリーム) であった。このO/W乳化組
成物100重量部に、砂糖10重量部を添加して、縦型
ミキサーにてホイップさせたところ、オーバーラン11
8%で、キメ、保形性ともに良好であった。また、この
O/W乳化組成物(気泡性乳化脂)は、実施例9で得ら
れたO/W乳化組成物と同様に、良好な深いこく味を有
していた。(下記〔表5〕参照)
【0058】≪比較例3≫水相調製時に、42.7重量
%の温水を用い、冷凍ナチュラルチーズ(60日間冷凍
保存品) に替えて、同一工程より得た、同一組成の冷蔵
ナチュラルチーズ(冷凍履歴無し) を用い、またミルク
カルシウムの添加量を0.70重量%に倍増した以外は
全て実施例11と同様の配合及び製造方法でO/W乳化
組成物を得た。得られたO/W乳化組成物は、二次粒子
の体積比率が全脂肪球の0.4%、粘度が40cps/5.
0℃で、実施例9で得られたO/W乳化組成物と同等の
組成を持つ気泡性乳化脂(いわゆるホイップクリーム)
であった。このO/W乳化組成物100重量部に、砂糖
10重量部を添加して、縦型ミキサーにてホイップさせ
たところ、オーバーラン125%で、キメ、保形性とも
に良好であった。しかし、このO/W乳化組成物には、
実施例9〜12で得られたO/W乳化組成物の様な、深
く、濃厚なこく味は認められなかった。(下記〔表5〕
参照)
【0059】
【表5】
【0060】実施例9〜12及び比較例3で得られたO
/W乳化組成物(気泡性乳化組成物)100重量部に、
砂糖10重量部を添加して、縦型ミキサーにてホイップ
させたものについて、下記の10人の判定者で、こく味
についての官能試験を常法(Kramerの順位法)により下
記判定基準に従って実施した。その結果を下記〔表6〕
に示す。 判定基準・・乳のこく味を強く感じる順に1〜5の順位
をつける。 判定者・・・10名〔男性5名(M1〜M5)、女性5
名(F1〜F5)〕
【0061】
【表6】
【0062】前記〔表2〕と同様に、判定者数(n)=
10及び実験試料数(t)=5の場合は、各順位合計の
値(Ti)が、20〜40の範囲を外れると危険率5%
で有意差があるといえる。実施例9〜12で得られたO
/W乳化組成物の各順位合計の値は、全て20〜40の
範囲内にあるが、比較例3で得られたO/W乳化組成物
の順位合計の値は45で20〜40の範囲を越えてい
る。従って、実施例9〜12で得られたO/W乳化組成
物は、比較例3で得られたO/W乳化組成物と比較し
て、有意にこく味が強いといえる。
【0063】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、深いこく味
を有し、加熱殺菌によっても、こく味が劣化や低下する
ことのないO/W乳化組成物を得ることができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非熟成の冷凍変性させたナチュラルチー
    ズを、水に溶解、乳化し、その後、脂肪球をクラスタリ
    ングさせ、二次粒子の体積比率が、全脂肪球の5〜90
    %になるように二次粒子を形成せしめることを特徴とす
    る、O/W乳化組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記ナチュラルチーズが、乳脂肪分50
    重量%以上及び蛋白質含量4.0重量%以上の非熟成の
    高脂肪ナチュラルチーズを冷凍変性させたものであるこ
    とを特徴とする請求項1記載のO/W乳化組成物の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 上記脂肪球をクラスタリングさせる際
    に、カルシウムを含有する食品素材及び/ 又は食品添加
    物を添加することを特徴とする請求項1又は2記載のO
    /W乳化組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記脂肪球をクラスタリングさせる際
    に、1段圧力と2段圧力との比率が、2段圧力/1段圧
    力=0.2〜0.9となるように、2段式高圧バルブホ
    モジナイザーで均質化することを特徴とする請求項1又
    は2記載のO/W乳化組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記ナチュラルチーズを水に溶解する際
    に、該ナチュラルチーズに対して、無水物換算で、0.
    05〜4.0重量%の有機酸塩類、リン酸塩類及び無機
    塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の塩類を
    添加することを特徴とする請求項1又は2記載のO/W
    乳化組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記ナチュラルチーズを水に溶解する際
    に、該ナチュラルチーズを物理的に破砕することを特徴
    とする請求項1又は2記載のO/W乳化組成物の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかに記載のO/W乳
    化組成物の製造方法によって製造されたことを特徴とす
    るO/W乳化組成物。
  8. 【請求項8】 上記ナチュラルチーズを水に溶解、乳化
    して予備乳化物を形成し、該予備乳化物に、均質化処
    理、並びに殺菌及び/又は滅菌処理を行って得られたこ
    とを特徴とする請求項7記載のO/W乳化組成物。
  9. 【請求項9】 上記ナチュラルチーズ及び乳化剤を含む
    水相、及び油相を形成し、該水相と該油相とを混合、乳
    化して得られたことを特徴とする請求項7又は8記載の
    O/W乳化組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008212075A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Meiji Milk Prod Co Ltd チーズ及びその製造法
JP2011234697A (ja) * 2010-05-13 2011-11-24 Taiyo Kagaku Co Ltd チーズ乳化物の製造方法及びチーズ乳化物、並びにこれを用いた乳含有飲料

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