JPH10159855A - 玉軸受用冠型保持器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 保持器７ｃのラジアル方向に亙る位置決めを
図り、且つ、この保持器７ｃの内外両周面と内輪２の外
周面及び外輪４の内周面との間の洗浄を十分に行なえる
構造を実現する。 【解決手段】 保持器７ｃの内周面の３個所位置以上
に、それぞれ案内突部１５、１５を形成する。これら各
案内突部１５、１５の先端面を内輪２の外周面に摺接さ
せて、ラジアル方向に亙る位置決めを図る。又、保持器
７ｃの内外両周面と内輪２の外周面及び外輪４の内周面
との間には、内径側隙間１３及び外径側隙間１４を設け
る。洗浄液は、これら両隙間１３、１４を通過しつつ、
玉軸受の軸方向に流れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明の玉軸受用冠型保持器
は、ハードディスクドライブ装置（ＨＤＤ）やビデオテ
ープレコーダ（ＶＴＲ）等、各種機器の回転部分を支持
する為の玉軸受を構成する複数の玉を、転動自在に保持
する為に利用する。

【０００２】

【従来の技術】各種回転部分を支持する為に、図９に示
す様な玉軸受を広く使用している。この玉軸受は、外周
面に内輪軌道１を有する内輪２と、内周面に外輪軌道３
を有する外輪４とを同心に配置し、上記内輪軌道１と外
輪軌道３との間に複数個の玉５、５を転動自在に設けて
成る。上記外輪４の両端部内周面には、それぞれ円輪状
のシールド板６、６の外周縁を係止し、両シールド板
６、６によって、上記玉５、５設置部分に存在するグリ
ースが外部に漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥がこ
の設置部分に進入したりするのを防止している。上記複
数個の玉５、５は、保持器７により転動自在に保持して
いる。尚、密封装置として、上記非接触型のシールド板
６、６に代えて、接触型のシール板を使用する場合もあ
る。

【０００３】上記保持器７としては、従来から種々のも
のを使用している。例えば、図１０〜１２は、従来の第
１例の構造として、冠型保持器と呼ばれるもののうち
の、所謂玉案内型の保持器７ａを示している。この保持
器７ａは、円環状の主部８と、この主部８の軸方向片面
に等間隔に設けられた複数のポケット９、９とを備え
る。これら各ポケット９、９は、互いに間隔をあけて配
置した１対の弾性片１０、１０と、上記主部８の片面
（図１２の上面）でこの１対の弾性片１０、１０の間部
分に設けた凹面部１１とから構成する。そして、各ポケ
ット９に玉５（図９）を１個ずつ、転動自在に保持す
る。この様に構成する各ポケット９、９の内周面は、そ
の全体を球状凹面としている。この球状凹面の曲率半径
は、上記玉の転動面の曲率半径よりも僅かに大きくして
いる。この様な保持器７ａは、例えば合成樹脂を射出成
形する事により、一体に形成している。

【０００４】上記各玉５、５は、各ポケット９、９を構
成する１対ずつの弾性片１０、１０の先端部同士の間隔
を弾性的に押し広げつつ、これら１対の弾性片１０、１
０の間に押し込む。そして、上記各玉５、５を各ポケッ
ト９、９の内側に、転動自在に保持する。この状態で、
上記各玉５、５の転動面と上記各ポケット９、９の内周
面との間には、微小な隙間が存在する。従って、上記各
玉５、５を上記各ポケット９、９に保持した状態では、
上記保持器７ａがこれら各玉５、５を円周方向に亙って
等間隔に保持すると共に、各玉５、５によって上記保持
器７ａのラジアル方向位置を規制する。

【０００５】又、図１３〜１４は、従来の第２例の構造
として、やはり冠型保持器と呼ばれるもののうちの、所
謂内輪案内型の保持器を示している。この保持器７ｂ
は、上述した保持器７ａ（図１０〜１２）と同様、円環
状の主部８と、この主部８の片面に、等間隔に設けられ
た複数のポケット９、９とを備える。そして、各ポケッ
ト９、９は、１対の弾性片１０、１０と凹面部１１とを
備え、玉５（図９）を転動自在に保持する。この保持器
７ｂも、例えば合成樹脂を射出成形する事により一体形
成する。又、上記ポケット９の内周面は、やはり球状凹
面をなしている。

【０００６】更に、この内輪案内型の保持器７ｂに於い
ては、上記主部８の基端部（図１４の下端部）内周面に
突条１２を、全周に亙り設けている。この保持器７ｂに
より、各玉５、５、前記内輪２、外輪４（図９参照）等
と共に玉軸受を構成する場合、上記突条１２の内周縁を
上記内輪２の外周面に摺接させ、この保持器７ｂのラジ
アル方向（図１４の左右方向）の位置決めを行なう。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の第１〜２例の保持器７ａ、７ｂには、それぞれ以下
に述べる様な解決すべき課題が存在する。先ず、図１０
〜１２に示した第１例の保持器７ａの場合、保持器７ａ
のラジアル方向に亙る位置決めを必ずしも十分に行なえ
ない。即ち、各玉５、５の転動を円滑に行なわせる為に
は、これら各玉５、５の転動面と各ポケット９、９の内
面との間に或る程度の隙間を介在させる必要がある。そ
して、この隙間の存在に基づいて上記保持器７ａが、図
１５〜１６に誇張して示す様に、ラジアル方向に亙って
変位する事が避けられない。この様な変位が発生する
と、所謂保持器音と呼ばれる振動を伴う騒音が発生す
る。特に、外径が１．２５mm以下の玉５、５を使用する
ミニアチュア玉軸受用の保持器の場合には、上記隙間を
確保する必要上、上記変位に基づく保持器音が発生し易
くなる。特に、回転トルクの低減を目的として、玉５、
５の数を少なく（８個以下に）する程、上記保持器音の
発生が顕著になる。

【０００８】これに対して、図１３〜１４に示した第２
例の保持器７ｂの場合には、この保持器７ｂのラジアル
方向に亙る位置決めを十分に行なって（ラジアル方向に
亙る変位を防止して）、上記保持器音の発生を防止でき
る反面、次の様な問題を生じる。即ち、図９に示す様
に、保持器７を、内輪２と外輪４と複数の転動体５、５
とを組み立てて玉軸受を構成した後、シールド板６、６
（或はシール板）を装着する以前に、上記内輪２の外周
面と外輪４の内周面との間で上記各転動体５、５を設置
した空間部分を洗浄する必要がある。この洗浄作業は、
図１７に矢印で示す様に、上記空間部分に洗浄液を、軸
方向に亙り流通させる事により行なう。この様な洗浄作
業により、上記各周面に付着した異物を洗い流し、上記
各転動体５、５の転動面と内輪軌道１及び外輪軌道３と
の間にこの異物が噛み込まれる事を防止する。

【０００９】ところが、図１３〜１４に示した第２例の
保持器７ｂの場合には、この保持器７ｂの内周面に、こ
の保持器７ｂのラジアル方向に亙る位置決めを図る為の
突条１２を全周に亙って形成している。この為、上記洗
浄液は、保持器７ｂの外周面と外輪４の内周面との間を
流れても、この保持器７ｂの内周面と内輪２の外周面と
の間はあまり（或は殆ど）流れない。この結果、これら
保持器７ｂの内周面或は内輪２の外周面に付着している
異物がそのまま残留する可能性がある。この様に残留し
た異物は、玉軸受の使用に伴って上記各転動体５、５の
転動面と内輪軌道１及び外輪軌道３との間に噛み込ま
れ、これら各面を傷める可能性がある。そして、これら
各面が傷んだ場合には、玉軸受の音響性能が悪化する。
ＨＤＤやＶＴＲに組み込むミニアチュア玉軸受の場合に
は、この様な音響性能の悪化は、そのままミニアチュア
玉軸受を組み込んだ機器の性能劣化に結び付く為、好ま
しくない。本発明の玉軸受用冠型保持器は、上述の様な
不都合を何れも解消すべく考えたものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の玉軸受用冠型保
持器は、前述した従来の玉軸受用冠型保持器と同様に、
円環状の主部と、この主部の軸方向片面に設けられた複
数のポケットとを備える。そして、これら各ポケット
は、上記主部の軸方向片面に互いに間隔をあけて配置さ
れた１対の弾性片同士の間に設けている。そして、外輪
の内周面と内輪の外周面との間にこれら内輪及び外輪に
対して回転自在に設置した状態で、上記各ポケット内に
玉を転動自在に保持する。

【００１１】特に、本発明の玉軸受用冠型保持器に於い
ては、上記主部及び弾性片の外径を上記外輪の内径より
も十分に小さくして、これら主部及び弾性片の外周面と
上記外輪の内周面との間に、洗浄液が通過可能な外径側
隙間を形成している。又、上記主部及び弾性片の内径を
上記内輪の外径よりも十分に大きくして、これら主部及
び弾性片の内周面と上記内輪の外周面との間に、洗浄液
が通過可能な内径側隙間を形成している。更に、上記主
部の何れかの周面の円周方向の一部に、この周面から相
手部材の周面に向け直径方向に突出する案内突部を形成
し、これら各案内突部の先端面と上記相手部材の周面と
を摺接させる事により、直径方向に亙る位置決めを図っ
ている。尚、好ましくは上記案内突部を、円周方向に亙
る幅寸法を小さく形成し、円周方向の３個所位置以上
に、互いに等間隔に配置する。

【００１２】

【作用】上述の様に構成する本発明の玉軸受用冠型保持
器が、複数の玉を転動自在に保持する際の作用自体は、
前述した従来の玉案内型の玉軸受用冠型保持器の場合と
同様である。特に、本発明の玉軸受用冠型保持器の場合
には、各案内突部の先端面と上記相手部材の周面とを摺
接させる事により、直径方向に亙る位置決めを十分な高
精度で図れる。従って、保持器を組み込んだ玉軸受が、
保持器のラジアル方向に亙る振動に基づき、保持器音と
呼ばれる振動や騒音を発生する事を防止できる。

【００１３】又、上記各案内突部は、円周方向の一部に
設けている。従って、本発明の玉軸受用冠型保持器を玉
軸受に組み込んだ状態で、この保持器の周面と相手部材
の周面との間には、洗浄液が通過可能な隙間が存在す
る。この為、玉軸受用冠型保持器を、内輪と外輪と複数
の玉と共に組み合わせて玉軸受を構成した後、これら内
輪の外周面と外輪の内周面との間で上記複数の玉を設置
した空間部分の洗浄を確実に行なえる。特に、幅の狭い
案内突部を、円周方向３個所以上に配置すれば、上記隙
間の円周方向に亙る長さ寸法を大きくし、この隙間の面
積を十分に確保して、より優れた洗浄効果を得られる。

【００１４】

【発明の実施の形態】図１〜４は、本発明の実施の形態
の第１例を示している。この保持器７ｃは、合成樹脂を
射出成形する事により一体成形し、前述の図１０〜１２
に示した従来構造の第１例の場合と同様に、円環状の主
部８と、この主部８の軸方向片面に等間隔に設けられた
複数のポケット９、９とを備える。各ポケット９、９
は、互いに間隔をあけて配置した１対の弾性片１０、１
０と、上記主部８の片面（図２の上面）でこの１対の弾
性片１０、１０の間部分に設けた凹面部１１とから構成
する。又、これら各弾性片１０、１０の外周面及び上記
主部８の外周面は同一円筒面上に、これら各弾性片１
０、１０の内周面及び上記主部８の内周面は、上記各外
周面が存在する円筒面と同心の同一円筒面上に、それぞ
れ存在する。そして、各ポケット９に玉５、５を１個ず
つ、転動自在に保持自在としている。この様に構成する
各ポケット９、９の内周面は、その全体を球状凹面とし
ている。この球状凹面の曲率半径は、上記玉５、５の転
動面の曲率半径よりも僅かに大きくしている。

【００１５】特に、本発明の玉軸受用冠型保持器の場合
には、上記主部８及び上記各弾性片１０、１０の外周面
が存在する円筒面の直径を、上記保持器７ｃを組み込む
べき玉軸受を構成する外輪４の内径よりも十分に小さく
している。従って、上記保持器７ｃを玉軸受に組み込ん
だ状態で、この保持器７ｃを構成する主部８及び弾性片
１０、１０の外周面と上記外輪４の内周面との間には、
洗浄液が通過可能な外径側隙間１３が形成される。又、
上記主部８及び弾性片１０の内周面が存在する円筒面の
直径を、上記保持器７ｃを組み込むべき玉軸受を構成す
る内輪２の外径よりも十分に大きくしている。従って、
上記保持器７ｃを玉軸受に組み込んだ状態で、この保持
器７ｃを構成する主部８及び弾性片１０、１０の内周面
と上記内輪２の外周面との間には、洗浄液が通過可能な
内径側隙間１４が形成される。

【００１６】更に、上記主部８の内周面の円周方向等間
隔３個所位置以上（図示の例では７個所位置）に、この
内周面から相手部材の周面である上記内輪２の外周面に
向け、直径方向内方に突出する案内突部１５、１５を形
成している。これら各案内突部１５、１５の最大内接円
の直径は、上記内輪２の外径よりも僅かに大きくしてい
る。従って、上記保持器７ｃを玉軸受に組み込んだ状態
では、上記各案内突部１５、１５の先端面と上記内輪２
の外周面との摺接に基づき、この保持器７ｃの直径方向
に亙る位置決めを図る。

【００１７】上述の様に構成される本発明の玉軸受用冠
型保持器が、複数の玉５、５を転動自在に保持する際の
作用自体は、前述の図１０〜１４に示した、従来の玉軸
受用冠型保持器の場合と同様である。特に、本発明の玉
軸受用冠型保持器の場合には、上記各案内突部１５、１
５の先端面と上記内輪２の外周面とを摺接させる事によ
り、直径方向に亙る位置決めを十分な高精度で図れる。
即ち、本発明の保持器７ｃは、前述の図１３〜１４に示
した内輪案内型の保持器７ｂと同様に、ラジアル方向に
亙る変位量を小さく抑える事ができる。従って、この保
持器７ｃを組み込んだ玉軸受が、保持器７ｃのラジアル
方向に亙る振動に基づき、保持器音と呼ばれる振動や騒
音を発生する事を防止できる。

【００１８】又、上記各案内突部１５、１５は、円周方
向に亙って間欠的に設けている。従って、図３〜４に示
す様に本発明の保持器７ｃを玉軸受に組み込んだ状態で
は、この保持器７ｃの外周面と外輪４の内周面との間に
前記外径側隙間１３が、全周に亙って途切れる事なく形
成される他、この保持器７ｃの内周面と内輪２の外周面
との間に前記内径側隙間１４が、間欠的に形成される。
この内径側隙間１４が途切れるのは、上記各案内突部１
５、１５の形成部分のみである。従って、上記保持器７
ｃの内周面と上記内輪２の外周面との間には、円周方向
に亙って十分な長さ寸法を有し、しかも洗浄液が通過可
能な、上記内径側隙間１４が存在する。この為、上記保
持器７ｃを、上記内輪２と外輪４と複数の玉５、５と共
に組み合わせて玉軸受を構成した後、これら内輪２の外
周面と外輪４の内周面との間で上記複数の玉５、５を設
置した空間部分の洗浄を確実に行なえる。

【００１９】又、図示の例では、各弾性片１０、１０の
外周面及び上記主部８の外周面を同一円筒面上に、これ
ら各弾性片１０、１０の内周面及び上記主部８の内周面
を、上記各外周面が存在する円筒面と同心の同一円筒面
上に、それぞれ存在させている為、上記保持器７ｃを射
出成形する為の型の製作が容易となる。更に、本例の場
合には、上記各案内突部１５、１５を円弧形としている
為、次の様な効果を有する。先ず第一に、これら各案内
突部１５、１５の先端部と上記内輪２の外周面との接触
部の円周方向に亙る寸法を小さくして、上記洗浄液の通
過面積を広くできる。又、玉軸受の回転時に、くさび作
用によって、これら各案内部１５、１５の先端面と上記
内輪２の外周面との間に剛性の高い潤滑油膜を形成し
て、これら両面の摺動抵抗並びに摩耗の低減を図れる。

【００２０】次に、図５は、本発明の実施の形態の第２
例を示している。本例の場合には、保持器７ｄの内周面
の等間隔４個所位置に、それぞれ案内突部１５ａ、１５
ａを形成している。案内突部１５ａ、１５ａを少なくし
た分、これら各案内突部１５ａ、１５ａの先端面１６、
１６を、これら各先端面１６、１６が摺接する内輪２
（図３〜４）の外周面の曲率に合わせて湾曲させてい
る。従って、案内突部１５ａ、１５ａの数が少なくなっ
た事により、保持器７ｄのラジアル方向に亙る位置決め
の剛性が低くなる事はない。その他の構成及び作用は、
上述した第１例の場合と同様である。

【００２１】尚、図１〜５に示した実施の形態の第１〜
２例は何れも、案内突部１５、１５ａを保持器７ｃ、７
ｄの内周面から直径方向内方に突出させている。これに
対して、本発明を実施する場合に、図６に示した実施の
形態の第３例の様に、各案内突部１５ｂ、１５ｂを保持
器７ｅの外周面から直径方向外方に突出する状態で形成
し、これら各案内突部１５ｂ、１５ｂの先端面１６ａ、
１６ａと外輪の内周面とを摺接させる事もできる。尚、
本例の場合には、各ポケット９ａ、９ａの内面を円筒面
としている。

【００２２】更には、保持器の内周面（又は外周面）に
設ける突条の数を、本発明の実施の形態の第４〜５例を
示す図７〜８の様に、１〜２個とする事もできる。但
し、図７に示す様に１個の案内突部１５ｃを形成する場
合、或は図８に示す様に２個の案内突部１５ｄ、１５ｄ
を形成する場合には、これら各案内突部１５ｃ、１５ｄ
の中心角（周方向に亙る長さ寸法）を大きくして、保持
器７ｆ、７ｇのラジアル方向に亙る位置決めを確実に図
れる様にする。尚、この様に案内突部１５ｃ、１５ｄの
数を少なくした場合には、３個以上の案内突部１５、１
５ａ、１５ｂを設けた場合に比べて洗浄液を通過させる
べき隙間の面積が狭くなって、そのままでは、前述した
第１〜３例の場合に比べて、洗浄効果が劣る事が避けら
れない。そこで、これら第４〜５例を採用する場合に
は、洗浄時間を長くする等により、必要とする洗浄効果
を確保する。即ち、これら第４〜５例の場合でも、前述
の図１３、１４、１７に示した従来構造の場合に比べれ
ば優れた洗浄効果を得られるので、洗浄時間を長くする
等により、必要とする洗浄効果を得る事は可能である。
又、何れにしても、本発明が、小径（１．２５mm以下）
の玉を少数（８個以下）保持する、ＨＤＤやＶＴＲ用の
ミニアチュア玉軸受に組み込む保持器に実施した場合
に、より顕著な効果を得られる事は、前述した説明から
明らかである。

【００２３】

【発明の効果】本発明の玉軸受用冠型保持器は、以上に
述べた通り構成され作用する為、動摩擦トルクを増大さ
せる事なく、自励振動の発生を抑制できる。従って、本
発明の保持器を組み込んだ玉軸受の回転トルクの低減
と、有害な振動及び騒音の抑制とを図れる。更に、上記
玉軸受内部の洗浄を効果的に行なえる為、この玉軸受の
性能維持と耐久性の向上とを図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の第１例を示す、保持器の
側面図。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図。

【図３】内輪、外輪、玉と共に玉軸受を構成した状態を
示す側面図。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図。

【図５】本発明の実施の形態の第２例を示す、保持器の
側面図。

【図６】本発明の実施の形態の第３例を示す、保持器の
側面図。

【図７】同第４例を示す、保持器の側面図。

【図８】同第５例を示す、保持器の側面図。

【図９】冠型保持器を組み込んだ玉軸受の１例を示す断
面図。

【図１０】従来の第１例の保持器を示す半部側面図。

【図１１】同じく斜視図。

【図１２】図１１のＣ−Ｃ断面を、切断部分以外を省略
して示す図。

【図１３】従来の第２例の保持器を示す、図１１と同様
の斜視図。

【図１４】図１３のＤ−Ｄ断面を、切断部分以外を省略
して示す図。

【図１５】玉軸受に組み込んだ従来の第１例の保持器が
ラジアル方向に変位する状態を、誇張して示す側面図。

【図１６】図１５のＥ−Ｅ断面図。

【図１７】従来の第２例の保持器を組み込んだ玉軸受を
洗浄する状態を示す断面図。

【符号の説明】

１ 内輪軌道 ２ 内輪 ３ 外輪軌道 ４ 外輪 ５ 玉 ６ シールド板 ７、７ａ、７ｂ、７ｃ、７ｄ、７ｅ、７ｆ、７ｇ 保持
器 ８ 主部 ９、９ａ ポケット １０ 弾性片 １１ 凹面部 １２ 突条 １３ 外径側隙間 １４ 内径側隙間 １５、１５ａ、１５ｂ、１５ｃ、１５ｄ 案内突部 １６、１６ａ 先端面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円環状の主部と、この主部の軸方向片面
   に設けられた複数のポケットとを備え、各ポケットは、
   上記主部の軸方向片面に互いに間隔をあけて配置された
   １対の弾性片同士の間に設けられており、外輪の内周面
   と内輪の外周面との間にこれら内輪及び外輪に対して回
   転自在に設置した状態で、上記各ポケット内に玉を転動
   自在に保持する玉軸受用冠型保持器に於いて、上記主部
   及び弾性片の外径を上記外輪の内径よりも十分に小さく
   して、これら主部及び弾性片の外周面と上記外輪の内周
   面との間に洗浄液が通過可能な外径側隙間を形成し、上
   記主部及び弾性片の内径を上記内輪の外径よりも十分に
   大きくして、これら主部及び弾性片の内周面と上記外輪
   の外周面との間に洗浄液が通過可能な内径側隙間を形成
   し、上記主部の何れかの周面の円周方向の一部に、この
   周面から相手部材の周面に向け直径方向に突出する案内
   突部を形成し、これら各案内突部の先端面と上記相手部
   材の周面とを摺接させる事により、直径方向に亙る位置
   決めを図った事を特徴とする玉軸受用冠型保持器。