JPH101589A - アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

アクリル系樹脂組成物

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JPH101589A
JPH101589A JP15782096A JP15782096A JPH101589A JP H101589 A JPH101589 A JP H101589A JP 15782096 A JP15782096 A JP 15782096A JP 15782096 A JP15782096 A JP 15782096A JP H101589 A JPH101589 A JP H101589A
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JP
Japan
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acrylic resin
acrylate
resin composition
meth
phenol
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Application number
JP15782096A
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English (en)
Inventor
Keiji Koizumi
惠司 小泉
Shigemi Matsumoto
繁美 松本
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工時の耐熱分解性にきわめてすぐれ、
たとえばすぐれた透明性、耐候性、耐衝撃性および耐熱
性を有する成形材料の製造に好適に使用しうるアクリル
系樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 アクリル系樹脂(A)にフェノール−ア
クリレート二官能性化合物(B)を配合してなるアクリ
ル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂組
成物に関する。さらに詳しくは、とくに成形加工時の耐
熱分解性にきわめてすぐれ、たとえばすぐれた透明性、
耐候性、耐衝撃性および耐熱性を有するフィルム、シー
トなどの、自動車分野、OA機器分野、家電機器分野な
どで用いられる成形材料として好適に使用しうるアクリ
ル系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、メタクリル酸メチルを主成分とす
るアクリル系樹脂は、すぐれた透明性および耐候性を呈
し、また成形加工性も比較的良好であることから、自動
車分野、OA機器分野、家電機器分野などで成形材料と
して広く用いられている。
【0003】しかしながら、前記アクリル系樹脂は、通
常、その荷重たわみ温度が100℃未満であり、耐熱性
に関しては充分な性能を有さない。また、該アクリル系
樹脂は、熱分解温度が低く、成形温度を高くすると容易
に熱分解を起こすため、その他の汎用樹脂と対比して成
形加工性に劣る。したがって、かかるアクリル系樹脂の
用途展開のためには、熱分解の抑制および耐熱性の向上
が強く望まれている。
【0004】そこで、前記熱分解を防止する目的で、ヒ
ンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、
イオウ系酸化防止剤などの各種酸化防止剤をアクリル系
樹脂に添加することが試みられている。たとえば、特開
平3−282648号公報には、ヒンダードフェノール
系化合物であるオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペ
ンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]などのヒンダードフェノール系酸化防止剤を単独で
アクリル系樹脂に添加する方法、かかるヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤とトリス(2,4−ジ−t−ブチル
フェニル)ホスファイト、ペンタエリスリトール−ビス
オクタデシルホスファイトなどのリン系酸化防止剤とを
併用し、これらをアクリル系樹脂に添加する方法、前記
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とテトラキス[メチ
レン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタンな
どのイオウ系酸化防止剤とを併用し、これらをアクリル
系樹脂に添加する方法などが開示されている。
【0005】しかしながら、前記方法によってえられた
アクリル系樹脂は、成形加工時における耐熱分解性が未
だ満足すべき程度のものでない。
【0006】したがって、近年、とくに成形加工時の耐
熱分解性にきわめてすぐれ、種々の用途に広範囲にわた
って使用しうるアクリル系樹脂の開発が待ち望まれてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、成形加工時の耐熱分解
性にきわめてすぐれ、すぐれた透明性、耐候性、耐衝撃
性および耐熱性を呈するアクリル系樹脂組成物を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル系樹
脂(A)にフェノール−アクリレート二官能性化合物
(B)を配合してなるアクリル系樹脂組成物に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル系樹脂組成物
は、前記したように、アクリル系樹脂(A)にフェノー
ル−アクリレート二官能性化合物(B)を配合してえら
れたものである。
【0010】本発明における1つの大きな特徴は、アク
リル系樹脂(A)にフェノール−アクリレート二官能性
化合物(B)を配合したことにある。かかるフェノール
−アクリレート二官能性化合物(B)が配合されている
ので、本発明のアクリル系樹脂組成物は、アクリル系樹
脂(A)が本来呈するすぐれた透明性、耐候性などに加
え、きわめてすぐれた成形加工時の耐熱分解性を示す。
【0011】本発明に用いられるアクリル系樹脂(A)
にはとくに限定がなく、たとえば(メタ)アクリル酸エ
ステル系モノマーを重合させてえられた樹脂などが好適
に用いられる。
【0012】前記(メタ)アクリル酸エステル系モノマ
ーの代表例としては、たとえば(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n
−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メ
タ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)ア
クリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘ
キシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)ア
クリル酸シクロヘキシルなどのアルキル基の炭素数が1
〜10、なかんづく1〜8の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルなどがあげられ、これらは単独でまたは2種
以上を混合して用いることができる。これらのなかで
は、アクリル系樹脂(A)が呈する透明性、耐熱変形性
および成形加工性がすぐれるという観点から、メタクリ
ル酸メチルがとくに好ましい。なお、かかるメタクリル
酸メチルを用いるばあいには、とくに耐熱変形性にすぐ
れるという観点から、その量が(メタ)アクリル酸エス
テル系モノマー全量の60重量%以上、好ましくは80
重量%以上となるように調整することが望ましい。
【0013】このように、前記アクリル系樹脂(A)を
うるためには、たとえば前記(メタ)アクリル酸エステ
ル系モノマーなどの重合性モノマーが用いられるが、本
発明においては、その目的を阻害しない範囲内で、該
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの一部を、該
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共重合可能な
ビニル系モノマー(以下、ビニル系モノマーという)と
置換してもよい。
【0014】前記ビニル系モノマーの代表例としては、
たとえば(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニ
ル系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、クロロスチ
レンなどの芳香族ビニル系モノマー;(メタ)アクリル
酸;(メタ)アクリル酸ナトリウムなどの(メタ)アク
リル酸塩などがあげられ、これらは単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。かかるビニル系モノ
マーは、目的とするアクリル系樹脂組成物の物性に応じ
て適宜選択して用いればよい。
【0015】前記ビニル系モノマーの量は、かかるビニ
ル系モノマーを用いたことによる効果が充分に発現され
るようにするためには、前記(メタ)アクリル酸エステ
ル系モノマー全量の1重量%以上、好ましくは5重量%
以上となるように調整することが望ましい。また、相対
的に(メタ)アクリル酸エステル系モノマーの量が少な
くなり、えられるアクリル系樹脂組成物が呈する透明
性、耐候性などが低下するおそれをなくすためには、か
かるビニル系モノマーの量は、前記(メタ)アクリル酸
エステル系モノマー全量の20重量%以下、好ましくは
10重量%以下となるように調整することが望ましい。
【0016】さらに、本発明においては、えられるアク
リル系樹脂(A)の分子量が調整され、アクリル系樹脂
組成物の成形加工時の耐熱分解性が向上し、耐熱変形性
が向上するという観点から、前記アクリル系樹脂(A)
が、連鎖移動剤を配合し、(メタ)アクリル酸エステル
系モノマーを重合させてえられたものであることが好ま
しい。
【0017】前記連鎖移動剤は、通常ラジカル重合に用
いられるもののなかから適宜選択して用いればよいが、
たとえば炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル
メルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩
化炭素などが例示され、これらは単独でまたは2種以上
を混合して用いることができる。
【0018】前記連鎖移動剤の量は、これを用いたこと
による耐熱分解性の向上効果を充分に発現させるために
は、前記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー100
部(重量部、以下同様)に対して0.1部以上、好まし
くは0.2部以上であることが望ましい。また、アクリ
ル系樹脂組成物の成形加工性が低下するおそれをなくす
ためには、かかる連鎖移動剤の量は、前記(メタ)アク
リル酸エステル系モノマー100部に対して1部以下、
好ましくは0.8部以下であることが望ましい。
【0019】本発明において、アクリル系樹脂(A)を
うる方法にはとくに限定がなく、たとえば、(メタ)ア
クリル酸エステル系モノマー、必要に応じてビニル系モ
ノマーなどの重合性モノマーおよび連鎖移動剤を混合
し、これに重合開始剤などを配合して通常の方法で重合
を行なうことによって該アクリル系樹脂(A)をうるこ
とができる。なお、かかる重合性モノマーおよび連鎖移
動剤の混合、重合などは、一段階で行なってもよく、多
段階で行なってもよい。
【0020】前記重合開始剤は、通常の遊離基発生開始
剤であればよい。かかる遊離基発生開始剤の代表例とし
ては、たとえば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど
の無機過酸化物;クメンハイドロパーオキサイド、p−
メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイ
ドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
クメンパーオキサイドなどの有機過酸化物;アゾイソブ
チロニトリルなどの油溶性開始剤などがあげられる。ま
た、これらの遊離基発生開始剤と、たとえば亜硫酸ナト
リウム、酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコ
ース、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第
一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウ
ムとの錯体などの還元剤とを組合わせた通常のレドック
ス系開始剤も、アクリル系樹脂(A)をうる際の重合開
始剤として用いることができる。
【0021】前記重合開始剤は、単独でまたは2種以上
を混合して用いることができ、また重合段階を通じて同
一であってもよく、異なっていてもよい。
【0022】重合開始剤の量にはとくに限定がなく、通
常(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどの重合性
モノマー100部に対して0.1〜3部程度であること
が好ましい。
【0023】アクリル系樹脂(A)をうる際の重合方法
にはとくに限定がなく、たとえば乳化重合法、塊状重合
法、溶液重合法などを採用することができるが、これら
のなかでは、たとえばアクリル酸エステル系弾性体をア
クリル系樹脂(A)をうる際に用いるばあい、粒子径の
制御を実施しやすいという点から、乳化重合法がとくに
好ましい。
【0024】重合の際に乳化重合法を採用するばあいに
は、通常乳化重合の際に用いられる乳化剤を用いればよ
い。
【0025】前記乳化剤としては、たとえばアルキル硫
酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸
アルキルエステル、長鎖アルキルカルボン酸塩などの陰
イオン性界面活性剤;アルキルフェノール類、脂肪族ア
ルコール、プロピレンオキサイド類とエチレンオキサイ
ドとの反応生成物などの非イオン性界面活性剤などがあ
げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用い
ることができる。また、これらの陰イオン性界面活性剤
や非イオン性界面活性剤と、アルキルアミン塩などの陽
イオン性界面活性剤とを併用することもできる。
【0026】乳化剤の量にはとくに限定がなく、通常
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーなどの重合性モ
ノマー100部に対して0.01〜3部程度であること
が好ましい。
【0027】重合の際の重合温度、重合時間などにもと
くに限定がなく、たとえば用いる(メタ)アクリル酸エ
ステル系モノマーなどの重合性モノマーの種類、量など
に応じて適宜調整すればよい。
【0028】また、前記アクリル系樹脂(A)の造粒方
法にはとくに限定がなく、通常の方法を採用することが
でき、たとえば(メタ)アクリル酸エステル系モノマー
などの重合性モノマーを重合させてえられたアクリル系
樹脂(A)のラテックスを、凝固、脱水、乾燥させて樹
脂粉末をうる方法などがあげられる。
【0029】かくしてえられるアクリル系樹脂(A)の
代表例としては、たとえばポリメタクリル酸メチル、メ
タクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体、アクリ
ル酸アルキルエステル弾性体にメタクリル酸メチルをグ
ラフト共重合させてえられた共重合体、アクリル酸アル
キルエステル弾性体にメタクリル酸メチルおよびアクリ
ル酸ブチルをグラフト共重合させてえられた共重合体な
どがあげられる。
【0030】本発明に用いられるフェノール−アクリレ
ート二官能性化合物(B)は、官能基としてフェノール
性水酸基とCH2=CH−基またはCH2=C(CH3
−基とを有するものである。かかるフェノール−アクリ
レート二官能性化合物(B)は、前記アクリル系樹脂
(A)の分解初期に発生するラジカルをCH2=CH−
基またはCH2=C(CH3)−基によって効果的に捕捉
し、分子内水素結合を介してフェノール性水酸基から速
やかに水素原子を移動して安定化させることによってア
クリル系樹脂(A)の熱劣化を防止する作用を呈するも
のと推測される。したがって、かかるフェノール−アク
リレート二官能性化合物(B)が配合された本発明のア
クリル系樹脂組成物は、アクリル系樹脂(A)が本来呈
するすぐれた透明性、耐候性などに加え、きわめてすぐ
れた成形加工時の耐熱分解性を示すものと考えられる。
【0031】前記フェノール−アクリレート二官能性化
合物(B)の代表例としては、たとえば一般式(I):
【0032】
【化2】
【0033】(式中、R1、R2、R3、R4およびR5
それぞれ独立して水素原子、アルキル基またはフェニル
基、R6は水素原子またはメチル基を示す)で表わされ
る化合物などがあげられ、かかる一般式(I)で表わさ
れる化合物は、とくにすぐれた耐熱分解性の向上効果を
発現するという点から、本発明において好ましく用いら
れる。
【0034】なお、前記一般式(I)において、R1
2、R3、R4およびR5がアルキル基であるばあい、そ
の炭素数は、1〜10、好ましくは1〜8であることが
望ましい。
【0035】前記一般式(I)で表わされる化合物の具
体例としては、たとえば2−t−ブチル−6−(3−t
−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4
−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−[1−
(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニ
ル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル(メ
タ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまた
は混合して用いることができる。
【0036】フェノール−アクリレート二官能性化合物
(B)は、その量がごく少量であっても、えられるアク
リル系樹脂組成物の成形加工時の耐熱分解性を充分に向
上させることができるが、該耐熱分解性をより充分に向
上させるためには、かかるフェノール−アクリレート二
官能性化合物(B)の量は、アクリル系樹脂(A)10
0部に対して0.01部以上、好ましくは0.1部以上
であることが望ましい。また、前記耐熱分解性の向上効
果がこれ以上望めず、かえってアクリル系樹脂組成物が
呈する機械的強度が低下するおそれをなくすためには、
該フェノール−アクリレート二官能性化合物(B)の量
は、アクリル系樹脂(A)100部に対して6部以下、
好ましくは3部以下であることが望ましい。
【0037】本発明のアクリル系樹脂組成物は、アクリ
ル系樹脂(A)にフェノール−アクリレート二官能性化
合物(B)を配合してえられるものであるが、かかるア
クリル系樹脂組成物には、必要に応じて、たとえばヒン
ダードフェノール系化合物、リン系化合物、イオン系化
合物などの酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系化合物、
ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤;ハロゲン系
化合物などの難燃化剤;帯電防止剤;改良剤;離型剤;
染料、顔料などの着色剤などの添加剤を適宜配合するこ
とができる。
【0038】本発明のアクリル系樹脂組成物をうる方法
にはとくに限定がなく、たとえばそれぞれ適量のアクリ
ル系樹脂(A)およびフェノール−アクリレート二官能
性化合物(B)、必要に応じて添加剤などを、たとえば
押出機、ヘンシェルミキサーなどで、たとえば用いたア
クリル系樹脂(A)の融解温度以上の温度で混練する方
法などを採用することができる。なお、前記フェノール
−アクリレート二官能性化合物(B)をアクリル系樹脂
(A)に配合するには、たとえばかかるアクリル系樹脂
(A)のラテックスと、粉末状または溶液状のフェノー
ル−アクリレート二官能性化合物(B)とを混合すれば
よい。
【0039】かくしてえられる本発明のアクリル系樹脂
組成物は、たとえば押出機でペレット化し、えられたペ
レットをTダイより押出してフィルム、シートなどの成
形品とすることができる。
【0040】本発明のアクリル系樹脂組成物は、とくに
成形加工時の耐熱分解性にきわめてすぐれ、たとえばす
ぐれた透明性、耐候性、耐衝撃性および耐熱性を有する
フィルム、シートなどの、自動車分野、OA機器分野、
家電機器分野などで用いられる成形材料に好適に使用す
ることができる。
【0041】
【実施例】つぎに、本発明のアクリル系樹脂組成物を実
施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかか
る実施例のみに限定されるものではない。
【0042】製造例1(アクリル系樹脂(A)の製造) 重合容器内に乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム0.5部および水230部を入れ、これに重合
性モノマーとしてメタクリル酸メチル95部およびアク
リル酸ブチル5部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメル
カプタン0.4部ならびに重合開始剤としてクメンハイ
ドロパーオキサイド0.3部の混合物を重合温度70℃
で6時間かけて連続添加し、添加後さらに1時間重合を
行なってアクリル系樹脂ラテックスをえた。
【0043】えられたラテックスを塩化カルシウムにて
凝固させ、水洗し、乾燥させてパウダー状のアクリル系
樹脂(A)−1をえた。かかるアクリル系樹脂(A)−
1のメチルエチルケトンの還元粘度は0.09dl/g
であった。
【0044】製造例2(アクリル系樹脂(A)の製造) アクリル酸エステル系弾性体(成分:アクリル酸ブチル
90重量%およびメタクリル酸メチル10重量%、重量
平均粒子径:1000オングストローム、グラフト化
率:40%、ゲル含有率:50重量%)15部に、メタ
クリル酸メチル90重量%およびアクリル酸ブチル10
重量%からなる重合性モノマー85部、水200部、乳
化剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.5
部、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4
部ならびに重合開始剤としてクメンハイドロパーオキサ
イド1部の混合物を添加し、重合温度70℃で2時間か
けてグラフト共重合を行なってアクリル系樹脂ラテック
スをえた。
【0045】えられたラテックスを塩化カルシウムにて
凝固させ、水洗し、乾燥させてパウダー状のアクリル系
樹脂(A)−2をえた。かかるアクリル系樹脂(A)−
2のメチルエチルケトンの還元粘度は0.31dl/g
であった。
【0046】実施例1〜5 表1に示すアクリル系樹脂(A)100部に対して、フ
ェノール−アクリレート二官能性化合物(B)として
式:
【0047】
【化3】
【0048】で表わされる2−t−ブチル−6−(3−
t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−
4−メチルフェニルアクリレート(以下、化合物(B)
という)を表1に示す量で添加し、さらに実施例3およ
び4では、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(ヒンダ
ードフェノール系化合物、酸化防止剤、以下、ODHP
Pという)を表1に示す量で添加し、ベント式40m/
m押出機(L/D=28)にて220℃で混練してアク
リル系樹脂組成物のペレットをえた。
【0049】比較例1〜4 実施例1〜5において、組成を表1に示すように変更し
たほかは、実施例1〜5と同様にしてアクリル系樹脂組
成物のペレットをえた。
【0050】つぎに、実施例1〜5および比較例1〜4
でえられたアクリル系樹脂組成物のペレットを、250
℃に設定したTダイにて押出し、厚さ100μmのフィ
ルムをえた。
【0051】えられたフィルム中のメタクリル酸メチル
量ならびにフィルムの物性としてビカット軟化点および
HAZE(ヘイズ)を以下の方法にしたがって測定し
た。その結果を表1に示す。
【0052】(イ)メタクリル酸メチル量 ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC−
14A)を用い、JIS K0114に規定の方法に準
拠してフィルム中のメタクリル酸メチル量(ppm)を
測定した。なお、かかるメタクリル酸メチル量は、ペレ
ットを250℃に加熱した際に分解されたメタクリル酸
メチルの量であり、かかるメタクリル酸メチル量が少な
いほどアクリル系樹脂組成物が耐熱分解性にすぐれるこ
とを示す。
【0053】(ロ)ビカット軟化点 フィルムを積層してプレス加工を施し、厚さ3mmのプ
レス板を作製した。かかるプレス板について、ISO−
R−306に準拠して5kg荷重にて耐熱性の指標であ
るビカット軟化点(℃)を測定した。なお、かかるビカ
ット軟化点が高いほどプレス板が耐熱性にすぐれること
を示す。
【0054】(ハ)HAZE フィルムについて、HAZEメーター(日本電色工業
(株)製)を用い、JIS K7105に規定の方法に
準拠して透明性の指標であるHAZE(%)を測定し
た。なお、かかるHAZEが小さいほどフィルムが透明
性にすぐれることを示す。
【0055】
【表1】
【0056】表1に示された結果から、実施例1〜5の
アクリル系樹脂組成物を成形してえられたフィルムは、
いずれもビカット軟化点が高く、HAZEが小さいこと
から、耐熱性および透明性にすぐれたものであることが
わかる。また、メタクリル酸メチル量について、とくに
実施例1および2と比較例1、実施例3と比較例2およ
び3、実施例4および5と比較例4の結果をそれぞれ比
べると、化合物(B)をほんの少し(0.5部)用いる
ことによってメタクリル酸メチル量が1/6未満(実施
例1)、1/4未満(実施例3)または約1/2(実施
例5)となり、化合物(B)の量が増加すると、メタク
リル酸メチル量はさらに少なく1/9未満(実施例2)
または1/10未満(実施例4)となることから、化合
物(B)によってアクリル系樹脂組成物の耐熱分解性が
いちじるしく向上することがわかる。したがって、本発
明のアクリル系樹脂組成物が、幅広い成形材料として有
用なものであることがわかる。
【0057】
【発明の効果】本発明のアクリル系樹脂組成物は、とく
に成形加工時の耐熱分解性にきわめてすぐれ、すぐれた
透明性、耐候性、耐衝撃性および耐熱性を呈するもので
ある。したがって、本発明のアクリル系樹脂組成物は、
たとえばフィルム、シートなどの自動車分野、OA機器
分野、家電機器分野などで用いられる成形材料に好適に
使用することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系樹脂(A)にフェノール−ア
    クリレート二官能性化合物(B)を配合してなるアクリ
    ル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 フェノール−アクリレート二官能性化合
    物(B)が一般式(I): 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立
    して水素原子、アルキル基またはフェニル基、R6は水
    素原子またはメチル基を示す)で表わされる化合物であ
    る請求項1記載のアクリル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 フェノール−アクリレート二官能性化合
    物(B)の量がアクリル系樹脂(A)100重量部に対
    して0.01〜6重量部である請求項1記載のアクリル
    系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 アクリル系樹脂(A)が(メタ)アクリ
    ル酸エステル系モノマーを重合させてえられたものであ
    る請求項1記載のアクリル系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (メタ)アクリル酸エステル系モノマー
    がメタクリル酸メチルである請求項4記載のアクリル系
    樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 アクリル系樹脂(A)が(メタ)アクリ
    ル酸エステル系モノマー100重量部に対して連鎖移動
    剤0.1〜1重量部を用いてえられたものである請求項
    4記載のアクリル系樹脂組成物。
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