JPH10156534A - スパイラル鋼管の製造方法 - Google Patents

スパイラル鋼管の製造方法

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JPH10156534A
JPH10156534A JP31024396A JP31024396A JPH10156534A JP H10156534 A JPH10156534 A JP H10156534A JP 31024396 A JP31024396 A JP 31024396A JP 31024396 A JP31024396 A JP 31024396A JP H10156534 A JPH10156534 A JP H10156534A
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arc
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Hirotsugu Inaba
洋次 稲葉
Takayuki Hisayoshi
孝行 久芳
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】サブマージアーク溶接法のみで高速製管溶接し
て正常な内外面溶接ビードを有する製品を得ることが可
能なスパイラル鋼管の製造方法を提供する。 【解決手段】(1)溶接ワイヤの突き出し長さLを50
mm以上にして溶接を行うスパイラル鋼管の製造方法。 (2)溶接ワイヤ後方の溶融池中に非アーク点弧ワイヤ
を挿入しながら溶接を行うスパイラル鋼管の製造方法。 (3)上記(1)と(2)とを組み合わせて溶接を行う
スパイラル鋼管の製造方法。 上記本発明法において、多電極溶接を行う場合、少なく
とも1つの電極の溶接ワイヤの突き出し長さを50mm
以上にすればよいが、非アーク点弧ワイヤは最終電極よ
りも下流側の溶融池中のみに挿入供給する必要がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパイラル鋼管の
製造方法にかかわり、特にサブマージアーク溶接法のみ
を用いたスパイラル鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スパイラル鋼管は、素材である鋼帯を螺
旋状に巻き曲げ成形しながらその継ぎ目を溶接接合する
ことで製造される。このスパイラル鋼管製造法における
最大の特徴は、製管ミルに対する鋼帯の進入角度を調整
するだけで外径を決定でき、孔型ロールなどの特殊形状
の工具とその交換が不要な点である。
【0003】一方、継ぎ目を溶接接合するための溶接法
としては、一般に、大電流・深溶込み・高速溶接の可能
なサブマージアーク溶接法が採用されており、溶接速度
の向上を目的に現在では2〜3電極サブマージアーク溶
接法が主流となっている。
【0004】溶接工程としては、水平状態に曲成された
パイプの最下点近傍にてパイプエッジと鋼帯エッジとを
接合する内面溶接が最初に行われ、次いで、パイプが1
80°回転した最上点近傍にて外面溶接が行われる。し
かし、溶接線が螺旋状であるため、溶融金属に対して、
通常の水平溶接では発生しないような重力による複雑な
力が加わる。
【0005】図7および図8は、そのことを説明するた
めの図であり、図7は内面溶接の場合、図8は外面溶接
の場合を示している。
【0006】図7(a)に示すように、内面溶接の場合
には、溶接点(アーク発生点)の近傍では上り坂溶接と
なり、溶融池中の溶融金属が重力の影響によって白抜き
矢符で示すパイプの回転方向と同じ方向、換言すれば溶
接進行方向とは反対の方向に流動する。逆に、凝固点
(溶融池の終端)の近傍では下り坂溶接となり、溶融金
属が重力の影響によって溶接進行方向と同じ方向に流動
する。この結果、溶接ビードの断面形状は、図7(b)
に示すように、中央に深さDの凹部を有する余盛形状に
なる。
【0007】また、図8(a)に示すように、外面溶接
の場合には、溶接点の近傍では下り坂溶接となり、溶融
金属が重力の影響によって溶接進行方向とは反対の方向
に流動する。逆に、凝固点の近傍では上り坂溶接とな
り、溶融金属が重力の影響によって溶接進行方向と同じ
方向に流動する。この結果、その溶接ビードの断面形状
は、図8(b)に示すように、中央に高さHの凸部を有
する余盛形状になる。
【0008】以上は、溶接進行方向のみについての上り
坂溶接と下り坂溶接との影響であるが、実際の溶接では
溶接進行方向と直交する方向においても、上り坂溶接や
下り坂溶接になるので、極く僅かではあるがその影響を
も受ける。
【0009】このスパイラル鋼管の製管溶接時における
特有の現象は、溶接線が螺旋状であることによる重力の
影響であるため、溶融金属の温度と量が同一の場合、溶
接点と凝固点の離間距離、すなわち溶融池の長さが長け
れば長いほど顕著になり、著しい場合には、図7(b)
に示す凹部の深さD、および図8(b)に示す凸部の高
さHが過大となり、溶接部の肉厚不足や局部的な外径増
加が発生し、これらが問題となる。
【0010】そして、上記溶融池の長さは、溶接条件を
大電流化、高速化、多電極化するのに従って長くなるの
で、製管速度のより一層の高速化を図る上での障害とな
っている。
【0011】このため、従来から溶融池の長さの過大化
による上記問題点の解決を図って製管速度の高速化を達
成するための種々の方法が提案されている。例えば、内
面のサブマージアーク溶接後に行う外面溶接を炭酸ガス
溶接とサブマージアーク溶接の2工程に分けて行う方法
(特開平6−23553号公報)、レーザによる貫通溶
接後に内外面をサブマージアーク溶接する方法(特開平
4−190989号公報)、高周波抵抗溶接後に内外面
をサブマージアーク溶接する方法(特公昭61−254
62号公報)などである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記いずれの
方法も、異なる溶接手段を用いるのに伴って管理すべき
溶接条件の数が増えるため、作業性が低下するという欠
点があった。また、溶接の高速化ができても、溶接に従
事する作業者の増員が必要になるなどして総合的な生産
性の改善には結びつかないという欠点もあった。
【0013】このため、溶接管理条件が少なく、しかも
作業者の増員を必要しないで高速溶接しても内面ビード
の凹部深さDと外面ビードの凸部高さHがともに小さい
製品を得ることのできるスパイラル鋼管の製造方法の開
発が望まれていた。
【0014】本発明は、上記の実状に鑑みてなされたも
ので、その課題は、従来は不可能と考えれられていたサ
ブマージアーク溶接法のみで、可及的に低い溶接電流で
高速溶接することが可能で省エネ化を図ることができ、
しかも内面ビードの凹部深さDと外面ビードの凸部高さ
Hがともに小さい製品管を得ることのできるスパイラル
鋼管の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)〜(6)のスパイラル鋼管の製造方法にある。
【0016】(1)単電極サブマージアーク溶接法を用
いたスパイラル鋼管の製造方法において、電極の給電部
先端からの溶接ワイヤ突き出し長さLを50mm以上に
して溶接することを特徴とするスパイラル鋼管の製造方
法。
【0017】(2)多電極サブマージアーク溶接法を用
いたスパイラル鋼管の製造方法において、少なくとも1
つの電極の給電部先端からの溶接ワイヤ突き出し長さL
を50mm以上にして溶接することを特徴とするスパイ
ラル鋼管の製造方法。
【0018】(3)単電極サブマージアーク溶接法を用
いたスパイラル鋼管の製造方法において、電極よりも下
流側の溶融池中に非アーク点弧ワイヤを挿入しながら溶
接することを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
【0019】(4)多電極サブマージアーク溶接法を用
いたスパイラル鋼管の製造方法において、最終電極より
も下流側の溶融池中のみに非アーク点弧ワイヤを挿入し
ながら溶接することを特徴とするスパイラル鋼管の製造
方法。
【0020】(5)単電極サブマージアーク溶接法を用
いたスパイラル鋼管の製造方法において、電極の給電部
先端からの溶接ワイヤ突き出し長さLを50mm以上に
するとともに、電極よりも下流側の溶融池中に非アーク
点弧ワイヤを挿入しながら溶接することを特徴とするス
パイラル鋼管の製造方法。
【0021】(6)多電極サブマージアーク溶接法を用
いたスパイラル鋼管の製造方法において、少なくとも1
つの電極の給電部先端からの溶接ワイヤ突き出し長さL
を50mm以上にするとともに、最終電極よりも下流側
の溶融池中のみに非アーク点弧ワイヤを挿入しながら溶
接することを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
【0022】上記(1)、(2)、(5)および(6)
の方法において、溶接ワイヤの突き出し長さの上限は、
特に制限されない。しかし、後述するように、溶接電流
の大きさに応じてその適正な上限値が存在する。よっ
て、その上限値は、溶接電流に応じた値に設定するのが
好ましい。
【0023】本発明者らは、サブマージアーク溶接法に
おける溶融金属の温度に注目し、多くの実験を行った結
果、次のことを知見し、本発明をなすに到った。
【0024】すなわち、サブマージアーク溶接における
溶融金属の温度は、母材とのぬれ性を良くして溶接欠陥
の発生を防止すること、および溶融金属の脱酸脱窒反応
を促進するなどの点から、高ければ高いほど良好な溶接
結果が得られることはよく知られている。このため、従
来にあっては、溶融金属の温度を低下させるような技術
開発は行われていない。
【0025】そこで、発明者らは発想を転換し、溶接速
度を落とすことなく溶融金属の温度を低下させることが
できれば、溶融金属の量が同じであっても溶融池の長さ
が短くなり、前述した図7(b)および図8(b)に示
したような過大な深さDの凹部を有する内面溶接ビード
や、同じく過大な高さHの凸部を有する外面溶接ビード
が形成されなくなるのではないかと考えた。
【0026】そして、溶融金属の温度を低下させる手段
として、電極を構成する銅製チップの給電点からの溶接
ワイヤ突き出し長さの増大と、電極後方の溶融池中への
非アーク点弧ワイヤ挿入の2つの方法について実験を行
った結果、次のことが判明した。
【0027】まず、電極からの溶接ワイヤ突き出し長さ
の増大試験結果について述べる。
【0028】溶融金属は、母材が溶融した部分と溶接ワ
イヤが溶融した部分とに分けられ、溶接ワイヤ突き出し
長さ(電極を構成する銅製チップの給電点(チップ先
端)と母材表面との離間距離で通常20〜40mmに設
定される)が影響を及ぼすのは溶接ワイヤが溶融した部
分である。
【0029】そして、通常20〜40mmに設定された
溶接ワイヤ突き出し長さをさらに大きくすると、溶接ワ
イヤの溶融量が増加するとともにその溶滴温度が低下
し、溶融金属の温度が低下することは周知である。これ
は、溶接ワイヤの突き出し長さを大きくするのに伴って
溶接ワイヤ自体は抵抗発熱でより高温に予熱されるもの
の、短時間のアーク暴露のみでその溶滴が溶接ワイヤ先
端から滑り落ち、アークによる昇温をほとんど受けずに
母材が溶融した溶融金属中へ落下するためであると言わ
れている。
【0030】図1および図2は、本発明者らが下記の条
件のもとに溶接ワイヤ突き出し長さと溶接電流を種々変
化させて行った実験結果を示し、図1は溶接ワイヤ突き
出し長さと溶接ワイヤ溶融量との関係、図2は溶接ワイ
ヤ突き出し長さとスラグ除去後に測定した凝固溶接金属
のクレータ長さ、換言すれば溶融池の長さとの関係を示
している。
【0031】《溶接条件》 溶接法 :単電極サブマージアーク溶接、 溶接ワイヤ:外径4mm、 溶接速度 :50cm/min。
【0032】図1からわかるように、溶接ワイヤ突き出
し長さを長くすると、いずれの溶接電流でも、溶接ワイ
ヤ溶融量が大幅に増加している。また、図2からわかる
ように、溶接ワイヤ突き出し長さを長くすると、いずれ
の溶接電流でも、溶接ワイヤ溶融量の増加に伴い、クレ
ータ長さ(溶融池の長さ)が大幅に長くなっている。
【0033】しかし、スパイラル鋼管の製管溶接時に重
要な点は、上記の溶接ワイヤ溶融量とクレータ長さとの
間に相関関係が成立しているか否かである。すなわち、
スパイラル鋼管の製管溶接の場合、溶接速度が一定であ
れば、開先および突合せギャップを埋めるのに必要な溶
接ワイヤ溶融量は一定でなければならない。従って、同
じ溶接ワイヤ溶融量の時のクレータ長さが溶接ワイヤ突
き出し長さを長くした場合にどのように変化するかが問
題となるが、今までこのような関係については考察され
たことがなかった。
【0034】そこで、本発明者らは、上記図1および図
2の実験結果を、溶接ワイヤ溶融量とクレータ長さとで
整理した結果、図3に示す関係にあることが判明した。
【0035】すなわち、図3に明らかなように、溶接ワ
イヤ突き出し長さが従来の30mmの場合、溶接電流が
例えば1400Aの時の溶接ワイヤ溶融量は約210g
/minで、クレータ長さは約140mmと長い。
【0036】これに対し、従来と同じ溶接ワイヤ溶融量
約210g/minを得るには、溶接ワイヤ突き出し長
さを70、110、150mmにとすると、必要な溶接
電流はそれぞれ約1100A、900A、800Aとな
って省エネ化でき、しかもクレータ長さはそれぞれ約1
15、105、100mmと短くなり、深さDおよび高
さHの小さい溶接ビードが形成されることを知見した。
そして、溶接ワイヤ突き出し長さとしては、50mm以
上が必要であることを確認した。
【0037】次に、電極後方(多電極の場合は最終電極
の後方)の溶融池中への非アーク点弧ワイヤ挿入につい
て説明する。
【0038】この溶融池中への非アーク点弧ワイヤ挿入
法は、開先内の多層盛溶接法などの溶融金属量を増大さ
せる必要がある場合に適用される周知の技術である。し
かし、この非アーク点弧ワイヤ挿入法をスパイラル鋼管
のサブマージアーク溶接に適用した場合、溶融金属の温
度低下、換言すれば溶融池の長さ低減に有効であるか否
かについては不明であった。
【0039】そこで、本発明者らは、非アーク点弧ワイ
ヤ挿入法をスパイラル鋼管のサブマージアーク溶接に適
用するに当たり、下記条件のもとに外径1.6mmの非
アーク点弧ワイヤを溶接ワイヤ位置から20mm離間し
た後方位置にて仰角30°で挿入することとし、その挿
入量と溶接電流を種々変化させて実験を行った。
【0040】《溶接条件》 溶接法 :単電極サブマージアーク溶接、 溶接ワイヤ:外径4mm、 溶接ワイヤ突き出し長さ:30mm、 溶接速度 :50cm/min。
【0041】図4は、その実験結果を示す図であり、横
軸に非アーク点弧ワイヤ挿入量、縦軸にクレータ長さを
採って示してある。
【0042】図4から明らかなように、非アーク点弧ワ
イヤを溶接ワイヤよりも後方位置で溶融池中に挿入する
と、いずれの溶接電流でも、このワイヤを溶融させるの
に熱が費やされて溶融金属の温度が低下するためにクレ
ータ長さ(溶融池の長さ)が減少し、この結果、深さD
および高さHの小さい溶接ビードが形成されることを知
見した。
【0043】また、データの図示などは省略するが、多
電極溶接の場合の非アーク点弧ワイヤの挿入位置は、最
終電極の後方にする必要のあることを確認した。これ
は、それ以外の位置で挿入すると、非アーク点弧ワイヤ
が溶接ワイヤのアークによって容易に溶融し、溶融金属
の温度がほとんど低下することがなく、溶融池の長さ低
減効果がなくなるからである。
【0044】なお、非アーク点弧ワイヤの挿入量には限
界があり、図中のワイヤ未溶融領域に示す挿入量にする
と、ワイヤの先端が溶融池の底部に突き当たり、溶接が
不安定になるので、その挿入量は図中に示すワイヤ未溶
融領域未満の値にすることが肝要である。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法を、添付図面
を参照して詳細に説明する。
【0046】図5は、本発明の一実施態様を示す模式図
で、図中、符号1は被溶接材料、2は溶接ワイヤ3を供
給するトーチ、4は交流電源、5はフラックス、6はア
ーク、7は溶融池、8は非アーク点弧ワイヤである。
【0047】本発明が対象とするスパイラル鋼管の製管
溶接においては、トーチ2が固定配置され、被溶接材料
1が白抜き矢符で示す方向に移動せしめられる。
【0048】まず、本発明にかかわる第1と第2の発明
について説明する。
【0049】第1と第2の発明において使用されるトー
チ2は、中間部に溶接ワイヤ3の外径よりも僅かに大き
い内径を有する給電部2a’が成形された銅製のノズル
本体2aと、先端部の内径が上記給電部2a’とほぼ同
じ内径の貫通孔が成形されたセラミックスなどの絶縁性
耐熱材料製のガイド部材2bとからなっている。
【0050】上記のようにトーチ2を構成する場合に
は、溶接ワイヤ2の突き出し長さL、すなわち導電性ノ
ズル本体2aに形成された給電部2a’の先端から被溶
接材料1の表面までの離間距離を50mm以上と長くし
た際、溶接ワイヤ2の巻癖が激しくても可及的に真直な
状態にして供給することができる。
【0051】勿論、先端部に上記のガイド部材2bを具
備せず、給電部2a’が先端に形成された従来の銅製ノ
ズル本体のみからなるトーチを用い、このトーチの設置
高さを高くして所望の突き出し長さLを確保するように
してもよいことはいうまでもない。
【0052】上記のようにして、溶接ワイヤ3の突き出
し長さLを50mm以上に設定して溶接を行うと、溶融
金属の温度が低下して溶融池の長さが短くなる。その結
果、前述したように、内面溶接時にあっては溶融池の長
さ方向中央部への溶融金属流動が抑制され、深さD(図
7参照)の小さい溶接ビードが形成される。また、外面
溶接時にあっては溶融池の長さ方向両端部への溶融金属
流動が抑制され、高さH(図8参照)の小さい溶接ビー
ドが形成される。
【0053】以上の効果は、2個以上のトーチ2を溶接
進行方向に配置して行う、いわゆる多電極溶接時におい
ては少なくともいずれか1つのトーチの突き出し長さL
を50mm以上に設定した場合にも同様である。このこ
とは、後述する実施例の結果からも明らかである。
【0054】ただし、溶接ワイヤの突き出し長さLに対
して溶接電流を高くしすぎると、溶融金属の量が多くな
り過ぎて溶接ビード全体の余盛高さ過大になる。逆に、
溶接ワイヤの突き出し長さLに対して溶接電流を低くし
すぎると、溶融金属の量が不足してアンダカットが発生
する。また、溶接電流を高くした状態で溶接ワイヤの突
き出し長さLを長くしすすぎると、抵抗発熱による溶接
ワイヤ温度が高くなり、アーク点に至る前に溶損して溶
接できなくなる。
【0055】よって、溶接ワイヤの突き出し長さLは、
溶接電流に応じた適正な値に設定することが肝要であ
る。
【0056】次に、本発明にかかわる第3と第4の発明
について説明する。
【0057】第3と第4の発明においては、溶接ワイヤ
2の突き出し長さLを従来と同様の40mm以下に設定
した状態でトーチ2よりも下流側の溶融池7中に非アー
ク点弧ワイヤ8を挿入供給する。このため、トーチとし
ては、図5に示すトーチ2を用いる必要はなく、先端部
に給電部が形成された従来型のものを用いれば十分であ
る。
【0058】この第3と第4の発明による場合には、溶
融池7の溶融金属の熱が挿入された非アーク点弧ワイヤ
8の溶融に費やされて温度低下し、溶融池の長さが短く
なる。この結果、溶接ワイヤ3の突き出し長さLを50
mm以上にした場合と同様に、内面溶接時にあっては溶
融池の長さ方向中央部への溶融金属流動が抑制され、深
さD(図7参照)の小さい溶接ビードが形成される。ま
た、外面溶接時にあっては溶融池の長さ方向両端部への
溶融金属流動が抑制され、高さH(図8参照)の小さい
溶接ビードが形成される。
【0059】ただし、2個以上のトーチ2を溶接進行方
向に配置して行う、いわゆる多電極溶接の場合において
は、最終トーチよりも下流側の溶融池中のみに非アーク
点弧ワイヤを挿入供給する必要がある。これは、前述し
たように、最終トーチよりも下流側の溶融池中以外に非
アーク点弧ワイヤを挿入供給すると、非アーク点弧ワイ
ヤが溶接ワイヤのアークによって容易に溶融し、溶融金
属の温度がほとんど低下しないからである。
【0060】なお、非アーク点弧ワイヤ8は、その外径
が溶接ワイヤ3の外径の0.3〜0.8倍程度のものを
用いるのが好ましい。また、その挿入位置は、溶接ワイ
ヤ3からの離間距離lが15〜30mm程度の位置と
し、その挿入角度θは20〜40°程度とするのが好ま
しい。
【0061】その理由は、非アーク点弧ワイヤ8の外径
が溶接ワイヤ3外径の0.3倍未満であると、非アーク
点弧ワイヤ8を高速で送給する必要が生じ、溶融池7が
わずかに変動しただけで非アーク点弧ワイヤ8の先端部
が溶融池7の底部に突き当たる現象が発生しやすくな
り、逆に0.8倍超であると、非アーク点弧ワイヤ8の
剛性が高いためにその送給装置の大型化を招いて作業性
が悪化するからである。
【0062】また、その挿入位置の離間距離lが15m
m未満であると、非アーク点弧ワイヤ8が溶接ワイヤ3
のアーク6に接触して溶融金属の温度低下作用が減少
し、逆に30mm超であると、溶融池7の凝固が既に進
んでいて非アーク点弧ワイヤ8を溶融させるのに必要な
溶融金属量が不足し、溶融金属の温度低下作用が減少す
るからである。
【0063】さらに、その挿入角度θが20°未満であ
ると、溶融池7の上面に生成形成する半溶融状態のスラ
グによってその進行が妨げられるために非アーク点弧ワ
イヤ8送給が不安定になりやすく、逆に40°超である
と、非アーク点弧ワイヤ8と溶融金属との接触長さが短
くなってその溶融効率が低下するからである。
【0064】上記第1と第3の発明、第2と第4の発明
は、これを組み合わせて実施することができ、これが本
発明にかかわる第5と第6の発明である。これらの発明
のうち、多電極溶接を行う第6の発明においては、非ア
ーク点弧ワイヤ8の挿入供給位置は、最終電極よりも下
流側の溶融池7中のみにする必要がある。これは、前述
したように、最終電極よりも下流側の溶融池7以外の溶
融池中に非アーク点弧ワイヤ8を挿入供給しても、所望
の効果が得られないからである。そして、この第5と第
6発明による場合には、より一層顕著な効果が得られ
る。
【0065】
【実施例】外径508mm、肉厚19mmのスパイラル
鋼管を製造するに当たり、表1に示す種々の条件で製管
溶接を行った。
【0066】この時、帯鋼両エッジの突き合わせ形状
は、図6に示す形状・寸法とした。また、溶接ワイヤに
は外径4.0mmのものを用いた。さらに、非アーク点
弧ワイヤには外径1.6mmのものを用い、単電極溶接
の場合はその後方、多電極溶接の場合は最終電極の後方
20mmの位置にて挿入角度30°で溶融池中に挿入供
給した。
【0067】そして、製管溶接中の溶接ワイヤの溶損有
無と溶接安定性を観察する一方、製管溶接後の溶接ビー
ドを観察してアンダーカットの発生有無および溶接ビー
ドの形状と寸法を測定し、内面溶接では図7(b)に示
す深さDが2mm以下の場合を良好、2mm超の場合を
凹ビード発生、外面溶接では図8(b)に示す高さHが
5mm以下の場合を良好、5mm超の場合を凸ビード発
生として評価した。これらの結果を、表1に併せて示し
た。
【0068】
【表1】
【0069】表1に示す結果からわかるように、No. 1
〜15は単電極内面溶接の場合であるが、溶接ワイヤの
突き出し長さが40mm以下と短い従来例(No. 1、
2)では、いずれの場合も深さDが2mmを超える凹ビ
ードが発生した。また、溶融池の長さを短くすべく溶接
電流を下げて溶接を行った従来例(No. 8〜12)で
は、いずれの場合も溶融金属の量が不足して開先を完全
に充填できず、アンダカットが発生した。
【0070】これに対し、溶接ワイヤの突き出し長さを
50mm以上に設定した本発明例(No. 3〜7およびN
o. 13〜15)では、No. 15を除き、いずれも深さ
Dが2mmを超える凹ビードは発生せず良好であった。
しかし、No. 13は溶接ワイヤの突き出し長さに対して
溶接電流が大きすぎたために溶接ビード全体の余盛高さ
過大であった。また、No. 14は溶接ワイヤの突き出し
長さに対して溶接電流が低すぎたために溶融金属の量が
不足でアンダカットが発生した。さらに、No. 15は溶
接ワイヤの突き出し長さと溶接電流がともに大きすぎた
ために溶接ワイヤがアーク点に至る前に溶損し、溶接で
きなかった。
【0071】No. 16と17は単電極外面溶接の場合で
あるが、溶接ワイヤの突き出し長さが30mmの従来例
(No. 16)では、高さHが5mmを超える凸ビードが
発生した。
【0072】これに対し、溶接ワイヤの突き出し長さを
150mmにした本発明例(No. 17)では、高さHが
5mmを超える凸ビードは発生せず良好であった。
【0073】No. 18〜21は2電極内面溶接の場合で
あるが、2電極(トーチ)ともに溶接ワイヤの突き出し
長さを30mmに設定した従来例(No. 18)では、深
さDが2mmを超える凹ビードが発生した。
【0074】これに対し、いずれか一方または両方の電
極の溶接ワイヤの突き出し長さを50mm以上に設定
し、その突き出し長さに応じて溶接電流を適正に設定し
た本発明例(No. 19〜21)では、いずれの場合も、
深さDが2mmを超える凹ビードは発生せず良好であっ
た。
【0075】No. 22〜25は2電極外面溶接の場合で
あるが、2電極(トーチ)ともに溶接ワイヤの突き出し
長さを30mmに設定した従来例(No. 22)では、高
さHが5mmを超える凸ビードが発生した。
【0076】これに対し、いずれか一方または両方の電
極の溶接ワイヤの突き出し長さを50mm以上に設定
し、その突き出し長さに応じて溶接電流を適正に設定し
た本発明例(No. 23〜25)では、いずれの場合も、
高さHが5mmを超える凸ビードは発生せず良好であっ
た。
【0077】No. 26〜29は3電極外面溶接の場合で
あるが、3電極(トーチ)ともに溶接ワイヤの突き出し
長さを30mmに設定した従来例(No. 26)では、高
さHが5mmを超える凸ビードが発生した。
【0078】これに対し、いずれか一つまたは2つの電
極の溶接ワイヤの突き出し長さを50mm以上に設定
し、その突き出し長さに応じて溶接電流を適正に設定し
た本発明例(No. 27〜29)では、いずれの場合も、
高さHが5mmを超える凸ビードは発生せず良好であっ
た。
【0079】以上が本発明にかかわる第1と第2の発明
とその従来例の結果であるが、溶接速度が同一である場
合、従来法では良好な結果が得られないので溶接速度を
遅くする必要があるのに対し、本発明法ではその必要が
なく、高速製管が可能であることが明らかである。
【0080】また、No. 30〜35は、本発明にかかわ
る第3と第4の発明、および第5と第6の発明を適用し
た場合であるが、非アーク点弧ワイヤの挿入供給量が多
すぎたNo. 31を除き、いずれも良好な結果が得られて
いる。すなわち、第2発明による効果、溶融池中への非
アーク点弧ワイヤ挿入供給を除く溶接条件が同じである
No. 1とNo. 30の溶接結果、およびNo. 22とNo. 3
3の溶接結果から明らかである。また、第3発明による
効果は、No. 32、34および35の結果から明らかで
ある。
【0081】
【発明の効果】本発明の方法によれば、溶融池の長さが
短くなるので、幅方向中央部に形成される凹凸部寸法が
可及的に小さいかもしくは凹凸部がなく、しかもアンダ
ーカットや全体的な余盛り過多のない正常な溶接ビード
を有するスパイラル鋼管を高速製管溶接することができ
る。また、必要な溶接電流を低くすることができるの
で、省エネ化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接ワイヤ突き出し長さと溶接ワイヤ溶融量と
の関係を示す図である。
【図2】溶接ワイヤ突き出し長さとクレータ長さとの関
係を示す図である。
【図3】溶接ワイヤ溶融量とクレータ長さとの関係を示
す図である。
【図4】非アーク点弧ワイヤ挿入量とクレータ長さとの
関係を示す図である。
【図5】本発明方法の実施態様の一例を示す模式図であ
る。
【図6】実施例で用いた被溶接材料の開先形状と寸法を
示す図である。
【図7】スパイラル鋼管の内面溶接における溶接状態を
示し、同図(a)は溶融金属の流動態様を説明するため
の図、同図(b)は得られる溶接ビードの形状を示す図
である。
【図8】スパイラル鋼管の外面溶接における溶接状態を
示し、同図(a)は溶融金属の流動態様を説明するため
の図、同図(b)は得られる溶接ビードの形状を示す図
である。
【符号の説明】
1 :被溶接材料、 2 :トーチ、 2a:ノズル本体、 2b:ガイド部材、 2a’:給電部、 3 :溶接ワイヤ、 4 :交流電源、 5 :フラックス、 6 :アーク、 7 :溶融池、 8 :被アーク点弧ワイヤ。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単電極サブマージアーク溶接法を用いたス
    パイラル鋼管の製造方法において、電極の給電部先端か
    らの溶接ワイヤ突き出し長さLを50mm以上にして溶
    接することを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
  2. 【請求項2】多電極サブマージアーク溶接法を用いたス
    パイラル鋼管の製造方法において、少なくとも1つの電
    極の給電部先端からの溶接ワイヤ突き出し長さLを50
    mm以上にして溶接することを特徴とするスパイラル鋼
    管の製造方法。
  3. 【請求項3】単電極サブマージアーク溶接法を用いたス
    パイラル鋼管の製造方法において、電極よりも下流側の
    溶融池中に非アーク点弧ワイヤを挿入しながら溶接する
    ことを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
  4. 【請求項4】多電極サブマージアーク溶接法を用いたス
    パイラル鋼管の製造方法において、最終電極よりも下流
    側の溶融池中のみに非アーク点弧ワイヤを挿入しながら
    溶接することを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】単電極サブマージアーク溶接法を用いたス
    パイラル鋼管の製造方法において、電極の給電部先端か
    らの溶接ワイヤ突き出し長さLを50mm以上にすると
    ともに、電極よりも下流側の溶融池中に非アーク点弧ワ
    イヤを挿入しながら溶接することを特徴とするスパイラ
    ル鋼管の製造方法。
  6. 【請求項6】多電極サブマージアーク溶接法を用いたス
    パイラル鋼管の製造方法において、少なくとも1つの電
    極の給電部先端からの溶接ワイヤ突き出し長さLを50
    mm以上にするとともに、最終電極よりも下流側の溶融
    池中のみに非アーク点弧ワイヤを挿入しながら溶接する
    ことを特徴とするスパイラル鋼管の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016010122A1 (ja) * 2014-07-18 2016-01-21 株式会社神戸製鋼所 高Cr系CSEF鋼の初層サブマージアーク溶接方法
WO2016010121A1 (ja) * 2014-07-18 2016-01-21 株式会社神戸製鋼所 高Cr系CSEF鋼のシングルサブマージアーク溶接方法

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WO2016010122A1 (ja) * 2014-07-18 2016-01-21 株式会社神戸製鋼所 高Cr系CSEF鋼の初層サブマージアーク溶接方法
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