JPH10141689A - 輻射式の空調装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷輻射時に輻射パネルの外表面に結露が発生
するのを防止する。 【解決手段】 ケーシング１のファン室４の下部にファ
ン８を配置し、そのファン８の上側に熱交換用コイル９
を配置して、そのコイル９によって冷却された空気を輻
射用空気通路５へ流通させる。その輻射用空気通路５へ
流通された冷空気は、通気性の輻射パネル７を通って室
内Ｒへ微少量だけ流出され、その流出した冷空気の空気
層Ｌによって上記の輻射パネル７の外表面が覆われる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、空調用空気の輻
射熱を利用する形式の空調装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の輻射式の空調装置は、従来では
暖房用のものが知られている。その従来の装置は、輻射
用空気通路と室内とを鋼板製の輻射パネルによって区画
して、その輻射用空気通路へ流通された温空気によって
輻射パネルを加熱し、その輻射パネルの外表面からの輻
射熱によって室内を暖房するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の従来の輻射式空
調装置は、室内の気流を抑制して、より快適な暖房が得
られる点で優れるが、冷房に使用すると次の問題が生じ
る。即ち、冷房時には、輻射用空気通路へ流通された冷
空気によって鋼板製の輻射パネルを冷却して、その輻射
パネルの外表面から室内へ冷熱を輻射するのであるが、
そのパネル外表面の温度が室内空気の露点温度よりも低
くなると、上記パネル外表面で多量の結露を発生させ
る。このため、従来構造の輻射式空調装置を冷房に使用
するのは実用的でなかった。本発明の目的は、冷房にも
使用できる輻射式空調装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項１の発明は、例えば、図１に示すように、輻
射式の空調装置を次のように構成した。輻射用空気通路
５と室内Ｒとを通気性の輻射パネル７によって区画し
て、上記の輻射用空気通路５に流通された空調用空気が
上記の通気性の輻射パネル７を通って上記の室内Ｒへ微
少量だけ流出可能に構成したものである。

【０００５】請求項２の発明は、上記の請求項１の構成
に次の構成を加えたものである。ケーシング１内で前記
の輻射用空気通路５とファン８と熱交換用コイル９とを
直列に接続すると共に、上記ファン８の吸込口８ａから
上記ケーシング１外の空気を吸い込み可能に構成した。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図１
によって説明する。図１(Ａ)は、床置き形ファンコイル
ユニット(空調装置)の縦断面図である。図１(Ｂ)は、上
記の図１(Ａ)中のＢ部分の拡大模式図である。

【０００７】図１(Ａ)において、符号Ｒは室内を示し、
符号Ｆは床面を示し、符号Ｗは壁面を示している。ファ
ンコイルユニットのケーシング１内は、上下方向へ延び
る２枚の仕切り板２・３によって、ファン室４と輻射用
空気通路５と吸込み路６とに仕切られる。その吸込み路
６は、上記ケーシング１の外壁に形成した空気取入れ口
(図示せず)によって室内Ｒへ連通されている。上記の輻
射用空気通路５と上記の室内Ｒとは、通気性の輻射パネ
ル７によって区画されている。その輻射パネル７の素材
は、ここでは焼結合金であるが、微少の通気性を具備し
たものであればよく、セラミックスやプラスチックス等
の他の素材であってもよい。

【０００８】上記ファン室４の下部に多翼式ファン８が
配置され、そのファン８の上側に熱交換用コイル９が配
置される。符号１１はドレンパンで、符号１２はダンパ
である。また、符号１３は整流用パンチングメタルで、
符号１４は吹出口である。

【０００９】上記ファンコイルユニットは、冷輻射時に
次のように作動される。前記ダンパ１２を輻射用姿勢Ｍ
(実線図参照)へ切換えるともに前記コイル９に冷水(又
は冷媒)を循環した状態でファン８を運転する。する
と、上記コイル９を通過して冷却された空気が、輻射用
空気通路５を通ってファン８の吸込口８ａに吸い込まれ
て、そのファン８の吐出口８ｂから上記コイル９へ循環
される。なお、室内Ｒの空気の一部が前記の吸込み路６
を通って上記ファン８の吸込口８ａへ吸い込まれてお
り、上記コイル９を通過した冷空気の一部が吹出口１４
とダクト(図示せず)を通って室内Ｒへ供給されている。

【００１０】上記の輻射用空気通路５に流通された冷空
気は、上記の輻射パネル７を冷却して室内Ｒへ冷熱を輻
射する。より詳しく説明すると、図１(Ｂ)に示すよう
に、輻射用空気通路５を流れる冷空気の一部分が上記の
輻射パネル７を通って上記の室内Ｒへ微少量だけ流出さ
れて、その流出した冷空気の空気層Ｌによって輻射パネ
ル７の外表面が覆われる。このため、室内Ｒの空気が輻
射パネル７の外表面に接触することを阻止でき、その輻
射パネル７の外表面での結露の発生を防止できる。しか
も、その輻射パネル７の外表面は、上記の流出した冷空
気によって十分に冷却されるので、冷熱の輻射能力が大
幅に向上する。

【００１１】なお、通常の冷房時には、前記ダンパ１２
を実線図の輻射用姿勢Ｍから一点鎖線図の通常姿勢Ｎへ
切換えればよい。すると、室内Ｒの空気は、吸込み路６
とファン８とコイル９と吹出口１４とを順に通って室内
Ｒへ循環される。

【００１２】上記ファンコイルユニットの温輻射時の作
動は、熱交換用コイル９に温水(又は熱媒)を循環させる
点が上述の冷輻射時とは異なるが、その他の作動は冷輻
射時と同様である。そして、輻射用空気通路５を流れる
温空気の一部分が上記の輻射パネル７を通って室内Ｒへ
微少量だけ流出され、その輻射パネル７の外表面が上記
の流出した温空気によって十分に加熱されるので、室内
Ｒへの輻射能力が大幅に向上する。

【００１３】なお、前記の輻射用空気通路５は、ファン
コイルユニットと一体に配置することに代えて、ファン
コイルユニットとは別置きであってもよい。さらには、
輻射用空気通路と熱交換用コイルとをユニット化して、
その輻射ユニットに対して別置きのファンから空調用空
気を循環させることも可能である。本発明が適用される
空調装置は、床置き形に代えて、壁掛け形や天井埋め込
み形などであってもよい。

【００１４】

【発明の効果】請求項１発明は、上記のように構成され
作用することから次の効果を奏する。 冷房時には、輻射用空気通路を流れる冷空気の一部分が
通気性の輻射パネルを通って室内へ微少量だけ流出し
て、その流出した冷空気の空気層によって輻射パネルの
外表面が覆われる。このため、室内の空気が輻射パネル
の外表面に接触することを阻止でき、その輻射パネルの
外表面での結露の発生を防止できる。従って、冷輻射に
も使用できる空調装置を実用化できる。

【００１５】しかも、上記の冷房時には、輻射パネルの
外表面は、上記の流出した冷空気によって十分に冷却さ
れるので、室内への冷熱の輻射能力が大幅に向上する。
同様に、暖房時においても、その輻射パネルの外表面
は、流出した温空気によって十分に加熱されるので、室
内への輻射能力が大幅に向上する。このように、室内へ
の輻射能力が大幅に向上するので、所定の冷房能力また
は暖房能力を確保できながらも輻射パネルの内外の温度
差を大きくする必要がなくなって、空調用のエネルギー
を節減できる。

【００１６】請求項２の発明は、上記の請求項１の発明
の効果に加えて、さらに次の効果を奏する。ケーシング
の内部空間を利用して輻射用空気通路を形成できるの
で、輻射式の空調装置をコンパクトに造れる。しかも、
ファンの吸込口から吸入したケーシング外の空気によっ
て、輻射パネルを通って室内へ流出する冷空気を補給す
ることが可能となるので、専用の空気補給システムを設
ける必要がなくなり、輻射式の空調装置の構成が簡素で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示している。図１(Ａ)
は、本発明を適用したファンコイルユニットの縦断面図
である。図１(Ｂ)は、上記の図１(Ａ)中のＢ部分の拡大
模式図である。

【符号の説明】

１…ケーシング、５…輻射用空気通路、７…通気性の輻
射パネル、８…ファン、８ａ…ファン８の吸込口、９…
熱交換用コイル、Ｒ…室内。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 輻射用空気通路(５)と室内(Ｒ)とを通気
   性の輻射パネル(７)によって区画して、上記の輻射用空
   気通路(５)に流通された空調用空気が上記の通気性の輻
   射パネル(７)を通って上記の室内(Ｒ)へ微少量だけ流出
   可能に構成した、ことを特徴とする輻射式の空調装置。
2. 【請求項２】 ケーシング(１)内で前記の輻射用空気通
   路(５)とファン(８)と熱交換用コイル(９)とを直列に接
   続すると共に、上記ファン(８)の吸込口(８ａ)から上記
   ケーシング(１)外の空気を吸い込み可能に構成した、こ
   とを特徴とする請求項１に記載した輻射式の空調装置。