JPH10139834A - 塩化ビニル系樹脂の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂の製造方法

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JPH10139834A
JPH10139834A JP29407096A JP29407096A JPH10139834A JP H10139834 A JPH10139834 A JP H10139834A JP 29407096 A JP29407096 A JP 29407096A JP 29407096 A JP29407096 A JP 29407096A JP H10139834 A JPH10139834 A JP H10139834A
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JP
Japan
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vinyl chloride
weight
monomer
resin
polymerization
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JP29407096A
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English (en)
Inventor
Hidefumi Morita
英文 森田
Kenichi Matsumura
健一 松村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】グラフト共重合時のスケール付着が少なく、樹
脂中へのフィッシュアイの混入が少なく、廃液のC.
O.Dを低減でき、且つ、耐衝撃性と撓み性に優れた塩
化ビニル系樹脂を製造することができる方法を提供す
る。 【解決手段】アクリル系共重合体からなる樹脂粒子30
〜60重量%に対して、塩化ビニル40〜70重量%を
グラフト共重合させる塩化ビニル系樹脂の製造方法であ
る。前記樹脂粒子として、単独重合体のガラス転移温度
が−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート系
モノマー50重量%以上と、多官能モノマー0.1〜1
0重量%とを含有するモノマー混合物を、そのモノマー
混合物100重量部に対して0.1〜10重量部の分子
中に二重結合基を有する界面活性剤の存在下で乳化重合
させたものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性と撓み性
に優れた塩化ビニル樹脂成形品を製造する樹脂材料とし
て好適に用いられる塩化ビニル系樹脂の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】本来、塩化ビニル系樹脂は、機械的強
度、耐候性、耐薬品性に優れた樹脂材料であるため、硬
質塩化ビニル管をはじめとして多くの用途に用いられて
いる。しかし、塩化ビニル系樹脂は、耐衝撃性と撓み性
が不十分であるという欠点を有しているため、これらが
必要な耐震性を有する管路等の用途には用いることがで
きなった。
【0003】塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性を向上させる
方法として、アクリル系共重合体(ゴム)の樹脂粒子に
塩化ビニルをグラフト共重合させてアクリル─塩化ビニ
ルグラフト共重合体とする方法が知られている。
【0004】例えば、特開昭60─255813号公報
に、架橋されたアクリル系共重合体に塩化ビニルをグラ
フト共重合させた塩化ビニル系樹脂を製造する方法が提
案されている。しかし、この方法では、柔軟性を与える
成分であるアクリル系共重合体の含有量が少ないので、
得られる塩化ビニル系樹脂は撓み性や低温における耐衝
撃性が不足しているという問題点がある。
【0005】塩化ビニル系樹脂に十分な撓み性を持たせ
るためには、アクリル系共重合体の含量を多くする必要
があるが、そのような塩化ビニル系樹脂の製造方法とし
ては、例えば、特開昭51─6293号公報に、アクリ
ル系モノマーの乳化重合及び、その後、アクリル系エラ
ストマーの粒子の存在下に塩化ビニルを含むモノマーを
懸濁重合することによって、アクリル系エラストマー含
有インターポリマー粒子を製造する方法において、乳化
重合工程において、乳化剤として、エトキシ化アルキル
フェノールのスルホン酸塩を用いる方法が提案されてい
る。
【0006】しかしながら、この方法において、アクリ
ル系エラストマーの含有量が多い場合、グラフト共重合
の際に、重合反応容器内壁、攪拌翼、攪拌軸、邪魔板等
に生成樹脂の一部が付着するいわゆるスケールが顕著に
多くなるという問題点がある。このようなスケールの付
着は、樹脂の収量を低下させるだけでなく、重合反応容
器の冷却能力を低下させたり、又、一旦付着したスケー
ルが再び離れて正常な樹脂中に混入し、得られる樹脂の
品質を低下させたりする。
【0007】塩化ビニル樹脂の製造方法において、スケ
ールを防止する方法は多く提案されているが、いわゆる
フィッシュアイと呼ばれる正常な樹脂粒子よりも粒径が
大きく硬い樹脂粒子が生成し易くなる。フィッシュアイ
が多く存在すると、得られる成形品の機械的強度を著し
く損ねるという問題点がある。この問題点は、アクリル
系共重合体の二次転移点が低い程顕著である。又、グラ
フト共重合の際に生じる廃液に分散剤、乳化剤が混入
し、廃液にC.O.D(化学的酸素要求量)が大きくな
り、廃液処理に手間がかかるという問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の問題点を解消し、グラフト共重合時のスケール
付着が少なく、樹脂中へのフィッシュアイの混入が少な
く、廃液のC.O.Dを低減でき、且つ、耐衝撃性と撓
み性に優れた塩化ビニル系樹脂を製造することができる
方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アクリル系共
重合体からなる樹脂粒子30〜60重量%に対して、塩
化ビニル40〜70重量%をグラフト共重合させる塩化
ビニル系樹脂の製造方法であって、前記樹脂粒子とし
て、単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下である
アルキル(メタ)アクリレート系モノマー50重量%以
上と、多官能モノマー0.1〜10重量%とを含有する
モノマー混合物を、そのモノマー混合物100重量部に
対して0.1〜10重量部の分子中に二重結合基を有す
る界面活性剤の存在下で乳化重合させたものを用いる塩
化ビニル系樹脂の製造方法である。
【0010】本発明において、樹脂粒子の主重合成分と
しての単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下であ
るアルキル(メタ)アクリレート系モノマーとしては、
例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、sec−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリ
レート、2─エチルヘキシルアクリレート、n−オクチ
ル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、
n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレ
ート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用さ
れてもよいし併用されてもよい。アルキル(メタ)アク
リレート系モノマーにおいては、単独重合体のガラス転
移温度の下限は特に限定されないが、−100℃迄のも
のは好適に使用できる。
【0011】樹脂粒子の共重合成分としての多官能モノ
マーとは、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6─ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイ
ド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジア
リルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレー
ト、ジアリルサクシネート、トリアリルイトシアヌレー
ト、ジビニルベンゼン、ブタジエン等が挙げられ、これ
らは単独で使用されてもよいし併用されてもよい。
【0012】樹脂粒子の上記以外の共重合成分として、
スチレン、α─メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳
香族ビニルモノマー、アクリロニトリル等の不飽和ニト
リル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエス
テル等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよいし
併用されてもよい。
【0013】本発明において、樹脂粒子を乳化重合する
には、単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下であ
るアルキル(メタ)アクリレート系モノマー50重量%
以上と、多官能モノマー0.1〜10重量%とを含有す
るモノマー混合物を用いる必要がある。モノマー混合物
中の、単独重合体のガラス転移温度が−20℃以下であ
るアルキル(メタ)アクリレート系モノマーの含有量が
50重量%より少ないと、得られる成形品の耐衝撃性が
十分でない。その含有量は、80重量%以上が好まし
い。又、モノマー混合物中の、多官能モノマーの含有量
が0.1重量%より少ないと、得られる成形品の耐衝撃
性が十分でなく、又、成形品表面にべたつきや曇りが生
じるおそれがあり、10重量%より多いと、得られる成
形品の耐衝撃性が十分でない上に撓み性が十分でない。
【0014】本発明において、モノマー混合物を乳化重
合する際に用いられる、分子中に二重結合基を有する界
面活性剤としては、分子中に二重結合基を持ちながら、
通常の界面活性剤と同様な乳化、分散、湿潤作用を有す
るものが好適に使用される。そのような反応性乳化剤と
しては、例えば、下記の一般構造式(1)〜(6)で示
されるものが挙げられる。
【0015】
【化1】
【0016】式(1)〜(6)において、Rは炭素数9
〜18のアルキル基を示し、M1 は、Na又はNH4
2 はH又はSO3 NH4 を示す。
【0017】界面活性剤は、モノマー混合物の乳化重合
時に水中に添加され攪拌されて乳化液とされ、その中で
のモノマー混合物の分散性を高め安定化する。界面活性
剤の添加量は、モノマー混合物100重量部に対して
0.1〜10重量部である必要がある。添加量が0.1
重量部より少ないと、樹脂粒子に塩化ビニルをグラフト
共重合する際に、スケールが多くなったり、フィシュア
イが多くなり、10重量部より多いと、グラフト共重合
後の廃液中のC.O.D濃度が大きくなったり、得られ
る塩化ビニル系樹脂の物性が低下したりする。
【0018】界面活性剤には、その他のアニオン性界面
活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤が併用されても
よい。その場合、スケール付着やフィッシュアイが多く
なるので、その添加量は、全界面活性剤量中の20重量
%以下が好ましい。
【0019】アニオン性界面活性剤としては、例えば、
ジアルキルコハク酸、アルキルスルホン酸、アルキルベ
ンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ポ
リオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル、ア
ルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等が
挙げられる。
【0020】ノニオン性界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポ
リエステルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンプロ
ピレングリコール、グリセリン脂肪酸部分エステル、ソ
ルビタン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂
肪酸部分エステル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が
挙げられる。
【0021】本発明において、モノマー混合物を乳化重
合する際に、上記界面活性剤の他に、必要に応じて、重
合開始剤、pH調整剤、酸化防止剤を添加することがで
きる。重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウム、過酸化水素等の水溶性開始剤、ベ
ンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等
の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル等のアゾ系開
始剤が挙げられる。
【0022】モノマー混合物の乳化重合法としては、公
知の方法で行うことができる。乳化重合法は、モノマー
の添加方法の相違から、一括重合法、モノマー滴下法、
エマルジョン滴下法の3つに大別される。一括重合法と
は、例えば、ジャケット付き重合反応容器内に純水、界
面活性剤、重合開始剤、モノマー混合物を一括して添加
し、窒素ガスを導入して、酸素を除去し、次に、窒素ガ
スで加圧して、十分攪拌して乳化させ、しかる後に、ジ
ャケットに熱媒体を導入して加熱重合する方法である。
【0023】モノマー滴下法とは、例えば、ジャケット
付き重合反応容器内に純水、界面活性剤、重合開始剤を
入れ、窒素ガスを導入して、酸素を除去し、次に、窒素
ガスで加圧して、十分攪拌して乳化させ、しかる後に、
ジャケットに熱媒体を導入して重合反応容器を加熱して
置いて、モノマー混合物を所定量ずつ滴下して徐々に重
合する方法である。
【0024】エマルジョン滴下法とは、モノマー混合
物、純水、界面活性剤を攪拌して十分に乳化することに
より、予め乳化モノマーを調製して置き、次いで、ジャ
ケット付き重合反応容器内に純水、重合開始剤を入れて
攪拌し、窒素ガスを導入して、酸素を除去し、次に、窒
素ガスで加圧して、しかる後に、ジャケットに熱媒体を
導入して重合反応容器を加熱して置いて、乳化モノマー
を所定量ずつ滴下して重合する方法である。
【0025】本発明において、アクリル系共重合体は、
任意の構造を有していて構わないが、例えば、樹脂粒子
の表層部と内部のモノマー組成や架橋構造が異なる、い
わゆるコア/シェル構造とすれば、樹脂粒子の安定性及
び得られる成形品の強度性能に関して有効である。
【0026】コア、シェルの形成方法としては、例え
ば、以下の方法を採用できる。まず、コアを構成するモ
ノマー混合物と純水と界面活性剤から調製した乳化モノ
マー及び重合開始剤を添加して重合反応を行い、コアの
樹脂粒子を形成する。次いで、シェルを構成するモノマ
ー混合物と純水と界面活性剤から調製した乳化モノマー
を添加し、コアにグラフト共重合させる。
【0027】このようにして調製した樹脂粒子はコアの
表面にシェルが三次元的に覆い、シェルを構成する共重
合体とコアを構成する共重合体が部分的に共重合し、シ
ェルが三次元架橋構造を形成する。以上の方法におい
て、シェルのグラフト重合体は、コアの重合と同一の重
合過程で連続して行ってもよい。
【0028】本発明において、アクリル系共重合体から
なる樹脂粒子に塩化ビニルをグラフト共重合させること
によって、塩化ビニル系樹脂を得る。グラフト共重合の
方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液
重合法等を採用することができ、生産性の点から、懸濁
重合法が好ましい。
【0029】懸濁重合法により、アクリル系共重合体か
らなる樹脂粒子に塩化ビニルをグラフト共重合させる場
合は、例えば、ジャケット付き重合反応容器内に、純
水、油溶性重合開始剤、アクリル系共重合体からなる樹
脂粒子の乳化水、懸濁安定剤(分散剤)、必要に応じて
重合度調整剤を入れ、重合反応容器内を密封して内部の
空気を排除した後、重合反応容器内を攪拌しながら塩化
ビニル及び必要に応じてその他の共重合単量体を加え、
重合反応容器内を所定温度に昇温してグラフト共重合を
開始させる。
【0030】ジャケットにより重合反応容器内温度を調
節しながら反応を終了させ、反応終了後、未反応の塩化
ビニル及びその他のモノマーを除去し、スラリー状のス
ラリー状グラフト共重合体を得る。これを脱水、乾燥す
ることにより、本発明の塩化ビニ系樹脂を得ることがで
きる。
【0031】グラフト共重合された塩化ビニル系樹脂の
重合度は、小さすぎると得られる成形品の耐衝撃性が低
下し、大きすぎると成形しにくくなるので、600〜
2,500が好ましい。本発明の塩化ビニル系樹脂中の
アクリル系共重合体の含有量は、少なすぎると得られる
成形品が充分な耐衝撃性と撓み性を発揮しにくく、多す
ぎると得られる成形品の機械的強度が不足し易いので、
30〜60重量%が好ましい。
【0032】グラフト共重合反応は、ラジカル重合法で
行うのが好ましい。使用されるラジカル重合開始剤とし
ては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t─ブチル
パーオキシピパレート、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート等の
有機過酸化物類、2,2─アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2─アゾビス─2,4─ジメチルバレロニトリ
ル等のアゾ化合物等の油溶性重合開始剤が挙げられる。
これらは単独で使用されてもよいし併用されてもよい。
【0033】懸濁安定剤(分散剤)としては、例えば、
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ポリビニルアルコール及びその部分ケ
ン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、
無水マレイン酸─スチレン共重合体等が挙げられる。こ
れらは単独で使用されてもよいし併用されてもよい。
【0034】本発明の塩化ビニル系樹脂は、単独で成形
用樹脂材料として用いてもよいし、必要に応じて、熱安
定剤、安定化助剤、滑剤、離型剤、加工助剤、顔料、充
填剤等の配合剤を添加して用いてもよい。
【0035】熱安定剤としては、例えば、ジブチル錫マ
レート、ジオクチル錫ラウレート等の有機錫化合物、鉛
白、塩基性亜硫酸鉛、二塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸
鉛、二塩基性亜リン酸鉛、シリカゲル共沈硅酸鉛、ステ
アリン酸鉛、安息香酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ナ
フテン酸鉛等の鉛系化合物、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸
等が挙げられる。
【0036】滑剤としては、例えば、ステアリン酸等の
脂肪酸類、脂肪酸エステル類、オレフィンワックス類等
が挙げられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、タルク類等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂には、
成形時の加工性を向上させる目的で、可塑剤が添加され
てもよく、可塑剤としては、例えば、ジ─2─エチルヘ
キシルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフ
タレート等の芳香族エステル類等が挙げられる。
【0037】上記の各種添加剤を塩化ビニル系樹脂に混
合する方法としては、ホットブレンド、コールドブレン
ドのいずれでもよい。本発明により得られる塩化ビニル
系樹脂を用いた成形品の成形方法としては、例えば、プ
レス成形法、押出成形法、射出成形法、真空成形法、カ
レンダー成形法等を採用することができる。
【0038】(作用)本発明の塩化ビニル系樹脂の製造
方法は、アクリル系共重合体からなる樹脂粒子30〜6
0重量%に対して、塩化ビニル40〜70重量%をグラ
フト共重合させるに際し、前記樹脂粒子として、単独重
合体のガラス転移温度が−20℃以下であるアルキル
(メタ)アクリレート系モノマー50重量%以上と、多
官能モノマー0.1〜10重量%とを含有するモノマー
混合物を、そのモノマー混合物100重量部に対して
0.1〜10重量部の分子中に二重結合基を有する界面
活性剤の存在下で乳化重合させたものを用いることによ
り、ガラス転移温度の低いアクリル含有量が多いアクリ
ル系共重合体からなる樹脂粒子に塩化ビニルをグラフト
共重合するので、耐衝撃性と撓み性に優れた塩化ビニル
樹脂を得ることができ、又、アクリル系共重合体の重合
時に特定の界面活性剤を用いているので、アクリル含有
量が多いアクリル系共重合体からなる樹脂粒子に塩化ビ
ニルをグラフト共重合する際にスケール付着が少なくな
り、得られる樹脂中にフィッシュアイの混入するのをを
抑制することができ、分子中に二重結合基を有する界面
活性剤が樹脂粒子に塩化ビニルを共重合させたグラフト
共重合体に結合して、廃液に混入することが防止できる
ので、廃液のC.O.Dを低減でき、廃液処理が容易と
なる。
【0039】
【実施例】本発明をさらに詳しく説明する為に、実施
例、比較例を挙げる。表1及び表2に示す配合組成物に
従い、下記の操作手順により塩化ビニル系樹脂を作製し
た。
【0040】(1)アクリル系共重合体の作製:実施
例1〜7、比較例1〜5 攪拌機、ジャット付き重合反応容器に、233重量部の
純水と、表1に示す種類・添加量の界面活性剤と、表1
に示すモノマー組成のモノマー混合物100重量部を入
れ攪拌して乳化させ、器内を窒素置換後、器内温度を7
0℃に昇温した。1.0重量部の重合開始剤(過硫酸ア
ンモニウム)を入れ、重合を開始した。3時間攪拌を続
けつつ重合させた後、器内温度を室温まで冷却して重合
を終了した。得られたラテックスは固形分濃度が約30
重量%であった。
【0041】
【表1】
【0042】表1中における略記号は次の内容を示す。 nBA :n─ブチルアクリレート 2EHA:2─エチルヘキシルアクリレート MMA :メチルメタアクリレート TMPA:トリメチルプロパントリアクリレート ABS :アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ POEAES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸塩 物質(A):第一工業製薬社製、商品名「アクアロンH
S−10」 物質(B):第一工業製薬社製、商品名「アクアロンH
N−20」 物質(C):花王社製、商品名「ラムテルS−180」 ※:モノマー混合物100重量部に対する重量部
【0043】(2)アクリル系共重合体の作製:実施
例8〜10 攪拌機、ジャット付き重合反応容器に、133重量部の
純水と、表2に示すモノマー組成のモノマー混合物10
0重量部を入れ、器内を窒素置換後、器内温度を70℃
に昇温した。コア部形成用、シェル部形成用の乳化モノ
マー液を、それぞれ純水、表2に示す各モノマー、多官
能モノマー、界面活性剤から調製した。各、乳化モノマ
ー液は、表2に示すモノマー組成のモノマー混合物10
0重量部に対して、表2に示す界面活性剤1.0重量
部、純水100重量部を添加し、高速攪拌して乳化させ
ることにより得た。
【0044】上記の昇温した重合反応容器内に、器内を
攪拌しつつ、1.0重量部の重合開始剤(過硫酸アンモ
ニウム)を入れた後、まず、コア形成用の乳化モノマー
液を一定の滴下速度で滴下し、その滴下が終了した時点
から、シェル形成用の乳化モノマー液を一定速度で滴下
した。
【0045】以上の操作において、各乳化モノマー液の
量は、コア/シェルの重量比が表2に示したようになる
ように調整した。全ての乳化モノマーの滴下を2.5時
間にて終了し、その後、1時間攪拌を続けた後、器内温
度を室温まで冷却して重合を終了した。得られたラテッ
クスは固形分濃度が約30重量%であった。
【0046】
【表2】
【0047】(3)塩化ビニル系樹脂の作製:実施例1
〜10、比較例1〜4 攪拌機、ジャケット付き重合反応容器に、純水950重
量部、所定量の上記ラテックス、部分ケン化ポリビニル
アルコール1.5重量部、凝集剤、t─ブチルパーオキ
シネオデカノエート及びα─クミルパーオキシネオデカ
ノエート0.1重量部を添加し、器内の空気を真空ポン
プで排出した後、攪拌下に、塩化ビニルモノマー310
重量部を添加した。
【0048】器内温度を50℃に昇温し重合を開始し
た。器内の圧力が所定の圧力に降下することで反応の終
了を確認し、未反応の塩化ビニルを排出し、塩化ビニル
系樹脂のスラリーを得た。これを脱水、乾燥して、塩化
ビニル系樹脂を得た。尚、表1及び表2中の塩化ビニル
系樹脂中のアクリル系共重合体の量は、公知の滴定法に
よって求めた塩化ビニル系樹脂の塩素含有量から計算し
て求めた。
【0049】(4)性能評価 本発明の効果を確認するために、スケール付着量
(率)、フィッシュアイの量、C.O.Dについて下記
の容量で測定・評価した。その性能評価結果を表3に示
す。
【0050】 スケール付着量 グラフト共重合後の重合反応容器の器内壁、攪拌軸、攪
拌翼、邪魔板等に付着したスケールを剥がし取り、これ
らを3時間真空乾燥機にて乾燥させた後、1バッチでの
総重量を測定し、次式にしたがってスケール付着量を割
合を算出した。 スケール付着率(%)=100×(スケール重量)/
〔(スケール重量)+(回収した塩化ビニル系樹脂総
量)〕
【0051】 フィッシュアイの測定 塩化ビニル系樹脂100重量部、アジピン酸ポリエステ
ル系可塑剤20重量部、アンスラキノン系青色顔料0.
5重量部、バリウム─亜鉛系液状安定剤0.5重量部、
有機エポキシ系安定剤0.5重量部を混合し、これを1
60℃の二軸ロールを用いて3分間混練し、得られたシ
ートの10cm×10cmの面積中に存在するフィッシ
ュアイの個数を目視にて数えた。
【0052】 C.O.D(化学的酸素要求量) グラフト重合後にスラリーを濾別する際の濾液を回収
し、そのC.O.DをJIS K 0102に準拠して
測定した。
【0053】
【表3】
【0054】表3からも明らかなように、本発明による
塩化ビニル系樹脂は、比較例のものに比べて、スケール
量、フィッシュアイ量ともに顕著に少なく、又、廃液の
汚染度が小さかった。
【0055】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂の製造方法
は、アクリル系共重合体の重合時に特定の界面活性剤を
用いることによって、アクリル含有量が多いアクリル系
共重合体からなる樹脂粒子に塩化ビニルをグラフト共重
合する際のスケール付着が少なくなり、得られる樹脂中
にフィッシュアイが混入するのを抑制することができ、
廃液のC.O.Dを低減でき、廃液処理が容易である。
又、得られる塩化ビニル樹脂は耐衝撃性と撓み性に優れ
ており、これらを性能を必要とする耐震用パイプ、継
手、プラスチックマンホール、プラスチックマスといっ
た管路材料の他、窓枠、雨樋等の住宅部材や、プレー
ト、電線被覆材等の産業資材の樹脂材料として好適に使
用することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系共重合体からなる樹脂粒子3
    0〜60重量%に対して、塩化ビニル40〜70重量%
    をグラフト共重合させる塩化ビニル系樹脂の製造方法で
    あって、前記樹脂粒子として、単独重合体のガラス転移
    温度が−20℃以下であるアルキル(メタ)アクリレー
    ト系モノマー50重量%以上と、多官能モノマー0.1
    〜10重量%とを含有するモノマー混合物を、そのモノ
    マー混合物100重量部に対して0.1〜10重量部の
    分子中に二重結合基を有する界面活性剤の存在下で乳化
    重合させたものを用いることを特徴とする塩化ビニル系
    樹脂の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014129471A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Tosoh Corp ペースト加工用塩化ビニル系樹脂及びその製造方法

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