JPH10136688A - トルク制御装置 - Google Patents

トルク制御装置

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Publication number
JPH10136688A
JPH10136688A JP8290545A JP29054596A JPH10136688A JP H10136688 A JPH10136688 A JP H10136688A JP 8290545 A JP8290545 A JP 8290545A JP 29054596 A JP29054596 A JP 29054596A JP H10136688 A JPH10136688 A JP H10136688A
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JP
Japan
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torque
motor
input torque
input
phase
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Application number
JP8290545A
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English (en)
Inventor
Yasuyuki Muramatsu
恭行 村松
Hironori Matsui
太憲 松井
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補助トルクを発生するモータで入力トルクを
検出するとともに、入力トルクの方向を検出して補助ト
ルクの方向を制御する。 【解決手段】 モータMは時分割で制御され、電動機と
して動作する出力期間と発電機として動作する検出期間
が交互に繰り返すように制御される。この場合、駆動電
流Iは、断続的に供給される。検出期間にあっては、ス
テータST側の各コイルに、位相をずらした検出電流を
供給する。検出電流をモータMに給電すると、入力トル
クに応じて発電電流が発生するので、この発電電流を計
測することによって入力トルクを求めることができる。
また、入力トルクの方向が方向検出センサによって検出
され、これにより補助トルクの方向が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出力トルクを得る
ためのモータを入力トルクの検出装置に兼用し、入力ト
ルクの方向に応じて補助トルクを発生させるのに好適な
トルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人力を補助する装置として、例えば、自
動車の電動パワーステアリングや補助動力自転車が知ら
れている。まず、自動車の電動パワーステアリングにお
いては、人がステアリングを操作すると、人力による入
力トルクが検出され、これを補助する補助トルクがモー
タによって発生される。また、補助動力自転車において
は、人がペダルを踏むと、その踏力が入力トルクとして
検出され、これを補助する補助トルクがモータによって
発生される。機構系は、入力トルクと補助トルクを合成
したトルクによって駆動され、これにより、人力の軽減
が図られる。
【0003】図16は、従来の補助動力自転車の構成を
示すブロック図である。図において、ペダルやギヤで構
成される動力伝達部1にはトルク検出機構2が連結され
ている。人がペダルを踏むと、トルク検出機構2は入力
トルクを検出し、これを示す入力トルク信号Tiを出力
する。また、電源5と接続された制御部4は、入力トル
ク信号Tiとモータの回転数を示す回転数検出信号RS
とに基づいて、出力トルクを算出し、所望の出力トルク
が得られるだけの電流Iをモータ3に供給する。これに
より、モータ3は人の踏力を補助するように出力トルク
を発生させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したト
ルク検出機構2として、以下の2つの機構が知られてい
る。まず、第1の機構は、クランクシャフト内にトーシ
ョンバーを備えるものである。この場合、トーションバ
ーがペダルの踏力に応じてねじれると、これと連結され
たカムの作用によってねじれが直線運動に変換され、こ
の直線運動に連動したポテンショメータの抵抗の変化と
して入力トルクが検出される。また、第2の機構は、後
輪のギヤホルダに設けれたコイルスプリングのたわみ量
を検出するものである。この場合、人がペダルを踏み込
むと、その踏力がチェーンを介して後輪のフリーギヤに
伝達され、ギヤホルダの一端に接したコイルスプリング
を介して後輪と一体のプーリーに伝達される。このコイ
ルスプリングにかかる力は人の駆動力となるので、コイ
ルスプリングのたわみ量を検知することで入力トルクが
検出される。このように、従来の補助動力自転車は、入
力トルクを機械的に検出するトルク検出機構2を有して
いた。
【0005】しかしながら、上述した各トルク検出機構
は複雑な構造をしているため、その組立に工数がかか
り、補助電動自転車の重量が増加する等の問題があっ
た。また、機構系の摩擦力やバネの反発力によって、パ
ワーロスを生じるという問題があった。また、機械的に
構成されているので、経時変化を起こし易いといった問
題、さらには、部品点数が多いため各部品の誤差が累積
されてしまうといった問題があった。ところで、上述し
た補助動力自転車にあっては、ペダルは前進方向の力の
みを伝達する一方向ギヤと連結され、後進方向の力は伝
達されないようになっているので、入力トルクの方向に
ついては検出する必要がなかった。しかし、補助動力車
椅子にあっては、前進ばかりでなく後進させる場合もあ
る。この場合には、入力トルクの方向と同じ方向の補助
トルクを発生させる必要がある。このためには、入力ト
ルクの方向を検出する必要があるが、従来はこの点につ
いて考慮されていなかった。
【0006】本発明は上述した事情に鑑みてなされたも
のであり、トルク検出機構を用いることなく入力トルク
を検出することを目的とする。また他の目的は、入力ト
ルクの方向を簡易に検出することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載した発明は、人力によってトルクを
入力できるトルク入力手段と、前記トルク入力手段から
入力された入力トルクによってモータの軸が回転すると
発電が行われるように前記モータに給電を行う給電手段
と、前記モータの軸が前記入力トルクによって回転した
ときの起電力と前記回転速度とに基づいて前記入力トル
ク値を求める入力トルク演算手段と、前記入力トルクの
方向を検出する方向検出手段と、前記入力トルク値と前
記入力トルクの方向に基づいて、補助トルクを発生させ
ように前記モータを制御する制御手段とを具備すること
を特徴とする。
【0008】また、請求項2に記載した発明は、人力に
よってトルクを入力できるトルク入力手段と、前記トル
ク入力手段から入力された入力トルクによってモータの
軸が回転すると当該モータによって発電が行われるよう
に前記モータに給電を行う第1の給電モードおよび前記
モータを回転駆動させる給電を行う第2の給電モードと
を交互に行う給電手段と、前記第1の給電モード時にお
いて前記モータの軸が前記入力トルクによって回転した
ときの起電力と回転数とに基づいて前記入力トルク値を
求める入力トルク演算手段と、前記入力トルクの方向を
検出する方向検出手段と、前記入力トルク値と前記入力
トルクの方向に基づいて、補助トルクを発生させように
前記モータを制御する制御手段とを具備することを特徴
とする。
【0009】また、請求項3に記載した発明は、前記方
向検出手段は、前記トルク入力手段と前記モータとの間
で行われるトルク伝達に基づいて、前記入力トルクの方
向を検出することを特徴とする。また、請求項4に記載
した発明は、前記方向検出手段は、前記モータの軸の回
転位相を複数の相について検出する回転位相検出手段
と、複数の回転位相を比較する比較手段と前記比較手段
の比較結果に基づいて、前記入力トルクの方向を判定す
る判定手段とを備えることを特徴とする。また、請求項
5に記載した発明は、前記モータには複数の相に対応す
る各コイルが配設され、前記回転位相検出手段は、前記
各コイルに誘起される誘起電圧に基づいて、前記モータ
の軸の回転位相を複数の相について検出することを特徴
とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
A.入力トルクの検出原理 まず、本発明に係わる入力トルクの検出方法の原理につ
いて、図面を参照しつつ説明する。図1は入力トルクの
検出原理を説明するための概念図である。従来は、入力
トルクを特別なトルク検出機構によって検出していた
が、この例では、電動機として動作するモータを入力ト
ルクの検出装置として兼用する。同図(イ)に示すモー
タMのロータRT側には永久磁石が配設されており、一
方、ステータST側にはコイルが配設されている。モー
タMに入力トルクが加わると、そのローターRTが回転
し、永久磁石からの磁束がステータST側のコイルをよ
ぎり、コイルには発電電流が誘起される。ここで発電電
流をIg、発電電圧をV、モータの角速度をw、入力ト
ルクをTとすれば、以下の式が成り立つ。 Ig×V=w×T (ただし、Ig,Vはベクトルで表
現されている。) したがって、起電力(Ig×V)と角速度をwから、入
力トルクが検出される。すなわち、モータMを発電機と
して動作させ、これを入力トルクの検出装置として用い
る。
【0011】このため、モータMは時分割で制御され、
電動機として動作する期間(以下、出力期間と称す
る。)と発電機として動作する期間(以下、検出期間と
称する。)が交互に繰り返すように制御される。この場
合、モータMの駆動電流I(回転駆動させるための電
流)は、例えば、図1(ロ)に示す波形となり、網掛け
を施した期間に給電され、それ以外の期間に0となる。
同図(ハ)に示すMDはモータMに対する制御信号であ
り、出力期間ではハイレベルとなり、検出期間ではロー
レベルとなる。出力期間(第2の給電モード)にあって
は、同図(ニ)に示すようにステータST側の各相のコ
イルに供給する通電電流を調整して、そこに回転磁界を
発生させる。すると、回転磁界とローター側の永久磁石
との間で電磁力が作用し、これによりローターRTが回
転する。
【0012】一方、検出期間(第1の給電モード)にあ
っては、ステータSTとローターRTが引きつけ合って
モータMが停止するようにステータRT側の各コイルに
交流電流を入力トルクを検出するための検出電流として
給電する。ところで、ローターRTの回転位相は、エン
コーダによって検出されるようになっている。検出電流
の位相は、エンコーダの出力をフィードバックすること
によって定められる。ここで外部から力が加わりロータ
ーRTが回転すると、ローターRTの回転位相とステー
タSTの回転磁界との間で位相ずれが生じる。これによ
りローターRT側の永久磁石からの磁束がステータST
側の各コイルを切り、発電が行われる。この場合、入力
トルクに応じて発電電流が発生するので、この発電電流
を計測することによって入力トルクを求めることができ
る。ここで、入力トルクによって生じた位相のずれは、
ローターRTの回転位相を検出電流の位相にフィードバ
ックすることによって解消される。こうして、ローター
RTの回転位相に同期してステータSTの回転磁界の位
相が常に調整され、入力トルクによってステータSTの
回転磁界に対してローターRTの回転位相が進むと位相
ずれが瞬間的に生じ、これが発電電流として検出され
る。
【0013】ここで、上述した入力トルクの検出原理を
補助動力自転車に適用した場合を考える。この場合、補
助動力を発生するモータによって入力トルクが検出され
ることになる。また、モータは動力伝達機構によってペ
ダルと連結され、ペダルは一方向ギヤと連結される。一
方向ギヤは、一方向の力のみを伝達し、ローターRTの
回転速度より小さい速度でペダルを回転させても力を伝
達しないように構成される。このため、ペダルを逆回転
させたりあるいは、ローターRTの回転速度より小さい
速度でペダルを回転させた場合には、ローターRTは惰
性で回転し、入力トルクは検出されない。すなわち、一
方向ギヤが装着された補助動力自転車にあっては正の入
力トルクのみが検出される。ところで、入力トルクの検
出は補助トルクを算出することを目的に行われ、補助ト
ルクは正の入力トルクに応じて人の踏力を補助するよう
に発生させる。したがって、一方向ギヤが装着された補
助動力自転車にあっては正の入力トルクが検出できれば
十分である。
【0014】一方、上述した入力トルクの検出原理を補
助動力車椅子に適用した場合には、正負両方向のトルク
が入力される。そして、入力トルクの方向と同一方向の
補助トルクを発生させる必要がある。例えば、人が手で
外輪を前に押しやって補助動力車椅子を前進させる場合
にあっては、正の入力トルクが加わるので、前進方向の
補助トルクをモータMで発生させる。逆に、人が手で外
輪を手前に引いて補助動力車椅子を後進させる場合にあ
っては、負の入力トルクが加わるので、後進方向の補助
トルクをモータMで発生させる。ところで、上述した発
電電流は、ステータST側のコイルをローターRT側の
永久磁石からの磁束がよぎることによって発生する。こ
こで、正の入力トルクが加わりローターRTの回転位相
がステータSTの回転磁界に対して進んだとすると、こ
の場合にステータST側のコイルをよぎる磁束は、負の
入力トルクが加わりローターRTの回転位相がステータ
STの回転磁界に対して遅れた場合にステータST側の
コイルをよぎる磁束と同じである。このため、発電電流
から入力トルクの向きを検出することはできない。そこ
で、本実施形態にあっては、後述するように入力トルク
の方向を検出し、これに応じて補助トルクの方向を制御
している。
【0015】B.第1実施形態 次に、本発明の一実施形態として、上述した入力トルク
の検出方法を適用した補助電動力付車椅子を説明する。 1.第1実施形態の構成 本実施形態に係わる補助電動力付車椅子の構成を図面を
参照しつつ説明する。図2は、本発明に係わるトルク制
御装置を用いた補助動力車椅子のブロック図である。図
において5はバッテリー等で構成される電源である。
4’は電源5と接続された制御部であり、モータMのト
ルク制御を行う。具体的には、モータMにアシスト電流
Iaを通電して外部にトルクを出力する出力期間と、検
出電流Ifを通電し入力トルクを検出する検出期間とを
交互に繰り返して、制御を行う。この例では、モータM
としてブラシレス4極3相同期電動機を用いるものとす
る。この場合、モータMのローターRTは、4極の永久
磁石で構成される。また、そのステータSTには、U,
V,W相の駆動電流で駆動できるように各コイルが配設
される。
【0016】また、6はエンコーダであり、モータMの
回転軸と連結され、ローターの回転位相を検出し、これ
に基づいて各相のコイルに通電すべきタイミングを示す
通電タイミング信号ESを生成する。7は電流センサで
あり、各相のコイルに流れる電流を検出し、モータ電流
Imとして出力する。8は回転数センサであり、モータ
Mの回転数を検出して、回転数検出信号RSを出力す
る。10は駆動輪であって、その外側には駆動輪10と
連結された手押し用の外輪(図示せず)が設けられてい
る。この外輪を人が手で前に押しやると、正方向の回転
力が外輪から駆動輪10に伝達され、補助動力車椅子が
前進するようになっている。一方、人が手で外輪を手前
に引くと、負方向の回転力が外輪から駆動輪に伝達さ
れ、補助動力車椅子が後進するようになっている。11
は方向検出センサであって、駆動輪10とモータMの間
に設けられており、それらの間で行われるトルク伝達に
基づいて入力トルクの方向を検出できるようになってい
る。この検出結果は方向信号DSとして制御部4’に出
力される。なお、方向検出センサ11は、例えばワンウ
エイの回転スイッチやカム機構等によって構成すればよ
い。また、12は減速機構であって、例えば、複数の減
速ギヤから構成され、ギヤ比を切り換えられるようにな
っている。ギヤ比の変更は制御部4’からの変速指令H
Sに基づいて行われる。
【0017】2.第1実施形態の動作 次に第1実施形態の動作を図3を参照しつつ説明する。
図3は制御部4’の動作を示すフローチャートである。
まず、モータMの回転位相が通電タイミング信号ESと
して制御部4’に入力され(ステップS1)、また、モ
ータ回転数が回転数センサ8によって検出され、回転数
検出信号RSとして制御部4’に供給される。この後、
入力トルクの検出時期か否かが通電タイミング信号ES
の示す回転位相に基づいて判定される(ステップS
3)。具体的には、まず、後述するステップS10にお
いて、次回の検出時期までに制御部4’に入力される通
電タイミング信号ESの立ち上がりパルスの数が設定さ
れる。この場合、設定された立ち上がりパルスの数は、
次の検出期間が開始するまでの電気角を示す。この後、
制御部4’は上記パルスをカウントし、このカウント値
が設定されたパルス数と一致した時に検出期間が開始す
ると判断する。そして、検出期間の開始から予め定めら
れた数だけ上記パルスが入来した時に検出期間が終了し
たと判断する。すなわち、モータMの電気角に基づいて
検出時期の判定が行われる。なお、検出期間は、例え
ば、略2msecに設定されれる。
【0018】この際、現在のタイミングが入力トルクの
検出時期であれば、判定結果はYESとなり、入力トル
ク方向の検出が行われる(ステップS31)。例えば、
人が外輪を腕力で操作すると、駆動輪10に入力トルク
が加わり、その方向が方向検出センサ11によって検出
される。検出結果が方向信号DSとして制御部4’に出
力されと、制御部4’は方向信号DSに基づいて入力ト
ルクの方向を検知する。
【0019】この後、ステップS4では回転数−検出電
流変換が行われる。具体的には、回転数検出信号RSに
基づいて、モータMの回転数に応じた検出電流Ifの値
が設定される。上述したように検出電流Ifは交流であ
るから、ステータST側には回転磁界が生じる。この点
を図1(ホ)を参照して説明する。ステータST側で発
生する磁界(S極)とローターRT側で発生する磁界
(N極)が図に示すような状態にあるときは、トルク入
力がない状態であってそれらの間に吸引力が作用する。
この後、外部から入力トルクが加わりローターRTの位
相が回転磁界の位相に対して進むと、吸引力が弱まる。
この際、ステータST側のコイルに磁束がよぎり発電が
なされる。そして、ローターRTの位相が回転磁界の位
相に対して時計回りに90度回転すると、S極同士が対
向する状態となって反発力が作用する。したがって、入
力トルクを加えローターRTを回転させると、吸引力と
反発力が交互に反力として作用する。
【0020】ところで、モータMの回転数が小さい場合
には、吸引力と反発力の周期が長くなり、反力を人が感
じ易くなる。一方、回転数が大きい場合には、その周期
が短くなり、反力を人が感じにくくなる。そこで、この
例にあっては、回転数に応じて検出電流Ifの値を調整
し、回転数が小さくなるにつれ、検出電流Ifの値を減
少させ、吸引力と反発力の絶対値を小さくするようにし
ている。これにより、吸引力と反発力の周期が長くなっ
ても、人が知覚できない程度に反力を小さくすることで
きる。
【0021】そして、検出電流IfがモータMに供給さ
れると(ステップS5)、モータMは停止するように電
磁力が作用される。この場合、検出電流Ifは、正確に
トルクを検出するため、回生成分と同相の成分およびこ
れと90度位相のずれた成分(磁束分)とのベクトル和
を取ったものからなる。このとき、人の腕力がモータM
に加わると、モータMは発電機として作用し、発電電流
Igを出力する。この場合、腕の力は強く、しかも検出
期間は前述したように短いので(2msec)、人が感
ずるほどの反力は生じない。
【0022】発電電流Igは、検出電流Ifとともに電
流センサ7によって検出され(ステップS6)、モータ
電流Imとして制御部4’に出力される。ここで、モー
タ電流Imは、発電電流Igと検出電流Ifのベクトル
和の形で検出される。ところで、モータMは、上述した
ようにU,V,Wの各相で駆動されるため、モータ電流
Imは各相毎に検出される。ここでは、U,V,W相の
各モータ電流ImをIu,Iv,Iwで表すものとす
る。また、ローターRT側の永久磁石で発生する磁束の
方向をd軸とし、これと直交し回転の中心点を含む軸を
q軸とする。また、U相のコイルとd軸との角度をθと
する。この場合、上記3相の電流は以下の式によって、
d−q軸上の2相の電流に変換される。 Id=(2/3)1/2{cosθIu+cos(θ-2π/3)Iv+cos(θ+2π/3)Iw}…式1 Iq=(2/3)1/2{sinθIu+sin(θ-2π/3)Iv+sin(θ+2π/3)Iw}…式2
【0023】ここで、Idは磁束分電流であってトルク
の発生に寄与しない電流である。一方、Iqはトルク分
電流である。ところで、検出電流Ifには、上述したよ
うに回生成分と同相の成分が含まれているため、検出電
流Ifの一部はトルク分電流Iqとして検出される。一
方、発電電流Igは、トルクに寄与する電流であるた
め、トルク分電流Iqとして検出される。この場合、I
u,Iv,Iwに占める各回生成分は既知であるため、
これらを上記式2に代入して、Iq’を求める。そし
て、IqからIq’を差し引くことによって発電電流I
gを算出している。
【0024】ところで、発電電流Igは、ローターRT
からの磁束がステータST側の磁界をよぎることによっ
て発生するものであるから、上述したように、Ig×V
=T×wの関係がある。このため、発電電流−入力トル
ク変換処理では(ステップS7)、発電電流Ig、発電
電圧Vおよび角速度wから入力トルクTを算出する。な
お、この例では角速度wの替わりに回転数を用いてい
る。具体的には発電電流Ig等の値に基づいて、テーブ
ルを参照し、入力トルクを決定する(ステップS8)。
【0025】この後、回転数−検出時期変換処理が行わ
れる。この処理にあっては、回転数に応じた検出時期が
設定される。具体的には、回転数検出信号RSの指示す
る回転数に基づいて、テーブルを参照し、次回の検出時
期が決定される(ステップS10)。例えば、回転数が
小さい場合には、検出間隔が短く設定され、回転数が大
きい場合には検出間隔が長く設定される。これにより、
入力トルクが大幅に変化する回転数が小さい領域にあっ
ては、短い間隔で入力トルクの検出を行い、早いレスポ
ンスを実現することができる。また、アシスト量の制御
は後述するように入力トルク検出が行われる毎に行われ
る。したがって、回転数が小さい領域ではアシスト量の
制御がきめ細かく行われ、一方、さほどアシストが必要
とされない回転数の大きい領域では長い間隔で制御が行
われる。この結果、アシスト量は、回転数が小さい領域
から大きい領域まで、広範囲にわたって適切に制御され
る。
【0026】一方、現在のタイミングが入力トルクの検
出時期でなければ、ステップS3の判定結果はNOとな
り、ステップS11に進んで、入力トルク−アシスト量
変換処理が行われる。まず、入力トルクと仮のアシスト
量の関係を規定するテーブルを参照し、ステップS8で
算出した入力トルクに基づいて仮のアシスト量を求め
る。次に、車速に応じた係数を仮のアシスト量に乗算し
て、最終的なアシスト量を求める。車速と係数の関係を
規定するテーブルの一例を、図4に示す。この場合、係
数は4Km/hまでは1であるが、これを越えると除々
に減少し、6Km/hに至ると0になる。このため、6
Km/h以上ではアシスト制御が行われない。なお、車
速は、回転数検出信号RSの示す回転数から算出され
る。
【0027】こうして入力トルクと車速に基づいてアシ
スト量が決定されると(ステップS12)、アシスト量
に基づいてアシスト電流Iaの算出が行われ(ステップ
S13)、その値が決定される(ステップS14)。ア
シスト電流Iaは、モータMのステータST側の各コイ
ルに給電する各電流として生成され、これによってステ
ータSTの回転磁界が発生される。この例において、正
の補助トルクを発生する場合には、回転磁界の位相をロ
ーターRTの回転位相に対して時計方向に進ませる必要
があり、一方、負の補助トルクを発生する場合には、回
転磁界の位相をローターRTの回転位相に対して時計方
向に遅れさせる必要があるものとする。また、補助トル
クは人の腕力を軽減するためのものであるから、入力ト
ルクの方向と補助トルクの方向は一致させる必要があ
る。
【0028】したがって、ステップS31で検出された
入力トルクの方向によって、U,V,Wの各相に給電す
るアシスト電流Iaの位相を調整する。すなわち、正方
向の入力トルクが検出された場合には、回転磁界の位相
をローターRTの回転位相に対して時計方向に進ませる
ようにアシスト電流Iaを生成し、一方、負方向の入力
トルクが検出された場合には、回転磁界の位相をロータ
ーRTの回転位相に対して時計方向に遅らせるようにア
シスト電流Iaを生成する。この後、ステップS1に戻
り、上述した処理が繰り返される。
【0029】ところで、モータMのコイルはインダクタ
ンス成分を有するため、アシスト電流Iaを通電してい
る状態から、これを通電しない状態に切り換えても、コ
イルに流れる電流は直ちに0となるのではなく、除々に
減衰していく。このため、トルクを出力する出力期間か
ら入力トルクを検出する検出期間に移行するまでの間に
は、アシスト電流Iaを通電することなくコイルに蓄え
られた電流を消費するための移行期間(給電停止モー
ド)が設けられる。そこで、出力期間、移行期間、およ
び検出期間を含めた全体の動作について、図5、図6を
用いて説明する。
【0030】図5は、出力期間、移行期間および検出期
間における通電タイミング信号ESとU相モータ電流I
uの関係を示したタイミングチャートである。なお、こ
の例では、正の入力トルクが駆動輪10に入力されてい
る。図において、Ew,Ev,Euは、モータMにトル
クを発生させる場合にステータST側の各相のコイルに
通電すべき電流位相を指示する信号であって、EwはW
相の位相を指示するW相位相信号、EvはV相の位相を
指示するV相位相信号、EuはU相の位相を指示するU
相位相信号であり、これらの信号によって通電タイミン
グ信号ESは構成される。また、ステータST側の各コ
イルに流れるモータ電流Imは各相毎の電流から構成さ
れるが、各電流は位相が異なるだけでそれらの波形は一
致するので、ここでは、U相に流れるU相モータ電流I
uを示す。
【0031】まず、出力期間X1において、モータMは
電動機として動作する。このため、モータMにはアシス
ト電流Iaが供給され、これにより出力トルクを発生す
る。この場合は、図示するようにU相モータ電流Iuの
位相がU相位相信号Euの位相と一致し、アシスト電流
Iaがトルク発生に寄与する。
【0032】次に、移行期間X2では、モータMは電動
機として動作するものの、アシスト電流Iaは供給され
ない。すなわち、この期間では、コイルに蓄えられた電
流が消費される。このため、図示するようにU相モータ
電流Iuは次第に減衰する。
【0033】次に、検出期間X3では、モータMは発電
機として動作する。まず、新たな入力トルクを検出する
ため、モータMに検出電流Ifが供給される。やがて、
人の入力トルクによって発電電流Igが発生し、これが
電流センサ7によってモータ電流Imとして各相毎に検
出される。この場合、モータMには検出電流Ifが給電
されているので、モータ電流Imは検出電流Ifと発電
電流Igの和の形で検出される。そこで、上述したよう
にモータ電流Imから3相−2相変換し、誘起電圧Eと
同相電流すなわちトルク分電流である発電電流Igを求
める。
【0034】次に、検出期間X4では、モータMは電動
機として動作する。この場合、検出した入力トルクに応
じて、予め設定された出力条件の範囲内で、モータMに
アシスト電流Iaが供給される。
【0035】ここで、トルク検出移行時のモータMの動
作を図6を用いて説明する。ただし、モータ回転数は一
定とする。図において、τはペダル11によって入力さ
れる入力トルクであり、t1,t2,t3はモータの出力
トルクであり、Tは入力トルクと出力トルクが合成され
た合成トルクである。なお、駆動輪10からモータ軸ま
での駆動系は省略してある。
【0036】まず、出力期間X1にあっては、出力トル
クt1と入力トルクτが合成され、合成トルクTが得ら
れる。出力トルクt1の値は、前回の検出期間で得られ
た入力トルクに応じて決定される。また、移行期間X2
にあっては、モータMにアシスト電流Iaが供給されな
いので、この期間における出力トルクt2の値は、出力
期間X1の終了時の出力トルクt1の値から除々に減衰
していく。また、検出期間X3において、出力トルクt
3は、ステータST側の各コイルの抵抗成分によって生
じる発電時の電機子反作用起磁力に相当する。この場
合、出力トルクt3は入力トルクτと比較して極めて小
さいため、無視することができる。したがって、合成ト
ルクTと入力トルクτは略一致する。なお、出力期間X
4において、出力トルクt1は、直前の検出期間X3で
検出された入力トルクτの値に応じて制御される。
【0037】上述したように本実施形態によれば、モー
タMを時分割で制御し、出力トルクを発生させるだけで
なく、入力トルクの検出装置としても利用したので、ト
ルク検出機構を省略することができる。このため、補助
動力車椅子の構成を簡易にでき、また、摩擦力やバネの
反発力にるパワーロスを生じるといったこともなくな
る。さらに、機械的な経時変化による誤差や各部品の誤
差が累積されるといったことも少ないので、正確な入力
トルクを検出することができる。
【0038】また、次回の検出時期を回転数に応じて設
定するようにしたので、入力トルクの変化が生じ易い回
転数の小さい領域では、時間当たりの入力トルク検出回
数を多く設定することができる。これにより、適切な出
力トルクをモータMで発生させ、状況に応じて人力を補
助することが可能となる。また、入力トルクを検出する
際には、その直前に移行期間を設け、ステータST側の
コイルに蓄えられたエネルギーを消費した後に検出期間
に移行するようにしたので、入力トルクを正確に検出す
ることができる。
【0039】また、入力トルクの方向を検出して、同一
方向の補助トルクを発生させるようにしたので、車椅子
のように正負両方向のトルクが入力されるような装置に
おいて、人力を有効に補助することができる。
【0040】C.第2実施形態 第2実施形態は、入力加速度を算出し、これを入力トル
クに反映させ、これに基づいてアシスト電流を決定する
点を除き、上記第1実施形態と同様である。このため、
第2実施形態の構成は上記第1実施形態と同様であり、
制御部4’の動作が、第1実施形態と相違する。この点
について、第2実施形態に係わる制御部4’の動作を示
すフローチャートである図7を参照しつつ、説明する。
なお、同図において、図3と同様の処理には、同一の符
号を付し、その説明を省略する。
【0041】まず、モータの回転位相とモータ回転数が
検出されると(ステップS1,2)、入力加速度が算出
される(ステップS21)。この場合、入力加速度は、
例えば、モータ回転数を微分することによって算出され
る。そして、現在のタイミングが検出時期であるなら
ば、ステップS3においてYESと判定され、ステップ
S31に進み、入力トルクの方向を検出する。この後、
ステップS4に進み、回転数に応じた検出電流をモータ
Mに通電する(ステップS4,5)。次に、発電電流を
検出すると(ステップS6)、これに基づいて入力トル
クを算出する(ステップS7)。
【0042】この後、ステップS7で算出された入力ト
ルクに対して補正を行う。ここでは、ステップS21で
求めた入力加速度に基づいて入力トルクに補正を施し、
補正済入力トルクを算出する。具体的には、入力加速度
に応じた係数を入力トルクに乗算し、補正済入力トルク
を決定する(ステップS8)。この場合には、ペダル入
力加速度を考慮して、入力トルクに補正を施すことがで
きるので、ステップS6で検出する発電電流の分解能が
低い場合であっても、精度の高い補正済入力トルクを求
めることができる。
【0043】こうして算出された補正済入力トルクは、
ステップS11においてアシスト量に変換される。具体
的には、まず、補正済入力トルクに基づいてテーブルを
参照し、仮のアシスト量を求める。次に、車速に応じた
係数を仮のアシスト量に乗算して、アシスト量を求め
る。そして、アシスト量が決定され(ステップS1
2)、これに基づいてアシスト電流Iaが算出,決定さ
れる(ステップS13,14)。
【0044】この例によれば、入力加速度に基づいて入
力トルクの値を補正し、補正済入力トルクに基づいてア
シスト電流Iaを設定したので、発電電流の分解能が低
い場合であっても、適切なアシスト電流IaをモータM
に通電して、所望の出力トルクを発生させることができ
る。
【0045】D.第3実施形態 第3実施形態は、第1,第2実施形態の方向検出センサ
11の替わりにエンコーダ6によって検出される通電タ
イミング信号ESを用い、これにより入力トルクの方向
を検出するものであり、このる点を除いて、第1,第2
実施形態と同様である。
【0046】図8は第3実施形態に用いられるエンコー
ダ6の外観構成を示す説明図である。すなわち、エンコ
ーダ6は、図8(A)に示すようにモータMの回転軸と
同軸に設けてもよいし、図8(B)に示すようにプーリ
ーPR1,2やベルトBを用いて回転軸をずらして設け
てもよい。また、エンコーダ6には、U,V,W各相に
対応して、センサSa,Sb,Scが120度ずつずら
して各々設けられている。そして、モータMの軸が回転
すると、センサSa,Sb,ScによってローターRT
の位相が検出され、これにより、上述したU相位相信号
Eu、V相位相信号Ev、W相位相信号Ewが各々生成
される。
【0047】ここで、モータMが正方向(時計方向;図
8中「+」の方向)に回転しているとすれば、図9
(A)〜(C)に示すU,V,W相位相信号Eu,E
v,Ewが検出される。ここで、センサSa〜Scは、
時計回りにSa→Sb→Scの順に配設されているた
め、U相位相信号Euを基準とするとEu→Ev→Ew
の順に位相が遅れていく。一方、モータMが負方向(反
時計方向;図8中「−」の方向)に回転しているとすれ
ば、図10(A)〜(C)に示すU,V,W相位相信号
Eu,Ev,Ewが検出される。ここで、V相位相信号
Ewを基準とするとEw→Ev→Euの順に位相が遅れ
ていく。したがって、U,V,W相位相信号Eu,E
v,Ewのうち2つの信号の位相を比較すれば、モータ
Mの回転方向を検出することができる。比較処理は制御
部4’で行われる。
【0048】ところで、補助動力車椅子にあっては、車
速が低速であるため、逆方向の入力トルクを加えるとモ
ータMの回転がすぐに反転する。したがって、モータM
の回転方向によって入力トルクの方向が検出できる。こ
のため、制御部4’は、U,V,W相位相信号Eu,E
v,Ewのうち2つの信号の位相を比較し、比較結果に
基づいて入力トルクの方向を検出し、これと同一方向の
補助トルクを発生するようにモータMを制御する。
【0049】このように本実施形態によれば、エンコー
ダ6で生成されるU,V,W相位相信号Eu,Ev,E
wに基づいて入力トルクの方向を検出するので、方向検
出センサのような入力トルクの方向を検出すれための特
別な構成を省略することができる。このため、簡易な構
成で入力トルクの方向を検出し、その検出結果に基づい
て補助トルクの方向を制御することができる。
【0050】E.第4実施形態 第4実施形態は、第1,第2実施形態の方向検出センサ
11の替わりにモータMの各相モータ端子電圧を用いて
入力トルクの方向を検出するものであり、この点を除い
て、第1,第2実施形態と同様である。
【0051】図11は、第4実施形態に係わるモータM
の駆動回路を示す回路図である。図において、21〜2
6はスイッチング用のFET(電界効果トランジスタ)
であって、それらの各接続点UU,VV,WWにおいて
モータMのU相コイル,V相コイルまたはW相コイルと
各々接続されている。また、D1〜D6はフライホール
ダイオードであって、各FET21〜26に並列に接続
され、それらの保護素子として機能する。また、接続点
UUは抵抗Ru1と抵抗Ru2を介して接地され、接続
点VVは抵抗Rv1と抵抗Rv2を介して接地され、さ
らに接続点WWは抵抗Rw1と抵抗Rw2を介して接地
される。そして、接続点U’,V’,W’の電圧が、
U,V,W相モータ端子電圧Vu,Vv,Vwとして各
々検出される。U,V,W相モータ端子電圧Vu,V
v,Vwは、制御部4’の構成部分であるCPUに供給
され、そこで入力トルクの方向が検出される。
【0052】ここで、モータMが正方向(時計方向)に
回転しているとすれば、図12(A)〜(C)に示す
U,V,W相モータ端子電圧Vu,Vv,Vwが検出さ
れる。この場合には、U相モータ端子電圧Vuを基準と
するとVu→Vv→Vwの順に位相が遅れていく。一
方、モータMが負方向(反時計方向)に回転していると
すれば、図13(A)〜(C)に示すU,V,Wモータ
端子電圧Vu,Vv,Vwが検出される。ここで、W相
モータ端子電圧Twを基準とするとVw→Vv→Vuの
順に位相が遅れていく。CPUは、U,V,W相モータ
端子電圧Vu,Vv,Vwのうち2つの端子電圧の位相
を比較し、その比較結果に基づいてモータMの回転方向
を検出する。ところで、補助動力車椅子にあっては、車
速が低速であるため、逆方向の入力トルクを加えるとモ
ータMの回転がすぐに反転する。したがって、モータM
の回転方向を入力トルクの方向として用いることができ
る。このため、CPUはモータMの回転方向をトルク入
力の方向として検知する。こうしてトルク入力の方向が
検知されると、CPUは、トルク入力の方向と同一方向
の補助トルクを発生させるようにモータMを駆動する。
【0053】このように本実施形態によれば、ステータ
ST側の各コイルをローターRTの回転位相を検出する
回転位相検出手段として用い、U,V,W相モータ端子
電圧Vu,Vv,Vwに基づいて入力トルクの方向を検
出するので、方向検出センサのような入力トルクの方向
を検出すれための特別な構成を省略することができる。
このため、簡易な構成で入力トルクの方向を検出し、そ
の検出結果に基づいて補助トルクの方向を制御すること
ができる。
【0054】F.変形例 本発明は、上述した実施形態や応用例に限定されるもの
ではなく、例えば、以下に述べる種々の変形が可能であ
る。 上記各実施形態では、補助動力車椅子を一例として説
明したが、パワーステアリング等に本発明を応用しても
よく、要は、入力トルクおよびその方向に応じて、モー
タによって出力トルクを付加する装置であれば、どのの
ようなものにも適用可能である。
【0055】上記実施形態では、モータの一例とし
て、4極3相ブラシレス同期機を取りあげて説明した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、回転位相
と無関係にローターRTとステータSTとの間の電磁力
を制御することができるものであれば、どのようなもの
であってもよい。例えば、誘導機、同期機、DCブラシ
レスモータ等が該当する。
【0056】上記各実施形態では、ステップS2にお
いて、検出時期を通電タイミング信号ESの示す位相に
基づいて判別していたが、時間を計測することによって
判別してもよい。具体的には、タイマーによって検出期
間終了から、時間の計測を開始し、計測された時間が予
め定められた時間と一致した時に検出期間の開始とすれ
ばよい。また、ステップS4では、モータMの回転数に
応じて検出電流Ifの値を設定したが、回転数のレンジ
が狭い場合には、検出電流Ifの値を固定値としてもよ
い。また、ステップS9,10では、回転数に応じて次
回の検出時期を決定していたが、固定のタイミングで検
出してもよい。また、上述した第2実施形態のように入
力加速度を算出する場合にあっては、入力加速度を考慮
して次回の検出時期を決定してもよい。また、出力期間
において、モータMを正弦波で駆動することとしたが、
これを矩形波で駆動するようにしてもよい。また、パル
ス幅変調を施した矩形波で駆動してもよい。
【0057】上記第3実施形態では、3相のエンコー
ダ6を用いて入力トルクの方向を検出したが、2相のエ
ンコーダを用いて入力トルクの方向を検出するようにし
てもよい。この場合には、図8に示すセンサScを省略
できる。ここでは、センサSa,Sbから検出される信
号を各々A,B相位相信号Ea,Ebと呼ぶこととす
る。モータMが正方向に回転しているとすれば、A,B
相位相信号Ea,Ebは図14(A),(B)に示すも
のとなり、一方、モータMが負方向に回転しているとす
れば、A,B相位相信号Ea,Ebは図15(A),
(B)に示すものとなる。これらより、正方向にモータ
Mが回転している場合には、A相位相信号EaがB相位
相信号Ebに対して進み、逆に負方向のモータMが回転
している場合には、A相位相信号EaがB相位相信号E
bに対して遅れる。したがって、A相位相信号EaとB
相位相信号Ebの位相を比較することによって、モータ
Mの回転方向を検出でき、これにより入力トルクの方向
を検出することができる。
【0058】上記第3,第4実施形態にあっては、モ
ータMの回転方向を検出することにより、入力トルクの
方向を検知したが、これは、車椅子のように車速が低速
であって、逆方向の入力トルクが加わると、モータMが
速やかに逆回転する場合に有効であった。より正確に入
力トルクの方向を検出するには、ローターRTの位相を
示す信号、例えば、U,V,W相位相信号Eu,Ev,
EwやU,V,W相モータ端子電圧Vu,Vv,Vwに
基づいて、ローターRTの角加速度W’の符号を算出
し、これと回転方向を組み合わせることによって入力ト
ルクの方向を検知することができる。
【0059】この点について具体的に説明する。まず、
モータMの回転方向をK(K=+1で正回転方向、K=
−1で負回転方向)で表すものとする。いま角加速度
W’の符号が正ならば、回転方向と同一方向に入力トル
クが加わっており、一方、角加速度W’の符号が負なら
ば、回転方向と同一方向に入力トルクが加わっている。
したがって、KW’>0ならば入力トルクは正方向であ
り、一方、KW’<0ならば入力トルクは負方向であ
る。
【0060】角加速度W’を求めるには、角速度Wの変
動を求めればよい。角速度Wは単位時間あたりにロータ
ーRTが回転した位相量である。ところで、図9(A)
に示すU相位相信号Euは、ローターRTの回転位相に
同期したものであるから、そのハイレベルの期間は、回
転位相180度に対応する。このため、ハイレベルの期
間を時間計測すれば、その計測結果は角速度Wの逆数に
対応する。例えば、U相位相信号Euをカウンタのイネ
ーブル端子に供給し、そのハイレベルの期間のみクロッ
ク信号を計測することによって、角速度Wの逆数に対応
する値を求めることができる。そして、前回の計測値と
今回の計測値を比較し、増加していれば角加速度W’の
符号は負と判別でき、一方、減少していれば角加速度
W’の符号は正と判別できる。
【0061】このようにして検出された角加速度W’の
符号とローターRTの回転方向から、入力トルクの方向
を正確に検出することができる。この検出方式によれ
ば、補助動力車椅子が前進している場合に人が手を外輪
にそえてブレーキをかけると、入力トルクの方向が負で
あると検出できる。このため、負方向の補助トルクをモ
ータMで発生させ、速やかに補助動力車椅子を停止させ
ることができる。
【0062】
【発明の効果】上述したように本発明に係わる発明特定
事項によれば、一つのモータを出力トルクを発生させる
トルク発生装置と入力トルクを検出するトルク検出装置
に兼用することができるので、特別なトルク検出装置を
不要にできる。また、回転速度の応じて入力トルクの検
出時期を定めることができるから、正確な入力トルクを
検出することができる。また、入力トルクの方向を簡易
に検出でき、検出された入力トルクの方向に応じて補助
トルクを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる入力トルクの検出方法の原理
を説明するための概念図である。
【図2】 本発明の第1実施形態に係わる補助電動力車
椅子の構成を示すブロック図である。
【図3】 同実施形態に係わる制御部の動作を示すフロ
ーチャートである。
【図4】 同実施形態に係わるアシスト量を算出する際
の係数と車速との関係を示すブロック図である。
【図5】 同実施形態に係わる出力期間、移行期間およ
び検出期間における通電タイミング信号とU相モータ電
流の関係を示したタイミングチャートである。
【図6】 同実施形態に係わるトルク検出移行時の出力
トルクを説明するための概念図である。
【図7】 本発明の第2実施形態に係わる制御部の動作
を示すフローチャートである。
【図8】 本発明の第3実施形態に用いられるエンコー
ダの外観構成を示す説明図である。
【図9】 同実施形態において、モータMが正方向に回
転している場合のU,V,W相位相信号の各波形図であ
る。
【図10】 同実施形態において、モータMが負方向に
回転している場合のU,V,W相位相信号の各波形図で
ある。
【図11】 本発明の第4実施形態に係わるモータMの
駆動回路を示す回路図である。
【図12】 同実施形態において、モータMが正方向に
回転している場合のU,V,W相モータ端子電圧の各波
形図である。
【図13】 同実施形態において、モータMが負方向に
回転している場合のU,V,W相モータ端子電圧の各波
形図である。
【図14】 変形例において、モータMが正方向に回転
している場合のA,B相位相信号の各波形図である。
【図15】 変形例において、モータMが負方向に回転
している場合のA,B相位相信号の各波形図である。
【図16】 従来の補助電動力自転車の電気的な構成を
示すブロック図である。
【符号の説明】
4’…制御部(給電手段、入力トルク演算手段、制御手
段、比較手段、判定手段)、6…エンコーダ(方向検出
手段、回転位相検出手段)、10…駆動輪(トルク入力
手段)、11…方向検出センサ(方向検出手段)、M…
モータ、Ia…アシスト電流、If…検出電流、Im…
モータ電流。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人力によってトルクを入力できるトルク
    入力手段と、 前記トルク入力手段から入力された入力トルクによって
    モータの軸が回転すると発電が行われるように前記モー
    タに給電を行う給電手段と、 前記モータの軸が前記入力トルクによって回転したとき
    の起電力と前記回転速度とに基づいて前記入力トルク値
    を求める入力トルク演算手段と、 前記入力トルクの方向を検出する方向検出手段と、 前記入力トルク値と前記入力トルクの方向に基づいて、
    補助トルクを発生させように前記モータを制御する制御
    手段とを具備することを特徴とするトルク制御装置。
  2. 【請求項2】 人力によってトルクを入力できるトルク
    入力手段と、 前記トルク入力手段から入力された入力トルクによって
    モータの軸が回転すると当該モータによって発電が行わ
    れるように前記モータに給電を行う第1の給電モードお
    よび前記モータを回転駆動させる給電を行う第2の給電
    モードとを交互に行う給電手段と、 前記第1の給電モード時において前記モータの軸が前記
    入力トルクによって回転したときの起電力と回転数とに
    基づいて前記入力トルク値を求める入力トルク演算手段
    と、 前記入力トルクの方向を検出する方向検出手段と、 前記入力トルク値と前記入力トルクの方向に基づいて、
    補助トルクを発生させように前記モータを制御する制御
    手段とを具備することを特徴とするトルク制御装置。
  3. 【請求項3】 前記方向検出手段は、前記トルク入力手
    段と前記モータとの間で行われるトルク伝達に基づい
    て、前記入力トルクの方向を検出することを特徴とする
    請求項1または2に記載のトルク制御装置。
  4. 【請求項4】 前記方向検出手段は、前記モータの軸の
    回転位相を複数の相について検出する回転位相検出手段
    と、 複数の回転位相を比較する比較手段と、 前記比較手段の比較結果に基づいて、前記入力トルクの
    方向を判定する判定手段とを備えることを特徴とする請
    求項1または2に記載のトルク制御装置。
  5. 【請求項5】 前記モータには複数の相に対応する各コ
    イルが配設され、 前記回転位相検出手段は、前記各コイルに誘起される誘
    起電圧に基づいて、前記モータの軸の回転位相を複数の
    相について検出することを特徴とする請求項4に記載の
    トルク制御装置。
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