JPH10131793A - 内燃機関の触媒劣化判定装置 - Google Patents

内燃機関の触媒劣化判定装置

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JPH10131793A
JPH10131793A JP8302345A JP30234596A JPH10131793A JP H10131793 A JPH10131793 A JP H10131793A JP 8302345 A JP8302345 A JP 8302345A JP 30234596 A JP30234596 A JP 30234596A JP H10131793 A JPH10131793 A JP H10131793A
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有司 藤木
Yukito Fujimoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒の劣化度合をより高精度に判定すること
ができる触媒劣化判定装置を提供する。 【解決手段】 エンジン1の排気管12に設けられた排
気ガス浄化装置13は、触媒が格納された上流側格納部
13aと下流側格納部13bとを1つの容器に収容して
構成されている。上流側格納部13aと下流側格納部1
3bとの間にO2センサ15が設けられている。O2セ
ンサ15の出力に応じた空燃比フィードバック制御を行
い、O2センサ出力の反転周期に対応する判定時間TC
HKに基づいて排気ガス浄化装置13内の触媒全体とし
ての劣化度合の判定を行う。上流側格納部13aの容量
は、全体の容量の30%から60%とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気系
に設けられ、排気ガスを浄化する触媒の劣化を判定する
触媒劣化判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気ガスを浄化する触媒の劣
化を判定する手法として、機関の排気通路に装着された
触媒の下流側に設けた酸素濃度センサの出力の応じて機
関に供給する混合気の空燃比をフィードバック制御し、
その時の酸素濃度センサ出力の反転周期を用いて触媒の
劣化判定を行う手法(例えば特開平5−106494号
公報)が従来より知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の手法では、触媒の劣化度合を高い精度で判定すること
が困難であるため、より厳しい排気ガス規制に適合させ
る上で改善の余地が残されていた。
【0004】本発明はこの点に着目してなされたもので
あり、触媒の劣化度合をより高精度に判定することがで
きる触媒劣化判定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気系に設けら
れ、触媒により排気ガスの浄化を行う排気ガス浄化手段
と、該排気ガス浄化手段を通過した排気ガス中の酸素濃
度を検出する酸素濃度検出手段と、該酸素濃度検出手段
の出力に応じて前記機関に供給する混合気の空燃比をフ
ィードバック制御する空燃比制御手段と、該空燃比制御
手段による空燃比制御時の前記酸素濃度検出手段の出力
に基づいて前記触媒の劣化度合を判定する劣化判定手段
とを備えた内燃機関の触媒劣化判定装置において、前記
排気ガス浄化手段は、前記触媒が格納された上流側格納
部及び下流側格納部を有し、前記酸素濃度検出手段は、
前記上流側格納部と下流側格納部の間に装着され、前記
触媒劣化判定手段は、前記上流側格納部の触媒の劣化度
合に基づいて前記排気ガス浄化手段の触媒全体としての
劣化度合を判定することを特徴とする。
【0006】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の触媒劣化判定装置において、前記上流側格納部の容量
は、前記上流側及び下流側格納部の全体の容量の30%
から60%とすることを特徴とする。
【0007】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の触媒劣化判定装置において、前記排気ガス浄化
手段は、前記上流側格納部及び下流側格納部を1つの容
器に収容して構成されていることを特徴とする。
【0008】本発明によれば、上流側格納部の触媒の劣
化度合に基づいて排気ガス浄化手段の触媒全体としての
劣化度合が判定される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0010】図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機
関(以下「エンジン」という)及びその制御装置の全体
構成図であり、例えば4気筒のエンジン1の吸気管2の
途中にはスロットル弁3が配されている。スロットル弁
3にはスロットル弁開度(θTH)センサ4が連結され
ており、当該スロットル弁3の開度に応じた電気信号を
出力してエンジン制御用電子コントロールユニット(以
下「ECU」という)5に供給する。
【0011】燃料噴射弁6はエンジン1とスロットル弁
3との間かつ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上流側
に各気筒毎に設けられており、各噴射弁は図示しない燃
料ポンプに接続されていると共にECU5に電気的に接
続されて当該ECU5からの信号により燃料噴射の開弁
時間が制御される。
【0012】一方、スロットル弁3の直ぐ下流には吸気
管内絶対圧(PBA)センサ7が設けられており、この
絶対圧センサ7により電気信号に変換された絶対圧信号
は前記ECU5に供給される。また、その下流には吸気
温(TA)センサ8が取付けられており、吸気温TAを
検出して対応する電気信号を出力してECU5に供給す
る。
【0013】エンジン1の本体に装着されたエンジン水
温(TW)センサ9はサーミスタ等から成り、エンジン
水温(冷却水温)TWを検出して対応する温度信号を出
力してECU5に供給する。エンジン回転数(NE)セ
ンサ10及びCRKセンサ11はエンジン1の図示しな
いカム軸周囲又はクランク軸周囲に取付けられている。
エンジン回転数センサ10はエンジン1のクランク軸の
180度回転毎に所定のクランク角度位置でパルス(以
下「TDC信号パルス」という)を出力し、CRKセン
サ11は所定のクランク角毎、例えば45度のクランク
角度位置で信号パルス(以下「CRK信号パルス」とい
う)を出力するものであり、これらの各信号パルスはE
CU5に供給される。
【0014】排気管12には排気ガスを浄化する排気ガ
ス浄化装置13が設けられ、この排気ガス浄化装置13
は、それぞれ排気ガス浄化用の触媒が格納された上流側
格納部13a及び下流側格納部13bを1つの容器(コ
ンテナ)に格納して構成されている。排気ガス浄化装置
13の上流位置には、酸素濃度検出手段としての上流側
O2センサ14が装着されているとともに、上流側格納
部13aと下流側格納部13bとの間には酸素濃度検出
手段としての下流側O2センサ15が装着され、それぞ
れ排気ガス中の酸素濃度を検出してその検出値に応じた
電気信号(PVO2,SVO2)がECU5に供給され
る。また上流側格納部13aと下流側格納部13bとの
間には排気ガス浄化装置13の温度を検出する触媒温度
(TCAT)センサ16が装着され、検出された触媒温
度TCATに対応する電気信号がECUに供給される。
【0015】このように下流側O2センサ15を、上流
側格納部13aと下流側格納部13bとの間に装着する
ことにより、以下の利点が得られる。下流側格納部13
b内の触媒は、上流側格納部13aがあるため、異常燃
焼や被毒によって異常劣化することはなく、通常の経時
劣化のみを想定すればよいので、上流側格納部13a内
の触媒の劣化をモニタすることで、排気ガス浄化装置1
3内の触媒全体としての劣化度合を判定することが可能
である。しかも上流側格納部13a内の触媒は、下流側
格納部13b内の触媒に比べて劣化の進行が速いので、
例えば全体として2%の浄化性能の低下は、上流側格納
部13a内の触媒の20%程度の性能低下を判定するこ
とにより検出することができ、排気ガス浄化装置13内
の触媒全体としての劣化度合をより高精度に判定するこ
とが可能となる。また排気ガス浄化装置13を上流側格
納部13a及び下流側格納部13bを1つの容器に収容
して構成することにより、両格納部13a,13bの温
度条件等が近似し、触媒全体としての劣化度合の判定精
度をより向上させることができる。
【0016】ECU5にはさらに、エンジン1が搭載さ
れた車両の速度を検出する車速センサ(VH)17、大
気圧(PA)センサ18が接続されており、これらのセ
ンサの検出信号がECU5に供給される。
【0017】吸気管2には、通路19を介して燃料タン
クで発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタ(図示せ
ず)が接続されており、通路19の途中にパージ制御弁
20が配設されている。パージ制御弁20は、ECU5
に接続されており、ECU5によりその開閉が制御され
る。パージ制御弁20は、エンジン1の所定運転状態に
おいて開弁され、キャニスタに貯蔵された蒸発燃料を吸
気管2に供給する。
【0018】ECU5は、各種センサからの入力信号波
形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナロ
グ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する
入力回路5a、中央演算処理回路(以下「CPU」とい
う)5b、CPU5bで実行される各種演算プログラム
及び演算結果等を記憶する記憶手段5c、前記燃料噴射
弁6に駆動信号を供給する出力回路5d等から構成され
る。
【0019】CPU5bは、上述の各種エンジンパラメ
ータ信号に基づいて、空燃比フィードバック制御領域や
空燃比フィードバック制御を行わない複数の特定運転領
域(以下「オープンループ制御領域」という)の種々の
エンジン運転状態を判別するとともに、該判別されたエ
ンジン運転状態に応じて、下記数式(1)に基づき、前
記TDC信号パルスに同期する燃料噴射弁6の燃料噴射
時間TOUTを演算する。
【0020】 TOUT=TIM×KO2×K1+K2 …(1) ここに、TIMは基本燃料量、具体的には燃料噴射弁5
の基本燃料噴射時間であり、エンジン回転数NE及び吸
気管内絶対圧PBAに応じて設定されたTIマップを検
索して決定される。TIマップは、エンジン回転数NE
及び吸気管内絶対圧PBAに対応する運転状態におい
て、エンジンに供給する混合気の空燃比がほぼ理論空燃
比になるように設定されている。すなわち、基本燃料量
TIMは、エンジンの吸入空気量(重量流量)にほぼ比
例する値を有する。
【0021】KO2は空燃比補正係数(以下、単に「補
正係数」という)であり、空燃比フィードバック制御
時、O2センサ14,15により検出された排気ガス中
の酸素濃度に応じて求められ、さらにオープンループ制
御領域では各運転領域に応じた値に設定される。
【0022】K1及びK2は夫々各種エンジンパラメー
タ信号に応じて演算される他の補正係数および補正変数
であり、エンジン運転状態に応じた燃費特性、エンジン
加速特性等の諸特性の最適化が図れるような所定値に決
定される。
【0023】CPU5bは上述のようにして求めた燃料
噴射時間TOUTに基づいて燃料噴射弁6を開弁させる
駆動信号を出力回路5dを介して燃料噴射弁6に供給す
るとともに、エンジン運転状態に応じたパージ制御弁2
0の開閉制御を行う。
【0024】次に、排気ガス浄化装置13内の触媒の劣
化判定(劣化モニタ)について説明する。
【0025】この排気ガス浄化装置13内の触媒の劣化
モニタを行う場合のフィードバック制御は下流側O2セ
ンサ15の出力SVO2のみに基づいて行われる。そし
て出力SVO2が所定の基準電圧SVREFに対してリ
ーン側からリッチ側へ反転した時点から出力SVO2が
逆方向に反転した時点までの時間TL、及び出力SVO
2が基準電圧RVREFに対してリッチ側からリーン側
へ反転した時点から出力SVO2が逆方向に反転した時
点までの時間TRが計測され、これらの時間TL,TR
に基づいて排気ガス浄化装置13の触媒の劣化が判定さ
れる(図6参照)。
【0026】図2は、触媒劣化モニタ処理の全体構成を
示すフローチャートであり、本処理はCPU5bで所定
時間(例えば10msec)毎に実行される。
【0027】ステップS1では、劣化モニタを実行する
ための前提条件(以下「前条件」という)が成立してい
ることを「1」で示す前条件フラグFMCNDが「1」
か否かを判別し、FMCND=0であるときは直ちに本
処理を終了する。
【0028】ここで図3を参照して、前条件判定処理
(前条件フラグFMCNDの設定を行う処理)を説明す
る。
【0029】先ず、ステップS21では、モニタ許可フ
ラグFGO67が「1」か否かを判別する。このモニタ
許可フラグFGO67は、触媒劣化モニタ以外の例えば
O2センサ劣化モニタ、蒸発燃料排出抑止系故障モニ
タ、フュエル系異常モニタ等が実行中のとき「0」に設
定され、他のモニタが実行されていないとき「1」に設
定されるフラグである。モニタ許可フラグFGO67が
「0」であって、他のモニタが実行中のときは、タイマ
tCATMに所定時間TCATMを設定してスタートさ
せ、前条件不成立(FMCND=0)とする。
【0030】モニタ許可フラグFGO67が「1」であ
って触媒劣化モニタが許可されているときは、キャニス
タから吸気管2への蒸発燃料のパージをカットすべき運
転状態のとき「1」に設定されるパージカットフラグF
PGSCNTが「1」か否かを判別し(ステップS2
2)、FPGSCNT=1であってパージカットすべき
運転状態のときは、前記ステップS30、S32に進
み、前条件不成立とする。FPGCNT=0のときは、
リミットフラグFKO2LMTが「1」か否かを判別す
る。リミットフラグFKO2LMTは、補正係数KO2
が所定上限値又は下限値に所定時間以上貼り付いている
(KO2リミット貼り付き状態の)とき「1」に設定さ
れるフラグである。
【0031】FKO2LMT=1であってKO2リミッ
ト貼り付き状態のときは、触媒劣化モニタの終了を
「1」で示す終了フラグFDONEを「1」に設定して
前記ステップS30に進む。
【0032】FKO2LMT=0であってKO2リミッ
ト貼り付き状態でないときは、さらに吸気温TAが所定
上下限値TACATCHKH(例えば100℃)、TA
CATCHKL(例えば−0.2℃)の範囲内にあるか
否か、エンジン水温TWが所定上下限値TWCATCH
KH(例えば100℃)、TWCATCHKL(例えば
80℃)の範囲内にあるか否か、エンジン回転数NEが
所定上下限値NECATCHKH(例えば3500rp
m)、NECATCHKL(例えば1000rpm)の
範囲内にあるか否か、吸気管内絶対圧PBAが所定上下
限値PBCATCHKH(例えば510mmHg)、P
BCATCHKL(例えば300mmHg)の範囲内に
あるか否か、車速Vが所定上下限値VCATCHKH
(例えば80km/h)、VCATCHKL(例えば3
2km/h)の範囲内にあるか否かを判別し(ステップ
S25)、これらの運転パラメータのすべてが所定上下
限値の範囲内にあるときは、さらに排気ガス浄化装置1
3の温度TCATが所定範囲(例えば350℃〜800
℃)内にあるか否かを判別する(ステップS26)。こ
の触媒温度TCATは、センサの検出値を用いるが、エ
ンジン運転状態に応じて推定した温度値を用いてもよ
い。
【0033】触媒温度TCATが所定範囲内にあるとき
はさらに、当該車両がクルーズ状態にあるか否かを判別
する(ステップS27)。この判別は、例えば車速Vの
変動が0.8km/sec以下の状態が所定時間(例え
ば2秒)継続したか否か判別することにより行う。そし
て車両がクルーズ状態あるときは、吸気管内絶対圧PB
Aの変動量ΔPBA(例えば5msecの間の変化量)
が所定値PBCAT(例えば16mmHg)以下か否か
を判別する(ステップS28)。ここで変動量ΔPBA
が所定値PBCAT以下のときは、さらに上流側O2セ
ンサ出力PVO2に基づくフィードバック制御の実行中
か否かを判別する(ステップS29)。そして、ステッ
プS25〜S29のいずれかの答が否定(NO)のとき
は、前記ステップS30に進む一方、すべての答が肯定
(YES)のとき、即ち運転状態が所定の状態となった
ときは、ステップS30でスタートしたタイマtCAT
Mのカウント値が「0」か否かを判別する。最初はtC
ATM>0なので、前条件不成立となり(ステップS3
2)、運転状態が所定の状態となってから所定時間TC
ATM(例えば5秒)経過したとき、前条件成立と判定
され、前条件フラグFMCNDを「1」に設定して(ス
テップS33)、本処理を終了する。
【0034】図2に戻り、FMCND=1であって前条
件が成立しているときは、終了フラグFDONEが
「1」か否かを判別し、FDONE=1であるときは直
ちに本処理を終了する。FDONE=0であるときは、
SVO2周期計測処理を実行する(ステップS3)。
【0035】図5は、この周期計測処理のフローチャー
トであるが、FMCND=1かつFDONE=0である
ときは、下流側O2センサ15の出力SVO2に応じて
空燃比補正係数KO2を算出し、空燃比フィードバック
制御を実行するので、先ず図4を算出して、KO2算出
処理を説明する。
【0036】図4のステップS41では、出力SVO2
と基準電圧SVREFとの大小関係が反転したか否かを
判別し、反転したときは、出力SVO2が基準電圧SV
REFより低いか否かを判別する(ステップS42)。
そして、SVO2<SVREFであるときは、補正係数
KO2の直前値にリッチ側スペシャルP項PRSPを加
算する一方、SVO2>SVREFであるときは、補正
係数KO2の直前値からリーン側スペシャルP項を減算
する比例制御を行う(ステップS43、S44)。
【0037】ステップS41の答が否定(NO)のとき
は、出力SVO2が基準電圧SVREFより低いか否か
を判別し(ステップS45)、SVO2<SVREFで
あるときは、補正係数KO2の直前値にスペシャルI項
IRSPを加算する一方、SVO2>SVREFである
ときは、補正係数KO2の直前値からスペシャルI項I
LSPを減算する積分制御を行う(ステップS46、S
47)。
【0038】図4の処理により、下流側O2センサ出力
SVO2及び補正係数KO2は図6に示すように周期的
に変化する。以下センサ出力SVO2の変化周期を「S
VO2周期」という。
【0039】次に図5を参照して、SVO2周期計測処
理を説明する。
【0040】ステップS51では、本処理の最初の実行
時であることを「0」で示す初期化フラグFCATMS
Tが「0」か否かを判別する。最初はFCATMST=
0であるので、ステップS52に進み、このフラグFC
ATMSTを「1」に設定し、次いで各種パラメータの
初期化を行う(ステップS53)。すなわち、周期の計
測回数をカウントするカウンタnT、周期計測を開始し
たことを「1」で示す計測開始フラグFCATMON、
時間TLの積算値TLSUM及び時間TRの積算値TR
SUMをいずれも「0」に設定する。続くステップS5
4では、周期計測用アップカウントタイマtmSTRG
をクリア(「0」に設定)し、ステップS55に進む。
【0041】本処理の次回以降の実行時は、FCATM
ST=1であるので、ステップS51から直ちにステッ
プS55に進む。
【0042】ステップS55では、下流側O2センサ出
力SVO2と基準電圧SVREFとの大小関係が反転し
たか否かを判別し、反転していないときは直ちに本処理
を終了する。また反転したときは、計測開始フラグFC
ATMONが「1」か否かを判別し(ステップS5
6)、最初はFCATMON=0であるので、このフラ
グFCATMONを「1」に設定するとともに、計測管
理フラグFCATMEASを「0」に設定して、ステッ
プS64に進む。計測管理フラグFCATMEASは、
時間TLまたはTRのどちらから計測を開始しても、偶
数回の計測を実行する(すなわち、積算値TRSUMと
TLSUMの演算を同じ回数行う)のために設けたフラ
グである。ステップS64では、タイマtmSTRGを
クリアして本処理を終了する。
【0043】ステップS56でFCATMON=1であ
るときは、出力SVO2が基準電圧SVREFより高い
か否かを判別し(ステップS58)、SVO2>SVR
EFであるときは、積算値TRSUMの直前値にタイマ
tmSTRGの値を加算することにより積算値TRSU
Mを算出し(ステップS59)、SVO2<SVREF
であるときは、積算値TLSUMの直前値にタイマtm
STRGの値を加算することにより積算値TLSUMを
算出して(ステップS60)、ステップS61に進む。
出力SVO2の反転直後のタイマtmSTRGの値は、
図6に示すように、時間TL又はTRに相当するので、
(TRSUM+TLSUM)がSVO2周期(センサ出
力の反転周期)の積算値となる。
【0044】ステップS61では、計測管理フラグFC
ATMEASが「1」か否かを判別する。最初はFCA
TMEAS=0であるので、このフラグFCATMEA
Sを「1」に設定して(ステップS63)、前記ステッ
プS64に進む。また、FCATMEAS=1であっ
て、今回の計測が偶数回目のときは、カウンタnTを
「1」だけインクリメントし、フラグFCATMEAS
を「0」に戻して(ステップS62)、前記ステップS
64に進む。
【0045】図2に戻り、ステップS4ではカウンタn
Tの値、すなわち周期の計測回数が所定値NTLMT
(例えば3)以上か否かを判別し、nT<NTLMTで
ある間は直ちに本処理を終了する。このようにして、S
VO2周期計測処理が繰り返し実行され、nT=NTL
MTとなるとステップS5に進む。
【0046】ステップS5では下記数式(2)により、
NTLMT回計測したSVO2周期の平均値として判定
時間TCHKを算出する。なお、所定値NTLMTは
「1」としてもよく、その場合には判定時間TCHKは
計測値そのものである。
【0047】本実施の形態においては、酸素濃度検出手
段の出力変化周期を代表するパラメータとして判定時間
TCHKが用いられる。
【0048】 TCHK=(TLSUM+TRSUM)/nT …(2) 続くステップS6では、下記数式(3)により触媒(上
流側格納部13a内の)の酸素蓄積能力を表す第1の判
定パラメータOSCINDEXを算出し、バッテリでバ
ックアップされた(イグニッションスイッチをオフして
も記憶内容が消えない)リングバッファに格納する。
【0049】 OSCINDEX=TCHK×GAIRSUM …(3) ここで、GAIRSUMは、排気ガス流量を代表するパ
ラメータの、SVO2周期計測期間中の積算値(以下
「流量積算値」という)であり、図7の処理により算出
される。図7の処理はTDC信号パルスの発生毎に実行
される。
【0050】同図のステップS71では、終了フラグF
DONEが「1」か否かを判別し、FDONE=0であ
るときは、計測開始フラグFCATMONが「1」か否
かを判別する(ステップS72)。そして、FDONE
=1であって触媒劣化モニタが終了しているとき又はF
CATMON=0であってSVO2周期の計測を開始し
ていないときは、流量積算値GAIRSUMを「0」に
設定して(ステップS73)、本処理を終了する。
【0051】一方FDONE=0かつFCATMON=
1であるときは、下記数式(4)により、流量積算値G
AIRSUMを算出する(ステップS74)。
【0052】 GAIRSUM=GAIRSUM+TIM …(4) ここで、右辺のGAIRSUMは前回算出値、TIMは
前記数式(1)の基本燃料量である。基本燃料量TIM
は前述したように吸入空気量に比例する値を有し、吸入
空気量は排気ガス流量とほぼ等しいので、排気ガス流量
を代表するパラメータとして用いている。これにより、
吸入空気量センサ又は排気ガス流量センサを設けること
なく、排気ガス流量の積算値に相当するパラメータを得
ることができる。
【0053】このようにして算出した流量積算値GAI
RSUMを判定時間TCHKに乗算することにより判定
パラメータOSCINDEXを算出し、これを用いて触
媒の劣化判定を行うことより、エンジン運転状態の影響
を受け難くなり、エンジン運転状態の広い範囲に亘って
正確な劣化判定を行うことが可能となる。すなわち、触
媒の酸素蓄積能力が同一でも、排気ガス流量が大きいほ
ど、上記判定時間TCHKは短くなる傾向があり、従来
の手法では判定時間TCHKを所定基準値と比較して、
触媒の劣化を判定してしていたため、劣化判定を行うエ
ンジン運転状態を比較的狭い範囲に限定する必要があっ
たが、本実施形態によれば、排気ガス流量の変化を加味
して判定されるので、上記効果を得ることができる。
【0054】ここで、判定パラメータOSCINDEX
により触媒の酸素蓄積能力、すなわち最大酸素蓄積量を
正確に把握することができる理由を以下に説明する。
【0055】図6においてセンサ出力SVO2が基準電
圧SVREFより高い期間(TL)は、触媒に酸素が蓄
積される期間であるが、このとき補正係数KO2は時間
経過に対して直線的に減少するように制御されるので、
排気ガス中の空気過剰率λは、時間に対してほぼ直線的
に増加すると考えられる。したがって、排気ガス流量の
積算値に対応する流量積算値GAIRSUMに判定時間
TCHKを乗算することにより算出される判定パラメー
タOSCINDEXは、判定時間TCHKの期間中に触
媒に蓄積される酸素量に比例するパラメータとなる。な
お、厳密には判定時間TCHKの約1/2が酸素を蓄積
する期間であり、残りの約1/2が酸素を放出する期間
であるが、判定パラメータOSCINDEXが、触媒の
酸素蓄積能力にほぼ比例するということにかわりはな
い。
【0056】図2に戻り、ステップS7では、判定パラ
メータOSCINDEXの算出回数をカウントするカウ
ンタndetectを「1」だけインクリメントする。
このカウント値ndetectは、判定パラメータOS
CINDEXと同様に、バッテリでバックアップされた
メモリに格納される。
【0057】続くステップS9では、ステップS6で算
出した第1の判定パラメータOSCINDEXが第1の
判定基準値LMTDC以上か否かを判別し、OSCIN
DEX≧LMTDCであるときは、直ちにステップS1
1に進む。またOSCINDEX<LMTDCであると
きは、排気ガス処理装置13内の触媒が劣化していると
判定し、第1の判定(ステップS9)で劣化と判定した
ことを示すべく、第1のOKフラグFOKDCを「0」
に設定するとともに第1の劣化フラグFNGDCを
「1」に設定して(ステップS10)、ステップS11
に進む。
【0058】ステップS11では、カウント値ndet
ectが所定値nDC(例えば6)以上か否かを判別
し、ndetect<nDCであるときは直ちに、また
ndetect≧nDCであるときはndetect=
nDCとして(ステップS12)、ステップS13に進
む。
【0059】ステップS13では、下記数式(5)によ
り、第1の判定パラメータOSCINDEXの移動平均
値OSCMAを算出し、この移動平均値OSCMAを第
2の判定パラメータとする。
【0060】 OSCMA={OSCINDEX(n)+OSCINDEX(n−1) +…+OSCINDEX(n−ndetect+1)}/ndetect …(5) ここで、(n)は今回値を示し、(n−1)は前回値、
(n−ndetect+1)は、(ndetect−
1)回前の算出値を示す。なお、第1の判定パラメータ
OSCINDEXは、前述したようにバッテリでバック
アップされたリングバッファに順次格納されている。ま
た、OSCINDEXのリングバッファは、当初は
「0」に初期化されており、算出値が格納されるとバッ
テリが取り外される等の事態が発生しない限り、過去の
算出値が保持される。
【0061】続くステップS14では、カウント値nd
etectに応じて図8に示すLMTMAテーブルを検
索し、第2の判定基準値LMTMAを得る。LMTMA
テーブルは、ndetect値が増加するほど、減少す
るように(劣化と判定しにくくなる方向に)設定されて
いる。なお、前記第1の判定基準値LMTDCは、nd
etect=1のときの第2の判定基準値LMTMA
(すなわち、第2の判定基準値LMTMAの中で最も劣
化と判定し易い基準値)より小さな値(劣化と判定しに
くい値)に設定されている。
【0062】次いでステップS13で算出した第2の判
定パラメータOSCMAが第2の判定基準値LMTMA
以上か否かを判別し(ステップS15)、OSCMA≧
LMTMAであるときは、正常と判定して、第2のOK
フラグFOKMAを「1」に設定して(ステップS1
6)、ステップS18に進む。またOSCMA<LMT
MAであるときは、排気ガス処理装置13内の触媒が劣
化していると判定し、第2のOKフラグFOKMAを
「0」に設定するとともに第2の劣化フラグFNGMA
を「1」に設定して(ステップS17)、ステップS1
8に進む。ステップS18では、劣化モニタの終了を示
すべく終了フラグFDONE=1に設定して、本処理を
終了する。
【0063】図2の処理は、イグニッションスイッチが
オンされると所定時間毎に実行されるが、エンジンが始
動されてステップS5からS18の処理が1回実行され
ると、終了フラグFDONE=1となるので、以後はス
テップS3からS18の処理は実行されなくなる。その
後エンジンが停止され、再度始動されると、またステッ
プS5からS18の判定処理が1回実行される。すなわ
ち、イグニッションスイッチがオンされてから、エンジ
ンが始動され、停止するまでの期間を1運転期間とする
と、モニタ実施条件が成立すれば1運転期間に1回劣化
判定が実行される。そして、本実施形態では、図14に
示す処理により、第1の劣化フラグFNGDCが2回連
続して「1」となったとき、または第2の劣化フラグF
NGMAが2回連続して「1」となったとき、劣化判定
を確定し、運転者に触媒の劣化を警告する警告灯を点灯
させるようにしている。これ以外の場合は、警告灯を点
灯させない。
【0064】図14の処理は、イグニッションスイッチ
がオンされると、バックグラウンド(他の優先度の高い
処理が実行されていない状態)においてCPU5bで実
行されるものである。なお、終了フラグFDONE、第
1及び第2の劣化フラグFNGMA,FNGDCは、い
ずれもイグニッションスイッチオン直後は「0」に初期
化されている。
【0065】同図のステップS101では、終了フラグ
FDONEが「1」か否かを判別し、FDONE=0で
ある間は直ちに本処理を終了する。FDONE=1とな
ると、第2の劣化フラグFNGMAが「1」か否かを判
別し(ステップS102)、FNGMA=0であるとき
は、第2のバックアップフラグFNGMABを「0」に
設定して(ステップS103)、ステップS106に進
む。バックアップフラグFNGMABは、バッテリでバ
ックアップされたメモリに格納する。
【0066】ステップS102でFNGMA=1であっ
て触媒が劣化していると判定されたときは、第2のバッ
クアップフラグFNGMABが「1」か否かを判別する
(ステップS104)。最初はFNGMAB=0である
ので、第2のバックアップフラグFNGMABを「1」
に設定して(ステップS105)、ステップS106に
進む。
【0067】ステップS106では第1の劣化フラグF
NGDCが「1」か否かを判別し、FNGDC=0であ
るときは、第1のバックアップフラグFNGDCBを
「0」に設定して(ステップS110)、本処理を終了
する。第1のバックアップフラグFNGDCBも、バッ
テリでバックアップされたメモリに格納する。
【0068】ステップS106でFNGDC=1であっ
て触媒が劣化していると判定されたときは、第1のバッ
クアップフラグFNGDCBが「1」か否かを判別する
(ステップS107)。最初はFNGDCB=0である
ので、第1のバックアップフラグFNGDCBを「1」
に設定して(ステップS109)、本処理を終了する。
【0069】ステップS104で第2のバックアップフ
ラグFNGMABがすでに「1」に設定されているとき
は、2回連続してFNGMA=1となったことを示すの
で、劣化判定を確定し、警告灯を点灯させる(ステップ
S108)。同様に、ステップS107で第1のバック
アップフラグFNGDCBがすでに「1」に設定されて
いるときは、2回連続してFNGDC=1となったこと
を示すので、劣化判定を確定し、警告灯を点灯させる
(ステップS108)。
【0070】以上のように、本実施形態では、1運転期
間に1回、第1の判定パラメータOSCINDEXを算
出し、その算出値の移動平均値OSCMAを第2の判定
パラメータとして第2の判定基準値LMTMAと比較
し、劣化判定を行うようにしたので、劣化判定の精度を
向上させることができる。なお、移動平均をとるサンプ
ル数が多いほど、判定精度が向上することは一般的な統
計理論で証明されている。
【0071】また、第1の判定パラメータOSCIND
EXの算出回数(TCHKの計測回数)が少ないとき
は、その算出回数ndetectに応じて第2の判定基
準値LMTMAを設定するようにしたので、平均化する
データが少ないときでも、確実に劣化を判定することが
できる。
【0072】また、ステップS9で、第1の判定パラメ
ータOSCINDEXの今回算出値による劣化判定を行
うことにより、第2の判定パラメータOSCMAによる
判定ではすぐに検出されないおそれのある突然の劣化
(例えば失火に起因する異常燃焼による劣化、質の悪い
燃料に起因する被毒による劣化など)をも早急に検出す
ることが可能となる。すなわち、第2の判定パラメータ
OSCMAは、移動平均値であるので、第1の判定パラ
メータOSCINDEXの過去値が正常で、今回のみ劣
化を示すような値に低下したときは、OSCMA値はそ
れほど低下しないため、サンプルの回数が増えないとそ
の突然の劣化を検出できない可能性があるが、ステップ
S9の判定により、そのような劣化も早急に検出するこ
とができる。
【0073】次に排気ガス浄化装置13の上流側格納部
13aと下流側格納部13bの容量比をどのように設定
すればよいかを、図9から図13を参照して説明する。
ここでは、上流側格納部13aの容量と下流側格納部1
3bの容量の合計の容量CATVOLTに対する、下流
側格納部13bの容量RCATVOLの割合を容量比R
VR(=RCATVOL/CATVOLT)と定義す
る。なお、図9から図12に示す特性は、いずれも実験
により得られたものである。
【0074】図9は、排気ガス浄化装置13の使用期間
TAGE及び容量比RVRの変化に対して、上流側格納
部13aの浄化効率FηHC(同図(a))、及び排気
ガス浄化装置13を通過した排気ガス中に含まれるNM
OG(Non-Methane OrganicGas:メタンを除くハイドロ
カーボンで、アルデヒド・ケトン類、アルコール・エー
テル類を含む)の量(以下「NMOG排出量」という)
NMOGEM(同図(b))がどのように変化するかを
示す図である。この図において、実線L1、破線L2、
一点鎖線L3及び二点鎖線L4は、それぞれ使用期間T
AGE=0,TAGE1,TAGE2,TAGE3に対
応し、0<TAGE1<TAGE2<TAGE3であ
る。また、NMOG排出量NMOGEMの単位は、グラ
ム/マイルである。
【0075】図9(a)によれば、使用期間TAGEが
長くなるほど上流側格納部13aの浄化効率FηHCは
低下し、また容量比RVRが減少するほど、浄化効率F
ηHCが増加することがわかる。また、同図(b)によ
れば、使用期間TAGEが長くなるほどNMOG排出量
NMOGEMが増加し、また最適な(NMOGEM値が
最小となる)容量比RVRは、使用期間TAGEによっ
て異なるが、0.41から0.71の範囲内にあること
がわかる。
【0076】図10は、図9と同様に排気ガス浄化装置
13の使用期間TAGE及び容量比RVRの変化に対し
て、前記判定時間TCHKがどのように変化するかを示
す図である。この図において、実線L5は、二点鎖線L
4の場合より更に使用期間TAGEが長く、劣化が進行
したものの特性を示す。
【0077】図10によれば、使用期間TAGEが長く
なるほど判定時間TCHKが減少し、容量比RVRが減
少するほど、異なる使用期間(すなわち触媒の劣化度
合)に対応する各線L1〜L5の間隔が広がることがわ
かる。すなわち、容量比RVRを小さくした方が、判定
時間TCHKに基づいて触媒の劣化度合を判定する場合
において劣化の判定値を適切に設定できるので、正常な
ものを異常と誤判定することがなくなり、判定の精度が
向上する。
【0078】図11は、容量比RVRおよび判定時間T
CHKの変化に対して上流側格納部13aの浄化効率F
ηHCがどのように変化するかを示す図である。この図
において、実線L11〜L15は、それぞれ容量比RV
Rを0.18,0.41,0.59,0.71,0.8
2とした場合に対応する。
【0079】図11によれば、浄化効率FηHCが急激
に減少する領域(TCHK<2sec)における、浄化
効率FηHCの変化率(ΔFηHC/ΔTCHK)は、
容量比RVRが増加するほど小さくなる(傾きが緩やか
となる)。したがって、容量比RVRを大きくした方
が、判定時間TCHKに基づいて浄化効率FηHCを判
定する場合において判定時間TCHKと浄化効率FηH
Cの相関が明確になるので、判定の精度が向上する。
【0080】以上の点より、触媒の劣化を検出するため
には容量比RVRが大きくもなく小さくもない中間の値
が適していることがわかる。
【0081】図12は、触媒の容量CATVOL(L:
リットル)とNMOG排出量NMOGEMとの関係を示
す図である。同図において実線L21、L22及びL2
3は、それぞれパラジューム系触媒、プラチナ・パラジ
ューム系触媒及びプラチナ・パラジューム・ロジューム
系触媒の100キロマイル走行後の特性を示す。また、
TLEVSTD、LEVSTD及びULEVSTDは、
それぞれNMOG排出量の規制値を示し、また例えばU
LEVSTD×0.7、ULEVSTD×1.5は、規
制値ULEVSTDの0.7倍、1.5倍の値を示す。
【0082】ここで例えばパラジューム系触媒(実線L
21)を使用して、規制値ULEVSTDをクリアする
場合を例にとって、排気ガス浄化装置13内の触媒全体
の容量CATVOLTと、下流側格納部13bの容量R
CATVOLをどのように決定するのが望ましいかを検
討する。
【0083】先ず、規制値ULEVSTDをクリアする
ためには設計上の目標としては、NMOG排出量NMO
GEMが、ULEVSTD×0.7からULEVSTD
×0.75の範囲内に入るようにする必要があるので、
排気ガス浄化装置13の触媒全体の容量CATVOLT
の最大値CATVOLTMAXは、図12の実線L21
と、ULEVSTD×0.7の破線との交点Aから、C
ATVOLTMAX=1.85(L)となり、最小値C
ATVOLTMINは、実線L21と、ULEVSTD
×0.75の破線との交点Bから、CATVOLTMI
N=1.69(L)となる。
【0084】また下流側格納部13bの容量RCATV
OLは、以下のように決定することが望ましい。すなわ
ち、実際のNMOG排出量NMOGEMが規制値ULE
VSTDの1倍から1.5倍の範囲に入ったとき、触媒
が劣化したことを運転者に知らせる警告灯を点灯させる
必要があること、及び本実施形態では、上流側格納部1
3aの触媒の劣化度合に基づいて下流側格納部13bの
触媒も含めた触媒全体としての劣化度合の判定を行うこ
とから、下流側格納部13bの触媒のみで、NMOG排
出量NMOGEMを規制値ULEVSTDの1倍から
1.5倍の範囲内に入るようにすることが望ましい。し
たがって、下流側格納部13bの容量RCATVOLの
最大値RCATVOLMAXは、実線L21と、ULE
VSTDを示す破線との交点Cから、RCATVOLM
AX=1.17(L)となり、最小値RCATVOLM
INは、実線L21と、ULEVSTD×1.5を示す
実線との交点Dから、RCATVOLMIN=0.70
(L)となる。
【0085】以上のように全体容量CATVOLT及び
下流側格納部容量RCATVOLを決定すると、容量比
RVRの最大値RVRMAX=RCATVOLMAX/
CATVOLTMIN=0.69となり、最小値RVR
MIN=RCATVOLMIN/CATVOLTMAX
=0.38となる。
【0086】図13の欄1は、以上の算出結果を示して
いる。また同様にして、プラチナ・パラジューム・ロジ
ューム系触媒を使用して規制値TLEVSTDをクリア
する場合、プラチナ・パラジューム・ロジューム系触媒
を使用して規制値LEVSTDをクリアする場合、プラ
チナ・パラジューム系触媒を使用して規制値LEVST
Dをクリアする場合、及びパラジューム系触媒を使用し
て規制値LEVSTDをクリアする場合について、容量
比RVRの最大値RVRMAX及び最小値RVRMIN
を求めると、図13の欄2から欄5に示す結果が得られ
る。
【0087】図13によれば、触媒の種類、規制値がい
ずれであるかに拘わらず、容量比RVRは、0.4から
0.7の範囲に設定すればよいことがわかる。
【0088】以上のように図9から図13に示したデー
タを総合的に勘案すると、容量比RVRは、0.4から
0.7の範囲に設定すべきであるとの結論が得られる。
すなわち、容量比RVRを0.4より小さな値とする
と、特に図9(b)の二点鎖線L4(長期間使用後の特
性)において顕著なように、NMOG排出量NMOGE
Mが急激に増加する、触媒劣化の警告灯点灯時にNMO
G排出量NMOGEMが、規制値の1.5倍を越えるお
それが大きくなるといった問題が発生する一方、容量比
RVRを0.7より大きな値とすると、長期使用後のN
MOG排出量NMOGEMが増加する(図9(b))、
判定時間TCHKによる劣化度合の判定精度の低下が無
視できなくなる(図10)といった問題が発生する。
【0089】したがって、容量比RVRを0.4から
0.7の範囲に設定することにより、長期使用時のNM
OG排出量、劣化度合の判定精度、規制値との適合性の
すべての観点から、バランスのよい性能を長期間に亘っ
て得ることができる。
【0090】なお、容量比RVRを、全容量に対する上
流側格納部13aの容量の比率FVRに換算すれば、
0.3から0.6の範囲とすればよいことになる。
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の劣
化判定装置によれば、上流側格納部の触媒の劣化度合に
基づいて排気ガス浄化手段の触媒全体としての劣化度合
が判定されるので、触媒全体としてのわずかな劣化でも
精度よく検出することができる。
【0092】請求項2に記載の劣化判定装置によれば、
上流側格納部の容量は、上流側及び下流側格納部の全体
の容量の30%から60%とされるので、長期使用時の
NMOG排出量、劣化度合の判定精度、NMOG排出量
規制値との適合性のすべての観点から、バランスのよい
性能を長期間に亘って得ることができる。
【0093】請求項3に記載の劣化判定装置によれば、
排気ガス浄化手段が上流側格納部及び下流側格納部を1
つの容器に収容して構成されるので、上流側格納部と下
流側格納部の温度条件等が近似し、触媒全体としての劣
化度合の判定精度をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内燃機関及びその
制御装置の構成を示す図である。
【図2】触媒の劣化判定を行う処理のフローチャートで
ある。
【図3】触媒の劣化判定を行うための前提条件を判定す
る処理のフローチャートである。
【図4】触媒の劣化判定処理中において空燃比補正係数
(KO2)を算出する処理のフローチャートである。
【図5】触媒下流側にO2センサの出力の変化周期を計
測する処理のフローチャートである。
【図6】空燃比補正係数及びO2センサ出力の推移を示
す図である。
【図7】排気ガス流量を代表するパラメータの積算値
(GAIRSUM)を算出する処理のフローチャートで
ある。
【図8】図2の処理で使用するテーブルを示す図であ
る。
【図9】排気ガス浄化装置全体の容量に対する下流側格
納部の容量の比(RVR)と浄化性能の関係を示す図で
ある。
【図10】容量比(RVR)と劣化判定パラメータ(T
CHK)との関係を示す図である。
【図11】劣化判定パラメータ(TCHK)と上流側格
納部の触媒による浄化効率(FηHC)との関係を示す
図である。
【図12】触媒の容量とNMOG排出量との関係を示す
図である。
【図13】容量比(RVR)の最大値及び最小値の算出
結果を示す図である。
【図14】バックグラウンド処理のフローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 内燃機関 5 電子コントロールユニット(ECU) 6 燃料噴射弁 12 排気管 13 排気ガス浄化装置 13a 上流側格納部 13b 下流側格納部 15 下流側酸素濃度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01M 15/00 ZAB G01M 15/00 ZABZ (72)発明者 藤本 幸人 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気系に設けられ、触媒によ
    り排気ガスの浄化を行う排気ガス浄化手段と、該排気ガ
    ス浄化手段を通過した排気ガス中の酸素濃度を検出する
    酸素濃度検出手段と、該酸素濃度検出手段の出力に応じ
    て前記機関に供給する混合気の空燃比をフィードバック
    制御する空燃比制御手段と、該空燃比制御手段による空
    燃比制御時の前記酸素濃度検出手段の出力に基づいて前
    記触媒の劣化度合を判定する劣化判定手段とを備えた内
    燃機関の触媒劣化判定装置において、 前記排気ガス浄化手段は、前記触媒が格納された上流側
    格納部及び下流側格納部を有し、前記酸素濃度検出手段
    は、前記上流側格納部と下流側格納部の間に装着され、
    前記劣化判定手段は、前記上流側格納部の触媒の劣化度
    合に基づいて前記排気ガス浄化手段の触媒全体としての
    劣化度合を判定することを特徴とする内燃機関の触媒劣
    化判定装置。
  2. 【請求項2】 前記上流側格納部の容量は、前記上流側
    及び下流側格納部の全体の容量の30%から60%とす
    ることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の触媒劣化
    判定装置。
  3. 【請求項3】 前記排気ガス浄化手段は、前記上流側格
    納部及び下流側格納部を1つの容器に収容して構成され
    ていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機
    関の触媒劣化判定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100993369B1 (ko) 2008-07-18 2010-11-09 현대자동차주식회사 차량의 촉매 진단장치 및 방법

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100993369B1 (ko) 2008-07-18 2010-11-09 현대자동차주식회사 차량의 촉매 진단장치 및 방법

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