JPH10119711A - サイドエアバッグ起動装置 - Google Patents

サイドエアバッグ起動装置

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JPH10119711A
JPH10119711A JP8281122A JP28112296A JPH10119711A JP H10119711 A JPH10119711 A JP H10119711A JP 8281122 A JP8281122 A JP 8281122A JP 28112296 A JP28112296 A JP 28112296A JP H10119711 A JPH10119711 A JP H10119711A
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JP
Japan
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vehicle
side airbag
value
characteristic value
acceleration sensor
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JP8281122A
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English (en)
Inventor
Hiromichi Fujishima
広道 藤島
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はサイドエアバッグの起動を制御する
サイドエアバッグ起動装置に関し、無駄な展開を防止し
つつ、必要な展開を確実に許容することを目的とする。 【解決手段】 車両の前後方向加速度GX に応じた信号
X を発する前後加速度センサ40を設ける。移動量演
算回路42はVX を2回積分して、車両乗員の座席に対
する前方移動量Sの特性値S* を演算する。しきい値設
定回路46はS*に基づいて、Sが大きいほどサイドエ
アバッグの展開しきい値VTHY を大きな値に設定する。
起動判定回路48は、車両の横方向加速度GY がVTHY
以上である場合に駆動回路52に駆動信号を供給する。
駆動回路52は駆動信号の供給を受けると、スクイブ5
4に点火電流を供給してサイドエアバッグを展開させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイドエアバッグ
起動装置に係り、特に、車両の座席とドアとの間に展開
されるサイドエアバッグの起動を制御するサイドエアバ
ッグ起動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平7−2049号
に開示される如く、サイドエアバッグが知られている。
上記のサイドエアバッグは、車両のドアに内蔵されてい
る。また、車両のドアには、車両に作用する横方向加速
度を検出する横加速度センサが内蔵されている。サイド
エアバッグは、横加速度センサによって所定のしきい値
を超える横方向加速度が検出された場合に、ドアと乗員
との間に延在するように展開する。
【0003】車両の安全装置としては、従来より運転席
エアバッグおよび助手席エアバッグが知られている。運
転席エアバッグおよび助手席エアバッグは、車両に作用
する前後方向の加速度を検出する前後加速度センサの検
出値に基づいて制御される。具体的には、運転席エアバ
ッグおよび助手席エアバッグは、前後加速度センサによ
って所定値を超える負の加速度、すなわち、所定値を超
える減速度が検出された場合に、ステアリングホイルと
運転席との間、または、ダシュボードと助手席との間に
延在するようにそれぞれ展開する。以下、運転席エアバ
ッグと助手席エアバッグとを総称する場合には、フロン
トエアバッグと称す。
【0004】上述の如く、サイドエアバッグは、車両に
作用する横方向の加速度に応答して展開する。一方、フ
ロントエアバッグは、車両に作用するに前後方向の加速
度に応答して展開する。従って、車両に対して、前後方
向の加速度および横方向の加速度の何れか一方が作用す
る場合には、サイドエアバッグとフロントエアバッグが
共に展開することはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の走行
中には、車両の中心軸から側方にオフセットした位置か
らエネルギが入力されることがある。以下、このような
エネルギの入力をオフセット入力と称す。このような場
合には、車両に対して、前後方向に大きな減速度が作用
し、かつ、車幅方向に比較的小さな加速度が作用する。
この場合、車両にエネルギが入力された後、即座にフロ
ントエアバッグが展開され、僅かに時間を空けてサイド
エアバッグが展開されることがある。
【0006】車両に対してエネルギがオフセット入力し
た場合、車両の乗員は、車室に対して主に前方に相対移
動する。このため、かかる状況下では、サイドエアバッ
グを展開させる必要性は乏しい。従って、このような状
況下では、車両の修理費用を低減するうえから、サイド
エアバッグが無駄に展開しないことが望ましい。
【0007】上述した要求は、例えば、フロントエアバ
ッグを展開させる程度の減速度が車両に作用した場合
に、その後、所定時間サイドエアバッグの展開を禁止す
ることにより実現される。かかる処理によれば、車両に
対してエネルギがオフセット入力された場合に、そのエ
ネルギに起因する横方向加速度によりサイドエアバッグ
が展開されるのを確実に防止することができる。
【0008】しかし、車両の走行中には、車両の前方か
らエネルギが入力された後、僅かな時間の後に車両の側
方からエネルギが入力される場合がある。以下、このよ
うなエネルギの入力をエネルギの複合入力と称す。この
ように車両に対してエネルギが複合入力される場合は、
車両の前方からエネルギが入力された時点で先ずフロン
トエアバッグを展開させ、次いで車両の側方からエネル
ギが入力された時点でサイドエアバッグを展開させるこ
とが適切である。
【0009】これに対して、上記の手法、すなわち、車
両に対して前後方向に大きな減速度が作用した場合に、
その後、一律に所定時間に渡ってサイドエアバッグの展
開を禁止する手法によれば、車両の側方からエネルギが
入力された時点で、サイドエアバッグを展開させること
ができない。このように、サイドエアバッグの展開を禁
止することでサイドエアバッグの無駄な展開を防止する
技術によっては、エネルギの複合入力に対して、適切な
状態を実現することができない。
【0010】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、エネルギがオフセット入力された場合にサイド
エアバッグを無駄に展開させず、かつ、エネルギが複合
入力された場合にサイドエアバッグを適切に展開させる
ことのできるサイドエアバッグ起動装置を提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、座席に対する乗員の相対的な前方移動
量の特性値を検出する特性値検出手段と、車両に作用す
る横方向加速度を検出する横加速度センサと、前記特性
値に基づいて、乗員の前方移動量が大きいほどサイドエ
アバッグの展開しきい値を大きな値に設定するしきい値
設定手段と、前記横加速度センサの検出値が前記展開し
きい値以上である場合に、サイドエアバッグの展開を図
る起動手段と、を備えるサイドエアバッグ起動装置によ
り達成される。
【0012】本発明において、展開しきい値を超える横
方向加速度が車両に作用すると、サイドエアバッグの展
開が図られる。サイドエアバッグの展開しきい値は、乗
員の前方移動量に基づいて、その移動量が大きいほど大
きな値に設定される。このため、サイドエアバッグは、
乗員が座席に対して前方に移動しているほど展開し難く
なる。サイドエアバッグの効果は、サイドエアバッグ
が、展開時に乗員の側方に延在する場合に大きな効果を
発揮する。換言すると、サイドエアバッグは、その展開
時に、サイドエアバッグが乗員の側方に延在し得ない程
度に乗員が前方に移動している場合には大きな効果を奏
し難い。
【0013】サイドエアバッグの展開しきい値が本発明
の如く設定されると、このような状況下で無駄にサイド
エアバッグが展開されることがない。また、本発明のよ
うに展開しきい値を変更することでサイドエアバッグの
無駄な展開を防止することによれば、車両の前方および
側方の双方から短時間の間にエネルギが入力される場合
にも、必要に応じて、確実にサイドエアバッグの展開を
図ることができる。
【0014】請求項2に記載する如く、上記請求項1記
載のサイドエアバッグ起動装置において、前記特性値検
出手段が、車両に作用する前後方向加速度を検出する前
後加速度センサと、前記前後方向加速度に基づいて前記
特性値を演算する特性値演算手段と、を備えると共に、
前記前後加速度センサ、前記特性値演算手段、前記しき
い値設定手段、前記横加速度センサ、および、前記起動
判定手段が、ノイズの影響を受けることなくアナログ信
号を介して互いに通信できる程度に近接配置されている
サイドエアバッグ起動装置は、応答性の向上を図るうえ
で有効である。
【0015】本発明において、横加速度センサおよび前
後加速度センサは、共にアナログ信号を出力する。特性
値演算手段において、正確に、かつ、高速に特性値を演
算するためには、前後加速度センサから出力されるアナ
ログ信号をディジタル化することなく特性値演算手段に
供給し、かつ、特性値演算手段がその信号をディジタル
化することなく演算に用いることが有利である。同様
に、しきい値設定手段および起動判定手段において、正
確に、かつ、高速に側突エアバッグの起動判定を行うた
めには、特性値演算手段から出力されるアナログ信号、
および、横加速度センサから出力されるアナログ信号を
ディジタル化することなくしきい値設定手段および起動
判定手段に供給することが有利である。
【0016】アナログ信号は、ディジタル信号に比して
ノイズの影響を受け易い。このため、アナログ信号が長
い距離を伝送されると、正確な情報を伝達することが困
難となる。これに対して、本発明のように、信号の授受
を行う各構成要素が、全てアナログ信号を適正に授受で
きる程度に近接配置されていれば、ノイズの影響を受け
ることなく、アナログ信号を媒体として正確に情報を授
受することができる。アナログ信号を媒体とする正確な
通信が実現されると、乗員の前方移動量に正確に対応し
た起動判定が、高い応答性の下に実現される。
【0017】請求項3に記載する如く、上記請求項1記
載のサイドエアバッグ起動装置において、前記特性値検
出手段が、車両に作用する前後方向加速度を検出する前
後加速度センサと、前記前後方向加速度に基づいて前記
特性値を演算する特性値演算手段とを備え、かつ、前記
しきい値設定手段が、前記特性値に基づいて、複数のし
きい値の中から乗員の前方移動量に応じたしきい値を選
択するしきい値選択手段を備えると共に、前記横加速度
センサの検出値をディジタル信号化して前記起動判定手
段に供給するA/D変換手段をサイドエアバッグ起動装
置は、装置の低コスト化を図るうえで有効である。
【0018】本発明において、起動判定手段は、しきい
値選択手段によって選択されたしきい値と、A/D変換
手段からディジタル化されて供給される横方向加速度と
を比較して、横方向加速度がしきい値を超えている場合
にサイドエアバッグを展開させる。本発明の構成によれ
ば、A/D変換手段と起動判定手段との間では、ディジ
タル信号を媒体として通信が行われる。このため、これ
ら2つの構成要素の間は、ノイズの影響を考慮すること
なく離間配置することができる。A/D変換手段と起動
判定手段とを離間して配設することができれば、前後加
速度センサを横加速度センサから離間した位置に配置す
ることができる。このような構成によれば、特性値検出
手段の構成要素である前後加速度センサは、他の異なる
目的で搭載されているセンサにより兼用することができ
る。
【0019】また、上記請求項4に記載する如く、上記
請求項1記載のサイドエアバッグ起動装置において、前
記特性値検出手段が、車両に作用する前後方向加速度を
検出する前後加速度センサと、前記前後方向加速度を積
分することで得られる車両の速度変化量を、前記特性値
として演算する速度変化量演算手段と、を備えるサイド
エアバッグ起動装置は、応答性の向上を図るうえで有効
である。
【0020】本発明において、速度変化量演算手段は、
前後加速度センサの検出値を積分することで車両の速度
変化量を演算する。車両の前方にエネルギが入力される
と、そのエネルギに起因して車両の速度が減速される。
この際、乗員には直接そのエネルギが入力されないた
め、車両と乗員との間には相対速度が発生する。この相
対速度は、車両に作用する負の加速度、すなわち、減速
度を積分することで得ることができる。また、座席に対
する乗員の前方移動量は、その相対速度を更に積分する
ことで、すなわち、車両に作用する負の加速度を2回積
分することで得ることができる。このように、座席に対
する乗員の前方移動量を正確に求めるためには、車両に
作用する加速度を2回積分することが必要である。
【0021】ところで、車両に作用する加速度を1回積
分した値、すなわち、車両の速度変化量は、厳密には乗
員の前方移動量と異なる値であるが、乗員の前方移動量
と高い相関を示す値である。このため、車両の速度変化
量は、乗員の前方移動量の特性値として用いることがで
きる。本発明のように、その値を特性値として用いる
と、制御の制度を損なうことなく、乗員の前方移動量を
求めるための演算負荷を低減することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
エアバッグシステムの全体構成図を示す。図1に示すエ
アバッグシステムは、車両10に搭載されている。車両
10は、左右前輪FL,FRおよび左右後輪RL,RR
を備えている。
【0023】図1に示すエアバッグシステムは、運転席
エアバッグ12、および、助手席エアバッグ14を備え
ている。以後、これらを総称する場合は、フロントエア
バッグ12,14と称す。運転席エアバッグ12は、ス
テアリングホイル16の中央部に収納されている。一
方、助手席エアバッグ14は、ダッシュボード内部に収
納されている。
【0024】車両10には、フロントエアバッグ用電子
制御ユニット18(以下、フロントECU18と称す)
が搭載されている。フロントECU18には、車両10
に作用する前後方向の加速度を検出する前後加速度セン
サが内蔵されている。フロントエアバッグ12,14
は、フロントECU18によって、所定値を超える減速
度が検出された場合に、それぞれステアリングホイル1
6と運転席20との間、または、ダッシュボードと助手
席22との間に展開する。
【0025】運転席20の背もたれには、サイドエアバ
ッグ24が収納されている。同様に、助手席22の背も
たれにはサイドエアバッグ26が収納されている。車両
10の右側面に設けられるセンターピラーの内部には、
右サイドエアバッグ用電子制御ユニット28(以下、右
サイドECU28と称す)が収納されている。一方、車
両10の左側面に設けられるセンターピラーの内部に
は、左サイドエアバッグ用電子制御ユニット30(以
下、左サイドECU30と称す)が収納されている。
【0026】右サイドECU28および左サイドECU
30には、共に、車両10に作用する横方向加速度を、
具体的には、それぞれ右側面のセンターピラーに作用す
る横方向加速度または左側面のセンターピラーに作用す
る横方向加速度を検出する横加速度センサが内蔵されて
いる。サイドエアバッグ24は、右サイドECU28に
よって所定値を超える左向きの横方向加速度が検出され
た場合に、運転席20の側方から前方に向けて、運転席
20と車両10のドアとの間に所定長だけ延在するよう
に展開する。一方、サイドエアバッグ26は、左サイド
ECU30によって所定値を超える右向きの横方向加速
度が検出された場合に、助手席22の側方から前方に向
けて、助手席22と車両10のドアとの間に所定長だけ
延在するように展開する。
【0027】尚、右サイドECU28および左サイドE
CU30は、本実施例のシステムの要部である。右サイ
ドECU28の構造および左サイドECU30の構造
は、後に図7を参照して詳細に説明する。図2は、運転
席20の側面図を示す。図2は、サイドエアバッグ24
が展開した状態を表している。上述の如く、サイドエア
バッグ24は、運転席20の背もたれから前方に向けて
所定長だけ延在する。図2中に符合32を付して表す図
形は、通常の姿勢で運転席20に着座している運転者の
状態を示す。図2に示すように、サイドエアバッグ24
は、運転者が通常の姿勢で運転席20に着座している場
合には、展開時にその側方に延在するように設計されて
いる。
【0028】車両10の走行中に、車両10の前方から
大きなエネルギが入力されると、車両10には減速度が
生ずる。車両10に入力されるエネルギは、車両10の
運転者には直接作用しない。このため、運転者には車両
10に生ずるほど大きな減速度は生じない。その結果、
車両10の前方から大きなエネルギが入力されると、適
正な姿勢で運転席20に着座していた運転者は、その後
運転席20に対して前方へ相対移動する。
【0029】図2中に符合34を付して表す図形は、サ
イドエアバッグ24が延在する距離を超えて、運転者が
運転席20に対して前方に移動した状態を示す。サイド
エアバッグ24は、運転者の側方に延在することで効果
を発揮する。従って、運転者が、図2中に符合34を付
して表す状態に移動している場合は、サイドエアバッグ
24を展開させても大きな効果を得ることはできない。
このため、かかる状況下では、車両10の修理費用を削
減する観点より、サイドエアバッグ24を無駄に展開さ
せないことが適切である。
【0030】図3は、車両10の中心軸から側方にオフ
セットした位置からエネルギが入力された場合、すなわ
ち、車両10に対してエネルギがオフセット入力された
場合に実現されるタイムチャートを示す。図3(A)
は、時刻t0 にエネルギがオフセット入力された後に、
車両10に生ずる前後方向加速度GX の変化を示す。車
両10に対してエネルギがオフセット入力されると、そ
の後、車両10には大きな前後方向加速度GX が生ず
る。図3(A)中に示すTHX は、フロントエアバッグ
12,14の展開しきい値である。図3(A)に示す如
く、エネルギのオフセット入力が生じた場合、前後方向
加速度GX は、時刻t0 の後、僅かな時間の後にしきい
値THX に達する。
【0031】図3(B)は、フロントエアバッグ12,
14の起動判定の結果を示す。フロントエアバッグ1
2,14は、前後方向加速度GX がしきい値THX に達
することにより起動される。このため、フロントエアバ
ッグ12,14は、前後方向加速度GX がしきい値TH
X に達する時刻t1 の後展開される。
【0032】図3(C)は、右サイドECU28によっ
て検出される横方向加速度GY の変化を示す。車両10
に対してエネルギがオフセット入力されると、その後、
車両10には横方向加速度GY が発生する。横方向加速
度GY は、図3(C)に示すように、前後方向加速度G
X ほど急激に立ち上がらず、比較的緩やかな上昇を示
す。図3(C)中に示すTHY は、サイドエアバッグ2
4の展開しきい値の一例を示す。図3(C)は、時刻t
2 に、横方向加速度GY がしきい値THY に達した状態
を表している。
【0033】図3(D)は、サイドエアバッグ24の起
動判定の結果を示す。サイドエアバッグ24は、右サイ
ドECU28によって検出される横方向加速度GY がし
きい値THY に達することにより起動される。このた
め、右サイドECU28によって検出される横方向加速
度GY が、図3に示す如く時刻t2 にしきい値THY
達すると、その後、サイドエアバッグ24が展開される
ことになる。
【0034】車両10に対してエネルギがオフセット入
力されると、その後、車両10の速度は大きく減速され
る。このため、図3に示す状況においては、時刻t0
後、車両10の運転者は、運転席20に対して前方に移
動する。その結果、サイドエアバッグ24の起動判定が
成される時刻t2 の時点では、運転者に大きな前方移動
量が生じている。上述の如く、車両10の運転者が運転
席20に対して大きく前方に移動している場合は、サイ
ドエアバッグ24を無駄に展開させるべきではない。従
って、この場合、時刻t2 にサイドエアバッグ24を展
開させることは必ずしも適切ではない。
【0035】時刻t2 でのサイドエアバッグ24の展開
は、例えば、時刻t1 にフロントエアバッグ12,14
の起動判定がなされた後、所定時間T1 に渡ってサイド
エアバッグ24の展開を禁止することにより防止するこ
とができる。従って、右サイドECU28および左サイ
ドECU30において、このような禁止処理を実行すれ
ば、エネルギがオフセット入力された際に、サイドエア
バッグ24,26が無駄に展開されるのを防止すること
ができる。
【0036】図4は、車両10に対してエネルギが複合
入力される過程を説明するための図を示す。図4(A)
は、車両10が路上設置物36に向かって走行してお
り、かつ、車両10の側方から、他の車両38が路上設
置物36に向かって走行している状態を示す。図4
(B)は、上記図4(A)に示す状態の後、車両10の
前面が路上設置物38に到達した状態を示す。また、図
4(C)は、上記図4(B)に示す状態の後、更に、車
両38の前面が車両10の側面に到達した状態を示す。
【0037】図4(C)に示す状態が実現される過程
で、車両10には、先ずその前面からエネルギが入力さ
れ、次いで僅かな時間の後にその側面からエネルギが入
力される。このような場合には、車両10に対して前面
からエネルギが入力された時点でフロントエアバッグ1
2,14を展開させると共に、車両10に対して側面か
らエネルギが入力された時点でサイドエアバッグ24を
展開させることが適切である。
【0038】これに対して、上述の如く、フロントエア
バッグ12,14が展開された後に所定時間T1 に渡っ
てサイドエアバッグ24,26の展開を禁止することと
すると、車両10の側面にエネルギが入力された時点で
サイドエアバッグ24を展開させることができない。従
って、エネルギの複合入力を考慮すると、サイドエアバ
ッグ24,26の作動禁止期間を設けることによりそれ
らの無駄な展開を禁止する手法は、サイドエアバッグ2
4,26の起動制御の手法として必ずしも最適な手法で
はない。
【0039】本実施例のシステムは、エネルギがオフセ
ット入力された場合にサイドエアバッグ24,26が無
駄に展開されるのを防止しつつ、エネルギが複合入力さ
れた場合にサイドエアバッグ24,26を展開させ得る
点に特徴を有している。更に、本実施例のシステムは、
エネルギが複合入力された場合に、サイドエアバッグ2
4,26を展開させることが効果的である場合にのみ、
その展開を図る点に特徴を有している。
【0040】図5は、運転席20または助手席22に対
する乗員の前方移動量Sと、サイドエアバッグ24,2
6を展開させることにより得られる効果の大きさとの関
係を示す。上記図2を参照して説明したように、サイド
エアバッグ24,26の効果は、乗員の前方移動量Sが
大きくなるに連れて小さくなる。従って、サイドエアバ
ッグ24,26の展開の必要性は、乗員の前方移動量S
が大きいほど小さくなる。
【0041】図6は、車両10に対して側面から入力さ
れるエネルギの大きさEY と、サイドエアバッグ24,
26を展開させることにより得られる効果の大きさとの
関係を示す。車両10においては、その側面に入力され
るエネルギEY が大きいほど、サイドエアバッグ24,
26を展開することで大きな効果を得ることができる。
従って、サイドエアバッグ24,26の展開の必要性
は、エネルギEY が大きいほど、すなわち、横方向加速
度GY が大きいほど大きくなる。
【0042】本実施例のシステムでは、上記図5に示す
特性および上記図6に示す特性を考慮して、乗員の前方
移動量Sと、横方向加速度GY とに基づいて、エネルギ
が複合入力された際に最適な状態が形成されるように、
サイドエアバッグ24,26の起動判定を行うこととし
ている。
【0043】図7は、本実施例の要部である右サイドE
CU28のブロック構成図を示す。尚、左サイドECU
30は、構成において右サイドECU28と実質的に同
一であるため、ここでは右サイドECU28の構成のみ
を説明する。右サイドECU28には、車両10に作用
する前後方向加速度GX を検出する前後加速度センサ4
0が配設されている。前後加速度センサ40は、車両1
0に作用する前後方向加速度GX に応じたアナログ信号
X を発生する。前後加速度センサ40の出力信号VX
は、移動量演算回路42に供給される。
【0044】車両10に対してエネルギが入力された場
合に、座席に対して乗員が前方に移動する量Sは、車両
10に生ずる前後方向加速度GX に基づいて算出するこ
とができる。以下、図8を参照して、前方移動量Sの算
出手法について説明する。図8(A)は、速度V0 で走
行していた車両10の前面が路上設置物44に到達した
状態を示す。図8(A)に示す状態が形成されると、以
後、車両10には、車両の後ろ向きを正方向とする加速
度Gxが発生する。このため、車両10の速度は、次式
に表される速度Vに変化する。
【0045】 V=V0 −∫GX dt ・・・(1) 一方、車両10に入力するエネルギは、車両10の乗員
には直接作用しない。このため、乗員の移動速度Vは初
速V0 のまま変化しない。このため、車両10の前面に
エネルギが入力されると、車両10と乗員との間には
“ΔV=∫GX dt”で表される相対速度ΔVが生ずる。
【0046】図8(B)、図8(C)および図8(D)
は、それぞれ車両10の前面にエネルギが入力された場
合に生ずる前後方向加速度GX 、その1回積分値∫GX
dt、および、その2回積分値∬GX dtのタイムチャート
を示す。図8(C)に示す前後方向加速度GX の1回積
分値∫GX dtは、車両10の速度変化量であると共に、
上記の如く車両10と乗員との間に生ずる相対速度ΔV
となる。そして、図8(D)に示す前後方向加速度GX
の2回積分値∬GX dtは、座席に対する乗員の前方移動
量Sとなる。従って、本実施例のシステムにおいては、
前後加速度センサ40から出力される信号VX を2回積
分することにより、乗員の前方移動量Sの特性値を求め
ることができる。
【0047】前後加速度センサ40に接続される移動量
演算回路42は、アナログ信号VXを2回積分すること
により移動量Sの特性値S* =∬VX dtを求める。特性
値S * は、実質的に前方移動量Sとして扱うことのでき
る値である。移動量演算回路42は、アナログ信号VX
をディジタル化することなく処理し、かつ、上述した特
性値S* をアナログ信号で出力する。移動量演算回路4
2から出力される特性値S* は、しきい値設定回路46
に供給される。
【0048】図9は、しきい値設定回路46に用いられ
るマップの一例を示す。しきい値設定回路46は、図9
に示すマップを参照して、特性値S* に基づいて、サイ
ドエアバッグ24の展開しきい値VTHY を設定する。図
9に示すマップは、乗員の前方移動量Sが大きな値とな
るほど展開しきい値VTHY が大きな値となるように設定
されている。
【0049】しきい値設定回路46は、移動量演算回路
42から供給される特性値S* をディジタル化すること
なく処理し、図9に示すマップに基づいて設定した展開
しきい値VTHY をアナログ信号で出力する。しきい値設
定回路46から出力される展開しきい値VTHY は、起動
判定回路48に供給される。
【0050】右サイドECU28は、車両10に作用す
る横方向加速度GY を検出する横加速度センサ50を内
蔵している。横加速度センサ50は、車両10に作用す
る横方向加速度GY に応じたアナログ信号VY を発生す
る。横加速度センサ50が発生する出力信号VY は、し
きい値設定回路46から発せられる展開しきい値VTH Y
と共に起動判定回路48に供給される。
【0051】起動判定回路48は、出力信号VY と展開
しきい値VTHY との大小関係を比較する。その結果、V
Y ≧VTHY が成立する場合は、車両10に対してサイド
エアバッグ24を展開させるべき横方向加速度GY が生
じていると判断する。一方、VY ≧VTHY が不成立であ
る場合は、車両10に対してサイドエアバッグ24を展
開させるべき横方向加速度GY が生じていないと判断す
る。
【0052】起動判定回路48には、駆動回路52が接
続されている。起動判定回路48は、サイドエアバッグ
24を展開させるべき状況が生じていると判断した場合
に駆動回路52に対して駆動信号を供給する。駆動回路
52には、スクイブ54が接続されている。スクイブ5
4は、サイドエアバッグ24に内蔵される点火装置であ
り、駆動回路52から駆動信号が供給されることにより
サイドエアバッグ24を展開させる。
【0053】サイドエアバッグ24の展開しきい値V
THY が、移動量Sの関数として上記図9に示すマップに
従って設定されると、乗員の前方移動量Sが大きくなる
に連れてサイドエアバッグ24が展開され難い状態を形
成できると共に、真に展開が必要とされる場合には、サ
イドエアバッグ24を適切に展開させることができる。
このため、本実施例のシステムによれば、乗員の前方移
動量Sが大きい場合にサイドエアバッグ24,26が無
駄に展開されるのを防止することができ、かつ、車両1
0の側面に大きなエネルギEY が入力された場合には、
移動量Sの大小に関わらずサイドエアバッグ24,26
を展開させることができる。
【0054】本実施例のシステムにおいて、乗員の前方
移動量Sを、精度良くサイドエアバッグ24の起動判定
に反映させるためには、右サイドECU28の各構成要
素間の通信に用いられる信号が、高い分解能を有してい
ることが必要である。従って、各構成要素間の通信をデ
ィジタル信号で行い、かつ、前方移動量Sを精度良く起
動判定に反映させるためには、高い分解能を有するディ
ジタル信号を生成することが必要である。
【0055】しかし、各構成要素間の通信を、高い分解
能を有するディジタル信号を用いて行うためには、高度
かつ複雑な演算処理が必要となる。このため、このよう
な通信手法を用いることとすると、サイドエアバッグ2
4の起動判定に関して高い応答性を得ることが困難とな
る。これに対して、本実施例のシステムでは、各構成要
素間の通信をアナログ信号を媒体として行うと共に、各
構成要素内で所定のアナログ処理を行うことでサイドエ
アバッグ24の起動判定を行うこととしている。
【0056】アナログ信号は、ディジタル信号に比して
ノイズの影響を受け易い。このため、長距離の通信にア
ナログ信号が用いられると、各構成要素間での通信精度
が損なわれ易い。しかしながら、本実施例においては、
アナログ信号を媒体とする通信が、右サイドECU28
内または左サイドECU30内に、極接近した位置に配
置される複数の構成要素間でのみ行われる。従って、本
実施例のシステムによれば、サイドエアバッグの起動判
定に関して高い応答性が確保できると共に、ノイズの影
響を受けることなく正確な起動判定を行うことができ
る。
【0057】尚、上記の記載においては、主にサイドエ
アバッグ24の起動判定を行う右サイドECU28につ
いての説明を行ったが、サイドエアバッグ26の起動判
定を行う左サイドECU30によっても、右サイドEC
U28と同様の効果を得ることができる。
【0058】上記の実施例においては、前後加速度セン
サ40および移動量演算回路42が前記請求項1記載の
「特性値検出手段」に、しきい値設定回路46が前記請
求項1記載の「しきい値設定手段」に、起動判定回路4
8が前記請求項1記載の「起動判定手段」に、また、移
動量演算回路42が前記請求項2記載の「特性値演算手
段」に、それぞれ相当している。
【0059】ところで、上記の実施例においては、右サ
イドECU28を、アナログ信号を媒体として処理を行
う回路で構成することとしているが、本発明はこれに限
定されるものではなく、前後加速度センサ40の出力信
号および横加速度センサ50の出力信号をディジタル化
して扱うマイクロコンピュータを主体として右サイドE
CU28を構成することとしてもよい。
【0060】次に、図10を参照して、本発明の第2実
施例について説明する。本実施例のシステムは、上記図
1に示すシステムにおいて、前後加速度センサ40から
出力される信号VX の1回積分値S**=∫VX dtを、乗
員の前方移動量Sの特性値として用いることにより実現
される。
【0061】前後加速度センサ40の出力信号VX の1
回積分値S**=∫VX dtは、車両10の前方にエネルギ
が入力し始めた後、車両10に生じた速度変化量ΔVに
対応する値である。上記図8(C),(D)に示す如
く、車両10にエネルギが作用し始めた後、ΔVが上限
値に達するまでの間、すなわち、車両10が停止するま
での間は、速度変化量ΔVと前方移動量Sとの間に大き
な相関が認められる。このため、出力信号VX の1回積
分値S**=∫VX dtは、十分に乗員の前方移動量Sの特
性値として用いることができる。
【0062】本実施例のシステムは、具体的には、右サ
イドECU28および左サイドECU30が備える移動
量演算回路42(図7参照)を、信号VX の1回積分値
を演算する回路で構成すると共に、移動量演算回路42
に接続されるしきい値設定回路46に、図10に示すマ
ップに基づいてサイドエアバッグ24,26の展開しき
い値VTHY を設定させることにより実現される。尚、図
10に示すマップは、上記第1実施例のシステムと同様
の展開特性が得られるように、車両の速度変化量ΔVと
の関係で展開しきい値VTHY を定めたマップである。
【0063】本実施例のシステムによれば、第1実施例
のシステムに比して、前方移動量Sの特性値S**の演算
負荷を低減することができる。このため、本実施例のシ
ステムによれば、第1実施例のシステムと同様に前方移
動量Sをサイドエアバッグ24,26の起動判定に反映
させることができると共に、第1実施例のシステムに比
して更に優れた応答性を実現することができる。
【0064】尚、上記の実施例においては、前後加速度
センサ40の1回積分値を演算する移動量演算回路が、
前記請求項4記載の「速度変化量演算手段」に相当して
いる。次に、図11乃至図15を参照して、本発明の第
3実施例について説明する。図11は、本発明の第2実
施例であるエアバッグシステムの全体構成図を示す。
尚、図11において、上記図1に示す構成部分と同一の
部分については、同一の符合を付してその説明を省略す
る。
【0065】本実施例のシステムは、フロントECU6
0、右サイドECU62、および、左サイドECU64
を備えている。右サイドECU62は、車両10の右側
センターピラーに収納されている。右サイドECU62
は、右側センターピラーに生ずる横加速度GY に応じた
ディジタル信号をフロントECU60に供給する。一
方、左サイドECU64は、車両10の左側センターピ
ラーに収納されている。左サイドECU64は、左側セ
ンターピラーに生ずる横方向加速度GY に応じたディジ
タル信号をフロントECU60に向けて出力する。
【0066】フロントECU60には、車両10に生ず
る前後方向の加速度を検出する前後加速度センサが内蔵
されている。フロントECU60は、この前後加速度セ
ンサの検出値、および、右サイドECU62および左サ
イドECU64から供給される横方向加速度GY に基づ
いて、フロントエアバッグ12,14およびサイドエア
バッグ24,26の展開を制御する。
【0067】図12は、右サイドECU62の構造およ
びフロントECU60の構造を表すブロック構成図を示
す。左サイドECU64は、構成において右サイドEC
U62と実質的に同一であるため、ここではその説明を
省略する。尚、図12において、上記図7に示す構成部
分と同一の部分については、同一の符合を付してその説
明を省略または簡略する。
【0068】図12に示す如く、右サイドECU62
は、横加速度センサ50を備えている。横加速度センサ
50は、車両10に生ずる横方向加速度GY に応じたア
ナログ信号VY を出力する。横加速度センサ50から出
力されるアナログ信号VY は、A/D変換器66に供給
される。A/D変換器66は、横加速度センサ50から
供給されるアナログ信号をディジタル信号に変換する装
置である。
【0069】図13は、A/D変換器66に供給される
アナログ信号VY と、A/D変換器66に設定されてい
るしきい値VTH1 〜VTH3 との関係を示す。図13に示
す如く、A/D変換器66には3つの異なるしきい値V
TH1 〜VTH3 が設定されている。A/D変換器66は、
横加速度センサ50から供給されるアナログ信号V
Yと、3つの異なるしきい値VTH1 〜VTH3 とを比較し
て、その比較結果に応じたディジタル信号を出力する。
【0070】図14は、A/D変換器から出力されるデ
ィジタル信号の波形を示す。図14(A)は、VTH1
Y が成立する場合にA/D変換器66から出力される
コード信号を示す。図14(B)は、VTH2 ≦VY <V
TH1 が成立する場合にA/D変換器66から出力される
コード信号を示す。また、図14(C)は、VTH3 ≦V
Y <VTH2 が成立する場合にA/D変換器66から出力
されるコード信号を示す。このように、A/D変換器6
6は、横加速度センサ50から供給されるアナログ信号
Y の値に応じて、デューティ比の異なる3種類のディ
ジタル信号を出力する。
【0071】図12に示す如く、フロントECU60
は、起動判定回路68を備えている。起動判定回路68
には、移動量演算回路42で演算された特性値S* =∬
X dtがアナログ信号を媒体として供給されると共に、
右サイドECU62のA/D変換器66から出力される
ディジタル信号が供給される。起動判定回路68は、特
性値S* に基づいて乗員の前方移動量を検出し、一方、
A/D変換器66から供給されるディジタル信号に基づ
いて車両10に生じている横方向加速度GY のレベルを
検出する。
【0072】具体的には、起動判定回路68は、A/D
変換器66から上記図14(A)に示すコードが供給さ
れている場合は車両10にハイレベルの横方向加速度G
Y が生じていると、上記図14(B)に示すコードが供
給されている場合は車両10にミドルレベルの横方向加
速度GY が生じていると、また、上記図14(C)に示
すコードが供給されている場合は車両10にローレベル
の横方向加速度GY が生じていると判断する。
【0073】図15は、起動判定回路68が、サイドエ
アバッグ24の起動判定を行う際に用いるマップの一例
を示す。尚、図15中に示す階段状の折れ線は、サイド
エアバッグ24の展開領域と非展開領域とを隔成する境
界線である。図15に示す如く、起動判定回路68は、
乗員の前方移動量Sが第1の所定値S1 に満たない領域
では、ローレベル以上の横方向加速度GY が発生してい
る場合にサイドエアバッグ24を展開させる。また、起
動判定回路68は、乗員の前方移動量Sが第1の所定値
1 以上であり、かつ、第2の所定値S2 に満たない領
域では、ミドルレベル以上の横方向加速度GY が発生し
ている場合にサイドエアバッグ24を展開させる。そし
て、起動判定回路68は、乗員の前方移動量Sが第2の
所定値S2 以上である領域では、ハイレベル以上の横方
向加速度GY が発生している場合にサイドエアバッグ2
4を展開させる。
【0074】上記の処理によれば、乗員の前方移動量S
が大きくなるに連れてサイドエアバッグ24が展開され
難い状態を形成できると共に、真に展開が必要とされる
場合には、サイドエアバッグ24を適切に展開させるこ
とができる。このため、本実施例のシステムによって
も、第1または第2実施例の場合と同様に、前方移動量
Sが大きい場合にサイドエアバッグ24,26が無駄に
展開されるのを防止することができ、かつ、車両10の
側面に大きなエネルギEY が入力された場合には、移動
量Sの大小に関わらずサイドエアバッグ24,26を展
開させることができる。
【0075】ところで、本実施例のシステムでは、フロ
ントECU60に内蔵される前後加速度センサ60を用
いて、乗員の前方移動量Sの特性値S* を演算すること
としている。フロントECU60には、フロントエアバ
ッグ12,14の展開を制御する必要上、必然的に前後
加速度センサ40が配設される。従って、本実施例のシ
ステムは、前方移動量Sの特性値S* を求めるために改
めた前後加速度センサを加設することなく実現できる。
このため、本実施例の構造によれば、サイドエアバッグ
24,26の起動判定に前方移動量Sを反映させ得るシ
ステムを、安価に実現することができる。
【0076】また、本実施例のシステムのように、横方
向加速度GY を検出する横加速度センサ50と、前後方
向加速度GX を検出する前後加速度センサ40とが離間
配置され、かつ、横方向加速度GY に関する情報と、前
後方向加速度GX に関する情報とが、一か所で用いられ
る場合には、少なくとも何れか一方の加速度センサの検
出値を、他方の加速度センサの近傍に送信する必要があ
る。この場合、送信の媒体としてアナログ信号が用いら
れると、ノイズの影響で正確な通信が実行できないこと
がある。
【0077】これに対して、本実施例のシステムでは、
右サイドECU62および左サイドECU64からフロ
ントECU60への通信を、ディジタル信号を媒体とし
て行うこととしている。このため、本実施例のシステム
によれば、横加速度センサ50と前後加速度センサ40
とが離間配置されているにも関わらず、ノイズの影響を
受けることなく、正確な制御を実現することができる。
【0078】尚、上記の実施例においては、前後加速度
センサ40および移動量演算回路42が前記請求項1記
載の「特性値検出手段」に、起動判定回路68が前記請
求項1記載の「しきい値設定手段」および「起動判定手
段」に、また、移動量演算回路42が前記請求項2記載
の「特性値演算手段」に、それぞれ相当している。ま
た、上記の実施例においては、起動判定回路68が、上
記図15に示すマップに基づいて起動判定を行うことに
より、前記請求項3記載の「しきい値選択手段」が実現
されている。
【0079】ところで、上記の実施例においては、前後
方向加速度GX の2回積分値に相当するS* =∬VX dt
を、前方移動量Sの特性値としているが、本発明は、こ
れに限定されるものではなく、上述した第2実施例の場
合と同様に、前後方向加速度GX の1回積分値に相当す
るS**=∫VX dtを前方移動量Sの特性値としても良
い。
【0080】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、乗員が座席に対して前方に移動している状況下で、
サイドエアバッグが無駄に展開されるのを防止すること
ができると共に、車両に対して前方からエネルギが入力
された後、短時間の後に車両側方にエネルギが入力され
るような場合にも、必要に応じて、適切にサイドエアバ
ッグを展開させることができる。
【0081】請求項2記載の発明によれば、各構成要素
間の通信を、ノイズの影響を受けることなくアナログ信
号を媒体として行うことができる。このため、本発明に
よれば、高い応答性の下に、乗員の前方移動量に応じた
起動判定を行うことができる。
【0082】請求項3記載の発明によれば、乗員の前方
移動量に応じた特性値を、他の目的で搭載される前後加
速度センサを利用して求めることができる。このため、
本発明によれば、乗員の前方移動量に応じて展開しきい
値を変化させるサイドエアバッグの起動装置を、安価に
実現することができる。
【0083】また、請求項4記載の発明によれば、車両
の速度変化量を座席に対する乗員の前方移動量の特性値
とすることで、制御制度を損なうことなく演算負荷の低
減を図ることができる。このため、本発明によれば、何
らの弊害を伴うことなく、乗員の前方移動量が正確に演
算される場合に比して、高い応答性を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるエアバッグシステムの
全体構成図である。
【図2】車両の乗員とサイドエアバッグとの相対位置関
係を説明するための図である。
【図3】図3(A)は車両上で検出される前後方向加速
度GX のタイムチャートの一例である。図3(B)はフ
ロントエアバッグの起動判定の結果のタイムチャートの
一例である。図3(C)は車両上で検出される横方向加
速度GY のタイムチャートの一例である。図3(D)は
サイドエアバッグの起動判定の結果のタイムチャートの
一例である。
【図4】図4(A)は車両、路上設置物、および、他の
車両を平面視で表した図(その1)である。図4(B)
は車両、路上設置物、および、他の車両を平面視で表し
た図(その2)である。図4(C)は車両、路上設置
物、および、他の車両を平面視で表した図(その3)で
ある。
【図5】乗員の前方移動量とサイドエアバッグを展開さ
せることにより得られる効果の大きさとの関係を表す図
である。
【図6】車両の側面に入力されるエネルギの大きさとサ
イドエアバッグを展開させることにより得られる効果の
大きさとの関係を表す図である。
【図7】本発明の第1実施例で用いられる右サイドEC
Uのブロック構成図である。
【図8】図8(A)は車両と路上設置物とを側面視で表
した図である。図8(B)は車両上で検出される前後方
向加速度GX のタイムチャートである。図8(C)は車
両上で検出される前後方向加速度GX の1回積分値のタ
イムチャートである。図8(D)は車両上で検出される
前後方向加速度GX の2回積分値のタイムチャートであ
る。
【図9】本発明の第1実施例でサイドエアバッグの展開
しきい値を定めるために用いられるマップの一例であ
る。
【図10】本発明の第2実施例でサイドエアバッグの展
開しきい値を定めるために用いられるマップの一例であ
る。
【図11】本発明の第3実施例であるエアバッグシステ
ムの全体構成図である。
【図12】本発明の第3実施例で用いられる右サイドE
CUおよびフロントECUのブロック構成図である。
【図13】本発明の第3実施例において横方向加速度G
Y をA/D変換する際に用いられる手法を説明するため
の図である。
【図14】図14(A)は本発明の第3実施例において
横方向加速度GY がハイレベルである場合に右サイドE
CUからフロントECUに送信されるコード信号の波形
である。図14(B)は本発明の第3実施例において横
方向加速度GY がミドルレベルである場合に右サイドE
CUからフロントECUに送信されるコード信号の波形
である。図14(C)は本発明の第3実施例において横
方向加速度GY がローレベルである場合に右サイドEC
UからフロントECUに送信されるコード信号の波形で
ある。
【図15】本発明の第3実施例でサイドエアバッグの起
動判定を行うために用いられるマップの一例である。
【符号の説明】
10 車両 18,60 フロントエアバッグ用電子制御ユニット
(フロントECU) 20 運転席 22 助手席 24,26 サイドエアバッグ 28,62 右サイドECU 30,64 左サイドECU 40 前後加速度センサ 42 移動量演算回路 46 しきい値設定回路 48 起動判定回路 50 横加速度センサ 66 A/D変換器 S 乗員の前方移動量 S* ,S** 前方移動量の特性値 ΔV 車両の速度変化量

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 座席に対する乗員の相対的な前方移動量
    の特性値を検出する特性値検出手段と、 車両に作用する横方向加速度を検出する横加速度センサ
    と、 前記特性値に基づいて、乗員の前方移動量が大きいほど
    サイドエアバッグの展開しきい値を大きな値に設定する
    しきい値設定手段と、 前記横加速度センサの検出値が前記展開しきい値以上で
    ある場合に、サイドエアバッグの展開を図る起動判定手
    段と、 を備えることを特徴とするサイドエアバッグ起動装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のサイドエアバッグ起動装
    置において、 前記特性値検出手段が、車両に作用する前後方向加速度
    を検出する前後加速度センサと、前記前後方向加速度に
    基づいて前記特性値を演算する特性値演算手段と、を備
    えると共に、 前記前後加速度センサ、前記特性値演算手段、前記しき
    い値設定手段、前記横加速度センサ、および、前記起動
    判定手段が、ノイズの影響を受けることなくアナログ信
    号を介して互いに通信できる程度に近接配置されている
    ことを特徴とするサイドエアバッグ起動装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のサイドエアバッグ起動装
    置において、 前記しきい値設定手段が、前記特性値に基づいて、複数
    のしきい値の中から乗員の前方移動量に応じたしきい値
    を選択するしきい値選択手段を備えると共に、 前記横加速度センサの検出値をディジタル信号化して前
    記起動判定手段に供給するA/D変換手段を備えること
    を特徴とするサイドエアバッグ起動装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のサイドエアバッグ起動装
    置において、 前記特性値検出手段が、車両に作用する前後方向加速度
    を検出する前後加速度センサと、前記前後方向加速度を
    積分することで得られる車両の速度変化量を、前記特性
    値として演算する速度変化量演算手段と、を備えること
    を特徴とするサイドエアバッグ起動装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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