JPH101031A - ワイパーブレードクリーナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ワイパーブレードの油による汚れを化学的作用
によって効率的に除去できるワイパーブレードのクリー
ナーを提供する。 【構成】界面活性作用を有する水不溶性物質の微粉末を
含有させた合成樹脂シートで構成したワイパーブレード
のクリーナー１である。合成樹脂シートの幅は０．２〜
５ｃｍで、その裏面に接着剤層２及び剥離材層３を設け
る。フロントガラスのワイパーの停止位置のやや上に貼
着して使用する。界面活性作用を有する水不溶性物質は
例えば界面活性作用を有する鉱石で、焦電性鉱石等であ
る。合成樹脂シートの表面に、界面活性作用を有する鉱
石微粉末を含有する合成樹脂扁平条の複数本を間隔をお
いて貼着してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】自動車、電車などのフロント
ガラスを拭って清掃するためのワイパーには、そのガラ
スとの接触部にゴム製のブレードが取り付けられてい
る。このブレードは使用中に塵埃や油で汚れることがあ
る。本発明は、このブレードを清掃するためのクリーナ
ーに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車、電車などのフロントガラスに
は、フロントガラスに付着した水滴、塵埃、油などを拭
って取り除くために、ワイパーが取り付けられている。
ワイパーはフロントガラスの表面を往復運動して、該表
面を清掃している。ワイパーのガラスとの接触部にはゴ
ム製のブレードがはめ込まれている。このワイパーブレ
ードは使用している間に、その表面に塵埃や油が付着、
堆積する。この塵埃や油が付着した状態でフロントガラ
スを拭っても、水切れが悪く、ガラス表面に油膜が残っ
たりしてフロントガラスをクリーンに清掃することはで
きない。

【０００３】近年、この問題点を解消するため、細長い
透明な合成樹脂シートを、フロントガラスのワイパーの
停止位置のやや上に、フロントガラスの下縁と平行に貼
着する手段が提案されている。この細長い透明な合成樹
脂シートは、基板となる透明合成樹脂シートの表面に透
明な合成樹脂扁平条を複数本間隔をおいて貼着して、該
表面に溝を形成させて凸凹にしたものである。塵埃や油
が付着したワイパーブレードが、この合成樹脂シートの
上を通過する度に、ワイパーブレードの先端が合成樹脂
シート表面の凸凹ではじかれ、付着した塵埃や油がブレ
ードから除かれる。そのため、ワイパーブレードは常に
きれいになっており、従って、ワイパーの拭き取り機能
を向上し、水切れが良くなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のワイ
パーブレードに付着した塵埃や油を取り除く手段は、合
成樹脂シートの表面の凸凹を利用して、ワイパーブレー
ドを物理的に清掃するものである。したがって、塵埃の
除去は比較的効率良く行えても、ワイパーブレード表面
に広がって付着している油を効率良く除去するのは困難
であった。本発明はかかる事情に鑑みなされたもので、
ワイパーブレードの油による汚れを化学的、物理的作用
によって効率的に除去できるワイパーブレードのクリー
ナーを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、界
面活性作用を有する水不溶性物質を含有する合成樹脂シ
ートからなることを特徴とするワイパーブレードクリー
ナーである。また、界面活性作用を有する鉱石微粉末を
含有する合成樹脂シートからなることを特徴とするワイ
パーブレードクリーナーである。また本発明は、上記の
合成樹脂シートが幅０．２〜５ｃｍの細長いシートであ
り、その裏面に接着剤層及び剥離材層を設けたワイパー
ブレードクリーナーである。更に、本発明は、上記の細
長い合成樹脂シートが、その表面に、長さ方向に１本又
は２本以上の溝を有するワイパーブレードクリーナーで
あり、また上記の細長い合成樹脂シートの表面に、合成
樹脂扁平条の１本又は２本以上を間隔をおいて貼着てな
るワイパーブレードクリーナーである。また、裏面に接
着剤層及び剥離材層を設けた合成樹脂シートの表面に、
界面活性作用を有する水不溶性物質を含有する合成樹脂
扁平条の１本又は２本以上を間隔をおいて貼着してなる
ワイパーブレードクリーナーである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明において、界面活性作用を
有する水不溶性物質を含有する合成樹脂シートは、合成
樹脂に界面活性作用を有する水不溶性物質の微粉末を配
合し、シート状に成形加工したものである。界面活性作
用を有する水不溶性物質の代表的なものは界面活性作用
を有する鉱石で、例えば焦電性鉱物である。この焦電性
鉱物は、焦電気（パイロ電気又はピロ電気）を示す物質
で、代表的な例は電気石やイキョク鉱などである。なか
でも電気石の一種であるトルマリンが好ましい。トルマ
リンとしては、ドラバイト（苦土電気石）、ショール
（鉄電気石）、エルバイト（リチア電気石）などが挙げ
られる。

【０００７】本発明では、界面活性作用を有する水不溶
性物質例えば上記した鉱石を微粉末にして合成樹脂シー
トに含有させる。微粉末にすると、その表面積が大きく
なって、その界面活性作用が充分に発揮される。また微
粉末にすると、合成樹脂シートに均一に分散し易くな
り、成形時に支障を来たすことがない。また成形したシ
ートの表面が粗になることがなく、更に合成樹脂シート
が白化することがなく都合がよい。微粉末は平均粒径５
μｍ以下が好ましく、より好ましくは２μｍ以下、特に
好ましくは１μｍ以下である。本発明の合成樹脂シート
の素材は塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リエチレン、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン
樹脂などであり、耐候性のよい合成樹脂を使用するのが
好ましい。これら合成樹脂に、界面活性作用を有する水
不溶性物質例えば界面活性作用を有する鉱石の微粉末を
配合し、押出し成形加工、カレンダー加工などによって
シート状にする。本発明の合成樹脂シートは透明性を有
することが好ましい。界面活性作用を有する水不溶性物
質は、その界面活性作用の強弱にもよるが、通常合成樹
脂中に１〜２０重量％の割合で含有させる。

【０００８】合成樹脂シートの厚さは５０〜１０００μ
ｍ、好ましくは７０〜３００μｍである。この合成樹脂
シートを適当な幅に切断する。この合成樹脂シートの幅
はフロントガラスの大きさにもよるが、自動車の場合
０．２〜５ｃｍ、特に好ましくは２〜４ｃｍである。長
さはフロントガラスの幅の長さに応じて決める。この合
成樹脂シートの裏面には、感圧性接着剤層を塗布などで
設ける。そして、この感圧性接着剤層の上を剥離紙など
の剥離材層でおおう。感圧性接着剤としては、アクリル
樹脂系溶剤型接着剤、ポリウレタン系溶剤型接着剤など
が用いられる。この接着剤は、耐水性、耐候性、透明性
に優れたものが好ましい。合成樹脂シートは複層構造と
して、その最上層のみに界面活性作用を有する水不溶性
物質微粉末を含有させてもよい。

【０００９】図１は本発明の本発明のワイパーブレード
クリーナーの一例の平面図であり、図２はその左側面図
である。１は界面活性作用を有する水不溶性物質微粉末
を含有する合成樹脂シート、２は接着剤層、３は剥離材
層である。本発明のワイパーブレードクリーナーを使用
するには、先ず剥離紙を剥いで感圧性接着剤層を露出さ
せ、この合成樹脂シートを、フロントガラスのワイパー
の停止位置のやや上に、できるだけ視界の邪魔にならな
い位置に、フロントガラスの下縁と平行に貼着する。ま
た、このとき幅０．２〜１ｃｍの細幅の合成樹脂シート
を複数本間隔をおいてほぼ平行に貼着しても良い。

【００１０】本発明において、上記の合成樹脂シートの
表面に、厚さ５０〜１０００μｍ、好ましくは７０〜３
００μｍの通常の合成樹脂シートを極細く切断するなど
して作った合成樹脂扁平条の複数本を間隔をおいて合成
樹脂シートの縁に平行に貼着してもよい。例えば、幅３
ｃｍ、厚さ９０μｍの合成樹脂シートの表面に３本の合
成樹脂扁平条を貼着する。すなわち、先ず、長手方向の
縁から３ｍｍのところに、幅４ｍｍ、厚さ９０μｍの合
成樹脂扁平条を合成樹脂シートの長手方向の縁と平行に
貼着し、次いでその扁平条と１３．５ｍｍの間隔をおい
て幅２ｍｍ、厚さ９０μの合成樹脂扁平条を平行に貼着
し、その後にその扁平条と２ｍｍの間隔をおいて幅２ｍ
ｍ、厚さ９０μｍの合成樹脂扁平条を平行に貼着する。
この場合も、合成樹脂シートの裏面には、感圧性接着剤
層、剥離紙層をもうける。上記の合成樹脂扁平条にも、
前述した界面活性を有する水不溶性物質微粉末を含有さ
せるのが好ましい。図３はその一例を示した正面図、図
４はその左側面図である。１は合成樹脂シート、２は接
着剤層、３は剥離材層であり、４は合成樹脂シートの表
面に貼着した合成樹脂扁平条である。

【００１１】更に本発明においては、厚さ５０〜１００
０μｍ、好ましくは７０〜３００μｍの通常の合成樹脂
シートの裏面に接着層及び剥離材層を設け、その表面に
上記の界面活性作用を有する水不溶性物質を含有させた
合成樹脂扁平条を間隔をおいて貼着した形態にしてもよ
い。合成樹脂扁平条を貼着するための接着剤にはアクリ
ル樹脂系溶剤型接着剤、ポリウレタン系溶剤型接着剤な
どが用いられる。これらのワイパーブレードクリーナー
を使用するには、前述と同様に、先ず剥離紙を剥いで感
圧性接着層を露出させ、この合成樹脂シートを、フロン
トガラスのワイパーの停止位置のやや上に、フロントガ
ラスの下縁と平行に貼着する。合成樹脂シートは複層構
造として、最上層のみに界面活性作用を有する水不溶性
物質微粉末を含有させてもよい。

【００１２】

【作用・効果】本発明のワイパーブレードのクリーナー
を構成する合成樹脂シートは、界面活性作用を有する水
不溶性物質例えば界面活性作用を有する鉱石の微粉末を
含有している。本発明の原理は正確には解明されていな
いが、次のように推測される。すなわち、この合成樹脂
シートは、界面活性作用を有する水不溶性物質の微粉末
を含有し、該微粉末が表面にも露出していため、油が該
合成樹脂シートに水の存在のもとで接触すると、油は乳
化状態になる。

【００１３】フロントガラスには水滴、塵埃、油性物質
が付着しやすい。これらを除去してクリーンな状態にす
るためワイパーが利用されている。ところで、ワイパー
で油膜が存在するフロントガラスを拭いて清掃すると、
ワイパーブレードに油が付着し、フロントガラスがクリ
ヤーになる。しかし長く使用しブレードに油が蓄積した
ワイパーで拭いても、ガラス表面の油膜を除くことが困
難で、却って油膜を生じさせる結果になる。ところが、
本発明のクリーナーを、フロントガラスのワイパーの停
止位置のやや上にフロントガラスの下縁と平行に貼着し
て用いると、ワイパーは往復運動しているからワイパー
ブレードは一往復の間に２回クリーナーの合成樹脂シー
トと接触する。この接触が行われている間にブレードに
付着した油は、クリーナーの合成樹脂シートに含有され
た界面活性作用を有する物質の作用によって乳化状態に
なる。乳化状態になった油は粘着性が低下し、除去し易
くなる。そのためこのクリーナーによって、ワイパーブ
レードに付着した油が効率良く除去でき、ワイパーブレ
ードへの油の付着を低減させ、クリーンな状態に維持で
きる。その結果、フロントガラスの油膜を良好に除去す
ることができる。

【００１４】また、フロントガラスに付着する塵埃によ
って、ワイパーブレードにも塵埃が付着し、不都合を生
じることがある。しかして、上記したように、ワイパー
ブレードは一往復の間に２回クリーナーの合成樹脂シー
ト上を通過するが、このクリーナーを通過する度にワイ
パーブレードの先端がクリーナーの合成樹脂シートの縁
ではじかれ、付着した塵埃がブレードから除かれる。ま
たこの際に、合成樹脂シートの表面に、合成樹脂シート
を極細く切断するなどして作った合成樹脂扁平条の複数
本を間隔をおいて長さ方向に平行に貼着したり、凹形の
溝を形成して、該表面を凸凹にしておくと、塵埃が付着
したワイパーブレードがこの合成樹脂シートの上を通過
する度に、ワイパーブレードの先端が合成樹脂シート表
面の凸凹ではじかれるので、はじかれる回数が多くな
り、付着した塵埃がブレードからより円滑に除かれる。
そして、同時にブレードに油が付着しても、この油は上
述した作用によって乳化され除去される。したがって、
ブレードに付着した塵埃と油を良好に除去することがで
きる。そのため、フロントガラスの拭き清掃効果を向上
させることができる。また、本発明では、界面活性作用
を有する物質として水不溶性物質を用いたので水で流出
されることがなく、また界面活性作用を有する鉱石を用
いた場合は変質することがなく、その効果が失われ難い
利点がある。

【００１５】

【実施例】次に実施例を示して、本発明を更に説明す
る。 実施例１．重合度約１３００のポリ塩化ビニル１００重
量部、ポリエステル系可塑剤４８重量部、安定剤（Ｂａ
−Ｚｎ系）２重量部、エポキシ大豆油２重量部、紫外線
吸収剤０．２重量部及び平均粒径２μｍのドラバイト
（苦土電気石）微粉末５重量部を配合し、カレンダー加
工して、厚さ１５０μｍのシートに成形した。このシー
トの裏面にアクリル樹脂系溶剤型接着剤を塗布し、乾燥
して感圧接着剤層を設け、その上を剥離紙で覆った。こ
のシートを幅２ｃｍ、長さ６０ｃｍに切断して、本発明
のワイパーブレードのクリーナーを製造した。このもの
について使用テストをした。

【００１６】比較例１．比較のために、実施例１おいて
ドラバイトを配合することなくカレンダー加工して、厚
さ１５０μｍのシートを成形し、実施例１と同様にして
ワイパーブレードのクリーナーを製造した。このものに
ついて使用テストをした。

【００１７】実施例２．重合度約１３００のポリ塩化ビ
ニル１００重量部、エステル系可塑剤４８重量部、安定
剤（Ｂａ−Ｚｎ系）２重量部、エポキシ大豆油２重量
部、紫外線吸収剤０．２重量部及び平均粒径２μｍのド
ラバイト（苦土電気石）微粉末５重量部を配合し、カレ
ンダー加工して、厚さ１５０μｍのシートに成形した。
このシートを幅３ｃｍ、長さ７０ｃｍに切断して基体シ
ートを作製した。一方、上記のシートを切断して、幅４
ｍｍ、長さ７０ｃｍの扁平条１本と、幅２ｍｍ、長さ７
０ｃｍの扁平条２本を作製した。基体シートの表面に上
記３本の扁平条を貼着した。すなわち、先ず、基体シー
トの長手方向の縁から３ｍｍのところに、幅４ｍｍの扁
平条を基体シートの長手方向の縁と平行に貼着し、次い
でこの貼着した扁平条と１２ｍｍの間隔をおいて幅２ｍ
ｍの扁平条を平行に貼着し、最後にこの貼着した２本目
の扁平条と２ｍｍの間隔をおいて幅２ｍｍの扁平条を平
行に貼着した。これらの貼着はアクリル樹脂系溶剤型接
着剤で行った。その後、前記シートの裏面にアクリル樹
脂系溶剤型接着剤を塗布し、乾燥して感圧接着剤層を設
け、その上を剥離紙で覆って本発明のワイパーブレード
のクリーナーを製造した。このものについて使用テスト
をした。

【００１８】（使用テスト）上記の実施例１、実施例２
及び比較例１のクリーナーの裏面の剥離紙を剥いで感圧
接着剤層を露出させ、自動車のフロントガラスのワイパ
ーの停止位置のやや上（２ｃｍ）に、該ガラスの下縁と
平行に貼着した。そして、ウインド・ウオッシュ液を使
用せずに、ワイパーを作動させ、使用テストを行った。
その結果を表１に示す。なお、比較例２はクリーナーを
貼着しないで行ったテストである。

【００１９】

【表１】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のワイパーブレードクリーナーの一例の
平面図

【図２】図１の左側面図

【図３】本発明のワイパーブレードクリーナーの一例の
平面図

【図４】図３の左側面図

【符号の説明】

１ 合成樹脂シート、２ 接着剤層、３ 剥離材層、４
合成樹脂扁平条

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】界面活性作用を有する水不溶性物質を含有
   する合成樹脂シートからなることを特徴とするワイパー
   ブレードクリーナー。
2. 【請求項２】界面活性作用を有する水不溶性物質が、界
   面活性作用を有する鉱石微粉末であることを特徴とする
   請求項１記載のワイパーブレードクリーナー。
3. 【請求項３】鉱石微粉末が焦電性鉱石微粉末であること
   を特徴とする請求項２記載のワイパーブレードクリーナ
   ー。
4. 【請求項４】合成樹脂シートが、幅０．２〜５ｃｍの細
   長いシートであり、その裏面に接着剤層及び剥離材層を
   設けた請求項１〜３記載のワイパーブレードクリーナ
   ー。
5. 【請求項５】請求項４記載の合成樹脂シートが、その表
   面に、長さ方向に１本又は２本以上の溝を有する請求項
   ４記載のワイパーブレードクリーナー。
6. 【請求項６】請求項４記載の合成樹脂シートの表面に、
   合成樹脂扁平条の一本又は２本以上を間隔をおいて貼着
   てなるワイパーブレードクリーナー。
7. 【請求項７】裏面に接着剤層及び剥離材層を設けた合成
   樹脂シートの表面に、界面活性作用を有する水不溶性物
   質を含有する合成樹脂扁平条の１本又は２本以上を間隔
   をおいて貼着してなるワイパーブレードクリーナー。