JPH0995730A - 低温用建築向け鋼材の製造方法 - Google Patents

低温用建築向け鋼材の製造方法

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JPH0995730A
JPH0995730A JP25517595A JP25517595A JPH0995730A JP H0995730 A JPH0995730 A JP H0995730A JP 25517595 A JP25517595 A JP 25517595A JP 25517595 A JP25517595 A JP 25517595A JP H0995730 A JPH0995730 A JP H0995730A
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隆二 村岡
Noboru Nishiyama
暢 西山
Hiroshi Ishikawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安定した低温靭性と、低温(−20℃〜−60
℃)で低YR(≦80%)を有し、低温で新耐震設計を
可能にする低降伏比建築向け鋼材の製造方法を提供する 【解決手段】酸素含有量が30ppm以下の鉄基合金を
オーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から水
冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停止し、主た
る組織をフェライトとベイナイトの2相組織とすること
を特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼
材の製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新耐震設計法で設
計される建築分野において、低温倉庫など使用環境温度
が低温となる建築物に用いられる低温用建築向き鋼材の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昭和56年に改正施行された建築物の耐
震設計法は、それまでの構造体各部に生ずる応力度を鋼
材の降伏点以内に留めるという弾性設計に変えて、鋼材
が降伏後、最大強さに達するまでの塑性域での変形能力
を活用して、地震入力エネルギーを吸収させ、建物の耐
震安全性を確保しようとするものである。このことか
ら、新耐震設計法が適用される建築物の鋼材は、降伏後
の変形性能を表すパラメーターである降伏比(YR)が
低いこと、すなわち低降伏比が求められるようになっ
た。
【0003】TS500MPa級の鋼材は、熱間圧延を
再結晶域で仕上げ、組織の粗粒化を図り低降伏比を確保
している。また、TS600MPa級あるいはそれ以上
の高強度鋼では、フェライト−オーステナイトの2相域
から焼入することで、フェライトとベイナイトあるいは
マルテンサイトの2相組織にすることで低降伏比を確保
している。
【0004】オフィスや住居用の建築物、いわゆるビル
は常温で使用されるため、上述の新耐震設計も常温を前
提になされている。したがって、従来の低降伏比鋼も常
温(0〜30℃)でのYR値が80%以下あるいは75
%以下になるように製造されている。
【0005】建築物の中には、寒冷地の建物、低温用倉
庫のように使用温度が低温(−20℃〜−60℃)であ
るような建築物がある。例えば、まぐろ用の冷凍倉庫は
−55℃で使用される。そのような低温用建築物に新耐
震設計法を適用し耐震安全性を確保するためには、良好
な低温靭性と低温で低降伏比を示す鋼材が必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは
従来の低降伏比鋼の低温での引張特性並びに靭性につい
て検討した。多くの低降伏比鋼は上述したように低降伏
比を得るために粗粒であり、そのため低温靭性が低く、
たとえば−55℃使用の低温用倉庫には使用できないこ
とがわかった。低温靭性に優れた低降伏比鋼に関する発
明として、特開平2−197522号公報や特開平5−
21440号公報が開示されている。両公報とも靭性は
−55℃使用の低温用倉庫には適用可能なほど優れたデ
ータが示されているが、低温のYR値は示されていな
い。そこで、本発明者は両公報の記載に沿って試作した
鋼の低温引張特性について調べると、たとえば−55℃
ではYRが80%以上になってしまうことが判明した。
また、靭性に関しても、必ずしも良い値ばかりではなく
大きくばらつく結果となった。
【0007】従って、本発明の目的は、安定した低温靭
性と、低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80
%)を有し、低温で新耐震設計を可能にする低降伏比建
築向け鋼材の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の第一の発明は、酸素含有量が30ppm以下の鉄基合
金をオーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後か
ら水冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停止し、
主たる組織をフェライトとベイナイトの2相組織とする
ことを特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築向
け鋼材の製造方法である。
【0009】第2の発明は、重量%で、C:0.06〜
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
6〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、N≦3
0ppm、O≦30ppm、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延後、
Ar3 点経過後から水冷し、650℃以下400℃以上
で水冷を停止することを特徴とする低温靭性に優れかつ
低温で低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法
である。
【0010】第3の発明は、重量%で、C:0.06〜
0.18%、Si:0.05〜0.40%、Mn:0.
6〜1.7%、Al:0.001〜0.06%、N≦3
0ppm、O≦30ppmに加えて、Ti:0.005
〜0.015%、Nb:0.005〜0.04%、V:
0.005〜0.1%、Cu:0.05〜0.6%、N
i:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜1.0%及
びMo:0.02〜0.6%から選択された1種または
2種以上、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
をオーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から
水冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停止するこ
とを特徴とする低温靭性に優れかつ低温で低降伏比を有
する低温用建築向け鋼材の製造方法である。
【0011】第4の発明は、さらに、P≦0.015
%、S≦0.002%に規制し、Ca:Ca/Sで0.
5以上2.0以下と、REM:0.005〜0.02%
との少なくともいずれか一方が添加された超大入熱溶接
のHAZ割れ感受性の低い低温靭性に優れかつ低温でも
低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法であ
る。
【0012】以下本発明を詳細に説明する。まず本発明
方法で得られる鋼材は、酸素含有量が30ppm以下で
あり、主たる組織がフェライトとベイナイトの2相組織
とすることにより、低温で低降伏比を有している。この
ことは以下の知見に基づく。すなわち、本発明者らは、
ミクロ組織と低温YRの関係を鋭意検討した結果、以下
に示す重要な知見を見いだした。
【0013】まず、図1は、表2、表3のA1ならびに
A2鋼板を供試材に用いて、低温の降伏比に及ぼす組織
の影響を調べたもので、図中のα+BがA1鋼板、α+
PがA2鋼板である。図からわかるように、YR値は引
張試験温度が低温になるほど上昇する。しかし、フェラ
イト+パーライト組織(α+P)よりもフェライト+ベ
イナイト(α+B)組織の方が上昇程度が低い。そし
て、粗粒フェライトとベイナイトの混合組織にすること
で−100℃でもYR<80%以下が達成されている。
【0014】図2は、A鋼と同鋼種において酸素のみ2
0〜43ppmの範囲で変化した鋼を供試鋼に用いて、
vE−55に及ぼす酸素含有量の影響を調べたものであ
る。フェライトとベイナイト混合組織の低温靭性は、図
2に示すようにかなりのバラツキを有しているが、その
下限値は酸素含有量により支配され、酸素含有量を30
ppm以下にすることでvE-55(minimum)>100Jを
満たす安定した靭性が得られることを見出した。これ
は、酸素含有量を30ppm以下にすることで、マイク
ロクラックの発生起点となる鋼中酸化物の減少、微細化
したためである。
【0015】以上のことから、安定した低温靭性を有
し、かつ低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80
%)を示す新耐震設計を可能にする低温低降伏比建築鋼
材の必要条件は、酸素含有量が30ppm以下で粗粒フ
ェライトとベイナイトの2相組織の特徴を有するである
ことがわかった。
【0016】そして、本発明方法はこのミクロ組織を得
るために、以下の製造条件で鋼材を製造する。まず、酸
素含有量が30ppm以下の鉄基合金をオーステナイト
域で熱間圧延する。オーステナイト域で熱間圧延する理
由は、フェライト域で圧延すると加工硬化し、低YRが
得られないからである。ついで、Ar3 点経過後から水
冷する。Ar3 点経過後から水冷する理由は、オーステ
ナイト域から加速冷却する場合には、その鋼の焼入性に
応じて冷却速度制御しなければフェライトは得られ難い
が、Ar3 点経過後まで放冷し、一部フェライトが析出
してから加速冷却した場合非常に広い冷却速度範囲で低
YRが得られるためである。図3は、供試鋼にA鋼を用
いて、オーステナイト域から加速冷却した場合と、圧延
後、Ar3 点経過後まで放冷し、一部フェライトが析出
した2相域から加速冷却した場合の−55℃のYRと冷
却速度の関係を示している。後者の場合には、非常に広
い冷却速度範囲で低YRが得られている。そして、ミク
ロ組織観察から、後者の場合には広い冷却速度範囲でフ
ェライトとベイナイト混合組織が得られたためであるこ
とが判明した。ついで650〜400℃で水冷を停止し
て、組織をフェライトとベイナイトの2相組織にする。
この温度範囲に限定した理由は、停止温度が650℃を
超える高温の場合には、組織がフェライト+パーライト
組織になってしまう。また、停止温度が400℃を下回
る低温の場合には、マルテンサイトが混入し著しく靭性
が劣化してしまう。
【0017】つぎに、本発明に係る鋼材の各成分の添加
理由および添加量を限定した説明する。C,Si,M
n,Alは、通常の溶接構造用鋼が所要の材質を得るた
めに、従来から確認されている作用・効果の関係をもと
に、以下のごとく限定した。
【0018】Cは最も安価な元素で強度化に有効な元素
であるが、0.18%を超えて添加すると溶接性が著し
く低下する。0.06%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。また、0.18%超えでは、溶接性が著しく劣化す
る。したがって、Cは0.06%以上0.18%以下に
規定した。
【0019】Siは鋼材の強度、溶鋼の予備脱酸に必要
な元素である。予備脱酸のためには、0.05%以上の
添加が必要である。0.4%を超える過剰の添加は、鋼
材の靭性、溶接HAZ靭性を劣化させる。したがって、
Si量は0.05%以上0.4%以下に限定した。
【0020】Mnは、母材の強度を確保するため、必要
な元素である。0.6%未満では、厚物で強度が不足
し、多量の合金元素の添加が必要となり、コスト高を招
く。また、Mnは中央偏析しやすい元素である。1.7
%を超えて添加すると、板厚中央が著しく脆化する。し
たがって、Mnの範囲を0.6%以上1.7%以下に限
定した。
【0021】Alは、脱酸に必要な元素である。Al量
として0.001%未満では、十分な脱酸効果が期待で
きない。また、0.06%を超えて過剰に添加すると、
連続鋳造スラブの表面にキズが発生しやすい。したがっ
て、Al量は0.001%以上0.06%以下に限定し
た。
【0022】Nは固体鋼中に固溶Nや窒化物系介在物と
して存在する。固溶Nや粗大窒化物系介在物は、鋼の低
温靭性を劣化させる。30ppmを超えてNを含有する
と固溶Nが存在する、また、最終凝固部には粗大な窒化
物(例えばTiNやNbN)が生成しやすくなり、優れ
た低温靭性が得られない。したがって、N含有量を0.
003%以下に規制した。
【0023】Oは既に述べたように、30ppmを越え
るとマイクロクラックの発生起点となる鋼中酸化物が増
大、粗大化するため、30ppm以下とする。Nb、
V、Cu、Ni、Cr、Moは、高強度化に有効な元素
である。各成分の下限を限定した理由は、Nb<0.0
05%、V<0.005%、Cu<0.05%、Ni<
0.05%、Cr<0.05%、Mo<0.02%で
は、明瞭な強度上昇効果が見られないためである。ま
た、各成分の上限は以下の理由から決定された。
【0024】NbはNb(CN)、VはVCが析出し高
強度化に寄与するが、0.04%を超えたNbの添加、
0.1%を超えたVの添加は、降伏比を著しく上昇させ
てしまう。従って、Nbを0.005%以上0.04%
以下に、Vを0.005%以上0.1%以下に限定し
た。
【0025】Cu、Ni、Cr、Moは、固溶強化や焼
入性向上効果を通して、高強度化に寄与する。0.6%
を超えるCuの添加は著しくCu割れ発生の危険性を増
大させる。Niは高価な元素でありコストの観点から、
上限を0.6%とした。1%を超えるCr、0.6%を
超えるMoの添加は溶接性を著しく劣化させる。従っ
て、Cuを0.05%以上0.6%以下、Niを0.0
5%以上0.6%以下、Crを0.05%以上1%以
下、Moを0.02%以上0.6%以下に限定した。
【0026】Tiは、TiNの溶接HAZ部の組織粗大
化を抑制してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。
0.005%未満のTi添加ではHAZ靭性向上効果が
発揮されない。0.015%を超えて添加すると溶接の
冷却過程でTiCが析出し、HAZ靭性の劣化を招く。
従って、Tiを0.005%以上、0.015%以下に
限定した。
【0027】Sは中央偏析し、その部分でMnSを形成
する。MnSは圧延より伸長するため、鋼板の板厚中央
部には伸長したMnSが他の部分より多く存在する。本
発明の用途は建築向けであり、その多くは大入熱のサブ
マージアーク溶接(SAW)でボックス柱に組み立てら
れ、建築物に使用される。大入熱サブマージアーク溶接
では、鉄粉入りのボンド型フラックスを大量使用するた
め、他の溶接法に比較すると鋼中に侵入する水素量が高
くなり、しばしばその熱影響部に割れが発生する。割れ
の発生起点は板厚中央の伸長化したMnSである。伸長
MnSと地鉄界面に溶接水素が集積し、水素誘起割れを
起こすのである。0.002%を超えるSが含有されて
いると、板厚中央のMnSが大型化し、ボックス柱角継
手部にHAZ割れが発生しやすくなる。したがって、S
含有量は0.002%以下に規制した。
【0028】Pも非常に中央偏析しやすい元素であり、
0.015%を超えて含有していると、板厚中央部を著
しく硬化させる。上述のMnSを起点としたHAZ割れ
は、周囲が硬化しているほど割れが伝播しやすくなる。
すなわち、大入熱サブマージアーク溶接で施工したボッ
クス柱角継手部に水素割れ抑制のため、Pを0.015
%以下に規制した。
【0029】Ca、REMは、ボックス柱角継手部のH
AZ割れ抑制のために添加する。上述したように、HA
Z割れの起点は伸長したMnSであり、伸長化を抑制す
れば割れの防止が図られる。CaとREMは、鋼中硫化
物をそれぞれCaS、REM−Sに変化せしめ、それら
は圧延しても伸長化しない。Ca/S:0.5未満、R
EM:0.005%未満では、十分な硫化物の伸長化抑
制が達成されない。また、Ca/S:2超え、REM:
0.02%超えの添加は、クラスター状の介在物(Ca
−Al−O−S、REM−O−S)を増やし、上記HA
Z割れ抑制に逆効果である。したがって、CaをCa/
Sで0.5以上2以下、REMを0.005%以上0.
02%以下に限定した。
【0030】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を説明す
る。表1に供試鋼の化学成分を示す。鋼H、I、RはT
S60キロ級、鋼G、OはTS40キロ級、その他はT
S50キロ級の鋼である。すべて、軽圧下プロセスを含
む連続鋳造にてスラブにされた。
【0031】上記の鋼を表2に示す製造条件にて鋼板と
した。表3には得られた鋼板のミクロ組織、機械試験
値、大入熱溶接HAZ割れ率が示されている。引張試験
片は1/4tよりC方向に採取されたJIS4号であ
る。シャルピー衝撃試験片は1/4tよりL方向に採取
された。また、vE-55(ave)、vE-55(min)は、N数9
の平均値と最小値である。
【0032】大入熱SAW角継手耐HAZ割れ性は、図
4に示す寸法・形状の試験体で半ボックス施工試験を行
い、溶接部の超音波探傷を実施し、割れの発生状況を測
定することより評価した。同図において、1はSAWに
よる角溶接部、2はウェブ鋼板、3はフランジ鋼板、4
はダイヤフラム、5はエレクトロスラグ溶接部、そして
6は溶接漏れがないようにするための当て金であり、t
は板厚を示す。半ボックス施工試験によるSAW角溶接
は、2電極の1層溶接であり、溶接入熱は、鋼板板厚に
応じて150kJ(板厚16mmの時)〜570kJ
(板厚70mmの時)で実施した。その際、溶接フラッ
クスには、鉄粉入りボンド型フラックスを温度30℃、
湿度80%の環境で3時間放置し、故意に吸湿させたも
のを用いた。吸湿フラックスを用いたのは、溶接時に侵
入する水素量を上昇させ、鋼板の溶接水素による割れ感
受性を明瞭に評価するためである。溶接後、3日間放置
し、図4中の矢印でUSTで示した溶接フランジ角部を
JIS G 0901に準じて超音波深傷を行い、割れ
プロフィールを、図4のように描いた。同図において、
斜線部は超音波深傷により検出されたΔ欠陥およびΧ欠
陥のエコー発生部分7であり、C1 、C2 、C3 はその
長さ、即ち、割れ発生部分の溶接長方向の長さを示す。
溶接長Lに対する、各割れ長さC1 、C2 、C3 …の和
の割合(長さ%)をHAZ割れ率=(C1 +C2 +C3
+…)/Lと定義した。なお、この試験においては、L
=700mmである。
【0033】表2、表3をみると、熱間圧延後、Ar3
温度以下から水冷し、650℃以下400℃以上の温度
範囲で水冷を停止した場合(A1、B1、C1、D1、
E1、F1、G1、H1、I1、J1、K1、L1、M
1、N1、O1、P1、Q1、R1、S1)は、フェラ
イトとベイナイトの2相組織が得られており、−55℃
のYR値も80%以下の低い値が得られている。水冷を
施していないA2、G2は、それぞれ発明鋼のA1、G
1に比較した−55℃のYR値が高く、靭性が低い。A
3 温度以下から水冷しても水冷停止温度が650℃以
上で停止したC2は、フェライトとパーライト組織にな
っており、発明鋼C1に比較すると−55℃のYR値が
高く、靭性が低い。また、Ar3 温度以下から水冷して
も水冷停止温度が400℃を下まわる温度で停止したA
3、I2は、マルテンサイトが生成し、−55℃のYR
値が高く、靭性が低い。
【0034】酸素含有量30ppmを超えるO1、P
1、Q1、R1、S1は、vE-55 のminimum 値が低
く、安定した低温靭性が得られていない。さらに、N含
有量が30ppmを超えるP1、R1、S1はvTsも
−50℃以上と特に低靭性である。
【0035】S≦20ppm、P≦0.015以下でC
a/Sで0.5以上2.0以下のCaが添加された鋼
I、J、Lおよび0.005以上0.02%以下のPE
Mが添加された鋼Kは、HAZ割れが発生していない。
Caが添加されていてもCa/Sが0.5未満の鋼Nや
2.0超えの鋼Mならびに過剰のREMが添加された鋼
Sでは、HAZ割れが発生している。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる製
造方法は、得られた鋼材が安定した低温靭性を有し、か
つ低温(−20℃〜−60℃)で低YR(≦80%)を
示すので、低温で使用される建築構造物の新耐震設計を
可能にする。従って、建物の安全性が増す。また、鋼材
の大量生産が可能で、しかも価額も安く、溶接施工が容
易で、建設工期も短縮でき、全体として建設費が低廉で
済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】引張試験温度と降伏比(=降伏強度/引張強
度)の関係を示した図。
【図2】酸素含有量と−55℃で試験したシャルピー衝
撃吸収エネルギー(vE-55 )の関係を示した図。
【図3】−55℃のYR値と冷却条件の関係を示した
図。
【図4】大入熱SAWによる半ボックス試験体の形状、
および超音波探傷試験位置の説明図。
【図5】半ボックス施工試験におけるHAZ割れ率の定
義を説明する図。
【符号の説明】
1…SAW角溶接部、2…ウェブ鋼板、3…フランジ鋼
板、4…ダイヤフラム、5…エレクトロスラグダイヤフ
ラム溶接部、6…当て金、7…超音波探傷によるΔ欠陥
およびΧ欠陥エコー発生部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 博 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素含有量が30ppm以下の鉄基合金
    をオーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から
    水冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停止し、主
    たる組織をフェライトとベイナイトの2相組織とするこ
    とを特徴とする低温で低降伏比を有する低温用建築向け
    鋼材の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.06〜0.18%、
    Si:0.05〜0.40%、Mn:0.6〜1.7
    %、Al:0.001〜0.06%、N≦30ppm、
    O≦30ppm、残部がFeおよび不可避的不純物から
    なる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経
    過後から水冷し、650℃以下400℃以上で水冷を停
    止することを特徴とする低温靭性に優れかつ低温で低降
    伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、C:0.06〜0.18%、
    Si:0.05〜0.40%、Mn:0.6〜1.7
    %、Al:0.001〜0.06%、N≦30ppm、
    O≦30ppmに加えて、Ti:0.005〜0.01
    5%、Nb:0.005〜0.04%、V:0.005
    〜0.1%、Cu:0.05〜0.6%、Ni:0.0
    5〜0.6%、Cr:0.05〜1.0%及びMo:
    0.02〜0.6%から選択された1種または2種以
    上、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼をオー
    ステナイト域で熱間圧延後、Ar3 点経過後から水冷
    し、650℃以下400℃以上で水冷を停止することを
    特徴とする低温靭性に優れかつ低温で低降伏比を有する
    低温用建築向け鋼材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3の鋼をさらに、P≦
    0.015%、S≦0.002%に規制し、Ca:Ca
    /Sで0.5以上2.0以下と、REM:0.005〜
    0.02%との少なくともいずれか一方が添加された超
    大入熱溶接のHAZ割れ感受性の低い低温靭性に優れか
    つ低温でも低降伏比を有する低温用建築向け鋼材の製造
    方法。
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