JPH0995464A - コハク酸の製造方法 - Google Patents

コハク酸の製造方法

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JPH0995464A
JPH0995464A JP25365695A JP25365695A JPH0995464A JP H0995464 A JPH0995464 A JP H0995464A JP 25365695 A JP25365695 A JP 25365695A JP 25365695 A JP25365695 A JP 25365695A JP H0995464 A JPH0995464 A JP H0995464A
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succinic acid
succinic
succinic anhydride
anhydride
water
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JP25365695A
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Ryuichi Ishikawa
▲隆▼一 石川
Akira Kurusu
暁 来栖
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用する水の量を従来の製造方法と比較し
て、飛躍的に減少させることにより、煩雑な晶析工程等
を不要として、コハク酸を、高い生産性でかつ安価に製
造する。 【解決手段】 無水コハク酸をコハク酸の融点( 188
℃)以上の温度で水和する。水と無水コハク酸とのモル
比(水/無水コハク酸)は1〜4の範囲内がより好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無水コハク酸を水
和してコハク酸を製造する方法に関するものである。コ
ハク酸は、調味料、浴用剤、生分解性ポリエステル等の
原料等として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】従来より、コハク酸を製造する一般的な
方法として、無水マレイン酸またはマレイン酸を、水性
媒体中で貴金属触媒を用いて水素化する方法が知られて
おり(例えば、特公昭44-29246号公報、特開平2-121946
号公報、特公平 6-11724号公報、特公平 6-11725号公報
等)、工業的に実施されている。上記の製造方法におい
ては、例えば、飽和濃度以下(通常、20重量%〜50重量
%)のマレイン酸溶液を用いて該マレイン酸を水素化し
た後、熱時に触媒を濾過して分離し、得られた濾液(反
応液)を冷却することによりコハク酸を晶析させ、濾別
して単離している。そして、コハク酸を濾別した後の母
液は、無水マレイン酸またはマレイン酸を水素化する際
の水性媒体として、回収された触媒と共に循環使用され
る。
【0003】一方、無水コハク酸を水和してコハク酸を
製造する方法が従来より知られている(L.Eberson; Act
a Chem.Scand. 1972,26(1), 239-49)。この製造方法に
おいては、沸騰水中に無水コハク酸を添加することによ
り、コハク酸が容易に得られる。尚、原料の無水コハク
酸は、無水マレイン酸を水素化することにより容易に得
られる化合物である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無水マ
レイン酸またはマレイン酸を水素化する方法では、水等
の水性媒体を多量に使用すると共に、煩雑な晶析工程等
が必要となるため、コハク酸の生産性が低いという問題
点を有している。尚、コハク酸の生産性を向上させるた
めに、水性媒体を留去してコハク酸溶液を濃縮し、晶析
(減圧晶析)することが考えられるが、この場合、多大
なエネルギを必要とするので、コハク酸を安価に製造す
ることができない。
【0005】また、無水コハク酸を水和してコハク酸を
製造する上記従来の方法では、コハク酸が水溶液として
得られるので、該コハク酸を回収する際に、煩雑な晶析
工程等が必要となる。このため、コハク酸の生産性が低
いという上記と同様の問題点を有している。尚、該方法
について本願発明者らが検討した結果、以下に示すよう
な知見が得られた。即ち、コハク酸の生産性を向上させ
るために、コハク酸の飽和水溶液を沸騰させ、該沸騰水
中に固体状または溶融状態の無水コハク酸を添加する方
法を実施した。ところが、この場合には、析出するコハ
ク酸結晶中に無水コハク酸が取り込まれ、得られるコハ
ク酸の純度が低下した。つまり、沸騰水中におけるコハ
ク酸の濃度を高めると、得られるコハク酸の品質が劣化
するので、工業的には満足な結果を得ることができない
という知見を得た。
【0006】即ち、上記従来の方法では、コハク酸の生
産性が低く、従って、コハク酸を安価に製造することが
できないという問題点を有している。本発明は、上記従
来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、コ
ハク酸を高い生産性でかつ安価に製造することができる
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、コハク
酸の製造方法を提供すべく鋭意検討した結果、無水コハ
ク酸をコハク酸の融点以上の温度で水和することによ
り、使用する水の量を上記従来の方法と比較して、飛躍
的に減少させることができ、その結果、煩雑な晶析工程
等を経ることなく、コハク酸を高い生産性でかつ安価に
製造することができることを見い出して、本発明を完成
させるに至った。
【0008】即ち、請求項1記載の発明のコハク酸の製
造方法は、上記の課題を解決するために、無水コハク酸
をコハク酸の融点以上の温度で水和することを特徴とし
ている。
【0009】請求項2記載の発明のコハク酸の製造方法
は、上記の課題を解決するために、請求項1記載のコハ
ク酸の製造方法において、水と無水コハク酸とのモル比
(水/無水コハク酸)が1〜4の範囲内であることを特
徴としている。
【0010】請求項3記載の発明のコハク酸の製造方法
は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記
載のコハク酸の製造方法において、無水マレイン酸を水
素化してなる溶融状態の無水コハク酸を用いることを特
徴としている。
【0011】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
かかるコハク酸の製造方法において、原料として用いら
れる無水コハク酸の製造方法は、特に限定されるもので
はない。無水コハク酸は、例えば、ベンゼン、ブテン等
のC4留分、或いはブタンの接触気相酸化により工業的
に製造される無水マレイン酸を、液相水素化または気相
水素化することにより、容易に得ることができる。そし
て、無水マレイン酸から製造される無水コハク酸を用い
る場合には、より一層効率的に製造することができるよ
うに、無水マレイン酸を水素化してなる溶融状態の無水
コハク酸(融点 120℃)を、そのまま水和反応に供する
ことが好ましい。尚、無水マレイン酸から無水コハク酸
を製造する製造方法は、特に限定されるものではない。
また、無水マレイン酸を水素化してなる無水コハク酸を
用いる場合には、必要に応じて水素化反応の反応生成物
を蒸留し、留分として得られる溶融状態の無水コハク酸
を水和反応に供してもよい。
【0012】無水コハク酸の純度は、特に限定されるも
のではないが、得られるコハク酸の単離・精製工程等を
省略することができるように、高純度の方が好ましい。
無水コハク酸は、例えば蒸留等の単位操作を行うことに
より、容易に精製することができる。そして、無水マレ
イン酸から製造される無水コハク酸を用いる場合には、
無水コハク酸に不純物として残留する無水マレイン酸の
量は、 0.1重量%以下がより好ましく、0.05重量%以下
がさらに好ましい。無水マレイン酸が 0.1重量%を越え
て含まれる無水コハク酸を用いると、該無水コハク酸を
水和したときに着色するおそれがある。つまり、得られ
るコハク酸の品質が低下し、該コハク酸の精製工程等が
必要となるおそれがある。尚、高品質のコハク酸を製造
する必要が無い場合には、無水コハク酸に無水マレイン
酸が 0.1重量%を越えて含まれていてもよい。また、こ
の場合には、無水コハク酸から無水マレイン酸を除くた
めの蒸留操作等は不要である。
【0013】本発明にかかるコハク酸の製造方法におい
て用いられる水の量は、特に限定されるものではない
が、水と無水コハク酸とのモル比(水/無水コハク酸)
が1〜4の範囲内、より好ましくは1〜3の範囲内とな
るように、その使用量を決定すればよい。上記のモル比
が4を越える場合、つまり、水の使用量が無水コハク酸
に対して4倍モルを越える場合には、得られるコハク酸
を過剰の水と分離する必要がある。このため、晶析等の
分離工程が必要となるおそれがあると共に、コハク酸の
乾燥に多大なエネルギを必要とするおそれがある。ま
た、上記のモル比が1未満の場合、つまり、水の使用量
が無水コハク酸に対して1倍モル未満の場合には、未反
応の無水コハク酸がコハク酸に残留するので、該コハク
酸の精製工程等が必要となる。
【0014】無水コハク酸を水和する際の反応温度は、
コハク酸の融点( 188℃)以上であれば、特に限定され
るものではないが、 300℃以下がより好ましく、 250℃
以下がさらに好ましい。無水コハク酸をコハク酸の融点
未満の温度で水和すると、反応の進行に伴って生成する
コハク酸が固化し、反応を継続的(連続的)に実施する
ことが困難となるので好ましくない。また、無水コハク
酸を 300℃を越える温度で水和すると、分解反応等の副
反応を起こしたり、或いは着色する等して、得られるコ
ハク酸の品質が低下し、該コハク酸の精製工程等が必要
となるおそれがある。
【0015】無水コハク酸を水和する際の反応圧力は、
特に限定されるものではない。無水コハク酸と水または
水蒸気とが充分に接触することができるのであれば、気
液平衡による水の蒸気圧等による自然発生圧下で無水コ
ハク酸を水和することができる。また、必要に応じて、
窒素ガス等の不活性ガスを用いて反応系を加圧してもよ
い。
【0016】無水コハク酸を水和する際の反応時間、つ
まり、上記の反応温度にて無水コハク酸と水または水蒸
気とを接触させる時間は、特に限定されるものではない
が、2時間以内がより好ましく、1時間以内がさらに好
ましい。さらに、無水コハク酸の水和反応は速やかに進
行するので、反応時間は、できるだけ短い方が好まし
い。反応時間が2時間を越えると、分解反応等の副反応
を起こしたり、或いは着色する等して、得られるコハク
酸の品質が低下し、該コハク酸の精製工程等が必要とな
るおそれがある。また、コハク酸を効率的に製造するこ
とができなくなるおそれがある。
【0017】無水コハク酸の水和反応は、酸素の不存在
下で行うことが好ましい。酸素の存在下で無水コハク酸
を水和すると、着色する等して、得られるコハク酸の品
質が低下する。また、酸素の存在による爆発等の危険性
を回避するために、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で
水和することがより好ましい。尚、無水コハク酸は水ま
たは水蒸気と接触させるだけで水和されるので、本発明
にかかるコハク酸の製造方法においては、触媒は不要で
ある。
【0018】無水コハク酸を水和する際の反応方法は、
特に限定されるものではなく、回分式(バッチ式)、連
続式の何れの方法であってもよい。また、無水コハク酸
を水和する際に好適に用いることができる反応装置の構
成等は、特に限定されるものではない。
【0019】回分式にて無水コハク酸を水和する場合に
は、例えば、所定の耐圧容器(回分式反応器)に所定量
の無水コハク酸および水を仕込んで密閉し、必要に応じ
て不活性ガスを用いて反応系を加圧した後、該耐圧容器
を上記反応温度に加熱すればよい。
【0020】連続式にて無水コハク酸を水和する場合に
は、例えば、上記反応温度に加熱された熱交換器や管型
反応器等の連続式反応器に、必要に応じて不活性ガスを
流通させながら、無水コハク酸および水を所定のモル比
でもって連続的に供給すればよい。連続式にて無水コハ
ク酸を水和する方が、無水マレイン酸から無水コハク酸
を経由してコハク酸をより一層効率的に製造することが
でき、生産性をさらに向上させることができるので好ま
しい。
【0021】連続式反応器に対する無水コハク酸および
水の供給方法は、特に限定されるものではなく、例え
ば、加熱して溶融させた無水コハク酸と、水とを供給す
る方法;加熱して溶融させた無水コハク酸と、水蒸気と
を供給する方法;両者を混合した混合物を液体状で供給
する方法等の種々の方法を採用することができる。ま
た、無水マレイン酸から製造される無水コハク酸を用い
る場合には、無水マレイン酸を水素化してなる溶融状態
の無水コハク酸を、連続式反応器にそのまま供給すれば
よい。該溶融状態の無水コハク酸を用いることにより、
加熱等に要するエネルギを節約することができると共
に、無水コハク酸の単離や溶融等の工程を省略すること
ができるので、無水マレイン酸から無水コハク酸を経由
してコハク酸を連続的に、かつより一層効率的に製造す
ることができる。
【0022】尚、連続式反応器内には、無水コハク酸と
水または水蒸気とを充分にかつ効率的に接触させること
ができるように、ガラスビーズ等の充填物を充填しても
よい。また、上記の連続式反応器は、垂直若しくは斜め
に設置してもよく、または、水平に設置してもよい。そ
して、連続式反応器を垂直若しくは斜めに設置する場合
において、該連続式反応器内での無水コハク酸および水
の流通方向は、上向きであってもよく、また、下向きで
あってもよい。
【0023】本発明にかかる水和反応により得られるコ
ハク酸を回収する方法は、特に限定されるものではな
い。例えば、回分式によりコハク酸を製造する場合に
は、水和反応後、耐圧容器を冷却することによりコハク
酸を固化させればよい。また、例えば、連続式によりコ
ハク酸を製造する場合には、連続式反応器から連続的に
取り出される溶融状態のコハク酸を、いわゆるフレーカ
等の固化装置に導入し、該固化装置にてコハク酸を冷却
することにより固化させればよい。固体状のコハク酸
は、耐圧容器または固化装置から取り出した後、必要に
応じて乾燥機等を用いて常圧乾燥若しくは減圧乾燥すれ
ばよい。これにより、コハク酸が高純度で得られる。
尚、乾燥温度は、特に限定されるものではないが、コハ
ク酸の脱水反応等を防止するため、比較的低温が好まし
い。
【0024】本発明にかかるコハク酸の製造方法は、以
上のように、無水コハク酸をコハク酸の融点以上の温度
で水和する方法である。また、水と無水コハク酸とのモ
ル比(水/無水コハク酸)が1〜4の範囲内である方法
である。それゆえ、使用する水の量を従来の製造方法と
比較して、飛躍的に減少させることができるので、煩雑
な晶析工程等が不要となる。これにより、コハク酸の生
産性を向上させることができると共に、安価に製造する
ことができる。即ち、特に工業的に、コハク酸を高い生
産性でかつ安価に製造することができる製造方法を提供
することができる。
【0025】また、本発明にかかるコハク酸の製造方法
は、以上のように、無水マレイン酸を水素化してなる溶
融状態の無水コハク酸を用いる方法である。それゆえ、
エネルギを節約することができると共に、無水コハク酸
の単離や溶融等の工程を省略することができる。これに
より、コハク酸の生産性をより一層向上させることがで
きると共に、より一層安価に製造することができる。
【0026】尚、得られるコハク酸は高純度であるが、
用途等によっては再結晶等の精製工程を行ってもよい。
コハク酸は、調味料、浴用剤、生分解性ポリエステル等
の原料等として有用な化合物である。上記の生分解性ポ
リエステルは、例えば、コハク酸と、1,4-ブタンジオー
ル等の2価アルコールとを脱水縮合させることにより容
易にかつ安価に製造することができる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもの
ではない。
【0028】〔実施例1〕攪拌機を備えた内容積 100ml
のステンレス製のオートクレーブを耐圧容器として用
い、回分式にてコハク酸を製造した。先ず、上記のオー
トクレーブに無水コハク酸 20.04g(0.20モル)と、水
5.46g(0.30モル)とを仕込み、該オートクレーブ内を
窒素ガス置換した後、密閉した。そして、オートクレー
ブをオイルバスに配した。尚、水と無水コハク酸とのモ
ル比は 1.5である。
【0029】次に、この水溶液を攪拌しながらオイルバ
スを用いて 200℃に加熱し、その温度で20分間、水和反
応を行った。その後、オートクレーブをオイルバスから
取り出し、水により急冷した。次いで、オートクレーブ
を開放し、白色固体状のコハク酸を得た。
【0030】得られたコハク酸の 1H−NMRを測定し
た結果、該コハク酸中に無水コハク酸が含まれていない
ことが確認された。つまり、水和率は 100%であった。
上記の反応条件、および結果を併せて表1に示す。
【0031】〔実施例2〕実施例1における水の仕込み
量を5.46gから10.8g(0.60モル)に増やすと共に、反
応温度を 200℃から 230℃に変更した以外は、実施例1
と同様の操作を行い、白色固体状のコハク酸を得た。
尚、水と無水コハク酸とのモル比は 3.0である。
【0032】得られたコハク酸の 1H−NMRを測定し
た結果、該コハク酸中に無水コハク酸が含まれていない
ことが確認された。つまり、水和率は 100%であった。
上記の反応条件、および結果を併せて表1に示す。
【0033】〔実施例3〕実施例1における水の仕込み
量を5.46gから4.32g(0.24モル)に減らすと共に、反
応温度を 200℃から 250℃に変更し、反応時間を20分間
から10分間に変更した以外は、実施例1と同様の操作を
行い、白色固体状のコハク酸を得た。尚、水と無水コハ
ク酸とのモル比は 1.2である。
【0034】得られたコハク酸の 1H−NMRを測定し
た結果、該コハク酸中に無水コハク酸が含まれていない
ことが確認された。つまり、水和率は 100%であった。
上記の反応条件、および結果を併せて表1に示す。
【0035】〔実施例4〕実施例1における水の仕込み
量を5.46gから4.32g(0.24モル)に減らすと共に、反
応時間を20分間から45分間に変更した以外は、実施例1
と同様の操作を行い、白色固体状のコハク酸を得た。
尚、水と無水コハク酸とのモル比は 1.2である。
【0036】得られたコハク酸の 1H−NMRを測定し
た結果、該コハク酸中に無水コハク酸が含まれていない
ことが確認された。つまり、水和率は 100%であった。
上記の反応条件、および結果を併せて表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】〔実施例5〕連続式にてコハク酸を製造し
た。つまり、無水マレイン酸を水素化して無水コハク酸
を製造し、得られた無水コハク酸を水和してコハク酸を
製造した。
【0039】先ず、無水マレイン酸の水素化に供する触
媒を調製した。即ち、塩酸酸性とした純水 300mlに、市
販の塩化パラジウム1gを溶解させた。次に、この水溶
液に、直径 3.3mm、高さ 3.6mmに成形された市販の円筒
状アルミナ 120gを加えて攪拌した後、 100℃〜 120℃
で一昼夜乾燥した。乾燥後、 400℃で2時間、空気気流
中で焼成することにより触媒を調製した。
【0040】次いで、上記の触媒を用いて無水マレイン
酸を水素化した。先ず、直径 3.1cm、長さ1mの反応管
に、上記の触媒 100mlを充填した後、該触媒を、水素を
圧力30kg/cm2で連続的に流通させながら、 200℃で1時
間、前処理した。尚、触媒の嵩密度は1.09g/mlであっ
た。
【0041】前処理後、触媒層の温度を 140℃に設定す
ると共に、反応管に水素を圧力60kg/cm2で連続的に流通
させた。そして、この反応管に、 100℃に予備加熱され
た無水マレイン酸、即ち、溶融した無水マレイン酸を液
時空間速度(LHSV) 1.5hr-1で連続的に供給した。
尚、水素と無水マレイン酸とのモル比(水素/無水マレ
イン酸)は3とした。また、水素化反応の進行に伴って
触媒層の温度は上昇したが、該触媒層の温度は、 160℃
となるように適宜調節した。
【0042】そして、反応管から無水コハク酸を含む反
応生成物を連続的に取り出した。得られた反応生成物を
分析した結果、上記の水素化反応における無水マレイン
酸の転化率は98.5%であり、無水コハク酸への選択率は
100%であった。
【0043】次に、上記の反応生成物 800gを、還流装
置を備えた充填塔を用いて回分蒸留した。該回分蒸留に
おいては、未反応の無水マレイン酸を無水コハク酸の一
部と共に留去した後、圧力60mmHg、塔底温度 187℃〜 1
89℃、塔頂温度 173℃〜 174℃、還流比1で無水コハク
酸を留出させた。そして、留出液である無水コハク酸を
140℃に加熱された受器に受けて、溶融状態で保持し
た。得られた無水コハク酸をガスクロマトグラフィー
(GC)を用いて分析した結果、該無水コハク酸中の無
水マレイン酸の濃度は、20 ppmであった。
【0044】次いで、上記の無水コハク酸を水和してコ
ハク酸を連続的に製造した。連続式反応器として、溶融
状態の無水コハク酸を定量的に送液することができるポ
ンプと、水を定量的に送液することができるポンプとを
有する送液装置を入口側に備えた内径10mm、長さ 250mm
のステンレス製の管型反応器を用いた。先ず、上記の管
型反応器に、直径約1mmのガラスビーズを15ml充填し
た。次に、管型反応器内での無水コハク酸および水の流
通方向が上向き(上昇流)となるようにして、該管型反
応器をオイルバスに垂直に配置した。また、管型反応器
の出口側には、圧力計および圧力調整弁を接続すると共
に、反応生成物を受ける受器を取り付けた。尚、無水コ
ハク酸およびコハク酸は常温で固体であるので、連続的
に反応を行うことができるように、反応装置全体を加熱
・保温して、無水コハク酸およびコハク酸の固化による
ラインの閉塞を防止した。
【0045】そして、上記の連続式反応器を用いてコハ
ク酸を製造した。即ち、オイルバスの温度を 210℃に設
定した後、連続式反応器に無水コハク酸60g/hr( 0.6mo
l/hr)と、水16.2g/hr( 0.9mol/hr)とを連続的に供給
(フィード)した。反応圧力は18kg/cm2とした。尚、水
と無水コハク酸とのモル比は 1.5である。
【0046】反応を開始してから3時間後に受器を取り
外して、白色固体状のコハク酸を得た。得られたコハク
酸を分析した結果、該コハク酸中に無水コハク酸が含ま
れていないことが確認された。つまり、水和率は 100%
であった。
【0047】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のコハク酸の製造
方法は、以上のように、無水コハク酸をコハク酸の融点
以上の温度で水和する方法である。また、本発明の請求
項2記載のコハク酸の製造方法は、以上のように、水と
無水コハク酸とのモル比(水/無水コハク酸)が1〜4
の範囲内である方法である。
【0048】それゆえ、使用する水の量を従来の製造方
法と比較して、飛躍的に減少させることができるので、
煩雑な晶析工程等が不要となる。これにより、コハク酸
の生産性を向上させることができると共に、安価に製造
することができる。即ち、コハク酸を高い生産性でかつ
安価に製造することができる製造方法を提供することが
できるという効果を奏する。
【0049】また、本発明の請求項3記載のコハク酸の
製造方法は、以上のように、無水マレイン酸を水素化し
てなる溶融状態の無水コハク酸を用いる方法である。そ
れゆえ、エネルギを節約することができると共に、無水
コハク酸の単離や溶融等の工程を省略することができ
る。これにより、コハク酸の生産性をより一層向上させ
ることができると共に、より一層安価に製造することが
できるという効果を奏する。
【0050】尚、得られるコハク酸は、精製することな
く、調味料、浴用剤、生分解性ポリエステル等の原料等
として用いることができる。そして、例えば、コハク酸
と、1,4-ブタンジオール等の2価アルコールとを脱水縮
合させることにより、生分解性ポリエステルを容易にか
つ安価に製造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無水コハク酸をコハク酸の融点以上の温度
    で水和することを特徴とするコハク酸の製造方法。
  2. 【請求項2】水と無水コハク酸とのモル比(水/無水コ
    ハク酸)が1〜4の範囲内であることを特徴とする請求
    項1記載のコハク酸の製造方法。
  3. 【請求項3】無水マレイン酸を水素化してなる溶融状態
    の無水コハク酸を用いることを特徴とする請求項1また
    は2記載のコハク酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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