JPH0989U - リニアモーター駆動の搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リニアモーター駆動の搬送用電車を利用する
搬送装置において、前記電車のホィールの磨耗に起因す
るリニアモーター本体と二次導体との間の隙間の減少を
簡単に検知できるようにすること。 【解決手段】 ガイドレール２Ａは、電車１のホィール
３ａ，４ａの転動走行面と、電車１に搭載されたリニア
モーター本体９Ａに対面する二次導体面とを兼ねるもの
で、リニアモーター本体９Ａは、前後２つのホィール３
ａ，４ａの間でガイドレール２Ａのホィール転動走行面
に対し夫々空隙を隔てて対向し、当該リニアモーター本
体９Ａの前後両端には、その前後にある前記ホィール３
ａ，４ａ、３ｂ，４ｂとの間で、各リニアモーター本体
９Ａとガイドレール２Ａのホィール転動走行面との間の
空隙が一定値以下になったときに当該ホィール転動走行
面に当接して回転する高さにリニアモーター保護用ロー
ラー２３が軸支されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、搬送用電車を使用する搬送装置であって、前記電車側にリニアモー ター本体を取り付け、走行経路側に二次導体部を配設した、リニアモーター駆動 の搬送装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

この種の搬送装置として、特開昭５２−９５４０６号や実公昭４８−２５６４ 号などに開示されているように、左右一対のガイドレールをリニアモーターの二 次導体に兼用させて、これら両ガイドレールの上側にリニアモーター本体を支持 させたものが知られている。

【０００３】 このようなリニアモーター駆動の搬送装置において重要なことは、各リニアモ ーター本体とガイドレール上面（二次導体面）との間に微小空隙を確実に保持さ せることである。従来の構成では、ガイドレール上を転動する前後２つのホィー ルの中間位置にリニアモーター本体を支持させることで、当該リニアモーター本 体とガイドレール上面（二次導体面）との間の微小空隙を保持させるように構成 していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の構成では、ガイドレールに対するリニアモーター本体の高 さを保持している各前後２つのホィールが磨耗して小径になると、リニアモータ ー本体とガイドレール上面（二次導体面）との間の空隙が狭まり、そのまま放置 して使用すると、遂にはリニアモーター本体がガイドレールに接触してしまう致 命的な事故につながることになる。

【０００５】 そこで、前記ホィールとして耐磨耗性の高い鋼鉄製ホィールを使用することが 考えられるが、リニアモーターの効率を高めるためには、二次導体部の表面（ガ イドレールの上面）は、アルミニウムなどの非磁性導電材で形成する必要があり 、鋼鉄製ホィールの使用は、アルミニウムなどから成る二次導体部の表面（ガイ ドレールの上面）を簡単に損傷させてしまうことになり、結果的には鋼鉄製ホィ ールの使用は好ましくなく、ウレタン樹脂などで周面を形成した、耐磨耗性の低 いホィールを使用しなければならない。従って、リニアモーター本体とガイドレ ール上面（二次導体面）との間の空隙が数ミリメートルというような微小空隙で あることと相まって、上記のような問題が現実に発生することになる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記のような従来の問題点を解消し得るリニアモーター駆動の搬送装 置を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参 照符号を付して示すと、左右一対のガイドレール２Ａ，２Ｂと、このガイドレー ルに夫々前後２つのホィール３ａ，４ａ、３ｂ，４ｂを介して走行可能に支持さ れた搬送用電車１とから成り、左右一対のガイドレール２Ａ，２Ｂは、夫々リニ アモーターの二次導体面を兼ねるホィール転動走行面３３を有し、搬送用電車１ は、左右一対のリニアモーター本体９Ａ，９Ｂとリニアモーター保護用ローラー ２３，２４とを備えているリニアモーター駆動の搬送装置であって、左右一対の リニアモーター本体９Ａ，９Ｂは、前後２つの前記ホィール３ａ，４ａ、３ｂ， ４ｂの間で各ガイドレールのホィール転動走行面３３に対し夫々空隙を隔てて対 向し、リニアモーター保護用ローラー２３，２４は、各リニアモーター本体９Ａ ，９Ｂの前後両端とその前後にある前記ホィール３ａ，４ａ、３ｂ，４ｂとの間 に、各リニアモーター本体９Ａ，９Ｂとガイドレールのホィール転動走行面３３ との間の空隙が一定値以下になったときに当該ホィール転動走行面３３に当接し て回転する高さに軸支されている点に特徴を有する。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下に本考案の好適実施形態を添付図に基づいて説明すると、第１図〜第４図 に於いて、１は搬送用電車であって、走行経路に沿って敷設された左右一対のガ イドレール２Ａ，２Ｂ上を転動する左右一対、前後２組の支持用ホィール３ａ， ３ｂ及び４ａ，４ｂと、一方のガイドレール２Ａ上を転動する支持用ホィール３ ａ，４ａを夫々各別に軸支するホィール軸支部材５ａ，６ａに、夫々ガイドレー ル２Ａを前後２箇所で左右両側から挟むように垂直軸で軸支された位置決め用ガ イドローラー７，８と、左右一対のリニアモーター本体９Ａ，９Ｂとを備えてい る。

【０００８】 前記ホィール軸支部材５ａ，６ａ及び、他方のガイドレール２Ｂ上を転動する 支持用ホィール３ｂ，４ｂを夫々各別に軸支するホィール軸支部材５ｂ，６ｂは 、夫々各ホィール３ａ〜４ｂの真上位置で垂直支軸１０ａ〜１１ｂにより揺動可 能に支承され、各左右一対のホィール軸支部材５ａ，５ｂ及び６ａ，６ｂは、こ れらホィール軸支部材から連設された連動アーム１２ａ，１２ｂ及び１３ａ，１ ３ｂと連動リンク１４，１５を介して各々同一方向に連動するように連動連結し ている。

【０００９】 前記リニアモーター本体９Ａ，９Ｂには、その前後両端からブラケット１６ａ ，１７ａ及び１６ｂ，１７ｂが突設され、左右同一側に位置する前後のホィール 軸支部材５ａ，６ａ及び５ｂ，６ｂから夫々連設された支持アーム１８ａ，１９ ａ及び１８ｂ，１９ｂの内端部に、前記ブラケット１６ａ，１７ａ及び１６ｂ， １７ｂを介して各リニアモーター本体９Ａ，９Ｂの前後両端が垂直支軸２０ａ， ２１ａ及び２０ｂ，２１ｂにより揺動可能に支持されている。

【００１０】 なお、ブラケット１７ａ，１７ｂにはリニアモーター本体９Ａ，９Ｂの長さ方 向に長い長孔２２ａ，２２ｂが設けられ、この長孔に前記垂直支軸２１ａ，２１ ｂが貫通している。また、リニアモーター本体両端のブラケット１６ａ，１７ａ 及び１６ｂ，１７ｂには、これらリニアモーター本体９Ａ，９Ｂとガイドレール ２Ａ，２Ｂとの間の空隙が一定値以下となったときにガイドレール２Ａ，２Ｂに 当接する、夫々左右一対のリニアモーター保護用ローラー２３，２４が軸支され ている。

【００１１】 ２５は給電レールユニットであって、両ガイドレール２Ａ，２Ｂ間に敷設され た支持レール２６の一側面に支持され、搬送用電車１における前記ホィール軸支 部材５ａ，６ａに支持されている集電ユニット２７が摺接することにより、リニ アモーター本体９Ａ，９Ｂなどに対する給電及び地上側のメインコントローラー と搬送用電車１側のサブコントローラーとの間の制御信号の授受が行われる。

【００１２】 なお、前記支持レール２６には、左右一対のガイドレール２Ａ，２Ｂ及び給電 レールユニット２５を覆う断面門形のカバープレート２８が取り付けられ、搬送 用電車１における各支持用ホィール３ａ〜４ｂなどはこのカバープレート２８の 内側を通過するように構成されている。従って第２図に示すように、前記ホィー ル軸支部材５ａ〜６ｂはカバープレート２８の両側辺下側を通って外側上方に延 出され、カバープレート２８の外側上方で搬送用電車１に垂直支軸１０ａ〜１１ ｂにより枢着される。

【００１３】 前記両ガイドレール２Ａ，２Ｂは、第５図に示すように強度部材としての角鋼 管２９の一側面に帯状鉄板３０を固着し、この帯状鉄板３０をアルミニウムなど の非磁性被覆材３１で被覆したものであり、当該非磁性被覆材３１と前記帯状鉄 板３０とでリニアモーター用二次導体部３２を構成している。従って前記非磁性 被覆材３１の表面が、リニアモーター用二次導体面を兼用するホィール転動走行 面３３となっている。

【００１４】 ガイドレール２Ａ，２Ｂは第５図に示すものに限定されない。例えば前記角鋼 管２９に代えてＨ型鋼なども利用できるし、第６図に示すようにアルミニウム製 の断面箱形ガイドレール本体３４内に、ホィール転動走行面３５に沿って帯状鉄 板３６を内装することにより、リニアモーター用二次導体部３７を構成し、前記 ホィール転動走行面３５でリニアモーター用二次導体面を兼用させることができ る。

【００１５】 以上のように構成されたリニアモーター駆動の搬送装置においては、左右一対 のガイドレール２Ａ，２Ｂにおけるホィール転動走行面（リニアモーター用二次 導体面）３３，３５に微少空隙を隔てて対向する左右一対のリニアモーター本体 ９Ａ，９Ｂに通電して励磁させることにより、これらリニアモーター本体９Ａ， ９Ｂとガイドレール２Ａ，２Ｂの二次導体部３２，３７との間の磁気作用で周知 の如く搬送用電車１に所定の方向の推力を生じさせ、搬送用電車１をして両ガイ ドレール２Ａ，２Ｂに沿って自走させることができる。

【００１６】 第４図に示すように搬送用電車１が水平カーブ経路部を走行する場合、片側の ガイドレール２Ａ上を転動する支持用ホィール３ａ，４ａは、位置決め用ガイド ローラー７，８によってホィール軸支部材５ａ，６ａがガイドレール１Ａの曲が りに従って垂直支軸１０ａ，１１ａの周りで揺動するので、自動的にガイドレー ル２Ａの曲がり方向に操向される。そしてこのホィール軸支部材５ａ，６ａの操 向運動が連動アーム１２ａ〜１３ｂと連動リンク１４，１５を介して反対側のホ ィール軸支部材５ｂ，６ｂに伝達され、当該ホィール軸支部材５ｂ，６ｂも垂直 支軸１０ｂ，１１ｂの周りで同一方向に揺動するので、当該ホィール軸支部材５ ｂ，６ｂに軸支されている支持用ホィール３ｂ，４ｂもガイドレール２Ｂの曲が り方向に自動的に操向される。従って搬送用電車１は、円滑に水平カーブ経路部 を走行することができる。

【００１７】 一方、前記のように搬送用電車１が水平カーブ経路部を走行するとき、第４図 に示すように、ガイドレール２Ａ，２Ｂの曲がり方向に自動的に操向運動を行う ホィール軸支部材５ａ，６ａ及び５ｂ，６ｂの運動が支持アーム１８ａ〜１９ｂ と垂直支軸２０ａ〜２１ｂを介して各リニアモーター本体９Ａ，９Ｂに伝達され 、両リニアモーター本体９Ａ，９Ｂがガイドレール２Ａ，２Ｂの脹らみ方向（曲 がりの中心から遠ざかる方向）へ自動的に横動せしめられ、ガイドレール２Ａ， ２Ｂの真上位置から各リニアモーター本体９Ａ，９Ｂが外れるのを防止する。従 って水平カーブ経路部においても両リニアモーターの効率を低下させることなく 、搬送用電車１をして確実に推進させることができる。

【００１８】 なお、上記実施形態における支持用ホィール３ａ〜４ｂの自動操向機構や、リ ニアモーター本体９Ａ，９Ｂを前記ホィール３ａ〜４ｂの操向運動に連動させて 自動的に横動させる機構は、本考案に必須のものではなく、必要に応じて実施形 態の如く組み込むことができる。

【００１９】 また、第７図に示すように、前記給電レールユニット２５を一方のガイドレー ル２Ａの側面に取り付けることもできる。この場合、カバープレート２８を支持 するＴ形支持部材３８を適当間隔おきに両ガイドレール２Ａ，２Ｂ間に立設すれ ば良い。勿論、前記カバープレート２８も本考案に必須のものではなく、不要で あるならば省くことができる。なお、この第７図に示すガイドレール２Ａ，２Ｂ は、アルミニウム製の断面溝形ガイドレール本体３９内に、ホィール転動走行面 ４０に沿って帯状鉄板４１を内装することにより、リニアモーター用二次導体部 ４２を構成し、前記ホィール転動走行面４０でリニアモーター用二次導体面を兼 用させたものである。

【００２０】

【考案の作用及び効果】

以上のように本考案のリニアモーター駆動の搬送装置によれば、左右一対の各 リニアモーター本体の前後両側にある搬送用電車のホィールによって各リニアモ ーター本体とその下側のガイドレールのホィール転動走行面（二次導体面）との 間の空隙が所定値に保持されており、前記ホィールが磨耗するに従ってリニアモ ーター本体がガイドレールに対し下降し、両者間の前記空隙が狭まってゆくが、 当該空隙が一定値以下になると、リニアモーター本体の前後にあるリニアモータ ー保護用ローラーがガイドレール上面に当接して回転し始める。

【００２１】 即ち、搬送用電車のホィールの磨耗によってリニアモーター本体とその下側の ガイドレールのホィール転動走行面（二次導体面）との間の空隙が一定値以下に 狭まったことを、リニアモーター本体前後の保護用ローラーの回転により容易に 検知することができるのである。

【００２２】 従って、保護用ローラーが回転し始めたときに搬送用電車のホィールを所定径 の新品と交換するかまたは、リニアモーター本体の支持高さを上方へ調整するな どの手段を講じて、リニアモーター本体とその下側のガイドレールのホィール転 動走行面（二次導体面）との間の空隙を初期値に戻すことにより、リニアモータ ー本体がガイドレールに接触して損傷するという致命的な事故を未然に回避する ことができる。

【００２３】 換言すれば、本考案の構成によれば、搬送用電車のホィールの磨耗によってリ ニアモーター本体とその下側のガイドレールのホィール転動走行面（二次導体面 ）との間の空隙が一定値以下に狭まったことを、極めて簡単容易に検知すること ができ、この検知に基づいて必要な対策を速やかに講ずることができるのである から、実施形態のようにガイドレールのホィール転動走行面（二次導体面）をア ルミニウムなどの非磁性導電材で形成してリニアモーターの効率を高めるととも に、搬送用電車のホィールとして、耐磨耗性は低いが前記非磁性導電材から成る ガイドレールのホィール転動走行面（二次導体面）を損傷させる恐れの少ない、 周面が合成樹脂製のホィールを使用することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦断側面図、第２図は縦断正面図、第３図は横
断平面図、第４図は水平カーブ経路部での走行状態を示
す横断平面図、第５図及び第６図はガイドレールの構造
を示す縦断斜視図、第７図は別の実施例を示す縦断正面
図である。 １ 搬送用電車 ２Ａ，２Ｂ ガイドレール ３ａ〜４ｂ 支持用ホィール ５ａ〜６ｂ ホィール軸支部材 ７，８ 位置決め用ガイドローラー ９Ａ，９Ｂ リニアモーター本体 １０ａ〜１１ｂ 垂直支軸 １２ａ〜１３ｂ 連動アーム １４，１５ 連動リンク ２３，２４ リニアモーター保護用ローラー ３２，３７，４２ リニアモーターの二次導体部 ３３，３５，４０ ホィール転動走行面（二次導体面）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右一対のガイドレール(2A,2B) と、この
   ガイドレールに夫々前後２つのホィール(3a,4a、3b,4b)
   を介して走行可能に支持された搬送用電車(1) とから成
   り、左右一対のガイドレール(2A,2B) は、夫々リニアモ
   ーターの二次導体面を兼ねるホィール転動走行面(33)を
   有し、搬送用電車(1) は、左右一対のリニアモーター本
   体(9A,9B) とリニアモーター保護用ローラー(23,24) と
   を備えているリニアモーター駆動の搬送装置であって、 左右一対のリニアモーター本体(9A,9B) は、前後２つの
   前記ホィール(3a,4a、3b,4b)の間で各ガイドレールのホ
   ィール転動走行面(33)に対し夫々空隙を隔てて対向し、 リニアモーター保護用ローラー(23,24) は、各リニアモ
   ーター本体(9A,9B) の前後両端とその前後にある前記ホ
   ィール(3a,4a、3b,4b)との間に、各リニアモーター本体
   (9A,9B) とガイドレールのホィール転動走行面(33)との
   間の空隙が一定値以下になったときに当該ホィール転動
   走行面(33)に当接して回転する高さに軸支されているリ
   ニアモーター駆動の搬送装置。