JPH0978414A - ループホルダーを有する横編機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 針の上下動によりその都度しごかれ、糸の表
面に傷を付け、あげくは糸切れの原因ともなることを防
止すること、及び、また、上記編成において既編成の編
地を退避させるとループホルダーの回動ストロークを大
きくなり、それに伴う操針カムの大型化の招來を阻止す
る。 【解決手段】 ニードルベッド１には、その頂部に位置
しニードルプレート４間に、可動シンカー１５とループ
ホルダー１６とを挿入し、ループホルダー１６は、ルー
プ係止腕の先端に編地引込溝を設けてなり、先に編まれ
た編地の最終コースのシンカーループを該溝により把握
出来るよう揺動自在にニードルプレート４に支持され、
キャリッジにはループホルダー１６揺動手段としてのル
ープホルダー進退動制御カム及びシンカーループがルー
プホルダー１６の編地引込み溝で把握されるようにニー
ドルを引き下げる後退カムを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、編地を編成した一
つの針で該編地とは別途に新たな編地を前記既編成の編
地に重ねて編成する際に、既編成の編地を新編成編地の
編成の障害にならない位置に保持するためのループホル
ダーに関する。

【０００２】

【従来の技術】既編成の編地に隣接して新たに編地を編
成する場合、既編成編地の端部に位置する数ウエールの
ループの上に新編地の端部に位置する同数ウエールのル
ープを重ねることによって、新旧両編地の端部に隙間の
生ずるのを防止することが行われている。

【０００３】例えば、図７に示す如く、手袋の編成は、
横編機を使用して前後のニードルベッドにより行なわれ
る。即ち小指袋１０１を編成する前後のニードル群１０
２Ｆ，１０２Ｂにより指袋頭部から編成を開始し、小指
袋１０１の編成が終了し、次に薬指袋１０３の編成を薬
指袋１０３を編成する前後のニードル群１０４Ｆ，１０
４Ｂで開始するとき、既編成の小指袋１０１を編成した
前後のニードル群１０２Ｆ，１０２Ｂニードルの内、薬
指側端部（図示の例では２本）のニードルＦＮ１，ＦＮ
２，ＢＮ１，ＢＮ２が薬指袋１０３を編成するニードル
群１０４Ｆ，１０４Ｂの小指側端部に位置するようにし
て薬指袋１０３を編成するようにしている。この編成に
よって小指袋１０１と薬指袋１０３の、前側端部の２ウ
エール１０５Ｆは同一のニードルＦＮ１，ＦＮ２で、後
側端部の２ウエール１０５Ｂは同一のニードルＢＮ１，
ＢＮ２でそれぞれ編成されることになる。

【０００４】上記の薬指袋１０３を編成するとき、小指
袋１０１の薬指側前部ウエール１０５ＦのループＬＬ１
Ｆ，ＬＬ２Ｆは端部ニードルＦＮ１，ＦＮ２に、薬指側
後部ウエール１０５ＢのループＬＬ１Ｂ，ＬＬ２Ｂは端
部ニードルＢＮ１，ＢＮ２にそれぞれ係止した状態のま
までいる。従って、薬指袋１０３を編成するときに編成
の障害にならないように、小指袋１０１の端部ウエール
１０５Ｆ，１０５ＢのニードルループＬＬ１Ｆ，ＬＬ２
Ｆ，ＬＬ１Ｂ，ＬＬ２Ｂを引き下げて退避させておかな
ければならない。そのための手段として、図８に示す円
盤１１５を支持軸１１６により支持し、かつ、円盤１１
５に編地引き下げ溝部１１７と、編地押え嘴部１１８と
を設け昇降扞１１９により旋回動可能としたシンカー１
２０が考えられた（特公昭３６−１２２３２号）。

【０００５】このシンカー１２０は、前記手袋指部の編
成の場合、例えば小指の編成時には、小指の編地１２３
を編地押え嘴部１１８とそれに対位する編地滑落周面１
２１との間に保持しニードル１２２の昇降により該位置
で編成を行なうが、次の薬指の編成時には昇降扞１１９
を図示しない昇降手段により昇降し小指の編地ループ１
２３をニードル１２２に保持したまま編地押え嘴部１１
８より脱出し編地引き込み溝部１１７に移し、該小指の
編地１２３をニードル１２２のスロート部分付近に係止
したまま、新規に薬指の編成を編地押え嘴部１１８と編
地滑落周面１２１との間で開始する。この手段では、シ
ンカー１２０は１つの円盤１１５に新旧両編地のループ
を保持することになり、シンカーとしての編成されたル
ープを保持してそれを押し下げ編地を垂下させるという
動作、特定のウエールで新旧編地のループが重なったと
き、旧ループを後退して新ループの編成の障害とならな
い位置に保持する動作の双方の動作を同時に満足する動
きをさせることは困難であり、また、装置が複雑とな
る。

【０００６】更に、図７に示す薬指袋１０３を編成する
端部ニードルＦＮ１，ＦＮ２，ＢＮ１，ＢＮ２が昇降す
る間、前記シンカー１２０で編地押え嘴部１１８と編地
引き込み溝１１７とが１つの円盤１１５に設けられてい
るため、シンカー１２０を回動させながら行われる薬指
袋の編成の間編地引き込み溝１１７で保持される小指袋
１０１のの編地のシンカーループが、前記ニードルの昇
降と同回数編地引き込み溝１１７により扱かれることに
なり、糸の表面に傷が生じ、更には糸切れの発生を見る
ことがあった。前記回転するシンカーに対し、頭部を対
向して設けたフロント側及びバック側のニードルベッド
よりなる手袋編機の歯口部に、それと平行して摺動自在
に設けた抑糸扞の側縁に抑糸溝を設け、先に編成した指
袋の次に編成する指袋に近い端部の数ウエールのループ
を係止させた状態で次の指袋を編成することが行われて
いる（特公昭６１−３２４０号）が、抑糸扞は編機の編
幅方向に長く延びているため、この編機にあっては編機
機台幅を大きくしなければならない。従って、手袋編機
の如く比較的に幅の短い装置であれば良いが、一般の横
編機の如き装置であると機台幅の関係で採用が難しい。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、一つの針で
編成された既編成の編地に新編成の編地を重ねて編成す
る際に、退避状態にある既編成編地のシンカーループが
新編地の編成の際に、シンカーとループホルダーとが一
体に構成されているため、シンカーを回転させながら行
なわれる新編地の編成の間、旧編地を保持しているルー
プホルダーの上下動によりその都度しごかれ、糸の表面
に傷を付け、あげくは糸切れの原因ともなることを防止
すること、及び、上記編成において既編成の編地を退避
させるときその退避量を大きくするためループホルダー
の回動ストロークを大きくしなければならなず、これに
より操針カムの大型化を招來したが、それを阻止するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】ニードルベッドには、そ
の頂部に位置しニードルプレート間に、可動シンカーと
ループホルダーとを挿入し、ループホルダーは、ループ
係止腕の先端に編地引込溝を設けてなり、先に編まれた
編地の最終コースのシンカーループを該溝により把握出
来るよう揺動自在にニードルプレートに支持され、キャ
リッジにはループホルダー揺動手段としてのループホル
ダー進退動制御カム及びシンカーループがループホルダ
ーの編地引込み溝で把握されるようにニードルを引き下
げる後退カムを設けた。そして、ニードルベッドの所要
のニードルプレート間にのみ可動シンカーとループホル
ダーとを隣接して挿入し、その他のニードルプレート間
にはスペーサーを挿入した。

【０００９】ループホルダーはその結合部材にループホ
ルダージャックを連繋し、ループホルダージャックをル
ープホルダー操作用カムにより移行させる。そして、ル
ープホルダージャックに水平脚を設け、該脚の一端に設
けた凸部を、ニードルプレートに設けた凹陥部よりなる
停止位置規制手段に係合させている。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を手袋編機の
例について説明する。手袋編機は、山形に頭部を対向し
て設けた２枚のニードルベッド１を有している。図１乃
至図３は頭部を山形に対向して設けたニードルベッド１
の一方側のみを示す断面図である。同図において２はニ
ードルベッド基板で、その上面に切削した平行する複数
にニードルプレート溝３にニードルプレート４を挿入
し、ニードルベッド基板２に設けた切欠５とニードルプ
レート４に設けた切欠６とを突き合わせにし、その間に
ニードルベッド基板２の長手方向（編幅方向）に通した
ワイヤー７を挿通すること及び尾部をかしめることによ
って、ニードルベツト基板２とニードルプレート４とを
一体に固定している。これにより隣接するニードルプレ
ート４，４間は針溝８となりニードルベッド基板２の上
面は針溝８の底面９となり、該底面９上にニードル１
０、ニードルジャック１１が載置される。１２は、ニー
ドルジャック脱出防止用のワイヤーである。

【００１１】ニードルプレート４の頭部にはニードルベ
ッド上方に突出した突出部１３を設け、突出部１３はニ
ードルプレート４の他の部分よりは肉厚を薄くし、該部
にシンカー１５と、ループホルダー１６及びそれに連繋
したループホルダージャック１７とを重ねて挿入し、突
出部１３に設けた小孔１８，１９に挿通したワイヤー２
０，２１のそれぞれによって、ループホルダー１６，ル
ープホルダージャック１７が支持される。ループホルダ
ー１６，ループホルダージャック１７の詳細は後述す
る。突出部１３の肉薄の部分の下位には、下部が円弧状
をなしたシンカー支持穴２２及び下縁部分が２つの連続
した凹陥部２３，２４となったループホルダージャック
停止位置規制手段２５を設けている。

【００１２】シンカー１５は薄板体よりなり、円弧状周
縁を有する支点３０を中心に同心円上に延在する尾部３
１基部３２及び基部３２より外方にＬ字状に突出するシ
ンカーループ係止腕３３を有し、シンカーループ係止腕
３３の先端にはシンカーループ係止フック３４を形成し
ている。また、基部３２の外縁にはシンカーループバッ
ト３５を突出させている。尾部３１は側方に若干屈折
し、ニードルプレート４に圧接し、シンカー１５の妄動
を防いでいる。

【００１３】ループホルダー１６は、支持孔４０を有す
る基部から延びた揺動腕４１及び側面形状がＬ字状に屈
曲した旧ループ係止腕４２よりなる薄板体で、揺動腕４
１の先端は円弧状周縁を有する係合部材４３を形成して
いる。旧ループ係止腕４２の先端は、先端が屈曲したナ
イフの先端様の突出部４４とし、そのナイフの刃に相当
する外縁を編地保持縁４５とし、同縁４５は、編地引き
込み溝４６に続いている。ループホルダージャック１７
は、ループホルダー１６の揺動腕４１先端の掛合部材４
３に、コ字状鈎部４７を係合させループホルダー１６と
一体にした薄板体で、基板４８の下方に水平脚４９を有
し、その先端に前記コ字状鈎部４７を、反対端に下方に
向く突部５０をそれぞれ設けている。基板４８には、ル
ープホルダージャック案内用の長孔５１を穿設し、上部
にはループホルダージャックバット５２を突出させてい
る。

【００１４】前記ループホルダー１６とループホルダー
ジャック１７とは連結した状態でシンカー１５と積層し
てニードルプレート４，４間に挿入される。シンカー１
５はその支点３０をニードルプレート４のシンカー支持
孔２２に嵌合し、シンカー支持孔２２を中心にして揺動
可能としている。上記シンカー１５，ループホルダー１
６，ループホルダージャック１７の積層体をニードルプ
レート４，４間に挿入したとき隙間が生じるのでその間
に図４のＥに示す如き第１のシンカースペーサ５５を挿
入する。第１のシンカースペーサー５５は２つの小孔５
６，５７を有し、これはニードルプレート４の小孔１
８，１９と同一間隔を有している。

【００１５】ループホルダー１６はその係合部材４３を
ループホルダージャック１７のコ字状鈎部４７と係合さ
せた状態でニードルプレート４，４間に第１のシンカー
スペーサー５５と共に挿入され、ニードルプレート４の
突出部１３に設けられた小孔１８と、ループホルダー１
６の支持孔４０と第１のシンカースペーサー５５の小孔
５６とを合わせ、ワイヤー２０を該穴５６，４０，１８
に刺し通すことによりループホルダー１６はニードルプ
レート４，４間に揺動自在に支持されることになる。ル
ープホルダージャック１７もその基板４８に設けられた
長孔５１とニードルプレート４の突出部１３に設けられ
た小孔１９と第１のシンカースペサー５５の小孔５７と
を合わせ、ワイヤー２１を該穴５７，５１，１９に刺し
通すことによりニードルプレート４，４間にループホル
ダージャック１７は摺動自在支持される。このとき、ル
ープホルダージャック１７の水平脚４９の下向きの突部
５０は、ニードルプレート４のループホルダージャック
停止位置規制手段２５の凹陥部２３，２４のいずれかと
合致し妄動を防止されている。

【００１６】上記ループホルダー１６は、既編成編地の
最終コースのループを編成したニードルに該ループを掛
けたまま退避させ、その上に新ループを重ねて編成する
ような、本実施例の手袋編機では、隣接する指袋を編成
する部分の若干数のニードルと同位置に設けられる。上
記の如き編成を行なはない部分ではループホルダー１
６，ループホルダージャック１７は必要ないので、それ
を取り付けずその部分に図４のＦに示す如き第２のシン
カースペーサ５８を、ニードルプレート４とシンカー１
５との間に挿入する。第２のシンカースペーサ５８は第
１のシンカースペーサ５５と頭部を除いて同一の形状を
なし、小孔５９，６０を有し、頭部に垂下片６１を有し
ている。そして第２のシンカースペーサ５８は、ループ
ホルダー１６の厚味に相当する分だけ、第１のシンカー
スペーサー５５に比して厚味が大となっている。

【００１７】前記したニードルジャック１１，シンカー
１５，ループホルダージャック１７を摺動させる手段と
して、図６に示す如くキャリッジにカム群７０を設け
る。カム群７０は、ニードル昇降用カム７１と、シンカ
ー操作用カム７２と、ループホルダー操作用カム７３と
よりなる。このカム群は、袋状に編成される指袋，掌甲
部，手首部等の一側面を編成するためのもので、図６に
示す例ではキャリッジが右から左に移動するときに編成
が行なわれる。

【００１８】ニードル操作用カム７１は中央にレイジン
グカム７４を配し、その上昇カム面及び頂部を囲って固
定されたガイドカム７５を、下降面に対向してニッティ
ングカム７６を、前記下降面と平行して昇降可能にそれ
ぞれ設ける。ニッテイングカム７６は図６に実線で示す
通常編成時のニードル引き下げ位置よりも更にニードル
を後退させるニードル後退用カムの作用をもする。シン
カー操作用カム７２は、前記ニードル操作用カム７１の
上位に、キャリッジの進行方向と同方向に延びるシンカ
ーバット案内溝７７がカムブロック７８に設けられてな
り、該溝７７は、その両端においてラッパ状に開らき、
中間部分では、レイジングカム７４の頂部と対向する位
置、及びその両側に位置して、該溝に係合しているシン
カーバット３５をニードルベッド１の頭部より引き込む
方向に屈曲したカム部分７９，８０，８１を設けてい
る。

【００１９】ループホルダー操作用カム７３は、ニード
ル操作用カム７１とシンカー操作用カム７２との間に位
置してキャリッジの進行方向と同方向に延びるループホ
ルダージャックバット案内溝８２がカムブロック７８に
設けられている。そして案内溝８２の入側と出側に、ル
ープホルダーを進出位置に案内するループホルダー上げ
カム８３と、ループホルダーを後退位置に案内するカム
８４とを設ける。前記カム８３は頂部が山形をなした摺
動片が前記案内溝８２と交差する方向に出没出来るよう
に配し、前記カム８４は案内溝８２の溝壁８５を突出さ
せてなるものである。

【００２０】次に、手袋の指又部分を編成する例につき
説明する。手袋の指袋は、側端部の隣接する指袋の端部
ウエールを編成したニードルと共通のニードルにより端
部ウエールの編目が編成される。従って、先行する例え
ば小指袋の編成が終了し次の薬指袋の編成に移るとき、
小指袋の薬指側端部ウエールを編成したニードルに、同
ニードルにより編成された小指袋の端部ウエールのニー
ドルループを係止した状態で、かつ、該ループをループ
ホルダー１６の編地引込溝４６に係止した状態で隣接す
る薬指袋の編成を行う。

【００２１】上記の指袋の編成の順序を図１乃至図３及
び図６により説明する。小指袋の編成は、小指袋幅相当
のウエール数を同数のニードルで編成するが、小指袋は
手袋の編成において最初に編成されるので、小指袋を編
成する以前に編成されている指袋はない。小指袋を編成
する状態を示す図１において、ニードル１０に係止され
ている編地は小指袋の編地ＬＦだけで、該編地ＬＦのシ
ンカーループＳＬはシンカー１５のシンカーループ係止
フック３４に係止され、隣接するシンカー１５間に延
び、ニードル１０のフックに係止されたニードルループ
ＯＬとなり、ニードルループＯＬはループホルダー１６
の外縁５３に接している（図１のＩ）。このときシンカ
ーバット３５，ループホルダージャックバット５２，ニ
ードルジャックバット１４はそれぞれ図６にＡで示す位
置にある。

【００２２】キャリッジの進行につれ、ニードルジャッ
クバット１４はレイジングカム７４と接しニードル１０
を上昇し、ニードル１０のフックに編糸の給糸を受ける
（図１のII）。このときシンカー操作用カム７２のシン
カーバット案内溝７７内を実線で示す軌跡を進行したシ
ンカーバット３５は、シンカー操作用カム７２の屈曲部
８０により若干先端を上昇し、編糸を引き込み易くして
いる。この間ループホルダー上げカム８３は鎖線位置に
下がっているのでループホルダーバット５２は図６に実
線で示す如く進行しループホルダー１６は先端を下げル
ープホルダー外縁５３を最も突出させたままの位置を保
っている。次いで、ニードルジャックバット１４は、度
山７６により引き下げられ（図１のIII ）、ニードル１
０のフックは給糸された編糸Ｙをシンカー１５間に引き
込み、ニードルループＯＬとし、これを所定コース繰り
返して小指袋の編成を終る。

【００２３】小指袋の編成が終了し次に薬指袋の編成に
移るとき、薬指袋の編成に差し支えないように小指袋の
編地ＬＦ最終コースのシンカーループＯＳをループホル
ダー１６により把握固定する。その手段は次の如くキャ
リッジの移行により行われる。この移行時には編糸の給
糸は行なわない。小指袋の編地ＬＦの最終コースのニー
ドルループＯＬは当初ニードル１０のフックに係止さ
れ、シンカーループＯＳはシンカー１５のシンカールー
プ係止フック３４とループホルダー１６の外縁５３に接
した状態でいる（図２のＡ）。このときニードルジャッ
クバット１４，ループホルダージャックバット５２，シ
ンカーバット３５は図６のＡの位置にあり、ここではシ
ンカー１５，ループホルダー１６共にその先端を最も下
降させている。

【００２４】図６におけるキャリッジの矢印方向への進
行により、前記バット１４，５２が点線で、バット３５
が実線でそれぞれ示す軌跡のように移行し図６のＢ位置
に達すると、ループホルダー上げカム８３は実線で示す
位置にあるため、ループホルダージャックバット５２は
該カム８３と当接し、該カム８３を上昇し図２のＢに示
す針溝８内を右行させられ、ループホルダージャック１
７を介して結合部材４３で一体となっているループホル
ダー１６をワイヤー２０を中心にして反時計針方向に旋
回動する。

【００２５】また、シンカーバット３５もシンカーバッ
ト案内溝７７の屈曲部７９によってニードルベッド１の
頭部より引き下げられる方向に移動され、シンカー１５
も図２においてループホルダー１６同様に反時計方向に
旋回する。上記の旋回によりシンカーループＯＳはシン
カー１５のシンカーループ係止フック３４から離れ、ル
ープホルダー１６の編地保持縁４５にのみ接することに
なる（図２のＢ）。この状態で図示しない選針手段によ
り選針された、端部ウエールの針のニードルジャックバ
ット１４は図６に点線で示す軌跡を通りニードルレイジ
ングカム７４をジャンプする。更なるキャリッジの進行
につれ、ループホルダージャック１７のバット５２はカ
ム８４により、引き下げられるのでループホルダージャ
ック１７と結合しているループホルダー１６はワイヤー
２０を中心に時計針方向（図２で）に旋回し、編地保持
縁４５に接していたシンカールプＯＳ及びそれに続くル
ープを編地引込溝４６内に案内する。（図２のＣ）。上
記シンカーループＯＳを含むループの編地引込溝４６内
への案内時、ニードル１０はニードルジャックバット１
４が、図６に示す如く点線位置に下がったニードル後退
用カムでもあるニッティングカム７６により引き下げら
れるので、ニードル１０のフックは、それに係止してい
るニードルループＯＬを引き込む作用をし、該ニードル
ループＯＬに続くシンカーループＯＳはループホルダー
１６の編地保持縁４５に密接して摺動し、編地引込溝４
６に正確に導入される。上記のようにして、ループホル
ダー１６の編地引込溝４６により編地を確保した上で、
次の、隣接する薬指の指袋の編成を行うが、図３には薬
指袋を数コース編成した状態を示している。

【００２６】薬指袋を編成するためのキャリッジの進行
によりニードルジャックバット１４は、レイジングカム
７４に当接する。（図６の１）。このときニードル１０
はまだ上昇していないが、小指袋の編地ＬＦのニードル
ループＯＬは、ニードル１０のリベット部分付近でラッ
チの上に掛りフックには薬指の編地ＲＦのニードルルー
プＮＬが掛っている。そして薬指袋の編地ＲＦのシンカ
ーループＮＳはシンカー１５のシンカーループ係止フッ
ク３４に係止している。この状態でキャリッジが進行す
るとニードルジャックバット１４は図６に実線で示す軌
跡で移行し選針されレイジングカム７４を上昇し、その
頂部において最もニードル１０を突出させ、新旧２つの
ニードルループＯＬ，ＮＬをニードル１０のスロートに
係止する（図６の２，図３の２）。同時に、シンカー操
作用カム７２の屈曲部８０によりシンカーバット３５は
揺動されシンカー１５は反時計針方向（図３で）に旋回
しシンカーループ係止フック３４をシンカーループＮＳ
より離し、フック３４によるシンカーループＮＳの押さ
え込みを解く。

【００２７】そして、ニードル１０は、フックに編糸Ｙ
を給糸されキャリッジの進行につれ、ガイドカム７５，
ニッティングカム７６で引き下げられ、ニードル１０の
スロート部に係止していたニードルループＮＬはその中
に給糸された編糸Ｙを引き込まれるが小指袋のニードル
ループＯＬはリベット位置よりフックに近い位置で反転
したラッチの上に乗る状態でノックオーバーはしないで
いる。そして、小指側の編地ＬＦはループホルダ１６の
編地引込溝４６に、薬指側の編地ＲＦはシンカー１５の
シンカーループ係止フック３４に係止された状態でそれ
ぞれ位置は不動に確保されている（図３の３）。

【００２８】以上の如くして、小指に続き薬指，中指，
人指し指を編み終えると、次に４本胴の編成となる。図
３に示すように各指袋の隣接するウエールでは、１本の
ニードルに隣接する指袋の端部ウエールの２つのニード
ルループが掛けられているが、該２つのニードルループ
に４本胴の最初のコースを構成する編糸の１つのニード
ルループが通される。図３の３に示す状態で人指し指の
編成を終了し、次に４本胴の編成に移るとき、図６に示
すループホルダー上げカム８３を実線位置に上げ、キャ
リッジを走行させることによってループホルダー１６を
図３でピン２０を中心に左に旋回動することにより、ニ
ードル１０に係止している小指袋の編地ＬＦを編地引込
溝４６から脱出させると共に、ループホルダー１６の編
地保持縁４５によりニードル頭部方向に押し出す。この
ときシンカー１５はシンカーバット３５が、シンカー操
作用カム７２の突出部７９により図３で左方に押され先
端のシンカーループ係止フック３４を上挙しているの
で、上記ループホルダー１６による編地の押し出し作用
の障害とはならない。

【００２９】上記押し出しによりニードル１０のスロー
トに掛かっていた小指袋の編地ＬＦのニードルループＯ
Ｌは、ラッチを返えしてフックを乗り越え、薬指袋の編
地ＲＦのニードルループＮＬを、該小指袋の編地ＬＦの
ニードルループＯＬの中を通す状態とし、上記ニードル
ループＯＬは薬指袋の編地ＲＦのシンカーループＮＳに
係止する。ここでニードル１０のフックに掛かっている
ニードルループは薬指袋の編地ＲＦのニードルループＮ
Ｌのみとなる。前記シンカーループＮＳはシンカー１５
のシンカーループ係止フック３４に係止され、引き続く
キャリッジの移行によりニードルジャックバット１４
は、通常の編成時と同じにレイジングカム７４を上昇
し、上昇したニードルフックに編糸の給糸を受け、ニッ
ティングカム７６により下降したニードル１０は前記の
ニードルループＮＬ内に新編糸を通し４本胴の最初のコ
ースの編成となる。

【００３０】また、前記編成とは異なり、４本胴の最初
のコースのニードルループを、小指袋の編地ＬＦのニー
ドルループＯＬと薬指袋の編地ＲＦのニードルループＮ
Ｌとの２つのニードルループに通す編成手段もあるが、
編地の仕上りとしては先に詳述した編成手段の方が綺麗
な編地にに編成出来る。

【００３１】

【発明の効果】本発明は、既編成の編地の上に新編成の
編地を重ねて編成するときに、シンカーとループホルダ
ーとが一体の部材で構成されている装置において編地編
成の際にシンカーが上下動し、それにより編地に影響を
与えるという事態は生じない。また、既編成編地のニー
ドルループをニードルのシャンクに係止したままループ
ホルダーで退避位置に不動状態で確保するため、新に編
成のする編地の編成のためのニードルの上下動により旧
編成が損傷を受けることはない。

【００３２】手袋編機において歯口方向に延びる抑止杆
を設けた場合、抑止杆の左右動を保つため編機の幅を大
きくしなければならないが、本発明は、所要の部位のニ
ードルプレート間にのみループホルダーを設けることに
より、機台幅を増加させないですむから、平編機などの
大型の、幅を有する編機に用いて有効である。

【００３３】本発明は上記の如き構成を有するため、手
袋編機において手袋の指股部に穴の生じないように、隣
接する指袋を編成するときの他、横編機で袖，身頃等の
各パーツを筒状に一体整形する編成、所謂ホールガーメ
ントの場合、それらの各パーツの連結部となる例えば脇
の脇編み合わせの編成などに用いて、該部の補強に有効
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の編地を編成する過程を示すニードルベッ
ドの縦断側面図である。

【図２】第１の編地に第２の編地を重ねて編成する前工
程として、第１の編地を編地引込溝に導入する過程を示
すニードルベッドの縦断側面図である。

【図３】第１の編地に第２の編地を重ねて編成する過程
を示すニードルベッドの縦断側面図である。

【図４】Ａはニードルプレートの、Ｂはニードルの、Ｃ
はループホルダーの、Ｄはレンカーの、Ｅは第１のレン
カースペーサの、Ｆは第２のレンカースペーサーのそれ
ぞれ側面図である。

【図５】Ａはループホルダーを有するニードルベッドの
平面図、Ｂは同正面図、Ｃはループホルダーを有しない
ニードルベッドの平面図、Ｂは同正面図である。

【図６】キャリッジのカム配置図である。

【図７】手袋の指袋の隣接する部分の組織図である。

【図８】従来のシンカーを示す側面図である。

【符号の説明】

１ ニードルベッド ４ ニードルプレート １５ シンカー １６ ループホルダー １７ ループホルダージャック ２３，２４ 凹陥部 ２５ 停止位置規制手段 ３４ シンカーループ係止フック ４２ シンカーループ係止腕 ４５ 編地保持縁 ４６ 編地引込溝 ４９ 水平脚 ５０ 突部 ５３ ループホルダー外縁 ５５，５８ スペーサー ７２ シンカー操作用カム ７３ ループホルダー操作用カム ７６ ニードル操作用カム

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ニードルベッドには、その頂部に位置し
   ニードルプレート間に、可動シンカーとループホルダー
   とを挿入し、可動シンカーはシンカーループ係止フック
   を先端部に設けたシンカーループ係止腕の前縁を前記ル
   ープホルダー外縁より突出して揺動可能に支持し、ルー
   プホルダーは、ループ係止腕の先端に編地引込溝を設け
   編地引き込み溝の内縁を長く下方に突出した編地保持縁
   としてなり、先に編まれた編地の最終コースのシンカー
   ループを該溝により把握出来るよう揺動自在にニードル
   プレートに支持され、キャリッジにはループホルダー揺
   動手段としてのループホルダー操作用カム，シンカー揺
   動手段としてのシンカー操作用カム及びシンカーループ
   がループホルダーの編地引込み溝で把握されるよう、通
   常編成時より更にニードルを引き下げるニードル後退用
   カムを設けてなる、ループホルダーを有する横編機。
2. 【請求項２】 ニードルベッドの所要のニードルプレー
   ト間にのみ可動シンカーとループホルダーとを隣接して
   挿入し、その他のニードルプレート間にはスペーサーを
   挿入してなる請求項１記載のループホルダーを有する横
   編機。
3. 【請求項３】 ループホルダーの結合部材にループホル
   ダージャックを連繋し、ループホルダージャックをルー
   プホルダー操作用カムにより移行させることを特徴とす
   る請求項１記載のループホルダーを有する横編機。
4. 【請求項４】 ループホルダージャックに水平脚を設
   け、該脚の一端に設けた凸部を、ニードルプレートに設
   けた凹陥部よりなる停止位置規制手段に係合させてなる
   請求項１記載のループホルダーを有する横編機。