JPH0978354A - 導電性アクリル繊維 - Google Patents

導電性アクリル繊維

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JPH0978354A
JPH0978354A JP22927995A JP22927995A JPH0978354A JP H0978354 A JPH0978354 A JP H0978354A JP 22927995 A JP22927995 A JP 22927995A JP 22927995 A JP22927995 A JP 22927995A JP H0978354 A JPH0978354 A JP H0978354A
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fiber
weight
sheath
core
conductive
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JP22927995A
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Inventor
Hiroyuki Kawachi
博之 河内
Yasuo Yanagi
康夫 柳
Hiroshi Hosokawa
宏 細川
Akemi Kitani
明巳 木谷
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた導電性と電荷半減期を有し、かつ白度
及び工程通過性も優れた導電性アクリル繊維を提供す
る。 【解決手段】 芯部と鞘部の断面積比率が5/95〜8
0/20の芯鞘複合繊維であり、芯部が比抵抗10-3
/cm以上の導電性微粒子を15〜70体積%含有する
アクリロニトリル系重合体からなり、鞘部がアクリロニ
トリル系重合体とポリエーテル構造を含む化合物との重
量比率が95/5〜70/30である混合体からなり、
全繊維中のポリエーテル構造を含む化合物の含有率が1
重量%以上である導電性アクリル繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた導電性、白
度及び糸強度を有し、セーター等の衣料分野に幅広い用
途展開が可能な導電性アクリル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に合成繊維は電気絶縁性であり、接
触や摩擦により発生した静電気は容易に漏洩することは
ない。この結果、(1)衣類のまとわりつき、(2)汚
れの付着、(3)衣服に帯電した静電気が原因となる可
燃ガス、粉塵への引火、爆発、(4)電子機器の誤動作
など種々の問題を引き起こす。特にパソコン等の電子機
器の普及に伴って上記(4)の障害は近年クローズアッ
プされている。特に、アクリル繊維は他の繊維に比べて
静電気が帯電しやすい欠点を有しており、前述の種々の
問題を引き起こしやすいため、アクリル繊維においては
特に高い制電性が要求されている。
【0003】アクリル繊維に導電性を付与する技術とし
て、従来よりカーボンブラックを紡糸原液に混入して紡
糸した繊維が提案されているが、色相面から白度、発色
性が要求される衣料用途には適応が困難である。
【0004】また、これら色相を白色系に改善する方法
として、酸化錫に代表される金属酸化物を用いる方法が
あり、アクリル繊維に対しての適用例が特開昭59−2
23309号公報、特開昭57−39213号公報等に
開示されている。特開昭59−223309号公報に開
示された、アクリロニトリル系重合体溶液と導電性微粒
子を分散した弾性重合体溶液を混合し紡糸する技術で
は、アクリロニトリル系重合体から相分離した導電性微
粒子を含有する弾性重合体が繊維表面に露出するため高
い導電性能が得られるが、紡糸工程において導電性微粒
子が紡糸ノズルに付着するため繊度むらやノズルの吐出
方向不良が発生したり、紡糸から紡績に至る全工程でポ
リマーの剥離、ガイドの磨耗、導電性微粒子の脱落を引
き起こすという問題を有している。
【0005】また、導電性繊維を混綿した場合の制電性
のメカニズムは、コロナ放電による電荷の中和であると
言われている(静電気ハンドブック第一版 P815
静電気学会編 オーム社発行)。少量の混綿でコロナ放
電による電荷の中和のため摩擦帯電圧は低い値を示す
が、少量の混綿のため電荷の漏洩が生じにくく電荷半減
期が120秒以上と長くなる短所がある。電荷半減期を
下げる方法としては、帯電防止能を有する油剤を塗布す
る方法、及び帯電防止剤を紡糸原液に添加し紡糸した原
綿を混綿する方法が一般的であるが、大量に混綿しなく
ては改善は認められず、染色性、風合い等の繊維加工品
本来の特性を損なう問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解消し、優れた導電性と電荷半減期を有し、か
つ白度及び工程通過性も優れた導電性アクリル繊維の提
供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、芯部と鞘部の
断面積比率が5/95〜80/20の芯鞘複合繊維であ
り、芯部が比抵抗10-3S/cm以上の導電性微粒子を
15〜70体積%含有するアクリロニトリル系重合体か
らなり、鞘部がアクリロニトリル系重合体とポリエーテ
ル構造を含む化合物との重量比率が95/5〜70/3
0である混合体からなり、全繊維中のポリエーテル構造
を含む化合物の含有率が1重量%以上であることを特徴
とする導電性アクリル繊維によって上記課題を解決する
ものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明者らは、導電性原綿を通常
原綿に混綿した場合の制電性発現のメカニズムを鋭意解
析した結果、芯鞘型導電性繊維において鞘部にイオン伝
導性を付与することにより、混綿時に電荷半減期の短い
導電性繊維が得られることを見い出した。今のところ、
この機構については定かではないが、以下のように推定
される。
【0009】すなわち、一般に導電性繊維混綿における
制電性発現のメカニズムは、摩擦により帯電した帯電物
体から電気力線が導電性繊維へ集められ、その近傍に不
平等な強電界を形成する。このためにその近傍には空気
のイオン対が発生し、いわいるコロナ放電が起こって帯
電物体と逆極性のイオンは帯電物体へ、同極性のイオン
は空気中への拡散あるいは接地体へと移動する。その結
果帯電物体の静電気は中和される。結果的に導電性繊維
は帯電体自身の形成する電界によって、自己放電を起こ
し除電すると言われている(静電気ハンドブック第一版
P816 静電気学会編 オーム社発行)。また、導
電性繊維による除電では、コロナ放電により発生したイ
オン対によって中和が起こると、帯電物体から電気力線
が弱まりコロナ放電が生じなくなるため、その後の電荷
の減衰がほとんど認められず、電荷半減期が長くなると
言われている(静電気ハンドブック第一版 P815
静電気学会編 オーム社発行)。ところが、芯鞘型導電
性繊維において鞘部にポリエーテル構造を含む化合物の
イオン伝導性物質を添加すると、コロナ放電後の電荷の
減衰も認められた。つまり、導電性繊維の近傍で発生し
たイオン対のうち帯電物体と同極性のイオンは、通常の
芯鞘型導電性繊維の場合、表面は絶縁体に近いため、そ
れを通して接地体への移動はほとんどなく、また空気中
への拡散よりも芯鞘型導電性繊維の近傍に再帯電つまり
集中し、それが鞘部に練り込まれた制電剤の作用により
速やかに電荷を漏洩させるため電荷半減期が短くなると
推察される。
【0010】本発明において、芯成分と鞘成分を構成す
るアクリロニトリル系重合体は通常のアクリル繊維の製
造に用いられるアクリロニトリル系重合体であればよ
い。また、芯成分と鞘成分を構成するアクリロニトリル
系重合体は同一組成であっても異なる組成であってもよ
いが、その単量体の構成は少なくとも50重量%のアク
リロニトリルを含有していることが必要である。単量体
構成のうち、アクリロニトリル構成比が50重量%未満
の場合には、得られる繊維がアクリル繊維本来の特性を
発現せず本発明の目的に適さない。
【0011】アクリロニトリルと共重合する単量体とし
ては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリ
ル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブ
チル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチ
ル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどに
代表されるメタクリル酸エステル類、さらにアクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、スチレン、ビ
ニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビリニデンなどが挙げられる。
【0012】アクリロニトリル系共重合体の重合方法と
しては、どのような重合方法でも良いが例えばランダ
ム、ブロック及びグラフト共重合方法が挙げられる。ま
た、製造方法としても、どのような方法でも良いが例え
ば塊状、溶液、水系懸濁及び乳化重合が挙げられ、連続
重合でもバッチ重合でも良い。
【0013】また、アクリロニトリル系重合体にp−ス
ルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、
アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの
アルカリ塩を共重合することは染色性の改良のために好
ましい。
【0014】本発明においてアクリロニトリル系重合体
の重合度は特に限定しないが、重合体0.1gをジメチ
ルホルムアミド100mlに溶解し、25℃で測定した
比粘度で0.1〜0.2の範囲であることが好ましい。
【0015】芯成分に含有される導電性微粒子は粉末状
での比抵抗が10-3S/cm以上であり、このような導
電性微粒子の例としては、鉄、銅、アルミニウム、鉛、
錫、金、銀、ニッケルなどに代表される金属類およびそ
れらの酸化物、硫化物、カルボニル塩、またITO(イ
ンジウム・スズ酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸
化物)、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物及びこれらを
硫酸バリウム、酸化錫、酸化亜鉛及び酸化錫または酸化
亜鉛で表面を被覆した酸化チタンが挙げられ、さらに導
電性を高める添加剤として酸化錫に対して酸化アンチモ
ンが、酸化亜鉛に対してアルミニウム、カリウム、イン
ジウム、ゲルマニウム、錫などの金属酸化物の併用が挙
げられ、またポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニ
リン等に代表される導電性高分子化合物、テトラシアノ
パラキノジメタン(TCNQ)とテトラチアフルバレン
(TTF)との錯体等に代表される有機導電性化合物等
が挙げられる。
【0016】また、導電性微粒子の粒径は原液の濾過工
程、紡糸工程での安定性から平均粒径が3μ以下である
ことが好ましく、さらに導電性の向上の意味からは粒状
よりもアスペクト比の大きい針状の方が好ましい。導電
性微粒子の含有量は、微粒子の形態、種類、必要な導電
性能によって異なるが、粒状の場合は芯部に対して20
〜70体積%、針状の場合は同じく芯部に対して15〜
70体積%である。含有量が前記範囲未満の場合には導
電性能が不十分であり、前記範囲を超える場合には紡糸
安定性、後工程において延伸性が低下し十分な糸質が得
られない。
【0017】本発明における鞘成分はアクリロニトリル
系重合体とポリエーテル構造を含む化合物との混合物を
用いる必要である。ポリエーテル構造を含む化合物とし
ては、多官能ポリエーテルエステル、多官能ポリエーテ
ル、多官能ポリエーテルアミド、多官能ポリエーテルエ
ステルアミド、ポリエーテル構造を含む単量体とアクリ
ロニトリルとのランダム、ブロック及びグラフト重合体
等が挙げられる。尚、多官能ポリエーテルエステルとし
ては、どのようなものでも良いが例えば下記式(1)ま
たは式(2)
【0018】
【化1】
【0019】
【化2】
【0020】で示されるブロック型ポリエーテルと芳香
族系ジカルボン酸又は芳香族系ジカルボン酸エステルと
の重縮合により得られるものが用いられる。平均分子量
は5000〜100000が好ましく、10000〜5
0000が更に好ましい。平均分子量が5000未満の
場合は、水への溶解性が高まり、染色漂白等、更には洗
濯時に容易に脱落し、十分に恒久性のある減衰性を達成
し得ず、一方、平均分子量が100000を越えると、
紡糸原液を調製する際、溶剤への溶解性が低下し、好ま
しくない。
【0021】上記芳香族ジカルボン酸としては、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。ま
た、芳香族ジカルボン酸エステルとしては、ジメチルテ
レフタレート、ジエチルテレフタレート、ジブチルテレ
フタレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレ
ート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレー
ト、ジブチルイソフタレートなどが挙げられる。
【0022】ポリエーテル構造を含む単量体としては、
どのようなものでも良いが例えば下記式(3)
【0023】
【化3】
【0024】で示されるポリアルキレングリコール(メ
タ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコー
ル(メタ)アクリレート等が用いられる。これらは、目
的によって1種類または2種類以上組み合わせても良
い。
【0025】本発明では、全繊維中のポリエーテル構造
を含む化合物の含有率が1重量%以上であることが必要
である。当該含有率が1重量%未満の場合には、電荷を
漏洩する能力が十分ではない。
【0026】また優れた制電性能を得るため、鞘部のポ
リエーテル構造を含む化合物がアクリロニトリル系重合
体中に繊維方向に筋状に配列していることが望ましい。
多官能ポリエーテルエステル濃度の濃い部分が、直径
0.1〜5μm、長さ1μm以上の大きさで配列してい
るのが好ましく、直径0.1未満または長さ1μm未満
の場合、制電性能が十分ではなく、直径5μmを越える
と紡糸性が著しく低下する。この筋状の形成は、アクリ
ロニトリル系重合体の種類と多官能ポリエーテルエステ
ル間の混和性、相溶性またはドープ調製時の両成分の混
合方法、さらにはドープ温度、ノズル孔径により影響さ
れるが、上記筋状配列条件を満たせば、特に限定される
ものではない。
【0027】ポリエーテル構造を含む化合物の酸化劣化
を防ぐためフェノール系、ホスファイト系、チオエーテ
ル系の抗酸化剤、光安定性向上のためヒンダードアミン
系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加すること
ができる。
【0028】本発明の導電性アクリル繊維は、繊維断面
において、芯部と鞘部の面積比率が芯部/鞘部=5/9
5〜80/20であることが必要であり、さらに好まし
くは10/90〜50/50である。芯部の占める割合
が5%未満の場合は、後で述べる条件が満たされていて
も導電性能が十分でなく、また80%を超える場合は完
全な芯鞘構造が得られず芯部が繊維表面に露出する部分
が多くなり好ましくない。本発明においては、芯部が繊
維表面に露出しないことが重要である。サイドバイサイ
ド型複合繊維のように繊維表面に露出させた場合、一般
に高い導電性能が得られるものの紡糸から紡績に至る各
工程において、各種ガイドの磨耗や繊維の毛羽立ち、さ
らには繊維からの導電性微粒子の脱落等の問題が発生
し、工業的に安定に生産することが困難となる。
【0029】本発明の導電性アクリル繊維は、例えば次
のような方法で製造ずることができる。先ず、芯部を形
成する紡糸原液は導電性微粒子が10〜30重量%、ア
クリロニトリル系重合体が5〜20重量%となるように
調製し、鞘部を形成する紡糸原液はポリエーテル構造を
含む化合物が1〜20重量%、アクリロニトリル系重合
体が20〜40重量%となるように別々に調製する。こ
のとき使用する溶剤は特に限定しないが、例えば、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルス
ルホキシド、アセトン等の有機溶剤が好適に用いられ
る。
【0030】さらに、最終繊維の種々の性能向上を目的
として、白度向上のため鞘部を形成する紡糸原液に酸化
チタン等、あるいは多官能ポリエーテルエステルの酸化
劣化を防ぐためフェノール系、ホスファイト系、チオエ
ーテル系の抗酸化剤、光安定性向上のためヒンダードア
ミン系、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を添加した
り、導電性をさらに向上するため芯部に親水性化合物や
ゴム状成分を添加することができる。
【0031】芯部、鞘部をそれぞれ形成する2つの紡糸
原液は、通常の芯鞘複合紡糸口金を用いて、乾式、湿式
または乾湿式によって繊維形態に賦型し未延伸糸とす
る。未延伸糸は、70℃以上の熱水中で2〜7倍延伸す
るとともに脱溶剤し、次いで乾燥、緩和熱処理により5
%以上収縮する。延伸時の熱水の温度が70℃未満では
十分な延伸倍率が得られず、その結果十分な糸質が得ら
れない。延伸倍率が2倍に満たないと同様に十分な糸質
が得られず、また、7倍を超えると糸切れが多発すると
ともに芯部の切断が発生し導電性能が低下するので好ま
しくない。上記の乾燥、緩和熱処理は、従来からアクリ
ル繊維の製造に用いられている、熱ロールやネットプロ
セスによる乾燥と、アニール、熱板緩和、スチーム緩和
といった緩和方法を単独または組み合わせて行うことが
できる。緩和熱処理における収縮率は良好な染色性また
は紡績、編織時に必要な糸質を確保するために5%以
上、好ましくは10%以上とする。
【0032】
【実施例】以下実施例により、本発明を更に具体的に説
明する。なお、実施例において、繊維の導電率の測定及
び制電性能評価は次の方法により行った。
【0033】(繊維の導電率の測定)繊維束より単繊維
を取り出し、これを正確に1cm離して銀ペースト(藤
倉化成株式会社製ドータイト)により金属端子に接着し
た。20℃、相対湿度40RH%において、この端子間
に1000Vの直流電圧を印加し、端子間の抵抗値R
(Ω)を超絶縁計(SM−8210 東亜電波工業株式
会社)により測定した。これから導電率σ(S/cm)
を次式によって求めた。 σ=1/(1.11×10-6×R×(d/ρ)1/2 ) ここで、dは繊度、ρは繊維の比重である。
【0034】(制電性能評価)導電性繊維と通常のアク
リル繊維を所定の混率で1/52メートル番手の紡績糸
を形成し、18ゲージ2本取りにて平編地を編成した。
編成した編地100部に対して精練液(スコアロール濃
度1グラム/リットルの水溶液)5000部に浸し、7
0℃で20分間油剤脱落処理を行い、引き続き編地10
0部に対して、染色液[BLUE−KGLH(保土ケ谷
化学社製染料)0.5部、酢酸2部、酢酸ソーダ0.5
部]5000部に浸して、30分間要して100℃まで
昇温し、100℃で60分間加熱した後、編地を取り出
し風乾した後、制電性試料とした。
【0035】恒久制電性評価の場合は、家庭用全自動洗
濯機を使用して、編地100部に対して、洗濯液(洗
剤:花王社製バイオビーズ濃度1グラム/リットル水溶
液)50000部に浸し、40℃で洗濯処理した。洗濯
した編地は、70℃、60分で乾燥処理し、繰り返し洗
濯を10回行い、制電性評価試料とした。得られた評価
試料は、シリカゲル封入デシケーター中で降温した後、
恒温恒湿雰囲気下(温度20℃、相対湿度40%)で2
4時間調湿した。スタティックオネストメーター(宍戸
商会社製)を用いた電荷半減期測定、及び京大化研式ロ
ータリースターティックテスター(興亜商会社製)を用
いた摩擦帯電圧測定及び帯電電荷量の測定は、JIS−
L−1094−1980(織編物の帯電性試験方法 参
考試験 摩擦帯電電荷量)に基づき行い制電性能を評価
した。
【0036】 スタティックオネストメーター 使用条件 印加電圧 1000V 印加時間 30秒 試料回転数 1000rpm ロータリースターティックテスター使用条件 ドラム回転数 400rpm 摩擦時間 60秒 摩擦布 綿 帯電電荷量の測定条件 摩擦回数 10回 摩擦布 ナイロン、アクリルニット地
【0037】(比較例1)アクリロニトリル93.5重
量%、アクリル酸メチル6.0重量%、メタリルスルホ
ン酸ソーダ0.5重量%からなるアクリロニトリル系重
合体(比粘度0.16)をジメチルホルムアミドに溶解
し、重合体濃度が30重量%の紡糸原液(A)を得た。
さらに粒径0.2〜0.3μm、粉体抵抗値2〜5S/
cmの粒状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製ET
−500W)15重量部を紡糸原液(A)と同じ組成の
紡糸原液100重量部に分散し、紡糸原液(B)を調製
した。また、多官能ポリエーテルエステル(式1におい
て、m=n=73のブロック型ポリエーテルエステルと
ジメチルテレフタレートとを縮合したもので、平均分子
量25000)1重量部を紡糸原液(A)と同じ組成の
紡糸原液100重量部に分散し、紡糸原液(K)を調製
した。芯部を形成する紡糸原液として(B)を用い、鞘
部を形成する紡糸原液として(K)を用いた。
【0038】紡糸原液を別々に130℃に加熱した後、
孔数400、孔径0.2mmφの芯鞘紡糸口金を用いて
230℃の不活性ガス中に吐出した。芯部と鞘部をそれ
ぞれ形成する紡糸原液の吐出比率は50/50(体積
比)とした。得られた未延伸糸を引き続き、100℃の
熱水中で3.75倍に延伸し、さらに95℃の熱水中で
洗浄した。得られた繊維束は無緊張状態下に相対湿度4
0%、温度150℃で乾燥、緩和処理し、20%収縮し
た。得られた繊維の繊度は3デニールであり、該繊維の
導電率及び電荷半減期を評価し、表1に示した。
【0039】(実施例1,2,3)粒状導電性酸化チタ
ン(石原産業株式会社製ET−500W)90重量部を
紡糸原液(A)と同じ組成の紡糸原液100重量部に分
散して紡糸原液(C)を調製した。また、比較例1で用
いたのと同じ多官能ポリエーテルエステル4重量部を紡
糸原液(A)と同じ組成の紡糸原液100重量部に分散
して紡糸原液(L)を調製した。芯部を形成する紡糸原
液として紡糸原液(C)を用い、鞘部を形成する紡糸原
液として紡糸原液(L)を用い、芯と鞘の紡糸原液の吐
出割合(体積比)を10/90、25/75、50/5
0と変えた他は比較例1と同様にして繊度が3デニール
の繊維を得た。得られた繊維の導電率及び電荷半減期を
評価し、表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】(比較例2)導電性微粒子として長軸2.
9μ、アスペクト比13の針状導電性酸化チタン(石原
産業株式会社製FT−2000)18重量部を紡糸原液
(A)と同じ組成の紡糸原液100重量部に分散して紡
糸原液(D)を調製した。芯部を形成する紡糸原液とし
て紡糸原液(B)の代わりに紡糸原液(D)を用いた他
は、比較例1と同様にして繊度が3デニールの繊維を得
た。得られた繊維の導電率及び電荷半減期を評価し、表
2に示した。
【0042】(実施例4,5,6)導電性微粒子として
長軸2.9μ、アスペクト比13の針状導電性酸化チタ
ン(石原産業株式会社製FT−2000)30重量部を
紡糸原液(A)と同じ組成の紡糸原液100重量部に分
散して紡糸原液(E)を調製した。芯部及び鞘部を形成
する紡糸原液を、紡糸原液(B)、(K)に代えて、紡
糸原液(E)、(L)を用い、芯と鞘の紡糸原液の吐出
割合(体積比)を5/95、25/75、50/50と
変えたほかは比較例1と同様にして繊度3デニールの繊
維を得た。得られた繊維の導電率及び電荷半減期を評価
し、表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】(実施例7)アクリロニトリル93重量
%、酢酸ビニル6.5重量%、メタリルスルホン酸ソー
ダ0.5重量%からなるアクリロニトリル系重合体(比
粘度0.16)をジメチルアセトアミドに溶解し、重合
体濃度が25重量%の紡糸原液(F)を得た。さらに粒
径0.2〜0.3μ、粉体抵抗値2〜5Ω・cmの粒状
導電性酸化チタン(石原産業株式会社製ET−500
W)75重量部を紡糸原液(F)100重量部に分散
し、紡糸原液(G)を調製した。また、比較例1で用い
たのと同じ多官能ポリエーテルエステル3重量部を紡糸
原液(F)と同じ組成の紡糸原液100重量部に分散
し、紡糸原液(M)を調製した。
【0045】芯部を形成する紡糸原液として紡糸原液
(G)を用い、鞘部を形成する紡糸原液として紡糸原液
(M)を用いて、孔径0.15mm、孔数60個の偏心
タイプの芯鞘紡糸口金より、一旦空気中に吐出し約7m
m空間を走行させた後、35℃、70重量%ジメチルア
セトアミド水溶液凝固浴中に導入し、凝固せしめた。凝
固糸はこの凝固浴より60m/分の速度で引き取り、6
0℃温水中で洗浄、95℃熱水中で3倍延伸、油剤付与
後、140℃加熱ロールで乾燥し、260℃の熱板を用
いて10%の収縮緩和を行い、180デニール/60フ
ィラメント丸断面を有するアクリル長繊維を得た。得ら
れた繊維の導電率及び電荷半減期を評価し、表3に示し
た。
【0046】(実施例8)アクリロニトリル96重量
%、酢酸ビニル4重量%からなるアクリロニトリル系重
合体(比粘度0.16)をジメチルアセトアミドに溶解
し、重合体濃度が25重量%の紡糸原液(H)を得た。
さらに粒径0.2〜0.3μ、粉体抵抗値2〜5Ω・c
mの粒状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製ET−
500W)75重量部を紡糸原液(H)100重量部に
分散し、紡糸原液(I)を調製した。また、比較例1で
用いたのと同じ多官能ポリエーテルエステル3重量部を
紡糸原液(H)と同じ組成の紡糸原液100重量部に分
散し、紡糸原液(N)を調製した。
【0047】芯部を形成する紡糸原液として紡糸原液
(I)を用い、鞘部を形成する紡糸原液として紡糸原液
(N)を用いて、孔径0.075mm、孔数400個の
芯鞘紡糸口金より、40℃、55重量%ジメチルアセト
アミド水溶液凝固浴中に導入し、凝固せしめた。凝固糸
はこの凝固浴より40m/分の速度で引き取り、沸水中
で洗浄、5倍延伸、油剤付与後、乾燥、湿熱緩和処理を
行った。得られた繊維の繊度は3デニールであった。得
られた繊維の導電率及び電荷半減期を評価し、表3に示
した。
【0048】
【表3】
【0049】(実施例9,10,11)アクリロニトリ
ル93.5重量%、アクリル酸メチル6.0重量%、メ
タリルスルホン酸ソーダ0.5重量%からなるアクリロ
ニトリル系重合体(比粘度0.16)と、ラウロキシポ
リエチレングリコール(式3においてR1 =H、R2
1225、n=30)20.0重量%、アクリロニトリ
ル73.0重量%、酢酸ビニル7.0重量%からなる制
電性アクリロニトリル系重合体(比粘度0.18)との
混合比率を種々変更してジメチルホルムアミドに溶解
し、重合体濃度が30重量%の紡糸原液(J)を調製し
た。鞘部を形成する紡糸原液として(J)を用い、芯部
と鞘部をそれぞれ形成する紡糸原液の吐出比率をそれぞ
れ種々変更した他は、比較例1と同様にして繊度3デニ
ールの繊維を得た。得られた繊維の導電率及び電荷半減
期を評価し、表4に示した。
【0050】
【表4】
【0051】
【発明の効果】本発明の導電性アクリル繊維は、優れた
導電性、白度、糸強度及び工程通過性を有し、セーター
等の衣料用途を中心に幅広い用途展開が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木谷 明巳 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯部と鞘部の断面積比率が5/95〜8
    0/20の芯鞘複合繊維であり、芯部が比抵抗10-3
    /cm以上の導電性微粒子を15〜70体積%含有する
    アクリロニトリル系重合体からなり、鞘部がアクリロニ
    トリル系重合体とポリエーテル構造を含む化合物との重
    量比率が95/5〜70/30である混合体からなり、
    全繊維中のポリエーテル構造を含む化合物の含有率が1
    重量%以上であることを特徴とする導電性アクリル繊
    維。
  2. 【請求項2】 ポリエーテル構造を含む化合物が、多官
    能ポリエーテルエステル、多官能ポリエーテル、多官能
    ポリエーテルアミド、又は多官能ポリエーテルエステル
    アミドである請求項1記載の導電性アクリル繊維。
  3. 【請求項3】 ポリエーテル構造を含む化合物が、アク
    リロニトリル、アクリレート、又はメタクリレートとの
    共重合体である請求項1記載の導電性アクリル繊維。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006162986A (ja) * 2004-12-07 2006-06-22 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、プロセスカートリッジ、そのためのクリーニング装置
US11078608B2 (en) * 2016-11-01 2021-08-03 Teijin Limited Fabric, method for manufacturing same, and fiber product

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JP2006162986A (ja) * 2004-12-07 2006-06-22 Ricoh Co Ltd 画像形成装置、プロセスカートリッジ、そのためのクリーニング装置
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