JPH0978162A - 電子機器用銅合金およびその製造方法 - Google Patents

電子機器用銅合金およびその製造方法

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JPH0978162A
JPH0978162A JP276896A JP276896A JPH0978162A JP H0978162 A JPH0978162 A JP H0978162A JP 276896 A JP276896 A JP 276896A JP 276896 A JP276896 A JP 276896A JP H0978162 A JPH0978162 A JP H0978162A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた特性の電子機器用銅合金を得ること。 【解決手段】 Crが0.1〜0.4重量%、Snが
0.05〜2重量%、Znが0.05〜2重量%(Zr
0.01〜0.2重量%が含まれる場合もある)、Pb
またはCaの内少なくとも1種が総計0.005〜0.
2重量%、Pが0.01重量%未満、Sが0.005重
量%未満、O2 が0.005重量%未満含まれ、残部C
uと不可避的不純物とからなる銅合金で、その製法とし
て、冷却速度5℃/秒以上の冷却速度で鋳造し、850
〜1000℃で熱間加工した後、10℃/秒以上の速度
で冷却し、しかる後、加工率80%以上の冷間加工、4
00〜500℃で10分〜24時間の熱処理、加工率5
0%以下の冷間加工、300〜600℃で10秒〜12
時間の最終熱処理を順次施して、晶出物または析出物の
大きさを3μm未満、結晶粒度を5μm未満にする、方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子電気機器用のリード
材、端子材、コネクタ材、スイッチ材等に適用する銅合
金に関し、特にIC等の半導体素子用のリード材(リー
ドフレーム材)に好適な銅合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体機器のリードフレーム材、
端子材としては、鉄系材料の他、電気伝導性および熱伝
導性に優れた銅系の材料も多く用いられている。近年は
半導体機器の高集積化や小型化が進み、これらに使用さ
れる銅合金も、電気伝導性、熱伝導性に優れる銅系材料
が多く用いられるようになってきた。
【0003】通常、リードフレーム材として要求される
特性は、電気伝導性や熱伝導性の他、貴金属(Ag等)
めっきや半田めっき等が施されるため、優れためっき性
や半田接合性も求められる。その他、リードフレーム材
は端子材より高い表面平滑度が求められる等、通常要求
が厳しい。またリードフレームは通常、打ち抜き加工や
エッチング法により製造されるので、打ち抜き加工性、
エッチング性に優れることも重要である。このような広
範な諸特性を満足する材料が望まれるが、その他、価格
面で実用的なことも重要なことである。
【0004】このような広範な要求に応える銅系の材料
として、従来からCu−Sn系、Cu−Fe系等の材料
が広く用いられてきた。しかし上述したような広範な要
求も近年の半導体機器の高集積化や小型化、或いは高実
装密度化に対応してより厳しくなりつつのが現状であ
る。特に近年、リードフレームの多ピン化等が進み、強
度特性等の改善が強く要求される他、より優れた打ち抜
き加工性或いはエッチング性が要求される。
【0005】このような要求に対し、近年は析出硬化型
のCu−Cr系、Cu−Cr−Zr系、Cu−Cr−S
n系等の合金が用いられるようになった。本発明は特に
多ピンリードフレーム材に好適な電子機器用銅合金とそ
の製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した析出硬化型の
銅合金は、CrやZrの析出を利用したものであり、強
度や導電性等において優れたバランスを示すものであ
る。しかし、半導体機器の一層の小型化、高密度化が著
しく、また近年はリードフレームの多ピン化も進み、従
来のリードフレーム材では対応しきれなくなってきてい
る。
【0007】近年、高密度化が一層進み、その結果、リ
ードフレーム間の短絡や、貴金属(Ag等)のめっき不
良による通電不良、等の問題が顕在化している。具体的
には、打ち抜き端面若しくはエッチング端面に晶出物や
析出物が露出していると、Ag等のめっき層の密着性が
一部劣化したり、或いは加工により延ばされた析出物
(針状化、板状化した析出物)の突出が短絡の原因にな
ったりすることがある。
【0008】まためっき時に、露出する析出物の部分か
らウィスカーが成長し、これも短絡の原因になる。更に
打ち抜き加工時の微小なバリもめっき性劣化や短絡の原
因になる。
【0009】上述したCrやZrの析出を利用した析出
硬化型の銅合金は、その加工性が良好ではないので、打
ち抜き加工によりリードフレームを製造すると、打ち抜
き粉の発生や、バリ等が発生し、その結果、これがリー
ドフレーム間の短絡の原因になる可能性がある。また加
工性が悪いと、成形されたリードフレームの寸法精度が
劣化し、製造歩留りの大幅な低下も問題である。また金
型の寿命の低下も問題であった。特に多ピンリードフレ
ームの場合は著しい。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題に鑑
み、これらの問題を改善した析出硬化型の銅合金を開発
し、優れた特性を実現したリードフレーム材等の電子機
器用銅合金を提供することを目的とするものである。即
ち本発明は、Crが0.1〜0.4重量%、Snが0.
05〜2重量%、Znが0.05〜2重量%、Pbまた
はCaの内少なくとも1種が総計0.005〜0.2重
量%、Pが0.01重量%未満、Sが0.005重量%
未満、O2 が0.005重量%未満含まれ、残部Cuと
不可避的不純物とからなる銅合金であって、晶出物また
は析出物の大きさが3μm未満であると共に結晶粒度が
5μm未満である電子機器用銅合金である。また上述の
元素の他、更にZrを0.01〜0.2重量%含ませた
電子機器用銅合金である。
【0011】そして製造方法としては、上記成分組成の
合金を冷却速度5℃/秒以上の冷却速度で鋳造し、85
0〜1000℃で熱間加工した後、10℃/秒以上の速
度で冷却し、しかる後、加工率80%以上の冷間加工、
400〜500℃で10分〜24時間の熱処理、加工率
50%以下の冷間加工、300〜600℃で10秒〜1
2時間の最終熱処理を順次施して、晶出物または析出物
の大きさを3μm未満、結晶粒度を5μm未満にする、
製造方法を提供する。
【0012】本発明の電子機器用銅合金は特にリードフ
レーム材に好適な合金であるが、その他、端子材やコネ
クター材等の電子機器用の銅合金にも適用可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の合金は、CrやZrの析
出硬化により、適当な強度および導電率を得るものであ
る。本発明者らは、これらCr、Zrの含有量おとびそ
の他の成分の含有量を規定し、更に晶出物または析出物
の大きさを規定することで実用的に優れたリードフレー
ム材を実現させることができることを見いだし、その結
果本発明を得たものである。以下に本発明の合金の成分
の限定理由を説明する。
【0014】Crは銅中に析出することで、銅の導電率
をあまり低下させないで強度を向上させる元素である
が、その含有量が0.4重量%を超えると、強度向上へ
の寄与が飽和する上、晶出物或いは析出物のサイズが大
型化しやすくなり、これらの析出物がリードフレームの
端面から突出し、隣接するリードフレームとの短絡を引
き起こす等の短絡の原因になることがある。一方、0.
1重量%未満では、強度や耐熱性が不十分になり、リー
ドフレーム用途に適当でなくなる。
【0015】Zrを含有する本発明合金の場合、Zrは
Cr同様、銅中に析出することで、銅の導電率をあまり
低下させないで強度を向上させる。その含有量は0.0
1〜0.2重量%がよい。これが0.2重量%を超える
と、強度向上への寄与が飽和する上、晶出物或いは析出
物が粗大化しやすくなり、リードフレームの短絡現象等
の原因になりかねない。一方0.01重量%未満では、
強度や耐熱性が不十分になり、リードフレーム用途に不
適当になる。
【0016】Snは、これを銅中に添加することで強度
を向上させるが、その含有量は0.05〜2重量%が望
ましい。2重量%を超えると、銅中のCrやZrの固溶
量を低下させ、CrやZrを含む晶出物或いは析出物の
サイズが大きくなってしまう。このため上述したと同
様、リードフレームの短絡現象の原因になるからであ
る。また導電率の低下も招く。一方0.05重量%では
強度向上が不十分である。
【0017】Znは、リードフレーム材の半田めっき性
を向上させ、半田接合した際、その半田接合面の経時劣
化に伴う剥離の防止に寄与する。その含有量は0.05
〜2重量%がよい。あまり過剰にZnを含有させると逆
に半田付け性が低下するので、上限は2重量%が適当で
ある。一方、下限は0.05重量%が適当で、これ未満
では半田めっき性の改善が不十分で、半田接合面の剥離
防止性が不十分になる。
【0018】またPbやCaは、これを添加することで
リードフレームのプレス成形性が向上する。特に近年は
ピン間が狭くなる傾向にあり、また非常にピン数が大き
い多ピン型リードフレームの需要も増えている。このた
めプレス端面の精密さの向上も望まれている。Pbまた
はCaは少なくとも何れか一種を総計0.001〜0.
2重量%の含有量で添加すると、プレス端面が精密にな
り、またバリの発生が抑制される等、プレス成形性に寄
与する。またプレス後の寸法形状の安定したものが得ら
れ、プレス金型の寿命が延びることも期待できる。その
含有量が0.001重量%未満ではプレス成形性向上へ
の寄与が乏しく、一方過剰な含有は割れ等の欠陥が発生
しやすくなる等、加工性を劣化させるので、上限は0.
2重量%が適当である。
【0019】その他、通常、工業的な銅材料にはP、
S、O2 等が微量含まれるが、本発明はこれらの含有量
も好適に制限することで、上述した合金成分と後述する
晶出物または析出物の規定と相まって、優れた特性の実
現を図るものである。
【0020】Pについてはその含有量を0.01重量%
未満と規定することで、本発明の合金におけるCr−P
等の晶出物の粗大化を抑制し優れた特性を実現させるも
のである。特に望ましくはPの含有量を0.005重量
%未満にすることが望ましく、リードフレームの短絡防
止等、その性能が一層向上する。
【0021】Sについてはその含有量を0.005重量
%未満と規定することで、Cr−S、Zr−S等の晶出
物の粗大化を抑制し、リードフレームとして短絡の発生
を抑制する。またSを0.005重量%未満とすること
で熱間加工性を向上させる。特に望ましくはSの含有量
を0.002重量%未満にすることが望ましく、リード
フレームの短絡防止等、その性能が一層向上する。
【0022】O2 は、その含有量が0.005重量%以
上であるとCrやZrが酸化されてその析出硬化作用が
不充分になってしまう上に、半田付け性が低下する。特
に望ましくはO2 の含有量を0.002重量%未満にす
ることが望ましい。
【0023】以上説明したP、S、O2 は、通常、銅系
材料中に微量に含有される場合が多いが、Cr、Zrを
含む本発明合金においては特に重要であり、本発明者ら
は、その好適な含有量を規定することで、リードフレー
ムに好適な銅合金が実現することを見いだしたのであ
る。
【0024】次に晶出物または析出物の大きさについて
説明する。これらの大きさは3μm未満が望ましい。こ
れより大きいと、これらの晶出物、析出物が圧延加工工
程において針状化或いは板状化され、これらの晶出物、
析出物がリードフレームの端面から突出し、隣接するリ
ードフレームとの短絡を引き起こしやすくなるからであ
る。
【0025】上述した本発明の構成において、その特性
を好適に実現するためには、結晶粒度を5μm未満にす
ることが必要である。特に、PbやCaの添加は上述し
たようにプレス成形性を向上させる効果を有するが、結
晶粒度が5μm以上であるとこの効果が不十分になる。
また結晶粒度が5μm未満であるとエッチング加工を採
用した場合、エッチング加工後の端面が平滑になり、め
っき性の向上に寄与する。
【0026】本発明の合金を製造する好適な方法につい
て以下に記す。先ず、上述した本発明の銅合金を冷却速
度5℃/秒以上の冷却速度で鋳造する。これは5℃/秒
未満の速度では、サイズが3μmを越える大きな晶出物
もしくは析出物(Cr、Cr−P、Cu−Zr、Zr−
S等)が生成されてしまうからである。次に850〜1
000℃で熱間加工を施す。これは、熱間加工の温度が
850℃未満ではCrやZrの化合物が大きくなって、
最終的に本発明の条件を満たしにくくなる。1000℃
を超える温度で行うことは、工業的には酸化被膜の成長
の問題があり、またエネルギーコストの増大をもたらす
ので、1000℃以下で行うことが実用的である。
【0027】熱間加工後、10℃/秒以上の速度で冷却
するが、これは10℃/秒以上にすることでCrやZr
の化合物の粗大化を抑制するためである。これ未満の冷
却速度では3μmを越える大きな晶出物もしくは析出物
(Cr、Cr−P、Cu−Zr、Zr−S等)が生じて
しまいやすい。
【0028】上記冷却後、加工率80%以上で冷間加工
を施す。この冷間加工の前に熱処理工程はいれない方が
よい。冷間加工の加工率は80%以上が良く、これ未満
では次工程の熱処理で、Cr、Zrの析出硬化能が不足
して、強度や導電率の点で不十分になるからである。
【0029】上記冷間加工を経て、最終の冷間加工前に
施す熱処理は、400〜500℃で10分〜24時間の
処理が望ましい。この温度は400℃未満では、銅合金
中に固溶したCr、Zrの微細な析出が十分になされ
ず、強度や導電率の点で不十分になるからである。また
この熱処理の時間が10分未満でも、同様に銅合金中に
固溶したCr、Zrの微細な析出が十分になされず、強
度や導電率の点で不十分になるからである。一方、温度
が500℃を越えると、結晶粒度が大きくなり過ぎて、
打ち抜き加工性等が劣化する。また熱処理時間は24時
間以下が適当である。これを越えて熱処理してもあまり
特性向上に寄与せず、製造コストの面で経済的ではな
い。
【0030】最終の冷間加工は、加工率50%以下で行
うことが望ましい。50%を越えると強度的には向上す
るものの、半田耐熱剥離性が劣化して、特に多ピン型の
リードフレームには不適当になる。
【0031】最終の冷間加工の後、300〜600℃で
10秒〜12時間の最終熱処理を施す。熱処理はバッチ
式の処理でも、テンションアニーリング等の走間処理で
も良い。この熱処理によって半田耐熱剥離性が改善され
ると共に、曲げ加工性も改善される。また特性や加工性
の係る異方性も緩和され、内部応力の低減にも寄与す
る。この熱処理の温度が300℃未満では、上記の改善
が不十分になる。またこの熱処理時間が10秒未満でも
同様である。一方、この熱処理を600℃を越える温度
で施すと、結晶粒度が大きくなり、打ち抜き加工性等が
劣化する。また熱処理時間は12時間以下が適当であ
る。これを越えて熱処理してもあまり特性向上に寄与せ
ず、製造コストの面で経済的ではない。
【0032】その他、必要に応じて熱処理後、テンショ
ンレベラーやローラーレベラー等によって矯正処理を行
っても良い。
【0033】
【実施例】
実施例1 高周波溶解炉を用い、表1に記す組成(SとO2 につい
てはppm表示)の銅合金を溶解し、これを冷却速度6
℃/秒で鋳込んだ。鋳塊のサイズは厚さ30mm、幅1
00mm、長さ150mmである。次にこれらの鋳塊を
980℃で熱間圧延をしてから、速やかに30℃/秒の
冷却速度で急冷した。表面の酸化膜を除去するため、厚
さ約9mm程、面削した。次に冷間圧延により厚さ0.
33mmまで加工した。この後、不活性雰囲気中で42
0℃×2時間の熱処理を施してから、更に冷間圧延して
厚さ0.2mmにした。最終焼鈍は350℃×2時間で
ある。そうして製造したリード材からサンプリングして
各種評価を行った。なお比較例22は熱間加工時に割れ
が発生して製造できなかった。
【0034】
【表1】
【0035】結晶粒度の大きさは試験片を顕微鏡観察
(200倍)して測定した。また晶出物若しくは析出物
の大きさも同様にして測定した。表2にはこれらの平均
値を記す。引張強度はJISZ2241に、導電率はJ
ISH005に準じて測定し、その結果も表2に記し
た。
【0036】
【表2】
【0037】また、試験片を塩化第2鉄溶液を用いてエ
ッチング加工し、圧延方向に対し垂直方向に幅0.5m
mのリード部を形成した。このエッチング端面を顕微鏡
観察(50倍)し、突起物の有無を調べた。この顕微鏡
観察で明瞭に突起物が認められる場合は表2に有と記し
た。
【0038】半田付け性の評価は半田の濡れ性と、半田
の剥離性を調べることで評価した。半田の濡れ性の評価
は次のようにして行ったものである。まず10mm×5
0mmの圧延面を有する試験片を、ロジン系(RMA)
のフラックスに5秒間浸漬後、230℃の共晶半田(P
b−63wt%Sn)の浴中に5秒間浸漬し、半田の濡
れ具合を調べることで評価した。半田の濡れ具合は目視
観察により、濡れ面積が90%以上の場合は良と、90
%未満の場合は不良として表2に記した。
【0039】半田加熱による半田の剥離の具合は、上記
と同様に半田を付着させた試験片を150℃×1000
時間大気加熱してから、180度の密着曲げ、および曲
げ戻しをした後、その部分の半田の剥離具合を調べるこ
とで評価した。半田の剥離が目視で認められる場合は、
表2に有と記しておく。
【0040】打ち抜き性は、金型(SKD11製)で打
ち抜き試験(1mm×5mmの角孔を設ける)を行うこ
とによって調べた。そして5001回目から10000
回目の打ち抜き分から20個を無作為抽出したサンプル
のバリの大きさ(高さ)を観察し、その平均値を表2に
示した。また打ち抜き面を観察して破断部の厚さを測定
した。表2には試験片の厚さに対する破断部の厚さの割
合(破断部/板厚×100)を%表示で記す。
【0041】表2を見ると、本発明例1〜13は何れも
優れた特性を示していることが判る。Cr量の少ない比
較例14やSn量の少ない比較例17は本発明例に比べ
強度が低い。またCr、Zrの含有量が多い比較例1
5、16はエッチング後の突起物が認められ、これらが
短絡の原因になりかねず、リードフレーム用として不都
合である。
【0042】Sn量が多い比較例18はその強度は高い
ものの、導電率が低い他、エッチング後の突起物が認め
られ、上記同様、リードフレーム用として不都合であ
る。Znは半田めっき性や半田の耐剥離性を改善する
が、このZnの少ない比較例19では半田剥離が認めら
れた。逆にZnの多い比較例20では半田濡れ性が劣化
していた。
【0043】PbやCaはプレス成形性を改善するが、
その含有総量の少ない比較例21は上述の打ち抜き性の
評価でバリが大きくなることが判った。また打ち抜き面
における破断面の割合も小さく、あまり精密な成形がで
きていないことが判る。一方総量が多い比較例22は加
工性が悪く、熱間加工時に割れが生じたので、それ以後
の特性評価ができなかった。
【0044】その他、PやSが本発明範囲外にある比較
例23、24はエッチング後の突起物が認められ、上記
同様、リードフレーム用として不都合である。またO2
が多い比較例25は、析出硬化作用が不十分で強度が低
い上、半田濡れ性に優れない。
【0045】実施例2 表1における本発明合金3、6、9および13を用い
て、表3に記す条件にて鋳造、熱間圧延、冷却、熱処
理、冷間圧延を施した。なお表3には本発明例3、6、
9、13を再掲しておく。比較例52〜55、57、5
8、60〜62は請求項3、4に対する比較例である。
表示する本発明例および比較例につき、実施例1と同様
に結晶粒度、晶出物(析出物)の大きさ、引張強度、導
電率、エッチング後の突起物の有無、バリの高さ、打ち
抜き面の破断部割合、および半田の加熱剥離性について
調査した。結果を表4に記す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】表3、4を見ると、本発明例3、9および
31〜40は何れも優れた特性を示していることが判
る。一方、鋳造時の冷却速度が遅い比較例51は晶出物
が大きくなり、その大きな晶出物が熱間加工や冷間加工
において針状化、板状化した結果、エッチング後の端面
に突起物が認められた。
【0049】熱間加工の温度が低い比較例52も、晶出
物が大きくなり、その大きな晶出物が熱間加工や冷間加
工において針状化、板状化した結果、エッチング後の端
面に突起物が認められた。熱間加工後の冷却速度が遅い
比較例53も同様にエッチング後の端面に突起物が認め
られた。これら比較例52、53は引張強度も低くなっ
ていた。
【0050】熱間加工後の冷間加工の加工率の低い比較
例54では、強度と導電率が劣り、リドフレーム材とし
ては不適当である。
【0051】この冷間加工後で最終冷間加工前に施す焼
鈍(熱処理)の温度が高い比較例56は、結晶粒度が大
きくなり、本発明例と比較して強度の不足および大きな
バリの発生および破断部割合の低下が認められた。また
引張強度も低くなった。逆に焼鈍(熱処理)の温度が低
い比較例55、60は、半田の耐剥離性が劣化してい
る。
【0052】最終の冷間加工の加工率が高い比較例5
7、61は半田の耐剥離性が劣化している。
【0053】また最終の焼鈍(熱処理)温度が高い比較
例59は結晶粒度が大きくなり、大きなバリの発生およ
び破断部割合の低下が認められると共に引張強度も低く
なった。逆に最終の焼鈍(熱処理)温度が低い比較例5
8、62は結晶粒度が大きくなり、半田の耐剥離性が劣
化している。このような半田の耐剥離性が悪い比較例5
5、57、58、60、61、62は特に多ピン型のリ
ードフレームには適さない。
【0054】その他、実施例では挙げないが、熱間加工
を1000℃を越える温度で行っても、特に特性向上に
寄与しない上、高い温度で熱間加工すると銅表面に酸化
膜が顕著に形成される恐れがある等、あまり望ましくな
い。また高い温度で処理するためエネルギー的に経済的
ではない。つまり製造コストの観点で、熱間加工の温度
は1000℃以下が適当であることが判る。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の電子機器
用銅合金およびその製造方法は、強度や導電性の特性に
優れ、また半田付け性や打ち抜き加工性、半田の耐熱剥
離性等にも優れるものであるから、電子機器の近年の傾
向である高密度化、高集積化に好適に対応できる。本発
明によって提供される電子機器用銅合金は、特にピン数
が多い、多ピンリードフレームに好適に適用できるが、
その他、端子、コネクター、電極材等、一般導電材料と
しても好適である。このように本発明は産業上顕著な貢
献を奏するものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Crが0.1〜0.4重量%、Snが
    0.05〜2重量%、Znが0.05〜2重量%、Pb
    またはCaの内少なくとも1種が総計0.005〜0.
    2重量%、Pが0.01重量%未満、Sが0.005重
    量%未満、O2が0.005重量%未満含まれ、残部C
    uと不可避的不純物とからなる銅合金であって、晶出物
    または析出物の大きさが3μm未満であると共に結晶粒
    度が5μm未満である電子機器用銅合金。
  2. 【請求項2】 Crが0.1〜0.4重量%、Snが
    0.05〜2重量%、Znが0.05〜2重量%、Zr
    が0.01〜0.2重量%、PbまたはCaの内少なく
    とも1種が総計0.005〜0.2重量%、、Pが0.
    01重量%未満、Sが0.005重量%未満、O2
    0.005重量%未満含まれ、残部Cuと不可避的不純
    物とからなる銅合金であって、晶出物または析出物の大
    きさが3μm未満であると共に結晶粒度が5μm未満で
    ある電子機器用銅合金。
  3. 【請求項3】 Crが0.1〜0.4重量%、Snが
    0.05〜2重量%、Znが0.05〜2重量%、Pb
    またはCaの内少なくとも1種が総計0.005〜0.
    2重量%、Pが0.01重量%未満、Sが0.005重
    量%未満、O2が0.005重量%未満含まれ、残部C
    uと不可避的不純物とからなる銅合金を冷却速度5℃/
    秒以上の冷却速度で鋳造し、850〜1000℃で熱間
    加工した後、10℃/秒以上の速度で冷却し、しかる
    後、加工率80%以上の冷間加工、400〜500℃で
    10分〜24時間の熱処理、加工率50%以下の冷間加
    工、300〜600℃で10秒〜12時間の最終熱処理
    を順次施して、晶出物または析出物の大きさを3μm未
    満、結晶粒度を5μm未満にする、電子機器用銅合金の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 Crが0.1〜0.4重量%、Snが
    0.05〜2重量%、Znが0.05〜2重量%、Zr
    が0.01〜0.2重量%、PbまたはCaの内少なく
    とも1種が総計0.005〜0.2重量%、Pが0.0
    1重量%未満、Sが0.005重量%未満、O2 が0.
    005重量%未満含まれ、残部Cuと不可避的不純物と
    からなる銅合金を冷却速度5℃/秒以上の冷却速度で鋳
    造し、850〜1000℃で熱間加工した後、10℃/
    秒以上の速度で冷却し、しかる後、加工率80%以上の
    冷間加工、400〜500℃で10分〜24時間の熱処
    理、加工率50%以下の冷間加工、300〜600℃で
    10秒〜12時間の最終熱処理を順次施して、晶出物ま
    たは析出物の大きさを3μm未満、結晶粒度を5μm未
    満にする、電子機器用銅合金の製造方法。
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