JPH09617A - 外科用ピン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 外科用の膜バリアを患者の組織構造へ確実に
付けるためのピンの提供。 【解決手段】 外科用膜バリアを患者の組織構造に付着
させるためのピンは、ピンを膜バリアに結合させること
ができ、かつ組織構造中に押し込むことを可能にする鋸
歯状の輪郭を定める一連の４つの短縮化された円錐から
形成されているピン体１を含んで成る。ピンのヘッド部
分２は膜バリアを結合し、それを下層組織構造上に保持
するために役立つ。ピンはPDS Polydioxanoneのような
再吸収性ポリマーから作られ、全体的に実質的に固体構
造である。別の態様では、管状の円筒状のヘッド延長部
が最大の短縮化円錐とピンヘッドの間に提供される。こ
の配列により、膜バリアと下層組織の間に空間を維持す
る役割を果たす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は外科用の膜バリアを
患者の組織構造に付けるためのピンに関する。

【０００２】

【従来の技術】ある種の外科的処置を患者に施した後、
手術部位に膜バリアを置くことが望ましいことは知られ
ている。そのような膜バリアは表皮単位のような細胞型
を排除し、それにより機能的組織の定性的および定量的
再生促進を目的とする“生産的”細胞系を促進する。

【０００３】もし組織再生過程が促進されるならば、適
当な膜バリアを下層組織構造に固定および維持する第二
手段が必要である多くの臨床的状況が存在する。

【０００４】非−吸収性の“足場”構造（１次手術の時
に置かれた）を除去する目的だけに行われる、第二の外
科的介入は望ましくないと長い間認識されてきた。患者
にとってさらに不快かつ不便であることとは別に、第二
の介入は膜バリアを交換した後にすぐに始まる微妙な生
物学的再生過程の質および速度を妨害することがある。

【０００５】膜の支持を提供するために現在利用できる
システムは、高度に工学処理された医学的等級のチタン
合金から造られている。上記に述べたように、必要とさ
れる第二の外科手術の不利益とは別に、そのようなチタ
ン合金系は大変高価であり、そしてドライバー、グラス
パーおよび外科用マレットのような高価な操作道具が必
要である。さらに、そのようなシステムを取り扱い、そ
して操作することはかなり難しい。さらに、現存する設
計物の大きさの拘束により、格子状海綿の骨中に十分な
足掛かりを得ることは難しくなっている。

【０００６】したがって、再吸収性の材料からできた組
織を止めるシステムを提供し、それにより第二の外科手
術の必要性を排除し、そして上記の従来のシステムの他
の不利益を克服するシステムを提供することが望ましい
と考えられてきた。

【０００７】したがって骨用ピンは第二の外科手術の必
要性を克服するように、合成の再吸収性ポリマーで作ら
れた。しかし、そのような骨用ピンは維持のためにネジ
切りに依存し、これはそれらを深部の骨に固定しようと
するときに生じる回転力に耐えることができないという
固有の大きな問題を提起する。

【０００８】したがって、このような不利益を克服する
再吸収性の外科用ピンを提供することが望ましい。

【０００９】合成の再吸収性ポリマーから作られたピン
は周知である。これらは、宿主組織により取り込まれる
ことにより、そして最終的に再吸収されることにより、
ピンが浸潤状態になることができる中空構造である。し
かし、この構造の必要性から製造工程が複雑となり、そ
して小さいサイズを有するピンには適さない。さらにそ
のような中空構造は、誘導組織および／または骨再生の
過程を助長にするために必要ではない。

【００１０】

【発明の構成】本発明の第一の観点によれば、外科用膜
バリアを患者の組織構造に付着させるためのピンが提供
され、このピンは再吸収性ポリマーから形成され、そし
て全体的に実質的に固体構造であり、ならびにピンを膜
バリアに結合させることができ、かつ一緒に使用するた
めに該膜バリアと組み合わさって組織構造中に押し込む
ことを可能にする輪郭を有する。

【００１１】本発明の第二の観点によれば、外科用膜バ
リアを患者の組織構造に付着させるためのピンを製造す
るために吸収性ポリマーの使用が提供され、このピンは
全体的に実質的に固体構造であり、そしてピンを膜バリ
アに結合し、かつ組織構造中に押し込むことを可能にす
る輪郭を有する。

【００１２】この輪郭は、有利には一連の短縮化された
円錐により提供されるような、鋸歯状の端がピンについ
て与えられている。

【００１３】再吸収性のピンのための適当な材料は、PD
S Polydioxanone(商標)のようなp-ジオキサノンまたは
ポリ[オキシ(1-オキソエチレン)オキシエチレン]のポリ
マーであるが、あるいはVicryl Polyglactin 910(商標)
のようなL(-)ラクチドとのグリコリドのコポリマーも使
用できる。これら化合物の化学構造は、それぞれ英国特
許第1 540 053号明細書および同第1 416 196号明細書に
記載されている。

【００１４】図１に関して、膜バリア支持用ピンは、骨
のような下層体組織中の予めドリルした穴に摩擦的に掴
んで固定できる鋸歯状の輪郭を提供するように配列され
た、一連の短縮化環状円錐形態の、全体的に実質的に固
体のピン体１を含んで成る。各短縮化円錐の角度は70.6
゜である。短縮化円錐の最小直径は、それぞれ0.5mm、0.
7mm、0.9mmおよび1.1mmであり、最大直径はそれぞれ1.2
mm、1.4mm、1.6mmおよび1.8mmである。ピン体の大きい
末端には、直径3.0mmの環状円筒ヘッド２が提供されて
いる。このヘッドは下層体組織上に位置する再吸収性の
膜バリアを確実にするのに役立つ。

【００１５】別の態様を図２に示すが、これは最大の短
縮化円錐とヘッド２の間に、長さ2mmおよび直径1.8mmの
環状円筒拡張部を提供する。これは強化、そして引き続
き血液凝固の構成を可能にするために、膜バリア下に十
分な空間を維持するために役立ち、血液凝固はその中に
骨細胞の祖先細胞を含むので骨形成過程の基本であると
考えられている。図１に示す態様で、ヘッド２は下層体
組織上に膜バリアを保持するために役立つ。

【００１６】各々の場合において、ピンはPDS Polydiox
anoneから作られている。有利なことにはこの材料は、
残存固有強度を移植後最高６週間提供する。

【００１７】ピンを、下層組織中の予めドリルした直径
1mmの溝に都合よく詰めることにより挿入することがで
きる。そのような溝は、低速で回転している炭化タング
ステンのテンパー付き裂溝バーを使用して、都合よく円
錐形に広げられ、そして作られ、そして連続的に滅菌生
理食塩水を潅注する。

【００１８】さらに前臨床的なインビボ実験では、異な
る構造および材料の再吸収性膜バリアを使用した後に観
察された組織化が貧弱な網状骨と特記されたものに比べ
て、PDS Polydioxanoneから作られた膜は骨形成を促進
し、生じた骨の質は良好に組織され、そして脈管化され
ていることを示した。それゆえに、同じポリマー性材料
からピンおよび膜を製造することが適当であると考えら
れる。

【００１９】本発明の膜バリアピンは、圧縮または射出
成形法により便利に製造することができ、そして臨床医
に取り扱い易いように、PDS Polydioxanoneの小さな除
去可能な細長い足に付いた４つのそのようなピンの群の
状態で、都合よく製造できる。

【００２０】そのような膜支持ピンは、例えば次のよう
な広い分野で有力な応用を有する： １．口腔外科術 移植術：誘導再生用の膜支持体 歯周療法術：骨および組織の誘導再生用の膜支持体。

【００２１】２．上顎顔面／脳顔面頭蓋外科術 下顎骨のう胞窩腔のような骨質欠損；口蓋裂のような先
天性欠損；上顎骨洞アーギュメンテーション リフティ
ング（augmentation lifting)；眼窩床修復（重篤な粉
砕骨折）のための骨誘導再生をし易くするための膜支持
体。

【００２２】３．整形外科術 外傷の外科手術および選択的外科手術の両方の結果とし
ての多くの欠損のために、骨または他の組織の誘導再生
の簡便化、例えば長骨のような非癒合性骨折；除去術後
のような大きな骨質欠損の再生。

【００２３】４．ＥＮＴ術 鼻中隔再構成を容易にするための膜支持体。

【００２４】５．一般的／形成的外科術 組織支持、アーギュメンテーション等に使用される縫合
／テープ吊り包帯の支持体用手段。

【００２５】本発明は好適態様に関して記載されたが、
多くの修飾および／または変更も本発明に包含されるも
のとする。例えば膜支持ピンの特別な大きさを上記に示
したが、大きさはもちろん、特定の臨床的応用の要求に
合うように変更できる。特に：短縮化された各円錐の角
度は67.5から75゜の間の範囲で任意の値をとることがで
き；その輪郭は2mmから10mmの間で任意の長さに延長す
ることができ；スペーサー部分が提供されるならば、そ
れは2mmから5mmの範囲内で任意の軸長を有することがで
き；ピンの最小直径は0.5mmから2.0mmの間の任意の値を
有することができ；そしてピンの最大直径は2mmから10m
mの間の任意の値を有することができる。

【００２６】本発明の膜バリアピンは、再吸収性膜バリ
アを付着させることに関して記載されているが、そのよ
うなピンを使用して非−再吸収性の膜バリアを結合させ
るならば、本発明の利点をさらに得ることができるだろ
うと考える。さらに、このピンは好ましくはPDS Polydi
oxanoneから作られているが、任意の適当な再吸収性ポ
リマーを使用することができ、その材料の選択は特定の
臨床応用に要求される強度保持プロフィールに依存する
と考えられる。

【００２７】本発明の主な特徴および態様は次の通りで
ある。

【００２８】１．ピンが再吸収性のポリマーから形成さ
れ、かつ実質的に全体が固体構造であり、そして外科用
膜バリアと一緒に使用するためにピンが該膜バリアに結
合でき、かつ組織構造中に押し込むことができる輪郭を
有する、患者の組織構造に外科用膜バリアを付けるため
のピン。

【００２９】２．上記外科用膜バリアが再吸収性ポリマ
ーで形成されている、上記１に記載のピン。

【００３０】３．輪郭が先細り型である、上記１または
２に記載のピン。

【００３１】４．輪郭が円錐である、前記に記載のピ
ン。

【００３２】５．輪郭が円周的に連続している、前記に
記載のピン。

【００３３】６．輪郭が一連の実質的に同軸の短縮化円
錐により定められている、上記５に記載のピン。

【００３４】７．連続性が４つの短縮化円錐を含んでな
る、上記６に記載のピン。

【００３５】８．上記円錐の放射状の横断面が実質的に
環状である、上記６または７に記載のピン。

【００３６】９．各円錐の角度が67.5度から75度の範囲
である、上記６ないし８に記載のピン。

【００３７】１０．上記角度が実質的に70.6度である、
上記９に記載のピン。

【００３８】１１．輪郭が軸方向に2mmから10mmの間の
長さに延びた、前記に記載のピン。

【００３９】１２．上記の長さが実質的に4.0mmであ
る、上記１１に記載のピン。

【００４０】１３．ヘッドおよび該ヘッドと該輪郭の間
にスペーサー部分を含んで成る、前記に記載のピン。

【００４１】１４．上記スペーサー部分が2mmから5mmの
間の軸方向の長さを有する、上記１３に記載のピン。

【００４２】１５．上記スペーサー部分の上記軸方向の
長さが実質的に2.0mmである、上記１４に記載のピン。

【００４３】１６．実質的に環状の放射状横断面を有す
る、前記のいずれかに記載のピン。

【００４４】１７．0.5mmから2.0mmの間の最小直径を有
する、上記１６に記載のピン。

【００４５】１８．実質的に0.5mmの最小直径を有す
る、上記１７に記載のピン。

【００４６】１９．2mmから10mmの間の最大直径を有す
る、上記１６ないし１８に記載のピン。

【００４７】２０．実質的に3.0mmの最大直径を有す
る、上記１８に記載のピン。

【００４８】２１．p-ジオキサノンまたはポリ[オキシ
(1-オキソエチレン)オキシエチレン]のポリマーから作
成された、前記のいずれかに記載のピン。

【００４９】２２．PDS Polydioxanone(商標)から作成
された、上記２１に記載のピン。

【００５０】２３．グリコリドとL(-)ラクチドのコポリ
マーから作成された、上記１ないし２０のいずれか１つ
に記載のピン。

【００５１】２４．Vicryl Polyglactin 910(商標)から
作成された、上記２３に記載のピン。

【００５２】２５．ピンの全体が実質的に固体構造であ
り、そしてピンを膜バリアに結合させ、かつ組織構造中
に押し込むことができる輪郭を有する、患者の組織構造
に外科用膜バリアを付けるためのピンを製造するための
再吸収性ポリマーの使用。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の膜ピンの軸方向横断面図である。

【図２】本発明の膜支持を包含する膜ピンの軸方向横断
面図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ケネス・ロバート・アンダーソン イギリス・イーエイチ23 ４ビーワイ・ゴ アブリツジ・メインストリート14・ローカ ン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピンが再吸収性のポリマーから形成さ
   れ、かつ実質的に全体が固体構造であり、そして外科用
   膜バリアと一緒に使用するためにピンが該膜バリアに結
   合でき、かつ組織構造中に押し込むことができる輪郭を
   有する、患者の組織構造に外科用膜バリアを付けるため
   のピン。