JPH0959427A - 導電性繊維、その製造方法及び導電性樹脂組成物 - Google Patents

導電性繊維、その製造方法及び導電性樹脂組成物

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JPH0959427A
JPH0959427A JP21703695A JP21703695A JPH0959427A JP H0959427 A JPH0959427 A JP H0959427A JP 21703695 A JP21703695 A JP 21703695A JP 21703695 A JP21703695 A JP 21703695A JP H0959427 A JPH0959427 A JP H0959427A
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fiber
conductive
potassium
aluminum
compound
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JP21703695A
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Inventor
Yukiya Haruyama
幸哉 晴山
Masatoshi Ogawa
傑稔 小川
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Otsuka Chemical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した導電性を示し、かつアルカリイオン
等の溶出が少ない導電性繊維を得る。 【解決手段】 アンチモン、インジウム、ニオブからな
るグループより選ばれる1種または2種以上の金属を
0.1〜20重量%含有し、残りが実質的に酸化錫から
なる被覆層を、全組成の5〜70重量%となるように、
繊維状チタン酸アルミン酸カリウムなどの繊維の表面に
設けたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂、ゴム、繊
維、抄紙等の補強材として優れ、かつ導電性を兼ね備え
た、充填材として有用な導電性繊維、特に導電性繊維状
チタン酸アルミン酸カリウム及びその製造方法並びに該
繊維を含む導電性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子・電気分野における著しい発
展に伴い、関連材料としての導電性材料の開発が望まれ
ている。このような導電性材料としては、例えば、特公
昭61−26933号公報に開示された、表面が酸化第
二錫で覆われた繊維状チタン酸カリウムを主成分とする
繊維状白色導電性物質、並びに特公昭62−4328号
公報に開示された導電性チタン酸アルカリ金属塩などが
知られている。後者の公報には、チタン酸アルカリ金属
塩の水分散液に、(a)錫、インジウム、アンチモン、
銅及びニッケルからなるグループより選ばれた金属化合
物の1種または複数種の溶液、並びに(b)水酸化アル
カリまたはハロゲン化アルカリの水溶液の双方を、同時
に添加し、両溶液間の反応により生成する水不溶性金属
酸化物をチタン酸アルカリ金属塩の表面に沈着させ、導
電性チタン酸アルカリ金属塩を製造する技術が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、繊維状
チタン酸アルカリ金属塩の表面に導電性の被覆層を形成
し導電性を付与する場合、以下のような問題があった。
すなわち、芯材として使用されるチタン酸アルカリ金属
塩は、6チタン酸カリウム、8チタン酸カリウムなどが
一般的であり、これらのチタン酸アルカリ金属塩では、
その表面に存在するアルカリイオンと導電性被覆層との
間で反応が生じることにより導電性能の低下を招く傾向
があった。また、アルカリイオンが芯材であるチタン酸
アルカリ金属塩から溶出することにより、樹脂等に配合
した場合に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0004】本発明の目的は、安定した導電性を示し、
かつアルカリイオン等の溶出が少ない導電性繊維及びそ
の製造方法並びに該繊維を含有させた導電性樹脂組成物
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、詳細な検討を重ねた結果、繊維状チタ
ン酸アルミン酸カリウムなどの繊維状物を芯材として使
用し、繊維表面に導電性の被覆層を形成することによ
り、安定した導電性を示し、かつアルカリイオン等の溶
出が少ない導電性繊維を得るに至った。
【0006】すなわち、本発明は、アンチモン、インジ
ウム、及びニオブからなるグループより選ばれる1種ま
たは2種以上の金属を0.1〜20重量%含有し、残り
が実質的に酸化錫からなる被覆層を、全組成の5〜70
重量%となるように繊維の表面に設けたことを特徴とす
る導電性繊維である。
【0007】本発明において、芯材となる繊維は、好ま
しくは繊維状チタン酸アルミン酸カリウムであり、一般
式KX AlX Ti8-X 16(0.8≦X≦2.5)で表
される組成を有するものである。
【0008】芯材としてのチタン酸アルミン酸カリウム
は、特に限定されるものではないが、0.1〜10μm
の繊維径、5〜300μmの繊維長及び10〜100ア
スペクト比を有する針状単結晶が好ましい。
【0009】本発明において被覆層は、全組成の5〜7
0重量%、好ましくは6〜30重量%となるように繊維
表面上に形成される。被覆層の量が少なすぎると、繊維
表面全体を均一に被覆することが困難となり、導電性が
発現できなかったり、低い導電性となる。逆に被覆層の
量が多すぎると、均一に被覆されずに粒状態で付着する
か、あるいは付着せずに沈殿物となるなどして非効率的
となり、経済的に不利なものとなる。
【0010】本発明において被覆層の量は、例えば、導
電性繊維を型枠中に入れてプレス加工し、圧粉体とした
後、蛍光X線分析によって金属含有量を定量し、金属酸
化物量に換算することによって求めることができる。
【0011】また、本発明において被覆層は、アンチモ
ン、インジウム及びニオブからなるグループより選ばれ
る1種または2種以上のドーパント金属が0.1〜20
重量%、好ましくは0.3〜5重量%含有される。これ
らの金属の被覆層中における含有量が少なすぎると、酸
化錫に対するドーピング効果が乏しくなり、高い導電性
を得ることができなくなる。また、含有量の上限につい
ては、導電性の点からは特に制限されるものではない
が、含有量が多くなると、灰色または青色を帯びた有彩
色となり、白色度が低下する傾向にある。また、一般に
これらの金属の含有量が多くなると、高価になるため、
経済的な面から好ましくない。
【0012】本発明において被覆層におけるアンチモン
等のドーパント金属の含有量は、例えば、導電性繊維を
型枠中に入れてプレス加工し、圧粉体とした後、蛍光X
線分析によって金属含有量を定量し、金属酸化物量に換
算することによって求めることができる。
【0013】本発明の製造方法は、上記本発明の導電性
繊維を製造することができる方法の1つであり、繊維の
水分散液に、錫化合物、並びにアンチモン、インジウ
ム、及びニオブからなるグループより選ばれる1種また
は2種以上の金属の化合物をそれぞれ溶液状態で添加
し、繊維の表面に錫化合物及び金属化合物の不溶物を付
着させた後に分離し、分離後熱処理することによって繊
維の表面上に上記金属を含有し残りが実質的に酸化錫か
らなる被覆層を形成させることを特徴としている。
【0014】繊維としては、繊維状チタン酸アルミン酸
カリウムが好ましく、一般式KX AlX Ti8-X
16(0.8≦X≦2.5)で表される組成を有するもの
が好ましい。
【0015】繊維状チタン酸アルミン酸カリウム等の繊
維の水分散液としては、繊維の濃度が0.1〜50重量
%、好ましくは1.0〜30重量%である水分散液が好
ましい。繊維の濃度が低すぎると、液量が多くなり、生
産性が低下する。また繊維の濃度が高すぎる場合には、
水分散液の粘度が高くなり、取扱いが困難になるととも
に、均一な被覆層の形成が困難になる。
【0016】本発明の製造方法において用いられる錫化
合物及び各金属の化合物としては、水または水溶性有機
質溶媒に可溶のものが好ましく、例えばハロゲン化塩、
酸化物等の、酸性またはアルカリ性で水に可溶なもの、
及び金属アルコラート、金属アセチルアセトナート等の
水溶性有機質溶媒に可溶なものが挙げられる。具体的に
は、SnCl2 、SnCl4 、SbCl3 、SbC
5 、InCl3 、NbCl3 等の水可溶性化合物、及
び、錫、アチンモン、インジウム、ニオブのメチレー
ト、エチレート、プロピオネート、ブチレート及びアセ
チルアセトネート等の水溶性有機質溶媒に可溶な化合物
が挙げられる。ただし、これらの錫化合物、及び各金属
化合物については、労働安全法、環境保護等の観点か
ら、水溶液として使用することが望ましい。
【0017】本発明の製造方法において、上記錫化合物
及び各金属化合物は、別々に溶解した溶液として使用し
てもよいし、双方を溶解した混合溶液として使用しても
よい。また錫化合物及び各金属化合物の溶液の濃度は特
に制限されるものではないが、例えば、10〜60重量
%程度の濃度の溶液として調整することができる。濃度
が低すぎると、液量が多くなり、生産性が低下する。逆
に濃度が高すぎる場合には、生成する錫化合物及び金属
化合物の加水分解物の繊維状物への沈着が不均一になり
目的の導電性繊維の導電性にばらつきを生じるおそれが
ある。
【0018】本発明の製造方法においては、上記繊維の
水分散液に、上記錫化合物及び各金属化合物の溶液を添
加し、錫化合物及び金属化合物を加水分解することによ
って、これらの不溶物を析出させ、該不溶物を繊維の表
面に付着させる。従って、錫化合物及び金属化合物が加
水分解する条件で繊維水分散液にこれらの溶液を添加す
るか、あるいはこれらの溶液を水分散液に添加した後加
水分解する条件とする必要がある。
【0019】加水分解する第1の方法としては、錫化合
物及び各金属化合物として、アルコラート、アセチルア
セトネート等の有機質化合物を用い、これらを水溶性有
機質溶媒に溶解したものを、上記繊維状物の水分散液中
に添加することにより、錫化合物及び各金属化合物を加
水分解し繊維表面に沈積させる方法がある。これらの加
水分解反応は、加熱下あるいはアルカリ性物質の存在下
で行ってもよい。アルカリ性物質としては、アルカリ金
属の水酸化物、炭酸塩、アンモニウム化合物等を使用す
ることができる。
【0020】加水分解する第2の方法としては、錫化合
物及び各金属化合物として、ハロゲン化物を用い、これ
らのアルコール溶液を上記繊維状物の水分散液中に添加
する方法がある。この方法において加水分解反応は、加
熱下、あるいはアルカリ性物質の存在下で行ってもよ
い。アルカリ性物質は、上記第1の方法におけるものと
同様のものを用いることができる。
【0021】加水分解する第3の方法としては、錫化合
物及び各金属化合物の水溶液を、上記繊維状物の水分散
液中に添加する方法がある。この方法は、有機質溶媒を
使用しないので、作業環境性、環境汚染性、さらには防
災、経済性等の観点から好ましい方法である。この方法
においても、加熱下、あるいはアルカリ性物質の存在下
で加水分解を行うことが可能である。
【0022】本発明の製造方法において、上記錫化合物
の溶液及び上記各金属化合物の溶液は、全種全量を混合
して同時に繊維状物の水分散液中に添加してもよく、さ
らには、錫化合物の溶液及び各金属化合物の溶液を別
々、または一部混合したものを添加してもよい。このよ
うな添加方法及び添加順序等により被覆層となる不溶物
の組成を調整することができる。また本発明の製造方法
においては、錫化合物溶液及び各金属化合物の溶液の添
加方法、順序等は特に制限されるものではない。
【0023】以上のように、繊維状物の水分散液に、錫
化合物及び各金属化合物の溶液を添加し、加水分解する
ことにより、錫化合物及び各金属化合物から生成した水
不溶性の加水分解物が、繊維状チタン酸アルミン酸カリ
ウムなどの繊維状物の表面に沈着する。次に、このスラ
リー液中の固形物を濾過、デカンテーションまたは遠心
分離等の手段を用いて分離し、これを水洗、乾燥させ
る。
【0024】本発明の製造方法に従えば、次に最終的に
得られる繊維状物の導電性及び安定性を向上させるた
め、200〜1000℃、好ましくは400〜800℃
で熱処理する。熱処理温度が低すぎると、安定した導電
性を示す被覆層とすることができず、熱処理温度が高す
ぎると、芯材である繊維状物の崩壊等を生じる場合があ
る。この熱処理に際し、必要に応じ、還元処理を行い導
電性を向上させることも可能である。この還元処理に際
しては、水素ガス、アンモニアガス、一酸化炭素等の還
元ガスを1種または2種以上併用した雰囲気中で加熱処
理し、還元処理を行うことができる。
【0025】本発明において芯材として用いられる、繊
維状チタン酸アルミン酸カリウムの製造方法は、特に限
定されるものではないが、例えば、アルミニウム供給成
分、カリウム供給成分及びチタン供給成分を溶融剤の存
在下にて反応させることによりチタン酸アルミン酸カリ
ウム繊維を製造する方法を挙げることができる。このよ
うな方法として、以下のような具体的な製造方法が挙げ
られる。
【0026】(第一の製造方法)カリウム供給成分及び
チタン供給成分となるチタン酸カリウム繊維を、アルミ
ニウム供給成分となるアルミニウム水酸化物などのアル
ミニウム化合物で被覆し、これを溶融剤の存在下に加熱
して反応させる方法である。このような方法によれば、
各成分が最近接に存在した状態で反応が進行するため、
ウィスカー形状のチタン酸アルミン酸カリウムを生成す
ることができるものと推測される。
【0027】本方法において、カリウム供給成分及びチ
タン供給成分となるチタン酸カリウム繊維の組成として
は特に限定はなく、例えば一般式aK2 O・TiO2
mH 2 O(0<a≦1、0≦m≦10)で示されるチタ
ン酸カリウムウィスカーを例示することができる。チタ
ン酸カリウムウィスカーの形状としては、繊維径0.0
1〜5μm、繊維長3〜300μm、好ましくは繊維径
0.1〜3μm、繊維長5〜200μm、アスペクト比
10以上のものを用いることができる。繊維径または繊
維長が小さすぎると、凝集性が大きくなり、生成するチ
タン酸アルミン酸カリウムが単離の困難な凝集物となる
傾向があり好ましくない。また繊維径または繊維長が大
きすぎると、チタン酸カリウム繊維を原料とした場合
に、表面活性が低下しアルミニウム化合物の均一な被覆
が困難となり、その結果、目的物中に未反応の酸化アル
ミニウムやチタン酸カリウムが混入するおそれを生じる
ため好ましくない。
【0028】アルミニウム化合物で表面が被覆されてい
るチタン酸カリウム繊維は、例えば、(1)アルミニウ
ムの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、水酸化物及びアル
コラート類からなる群より選ばれた少なくとも1種とチ
タン酸カリウムとを反応させる方法か、(2)アルミニ
ウムの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、水酸化物及びア
ルコラート類からなる群より選ばれた少なくとも1種
と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、
アルカリ金属のアルミン酸塩、アンモニウムの炭酸塩及
びアンモニウムの水酸化物からなる群より選ばれた少な
くとも1種とを反応させてチタン酸カリウム繊維表面に
沈着させる方法などにより得ることができる。
【0029】ここで、アルミニウムの硫酸塩としては、
例えば硫酸アルミニウム等が挙げられる。アルミニウム
のハロゲン化物としては塩化アルミニウムを、硝酸塩と
しては硝酸アルミニウムを、水酸化物としては水酸化ア
ルミニウムを、アルコラート類としてはアルミニウムア
ルコラートを例示できるが、その他、水溶性のものであ
れば、特に限定されるものではない。アルカリ金属の水
酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
を例示することができる。アルカリ金属の炭酸塩として
は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ム等を例示することができる。アルカリ金属のアルミン
酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリ
ウム等が挙げられる。アンモニウムの炭酸塩としては、
炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等が挙げられ
る。アンモニウムの水酸化物としては、例えば水酸化ア
ンモニウム等が挙げられる。以上に例示したもののほ
か、広く水可溶性のものを用いることができる。
【0030】アルミニウム化合物の被覆に際しては、水
中にチタン酸カリウムを分散させた上反応させる方法が
好ましい。その際、アルミニウム化合物の量としては、
チタン酸カリウム中のチタンに対するモル比として、
1:3〜1:18の割合となるようにするのが好まし
い。被覆反応は通常、5〜80℃、好ましくは10〜5
0℃にて1〜5時間程度で進行させることができる。こ
のようにして、アルミニウム化合物で被覆されたチタン
酸カリウム繊維は、必要に応じて水等で洗浄した後、乾
燥して次の工程に供することができる。
【0031】本方法に用いる溶融剤としては、アルカリ
金属の塩化物、例えば塩化カリウム、塩化ナトリウムや
アルカリ金属の硫酸塩、例えば硫酸カリウム、硫酸ナト
リウム等を用いることができ、これらは単独、もしくは
2種以上混合して用いることができる。溶融剤は、必要
に応じて予めジェットミル等の粉砕機にて粒度を細かく
して用いてもよい。また溶融剤はチタン酸カリウムの表
面をアルミニウム化合物に被覆する際に水溶液中に溶解
させておいてもよい。
【0032】溶融剤の添加量としては、アルミニウム化
合物で被覆されたチタン酸カリウムの合計量の50〜9
0重量%となるように添加することが好ましい。アルミ
ニウム化合物で被覆されたチタン酸カリウムを溶融剤の
存在下で、900〜1300℃の温度範囲で、通常10
分〜10時間程度反応させることにより、チタン酸アル
ミン酸カリウムウィスカーを得ることができる。この
際、加熱温度が900℃より低くなると、原料物質が未
反応のまま残ってしまい、チタン酸アルミン酸カリウム
ウィスカーの単一相を得ることが難しくなるため好まし
くない。また反応温度が1300℃を越えると、ウィス
カー間の溶着やアスペクト比の低下、もしくは結晶の粗
大化及び多結晶化が起こり易くなるため好ましくない。
【0033】また、結晶内に気孔を有するチタン酸アル
ミン酸カリウムウィスカーを生成させる場合、所定の温
度にて反応、育成した後、10℃/分以上の冷却速度に
て800℃付近まで炉冷または水冷等で急冷すればよ
い。この場合、結晶内の気孔の占める体積率は、焼成温
度及び冷却温度により制御可能である。さらに結晶内に
気孔を含まないチタン酸アルミン酸カリウムウィスカー
を生成させる場合、所定の温度で反応、育成した後、1
0℃/分以下の冷却速度にて800℃付近まで徐冷すれ
ばよい。
【0034】結晶内に1〜70体積%の気孔を有するチ
タン酸アルミン酸カリウムウィスカーを芯材として用い
る場合、該ウィスカーは気孔を有しないウィスカーに比
べ嵩比重が小さいため、嵩比重の小さい導電性繊維とす
ることができる。従って、本発明の導電性繊維と結合材
から導電性樹脂組成物を製造する場合、気孔を有するチ
タン酸アルミン酸カリウムウィスカーを芯材とすること
により、より低い重量配合の樹脂組成物とすることがで
きる。
【0035】(第二の製造方法)本方法では、チタン供
給成分として、一般式TiO2 ・nH2 O(nは0〜8
の実数)で示される粒子形状または繊維形状の酸化チタ
ンを用い、アルミニウム供給成分として、アルミニウム
水酸化物、含水酸化アルミニウム、アルミニウム無機酸
塩及びアルカリ金属のアルミン酸塩から選ばれた少なく
とも1種類を用い、カリウム供給成分として、カリウム
の塩化物、硫酸塩、及び臭化物の中から選ばれた少なく
とも1種類を用い、これらを溶融剤の存在下、900〜
1300℃の温度に加熱し、さらに冷却することにより
反応、育成させることによって製造する方法である。溶
融剤としては、例えばアルカリ金属の塩化物、硫酸塩、
臭化物などを用いることができる。
【0036】本方法において、チタン供給成分として用
いる一般式TiO2 ・nH2 O(nは0〜8の実数)で
示される粒子形状または繊維形状物の具体例としては、
水和チタニア粒子、単斜晶酸化チタン粒子、アナターゼ
酸化チタン粒子、及びルチル酸化チタン粒子またはこれ
らの繊維状物を挙げることができる。繊維状物を原料と
する場合でも、その製造方法は特に制限はなく、直接湿
式反応にて作製した酸化チタンまたは水酸化チタン系繊
維状物質及び該繊維状物質の加熱処理品等が挙げられ
る。
【0037】本方法におけるアルミニウム供給成分の具
体例としては、上述のように、アルミニウム水酸化物、
含水酸化アルミニウム、アルミニウム無機酸塩、及びア
ルカリ金属のアルミン酸塩の中から選ばれる少なくとも
1種が用いられる。アルミニウム水酸化物としては、水
酸化アルミニウム等を例示することができる。含水酸化
アルミニウムとしては、ベーマイト(AlO(O
H))、ジアスポア、トーダイトを例示することができ
る。アルミニウムの無機酸塩としては、硫酸塩、硝酸
塩、塩化物、非水溶性アルミニウム塩基性塩を例示する
ことができる。アルミニウムの硫酸塩としては、硫酸ア
ルミニウム、硫酸アルミニウム14〜18水和物、硫酸
アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムカリウム12
水和物、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アルミニウ
ムナトリウム12水和物、硫酸アルミニウムアンモニウ
ム、硫酸アルミニウムアンモニウム12水和物等を例示
することができる。アルミニウム硝酸塩としては、硝酸
アルミニウム、硝酸アルミニウム9水和物等を例示する
ことができる。アルミニウム塩化物としては、塩化アル
ミニウムや塩化アルミニウム6水和物等を例示すること
ができる。非水溶性アルミニウム塩基性塩としては、一
般式Al・(X)a・(OH)b・mH2 O(式中Xは
SO4 またはClを、a、b及びmはそれぞれ0.02
5≦a≦0.250、0.257≦b≦3.00、0≦
m≦2.0の数を表す。)で表されるものを例示するこ
とができる。アルカリ金属のアルミン酸塩としては、ア
ルミン酸カリウム、アルミン酸ナトリウムを例示するこ
とができる。
【0038】これらのアルミニウム供給成分は、単独で
もしくは2種以上混合して用いることができる。これら
のアルミニウム供給成分は、大気中での加熱により分解
して活性な酸化アルミニウムを発生するものであり、ア
ルミニウム供給成分として酸化アルミニウムを直接用い
る場合に比べてより低い温度もしくは短時間で反応を進
行させることができる。また、炭酸カリウムのように非
常に高い溶解性を有する溶融剤成分を必要としない。
【0039】カリウム供給成分の具体例としては、上述
のように、カリウムの塩化物、硫酸塩、臭化物の中から
選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。カリ
ウムの塩化物としては、塩化カリウムを、硫酸塩として
は、硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、ピロ硫酸カリウ
ム、ピロ亜硫酸カリウムを、カリウムの臭化物として
は、臭化カリウムを、それぞれ例示することができる。
これらのカリウム供給成分は同時に溶融剤としても作用
する。
【0040】溶融剤としては、上記カリウムの塩化物、
硫酸塩、臭化物の中から選ばれた少なくとも1種を必須
成分として、アルカリ金属の塩化物、アルカリ金属の硫
酸塩、アルカリ金属の臭化物等を用いることができる。
アルカリ金属の塩化物としては、カリウムの塩化物に加
えて、塩化ナトリウム、塩化リチウムを例示することが
できる。アルカリ金属の硫酸塩としては、カリウムの硫
酸塩に加えて、硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム10水
和物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム7水和物、
ピロ硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、硫酸リチ
ウム1水和物等を挙げることができる。アルカリ金属の
臭化物としては、カリウムの臭化物に加えて、臭化ナト
リウム、臭化リチウム等を挙げることができる。
【0041】チタン供給成分とアルミニウム供給成分の
割合としては、酸化チタンと酸化アルミニウムのモル比
で18:1〜22:5の割合で配合し、カリウム供給成
分と溶融剤の合計量を全重量%の30〜95重量%、好
ましくは50〜80重量%の範囲となるように添加する
ことが好ましい。またカリウムの塩化物、カリウムの硫
酸塩、カリウムの臭化物から選ばれる少なくとも1種類
と、その他のアルカリ金属の塩化物、アルカリ金属の硫
酸塩の中から選ばれる少なくとも1種類とを含めて、全
重量の70重量%以上となるように配合することが好ま
しい。
【0042】チタン供給成分、アルミニウム供給成分、
及び溶融剤(カリウム供給成分)の混合は、その方法に
おいて特に限定されるものではなく、混合後において、
各供給成分及び溶融剤が微細に分散されている状態であ
れば良好な原料粉末として使用できる。微細な分散の点
からは、混合と粉砕を兼ねた工程を有する方法により混
合することが好ましい。また、予め各供給成分及び溶融
剤を溶解分散させ、この溶液をスプレードライ乾燥、棚
段乾燥またはドラムドライヤー式乾燥等の方法で、水分
を蒸発乾固することにより各成分が均質に分散した原料
粉末としてもよい。
【0043】また、一般式Al・(X)a・(OH)b
・mH2 O(式中XはSO4 またはClを、a、b及び
mはそれぞれ0.025≦a≦0.250、0.257
≦b≦3.00、0≦m≦2.0の数を表す。)で示さ
れる非水溶性アルミニウム塩基性塩をアルミニウム供給
成分として用いる場合には、単に乾式混合でチタン供給
成分と溶融剤とを混合する以外に、その非水溶性を利用
し、チタン供給成分表面にアルミニウム供給成分である
アルミニウム塩基性塩を付着させたものを用いることが
できる。このものは、チタン供給成分の水分散液中で、
例えばアルミニウムの硫酸塩、ハロゲン化物、硝酸塩、
水酸化物、アルコラート類からなる群より選ばれる少な
くとも1種と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属
炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、アンモニウムの炭
酸塩、及びアンモニウムの水酸化物よりなる群より選ば
れる少なくとも1種とを反応させて、チタン供給成分上
にアルミニウム塩基性塩を付着させる方法により得るこ
とができる。この方法により得られた混合物は、作製時
に副生した副生成塩を水洗し、または水洗せずに乾燥あ
るいはさらに溶融剤を加えた状態で乾燥を行う。溶融剤
を混合せずに乾燥した混合物は、乾式混合で所定量の溶
融剤を加え原料粉末とする。ここで用いるチタン供給成
分の組成、形状は、特に限定されるものではないが、好
ましくは表面積の大きな微細な粒子形状物または繊維形
状物が微細混合の面から好ましい。
【0044】上記混合物の加熱焼成に際して、その状
態、形状は、特に限定されるものではなく、例えば粉末
状態でそのまま加熱焼成する方法、顆粒化した後加熱焼
成する方法、シート状で加熱焼成する方法、またはブロ
ック状で加熱焼成する方法等が挙げられる。顆粒化した
後加熱焼成する方法としては、攪拌機能の付いたミキサ
ーまたはブレンダー内等で必要に応じて水分または加熱
により容易にガス化する有機バインダを添加しながら顆
粒化する方法を挙げることができる。シート状で焼成す
る方法としては、混合粉末を加圧状態でシート化する
か、水分または加熱により容易にガス化する有機バイン
ダを添加した後押出機等を用いてシート化する方法を挙
げることができる。ブロック状に成形して加熱成形する
方法としては、原料粉末をそのままもしくは水分または
加熱により容易にガス化する有機バインダを添加して成
形を容易にした後、所定の金型内に原料粉末を入れ、加
圧により成形しブロック状原料とする方法を挙げること
ができる。
【0045】所望の状態とした原料は、セラミック質等
の耐熱容器上に設置し、その耐熱容器とともにトンネル
キルンや電気炉等を用いて加熱焼成する方法等により加
熱焼成することができる。粉末のまま、もしくは顆粒化
した原料を用いる場合は、ロータリーキルンや流動焼成
法により焼成することもできる。シート状に成形した原
料を用いる場合は、セラミック質等の耐熱容器もしくは
耐熱板上等に設置し、連続的に加熱焼成する方法を採用
することができる。
【0046】加熱焼成条件としては、900〜1300
℃、好ましくは1000〜1200℃で10分〜10時
間程度、好ましくは、30分〜5時間程度加熱した後、
室温で冷却する。この際、焼成温度が低すぎると、原料
粉末が未反応のまま残ってしまうため、目的物の単一相
のウィスカーが得られず好ましくない。また焼成温度が
高すぎるとウィスカー間の溶着、アスペクト比の低下、
結晶の粗大化及び多結晶化が起こるので好ましくない。
【0047】以上の第一の方法及び第二の方法もしくは
その他の方法により得られたチタン酸アルミン酸カリウ
ムウィスカーは、必要に応じて熱水、温水、希酸水溶
液、希アルカリ水溶液により水溶性成分を溶解した後、
ろ別、水洗、乾燥し、好ましくは分級することにより不
純物が除去され、繊維形状の整った微細なチタン酸アル
ミン酸カリウムウィスカーとすることができる。
【0048】本発明の導電性樹脂組成物は、上記本発明
の導電性繊維と結合材からなることを特徴としている。
結合材としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等の合
成高分子化合物、天然樹脂及びその誘導体、含金属有機
化合物、無機質結合材、無機化合物あるいは有機化合物
のエマルジョンなどが挙げられる。熱可塑性樹脂の具体
例としては、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66
などのポリアミド系樹脂、アラミド樹脂、ABS樹脂、
POM樹脂、PBT樹脂、PPS樹脂などが挙げられ
る。また熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹
脂やエポキシ樹脂等が挙げられる。またその他の合成高
分子化合物としては、ポリフォスファゼンなどが挙げら
れる。
【0049】本発明の導電性樹脂組成物における結合材
は上記の結合材の1種または2種以上のポリマーアロイ
を、その目的及び用途に応じて自由に選択して用いるこ
とができる。
【0050】また、本発明の導電性樹脂組成物には、必
要に応じてタルク、マイカ、ワラストナイト、炭酸カル
シウム等の充填剤、ガラス繊維、カーボン繊維等の補強
剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、熱安定剤、
難燃剤等を適宜添加してもよい。
【0051】また、必要に応じて、導電性繊維の表面を
カップリング剤等で表面処理し、表面処理した導電性繊
維を結合材と混合してもよい。本発明の導電性樹脂組成
物の製造においては、通常の混合操作、例えばバンバリ
ーミキサー法、インターナルミキサー法、押出造粒法等
の混合方法を適宜採用することができる。
【0052】本発明の導電性樹脂組成物における導電性
繊維の配合量は、導電性を付与する目的及び用途に応じ
て適宜設定されるものであるが、一般には、5〜60重
量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜50重量%
である。配合量が少なすぎると、導電性樹脂組成物に十
分な導電性を付与することができず、また配合量が多す
ぎると、成形性等が悪くなり、好ましくない。
【0053】本発明の導電性繊維は、導電性を必要とす
る樹脂成形体、塗料、コーティング、印刷等に使用する
ことができ、またその他の導電性を必要とする用途及び
使用方法に対して幅広く用いることができる。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。以下において使用する%は、重量%を示す。
【0055】合成例 6チタン酸カリウム繊維(大塚化学社製、商品名:TI
SMO−N)200gを、水2.5リットルに分散した
後、重炭酸アンモニウム228.4gを添加し、塩化ア
ルミウニム6水塩188.5gを水に溶解して400m
lとした溶液を、攪拌しながらゆっくりと加えて反応さ
せた。この間、反応温度を30〜40℃に保持して、3
時間反応を続行した。反応終了後、反応液のpHは7.
4であった。次に反応物を濾過し、水で洗浄して不純物
を除去し、80℃で乾燥した。263.0gの反応乾燥
物を得た。この乾燥物を分析した結果、酸化アルミニウ
ム換算で15.1%、強熱減量が8.09%である水酸
化アルミニウム化合物により6チタン酸カリウム繊維が
被覆されていた。
【0056】さらに、この水酸化アルミニウム化合物に
より被覆された6チタン酸カリウム繊維に、フラックス
原料(溶融剤)として、硫酸カリウム(K2 SO4 )を
重量比で1:4となるように添加し乳鉢で十分に混合し
た後、加熱成形し、1100℃で3時間焼成した。焼成
後800℃の温度まで1℃/分の速度で冷却し、その後
炉冷により室温まで冷却して焼成物を得た。焼成物を水
中で煮沸し、水洗、ろ別、乾燥することにより、淡黄色
粉体を得た。このものは、X線回折、元素分析の結果か
ら、K2.0 2.0 Ti6.0 16であり、繊維径1.0μ
m、繊維長20μmの繊維状チタン酸アルミン酸カリウ
ムであった。
【0057】実施例1 上記合成例により得られた繊維状チタン酸アルミン酸カ
リウム15gを水200gに分散しスラリー化した後、
60℃に加熱した。次いで、塩化第1錫の50%水溶液
(2%の塩酸を含む)18gと、3.7規定の塩酸17
mlに三塩化アンチモン1.5gを溶解したものとを均
質混合した両金属化合物の混合液と、3.7規定の水酸
化ナトリウム水溶液75mlを定量ポンプを用い、両液
を別々に、攪拌されているスラリー中へ、約1時間かけ
て定量的に同時添加した。その後さらに60℃で30分
間保持して反応させた。その後、固形分を濾過、水洗、
脱水、乾燥した後、600℃で1時間焼成し、生成物2
1gを得た。従って、被覆層は6gであり、全体の2
8.6重量%に相当する。被覆層は13%のアンチモン
を含む酸化錫であった。得られた導電性繊維を100K
gf/cm2 の圧力で、直径30mm、厚さ2mmの円
板形状の圧粉体を作製し、抵抗率を測定したところ、
1.4×101 Ω・cmであった。
【0058】得られた導電性繊維を、表1に示すような
各種結合材100重量部に対して40重量部添加し混練
した後、シート化して体積固有抵抗率(Ω・cm)及び
表面抵抗率(Ω)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0059】シリコン樹脂としては商品名「シリコーン
・レジン」(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
を用い、ウレタン樹脂としては商品名「Vトップ」(大
日本塗料社製)を用い、フッ素樹脂としては商品名「ネ
オフロン」(ダイキン工業社製)を用い、エポキシ樹脂
としては商品名「アラルダイト」(チバ・ガイギー社
製)を用いた。
【0060】また、得られた導電性繊維を、表2に示す
各種結合材100重量部に対して、40重量部添加して
混練した後、成形し、試験片を作製して、機械的強度を
測定した。測定結果を表2に示す。
【0061】ポリアセタール樹脂としては商品名「ジュ
ラコン」(ポリ・プラスチックス社製)を用い、6−ナ
イロン樹脂としては商品名「ウベナイロン」(宇部興産
社製)を用い、PBT樹脂として商品名「ジュラネック
ス」(ポリ・プラスチックス社製)を用いた。
【0062】また、得られた導電性繊維1gを200m
lの水中に分散して、溶出するアルカリイオンを炎光分
析法によって測定した。測定結果を表3に示す。なお、
本実施例中の測定値は以下の測定方法に基づいて測定し
た。
【0063】(体積固有抵抗率)幅2cm、長さ10c
mのシート状の試料を作製し、試料の両端及び断面に銀
箔を圧着した後、2つの銀箔からなる電極間の電気抵抗
を測定し、次式に基づいて計算する。
【0064】体積固有抵抗率(Ω・cm)=P/Q P:シートの厚み(cm)×電極の幅(cm)×電気抵
抗(Ω) Q:電極間の間隔(cm)
【0065】(表面抵抗率)上記体積固有抵抗率の測定
方法と同様にして、1辺10cmの正方形のシート状の
試料を作製し、JIS−K−6911に準拠して測定
し、次式に基づいて計算する。
【0066】 表面抵抗率(Ω)=πRs(D+d)/(D−d) π :円周率 D :表面の環状電極の内径(cm) d :表面電極の内円の外径(cm) Rs:表面の電気抵抗〜測定値(Ω)
【0067】(機械的強度)JISに準拠して、試験片
を作製し、引っ張り強さ(JIS−K−7113)、曲
げ強さ(JIS−K−7213)についてそれぞれ測定
を行った。
【0068】実施例2 上記合成例によって得られた繊維状チタン酸アルミン酸
カリウム15gを、水200gに分散し、スラリー化し
た後、攪拌しながら70℃に加熱した。次いで、塩化第
1錫の50%水溶液(2%の塩酸を含む)35g、3.
7規定の塩酸17mlに三塩化インジウム3gを溶解し
均質混合した両金属化合物溶液を作製し、これとは別に
作製した3.7規定の水酸化ナトリウム水溶液110m
lとを定量ポンプを用いて、両液別々に、スラリー中へ
約1時間かけて定量的に同時添加した後、さらに70℃
を30分間保持して反応を終了させた。その後、固形分
を濾過、水洗、脱水、乾燥した後、600℃で1時間焼
成して生成物20gを得た。従って、繊維状チタン酸ア
ルミン酸カリウム表面の被覆層は5gであり、全体の2
5重量%に相当する。被覆層は12%のインジウムを含
む酸化錫で形成されていた。
【0069】得られた導電性繊維について、上記実施例
1と同様の方法で圧粉体を作製し、抵抗率を測定したと
ころ3.5×101 Ω・cmであった。また得られた導
電性繊維について、上記実施例1と同様の方法で、各種
結合材に配合し、体積固有抵抗率、表面抵抗率及び機械
的強度を測定した。それぞれの結果を表1及び表2に示
す。また溶出するアルカリイオンを上記実施例1と同様
に測定し、その結果を表3に示した。
【0070】実施例3 上記実施例2において用いた三塩化インジウムを、同量
の三塩化ニオブに変更した以外は、上記実施例2と同様
の方法で導電性繊維を作製した。得られた導電性繊維は
21gであり、従って、被覆層は6gであり、全体の2
8.6重量%に相当する。被覆層は13%のニオブを含
む酸化錫で形成されていた。得られた導電性繊維につい
て、上記実施例1及び2と同様にして、圧粉体を作製
し、抵抗率を測定したところ、7.4×101 Ω・cm
であった。
【0071】また得られた導電性繊維について、上記実
施例1及び2と同様にして、各種結合材に配合し、体積
固有抵抗率、表面抵抗率、及び機械的強度を測定した。
それぞれの結果を表1及び表2に示す。また、溶出イオ
ンの測定結果を表3に示す。
【0072】比較例1 市販されている導電性チタン酸カリウム繊維(大塚化学
社製、商品名:デントールWK−300)について、上
記実施例と同様にして、圧粉体を作製し、抵抗率を測定
したところ、5.3×101 Ω・cmであった。また上
記実施例と同様にして、各種結合材に配合し、体積固有
抵抗率、表面抵抗率、及び機械的強度を測定し、それぞ
れ表1及び表2に測定結果を示した。また上記実施例と
同様にして溶出イオンを測定し、表3にその測定結果を
示した。
【0073】比較例2 市販されている針状導電性酸化チタン(石原産業社製、
商品名:FT−2000)について、上記実施例と同様
にして圧粉体を作製し、抵抗率を測定したところ、8.
5×100 Ω・cmであった。また、上記実施例と同様
の方法で各種結合材に配合し、体積固有抵抗率、表面抵
抗率、及び機械的強度を測定し、測定結果をそれぞれ表
1及び表2に示した。また上記実施例と同様にして溶出
イオンを測定し、その測定結果を表3に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】上記表1〜表3から明らかなように、本発
明に従う導電性繊維は、安定した導電性を示し、またプ
ラスチック等に対する補強効果にも優れていることがわ
かる。また不純物としてのアルカリ金属イオンの溶出が
少ないことがわかる。従って、エレクトロニクス分野な
どにおいて要求されている、導電性樹脂組成物を得るこ
とができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アンチモン、インジウム及びニオブから
    なるグループより選ばれる1種または2種以上の金属を
    0.1〜20重量%含有し、残りが実質的に酸化錫から
    なる被覆層を、全組成の5〜70重量%となるように繊
    維の表面に設けたことを特徴とする導電性繊維。
  2. 【請求項2】 繊維が、一般式KX AlX Ti8-X 16
    (0.8≦X≦2.5)で表される組成を有する繊維状
    チタン酸アルミン酸カリウムである請求項1に記載の導
    電性繊維。
  3. 【請求項3】 繊維の水分散液に、錫化合物、並びにア
    ンチモン、インジウム及びニオブからなるグループより
    選ばれる1種または2種以上の金属の化合物をそれぞれ
    溶液状態で添加し、前記繊維の表面に前記錫化合物及び
    前記金属化合物の不溶物を付着させた後に分離し、分離
    後熱処理することによって前記繊維の表面上に前記金属
    を含有し残りが実質的に酸化錫からなる被覆層を形成さ
    せることを特徴とする導電性繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 繊維が、一般式KX AlX Ti8-X 16
    (0.8≦X≦2.5)で表される組成を有する繊維状
    チタン酸アルミン酸カリウムである請求項3に記載の導
    電性繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導
    電性繊維と結合材からなることを特徴とする導電性樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】 結合材が、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹
    脂等の合成高分子化合物、天然樹脂及びその誘導体、含
    金属有機化合物、無機質結合材、無機化合物あるいは有
    機化合物のエマルジョンからなるグループより選ばれる
    1種または2種以上である請求項5に記載の導電性樹脂
    組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999010418A1 (fr) * 1997-08-27 1999-03-04 Otsuka Kagaku Kabushiki Kaisha Feuilles d'impression
US20120227795A1 (en) * 2009-12-03 2012-09-13 Toray Industries, Inc. Film for backside sealing sheet of solar cell

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