JPH0954422A - ペリクル収納容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイズの異なるペリクルもガタツキを生じる
こと無く収容できる汎用性に優れたペリクル収納容器を
提供し、異なるサイズのペリクルの収容や運搬等に要す
るコストを低減する。 【解決手段】 周縁に嵌合部１１が、内底部に載置部１
２が一体に形成された容器本体１０と、内面にテーパ状
の押さえ部２２が、周縁に容器本体１０の嵌合部１１に
嵌着可能な嵌合部２１が形成された蓋２０とを備え、ペ
リクル３０が接着されたペリクルフレーム３１を載置部
１２上に載置し、ペリクルフレーム３１を上方から蓋２
０の押さえ部２２により押圧保持するペリクル収納容器
であって、蓋２０に複数の押さえ部２２ａ，２２ｂを位
置を異ならせて略階段状に屈曲形成するとともに、載置
部１２の大きさが異なる複数種の容器本体１０を成形
し、複数種の容器本体１０の１つをペリクル３０の大き
さに応じ選択して蓋２０と組み合わせて用いるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、半導体のＩＣや
ＬＳＩ等の製造において使用されるフォトマスクやレチ
クル（以下、マスクと総称する）の表面への異物の付着
を防止するために開発されたペリクルを収納するペリク
ル収納容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】半導体製造工程においては、マスク上に
描かれた回路パターンを紫外線等によりウェハ上に転写
する際、マスク上に異物が僅かでも存在していると回路
パターンとともにウェハに転写されて欠陥を生じる。こ
のような欠陥を防ぐためにはマスク上に異物が存在しな
いようにしなければならない。そこで、ペリクルと言わ
れる防塵膜が開発された。

【０００３】ペリクルはニトロセルロース等により形成
されたもので、厚さが数ミクロンから数十ミクロンのも
のである。このようなペリクルはアルミニウム等からな
るペリクルフレームに接着され、マスク上に装着するこ
とによりマスクへの異物の付着を防ぐことが可能とな
る。そして、ペリクル上に異物が存在しても、転写する
際にはペリクルフレームの厚みによりペリクル面とマス
クのパターン面との間に距離ができるため、紫外線の焦
点位置がずれてウェハ上に転写されることはない。しか
し、ペリクルはマスクへの異物付着を防ぐ目的で使用さ
れるので、ペリクル自体にも異物が付着していないこと
が要求される。このため、輸送等に際しては、ペリクル
フレームに接着されたペリクルをペリクル収納容器に収
容し、ペリクルへの異物付着を防止している。

【０００４】従来、上述したペリクル収納容器として、
図９，１０に示すものが知られている。図中、１０は容
器本体、２０は蓋、３０は矩形枠状のペリクルフレーム
３１に接着されたペリクルである。容器本体１０は周縁
に角筒状の嵌合部１１が全周にわたって一体に起設さ
れ、中央部にペリクルフレーム３１と対応した大きさの
平面視矩形状の載置部１２が下側に凹部１２ａを形成す
るように上方へ膨出させて形成される。蓋２０は、周縁
に略Ｕ字状に屈曲した嵌合部２１が、この嵌合部２１の
内側に段差テーパ状の押さえ部２２が形成される。

【０００５】このペリクル収納容器は、ペリクルフレー
ム３１に接着されたペリクル３０を容器本体１０の載置
部１２上に係止片部１３の内側で載置し、容器本体１０
の嵌合部１１に嵌合部２１を嵌合させて蓋２０を取り付
けた状態で、蓋２０の段差テーパ状の押さえ部２２によ
りペリクルフレーム３１を押さえてガタツキを防止して
いる。なお、１５は容器本体１０の裏面に一体形成され
た脚部である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のペリクル収納容器にあっては、サイズが異なる
ペリクル３０（ペリクルフレーム３１）を収容すると輸
送時等においてガタツキが避けられず、このガタツキに
より容器内部において発塵してペリクル３０に塵埃等の
異物が付着するおそれがある。そこで、従来では、この
対策として各々のペリクル３０のサイズに合わせたペリ
クル収納容器を用いてガタツキを防止しているが、ペリ
クル３０のサイズに合わせた金型装置が容器本体１０と
蓋２０の双方についてペリクル３０のサイズ毎に必要で
あり、製造コストの増大を招くという問題があった。こ
の発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、サイズの
異なるペリクルもガタツキを生じること無く収容できる
汎用性に優れたペリクル収納容器を提供し、異なるサイ
ズのペリクルの収容や運搬等に要するコストを低減する
ことを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、周縁に嵌合部を囲繞し、内
底部に載置部が一体に形成された容器本体と、内面にテ
ーパ状の押さえ部が一体形成され、前記容器本体の嵌合
部に嵌着可能な蓋とを備え、ペリクルが接着されたペリ
クルフレームを前記載置部上に載置し、前記ペリクルフ
レームを上方から前記蓋の押さえ部により押圧保持する
ペリクル収納容器において、前記蓋に複数の押さえ部を
位置を異ならせて階段状に形成するとともに、前記載置
部の大きさが異なる複数種の容器本体を成形し、該複数
種の容器本体の１つを前記ペリクルの大きさに応じ選択
して前記蓋と組み合わせて用いるように構成した。

【０００８】また、請求項２記載の発明は、周縁に嵌合
部を囲繞し、内底部に載置部が一体に形成された容器本
体と、内面にテーパ状の押さえ部が一体形成され、前記
容器本体の嵌合部に嵌着可能な蓋とを備え、ペリクルが
接着されたペリクルフレームを前記載置部上に載置し、
前記ペリクルフレームを上方から前記蓋の押さえ部によ
り押圧保持するペリクル収納容器において、前記蓋に複
数の押さえ部を位置を異ならせて階段状に形成するとと
もに、前記容器本体の内底面に前記ペリクルフレームの
大きさと対応した載置部が形成された載置部材を着脱交
換可能に設けた。

【０００９】

【作用】請求項１記載の発明にかかるペリクル収納容器
によれば、あるサイズのペリクルを収容する場合は１つ
の容器本体を選択して該容器本体の載置部にペリクルを
載置し、このペリクルフレームを蓋の１の押さえ部で押
さえ、また、他のサイズのペリクルを収容する場合は他
の容器本体の載置部にペリクルを載置して蓋の他の押さ
え部により押さえることができ、ガタツキを生じること
無くサイズの異なるペリクルを収容することができる。
そして、異なるサイズのペリクルに対しては、容器本体
は異なるものを用いなければならないものの蓋を共用す
ることができるため、蓋の製造に複数種の金型装置が不
要で、その製造コストを低減できる。

【００１０】また、請求項２記載の発明にかかるペリク
ル収納容器によれば、載置部材をペリクルの大きさに応
じ選択して容器本体に取り付けることで、種々の大きさ
のペリクルに対しても容器本体を共用することができ
る。このため、蓋のみならず容器本体も共用化でき、よ
り優れた汎用性が達成される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して説明する。図１から図６は請求項１記載の
発明にかかるペリクル収納容器の実施の一形態を示し、
図１が蓋半分を除いた平面図、図２が図１のＡ−Ａ矢視
断面図、図３が図１と異なる状態における蓋半分を除い
た平面図、図４が図３のＢ−Ｂ矢視断面図、図５が図２
の一部を拡大した図、図６が図４の一部を拡大した図で
ある。なお、前述した図９，１０の従来のペリクル収納
容器と同一の部分には同一の番号を付して説明を一部割
愛する。

【００１２】図に示すように、ペリクル収納容器は、容
器本体１０および蓋２０がポリプロピレン（ＰＰ）系、
ポリスチレン（ＰＳ）系、アクリル系、ポリカーボネー
ト系、ポリエステル系またはアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン（ＡＢＳ）系等の熱可塑性または熱硬化
性、好ましくは、熱可塑性の帯電防止樹脂乃至エラスト
マー樹脂を用い射出成形によって成形される。なお、容
器本体１０と蓋２０を構成する樹脂は同じでも異なって
いてもよく、この組み合わせとしてはＡＢＳ系とアクリ
ル系、ＡＢＳ系とＰＰ系、アクリル系とアクリル系が例
示される。

【００１３】前述したように、容器本体１０は、上面周
縁に全周にわたって嵌合部１１が一体に起設され、ま
た、中央部に平面視矩形状に上方へ膨出させて載置部１
２が形成される。図５，６に詳示されるように、載置部
１２には周縁に複数の係止片部１３が一定間隔を隔て突
設され、この載置部１２上にペリクル３０を接着された
ペリクルフレーム３１が係止片部１３により位置決めさ
れて載置される。

【００１４】蓋２０は、周縁に略Ｕ字状に屈曲した嵌合
部２１を、中央にテーパ部２９（図４参照）によって上
方に膨出した矩形平板状の天蓋部２８を有する。図５，
６に示すように、テーパ部２９は、傾斜角度が比較的大
きな３つの段差部分２３ａ，２３ｂ，２３ｃと、これら
段差部分２３ａ，２３ｂ，２３ｃ間の傾斜角度が比較的
小さな２つの押さえ部分２２ａ，２２ｂとを有する。後
述するが、蓋２０が容器本体１０を被蓋した状態で、押
さえ部分２２ａ，２２ｂは、それぞれが異なるサイズの
ペリクルフレーム３１と対応し、載置部１２上に載置さ
れたペリクルフレーム３１の上部を押圧する。

【００１５】なお、上述した段差部分２３ａ，２３ｂ，
２３ｃの傾斜角度を押さえ部分２２ａ，２２ｂの傾斜角
度より小さくすることも可能であり、これらの傾斜角
度、特に、押さえ部分２２ａ，２２ｂの傾斜角度は５°
以上４５°以下に設定することが望ましい。すなわち、
押さえ部分２２ａ，２２ｂはペリクルフレーム３１のエ
ッジ部を押さえることが本質的な機能であり、傾斜角度
が５°未満であればその撓み等でペリクル３０に接触す
るおそれがあり、逆に、４５°を超える場合はガタツキ
が大きくなると考えられるが、傾斜角度を５°〜４５°
の範囲に設定することで蓋２０の段差部分２３ａ，２３
ｂ，２３ｃ等がペリクル３０と接触すること、また、ガ
タツキが増大することが防止できる。

【００１６】この実施の形態にあっては、１のサイズ
（小さなサイズ）のペリクル３０が接着されたペリクル
フレーム３１を収納する場合、ペリクル３０のサイズに
対応した容器本体１０を選択し、この容器本体１０の載
置部１２上にペリクルフレーム３１を係止片部１３によ
り位置決めして載置する。そして、この後に、蓋２０の
嵌合部２１を容器本体１０の嵌合部１１と嵌合させて蓋
２０により容器本体１０を被蓋する。

【００１７】ここで、被蓋状態においては、図５に示す
ように、ペリクルフレーム３１の上部周縁には蓋２０の
押さえ部分２２ａが弾接し、ペリクルフレーム３１は押
さえ部分と載置部１２上面との間に挟着される。このた
め、輸送等によって加振力が作用しても、ペリクルフレ
ーム３１、すなわち、ペリクル３０が容器内でガタツク
ことが無く、発塵が防止される。

【００１８】また、異なるサイズ（この形態では、大き
なサイズ）のペリクル３０’を収容する場合は、図３，
４，６に示すように、このペリクル３０’が接着された
ペリクルフレーム３１’と対応したサイズの載置部１
２’を有する容器本体１０’を選択し、この容器本体１
０’の載置部１２’上にペリクル３０’が接着されたペ
リクルフレーム３１’を係止片部１３により位置決めし
て載置する。そして、この状態で蓋２０を容器本体１
０’に取り付けると、上述した場合と同様に、蓋２０の
押さえ部分２２ｂがペリクルフレーム３１’に弾接し、
ペリクルフレーム３１’が挟着される。このため、ペリ
クルフレーム３１’がガタツクことがなく、輸送時等に
おける発塵が防止される。

【００１９】上述したように、この実施の形態にあって
は、小さなサイズのペリクル３０を収納する場合も大き
なサイズのペリクル３０’を収納する場合も蓋２０を共
用することができるため、ペリクル３０，３０’のサイ
ズ毎に蓋２０を製造する必要がなく、安価に達成でき
る。

【００２０】図７および図８は請求項２記載の発明の他
の実施の形態を示し、図７が全体断面図、図８ａ，ｂが
図７の一部拡大図である。なお、上述した実施の形態と
同一の部分については同一の番号を付して説明を省略す
る。

【００２１】この実施の形態にあっては、容器本体１０
の内底部に略矩形枠状の載置部材４１を着脱交換可能に
取り付け、この載置部材４１上にペリクル３０が接着さ
れたペリクルフレーム３１を載置する。容器本体１０に
は内底面に矩形枠状の嵌合突条１９が形成され、載置部
材４１には下面に全周にわたって嵌合溝４１ａが形成さ
れ、載置部材４１は嵌合溝４１ａに嵌合突条１９を嵌合
させて容器本体１０に取り付けられる。この載置部材４
１には上部周縁に複数の係止片部４２が一定の間隔を隔
て一体に突設される。

【００２２】そして、載置部材４１はペリクル３０のサ
イズに応じて、すなわち、上述した小さなサイズのペリ
クル３０の収納用と大きなサイズのペリクル３０’の収
納用とにそれぞれ別個に成形される。一例を挙げれば、
図８ａ，ｂの比較から明確なように、大きなサイズのペ
リクル用の載置部材４１は係止片部４２が外側位置に形
成され、また、小さなサイズのペリクル用の載置部材４
１’は係止片部４１ａが内側位置に形成される。

【００２３】この実施の形態にあっては、容器本体１０
に取り付ける載置部材４１をペリクル３０の大きさに応
じて選択することで容器本体１０を変更すること無く、
換言すれば、容器本体１０をも共用して異なるサイズの
ペリクル３０も収納できる。すなわち、図９ａに示すよ
うに、大きなサイズのペリクル３０を収納した場合は係
止片部４２が外側に位置する載置部材４１を用い、この
載置部材４１上に係止片部４２により位置決めしてペリ
クル３０が接着されたペリクルフレーム３１を載置し、
蓋２０を取り付けることで押さえ部分２２ａによりペリ
クルフレーム３１が挟着される。

【００２４】また同様に、図８ｂに示すように、小さな
サイズのペリクル３０を収納する場合は、係止片部４２
が内側に位置する載置部材４１’を用い該載置部材４
１’上に小さなペリクル３０’が接着されたペリクルフ
レーム３１’を載置し、この状態で蓋２０を取り付ける
ことでペリクルフレーム３１’が挟着される。したがっ
て、この形態では、蓋２０のみならず容器本体１０も共
用することができ、製造コストをより低減できる。

【００２５】なお、述べるまでもないが、上述した各形
態におけるテーパ部２９にはより多くの押さえ部分２２
ａ，２２ｂを形成することも可能であり、多くの押さえ
部分２２ａ，２２ｂを形成することで適用可能なペリク
ル３０のサイズも拡大し、より優れた汎用性が得られ
る。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１記載の発
明にかかるペリクル収納容器によれば、ペリクルを収容
する場合はその大きさに応じ１つの容器本体を選択し、
該容器本体の載置部にペリクルを載置し、このペリクル
フレームを蓋の１の押さえ部で押さえ、また、他のサイ
ズのペリクルを収容する場合は他の容器本体の載置部に
ペリクルを載置して蓋の他の押さえ部により押さえるこ
とができ、蓋を共用してサイズの異なるペリクルをガタ
ツキを生じること無く収容することができるため、蓋の
製造に複数種の金型装置が不要で、その製造コストを低
減できる。

【００２７】また、請求項２記載の発明にかかるペリク
ル収納容器によれば、載置部の大きさが異なる複数種の
載置部材を備え、この載置部材を容器本体の内底面にペ
リクルの大きさに応じ選択して着脱交換可能に取り付け
るため、上記請求項１記載のペリクル収納容器に加え、
容器本体も共用化でき、より優れた汎用性が達成され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の一形態にかかるペリクル収納
容器を蓋半分を取り除いて示す平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視断面図である。

【図３】同ペリクル収納容器に異なるサイズのペリクル
を収納した状態を蓋半分を取り除いて示す平面図であ
る。

【図４】図３のＣ−Ｃ矢視断面図である。

【図５】図２のＢ部拡大図である。

【図６】図４のＤ部拡大図である。

【図７】この発明の他の実施の形態にかかるペリクル収
納容器の断面図である。

【図８】図７のＥ部拡大図であり、ａ，ｂがそれぞれ異
なるサイズのペリクルを収納した状態を示す。

【図９】従来のペリクル収納容器の蓋半分を取り除いて
示す平面図である。

【図１０】同ペリクル収納容器の断面図である。

【符号の説明】

１０ 容器本体 １１ 嵌合部 １２ 載置部 １３ 係止片部 ２０ 蓋 ２１ 嵌合部 ２２ａ 押さえ部 ２２ｂ 押さえ部 ３０ ペリクル ３１ ペリクルフレーム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 周縁に嵌合部を囲繞し、内底部に載置部
   が一体に形成された容器本体と、内面にテーパ状の押さ
   え部が一体形成され、前記容器本体の嵌合部に嵌着可能
   な蓋とを備え、ペリクルが接着されたペリクルフレーム
   を前記載置部上に載置し、前記ペリクルフレームを上方
   から前記蓋の押さえ部により押圧保持するペリクル収納
   容器において、 前記蓋に複数の押さえ部を位置を異ならせて階段状に形
   成するとともに、前記載置部の大きさが異なる複数種の
   容器本体を成形し、該複数種の容器本体の１つを前記ペ
   リクルに応じ選択して前記蓋と組み合わせて用いるよう
   にしたことを特徴とするペリクル収納容器。
2. 【請求項２】 周縁に嵌合部を囲繞し、内底部に載置部
   が一体に形成された容器本体と、内面にテーパ状の押さ
   え部が一体形成され、前記容器本体の嵌合部に嵌着可能
   な蓋とを備え、ペリクルが接着されたペリクルフレーム
   を前記載置部上に載置し、前記ペリクルフレームを上方
   から前記蓋の押さえ部により押圧保持するペリクル収納
   容器において、 前記蓋に複数の押さえ部を位置を異ならせて階段状に形
   成するとともに、前記容器本体の内底面に前記ペリクル
   フレームの大きさと対応した載置部が形成された載置部
   材を着脱交換可能に設けたことを特徴とするペリクル収
   納容器。